説明

画像形成装置および処理プログラム

【課題】主走査方向のつなぎ目ずれ量の補正の精度を向上させることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】発光ヘッド(H1〜H3)を主走査方向に沿って配列して感光体を露光する露光手段(LEDヘッドH)と、温度と発光ヘッド間の主走査方向に対するつなぎ目ずれ量を格納する格納手段(関数化情報格納部201)と、温度と発光ヘッド間の主走査方向に対するつなぎ目ずれ量との関係を関数化する関数化手段(関数化部202)と、温度センサ100と、関数化した情報をもとに発光ヘッド間の主走査方向に対するつなぎ目ずれ量を補正する補正手段と(つなぎ目ずれ量補正部200)、画像形成処理を制御する制御手段(コントローラ部106)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置において、記録ヘッドとしてLED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)を記録素子として用いたLEDヘッドが使用されている。
【0003】
ところで、A0(841mm×1189mm)やA1(594mm×841mm)サイズ用の広幅プリンタの露光部には、高額なLEDヘッド1本を用いるより、汎用的なA3(297mm×420mm)またはA4(210mm×297mm)サイズ用のLEDヘッドを複数本つないで広幅露光する方がコスト的にメリットがある。
【0004】
LEDヘッドを主走査方向に千鳥状に複数本配置してA0やA1幅などの1ラインを構成する広幅プリンタが採用されるが、LEDヘッドのメカ的な取り付け誤差により、LEDヘッドのつなぎ目付近で白筋や黒筋などの画質不良が発生する。
【0005】
またLEDヘッドは、温度により膨張するので、ある温度でつなぎ目ずれによる画質不良が発生していなくても、温度の上昇・下降によってつなぎ目ずれによる画質不良が発生することがある。
【0006】
これらの画質不良を改善する技術が種々提案されている。
【0007】
例えば、特開2003−191580号公報には、2本のLEDヘッドの位置合わせを行うために、画像位置検出パターンを印字・検出して、その際の温度を記憶し、その温度からある一定の温度差が生じた場合に位置合わせを行う技術が開示されている。
【0008】
また、特開2003−72146号公報には、温度を検出し、LEDヘッドのつなぎ目部分の光量を増減することにより、白筋、黒筋による画質不良を改善する技術が開示されている。
【0009】
また、特開平11−75037号公報には、加熱・冷却により温度を一定に保ちLEDヘッドの膨張、収縮を一定に保つことでつなぎ目ずれによる画質不良を発生させない技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−191580号公報
【特許文献2】特開2003−72146号公報
【特許文献3】特開平11−75037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、主走査方向のつなぎ目ずれ量の補正の精度を向上させることのできる画像形成装置および処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る画像形成装置は、複数の発光素子を備えた複数の発光ヘッドを主走査方向に沿って配列して感光体を露光する露光手段と、温度と前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量を格納する格納手段と、前記温度と前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量との関係を関数化する関数化手段と、温度を測定する測定手段と、該測定手段の測定結果に基づいて、前記関数化した情報をもとに前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量を補正する補正手段と、該補正手段による補正後に、前記露光手段を用いた画像形成処理を制御する制御手段とを少なくとも備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明に係る画像形成装置は、請求項1に記載の発明について、温度と前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量の関係の関数化に最小二乗法を用いることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明に係る画像形成装置は、請求項1または請求項2の何れかに記載の発明について、前記格納手段において、予め設定された温度領域内に複数の前記情報が格納されている場合に、前記補正手段は、前記温度領域内の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量の最大値と最小値を除外することを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