説明

画像形成装置およびコンピュータプログラム

【課題】連続して受け取った複数のジョブ中に、両面印刷を行うべき旨のジョブと片面印刷を行うべき旨のジョブとが混在している場合であっても、印刷を高速に行うことができるようにする。
【解決手段】連続して受け取られた複数のジョブ中に片面印刷を行うべき旨のジョブと両面印刷を行うべき旨のジョブとが混在している場合には、一の用紙の一側面に対する印刷と当該一の用紙の他側面に対する印刷との間に他の用紙の一側面または他側面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行い、当該両面印刷実行中において、片面印刷を行うべき旨のジョブに対応する印刷を行うときには用紙の一側面および他側面のいずれか一方に対し空白ページの印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速両面印刷機能を備えた複写機、プリンタ、複合機などの画像形成装置、およびコンピュータに印刷制御方法を実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、両面印刷機能を備えた複写機、プリンタ、複合機などの画像形成装置が広く普及している。両面印刷機能を実現するための両面印刷の方法には、通常両面印刷と高速両面印刷がある。
【0003】
通常両面印刷は、一の用紙の一側面に対する印刷と当該一の用紙の他側面に対する印刷とを連続して行うことにより、用紙1枚ごとに両面印刷を完遂させる方法である。例えば、通常両面印刷では、まず1枚目の用紙の裏面(先印刷面)に第2ページの画像を印刷し、次に1枚目の用紙の表面(後印刷面)に第1ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙の裏面に第4ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙の表面に第3ページの画像を印刷するといった手順で両面印刷を行う。
【0004】
一方、高速両面印刷は、一の用紙の一側面に対する印刷と当該一の用紙の他側面に対する印刷との間に他の用紙の一側面または他側面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行う方法である。例えば、高速両面印刷では、まず1枚目の用紙の裏面に第2ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙の裏面に第4ページの画像を印刷し、次に1枚目の用紙の表面に第1ページの画像を印刷し、次に3枚目の用紙の裏面に第6ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙の表面に第3ページの画像を印刷し、次に4枚目の用紙の裏面に第8ページの画像を印刷し、次に3枚目の用紙の表面に第5ページの画像を印刷するといった手順で両面印刷を行う。
【0005】
上記高速両面印刷の例は、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷との間に、当該一の用紙の1枚前の用紙の表面に対する印刷と、当該一の用紙の1枚後の用紙の裏面に対する印刷とを順次行う方法である。高速印刷には、この他にも、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷との間に、当該一の用紙の2枚前の用紙の表面に対する印刷と、当該一の用紙の1枚後の用紙の裏面に対する印刷と、当該一の用紙の1枚前の用紙の表面に対する印刷と、当該一の用紙の2枚後の用紙の裏面に対する印刷とを順次行う方法など、用紙搬送経路構造の相違などに応じて様々ある。
【0006】
高速両面印刷によれば、用紙をその裏面と表面とを反転させて印刷エンジンへ搬送する動作期間と用紙の裏面または表面に対する印刷を行う動作期間とをオーバーラップさせることにより、通常両面印刷よりも高速に両面印刷を行うことができる。
【0007】
なお、両面印刷機能を有する画像形成装置は、一の用紙の表面(一側面または他画面)に対する印刷のみを行う片面印刷機能も、通常、具備している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、高速両面印刷機能を有する画像形成装置が、両面印刷を行うべき旨の一のジョブと、片面印刷を行うべき旨のジョブと、両面印刷を行うべき旨の他のジョブとをこの順序で連続して受け取り、両面印刷を行うべき旨の一のジョブに従って第1の高速両面印刷を行い、次に片面印刷を行うべき旨のジョブに従って片面印刷を行い、次に両面印刷を行うべき旨の他のジョブに従って第2の高速両面印刷を行う場合には、第1の高速両面印刷と第2の高速両面印刷とを連続して行う場合と比較して、印刷速度が大幅に低下してしまうという問題がある。
【0009】
すなわち、高速両面印刷が高速である所以は、用紙をその裏面と表面とを反転させて印刷エンジンへ搬送する動作期間(用紙反転搬送動作期間)と用紙の裏面または表面に対する印刷を行う動作期間(印刷動作期間)とをオーバーラップさせることにある。これを実現するために、高速両面印刷を行うときには、裏面に対する印刷を完了した用紙を、用紙搬送経路上に蓄積しておく。この点について、上述した高速両面印刷の例をあげて説明する。上述した高速両面印刷では、(1)1枚目の用紙の裏面に対する印刷、(2)2枚目の用紙の裏面に対する印刷、(3)1枚目の用紙の表面に対する印刷、(4)3枚目の用紙の裏面に対する印刷、(5)2枚目の用紙の表面に対する印刷、(6)4枚目の用紙の裏面に対する印刷、(7)3枚目の用紙の表面に対する印刷をこの順序で行う。この高速両面印刷において、2枚目の用紙の裏面に対する印刷が行われている間、裏面に対する印刷が完了した1枚目の用紙が用紙搬送経路上に蓄積される。また、1枚目の用紙の表面に対する印刷と3枚目の用紙の裏面に対する印刷が行われている間、裏面に対する印刷が完了した2枚目の用紙が用紙搬送経路上に蓄積される。また、2枚目の用紙の表面に対する印刷と4枚目の用紙の裏面に対する印刷が行われている間、裏面に対する印刷が完了した3枚目の用紙が用紙搬送経路上に蓄積される。
