説明

画像形成装置およびそれに用いられるプロセスカートリッジ

【課題】画像形成装置の生産性を落すことなく、画像形成に関わるユーザの要望に応じた様々な利便性のある使い方を可能にする。
【解決手段】給紙部4から給紙され、搬送されるICチップが搭載された転写紙5は、機密文書の画像データが形成される場合、感光体ユニット6Mの直前に配置された情報書込部11によってICチップに機密文書の管理に必要な情報が書き込まれる。機密文書の管理に必要な情報は、予め情報作成部10によって作成される。書込ユニット3、感光体ユニット6、転写ユニット7、および定着部9を経て画像形成された転写紙は、情報書込部12を通り排紙部2に排紙される。ICチップに書き込まれる情報が画像形成に要するコストデータの場合は、情報書込部11ではなく情報書込部12を使って情報を書き込むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップを搭載した転写紙に対して画像を形成する画像形成装置およびそれに用いられるプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、相次ぐ情報流出や漏洩事件などが盛んに報道されており、複写機などの画像形成装置においても個人情報などを含む機密文書の管理が重要になってきており、さまざまな機密文書管理機能を持つ画像形成装置が開発されつつある。
【0003】
例えば、機密情報を他のデータと区別して安全性を確保しつつ容易に管理できるようにするため、画像形成装置が印刷データを受信すると、機密情報か否かを判断する。機密情報の場合は、データ受信ユーザの暗証番号で暗号化されて外部記憶媒体に記憶される。そして、機密情報の印刷指示と暗証番号入力があった場合にのみ、機密情報を復号化して印刷を行う画像形成装置があった(特許文献1参照)。
【0004】
また、転写紙にRFIDタグを取り付け、機密文書を出力する際には、RFIDタグからの情報によって出力の許可を制御することにより、暗証番号入力がなくても機密文書のID認証が行えるので、機密性を保ちつつ操作性を向上させることができる画像形成装置があった(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−249598号公報
【特許文献2】特開2004−66692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、機密文書を出力する際に、画像形成装置の操作部等を使って暗証番号を入力しなければならず、更にセキュリティを高めるには長い暗証番号入力が必要となるため、操作性が悪くなるという課題があった。
【0007】
そこで、この課題を解決するため、上記特許文献2では、転写紙にRFIDタグを取り付け、機密文書を出力する際にRFIDタグからの情報によって出力を許可するか否かを制御することで、暗証番号を入力しなくても機密文書のID認証が行えることから、機密性を保ちつつ操作性の向上を図ることができる。
【0008】
しかしながら、この特許文献2では、転写紙に取り付けられたタグには画像形成装置本体とID認証を行う何らかの情報が書き込まれているだけであり、機密文書を出力するという動作以外には汎用性や利便性に乏しい上、機密文書を出力する前にRFIDタグの有無を確認し、その後ID認証を行って出力するので、通常のプリント動作に比べて生産性が落ちるという課題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像形成装置の生産性を落さずに機密情報の管理性を向上させると共に、画像形成に関わるユーザの要望に応じた様々な利便性のある使い方を可能とする画像形成装置およびそれに用いられるプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、ICチップを搭載した転写紙に対して画像を形成する画像形成装置であって、前記ICチップに書き込む情報を作成する情報作成手段と、前記ICチップに対して電力を供給すると共に、作成された情報を書き込む情報書込手段とを備え、前記情報書込手段は、画像形成装置における給紙から排紙に至る搬送経路の途中でICチップに対して情報を書き込むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記情報書込手段は、搬送経路が始まる給紙部の直後に配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記情報書込手段は、搬送経路の終わる排紙部の直前に配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記情報書込手段がICチップに書き込む情報は、当該ICチップが搭載された転写紙に転写された画像データが片面であるか両面であるかを示す情報であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記情報書込手段がICチップに書き込む情報は、当該ICチップが搭載された転写紙に転写された画像データがカラーであるかモノクロであるかを示す情報であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6にかかる発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記情報書込手段がICチップに書き込む情報は、当該ICチップが搭載された転写紙に転写された画像データが機密文書の場合に、当該機密文書の管理に必要な情報であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1または3に記載の画像形成装置において、前記情報書込手段がICチップに書き込む情報は、当該ICチップが搭載された転写紙に形成される画像形成に要するコストデータであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項8にかかる発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記情報書込手段によりICチップに対して画像形成に要するコストデータを書き込むと同時に、他の装置に対して当該コストデータを転送するデータ転送手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項9にかかる発明は、ICチップを搭載した転写紙に対して画像を形成する画像形成装置であって、前記ICチップに書き込む情報を作成する情報作成手段と、画像形成装置における給紙から排紙に至る搬送経路の給紙部の直後に配置され、前記ICチップに対して電力を供給すると共に、作成された情報を書き込む第1の情報書込手段と、画像形成装置における給紙から排紙に至る搬送経路の排紙部の直前に配置され、前記ICチップに対して電力を供給すると共に、作成された情報を書き込む第2の情報書込手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項10にかかる発明は、ICチップを搭載した転写紙に対して画像を形成する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、前記ICチップに対して電力を供給すると共に、画像形成装置から与えられた情報を書き込む情報書込手段を備え、該情報書込手段により画像形成装置の給紙から排紙に至る搬送経路の途中でICチップに対して情報を書き込むことを特徴とする。
【0020】
また、請求項11にかかる発明は、請求項10に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記情報書込手段は、画像形成装置からプロセスカートリッジに転写紙が搬入される搬入口近傍に配置されていることを特徴とする。
【0021】
また、請求項12にかかる発明は、請求項10に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記情報書込手段は、プロセスカートリッジに搬入された転写紙が排紙される排紙口近傍に配置されていることを特徴とする。
【0022】
また、請求項13にかかる発明は、請求項10に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記情報書込手段は、画像形成装置からプロセスカートリッジに転写紙が搬入される搬入口近傍に配置されている第3の情報書込手段と、プロセスカートリッジに搬入された転写紙が排紙される排紙口近傍に配置されている第4の情報書込手段とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1にかかる画像形成装置は、情報作成手段により転写紙に搭載したICチップに書き込む情報を作成し、画像形成装置の給紙から排紙に至る搬送経路の途中に設けられた情報書込手段によりICチップに電力を供給して、作成された情報を書き込むようにする。このため、画像形成プロセスの途中でICチップに情報を書き込むことから、通常の画像形成装置と同じ生産性が得られると共に、ICチップに対しては画像形成に際してユーザの要望に応じたさまざまな情報を書き込むことが可能となり、作成された転写紙の利便性を上げることができるという効果を奏する。
【0024】
請求項2にかかる画像形成装置は、情報書込手段を搬送経路の始まる給紙部の直後に配置したため、転写紙に転写する画像データの種類に合わせて作像前のICチップに情報を書き込むことができるという効果を奏する。
