説明

画像形成装置、電力制御方法、プログラム及び記憶媒体

【課題】 省電力状態を効率よく維持すると共に、画像形成装置の機能を効率よく利用できる仕組みを提供できるようにする。
【解決手段】 少なくとも1つの外部装置とデータ通信を行う通信手段(LANC1)と、データ通信機能を備えず且つ外部からの特定の識別子を含むアクセスを検知する検知手段(20)と、前記通信手段(LANC1)を稼動させた第一電力状態から、前記通信手段への通電を抑制し前記検知手段(20)への通電を行う第二電力状態への移行を示す省電力移行通知を外部に出力する第一出力手段(S101)と、前記第二電力状態から第一電力状態への移行を示す省電力復帰通知を外部に出力する第二出力手段(S108)とを設け、外部装置に自機の識別子を伴うアクセスを抑制させたり(S306)、前記識別子を伴うアクセスを再開(S307)させたりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置、電力制御方法、プログラム及び記憶媒体に関し、特に、省電力機能を備えた画像形成装置の消費電力を効率的に節電するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
消費電力を節約するために、一定時間以上使用されない場合には自動的に省電力状態に移行する機能を有するネットワーク機器が存在する。前記ネットワーク機器は、省電力状態にある場合、ネットワークを介して他の機器から操作されることで省電力状態から復帰するように構成されている。
【0003】
前記ネットワーク機器が省電力状態から復帰する方法として、ネットワークからの入力信号を受信し、受信した入力信号のパターンが予め登録された入力信号パターンと一致する入力があった場合に省電力状態から復帰する方式が提案されている。
【0004】
前記省電力状態から復帰するための入力信号パターンとして、マジックパケット(Magic Packet(R))と呼ばれる、通常は送信されない特殊な入力信号パターンによって復帰する方法が提案されている。例えば、特許文献1において、「リモート電源制御システム及びプログラム」が提案されている。
【0005】
ここでいう入力信号パターンとは、イーサネット(登録商標)やトークンリングなどのネットワークにおける、パケット内のデータが示すパターンのことであり、前記特許文献1に記載のリモート電源制御方法の適用範囲はイーサネット(登録商標)やトークンリングとは限らないため、一般的に入力信号パターンと称している。この方法では、特殊な入力信号パターンが受信されない限り省電力状態から復帰しないので、省電力状態を長時間保つことが可能である。
【0006】
上記のようなシステムの場合、省電力状態にあるネットワーク機器をユーザが使用する(つまり、通常電力状態へ復帰させる)ためには、一般のユーザが該機器の制御・操作する場合に使用する各アプリケーションに、特殊な入力信号パターンを送信するための変更を予め加えておかなくてならない。そのため、変更を加えなかったアプリケーションからは省電力状態にある機器を利用することができないという問題があった。この問題を一部解決するために、省電力状態から復帰させる入力信号パターンとして、一般ユーザが使用するアプリケーションが該機器(または該機器を含む複数の機器)に送信する入力信号パターンに設定することで、既存のアプリケーションに変更を加えなくても済むという方法が考えられる。
【0007】
【特許文献1】特開2001−180083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、省電力状態から復帰させる入力信号パターンとして、一般的な入力信号パターンを使用するようにすれば、該機器を使用する各アプリケーションの変更を行う必要がない。しかしながら、この方法では、各アプリケーションから容易に送信される入力信号パターンにより、該機器が頻繁に省電力状態から復帰してしまうという問題が新たに発生してしまう。これでは、省電力状態を維持することができず、当初の目的である消費電力の節約としては、あまり効果がない問題があった。従来から知られているような、画像形成装置の通信部分(所謂プリンタコントローラ及びネットワークインタフェース部)を常時稼動(通電)し、本体エンジン部分のみを遮断するような形態では、上記問題は発生しない。しかし、より高い省電力状態を実現しようとする場合には、上記問題点の解決が要望される。
【0009】
本発明は上述の問題点にかんがみ、省電力状態を効率よく維持すると共に、画像形成装置の機能を効率よく利用できる仕組みを提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、少なくとも1つの外部装置とデータ通信を行う通信手段と、