明に係る画像形成装置は、請求項1または請求項2の何れかに記載の発明について、前記格納手段において、予め設定された温度領域内に複数の前記情報が格納されている場合に、前記補正手段は、前記温度領域内の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量の最大値または最小値から予め定めた範囲の前記情報を除外することを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明に係る画像形成装置は、請求項1または請求項2の何れかに記載の発明について、前記測定手段によって異なる時間に測定された複数の測定結果に対応する前記関数化した情報を平均化し、前記補正手段は、平均化された情報に基づいて前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量を補正することを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明に係る画像形成装置は、請求項1または請求項2の何れかに記載の発明について、前記測定手段によって異なる時間に測定された複数の測定結果に対応する前記関数化した情報を比較し、前記制御手段は、その比較結果に応じて、測定の再試行または報知を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明に係る処理プログラムは、温度と発光ヘッド間の主走査方向のつなぎ目ずれ量の関係とを関数化した情報を格納する格納過程と、前記温度と前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量との関係を関数化する関数化過程と、温度を測定する測定過程と、該測定結果に基づいて、前記関数化した情報をもとに前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量を補正する補正過程と、補正後に、前記発光ヘッドを主走査方向に沿って配列して感光体を露光する露光手段を用いた画像形成処理を制御する制御過程と演算手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0020】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、主走査方向のつなぎ目ずれ量の補正の精度を向上させる画像形成装置を提供することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、主走査方向のつなぎ目ずれ量の補正の精度をより向上させる画像形成装置を提供することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、予め設定された温度領域内の主走査方向のつなぎ目ずれ量の最大値と最小値を除外して、主走査方向のつなぎ目ずれ量の補正の精度をより向上させる画像形成装置を提供することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、予め設定された温度領域内の主走査方向のつなぎ目ずれ量の最大値または最小値から予め定めた範囲の情報を除外して、主走査方向のつなぎ目ずれ量の補正の精度をより向上させる画像形成装置を提供することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、平均化された情報に基づいて発光ヘッド間の主走査方向のつなぎ目ずれ量を補正して、主走査方向のつなぎ目ずれ量の補正の精度をより向上させる画像形成装置を提供することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、比較結果に応じて、測定の再試行または報知を行って利便性を向上させる画像形成装置を提供することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、主走査方向のつなぎ目ずれ量の補正の精度を向上させる処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置PR1の構成を示す構成図である。
【図2】LEDヘッドの構成を示す説明図である。
【図3】実施の形態に係る画像形成装置PR1の構成を示す構成ブロック図である。
【図4】実施の形態に係る画像形成装置PR1の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図5】つなぎ位置検出パターンの例を示す説明図である。
【図6】つなぎ位置検出パターンの例を示す説明図である。
【図7】つなぎ目ずれ量算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】つなぎ位置検出パターンの検出例を示す説明図である。
【図9】つなぎ位置検出パターンの検出例を示す説明図である。
【図10】補正処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】つなぎ目ずれ量と温度の測定例および関数の例を示すグラフである。
【図12】つなぎ目ずれ量と温度の関数の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0029】
図1から図12を参照して、本発明についての実施の形態に係る画像形成装置PR1について説明する。
まず、図1を参照しながら画像形成装置PR1の構成を説明する。
【0030】
図1に示す画像形成装置PR1は、デジタル画像信号に基づく画像を電子写真方式で形成する画像記録部2と、収容しているロール紙28から繰り出した用紙を画像記録部2に供給する給紙部3とを有している。
【0031】
画像記録部2には、一様帯電後に像光が照射されて表面に静電電位の差による潜像が形成される円筒状の感光体ドラム11が搭載されている。
【0032】
感光体ドラム11には、金属製ドラム表面に各種感光材料からなる感光体層を形成したものが用いられる。
【0033】
感光体ドラム11の周囲には、帯電装置12と、露光装置H(LEDヘッド:露光手段の一例)と、現像装置14と、転写装置15と、クリーニング装置16とが配置されている。
【0034】
帯電装置12は、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。
【0035】
帯電装置12は、ステンレススチール、アルミニウム等の導電性を有する金属のロールに高抵抗材料のコーティングを施したものであり、感光体ドラム11に当接して、従動回転するようになっている。そして、このロールに所定の電圧が印加されることにより、該ロールと感光体ドラム11との接触部近傍における微小間隙内で継続的な放電を生じ、感光体ドラム11の表面をほぼ一様に帯電する。
【0036】
露光装置Hは、感光体ドラム11に像光を照射して、ドラム表面に潜像を形成する。
【0037】
現像装置14は、感光体ドラム11の表面に形成された第1色目の画像の静電潜像を現像してトナー像とする。第2現像装置32は、感光体ドラム11の表面に形成された第2色目の画像の静電潜像を現像してトナー像とする。
【0038】
現像装置14は、感光体ドラム11と近接・対向する位置に生じている電界内で、潜像にトナーを転移して可視像を形成するものである。
【0039】
この現像装置で用いられるトナーは、バインダ樹脂に磁性分を混合した磁性トナーが用いられる。
【0040】
クリーニング装置16は、トナー像の用紙への転写後に感光体ドラム11に残留するトナーを除去する。
【0041】
また、感光体ドラム11と転写装置15とが対向する位置の上流側には、給紙部3からロール紙28を送り込む用紙搬送路26が設けられており、転写装置15の下流側には、用紙上のトナー像を加熱溶融して用紙に圧着する定着装置18が設けられている。
【0042】
そして、定着装置18の下流側にはトナー像が定着された用紙を機外へ送り出す排紙ローラ19が設けられており、この排紙ローラ19が用紙を排出口20へ導き、画像形成装置の機外へ排出するものとなっている。
【0043】
定着装置18は、加熱源を内蔵した加熱ロール18aと、この加熱ロール18aに圧接される加圧ロール18bとを備えており、これらが平行に配置されて互いに圧接されるニップ部を形成している。トナー像が転写された用紙は、ニップ部に送り込まれ、回転駆動される加熱ロール18aと加圧ロール18bとの間で加熱されるとともに加圧され、溶融したトナーが用紙に圧着されるものとなっている。
【0044】
また、画像記録部2の下方に設けられた給紙部3には、上段21および下段22にA2以上の大サイズにも対応するロールを各段に2本収容するものとなっている。
【0045】
そして、ロール紙28から繰り出された用紙を搬送する用紙搬送路26を備えており、この用紙搬送路26に用紙を適切な長さで切断するカッター27が設けられている。
【0046】
次に、図2および図3を参照して、画像形成装置PR1の概略構成について説明する。
【0047】
まず、図2に示すように、画像形成装置PR1に用いられるLEDヘッドH(複数の発光素子(LEDチップ)を備えた複数の発光ヘッドH1〜H3を主走査方向に沿って配列して感光体を露光する露光手段の一例)は、本実施の形態においては、3本(本実施の形態では、3本であるが、これには限定されない)の発光ヘッドH1〜H3が互いに露光領域がオーバーラップするよう水平千鳥上に配置されて構成されている。
【0048】
また、図3に示すように、LEDヘッドHは、サーミスタ等で構成される温度センサ100(測定手段の一例)を備えている。
【0049】
また、画像形成装置PR1は、LEDヘッドHの制御を司るマイクロコンピュータ等で構成されるLEDヘッド制御部101、画像を形成するにあたり用紙の搬送、感光体の回転LEDヘッドによる感光体11への書き込みなどのタイミングを形成する機能をCPU104や不揮発性メモリ105等で実現する画像形成装置制御部103、画像読み取り装置(スキャナ装置)SC1やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置PC1等から入力される情報の制御を行うコントローラ部106(制御手段の一例)、液晶タッチパネル等で構成されキー操作によりユーザが各種設定や印刷スタート等の操作を行う操作部107等を備える。
