説明

画像形成装置および帯電バイアス調整方法

【課題】帯電バイアスの調整を作像時、非作像時を問わず、いつでも実施することのできる画像形成装置および帯電バイアス調整方法を提供する。
【解決手段】像担持体である感光体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の範囲内の交流電圧で交流のピーク間電圧Vppの調整を行うことで、調整時に、作像動作を行っても地汚れなどの異常画像が発生することがない。これにより、作像時、非作像時を問わず、いつでも交流電圧の調整を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および帯電バイアス調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置においては、次のような方式がある。すなわち、露光走査あるいはホストコンピュータなどからの画像情報に対応する静電潜像を像担持体に形成する。次いで、この静電潜像を可視像処理し、シートなどの記録媒体に可視像を転写して、転写画像を定着して複写物あるいは印刷出力とする方式である。
【0003】
上記像担持体は、静電潜像形成に先立ち感光層表面を一様帯電されるが、この帯電行程に用いられる構成には、コロナチャージャなどを用いたコロナ帯電方式および帯電部材たる帯電ローラ等を像担持体に接触させる帯電ローラ帯電方式が知られている。
【0004】
帯電ローラ帯電方式は、芯金の表面に弾性体層および高抵抗層を順次積層した構成の帯電ローラが用いられ、芯金への所定電圧の印加により潜像担持体表面の帯電を行うようになっている。接触帯電方式は、非接触コロナ帯電方式に比べてオゾンの発生量が1000分の1程度に抑えられることから、環境上での弊害が生じないという理由によって近年多用される傾向にある。しかし、帯電ローラを像担持体に接触させる接触帯電方式では潜像担持体に帯電部材である帯電ローラが直接接触する構成であるため、像担持体上に残留するトナーや紙粉などの異物の付着が起きやすい。これによって像担持体に対する帯電ムラを生じるおそれがある。そこで、像担持体と帯電ローラとの間に微小間隙、いわゆるギャップを設定し、微小ギャップ内で放電を行うようにした非接触帯電方式が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
帯電ローラに印加する帯電バイアスとしては、定電圧制御された直流電圧を印加するDC印加方式と、定電圧制御された直流電圧に定電流制御または定電圧制御された交流電圧を重畳して印加するAC印加方式とが知られている。
【0006】
上記AC印加方式を用いる場合には、帯電ローラの物性、つまり帯電ローラの表面抵抗の変化を考慮する必要がある。これは、帯電ローラの表面抵抗が上昇すると、放電が起こりにくくなり、像担持体表面を所定の電位に帯電することができなくなる。一方、帯電ローラの表面抵抗が低下すると、放電量が増加して、像担持体への放電量が増え、像担持体削れ等の劣化が加速されるとともに、放電生成物による高温高湿環境での像流れ等の異常画像が発生するためである。よって、AC印加方式を用いる場合は、帯電ローラの物性の変化に合わせて交流電圧のピーク間電圧を調整する必要がある。
【0007】
そこで、特許文献2には、次のような帯電バイアスを調整する方法が提案されている。すなわち、帯電ローラに直流電圧を印加した時の像担持体への放電開始電圧をVthとしたとき、非画像形成時において、帯電手段に少なくとも1点以上のVthの2倍未満のピーク間電圧を印加した時の交流電流値と、少なくとも2点以上のVthの2倍以上のピーク間電圧を印加した時の交流電流値を測定する。そして、その測定値に基づいて、次の画像形成時に帯電ローラに印加する交流電圧のピーク間電圧を調整する方法である。
【0008】
また、非接触帯電方式の場合は、ギャップ変動も考慮する必要がある。これは、帯電ローラのギャップが大きくなると、放電が起こりにくくなり、像担持体表面を所定の電位に帯電することができなくなる。一方、ギャップが小さくなると、放電量が増加して、像担持体への放電量が増え、像担持体削れ等の劣化が加速されるとともに、放電生成物による高温高湿環境での像流れ等の異常画像が発生するためである。
【0009】
そこで、特許文献3には、次のような帯電バイアスを調整する方法が提案されている。すなわち、帯電部材に対し、定電圧制御された互いに異なったピーク間電圧値の交流電圧をそれぞれ印加する。このとき帯電部材に供給される電流の値が、像担持体の表面電位が直流電圧とほぼ同じ値に帯電したときに帯電部材に供給される電流(飽和電流)の値(実効値)となったときの交流電圧のピーク間電圧に調整する方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[課題1]
特許文献2における帯電バイアスを調整する方法は、帯電手段に少なくとも1点以上のVthの2倍未満のピーク間電圧を印加した時の交流電流値を測定している。Vthの2倍未満のピーク間電圧印加時においては、像担持体の表面電位を直流電圧とほぼ同じ値(制御目標電位)に帯電させることができない。よって、画像形成時など作像中にこのような帯電バイアスの調整を実行すると、地汚れなどの異常画像が発生してしまう。このため、特許文献2における帯電バイアスを調整する方法では、帯電バイアスの調整が、印刷工程前、紙間等の非作像時という限られた条件でしか行うことができなかった。
【0011】
また、特許文献3においては、帯電部材に供給される電流の値が、飽和電流値となるまで、交流電圧のピーク間電圧値を変えて繰り返し電流値の測定が行われる。よって、特許文献3においても、飽和電流値以下の交流電圧のピーク間電圧値で帯電バイアスの調整が実行されるため、画像形成時などの作像中にこのような帯電バイアスの調整を実行すると、地汚れなどの異常画像が発生してしまう。このため、特許文献3の帯電バイアスを調整する方法でも、帯電バイアスの調整を、印刷工程前、紙間等の非作像時という限られた条件でしか行うことができなかった。
【0012】