データ通信機能を備えず且つ外部からの特定の識別子を含むアクセスを検知する検知手段と、前記通信手段を稼動させた第一電力状態から、前記通信手段への通電を抑制し前記検知手段への通電を行う第二電力状態への移行を示す省電力移行通知を外部に出力する第一出力手段と、前記第二電力状態から第一電力状態への移行を示す省電力復帰通知を外部に出力する第二出力手段とを有し、前記外部装置においては、前記省電力移行通知を識別したことに応じて前記識別子を含むアクセスを抑制し、前記省電力復帰通知を識別したことに応じて前記識別子を含むアクセスを再開することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、省電力状態を効率よく維持すると共に、画像形成装置の機能を効率よく利用できる仕組みを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下で、添付図面を用いて、本発明にかかる実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態が適用するシステムの構成例を示している。
図1において、ネットワーク機器DEV1は省電力機能を有しているネットワーク機器である。例えば、レーザービームプリンタなどの印刷装置を適用させることができる。PC1及びPC2は、ネットワーク機器DEV1を含むネットワーク機器を制御・操作する第1及び第2のユーザ機器である。例えば、ページ記述言語及びジョブ言語から構成される印刷ジョブを生成し、ネットワーク上に出力するクライアントコンピュータを適用させることができる。尚、図1中にはプリンタが1台、PCが2台しか示されていないが、例えば、プリンタが3台、PCが10台など、任意の数を想定出来る。
【0013】
本実施の形態では、これらの第1のユーザ機器PC1及び第2のユーザ機器PC2を構成する各手段は、Microsoft Windows(登録商標)や,UNIX(登録商標)などのオペレーティングシステム(OS)が動作可能なコンピュータ、及び機器制御や操作を行うアプリケーションソフトウェアで構成されているものとする。
【0014】
本実施の形態において使用するアプリケーションソフトウェアには、ネットワーク機器DEV1等の機器の電力状態を管理するための、電力状態管理メモリが割り当てられている。コンピュータのハードウェア構成は、一般的なパーソナルコンピュータやワークステーション等と同等であるものとし、詳細な説明は割愛する。
【0015】
第1のユーザ機器PC1または第2のユーザ機器PC2から電気信号がネットワークLANを経由して、制御対象機器であるネットワーク機器DEV1に入力される。この信号のことをデータと呼ぶこともある。ユーザからの直接の操作やネットワーク機器DEV1に対するある条件を満たす電気的入力がなくなると、ネットワーク機器DEV1は通常電力状態(第一電力状態とも呼ぶ)から省電力状態(第二電力状態とも呼ぶ)へ移行する。本実施の形態において、ある条件とは、何時間/何分、どのような入力信号がないと省電力状態へ移行するなどの条件であり、ネットワーク機器DEV1に予め設定された設定値であり、ユーザによっても設定することが可能である。
【0016】
図2は、本実施の形態のネットワーク機器DEV1の内部構成例を示すブロック図である。
図2において、CNTL1はネットワーク機器DEV1の電力状態を制御するソフトウェアを含む機器制御装置である。また、ENG1はネットワーク機器DEV1のジョブ(印刷ジョブなど)を処理する本体部エンジンである。LANC1は、ネットワーク機器DEV1のネットワークLAN経由での入出力電気信号を制御する、通信手段としてのネットワーク制御装置である。復帰条件検知部20は、ネットワーク制御装置LANC1の一部の電源供給を停止してデータ通信を行えない状態でも、後述の、S104乃至S107の処理を行う機能を備える。この電力状態が本実施の形態での省電力状態(第二電力状態)に相当する。尚、好適な形態としては、ネットワーク制御装置LANC1のデータ通信に係わる部分の電力供給を停止し、且つ、復帰条件検知部20にデータ通信を備えないようにすれば、より省電力効果を高めることができる。一方、LANC1、又は、LANC1及びCNTL1に電力を供給し、例えば外部からのプリンタ状態応答などの、通信機能を確保した電力状態を通常出力状態と呼ぶ。
【0017】
