説明

画像形成装置およびその制御方法

【課題】画像データに含まれる孤立点画像を確実に除去することができる画像形成装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】画像処理プロセッサのロジック回路部40において、入力される画像データは、低解像度変換処理部41によって低解像度化される。エッジ検出・2値化処理部42は、低解像度化された画像データにおける文字画像領域のエッジを検出するとともに、同画像データを2値化する。そして、第1孤立点除去処理部43および第2孤立点除去処理部44を順に切換え設定して2段階の孤立点除去処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像を用紙にプリントする画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、原稿からスキャンした画像データ、あるいはネットワーク接続された外部機器(例えばパーソナルコンピュータ)から入力される画像データを、用紙にプリントしたり、小さいサイズに圧縮して保存することができる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−71832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿からスキャンした画像データあるいは外部機器から入力される画像データには、文字、写真、背景などプリントすべき画像のほかに、画像域内に散らばって存在するような不要な点画像いわゆる孤立点画像が含まれていることがある。この孤立点画像は、原稿が紙質の悪い例えば藁半紙であったり、原稿台に塵や埃が付着していることなどが原因で生じる。
【0005】
本発明の実施形態の目的は、画像データに含まれる孤立点画像を確実に除去することができる画像形成装置およびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の画像形成装置は、入力される画像データに含まれる孤立点画像を除去する第1孤立点除去処理機能、この第1孤立点除去機能の処理を経た画像データにおける文字画像領域のレイアウトを解析することにより同画像データを文字画像データと写真・背景画像データとに分離するレイアウト解析処理機能、このレイアウト解析処理機能により分離された文字画像データに含まれる孤立点画像を除去する第2孤立点除去処理機能、この第2孤立点除去処理機能の処理を経た文字画像データを圧縮する文字圧縮処理機能、前記レイアウト解析処理機能により分離された写真・背景画像データを圧縮する写真・背景圧縮処理機能、この写真・背景圧縮処理機能により圧縮された写真・背景画像データおよび前記文字圧縮処理機能により圧縮された文字画像データをファイル化するファイル化処理機能のうち、少なくとも前記第1孤立点除去処理機能および前記第2孤立点除去処理機能を選択的に設定可能に有する画像処理手段と、前記画像データの入力に際し前記第1孤立点除去処理機能の設定を前記画像処理手段に指示し、前記レイアウト解析処理機能の処理終了に合せて前記第2孤立点除去処理機能の設定を前記画像処理手段に指示する制御手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態の制御回路のブロック図。
【図2】一実施形態におけるダイナミック・リコンフィギュレーション・プロセッサの具体的な構成を示すブロック図。
【図3】一実施形態におけるダイナミック・リコンフィギュレーション・プロセッサの機能の変化を示す図。
【図4】一実施形態の第1孤立点除去処理部に入る画像データの例を示す図。
【図5】図4の画像データにおける一部の領域を拡大して示す図。
【図6】一実施形態の第1孤立点除去処理部を経た画像データにおける一部の領域を拡大して示す図。
【図7】一実施形態の第2孤立点除去処理部を経た画像データにおける一部の領域を拡大して示す図。
【符号の説明】
【0008】
1…MFP(画像形成装置)、10…CPU、11…バス、12…メインメモリ、13…外部インタフェース、14…ハードディスクドライブ、15…ローカルメモリ、16…スキャナ、17…プリンタ、30…画像処理プロセッサ(画像処理手段)、40…ロジック部、41…低解像度変換処理部、42…エッジ検出・2値化処理部、43…第1孤立点除去処理部、44…第2孤立点除去処理部、50…ソフトウェア処理部、51…レイアウト解析処理部、52…文字圧縮処理部、53…写真・背景圧縮処理部、54…ファイル化処理部