【0025】
請求項3にかかる画像形成装置は、情報書込手段を搬送経路の終わる排紙部の直前に配置したため、転写紙に転写する画像データの種類に合わせて作像後のICチップに情報を書き込むことができるという効果を奏する。
【0026】
請求項4にかかる画像形成装置は、情報書込手段によってICチップに書き込まれる情報が、当該ICチップの搭載された転写紙に転写された画像データが片面か両面かを示す情報としたため、その後、裏紙の転写紙として使用できるかどうかを容易かつ円滑に分別することができ、仕分け作業の生産性を上げることができるという効果を奏する。
【0027】
請求項5にかかる画像形成装置は、情報書込手段によってICチップに書き込まれる情報が、当該ICチップの搭載された転写紙に転写された画像データがカラーかモノクロかを示す情報としたため、その後、転写紙をリサイクルする際にカラーかモノクロかの分別を容易かつ円滑に行うことができ、仕分け作業の生産性を上げることができるという効果を奏する。
【0028】
請求項6にかかる画像形成装置は、情報書込手段によってICチップに書き込まれる情報が、当該ICチップの搭載された転写紙に転写された画像データが機密文書である場合に、当該機密文書の管理に必要な情報としたため、画像形成装置の生産性を落とすことなく機密情報の管理性を上げることができると共に、作像前に機密管理情報を書き込むことによって、画像形成プロセスの途中でエラーが生じたとしても、機密の属性付与が確保できるので、機密情報を確実に管理することができるという効果を奏する。
【0029】
請求項7にかかる画像形成装置は、情報書込手段によってICチップに書き込まれる情報が、当該ICチップが搭載された転写紙に形成される画像形成に要するコストデータとしたため、印刷金額の細分化や印刷サービスを行う際の課金処理に利用することができると共に、それらのコストデータを排紙部の直前で書き込むことによって、画像プロセスの途中で紙詰まりなどのエラーが生じて正規の出力が得られなかった場合に、その転写紙に対して課金されるのを防ぐことができるという効果を奏する。
【0030】
請求項8にかかる画像形成装置は、情報書込手段によって画像形成に要するコストデータをICチップに書き込むと同時に、データ転送手段によって他の装置にそのコストデータを転送するようにしたため、例えば、有料で印刷サービスを行う場合に、レジスタなどの他の装置に同時に印刷コストデータを転送することにより、課金処理が一層便利に行えるという効果を奏する。
【0031】
請求項9にかかる画像形成装置は、情報作成手段により転写紙に搭載したICチップに書き込む情報を作成し、画像形成装置の給紙から排紙に至る搬送経路の給紙部の直後にICチップに電力を供給して、作成された情報を書き込む第1の情報書込手段と、排紙部の直前にICチップに電力を供給して、作成された情報を書き込む第2の情報書込手段とを設けたため、ICチップに書き込む情報の種類に応じて、第1の情報書込手段と第2の情報書込手段の何れかを選択して自由に書き込みが行えるという効果を奏する。
【0032】
請求項10にかかるプロセスカートリッジは、転写紙に搭載されたICチップに対して電力を供給すると共に、画像形成装置から与えられた情報を書き込む情報書込手段を備え、その情報書込手段によって画像形成装置の搬送経路の途中でICチップに情報を書き込めるようにする。このため、通常の画像形成装置と同様の生産性が得られると共に、ICチップにユーザの要望に応じた画像形成に関するさまざまな情報を書き込んで転写紙の利便性を上げる手段をユーザの手で容易に画像形成装置に装着できるという効果を奏する。
【0033】
請求項11にかかるプロセスカートリッジは、画像形成装置からプロセスカートリッジに転写紙が搬入される搬入口近傍に情報書込手段が配置されているため、転写紙に転写する画像データの種類に応じて、プロセスカートリッジの作像前の転写紙に搭載されたICチップに情報を書き込むことができるという効果を奏する。
【0034】
請求項12にかかるプロセスカートリッジは、プロセスカートリッジに搬入された転写紙が排紙される排紙口近傍に情報書込手段が配置されているため、転写紙に転写する画像データの種類に応じて、プロセスカートリッジの作像後の転写紙に搭載されたICチップに情報を書き込むことができるという効果を奏する。
【0035】