よって、帯電バイアス調整時には、所定のパターン像を形成して画質調整を行う画質調整動作などの作像を伴う調整を実行することができなかった。このため、電源投入時に、帯電バイアス調整や画質調整などの各種調整動作を行うウォームアップ動作時においては、帯電バイアス調整終了後、画質調整動作などの作像動作を伴う調整動作を行うため、ウォームアップ動作が長くなるという不具合が生じる。
【0013】
また、ウォームアップ動作終了後の所定のタイミングで行う帯電バイアス調整においても、帯電バイアス調整動作が終了するまで、画像形成動作を実行することができず、生産性を低下させる不具合も生じる。
【0014】
[課題2]
従来、図24に示すような手順で帯電バイアスが調整される。すなわち、まず、帯電部材に所定の帯電バイアス(交流電圧のピーク間電圧)を印加して、帯電部材に供給される交流電流値など、帯電バイアスを印加したときの所定の特性を検知する。次に、検知結果が目標値の範囲内であるか否かを判定する。所定の範囲内でない場合は、帯電バイアス(交流電圧のピーク間電圧)を切り替えて、再び、所定の特性を検知して、検知結果が目標値の範囲内であるか否かを判定する。そして、検知結果が目標値の範囲内に入るまで、上述の検知→判定→切り替えの工程が繰り返し行われる。
【0015】
このため、帯電バイアスの調整の時間が著しく長いものとなってしまう。その結果、装置の電源投入時のウォームアップ動作において、像担持体に画像を形成し形成した画像に基づいて画質調整を行う画質調整動作など、帯電バイアス調整後に行う調整動作を開始するタイミングが長引いてしまう。これにより、電源投入時のウォームアップ動作が長くなるという不具合が生じる。また、紙間など、所定のタイミングで帯電バイアス調整を実行した場合は、帯電バイアス調整後に実行される印刷が開始されるタイミングが遅くなり、生産性を低下させる不具合を生じてしまう。
【0016】
本発明の第1の目的は、上記課題1に鑑みなされたものであり、帯電バイアスの調整を作像時、非作像時を問わず、いつでも実施することのできる画像形成装置および帯電バイアス調整方法を提供することである。
【0017】
また、本発明の第2の目的は、上記課題2に鑑みなされたものであり、帯電バイアスの調整動作を短縮することのできる画像形成装置および帯電バイアス調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体と、前記像担持体に対して接触または非接触に配置され、直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスが印加される帯電部材とを備えた画像形成装置において、前記帯電部材に印加される交流電圧の調整を、前記像担持体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の範囲内の交流電圧で行うことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、前記交流電圧の調整を、印刷と並列実行することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、前記交流電圧の調整を、他の調整動作と並列実行することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、前記調整動作は、像形成動作を伴う調整動作であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、前記像形成動作を伴う調整動作は、画質調整動作であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4の画像形成装置において、前記像形成動作を伴う調整動作は、位置合わせ調整動作であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6いずれかの画像形成装置において、電源投入後に前記帯電部材に最初に印加する交流電圧を、前記像担持体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の交流電圧にすることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、電源投入後に前記帯電部材に最初に印加する交流電圧を、環境条件に応じて決定することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、前記環境条件は、温度であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項8の画像形成装置において、前記環境条件は、相対湿度であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項8の画像形成装置において、前記環境条件は、絶対湿度であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至11の画像形成装置において、前記交流電圧の調整は、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値が、目標値に対して所定の幅を有する目標範囲に入るように前記交流電圧のピーク間電圧を調整するものであって、環境条件を検出し、検出した環境条件に基づいて、前記目標値を決定することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項12の画像形成装置において、前記環境条件と前記目標値とが関連づけられたテーブルを記憶手段に記憶しておき、検知した環境条件とテーブルとに基づいて、前記目標値を決定することを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項12または13の画像形成装置において、検出した環境条件に基づいて、前記目標値が変更されたタイミングで交流電圧の調整を実行することを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項12乃至14いずれかの画像形成装置において、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値