【0050】
LEDヘッド制御部101は、画像データを一時的に格納するラインメモリL1〜L3を内蔵し、LEDヘッドHの各LEDを画像データに基づいて駆動を制御するLED制御回路102、LEDヘッドHの点灯をASICやFPGAにより制御するLEDヘッド制御回路108、LEDヘッドH1との副走査方向の位置ずれ分の画像データを一時的に格納するLEDヘッドH2用RAM109およびLEDヘッドH3用RAM110、画像位置検出パターンのデータを格納する画像位置検出パターン格納用メモリ111とから構成される。
【0051】
また、コントローラ部106は、LAN等のネットワークNを介して接続される画像読み取り装置(スキャナ装置)SC1より入力された画像データを処理する画像処理部112、画像データを格納するページメモリ113、各種演算処理を行うCPU114等から構成される。
【0052】
次に、図4を参照して、画像形成装置PR1の機能構成について説明する。
【0053】
画像形成装置PR1は、温度とLEDヘッドH1〜H3間の主走査方向のつなぎ目ずれ量の関係とを関数化した情報を格納する関数化情報格納部201(格納手段の一例)と、温度とLEDヘッドH1〜H3間の主走査方向に対するつなぎ目ずれ量との関係を関数化する関数化部202(関数化手段の一例)と、温度センサ100の測定結果に基づいて、関数化した情報をもとに発光ヘッド間の主走査方向に対するつなぎ目ずれ量を補正する補つなぎ目ずれ量補正部200(補正手段の一例)と、つなぎ目ずれ量補正部200による補正後に、LEDヘッドHを用いた画像形成処理を制御するコントローラ部106(制御手段の一例)と、画像形成処理を行う画像形成部300とを備える。
【0054】
なお、つなぎ目ずれ量補正部200は、前記LEDヘッド制御部101を構成するマイクロコンピュータおよび所定のソフトウェアで構成してもよい。
【0055】
また、関数化情報格納部201は、専用のメモリで構成してもよいし、画像位置検出パターン格納用メモリ111等の領域の一部を利用するようにしてもよい。
【0056】
また、温度とLEDヘッドH1〜H3間の主走査方向のつなぎ目ずれ量の関係の関数化に最小二乗法を用いるようにしてもよい。
【0057】
また、関数化情報格納部201において、予め設定された温度領域内に複数の情報が格納されている場合に、つなぎ目ずれ量補正部200は、温度領域内の主走査方向のつなぎ目ずれ量の最大値と最小値を除外するようにしてもよい。
【0058】
また、関数化情報格納部201において、予め設定された温度領域内に複数の情報が格納されている場合に、つなぎ目ずれ量補正部200は、温度領域内の主走査方向のつなぎ目ずれ量の最大値または最小値から予め定めた範囲の情報を除外するようにしてもよい。
【0059】
また、温度センサ100によって異なる時間に測定された複数の測定結果に対応する関数化した情報を平均化し、つなぎ目ずれ量補正部200は平均化された情報に基づいてLEDヘッドH1〜H3間の主走査方向のつなぎ目ずれ量を補正するようにしてもよい。
【0060】
また、温度センサ100によって異なる時間に測定された複数の測定結果に対応する関数化した情報を比較し、その比較結果に応じて、測定の再試行または報知(例えば、エラー状態の報知等)を行うようにしてもよい。
【0061】
ここで、LEDヘッドH1〜H3間の主走査方向のつなぎ目ずれ量を補正する仕方の例について説明する。
【0062】
まず、LEDヘッドH1〜H3のつなぎ目位置調整用に図5に示すような画像位置検出パターンを用紙に印刷する。
【0063】
印刷した用紙をスキャナ装置SC1で読み取りLEDヘッドHの主走査方向のずれ(つなぎ目重なり、つなぎ目離れ)量を検出する。
【0064】
画像位置検出パターンを印刷する際または印刷後の用紙をスキャンする際に、用紙のスキューが発生するが、図6に示すように主走査方向のずれ幅は一定であり、コントローラ部106内の画像処理部112で、それらのずれ量を検出する。
【0065】
また、それと同時にLEDヘッドHの主走査方向のずれ量を検出した時の温度センサ100の検出値(温度)とずれ量を不揮発性メモリ105に格納しておく。
【0066】
LEDヘッドHのつなぎ目位置検出パターンを印刷し、一連のつなぎ目検出・補正を行うタイミングは、ユーザがつなぎ目ずれに気づいた時に、操作部107からつなぎ目補正の為に画像位置検出パターンを用紙に印刷し、スキャナ装置SC1で読み取らせる。
【0067】
また、前述した温度とずれ量とのデータが無い場合、または所定の温度範囲にある場合には、LEDヘッドHのつなぎ目位置調整を促すよう、操作部107の液晶パネル等にメッセージを表示し、調整動作をユーザに行ってもらうようにしてもよい。
【0068】
温度とずれ量のデータがある一定量集まった場合には、温度に対するずれ量の関係を算出する。
【0069】
LEDヘッドHは、温度が上がるにつれて膨張しつなぎ目は重複し、温度が下がれば収縮してつなぎ目は離れる方向となる。