省電力状態へ移行すると、機器制御装置CNTL1及びネットワーク制御装置には、必要最小限の電力のみが電源装置POW1から供給されるようになる。なお、本体エンジンENG1は本実施の形態でいう、省電力状態、乃至、通常状態に係わらず、節電された状態を前提とする。即ち、本実施の形態でいう省電力状態とは、従来から知られているような、単なる本体ENG1の電力遮断制御を指すのではなく、さらに、ネットワーク制御装置LANC1の部分を如何に節電するかを指す。
【0018】
本実施の形態の省電力状態においては、ネットワーク制御装置LANC1が特定のパターンを検知する部分(復帰条件検知部20)や、省電力状態からの高速復帰に必要なデータを保持するメモリへの通電が確保される。この省電力状態のことを、通常電力状態を第一電力状態と呼ぶことに対し、第二電力状態と呼ぶこともある。
【0019】
また、操作パネルへの指示や、ファクシミリデータの着信検知を行う部位にも通電が確保される。一方、機器制御装置CNTL1、本体部エンジンENG1、ネットワーク制御装置LANC1の不要部位に関しては電力供給が抑制される。ここで電力供給の抑制とは、電力を完全に遮断する場合、少なくとも抑制しない場合と比べて少ない電力を供給する場合を適用できる。
【0020】
逆に、この抑制された電力供給の全て、或は、一部に電力供給が行われた場合を通常電力状態と呼ぶ。例えばネットワーク制御装置LNAC1が電力供給を抑制された状態から抑制されない状態(通常のネットワーク通信を行える状態)になった場合にも、通常電力状態に移行したものとする。特定のパターンとしては、自機の識別子であれば良い。例えば、自機のMACアドレス(Media Access Control address)、自機のIPアドレス(Internet Protocol Address)を適用することが出来る。
【0021】
次に、図3のフローチャートを参照しながら本実施の形態のネットワーク機器DEV1が省電力状態へ移行する前後の処理について詳細に説明する。より具体的には、図2のネットワーク制御装置LANC1の処理に該当する。
【0022】
S101において、ネットワーク制御装置をデータ通信可能に稼動させた通常状態から、復帰条件検知部20を除く部位の通電を停止させた省電力状態への移行を示す省電力移行通知を第1のユーザ機器PC1及び第2のユーザ機器PC2に対して通知する。例えば、イベント型の通信パケットや、ブロードキャストパケットによって、状態変化を通知する。イベント型の通信パケットで通知を行う場合は、事前にユーザ機器PC1、PC2の通知先(IPアドレス)がネットワーク制御装置LANC1に記憶されているものとする。
【0023】
S101において状態変化を通知したら、次に、S102に進み、電源状態を省電力状態に移行する。
次に、S103において、ネットワーク制御装置LANC1はネットワークLANからの入力待ちを行う。この時、ネットワーク制御装置LANC1中の復帰条件検知部20以外の不要な部位については電力供給が抑制される。
【0024】
次に、S104において、ネットワークLANからの入力があるか否かを判断し、入力がない場合には、再度S103に戻る。S104において、入力があったと判断された場合には、S105に進む。ここで入力としては、通信に伴うARP(Address Resolution Protocol)を例として挙げる事が出来る。
【0025】
例えば、ユーザ機器PC1、PC2から印刷ジョブをプリンタ(ネットワーク機器DEV1)に対して送信する場合に、ユーザ機器PC1、PC2からプリンタに対してAPRパケットが出力される。また、ユーザ機器PC1、PC2がプリンタ(ネットワーク機器DEV1)の状態を検知する場合の、定期的な問合せ(ポーリング)を実行する場合にも、ユーザ機器PC1、PC2からプリンタに対してARPパケットが出力される。
【0026】
S105においては、通常電力状態への復帰条件として設定されている入力信号のパターンを取得する。尚、通常電力状態に関しては図2において説明した通りとする。
次に、S106において、S105で取得した入力信号と、設定されたパターンとを比較する。この比較の結果、入力された信号が取得したパターンに該当する場合にはS107に進み、該当しない場合には、S103に戻って前述した処理を繰り返し実行する。
【0027】
S107においては、ネットワーク制御装置LANC1は、省電力状態から通常電力状態に復帰する又は復帰したことを示す起動信号を機器制御装置CNTL1に送る。さらに、印刷ジョブが入力される場合や、ステータスの問合せを受け本体のセンサを駆動する場合には、機器制御装置CNTL1は受信した起動信号を本体部エンジンENG1へ送る。これにより、ネットワーク機器DEV1が省電力状態から通常電力状態に復帰し、外部からの各種要求に応答でき、省電力効果を奏しつつ且つ使い勝手の良いプリンティングシステムを構築することが出来る。