は、電流値であって、前記交流電圧の調整は、前記電流値が目標範囲内に入るように、交流電圧を調整することを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、像担持体と、前記像担持体に対して接触または非接触に配置され、直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスが印加される帯電部材とを備えた画像形成装置において、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出し、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定し、検出した出力値が目標範囲内でない場合は、交流電圧を切り替えるという動作を行って交流電圧の調整を行う制御手段を有し、前記交流電圧の調整を、検出した出力値が目標範囲内に入るまで繰り返し行わずに、複数回に分割して行うことを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項16の画像形成装置において、前記交流電圧の調整の内容を調整の回数に応じて異ならせたことを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項17の画像形成装置において、電源投入後、1回目の交流電圧の調整が、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出し、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定し、検出した出力値が目標範囲内でない場合は、交流電圧を切り替えるという動作を、複数回繰り返して終了する調整であり、2回目以降の調整が、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出し、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定し、検出した出力値が目標範囲内でない場合は、交流電圧を切り替えるという動作を一回行って終了する調整であることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項16または17の画像形成装置において、前記交流電圧の調整が、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出し、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定し、検出した出力値が目標範囲内でない場合は、交流電圧を切り替えるという動作を一回行って終了する調整であることを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項17乃至19いずれかの画像形成装置において、電源投入後、1回目の交流電圧の調整時の交流電圧の調整量を、2回目以降の交流電圧の調整時の交流電圧の調整量よりも大きくすることを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、請求項17乃至20いずれかの画像形成装置において、前記交流電圧の調整の回数に基づいて前記目標範囲を異ならせることを特徴とするものである。
また、請求項22の発明は、請求項21の画像形成装置において、電源投入後、1回目の交流電圧の調整時の目標範囲を、2回目以降の交流電圧の調整時の目標範囲よりも広くすることを特徴とするものである。
また、請求項23の発明は、請求項17乃至22いずれかの画像形成装置において、交流電圧の調整量は、前記出力値の目標値と検出した出力値とに基づいて算出されることを特徴とするものである。
また、請求項24の発明は、請求項23の画像形成装置において交流電圧の調整量は、前記出力値の目標値と検出した出力値との差分値に係数を乗算することで算出されるものであって、上記係数を、前記交流電圧の調整の回数に応じて異ならせることを特徴とするものである。
また、請求項25の発明は、請求項24の画像形成装置において、電源投入後、1回目の交流電圧の調整時における交流電圧の調整量を算出するときに用いる係数を、2回目以降の交流電圧の調整時における交流電圧の調整量を算出するときに用いる係数よりも大きい値とすることを特徴とするものである。
また、請求項26の発明は、請求項16乃至25いずれかの画像形成装置において、交流電圧の調整で検出した出力値が目標範囲内でなかった後に行う交流電圧の調整の間隔を、検出した出力値が目標範囲内であった後に行う交流電圧の調整の間隔よりも短くしたことを特徴とするものである。
また、請求項27の発明は、請求項26の画像形成装置において、前記交流電圧の調整で検出した出力値が目標範囲内であった後に行う交流電圧の調整の間隔を、環境変化量に基づき決定されることを特徴とするものである。
また、請求項28の発明は、請求項26または27の画像形成装置において、前記交流電圧の調整で検出した出力値が目標範囲内であった後に行う交流電圧の調整を、複数枚画像形成後に行うことを特徴とするものである。
また、請求項29の発明は、請求項26乃至28いずれかの画像形成装置において、前記交流電圧の調整で検出した出力値が目標範囲内でなかった後に行う交流電圧の調整を、画像形成動作毎に行うことを特徴とするものである。
また、請求項30の発明は、像担持体と、前記像担持体に対して接触または非接触に配置され、直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスが印加される帯電部材とを備えた画像形成装置において、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出し、該出力値に基づいて交流電圧を調整する交流電圧の調整を、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出する動作と、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定する動作と、交流電圧を切り替える動作とに分割して行うことを特徴とするものである。