【0070】
また、温度とずれ量の関係は概ね一次関数式で表され、それらのデータが多い程より正確な関数式が得られる。
【0071】
また、ずれ量は一次関数式で表されるので、ある温度に対しては、ドット単位量ではなくアナログ的な数値としてずれ量が表される。
【0072】
従って、いくつかの制御を併用することにより、より正確なつなぎ目ずれ補正が実現される。
【0073】
さらにある一定のデータ量が集まって得られた関数式が作成されている場合には、画像位置検出パターンを用紙に印刷し、スキャナ装置SC1で読み取ることで得られた補正値と関数式とを総合的に判断し、新たな補正値を抽出するようにしてもよい。
【0074】
スキャナ装置SC1を用いて、画像位置検出パターンを読み取る方法について示したが、定着装置18の後段にライン状のCCDセンサ等を配置してずれ量を算出するようにしてもよい。
【0075】
その場合には、コストがかかるが用紙スキューの発生要素が少なくなるため、スキャナ装置SC1を配置するより正確にずれ量が測定される。
【0076】
これにより、つなぎ目ずれを実測することで高精度な補正が行われる。
【0077】
即ち、従来では、温度によるずれ量は、推測に頼っていたため、個体差や取り付け具合により推測値とずれが生じ画質不良(白筋、黒筋)の原因となっていた。なお、白筋が目立つ限界値は600dpi、±1/2ドットまでである。
【0078】
また、実測することで温度以外のずれ要因も含めて補正が行われる。
【0079】
また、温度とずれ量のプロファイルが一旦完成したら、リアルタイムに温度に応じたつなぎ目補正が高精度で行われる。
【0080】
ずれ量が高精度でかつアナログ的に算出されるので、従来のドットシフトと例えばつなぎ目部の光量増減補正などアナログ的な補正を行うのに有利である。
【0081】
また、仮に何らかの原因で温度に対するつなぎ目値が、過去のデータより作成したプロファイルと乖離していた場合に、読み込み再試行やエラーが出力される。
【0082】
また、LEDヘッドを他の画像形成装置から置き換えの場合にも自動で正確に調整が行われ、利便性が向上される。
【0083】
次に、図7のフローチャートを参照して、画像形成装置PR1で実行されるつなぎ目ずれ量算出処理の処理手順について説明する。
【0084】
ステップS100では、操作部107より、例えば「画像位置検出パターンプリント」キーを押すとステップS101に移行する。
【0085】
より具体的には、画像形成装置制御部103のCPU104からの指示で、画像位置検出パターン格納用メモリ111に蓄積されている画像データが、LEDヘッド制御回路108に転送され、LEDヘッドH1用ラインメモリL1、LEDヘッドH2用ラインメモリL2、LEDヘッドH3用ラインメモリL3にそれぞれ画像データの振り分けが行われる。
【0086】
振り分けられた画像データは、LEDヘッドH1は、LED駆動回路(図示せず)に転送され感光体11を露光する。
【0087】
LEDヘッドH2、LEDヘッドH3は、水平千鳥上に配置している関係上、通常の印刷動作では一時的にLEDヘッドH2用RAM109、LEDヘッドH3用RAM110にデータを格納し、副走査方向の位置ずれ量に相当する時間分だけ露光タイミングを遅らせて、画像データを読み込み、それぞれのLEDヘッドH1〜H3により画像パターンを書き込むが、画像位置検出モードでは、それらRAM109、110にデータを格納せず直接LEDヘッドH1〜H3にデータを転送する。
【0088】
LEDヘッドH1に対して、LEDヘッドH2、LEDヘッドH3はLEDヘッドHの主走査のつなぎ目は、つなぎ目位置を補正する際変更してもよいが、画像位置を検出するパターンを出力する際にはデフォルトのつなぎ目位置(例えば図2の各ドットがデフォルトつなぎ目位置)となるよう検出パターンを出力する。
【0089】
パターンは、例えば図8のように3本のLEDヘッドH1〜H3を同時にある一定時間複数回(1回でもよい)点灯させ、感光体11に潜像を作成し現像する。
【0090】
その後に用紙に転写され、定着され画像形成装置PR1の外部に排出される(ステップS101)。
【0091】
排出された用紙は、その後に画像読み取り装置(スキャナ装置SC1)で像を読み込む。 読み込む際の操作は、操作部107において、例えば「画像位置検出パターン読み込み」等のキーを押すことで読み込みが開始される(ステップS102、S103)。
【0092】
読み込まれた像はLEDヘッドHの取り付け誤差(LEDヘッドのスキュー、つなぎ目ずれ等)、更に画像形成装置PR1の外へ出力する際の用紙スキュー、画像読み取り装置SC1で用紙を搬送する際のスキュー等、ズレ要因が発生して、例えば図9の様になる。 その中から画像位置検出で検出すべきLEDヘッドH1〜H3の主走査のつなぎ目ずれ量は、図9の2本の直線500、501のシフト量で求められる(ステップS104)。
【0093】
2本の直線500、501は、画像位置検出パターンを微視的に見れば凹凸があるが、画像処理を施すことで平行な2本の直線となる。