請求項13にかかるプロセスカートリッジは、画像形成装置からプロセスカートリッジに転写紙が搬入される搬入口近傍に第3の情報書込手段を配置し、プロセスカートリッジに搬入された転写紙が排紙される排紙口近傍に第4の情報書込手段を配置したため、転写紙に搭載されたICチップに書き込む情報に応じて、第3の情報書込手段と第4の情報書込手段の何れかを選択的に使用して情報を書き込むことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に、本発明にかかる画像形成装置およびそれに用いられるプロセスカートリッジの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0037】
(第1の実施の形態)
図1は、画像形成装置の給紙から排紙に至るまでの一連の画像形成プロセスを説明する断面構成図であり、図2は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の断面構成図である。図1の画像形成装置は、入力されるカラー画像データに基づいて転写紙にカラー画像を形成するカラーレーザプリンタである。
【0038】
図1に示す画像形成装置1は、画像形成された転写紙を排紙する排紙部2、感光体に画像を書き込む書込ユニット3、サイズの異なる転写紙5を供給する給紙部4、K(黒)、Y(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)の各色の画像を感光体上に形成する感光体ユニット6(6K、6Y、6C、6M)、感光体上に形成されたトナー画像を転写紙に転写する転写ユニット7、上記各色のトナーを供給するトナーカートリッジ8、転写されたトナー画像を転写紙に定着させる定着部9などで構成されている。
【0039】
この画像形成装置1における画像形成プロセスは、画像形成時に書込ユニット3から画像データに応じて各色(以下、K,Y,C,Mという)の感光体ユニット6K、6Y、6C、6Mのそれぞれの感光体にレーザを照射し、照射された部分の感光体を帯電あるいは除電することで静電潜像を形成する。
【0040】
続いて、感光体上に形成された静電潜像部分には、トナーカートリッジ8から供給される各色トナーを乗せて現像処理することにより、感光体上にトナー像が形成される。
【0041】
給紙部4から給紙された転写紙5は、転写ユニット7まで搬送され、転写ユニット7内を搬送する間に、各感光体ユニット6K、6Y、6C、6Mのそれぞれの感光体上に形成されたトナー像が順次転写紙5上に転写され、各色トナーが重ね合わされた後、定着部9で定着処理されて、排紙部2に排紙される。
【0042】
このように、画像形成装置1では、以上のようなプロセスを経て転写紙5に対して画像形成処理が行われる。
【0043】
続いて、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の特徴的な構成を図2を用いて説明する。基本的な構成部分については、上記図1とほぼ同じであるので、同一符号を付して構成説明を省略する。
【0044】
図2の画像形成装置は、図示を省略したが、情報の書き込みや読み出しが可能なICチップの搭載された転写紙5が用いられる。このため、ICチップの搭載された転写紙5が給紙部4から給紙され、排紙部2へ排紙されるまでの画像形成プロセスの途中でICチップに対して何らかの情報が書き込めるように、搬送経路の途中の何れかの場所に第1の情報書込手段としての情報書込部11と、第2の情報書込手段としての情報書込部12が設置されている。この情報書込部11、12は、ICチップに対して電力を供給して、情報の書き込みを行うものである。情報書込部は、少なくとも1つあれば良く、その設置場所も限定されない。
【0045】
また、図2の画像形成装置は、情報書込部11、12によって転写紙5に搭載されたICチップに書き込む情報を作成する情報作成手段としての情報作成部10を備えている。
この情報作成部10は、例えばCPUなどで構成されており、ICチップに書き込む情報の種類は問わず、画像形成に際しユーザの要望に応じたさまざまな情報を作成し、ICチップに書き込むことで、画像形成された転写紙の利便性を一層向上させることができる。
【0046】
情報作成部10の画像形成装置1内における設置位置は、図2の情報書込部11、12に情報を伝達できる位置であればどこでも良く、特に限定されない。
【0047】
情報書込部11、12の画像形成装置1内における設置位置は、給紙から排紙に至るまでの画像形成プロセスの途中でICチップに情報が書き込める位置であればどこでも良い。このように、画像形成プロセスの途中でICチップに情報を書き込むため、通常の画像形成装置と変わらない生産性を得ることができる。
【0048】