【0010】
そして、高速両面印刷が終了する直前には、用紙搬送経路上に蓄積された用紙をすべて搬出し、用紙搬送経路上から搬出された用紙の表面に対して印刷を行い、これにより高速両面印刷は終了する。
【0011】
画像形成装置が両面印刷を行うべき旨の一のジョブと両面印刷を行うべき旨の他のジョブとを連続して受け取った場合には、画像形成装置は、両面印刷を行うべき旨の一のジョブに従った第1の高速両面印刷と、両面印刷を行うべき旨の他のジョブに従った第2の高速両面印刷とを連続して行う。この場合、画像形成装置は、第1の高速両面印刷と第2の高速両面印刷とを、1つの高速両面印刷を行う場合と同じように連続して行う。すなわち、画像形成装置は、第1の高速両面印刷から第2の高速両面印刷に移行する時点において、第1の高速両面印刷に係る用紙を用紙搬送機構の用紙搬送経路上に蓄積した状態で、第2の高速両面印刷に係る用紙に対する印刷に取りかかる。このため、第1の高速両面印刷から第2の高速両面印刷に移行する間、上述した用紙反転搬送動作期間と印刷動作期間とのオーバーラップが維持される。この結果、印刷速度は高速になる。
【0012】
ところが、上述したように、両面印刷を行うべき旨の一のジョブに従って第1の高速両面印刷を行い、次に片面印刷を行うべき旨のジョブに従って片面印刷を行い、次に両面印刷を行うべき旨の他のジョブに従って第2の高速両面印刷を行う場合、画像形成装置は、第1の高速両面印刷を一旦終了させてから、片面印刷を行い、片面印刷終了後、第2の高速両面印刷を行う。このため、画像形成装置は、第1の高速両面印刷から片面印刷に移行するときに、用紙搬送経路上に蓄積された第1の高速両面印刷に係る用紙をすべて搬出し、第1の高速両面印刷を一旦完遂させる。この結果、第1の高速両面印刷から片面印刷を経て第2の高速両面印刷へ移行していく間において、用紙反転搬送動作期間と印刷動作期間とのオーバーラップが失われる。このため、第1の高速両面印刷と第2の高速両面印刷を連続して(片面印刷を介在させないで)行う場合と比較して、印刷速度が大幅に低下してしまうのである。
【0013】
さらに、連続して受け取った複数のジョブ中に、両面印刷を行うべき旨のジョブと片面印刷を行うべき旨のジョブがより複雑に混在している場合には、高速両面印刷による印刷の高速化効果が十分に発揮されない場合が生じやすくなる。
【0014】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、連続して受け取った複数のジョブ中に、両面印刷を行うべき旨のジョブと片面印刷を行うべき旨のジョブとが混在している場合であっても、印刷を高速に行うことができる画像形成装置およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、用紙の一側面および他側面のいずれか一方または双方に対して印刷を行うための印刷機構と、片面印刷を行うべき旨のジョブまたは両面印刷を行うべき旨のジョブを受け取るジョブ受取手段と、前記ジョブ受取手段により受け取られたジョブに従って前記印刷機構を制御する印刷制御手段とを備え、前記印刷制御手段は、前記ジョブ受取手段により連続して受け取られた複数のジョブが片面印刷を行うべき旨のジョブのみである場合には、用紙の一側面および他画面のいずれか一方に対して片面印刷を行う片面印刷制御を実行し、前記ジョブ受取手段により連続して受け取られた複数のジョブが両面印刷を行うべき旨のジョブのみである場合には、一の用紙の一側面に対する印刷と当該一の用紙の他側面に対する印刷との間に他の用紙の一側面または他側面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷制御を実行し、前記ジョブ受取手段により連続して受け取られた複数のジョブ中に片面印刷を行うべき旨のジョブと両面印刷を行うべき旨のジョブとが混在している場合には、一の用紙の一側面に対する印刷と当該一の用紙の他側面に対する印刷との間に他の用紙の一側面または他側面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行い、当該両面印刷実行中において、片面印刷を行うべき旨のジョブに対応する印刷を行うときには用紙の一側面および他側面のいずれか一方に対し空白ページの印刷を行う混在印刷制御を実行する。
【0016】
上記本発明の画像形成装置において、前記印刷制御手段は、前記ジョブ受取手段により連続して受け取られた複数のジョブ中に片面印刷を行うべき旨のジョブと両面印刷を行うべき旨のジョブとが混在し、かつ、これらのジョブの実行順序が、両面印刷を行うべき旨の連続した1以上のジョブ、片面印刷を行うべき旨の連続した1以上のジョブ、両面印刷を行うべき旨の連続した1以上のジョブである場合に限り、前記混在印刷制御を実行することが望ましい。
【0017】
また、上記本発明の画像形成装置において、前記印刷制御手段は、前記片面印刷を行うべき旨の連続した1以上のジョブにより印刷が行われるページ数の合計が所定のページ数未満である場合に限り、前記混在印刷制御を実行することが望ましい。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明のコンピュータプログラムは、片面印刷を行うべき旨のジョブまたは両面印刷を行うべき旨のジョブを受け取るジョブ受取工程と、用紙の一側面および他側面のいずれか一方または双方に対して印刷を行うための印刷機構を、前記ジョブ受取工程において受け取られたジョブに従って制御する印刷制御工程とを備えた印刷制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記印刷制御工程において、前記ジョブ受取工程において連続して受け取られた複数のジョブが片面印刷を行うべき旨のジョブのみである場合には、用紙の一側面および他画面のいずれか一方に対して片面印刷を行う片面印刷制御を実行し、前記ジョブ受取工程において連続して受け取られた複数のジョブが両面印刷を行うべき旨のジョブのみである場合には、一の用紙の一側面に対する印刷と当該一の用紙の他側面に対する印刷との間に他の用紙の一側面または他側面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷制御を実行し、前記ジョブ受取工程において連続して受け取られた複数のジョブ中に片面印刷を行うべき旨のジョブと両面印刷を行うべき旨のジョブとが混在している場合には、一の用紙の一側面に対する印刷と当該一の用紙の他側面に対する印刷との間に他の用紙の一側面または他側面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行い、当該両面印刷実行中において、片面印刷を行うべき旨のジョブに対応する印刷を行うときには用紙の一側面および他側面のいずれか一方に対し空白ページの印刷を行う混在印刷制御を実行する。