【0094】
つなぎ目が離れる、または重なることによりシフト量、つまりつなぎ目ずれ量はプラス、マイナスの値を取る。
【0095】
例えば、つなぎ目が離れている場合にはプラスの値、離れているときには、マイナスの値として表される。
【0096】
また、つなぎ目ずれ量を測定した際の温度をLEDヘッド近傍に配置したサーミスタ等で構成される(温度センサ100)の値を読み込み、つなぎ目ずれ量とともに、温度データを不揮発性メモリ105に格納する(ステップS105)。
【0097】
画像位置検出パターンを出力して一連のつなぎ目ずれを測定する動作は、顧客(ユーザ)がつなぎ目ずれのあることを認識して補正動作を行う場合や、画像形成装置PR1が今までに検知したことのない温度に達した場合、不揮発性メモリ105に温度データがある一定数量存在しない場合、以前取得した温度に対するつなぎ目ずれのデータからある一定期間経過した場合などに、操作部107の液晶パネルなどに、つなぎ目ずれのデータの取得を促すようなメッセージを出力する。
【0098】
なお、温度に対するつなぎ目ずれのデータは可能な限り多く取得するのが望ましい。
【0099】
取得したデータは、不揮発性メモリ105に順次格納されていく。
【0100】
次に、図10のフローチャートを参照して、画像形成装置PR1の電源投入後の制御処理の処理手順について説明する。
【0101】
ステップS200で、画像形成装置PR1の電源を投入するとステップS201に移行する。
【0102】
不揮発性メモリ105から温度に対するつなぎ目ずれのデータを読み出し、例えば図11のように温度とつなぎ目ずれの関係を関数化(数式化)する(ステップS201、S202)。
【0103】
そして、印刷を開始する際に温度データを取得し、その際のつなぎ目ずれ値を取得(図12参照)する(ステップS203、S204)。
【0104】
個々のつなぎ目量データの信憑性は不十分であったとしても、データを最小二乗法等で関数化することで温度に対するつなぎ目ずれの関係の精度が向上する。
【0105】
また、ある一定の温度範囲に複数のデータが取得されている場合には、最大値・最小値、あるいは、最大値から数個、最小値から数個のデータを削除して関数化してもよい。
【0106】
測定した温度に対するつなぎ目ずれのデータと過去の履歴から関数化したデータとで乖離があった場合には、再測定を促すメッセージ等を操作部107の液晶パネル等に出力してもよい。
【0107】
また、再測定を繰り返しても過去の履歴から数式化したものから算出した温度に対するつなぎ目値と乖離があった場合には、単なる温度によるつなぎ目ずれの変動だけでなく、LEDヘッドHの取り付け部分にくるいが生じた可能性がある。
【0108】
そのような場合には、主走査方向のつなぎ目ずれだけでなく、副走査方向のつなぎ目ずれや焦点(フォーカス)にも影響を及ぼしている可能性があるため、操作部107の液晶パネル等にエラーメッセージを表示し、LEDヘッドH全体の調整を行うよう指示するようにしてもよい。
【0109】
また、測定した温度に対するつなぎ目ずれのデータと過去の履歴から関数化して求めたデータの平均値を制御に用いるつなぎ目ずれ値としてもよいし、両方のデータのある比率の値をつなぎ目ずれ調整に用いることにしてもよい。
【0110】
さらに、つなぎ目ずれの実際の補正は、その時の温度に対するつなぎ目量値が画素単位(例えば、600dpiであれば42.3μm)ではないため、補正値を仮にAとすると、600dpiの場合A=42.3μm×n1+L1(L1<42.3μm)又はA=42.3μm×n2+L2(L2<42.3μm)だと仮定すると、n1やn2はドット単位での補正によりつなぎ目ずれを補正し、残りのL1やL2はつなぎ目部の光量を増減させる等、複数の手段を用いてつなぎ目ずれを補正するようにしてもよい。
【0111】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0112】
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することが可能である。
【0113】
即ち、画像処理プログラムを含む所定のプログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する場合に限らず、当該所定のプログラムを次のようにして提供することも可能である。
【0114】
例えば、所定のプログラムをROMに格納しておき、CPUが、この所定のプログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
【0115】
また、上記所定のプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。
【0116】
さらには、画像形成装置等を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータと接続するようにし、サーバ装置あるいはホストコンピュータから上記所定のプログラムをダウンロードした後、この所定のプログラムを実行するようにしてもよい。この場合、この所定のプログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明による画像形成装置および処理プログラムは、プリンタや複合機等に適用することができる。