また、請求項31の発明は、像担持体に対して接触または非接触に配置された帯電部材に印加される直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスを調整する帯電バイアス調整方法において、像担持体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の範囲内の交流電圧で帯電バイアスの調整を行うことを特徴とするものである。
また、請求項32の発明は、像担持体に対して接触または非接触に配置された帯電部材に印加される直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスを調整する帯電バイアス調整方法において、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出する工程と、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定する工程と、検出した出力値が目標範囲内でない場合は、交流電圧を切り替える動作を行って交流電圧の調整を行う工程とを有する帯電バイアス調整動作を、検出した出力値が目標範囲内に入るまで繰り返し行わずに、複数回に分割して行うことを特徴とするものである。
また、請求項33の発明は、像担持体に対して接触または非接触に配置された帯電部材に印加される直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスを調整する帯電バイアス調整方法において、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出する工程と、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定する工程と、交流電圧を切り替える工程とに分割して帯電バイアスの調整を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1乃至15および31の発明によれば、像担持体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の範囲内の交流電圧で交流電圧調整を行うことで、交流電圧調整時に、像形成動作を行っても地汚れなどの異常画像が発生することがない。よって、作像時、非作像時を問わず、いつでも交流電圧調整を行うことができる。これにより、交流電圧の調整を、作像を伴う動作と並行実施が可能となり、電源投入時のウォームアップ時間を大幅に短縮することができる。また、従来のように、交流電圧調整動作が終了するまで、印刷の開始を待つことがなくなり、生産性の低下を抑制することができる。
【0020】
また、請求項16乃至30および32、33の発明によれば、交流電圧の調整を、検出した出力値が目標範囲内に入るまで繰り返し行わずに、複数回に分割して行うことで、次の効果を得ることができる。すなわち、検出した出力値が目標範囲内に入るまで繰り返し行うものに比べて、1回の交流電圧調整の時間を、短くすることができる。よって、交流電圧調整終了後に行われる各種動作の開始タイミングを早めることができ、ウォームアップ時間を短縮することができるとともに、生産性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態に係る複写機全体の概略構成図。
【図2】同複写機のK用の画像形成手段を示す拡大構成図。
【図3】帯電装置周辺の拡大構成図。
【図4】帯電ローラとその支持構造を示す図。
【図5】電源装置と制御部の機能ブロック図。
【図6】交流電圧を定電圧制御したAC印加方式における帯電ローラに印加するピーク間電圧値と感光体表面の帯電電位との関係を示す図。
【図7】交流電圧を定電流制御したAC印加方式における帯電ローラに印加するピーク間電圧値と感光体表面の帯電電位との関係を示す図。
【図8】交流電圧の調整のタイミングチャートの一例を示す図。
【図9】(a)は、電源投入後1回目に行われる交流電圧調整のフロー図。(b)は、2回目以降に行われれる交流電圧調整のフロー図。
【図10】目標範囲に収まった後に交流電圧の調整のタイミングを所定枚数通紙後にしたときのタイミングチャート。
【図11】目標範囲に収まった後に交流電圧の調整のタイミングを環境の変化量としたときのタイミングチャート。
【図12】目標範囲に収まった後に交流電圧の調整のタイミングを目標値が変更された後としたときのタイミングチャート。
【図13】印刷工程が短いときの交流電圧の調整のタイミングと印刷工程との関係を示したタイミングチャート。
【図14】電源ON時の環境がLL環境(10℃15%RH)のときの従来制御における通紙枚数と交流電圧との関係、および本発明制御における通紙枚数と交流電圧との関係をそれぞれ示す図。
【図15】粗調係数のみでピーク間電圧の調整を行ったときの調整回数と、微調係数のみでピーク間電圧の調整を行ったときの調整回数と、1回目粗調係数、2回目以降微調係数でピーク間電圧の調整を行ったときの調整回数とを示す図。
【図16】FB電圧値の変動について調べた図。
【図17】本実施形態の変形例におけるタイミングチャート。
【図18】(a)は、本実施形態の変形例における1回目の交流電圧調整のフローチャート。(b)は、2回目以降の交流電圧調整のフローチャート。
【図19】画質調整動作時に中間転写ベルト上に作像される検知パターンを示す図。
【図20】位置合わせ調整動作時に中間転写ベルト上に作像される検知パターンを示す図。
【図21】1回目の交流電圧調整を画質調整動作と並行実行したときのタイミングチャート。
【図22】交流電圧調整を、調整動作1と調整動作2と調整動作3とに分割したときの各調整動作の開始タイミングを示すタイミングチャート。
【図23】各調整動作のフロー図。
【図24】従来の交流電圧調整の一例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用する画像形成装置としての複写機の一例を示す概略構成図である。図1において、符号100は複写機本体であり、符号200はそれを載せる給紙テーブルであり、符号300は複写機本体100上に取り付けるスキャナであり、符号400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