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明によれば、混在印刷制御を実行することにより、連続して受け取った複数のジョブ中に、両面印刷を行うべき旨のジョブと片面印刷を行うべき旨のジョブとが混在している場合であっても、印刷を高速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の画像形成装置の実施形態を示している。図1に示すように、画像形成装置1は、例えば複写機能およびプリンタ機能を備えた複合機であり、原稿読取機構11、印刷機構12、制御ユニット13、操作部14および通信インタフェース15を備えている。
【0021】
原稿読取機構11は、原稿を読み取るための機構であり、画像形成装置1の上部に設けられている。印刷機構12は、用紙Pの表面および裏面のいずれか一方または双方に対して印刷を行うための機構であり、画像形成装置1の内部に設けられている。印刷機構12は、原稿読取機構11により読み取られた原稿の画像または画像形成装置1に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどの端末装置(図示せず)から送信された印刷データに係る画像を用紙Pに印刷する。制御ユニット13は、原稿読取機構11および印刷機構12などを制御するユニットであり、画像形成装置1の内部に設けられている。操作部14は画像形成装置1のフロントパネル部に設けられ、ユーザが画像形成装置1を操作するためのボタンおよび小型ディスプレイなどを備えている。通信インタフェース15は、画像形成装置1の内部に設けられ、画像形成装置1と端末装置とを通信可能に接続するための通信回路を備えている。
【0022】
印刷機構12は、搬送ローラ21を回転させることにより、給紙カセット22に収納された用紙Pを、画像形成装置1の内部に形成された用紙搬送経路23に沿って搬送し、用紙Pを印刷エンジン24、転写部25および定着部26に順次供給し、これら印刷エンジン24、転写部25および定着部26による印刷処理が完了した用紙Pを排出部27から排出する用紙搬送機構28を備えている。
【0023】
また、用紙搬送機構28は、両面印刷を行うための両面印刷ユニット31を備えている。両面印刷ユニット31は、3枚の用紙Pに対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷(図5参照)を実現するのに相応しい構造を有している。すなわち、両面印刷ユニット31は、分岐部32、両面印刷用の用紙搬送経路33、中間トレイ34、スイッチバック機構35、用紙反転装置36などを備えている。分岐部32は、定着部26の用紙排出側と排出部27との間に配置され、用紙Pを両面印刷ユニット31の用紙搬送経路33に導く。中間トレイ34は、用紙搬送経路33の途中に配置され、分岐部32により導かれた1枚の用紙Pを一時的に蓄積する。スイッチバック機構35は、中間トレイ34に蓄積された用紙Pの搬送方向を反転させ、用紙Pを用紙搬送経路33に再び導く。用紙反転装置36は、スイッチバック機構35により用紙搬送経路33に再び導かれた用紙Pの面を反転させ、この用紙Pを印刷エンジン24に供給する。なお、両面印刷ユニット31には、両面印刷に係る周知の構成を用いることができる。
【0024】
図2は制御ユニット13の内部構造などを示している。図2に示すように、制御ユニット13は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42およびRAM(Random Access Memory)43を備えている。ROM42には、制御ユニット13を後述のジョブ受取部45および印刷制御部46として機能させるためのコンピュータプログラムが記憶されている。CPU41は、このコンピュータプログラムをROM42から読み出し、これを実行することにより、制御ユニット13をジョブ受取部45および印刷制御部46として機能させる。RAM43は、CPU41がこのコンピュータプログラムを実行する際の作業メモリなどとして用いられる。
【0025】
ジョブ受取部45は、ユーザが操作部14を操作して入力し、または端末装置から送信された片面印刷ジョブまたは両面印刷ジョブを受け取り、受け取ったジョブをRAM43に記憶する。片面印刷ジョブは、片面印刷を行うべき旨のジョブであり、すなわち、用紙Pの表面のみに対して印刷を行うべき旨のジョブである。一方、両面印刷ジョブは、両面印刷を行うべき旨のジョブであり、すなわち、用紙Pの表面および裏面に対して印刷を行う旨のジョブである。なお、ジョブ受取部45はジョブ受取手段の具体例である。
【0026】
印刷制御部46は、ジョブ受取部45により受け取られたジョブに従って印刷機構12などを制御する。印刷制御部46は、ジョブ受取部45により連続して受け取られた複数のジョブの態様に応じて、片面印刷制御、通常両面印刷制御、高速両面印刷制御および混在印刷制御のいずれかを選択し、選択した印刷制御を実行する。なお、印刷制御部46は印刷制御手段の具体例である。ジョブ受取部45および印刷制御部46の詳細については後に図10を用いて説明する。
【0027】