図2の情報書込部11は、転写紙5の搬送経路における「始まり部分」に設置されている。この「始まり部分」とは、給紙部4から転写紙5に画像データを転写し始める直前までを指している。また、情報書込部12は、転写紙5の搬送経路における「排紙部の直前」に設置されている。この「排紙部の直前」とは、搬送経路において情報書込部12以降に何らかのエラーが生じたとしても、出力される転写紙が正常に出力された場合の転写紙と比較して遜色の無い範囲の場所を指している。
【0049】
情報書込部によってICチップに書き込まれる情報としては、例えば、転写紙5に転写する画像データが片面データである場合、「片面プリントである旨」の情報を、また、両面データである場合、「両面プリントである旨」の情報を情報書込部11または12を使って転写紙に搭載されたICチップに書き込むことができる。これらの情報は、転写紙5の画像形成時にICチップに書き込まれているため、ICチップの情報を読み出すだけで、転写紙の使用後に裏紙として再利用が可能な転写紙かどうかを容易に判別することができる。また、裏紙として再利用する際に、「片面プリントである旨」の情報が得られるため、ユーザが裏紙を使って両面プリントを実行するといったミスプリントを未然に防止することができる。なお、この片面プリントか両面プリントかの情報は、転写紙の使用後に裏紙として再利用が可能な否かを判別するものであるため、ICチップに情報を書き込むタイミング、すなわち、画像形成装置の搬送経路における情報書込部の位置は特に問わない。
【0050】
また、情報書込部によってICチップに書き込まれる情報としては、例えば、転写紙に転写する画像データがカラーデータである場合、「カラープリントである旨」の情報を、また、モノクロデータである場合、「モノクロプリントである旨」の情報を情報書込部11または12を使って転写紙に搭載されたICチップに書き込むことができる。これらの情報をICチップに書き込むタイミングについては、転写紙に画像データを転写し始めるタイミングが最も好ましいが、上述した搬送経路の「始まり部分」以外であればどこで書き込んでも構わない。このようなカラープリントかモノクロプリントかといったカラー情報は、転写紙をリサイクルする際にICチップに書き込まれた情報を読み取ることで、自動による分別を可能にするものである。
【0051】
さらに、情報書込部によってICチップに書き込まれる情報としては、例えば、転写紙5に転写する画像データが機密情報である場合に、その「機密文書管理に必要な情報」を情報書込部11または12を使って転写紙に搭載されたICチップに書き込むことができる。ここでいう、「機密文書管理に必要な情報」とは、機密文書であって、そのプリントを指示したユーザのID等を使ってユーザを特定できる情報、出力された日時、プリントを指示したユーザの指定するコピー許可者のID等を使ってコピー許可者を特定できる情報、あるいは、会社の出入り口などにICチップのライターを設置した場合に、そこを通ると機密文書に反応するようにするための社外持ち出し禁止情報など、機密文書を管理するために必要な情報全てを指している。これらの情報をICチップに書き込むタイミングは、転写紙に画像データが転写される前、例えば、図2に示した情報書込部11のように搬送経路の「始まり部分」が機密文書保護の観点からすると最も好ましい。
【0052】
また、情報書込部がICチップに書き込む情報としては、転写紙5に転写される画像データのカラー比率、紙質、紙サイズ等の情報から情報作成部10がプリントコストを算出し、そのコストを情報書込部11または12を使って転写紙に搭載されたICチップに書き込むことができる。このため、印刷金額を細分化することができ、印刷サービスを行なう場合の課金処理に用いることができる。ICチップに情報を書き込むタイミングについては、画像形成に関する課金情報であるので、出力紙の品質が保証される位置として、例えば、図2の情報書込部12のように、搬送経路の「排紙部の直前」が最も好ましい。さらに、コスト情報を排紙部の直前で書き込むことによって、画像形成プロセスの途中で紙詰まりなどのエラーが発生し、正規の出力が得られなかった場合に、その転写紙に対して課金されるのを防止することができる。
【0053】
また、上述したように、情報作成部10で算出したプリントに関するコストデータを情報書込部12を使って転写紙5に搭載されたICチップに書き込むのと同時に、そのコストデータを外部の課金システムであるレジスタなどに転送するようにしても良い。その際の構成としては、コストデータをレジスタなどに転送するデータ転送手段をさらに具備している。図2では、このデータ転送手段を情報作成部10が兼用しているため、構成部が独立して図示されていないが、情報作成部10で算出されたコストデータを情報書込部12と不図示のデータ転送部とに送り、そこからICチップに情報を書き込むと共に、レジスタなどの外部の課金システムに転送するように構成しても勿論良い。
【0054】