【0028】
なお、機器制御装置CNTL1のみが起動するか、あるいは本体部エンジンENG1も含めて起動、復帰するかは設定と機器の仕様により任意に設定することができる。また、本体部エンジンENG1への起動信号をネットワーク制御装置LANC1から直接送信するようにしてもよい。
【0029】
S108において、省電力状態(第二電力状態)から通常電力状態(第一電力状態)への移行を示す省電力復帰通知を外部装置に出力する。例えば、図1に対応させると、通常電力状態に復帰したことを、第1のユーザ機器PC1及び第2のユーザ機器PC2に対して通知する。この通知は、例えば、イベント型の通信パケットやブロードキャストパケットによって、省電力状態から通常電力状態に遷移したことを示す状態変化を通知する。
【0030】
尚、後述にて詳しく説明するが、この通知を受けた第1のユーザ機器PC1及び第2のユーザ機器PC2は、図5のS306、S307の処理を実行することとなる。
【0031】
次に、図4のフローチャートを参照しながら、第1のユーザ機器PC1或いは第2のユーザ機器PC2で行われる電力状態管理処理について、詳細に説明する。例えば、図4の処理は、ユーザ機器PC1、PC2にインストールされる省電力対応処理機能を備えるソフトウェア及び同ユーザ機器PC1、PC2にインストールされるOSの協働に基づき行われる。
【0032】
先ずS201において、ネットワーク上に接続される任意のネットワーク機器(例えば図1のネットワーク機器DEV1)からの省電力状態への移行通知を受信したかどうかを判別する。ここで受信する通知は図3のS101の通知に対応する。この判別の結果、通知を受信した場合にはS202に進み、受信していない場合にはS203に進む。
【0033】
S202においては、電力状態管理メモリ(例えば、図6のRAM603)に、省電力状態であることを記録する。本実施の形態においては、省電力状態であることを記録する時に、対応するデバイスの識別子として、例えば、デバイス名やIPアドレスやMACアドレス等も合わせて記録する。このS202の処理により、後述の図5などの、画像形成装置からの省電力移行通知に応じた、適切な外部装置における処理を実現できる。
【0034】
一方、S203においては、ネットワーク機器DEV1からの通常電力状態への復帰通知を受信したかどうかを判別する。ここで受信する通知は図3のS108の通知に対応する。この判別の結果、通常電力状態への復帰通知を受信した場合にはS204に進み、受信していない場合にはS201へ戻る。
【0035】
S204においては、電力状態管理メモリに、通常電力状態であることを記録する。
【0036】
次に、第1のユーザ機器PC1及び第2のユーザ機器PC2において、ユーザや上位アプリケーションから、ネットワーク機器DEV1へ制御・操作が指示された場合の処理について、図5のフローチャートで詳細に説明する。なお、以下の説明において、前提として、ネットワーク機器DEV1への制御・操作は、先にも記述したように、一般的にはネットワーク機器DEV1へのパケット送信を伴うものとする。
【0037】
図5に示したように、先ずS301において、ネットワーク機器DEV1への制御・操作要求を受信する。ユーザ機器PC1、PC2の内部的に制御・操作要求が発生し、その発生した要求を識別することを、ここでは、制御・操作要求を受信すると記載している。
次に、S302において、電力状態管理メモリを参照手段により参照し、ネットワーク機器DEV1が省電力状態であるかどうかを判別する。この判別の結果、ネットワーク機器DEV1が省電力状態である場合にはS303に進み、通常電力状態である場合にはS307に進む。このS307の処理により、例えば、画像形成装置が省電力状態から通常電力状態に移行した場合には、これに対応して、ARPパケットなどの画像形成装置の識別子を伴うアクセスを再開することができる。これにより、画像形成装置の識別子を伴うアクセスを必要とする各種問合せ(例えば画像形成装置のステータス問合せ)を行うことができるようになる。
【0038】
S303においては、ネットワーク機器DEV1への制御・操作要求が、ネットワーク機器DEV1の状態問い合わせであるかどうかを判別する。例えば、ネットワークDEV1が、トナー無しや用紙なしを発生していないかや、紙ジャムでエラー停止していないかや、又は、正常待機状態かなどのネットワーク機器DEVの状態を定期的に調べる場合に、状態問合せ要求が発生する。尚、図5においては、例として、状態問合せ要求か否かを判別するよう説明しているが、これには限定されない。例えば、ARPパケットを伴う、デバイスの設定指示などにも適用できる。