図3ないし図6は両面印刷方法をそれぞれ示している。両面印刷方法は、用紙Pの表面および裏面に対して印刷を行う方法である。図3は、通常両面印刷を示している。通常両面印刷は、用紙Pの表面および裏面に対する印刷を通常の速度で行う方法である。通常両面印刷では、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷とを連続して行うことにより、用紙1枚ごとに両面印刷を完遂させる。すなわち、通常両面印刷では、図3に示すように、まず1枚目の用紙Pの裏面(先印刷面)に第2ページの画像を印刷し、次に1枚目の用紙Pの表面(後印刷面)に第1ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの裏面に第4ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの表面に第3ページの画像を印刷するといった手順で両面印刷を行う。
【0028】
図4ないし図6は高速両面印刷をそれぞれ示している。高速両面印刷は、用紙Pの表面および裏面に対する印刷を、通常両面印刷よりも高速に行う方法である。高速両面印刷では、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷との間に他の用紙の裏面または表面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行う。
【0029】
図4は、2枚の用紙Pに対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷を示している。この高速両面印刷では、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷との間に1枚前の用紙の表面または1枚後の用紙の裏面に対する印刷を行うことにより、2枚の用紙に対して並行的に両面印刷を行う。すなわち、この高速両面印刷では、図4に示すように、まず1枚目の用紙Pの裏面に第2ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの裏面に第4ページの画像を印刷し、次に1枚目の用紙Pの表面に第1ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの表面に第3ページの画像を印刷し、次に3枚目の用紙Pの裏面に第6ページの画像を印刷するといった手順で両面印刷を行う。
【0030】
図5は、3枚の用紙Pに対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷を示している。この高速両面印刷では、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷との間に1枚前の用紙の表面および1枚後の用紙の裏面に対する印刷を行うことにより、3枚の用紙に対して並行的に両面印刷を行う。すなわち、この高速両面印刷では、図5に示すように、まず1枚目の用紙Pの裏面に第2ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの裏面に第4ページの画像を印刷し、次に1枚目の用紙Pの表面に第1ページの画像を印刷し、次に3枚目の用紙Pの裏面に第6ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの表面に第3ページの画像を印刷し、次に3枚目の用紙Pの裏面に第6ページの画像を印刷するといった手順で両面印刷を行う。この高速両面印刷によれば、図4に示す高速両面印刷よりも高速に両面印刷を行うことができる。
【0031】
図6は、5枚の用紙Pに対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷を示している。この高速両面印刷では、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷との間に2枚前の用紙の表面、1枚後の用紙の裏面、1枚前の用紙の表面および2枚後の用紙の裏面に対する印刷を行うことにより、5枚の用紙に対して並行的に両面印刷を行う。すなわち、この高速両面印刷では、図6に示すように、まず1枚目の用紙Pの裏面に第2ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの裏面に第4ページの画像を印刷し、次に3枚目の用紙Pの裏面に第6ページの画像を印刷し、次に1枚目の用紙Pの表面に第1ページの画像を印刷し、次に4枚目の用紙Pの裏面に第8ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの表面に第3ページの画像を印刷し、次に5枚目の用紙Pの裏面に第10ページの画像を印刷し、次に3枚目の用紙Pの表面に第5ページの画像を印刷するといった手順で両面印刷を行う。この高速両面印刷によれば、図5に示す高速両面印刷よりも高速に両面印刷を行うことができる。
【0032】
図7ないし図9は混在印刷方法をそれぞれ示している。混在印刷は、片面印刷と両面印刷とを連続的に高速に実現する方法である。混在印刷では、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷との間に他の用紙の裏面または表面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行い、当該両面印刷実行中において、片面印刷ジョブに対応する印刷を行うときには用紙の裏面および表面のいずれか一方に対し空白ページの印刷を行う。
【0033】