さらに、図2で示す画像形成装置の情報書込部11および12のように、搬送経路の「始まり部分」と「排紙部の直前」の両方に設置しておき、ICチップに書き込む情報の種類に応じて,転写紙に画像データが転写される前か転写された後が望ましいかを選択しながら情報を書き込むように構成してもよい。こうすることで、情報の種類に応じて画像形成プロセス上の好ましい場所で情報をICチップに書き込むことが可能となる。
【0055】
以上述べたように、第1の実施の形態によれば、通常の画像形成装置と同じ生産性が得られると共に、転写紙に搭載されたICチップにユーザのニーズに応じたさまざまな情報を書き込むことかできるので、画像形成された転写紙の利便性を上げることができる。
【0056】
また、第1の実施の形態によれば、転写紙に搭載されたICチップに情報を書き込む情報書込部を画像形成ユニット(書込ユニット、感光体ユニット、転写ユニットなど)の前後何れかの位置に配置することで、書き込む情報の種類に合ったタイミングでICチップに情報を書き込むことができる。さらに、情報書込部を画像形成ユニットの前後に配置することにより、書き込む情報の種類に応じて、作像前あるいは作像後のICチップに対して選択的に情報を書き込むことができる。
【0057】
また、第1の実施の形態によれば、ICチップに対して画像形成に関するコストデータを書き込むと共に、レジスタなどの他の装置にもコストデータを転送することによって、課金処理をスムーズに行うことができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置の断面構成図である。この第2の実施の形態にかかる画像形成装置は、基本的な構成部分において、上記第1の実施の形態(図2参照)と同じであって、同一または相当部には同一符号を付して構成説明を省略する。
【0059】
第2の実施の形態にかかる画像形成装置の特徴的な構成は、図2で示した画像形成を行う感光体ユニット6K、6Y、6C、6Mの部分を一体化して、容易に取り外し可能としたプロセスカートリッジ13とし、このプロセスカートリッジ13内にICチップに情報を書き込む第3の情報書込手段としての情報書込部14と、第4の情報書込手段としての情報書込部15が設けられている点にある。
【0060】
この情報書込部14、15は、第1の実施の形態で用いた図2の情報書込部11、12に相当する構成部であり、転写紙に搭載されたICチップに対して電力を供給すると共に、画像形成装置1本体の情報作成部10によって作成された情報を書き込むものである。ここでは、図3に示すように、プロセスカートリッジ13に転写紙5が搬入される搬入口近傍に情報書込部14を配置し、プロセスカートリッジ13に搬入された転写紙5が排紙される排紙口近傍に情報書込部15を配置したが、その設置場所はプロセスカートリッジ13内で転写紙を搬送する間にICチップに情報を書き込める場所であって、且つプロセスカートリッジ13内であれば限定されない。
【0061】
このように、プロセスカートリッジ13内に設置された情報書込部により、転写紙に搭載されたICチップに書き込まれる情報の種類は、上記第1の実施の形態の場合と同じであるため、重複説明を省略するが、画像形成に際してユーザの要望に応じたさまざまな情報を書き込むことが可能であり、画像形成された転写紙の利便性を上げるものであれば何でもよく、その種類は限定されない。
【0062】
次に、動作について説明する。図3に示すように、ICチップの搭載された転写紙5が給紙部4から給紙され、プロセスカートリッジ13内での画像形成プロセスにより転写紙5上にカラー画像が形成される。ここで、情報書込部14または15を使って、転写される画像データが片面か両面かを示す情報、あるいは、カラーかモノクロかを示す情報は、転写紙5に搭載されたICチップ(図示省略)に書き込まれる。その後、定着部9を経て、排紙部2へ排紙される。
【0063】
使用済みの転写紙の裏紙部分を再利用する場合は、転写紙に搭載されたICチップから画像データが片面印刷か両面印刷かの情報を読み取ることにより、容易に仕分けすることができる。また、使用済みの転写紙をリサイクルする場合は、転写紙のICチップから画像データがカラーかモノクロかの情報を読み取ることにより、容易に仕分けすることができる。
【0064】
また、転写紙に転写される画像データが機密文書の場合は、情報書込部14を使って転写紙のICチップに機密文書の管理に必要な情報を作像前に書き込むようにする。ここで、機密文書の管理に必要な情報とは、画像を出力したユーザ情報(ユーザID)やユーザが指定するコピー許可者情報などを一例としてあげることができる。これにより、画像形成プロセスの途中でエラーが発生したとしても機密の属性付与が確保されるので、機密情報の管理性を向上させることができる。