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1において、1は複合型の画像形成装置いわゆるMFPで、コピー機能、スキャン機能、プリント機能など複数の機能を併せ持つ。このMFP1は、主制御部であるCPU10にバス11を接続し、そのバス11に外部インタフェース13、ハードディスクドライブ(HDD)14、ローカルメモリ15、スキャナ16、プリンタ(プリンタエンジンともいう)17、コントロールパネル20、および画像処理プロセッサ30を接続している。
【0011】
ローカルメモリ15は、画像処理プロセッサ30で処理される画像データの一時記憶用である。スキャナ16は、MFP1にセットされる原稿の画像を光学的に読取る。プリンタ17は、画像データを用紙にプリントする。コントロールパネル20は、ユーザによる動作条件設定を行うためのもので、表示部21および操作部22を有する。
【0012】
そして、上記外部インタフェース13に、ネットワークケーブル60を介して複数のクライアント端末たとえばパーソナルコンピュータ61を接続する。これらパーソナルコンピュータ61は、内蔵の各種アプリケーションプログラム(ワープロ、表計算、プレゼンテーション、DTPソフトウェアなど)により画像データを生成し、生成した画像データをMFP1に送る。
【0013】
上記画像処理プロセッサ30は、ダイナミック・リコンフィグラブル・プロセッサ(Dynamic ReConfigurable Processor)であり、複数の機能を選択的に設定可能なロジック回路部40、および複数の機能を有するソフトウェア処理部50を備える。すなわち、図2に示すように、ロジック回路部40は、低解像度変換処理部41、エッジ検出・2値化処理部42、第1孤立点除去処理部43、第2孤立点除去処理部44を選択的に設定可能である。ソフトウェア処理部50は、レイアウト解析処理部51、文字圧縮処理部52、写真・背景圧縮処理部53、ファイル化処理部54を固定的に有する。
【0014】
上記低解像度変換処理部41は、入力される画像データを低解像度化する。エッジ検出・2値化処理部42は、低解像度変換処理部41の処理を経た画像データにおける文字画像領域のエッジを検出するとともに、同画像データを2値化する。第1孤立点除去処理部43は、エッジ検出・2値化処理部42で2値化された画像データのうち、同エッジ検出・2値化処理部42のエッジ検出に応じた文字画像領域を除く領域の孤立点画像を検出して除去する。レイアウト解析処理部51は、第1孤立点除去処理部43の処理を経た画像データにおける文字画像領域のレイアウトを解析し、第1孤立点除去処理部43の処理を経た画像データを解析結果に応じて文字画像データと写真・背景画像データとに分離する。
【0015】
上記第2孤立点除去処理部44は、レイアウト解析処理部51により分離された文字画像データに含まれる孤立点画像を検出して除去する。文字圧縮処理部52は、第2孤立点除去処理部44の処理を経た文字画像データを圧縮する。写真・背景圧縮処理部53は、レイアウト解析処理部51により分離された写真・背景画像データを圧縮する。ファイル化処理部54は、写真・背景圧縮処理部53により圧縮された写真・背景画像データおよび文字圧縮処理部52により圧縮された文字画像データをPDFファイル化する。
【0016】
CPU10は、画像データの入力に際し低解像度変換処理部41の設定を画像処理プロセッサ30に指示し、その低解像度変換処理部41の処理終了に合せてエッジ検出・2値化処理部42の設定を画像処理プロセッサ30に指示し、そのエッジ検出・2値化処理部42の処理終了に合せて第1孤立点除去処理部43の設定を画像処理プロセッサ30に指示するとともに、レイアウト解析処理部51の処理終了に合せて第2孤立点除去処理部44の設定を画像処理プロセッサ30に指示する。
【0017】
次に、動作について説明する。画像処理プロセッサ30の機能の変化を図3に示す。
【0018】
CPU10は、画像データの入力に際し、低解像度変換処理部41の設定を画像処理プロセッサ30に指示する。画像処理プロセッサ30は、その指示に従い、ロジック回路部40においてそれまで設定していた第2孤立点除去処理部44に代えて、新たに低解像度変換処理部41を設定する。設定された低解像度変換処理部41は、上記入力される画像を低解像度化する。
【0019】
CPU10は、低解像度変換処理部41の処理終了に合せてエッジ検出・2値化処理部42の設定を画像処理プロセッサ30に指示する。画像処理プロセッサ30は、その指示に従い、ロジック回路部40においてそれまで設定していた低解像度変換処理部41に代えて、新たにエッジ検出・2値化処理部42を設定する。設定されたエッジ検出・2値化処理部42は、低解像度変換処理部41の処理を経た画像データにおける文字画像領域のエッジを検出するとともに、同画像データを2値化する。