図7は、2枚の用紙Pに対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷を基礎にした混在印刷を示している。この混在印刷では、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷との間に1枚前の用紙の表面または1枚後の用紙の裏面に対する印刷を行うことにより、2枚の用紙に対して並行的に両面印刷を行い、当該両面印刷実行中において、片面印刷ジョブに対応する印刷を行うときには用紙の裏面に対し空白ページの印刷を行う。例えば、ジョブ受取部45により、最初に受け取られた第1の両面印刷ジョブに対応する4ページの両面印刷、この第1の両面印刷ジョブに続いて受け取られた片面印刷ジョブに対応する1ページの片面印刷、およびこの片面印刷ジョブに続いて受け取られた第2の両面印刷ジョブに対応する4ページの両面印刷から構成される混在印刷を行う場合には、図7に示すように、まず1枚目の用紙Pの裏面に第1の両面印刷ジョブに係る第2ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの裏面に第1の両面印刷ジョブに係る第4ページの画像を印刷し、次に1枚目の用紙Pの表面に第1の両面印刷ジョブに係る第1ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの表面に第1の両面印刷ジョブに係る第3ページの画像を印刷する。次に3枚目の用紙Pの裏面に空白ページを印刷し、次に4枚目の用紙Pの裏面に第2の両面印刷ジョブに係る第2ページの画像を印刷し、次に3枚目の用紙Pの表面に片面印刷ジョブに係る第1ページの画像を印刷する。次に4枚目の用紙Pの表面に第2の両面印刷ジョブに係る第1ページの画像を印刷し、次に5枚目の用紙Pの裏面に第2の両面印刷ジョブに係る第4ページの画像を印刷し、次に5枚目の用紙Pの表面に第2の両面印刷ジョブに係る第3ページの画像を印刷する。
【0034】
図8は、3枚の用紙Pに対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷を基礎にした混在印刷を示している。この混在印刷では、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷との間に1枚前の用紙の表面および1枚後の用紙の裏面に対する印刷を行うことにより、3枚の用紙に対して並行的に両面印刷を行い、当該両面印刷実行中において、片面印刷ジョブに対応する印刷を行うときには用紙の裏面に対し空白ページの印刷を行う。例えば、ジョブ受取部45により、最初に受け取られた第1の両面印刷ジョブに対応する4ページの両面印刷、この第1の両面印刷ジョブに続いて受け取られた片面印刷ジョブに対応する1ページの片面印刷、およびこの片面印刷ジョブに続いて受け取られた第2の両面印刷ジョブに対応する4ページの両面印刷から構成される混在印刷を行う場合には、図8に示すように、まず1枚目の用紙Pの裏面に第1の両面印刷ジョブに係る第2ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの裏面に第1の両面印刷ジョブに係る第4ページの画像を印刷し、次に1枚目の用紙Pの表面に第1の両面印刷ジョブに係る第1ページの画像を印刷する。次に3枚目の用紙Pの裏面に空白ページを印刷し、次に2枚目の用紙Pの表面に第1の両面印刷ジョブに係る第3ページの画像を印刷し、次に4枚目の用紙Pの裏面に第2の両面印刷ジョブに係る第2ページの画像を印刷し、次に3枚目の用紙Pの表面に片面印刷ジョブに係る第1ページの画像を印刷する。次に5枚目の用紙Pの裏面に第2の両面印刷ジョブに係る第4ページの画像を印刷し、次に4枚目の用紙Pの表面に第2の両面印刷ジョブに係る第1ページの画像を印刷し、次に5枚目の用紙Pの表面に第2の両面印刷ジョブに係る第3ページの画像を印刷する。この混在印刷によれば、図7に示す混在印刷よりも高速に混在印刷を行うことができる。
【0035】
図9は、5枚の用紙Pに対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷を基礎にした混在印刷を示している。この混在印刷では、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷との間に2枚前の用紙の表面、1枚後の用紙の裏面、1枚前の用紙の表面および2枚後の用紙の裏面に対する印刷を行うことにより、5枚の用紙に対して並行的に両面印刷を行い、当該両面印刷実行中において、片面印刷ジョブに対応する印刷を行うときには用紙の裏面に対し空白ページの印刷を行う。例えば、ジョブ受取部45により、最初に受け取られた第1の両面印刷ジョブに対応する4ページの両面印刷、この第1の両面印刷ジョブに続いて受け取られた片面印刷ジョブに対応する1ページの片面印刷、およびこの片面印刷ジョブに続いて受け取られた第2の両面印刷ジョブに対応する4ページの両面印刷から構成される混在印刷を行う場合には、図9に示すように、まず1枚目の用紙Pの裏面に第1の両面印刷ジョブに係る第2ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの裏面に第1の両面印刷ジョブに係る第4ページの画像を印刷し、次に3枚目の用紙Pの裏面に空白ページを印刷する。次に1枚目の用紙Pの表面に第1の両面印刷ジョブに係る第1ページの画像を印刷し、次に4枚目の用紙Pの裏面に第2の両面印刷ジョブに係る第2ページの画像を印刷し、次に2枚目の用紙Pの表面に第1の両面印刷ジョブに係る第3ページの画像を印刷し、次に5枚目の用紙Pの裏面に第2の両面印刷ジョブに係る第4ページの画像を印刷し、次に3枚目の用紙Pの表面に片面印刷ジョブに係る第1ページの画像を印刷する。次に4枚目の用紙Pの表面に第2の両面印刷ジョブに係る第1ページの画像を印刷し、次に5枚目の用紙Pの表面に第2の両面印刷ジョブに係る第3ページの画像を印刷する。この混在印刷によれば、図8に示す混在印刷よりも高速に混在印刷を行うことができる。
【0036】
以上、図4ないし図9を用いて3通りの高速両面印刷と3通りの混在印刷を説明したが、高速両面印刷および混在印刷は、これら以外にも考えられる。例えば、一の用紙の裏面に対する印刷と当該一の用紙の表面に対する印刷との間に印刷を行う用紙の枚数をさらに増やすことにより、上述した高速両面印刷および混在印刷よりも高速な高速両面印刷および混在印刷を実現することができる。もっとも、このような高速両面印刷および混在印刷を実際に実現するためには、各高速両面印刷および各混在印刷を行うのに相応しい構造を有する両面印刷ユニットを画像形成装置の内部に構築する必要がある。なお、各高速両面印刷を行うための両面印刷ユニットの構造および動作については周知であるため、ここでは説明を省略する。また、各混在印刷は、各高速両面印刷を行うための周知の両面印刷ユニット構造を利用して実現することができる。