【0065】
さらに、転写紙に画像を形成する際に、画像形成に関するコストデータを情報作成部10で算出する場合は、情報書込部15を使って転写紙のICチップにコストデータを作像後に書き込むようにする。コストデータの算出にあたっては、転写紙に転写する画像データのカラー比率、紙質、紙サイズ等の情報に基づいて情報作成部10が算出するようにする。これにより、印刷金額を細分化することが可能となり、印刷サービスを行う際の課金処理に用いることができる。
【0066】
また、情報書込部15を使って作像後の転写紙にICチップのコストデータを書き込むようにしたため、画像プロセス途中で紙詰まりなどのエラーが発生し、正規の出力が得られなかった場合でも、その転写紙について課金されるのを防ぐことができる。
【0067】
また、第1の実施の形態と同様に、図3の情報作成部10が算出したコストデータをレジスタなどの他の装置に転送するデータ転送部を兼用している場合は、コストデータをICチップに書き込むと同時に、印刷サービスを行うレジスタなどに転送されるため、課金処理を容易に行うことができる。
【0068】
以上述べたように、第2の実施の形態によれば、画像形成装置内における感光体ユニットなどを交換可能とするプロセスカートリッジが設けられ、そのプロセスカートリッジ内にICチップに対して電力を供給すると共に、情報の書き込みを行う情報書込部を設けたため、ユーザが画像形成装置の購入後にユーザ自身の手で容易にICチップへの書き込み機能を追加することができる。
【0069】
また、第2の実施の形態によれば、プロセスカートリッジに紙が搬入される搬入口近傍に情報書込部14を設けたため、作像前に書き込む方が好ましい情報に関しては作像前にICチップに情報を書き込むことができ、仮に画像形成プロセスの途中でエラーが生じたとしても転写紙に与えられた属性付与を確保することができる。
【0070】
さらに、第2の実施の形態によれば、プロセスカートリッジから紙が排紙される排紙口近傍に情報書込部15を設けたため、作像後に書き込む方が好ましい情報に関しては作像後にICチップに情報を書き込むことができ、仮に画像形成プロセスの途中で紙詰まりなどのエラーが発生し、正規の出力が得られなかった場合に転写紙への属性付与を防ぐことができる。
【0071】
また、第2の実施の形態によれば、プロセスカートリッジ内の紙の搬入口近傍の情報書込部14と排紙口近傍の情報書込部15の両方を配置することにより、書き込む情報の種類に応じて情報書込部14か情報書込部15のどちらかを選択して書き込むことができるため、情報の種類に応じて画像形成プロセス上の好ましい場所で情報をICチップに書き込むことができる。
【0072】
なお、上記した第1および第2の実施の形態では、カラーレーザプリンタを使って実施したが、必ずしもカラー画像形成装置である必要はなく、モノクロ画像を形成する画像形成装置であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置およびそれに用いられるプロセスカートリッジは、ICチップを搭載した転写紙に画像を形成すると共に、その画像形成に関する種々の情報をICチップに書き込んで利便性を高めるものであって、カラーやモノクロの複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいは、それらの複合機といった画像形成装置およびそれに用いられるプロセスカートリッジに適している。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】画像形成装置の給紙から排紙に至るまでの一連の画像形成プロセスを説明する断面構成図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる画像形成装置の断面構成図である。
【図3】第2の実施の形態にかかる画像形成装置の断面構成図である。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
2 排紙部
3 書込ユニット
4 給紙部
5 転写紙
6K 感光体ユニット(黒)
6Y 感光体ユニット(イエロー)
6C 感光体ユニット(シアン)
6M 感光体ユニット(マゼンタ)
7 転写ユニット
8 トナーカートリッジ
9 定着部
10 情報作成部(情報作成手段、データ転送手段)
11 情報書込部(第1情報書込手段)
12 情報書込部(第2情報書込手段)
13 プロセスカートリッジ
14 情報書込部(第3情報書込手段)
15 情報書込部(第4情報書込手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップを搭載した転写紙に対して画像を形成する画像形成装置であって、