【0020】
CPU10は、エッジ検出・2値化処理部42の処理終了に合せて第1孤立点除去処理部43の設定を画像処理プロセッサ30に指示する。画像処理プロセッサ30は、その指示に従い、ロジック回路部40においてそれまで設定していたエッジ検出・2値化処理部42に代えて、新たに第1孤立点除去処理部43を設定する。設定された第1孤立点除去処理部43は、エッジ検出・2値化処理部42で2値化された画像データのうち、同エッジ検出・2値化処理部42のエッジ検出に応じた文字画像領域を除く領域の孤立点画像を検出して除去する。
【0021】
エッジ検出・2値化処理部42で2値化された画像データの一例として、複数の文字画像Wを含む画像データDを図4に示す。この画像データDにおける文字画像Wの一部を含む領域D1を拡大したのが図5である。領域D1には、文字画像Wの一部のほかに、不要な点画像いわゆる孤立点画像P1,P2,P3が含まれている。これら孤立点画像P1,P2,P3は、原稿が紙質の悪い例えば藁半紙であったり、原稿台に塵や埃が付着していることなどが原因で生じる。図6は、文字画像Wから離れたところの孤立点画像P1,P2が第1孤立点除去処理部43によって除去され、文字画像Wに近いところの孤立点画像P3は除去されずに残っている状態を示している。
【0022】
この第1孤立点除去処理部43の処理の進行に伴い、レイアウト解析処理部51の処理が逐次に実行される。いわゆるパイプライン処理である。レイアウト解析処理部51は、第1孤立点除去処理部43の処理を経た画像データにおける文字画像領域のレイアウトを解析し、第1孤立点除去処理部43の処理を経た画像データを解析結果に応じて文字画像データと写真・背景画像データとに分離する。
【0023】
CPU10は、レイアウト解析処理部51の処理終了に合せて第2孤立点除去処理部44の設定を画像処理プロセッサ30に指示する。画像処理プロセッサ30は、その指示に従い、ロジック回路部40においてそれまで設定していた第1孤立点除去処理部43に代えて、新たに第2孤立点除去処理部44を設定する。設定された第2孤立点除去処理部44は、レイアウト解析処理部51により分離された文字画像データに含まれる孤立点画像たとえば上記孤立点画像P3を検出して除去する。孤立点画像P3が除去された状態の文字画像データを図7に示す。
【0024】
第2孤立点除去処理部44の処理を経た文字画像データは、文字圧縮処理部52により圧縮される。また、レイアウト解析処理部51により分離された写真・背景画像データが写真・背景圧縮処理部53で圧縮される。そして、圧縮された文字画像データおよび圧縮された写真・背景画像データがファイル化処理部54でPDFファイル化される。このPDFファイルは、メインメモリ12に記憶された後、例えばハードディスクドライブ14に保存される。
【0025】
以上のように、画像処理プロセッサ30のロジック回路部40において第1孤立点除去処理部43および第2孤立点除去処理部44を順に切換え設定して2段階の孤立点除去処理を実行することにより、画像データに含まれる孤立点画像を確実に除去することができる。とくに、1つの画像処理プロセッサ30で第1孤立点除去処理部43の機能および第2孤立点除去処理部44の機能を実現できるので、第1孤立点除去処理部43および第2孤立点除去処理部44をそれぞれ設けるASICなどの固定的なハードウェアを使用する場合に比べ、構成の簡略化とコストの低減が図れる。
【0026】
しかも、第1孤立点除去処理部43および第2孤立点除去処理部44だけでなく、低解像度変換処理部41およびエッジ検出・2値化処理部42についても画像処理プロセッサ30のロジック回路部40において順に切換え設定する構成であるから、さらなる構成の簡略化とコストの低減が図れる。
【0027】
なお、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。この実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像データに含まれる孤立点画像を除去する第1孤立点除去処理機能、この第1孤立点除去機能の処理を経た画像データにおける文字画像領域のレイアウトを解析することにより同画像データを文字画像データと写真・背景画像データとに分離するレイアウト解析処理機能、このレイアウト解析処理機能により分離された文字画像データに含まれる孤立点画像を除去する第2孤立点除去処理機能、この第2孤立点除去処理機能の処理を経た文字画像データを圧縮する文字圧縮処理機能、前記レイアウト解析処理機能により分離された写真・背景画像データを圧縮する写真・背景圧縮処理機能、この写真・背景圧縮処理機能により圧縮された写真・背景画像データおよび前記文字圧縮処理機能により圧縮された文字画像データをファイル化するファイル化処理機能のうち、少なくとも前記第1孤立点除去処理機能および前記第2孤立点除去処理機能を選択的に設定可能に有する画像処理手段と、