【0037】
本実施形態における画像形成装置1は、図5に示す高速両面印刷および図8に示す混在印刷を行うのに相応しい構造を有する両面印刷ユニット31を備えている(図1参照)。それゆえ、本実施形態における画像形成装置1は、片面印刷および通常両面印刷に加え、図5に示す高速両面印刷および図8に示す混在印刷を行うことができる。
【0038】
図10は画像形成装置1の動作を示している。図10に示すように、画像形成装置1の稼働中、ジョブ受取部45は、ユーザによる操作部14の操作によって入力されるジョブ、または端末装置から送信されるジョブを常時待っている(ステップS1:ジョブ受取工程)。ジョブ受取部45がジョブを受け取ったとき(ステップS1:YES)、ジョブ受取部45は、受け取ったジョブを制御ユニット13のRAM43に記憶する(ステップS2)。
【0039】
一方、印刷制御部46は、ジョブ受取部45と並行して動作する。印刷制御部46は、制御ユニット13のRAM43にジョブが記憶されているか否かをチェックし(ステップS3)、RAM43にジョブが記憶されているときには、RAM43に記憶されたジョブを読み取る。そして、ジョブ受取部45が複数のジョブを連続して受け取り、これら複数のジョブがRAM43に記憶されている場合には、印刷制御部46は、これら連続的に受け取られた複数のジョブの態様を調査する。
【0040】
調査の結果、ジョブ受取部45により連続して受け取られた複数のジョブが片面印刷ジョブのみである場合(ステップS3:A)、印刷制御部46は、用紙Pの表面に対して片面印刷を行う片面印刷制御を実行する(ステップS4)。これにより、ジョブ受取部45により連続して受け取られた複数の片面印刷ジョブに従った片面印刷が行われる。
【0041】
一方、ジョブ受取部45により連続して受け取られた複数のジョブが両面印刷ジョブのみである場合(ステップS3:B)、印刷制御部46は、図5に示す高速両面印刷を行う高速両面印刷制御を実行する(ステップS5)。これにより、ジョブ受取部45により連続して受け取られた複数の両面印刷ジョブに従った高速両面印刷が行われる。
【0042】
このとき、印刷制御部46は、ジョブ受取部45により連続して受け取られた複数の両面印刷ジョブに従った高速両面印刷を、あたかも1つの両面印刷ジョブに従った高速両面印刷を行うのと同様に連続して行う。すなわち、第1の両面印刷ジョブに従った第1の高速両面印刷から、これに続く第2の両面印刷ジョブに従った第2の高速両面印刷に移行するとき、第1の高速両面印刷に係る用紙Pを中間トレイ34上に蓄積した状態で、第2の高速両面印刷に係る用紙Pの裏面に対する印刷に取りかかる。
【0043】
他方、ジョブ受取部45により連続して受け取られた複数のジョブ中に片面印刷ジョブと両面印刷ジョブとが混在しており、次に述べる混在印刷制御条件を満足する場合(ステップS3:C)、印刷制御部46は、図8に示す混在印刷を行う混在印刷制御を実行する(ステップS6)。これにより、ジョブ受取部45により連続して受け取られた複数のジョブに従った混在印刷が行われる。
【0044】
混在印刷制御条件は、ジョブ受取部45により受け取られた複数のジョブの実行順序が、(1)連続した1以上の両面印刷ジョブ、(2)連続した1以上の片面印刷ジョブ、(3)連続した1以上の両面印刷ジョブであり、かつ、連続した1以上の片面印刷ジョブにより印刷が行われるページ数の合計が2ページ未満であることである(なお、この混在印刷制御条件を満たす場合、「連続した1以上の片面印刷ジョブ」とは、1つの片面印刷ジョブを意味することになる)。
【0045】
混在印刷を行うとき、印刷制御部46は、ジョブ受取部45により連続して受け取られた複数のジョブに従った混在印刷を、あたかも1つの両面印刷ジョブに従った高速両面印刷を行うのと同様に連続して行う。すなわち、第1の両面印刷ジョブに対応する混在印刷から、これに続く片面印刷ジョブに対応する混在印刷に移行するとき、第1の両面印刷ジョブに対応する混在印刷に係る用紙Pを中間トレイ34上に蓄積した状態で、片面印刷ジョブに対応する混在印刷に係る用紙Pの裏面に対する空白ページの印刷に取りかかる。また、片面印刷ジョブに対応する混在印刷から、これに続く第2の両面印刷ジョブに対応する混在印刷に移行するとき、片面印刷ジョブに対応する混在印刷に係る用紙Pを中間トレイ34上に蓄積した状態で、第2の両面印刷ジョブに対応する混在印刷に係る用紙Pの裏面に対する印刷に取りかかる。
【0046】
また、混在印刷において、片面印刷ジョブに対応する印刷に係る用紙Pの裏面に印刷する空白ページを形成するための印刷データは、例えば、用紙のサイズごとに予め生成され、制御ユニット13のROM42または画像形成装置1に内蔵されたハードディスクなどの記憶装置(図示せず)に予め記憶されている。印刷制御部46は、混在印刷制御を実行する際に、空白ページを形成するための印刷データを制御ユニット13のROM42または上記記憶装置から読み出し、この読み出した印刷データに基づいて空白ページ(空白の画像)を形成し、この空白ページを、片面印刷ジョブに対応する印刷に係る用紙Pの裏面に印刷する。
【0047】
他方、ジョブ受取部45により連続して受け取られた複数のジョブ中に片面印刷ジョブと両面印刷ジョブとが混在しており、上記混在印刷制御条件を満足さない場合、または、ジョブ受取部45により受け取られたジョブが単一のジョブである場合(ステップS3:D)、印刷制御部46は、受け取られた複数のジョブ、または受け取られた単一のジョブに従い、片面印刷制御、通常両面印刷制御または高速両面印刷制御を実行する(ステップS7)。この場合、印刷制御部46は、両面印刷を連続して行うべきページ数が2ページ以下の場合には、図3に示す通常両面印刷を行う通常両面印刷制御を実行し、両面印刷を連続して行うべきページ数が3ページ以上の場合には、図5に示す高速両面印刷を行う高速両面印刷制御を実行する。