【0039】
S303の判別の結果、状態問い合わせであった場合には、S304に進み、そうでない場合はS305に進む。S303でNoと判断する場合としては、例えば、ユーザ機器PC1、PC2が印刷ジョブを生成し出力する場合がある。
【0040】
S304においては、ネットワーク機器DEV1が省電力状態であることを要求元へ通知する処理により、画像形成装置の識別子を含むアクセスの抑制を行う。ユーザ機器PC1、PC2から、ある特定の単数又は複数の画像形成装置を指定し、状態の問合せを行おうとすると、例えばMACアドレスを取得する為にARPパケットが出力されることがある。S303でYesと判断することにより、この状態問合せに伴うARPパケットの出力を防止できる。特に、状態問合せがユーザ機器PC1、PC2のアプリケーションにより定期的(例えば10分間隔)に行われるよう構成される場合には、この問合せをその都度行ったのではネットワーク機器DEVが省電力状態に移行することができない。しかし、図5のフローチャートの処理により、この問題を防止することができる。
【0041】
S305においては、ネットワーク機器DEV1は省電力状態であるが、パケットを送信してもいいかどうかを要求元に問い合わせる処理を行う。これは、パケットを送信した場合は、ネットワーク機器DEV1が通常電力状態へ復帰してしまうことになるためである。例えば、パケットを送信して良いかに対して"YES"又は"NO"を選択できるダイアログメッセージを、ユーザ機器PC1、PC2の表示部に表示し、ダイアログメッセージに対する入力指示をユーザに行わせるようにすれば良い。ここでダイアログメッセージを介して"YES"を示す入力が行われると後述のS306でYesと判断し、他方、ダイアログメッセージを介して"NO"を示す入力が行われると後述のS306でNoと判断する。
【0042】
次に、S306に進み、上記問い合わせの結果、ダイアログメッセージを介しての入力に従い、実際にパケット送信してもいいかどうかを判別する。この判別の結果、送信可の場合はS307に進み、前記制御・操作の要求を処理するためのパケットを送信する処理を行う。例えばS301で受信した要求が印刷要求であれば、S307で印刷ジョブデータをTCP/IPプロトコルに準拠するパケットでネットワーク上に出力させる処理を実行する。一方、S306の判別の結果、送信不可の場合は本処理を終了する。また、S306の処理を省略しS305からS307の処理を行わせるようにしても良い。
【0043】
図6は、前述した第1のユーザ機器PC1及び第2のユーザ機器PC2、或いはネットワーク機器DEV1を構成可能なコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
図6において、600はコンピュータPCである。PC600は、CPU601を備え、ROM602またはハードディスク(HD)611に記憶された、あるいはフレキシブルディスクドライブ(FD)612より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行し、システムバス604に接続される各デバイスを総括的に制御する。
【0044】
前記PC600のCPU601,ROM602またはハードディスク(HD)611に記憶されたプログラムにより、本実施の形態の各機能手段が構成される。
【0045】
603はRAMで、CPU601の主メモリ、ワークエリア等として機能する。605はキーボードコントローラ(KBC)であり、キーボード(KB)609から入力される信号をシステム本体内に入力する制御を行なう。606は表示コントローラ(CRTC)であり、表示装置(CRT)610上の表示制御を行なう。607はディスクコントローラ(DKC)で、ブートプログラム(起動プログラム:パソコンのハードやソフトの実行(動作)を開始するプログラム)、複数のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイルそしてネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)611、及びフレキシブルディスク(FD)612とのアクセスを制御する。
【0046】
608はネットワークインタフェースカード(NIC)で、LAN620を介して、ネットワークプリンタ、他のネットワーク機器、あるいは他のPCと双方向のデータのやり取りを行う。