前記ICチップに書き込む情報を作成する情報作成手段と、
前記ICチップに対して電力を供給すると共に、作成された情報を書き込む情報書込手段と
を備え、前記情報書込手段は、画像形成装置における給紙から排紙に至る搬送経路の途中でICチップに対して情報を書き込むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記情報書込手段は、搬送経路が始まる給紙部の直後に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記情報書込手段は、搬送経路の終わる排紙部の直前に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記情報書込手段がICチップに書き込む情報は、当該ICチップが搭載された転写紙に転写された画像データが片面であるか両面であるかを示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記情報書込手段がICチップに書き込む情報は、当該ICチップが搭載された転写紙に転写された画像データがカラーであるかモノクロであるかを示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記情報書込手段がICチップに書き込む情報は、当該ICチップが搭載された転写紙に転写された画像データが機密文書の場合に、当該機密文書の管理に必要な情報であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記情報書込手段がICチップに書き込む情報は、当該ICチップが搭載された転写紙に形成される画像形成に要するコストデータであることを特徴とする請求項1または3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記情報書込手段によりICチップに対して画像形成に要するコストデータを書き込むと同時に、他の装置に対して当該コストデータを転送するデータ転送手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
ICチップを搭載した転写紙に対して画像を形成する画像形成装置であって、
前記ICチップに書き込む情報を作成する情報作成手段と、
画像形成装置における給紙から排紙に至る搬送経路の給紙部の直後に配置され、前記ICチップに対して電力を供給すると共に、作成された情報を書き込む第1の情報書込手段と、
画像形成装置における給紙から排紙に至る搬送経路の排紙部の直前に配置され、前記ICチップに対して電力を供給すると共に、作成された情報を書き込む第2の情報書込手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
ICチップを搭載した転写紙に対して画像を形成する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、
前記ICチップに対して電力を供給すると共に、画像形成装置から与えられた情報を書き込む情報書込手段を備え、
該情報書込手段により画像形成装置の給紙から排紙に至る搬送経路の途中でICチップに対して情報を書き込むことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項11】
前記情報書込手段は、画像形成装置からプロセスカートリッジに転写紙が搬入される搬入口近傍に配置されていることを特徴とする請求項10に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項12】
前記情報書込手段は、プロセスカートリッジに搬入された転写紙が排紙される排紙口近傍に配置されていることを特徴とする請求項10に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項13】
前記情報書込手段は、
画像形成装置からプロセスカートリッジに転写紙が搬入される搬入口近傍に配置されている第3の情報書込手段と、
プロセスカートリッジに搬入された転写紙が排紙される排紙口近傍に配置されている第4の情報書込手段と
を備えていることを特徴とする請求項10に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−38461(P2007−38461A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223415(P2005−223415)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】