【0048】
ステップS4ないしS7における印刷制御が完了した後、印刷制御部46における処理はステップS3に戻る。
【0049】
以上説明した通り、画像形成装置1は、連続して受け取った複数のジョブ中に、両面印刷を行うべき旨のジョブと片面印刷を行うべき旨のジョブとが混在し、かつこれら複数のジョブの態様が上記混在印刷制御条件を満足する場合には、混在印刷を行う。図8と図5とを比較するとわかるように、混在印刷は高速両面印刷を基礎としている。具体的には、用紙Pの搬送方法、より具体的には、用紙Pの搬送方向および面を反転させる順序、用紙Pを中間トレイ34に蓄積する方法、用紙Pを印刷エンジン24に供給する順序、各ページを用紙Pに印刷する順序について、混在印刷は高速両面印刷と同じである。したがって、混在印刷は高速両面印刷と同じく高速である。このように、画像形成装置1によれば、連続して受け取った複数のジョブ中に、両面印刷を行うべき旨のジョブと片面印刷を行うべき旨のジョブとが混在している場合であっても、上記混在印刷制御条件を満たす場合には、印刷を高速に行うことができる。
【0050】
なお、上述した画像形成装置1では、高速両面印刷および混在印刷の方法として、図5に示す高速両面印刷および図8に示す混在印刷を採用したが、本発明はこれに限らない。図4に示す高速両面印刷および図7に示す混在印刷、または図6に示す高速両面印刷および図9に示す混在印刷を採用することもでき、あるいは、これら以外の高速両面印刷および混在印刷を採用することもできる。
【0051】
また、上述した画像形成装置1は、ジョブ受取部45により受け取られた複数のジョブの実行順序が、(1)連続した1以上の両面印刷ジョブ、(2)連続した1以上の片面印刷ジョブ、(3)連続した1以上の両面印刷ジョブであるという条件を満たしたときに混在印刷制御を実行するが、本発明はこれに限らない。例えば、ジョブ受取部45により受け取られた複数のジョブの実行順序が、(1)連続した1以上の両面印刷ジョブ、(2)連続した1以上の片面印刷ジョブであるという条件を満たしたときに混在印刷制御を実行してもよいし、あるいは、ジョブ受取部45により受け取られた複数のジョブの実行順序が、(1)連続した1以上の片面印刷ジョブ、(2)連続した1以上の両面印刷ジョブであるという条件を満たしたときに混在印刷制御を実行してもよい。さらには、連続した1以上の片面印刷ジョブと連続した1以上の両面印刷ジョブとを交互に実行するという条件を満たしたときに混在印刷制御を実行してもよい。もっとも、ジョブ受取部45により受け取られた複数のジョブの実行順序が、(1)連続した1以上の両面印刷ジョブ、(2)連続した1以上の片面印刷ジョブ、(3)連続した1以上の両面印刷ジョブであるという条件を満たしたときに混在印刷制御を実行することにより、印刷の高速化を効果的に実現することができる。
【0052】
また、上述した画像形成装置1は、ジョブ受取部45により受け取られた複数のジョブに含まれる、連続した1以上の片面印刷ジョブにより印刷が行われるページ数の合計が2ページ未満であるという条件を満たした場合に混在印刷制御を実行するが、本発明はこれに限らない。このページ数の合計が3ページ未満、4ページ未満またはこれ以上の所定のページ数未満であるという条件を満たした場合に混在印刷制御を実行してもよい。もっとも、連続した1以上の片面印刷ジョブにより印刷が行われるページ数の合計が2ページ未満であるという条件を満たしたときに混在印刷制御を行うことにより、印刷の高速化を効果的に実現することができる。
【0053】
すなわち、片面印刷ジョブに従った印刷を混在印刷制御により行う場合には、用紙Pの裏面に空白ページを印刷した後、当該用紙Pの表面に片面印刷ジョブに係る第1ページの画像を印刷する。一方、片面印刷ジョブに従った印刷を片面印刷制御により行う場合には、用紙Pの表面に、片面印刷ジョブに係る第1ページの画像を印刷するだけである。この結果、片面印刷ジョブに従った印刷のみに着目すると、混在印刷制御による印刷は、片面印刷制御による印刷よりも時間がかかる。にもかかわらず、混在印刷制御による印刷が高速な理由は、片面印刷ジョブの前、後の両面印刷ジョブに対応する高速両面印刷の動作が、当該片面印刷ジョブに対応する印刷によってリセットされずに連続的に行われることにより、各ジョブに従った印刷の時間が全体として短縮されるからである。とすると、片面印刷ジョブにより行われる印刷のページ数が多い場合には、片面印刷ジョブの前、後の両面印刷ジョブに対応する高速両面印刷の動作が連続的に行われることにより短縮される時間よりも、片面印刷ジョブに従った印刷を混在印刷制御により行うことにより延長される時間の方が長くなるため、混在印刷制御による印刷の高速化を実現することができない。そこで、混在印刷制御条件として、連続した1以上の片面印刷ジョブにより印刷が行われるページ数の合計の上限値をいくつに設定すれば、混在印刷制御による印刷の高速化を効果的に実現することができるかが問題となる。この点、連続した1以上の片面印刷ジョブにより印刷が行われるページ数の合計が2ページ未満である場合には、片面印刷ジョブの前、後の両面印刷ジョブに対応する高速両面印刷の動作が連続的に行われることにより短縮される時間よりも、片面印刷ジョブに従った印刷を混在印刷制御により行うことにより延長される時間の方が短くなり、混在印刷制御による印刷の高速化が実現されることが確認されている。
【0054】
また、上述した実施形態では、本発明の画像形成装置が、複写機能およびプリンタ機能を備えた複合機である場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。本発明は、複写機、プリンタ、その他両面印刷機能を備えた種々の装置に適用することができる。