特に図6と図2との対応関係を説明すると、601乃至607、601乃至612が、図2における機器制御装置CNTL1に相当し、NIC608がネットワーク制御装置LANC1に相当する。よって、上述の実施形態によれば、少なくとも、機器制御装置CNTL1のCPUを含む主要部分の電力供給を抑制した省電力状態を、効率よく維持し、無断に通常電力状態に復帰させないようにすることが出来る。
【0047】
(第2の実施の形態)
上述した本発明の実施の形態においては、省電力状態から通常電力状態への外部への復帰通知出力をS101で一度実行するよう説明した。このS101を例えば5分間隔など定期的に複数回実行するようにすれば、より省電力効果を高めることが出来る。例えば、1度目のS101の省電力移行通知を外部装置が受信ミス(取りこぼし)した場合でも、2度目のS101の省電力移行通知により外部装置に省電力移行を識別させ、画像形成装置の電力状態を正確に反映した図5に示したフローチャートを実行させることができる。
【0048】
また、S108の省電力復帰通知(通常電力状態への復帰通知)についても、同様に定期的に複数回実行すれば、1度目の省電力復帰を識別できず、状態の問合せ要求を抑制している外部装置は、2度目の省電力復帰通知により抑制を解除できる。
【0049】
(第3の実施の形態)
上述した本発明の各実施の形態では、ネットワーク機器DEVの省電力復帰条件が、例えばARPなどの、ネットワーク機器DEV1自身を示すIPアドレス(識別子)を含むアクセスの検知であった。しかし本ネットワーク機器DEVは、操作パネルへの指示や、ファクシミリデータの着信検知などによっても、正常なデータ通信を行うべく、ネットワーク制御装置に電力を供給し稼動させる。
そして、操作パネルへの指示や、ファクシミリデータの着信検知などに応じて、省電力状態が解除され通常電力状態に移行した場合にも、図3のS108を行うことも想定される。こうすることにより、状態の問合せ要求を抑制している外部装置は抑制の解除を、より効率的に行え、ユーザの印刷システムの使い勝手を向上させることができる。
【0050】
(本発明に係る他の実施の形態)
上述した本発明の各実施の形態におけるネットワーク機器及び端末装置を構成する各手段、並びにネットワーク機器の制御方法、端末装置の制御方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0051】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施の形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0052】
なお、本発明は、前述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施の形態では図3、図4、図5に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0053】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0054】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0055】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0056】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0057】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0058】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0059】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0060】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態を示し、ネットワークシステムの構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態を示し、ネットワーク機器の要部を説明するブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態を示し、入力信号パターンの切り替え設定を行うための処理手順を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態を示し、第1のユーザ機器PC1或いは第2のユーザ機器PC2で行われる電力状態管理処理手順を説明するフローチャートである。