前記画像データの入力に際し前記第1孤立点除去処理機能の設定を前記画像処理手段に指示し、前記レイアウト解析処理機能の処理終了に合せて前記第2孤立点除去処理機能の設定を前記画像処理手段に指示する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記レイアウト解析処理機能、前記文字圧縮処理機能、前記写真・背景圧縮処理機能、前記ファイル化処理機能を固定的に有し、前記第1孤立点除去処理機能および前記第2孤立点除去処理機能を選択的に設定可能に有する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、入力される画像を低解像度化する低解像度変換処理機能、この低解像度変換処理機能の処理を経た画像データにおける文字画像領域のエッジを検出するとともに同画像データを2値化するエッジ検出・2値化処理機能、このエッジ検出・2値化処理機能で2値化された画像データのうち同エッジ検出・2値化処理機能のエッジ検出に応じた文字画像領域を除く領域の孤立点画像を除去する第1孤立点除去処理機能、この第1孤立点除去機能の処理を経た画像データにおける文字画像領域のレイアウトを解析することにより同画像データを文字画像データと写真・背景画像データとに分離するレイアウト解析処理機能、このレイアウト解析処理機能により分離された文字画像データに含まれる孤立点画像を除去する第2孤立点除去処理機能、この第2孤立点除去処理機能の処理を経た文字画像データを圧縮する文字圧縮処理機能、前記レイアウト解析処理機能により分離された写真・背景画像データを圧縮する写真・背景圧縮処理機能、この写真・背景圧縮処理機能により圧縮された写真・背景画像データおよび前記文字圧縮処理機能により圧縮された文字画像データをファイル化するファイル化処理機能のうち、少なくとも前記第1孤立点除去処理機能および前記第2孤立点除去処理機能を選択的に設定可能に有する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記レイアウト解析処理機能、前記文字圧縮処理機能、前記写真・背景圧縮処理機能、前記ファイル化処理機能を固定的に有し、前記低解像度変換処理機能、前記エッジ検出・2値化処理機能、前記第1孤立点除去処理機能および前記第2孤立点除去処理機能を選択的に設定可能に有する、
ことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、ダイナミック・リコンフィグラブル・プロセッサである、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
入力される画像データに含まれる孤立点画像を除去する第1孤立点除去処理機能、この第1孤立点除去機能の処理を経た画像データにおける文字画像領域のレイアウトを解析することにより同画像データを文字画像データと写真・背景画像データとに分離するレイアウト解析処理機能、このレイアウト解析処理機能により分離された文字画像データに含まれる孤立点画像を除去する第2孤立点除去処理機能、この第2孤立点除去処理機能の処理を経た文字画像データを圧縮する文字圧縮処理機能、前記レイアウト解析処理機能により分離された写真・背景画像データを圧縮する写真・背景圧縮処理機能、この写真・背景圧縮処理機能により圧縮された写真・背景画像データおよび前記文字圧縮処理機能により圧縮された文字画像データをファイル化するファイル化処理機能のうち、少なくとも前記第1孤立点除去処理機能および前記第2孤立点除去処理機能を選択的に設定可能に有する画像処理手段を備えた画像形成装置において、
前記画像データの入力に際し前記第1孤立点除去処理機能の設定を前記画像処理手段に指示する手順と、
前記レイアウト解析処理機能の処理終了に合せて前記第2孤立点除去処理機能の設定を前記画像処理手段に指示する手順と、
を備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−41267(P2011−41267A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165045(P2010−165045)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】