【0055】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像形成装置およびコンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の画像形成装置の実施形態を示す一部破断図である。
【図2】本発明の実施形態である画像形成装置に設けられた制御ユニットの内部構造を示すブロック図である。
【図3】通常両面印刷を示す説明図である。
【図4】2枚の用紙に対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷を示す説明図である。
【図5】3枚の用紙に対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷を示す説明図である。
【図6】5枚の用紙に対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷を示す説明図である。
【図7】図4中の高速両面印刷を基礎にした混在印刷を示す説明図である。
【図8】図5中の高速両面印刷を基礎にした混在印刷を示す説明図である。
【図9】図6中の高速両面印刷を基礎にした混在印刷を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態である画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
12 印刷機構
13 制御ユニット
45 ジョブ受取部
46 印刷制御部
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の一側面および他側面のいずれか一方または双方に対して印刷を行うための印刷機構と、
片面印刷を行うべき旨のジョブまたは両面印刷を行うべき旨のジョブを受け取るジョブ受取手段と、
前記ジョブ受取手段により受け取られたジョブに従って前記印刷機構を制御する印刷制御手段とを備え、
前記印刷制御手段は、
前記ジョブ受取手段により連続して受け取られた複数のジョブが片面印刷を行うべき旨のジョブのみである場合には、用紙の一側面および他画面のいずれか一方に対して片面印刷を行う片面印刷制御を実行し、
前記ジョブ受取手段により連続して受け取られた複数のジョブが両面印刷を行うべき旨のジョブのみである場合には、一の用紙の一側面に対する印刷と当該一の用紙の他側面に対する印刷との間に他の用紙の一側面または他側面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷制御を実行し、
前記ジョブ受取手段により連続して受け取られた複数のジョブ中に片面印刷を行うべき旨のジョブと両面印刷を行うべき旨のジョブとが混在している場合には、一の用紙の一側面に対する印刷と当該一の用紙の他側面に対する印刷との間に他の用紙の一側面または他側面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行い、当該両面印刷実行中において、片面印刷を行うべき旨のジョブに対応する印刷を行うときには用紙の一側面および他側面のいずれか一方に対し空白ページの印刷を行う混在印刷制御を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷制御手段は、前記ジョブ受取手段により連続して受け取られた複数のジョブ中に片面印刷を行うべき旨のジョブと両面印刷を行うべき旨のジョブとが混在し、かつ、これらのジョブの実行順序が、両面印刷を行うべき旨の連続した1以上のジョブ、片面印刷を行うべき旨の連続した1以上のジョブ、両面印刷を行うべき旨の連続した1以上のジョブである場合に限り、前記混在印刷制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷制御手段は、前記片面印刷を行うべき旨の連続した1以上のジョブにより印刷が行われるページ数の合計が所定のページ数未満である場合に限り、前記混在印刷制御を実行することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
片面印刷を行うべき旨のジョブまたは両面印刷を行うべき旨のジョブを受け取るジョブ受取工程と、用紙の一側面および他側面のいずれか一方または双方に対して印刷を行うための印刷機構を、前記ジョブ受取工程において受け取られたジョブに従って制御する印刷制御工程とを備えた印刷制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記印刷制御工程において、
前記ジョブ受取工程において連続して受け取られた複数のジョブが片面印刷を行うべき旨のジョブのみである場合には、用紙の一側面および他画面のいずれか一方に対して片面印刷を行う片面印刷制御を実行し、
前記ジョブ受取工程において連続して受け取られた複数のジョブが両面印刷を行うべき旨のジョブのみである場合には、一の用紙の一側面に対する印刷と当該一の用紙の他側面に対する印刷との間に他の用紙の一側面または他側面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行う高速両面印刷制御を実行し、
前記ジョブ受取工程において連続して受け取られた複数のジョブ中に片面印刷を行うべき旨のジョブと両面印刷を行うべき旨のジョブとが混在している場合には、一の用紙の一側面に対する印刷と当該一の用紙の他側面に対する印刷との間に他の用紙の一側面または他側面に対する印刷を行うことにより、2枚以上の用紙に対して並行的に両面印刷を行い、当該両面印刷実行中において、片面印刷を行うべき旨のジョブに対応する印刷を行うときには用紙の一側面および他側面のいずれか一方に対し空白ページの印刷を行う混在印刷制御を実行することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−734(P2010−734A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162756(P2008−162756)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】