【符号の説明】
【0118】
PR1 画像形成装置
11 感光体
12 帯電装置
14 現像装置
15 転写装置
16 クリーニング装置
18 定着装置
18a 加熱ロール
18b 加圧ロール
19 排紙ローラ
20 排出口
26 用紙搬送路
27 カッター
28 ロール紙
32 現像装置
100 温度センサ
101 ヘッド制御部
102 制御回路
103 画像形成装置制御部
104 CPU
105 不揮発性メモリ
106 コントローラ部
107 操作部
108 ヘッド制御回路
111 画像位置検出パターン格納用メモリ
112 画像処理部
113 ページメモリ
200 つなぎ目ずれ量補正部
201 関数化情報格納部
202 関数化部
300 画像形成部
H LEDヘッド
N ネットワーク
SC1 スキャナ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を備えた複数の発光ヘッドを主走査方向に沿って配列して感光体を露光する露光手段と、
温度と前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量を格納する格納手段と、
前記温度と前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量との関係を関数化する関数化手段と、
温度を測定する測定手段と、
該測定手段の測定結果に基づいて、前記関数化した情報をもとに前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量を補正する補正手段と、
該補正手段による補正後に、前記露光手段を用いた画像形成処理を制御する制御手段と、
を少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
温度と前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量の関係の関数化に最小二乗法を用いることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記格納手段において、予め設定された温度領域内に複数の前記情報が格納されている場合に、前記補正手段は、前記温度領域内の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量の最大値と最小値を除外することを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記格納手段において、予め設定された温度領域内に複数の前記情報が格納されている場合に、前記補正手段は、前記温度領域内の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量の最大値または最小値から予め定めた範囲の前記情報を除外することを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記測定手段によって異なる時間に測定された複数の測定結果に対応する前記関数化した情報を平均化し、前記補正手段は、平均化された情報に基づいて前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量を補正することを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記測定手段によって異なる時間に測定された複数の測定結果に対応する前記関数化した情報を比較し、前記制御手段は、その比較結果に応じて、測定の再試行または報知を行うことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
温度と発光ヘッド間の主走査方向のつなぎ目ずれ量の関係とを関数化した情報を格納する格納過程と、
前記温度と前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量との関係を関数化する関数化過程と、
温度を測定する測定過程と、
該測定結果に基づいて、前記関数化した情報をもとに前記発光ヘッド間の前記主走査方向に対するつなぎ目ずれ量を補正する補正過程と、
補正後に、前記発光ヘッドを主走査方向に沿って配列して感光体を露光する露光手段を用いた画像形成処理を制御する制御過程と、
演算手段に実行させることを特徴とする処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−178063(P2011−178063A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45303(P2010−45303)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】