【図5】ネットワーク機器DEV1へ制御・操作が指示された場合の処理手順を説明するフローチャートである。
【図6】端末装置及びネットワーク機器を構成可能なコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
PC1 第1のユーザ機器
PC2 第2のユーザ機器
DEV1 ネットワーク機器
LAN ネットワーク
LANC1 ネットワーク制御装置
20 復帰条件検知部
CNTL1 機器制御装置
ENG1 本体部エンジン
POW1 電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
少なくとも1つの外部装置とデータ通信を行う通信手段と、
データ通信機能を備えず且つ外部からの特定の識別子を含むアクセスを検知する検知手段と、
前記通信手段を稼動させた第一電力状態から、前記通信手段への通電を抑制し前記検知手段への通電を行う第二電力状態への移行を示す省電力移行通知を外部に出力する第一出力手段と、
前記第二電力状態から第一電力状態への移行を示す省電力復帰通知を外部に出力する第二出力手段とを有し、
前記外部装置においては、前記省電力移行通知を識別したことに応じて前記識別子を含むアクセスを抑制し、前記省電力復帰通知を識別したことに応じて前記識別子を含むアクセスを再開することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第一出力手段は、前記省電力移行通知を複数回外部に出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第二出力手段は、前記省電力復帰通知を複数回外部に出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記外部装置においては、前記画像形成装置の状態問合せに伴う前記アクセスが抑制され、印刷ジョブ要求に伴うアクセスは抑制されないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記アクセスは、前記画像形成装置の状態を問い合わせに伴うARPパケット通信であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
電源制御方法であって、
少なくとも1つの外部装置とデータ通信を行う通信手段による通信工程と、
外部からの特定の識別子を含むアクセスを検知する検知工程と、
前記通信手段を稼動させた第一電力状態から、前記通信手段への通電を抑制し前記検知手段への通電を行う第二電力状態への移行を示す省電力移行通知を外部に出力する第一出力工程と、
前記第二電力状態から前記第一電力状態への移行を示す省電力復帰通知を外部に出力する第二出力工程とを備え、
前記外部装置においては、前記省電力移行通知を識別したことに応じて前記識別子を含むアクセスを抑制、前記省電力復帰通知を識別したことに応じて前記識別子を含むアクセスを再開することを特徴とする電力制御方法。
【請求項7】
前記第一出力工程は、複数回の前記省電力移行通知の外部への出力処理を含むことを特徴とする請求項6に記載の電力制御方法。
【請求項8】
前記第二出力工程は、複数回の前記省電力復帰通知の外部への出力処理を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の電力制御方法。
【請求項9】
前記外部装置においては、前記画像形成装置の状態問合せに伴う前記アクセスが抑制され、印刷ジョブ要求に伴うアクセスは抑制されないことを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の電力制御方法。
【請求項10】
前記アクセスは前記画像形成装置の状態を問い合わせに伴うARPパケット通信であることを特徴とする請求項6乃至9の何れか1項に記載の電力制御方法。
【請求項11】
請求項6乃至10の何れか1項に記載の電力制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項6乃至10の何れか1項に記載の電力制御方法をコンピュータに実行させる為のプログラムをコンピュータ可読の形態で記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−34843(P2007−34843A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219394(P2005−219394)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】