【0023】
複写機本体100には、その中央に、像担持体としての中間転写体であるベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての支持ローラ14,15,16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。これらの3つの支持ローラのうちの第2支持ローラ15の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。また、3つの支持ローラのうちの第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間に張り渡したベルト部分には、そのベルト移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部18が並べて配置されたタンデム画像形成部20が対向配置されている。本実施形態においては、第3支持ローラ16を駆動ローラとしている。また、タンデム画像形成部20の上方には、潜像形成手段としての露光装置21が設けられている。
【0024】
また、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成部20の反対側には、第2の転写手段としての2次転写装置22が設けられている。この2次転写装置22においては、2つのローラ23間に記録材搬送部材としてのベルトである2次転写ベルト24が掛け渡されている。この2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第3支持ローラ16に押し当てられるように設けられている。この2次転写装置22により、中間転写ベルト10上の画像を記録材であるシートに転写する。また、この2次転写装置22の図中左方には、シート上に転写された画像を定着する定着装置25が設けられている。この定着装置25は、ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて持たせることが難しくなる。また、本実施形態では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28も設けられている。
【0025】
上記複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
この原稿読取りに並行して、図示しない駆動源である駆動モータで駆動ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14,15が連れ回り回転する。また、これと同時に、個々の画像形成部18において潜像担持体としての感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kを回転させ、各感光体ドラム上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー画像(顕像)を形成する。そして、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0026】
このような画像形成に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を転写する。画像転写後のシートは、2次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
なお、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0027】
次に、上述したタンデム型画像形成部20の画像形成手段18について説明する。なお、ここでは、K色の画像形成手段18Kについて説明するが、Y、M,Cの画像形成手段も同様の構成をしている。画像形成手段18Kは、例えば図2に示すように、ドラム状の感光体40Kの周りに、帯電装置60K、電位センサ710K、現像装置61K、感光体クリーニング装置63K、図示しない除電装置などを備えている。電位センサ710Kは感光体40Kの表面電位を検出する。
【0028】
画像形成時には、感光体40Kは、図示しない駆動モータによって回転駆動される。そして、帯電装置60Kによって一様帯電せしめられた後、レーザー書込装置21からの書き込み光Lによって露光されて静電潜像を担持する。スキャナ300からのカラー画像信号は、図示しない画像処理部で色変換処理などの画像処理が施され、K,Y,M,Cの各色の画像信号としてレーザー書込装置21へ出力される。レーザー書込装置21は、画像処理部からのKの画像信号を光信号に変換し、この光信号に基づいて感光体40Kを走査して露光することで静電潜像を形成する。
【0029】
この感光体40K上の静電潜像は現像装置61Kによって現像されてKトナー像となり、1次転写装置62Kによって感光体40K上のKトナー像が中間転写ベルト10上の転写紙Sに一次転写される。感光体40Kは、トナー像転写後に感光体クリーニング装置63Kによって残留トナーがクリーニングされ、図示しない除電装置により除電されて次の画像形成に備えられる。
【0030】
同様にして、トナー像形成手段18Y,M,Cは、ドラム状の感光体40Y,M,Cの周りに、帯電装置、電位センサ、現像装置、感光体クリーニング装置、除電装置などを備えている。そして、感光体40Y、40M、40CにY,M,Cトナー像を形成し、これらは中間転写ベルト10上に重ね合わせて1次転写される。
【0031】
本実施形態の画像形成装置には、形成する画像の色がフルカラーのときには全ての感光体40Y,40M,40C,40BKを中間転写体10表面に接触させておくフルカラーモードと、黒単色のときには黒以外の感光体40Y,40M,40Cを中間転写体10表面から離間させるモノクロモードとを備えている。また、本実施形態の画像形成装置には、スキャナで読み取った原稿画像がモノクロ画像かカラー画像かを検知して、自動的にモノクロモードとフルカラーモードとに切替るオートカラーチェンジモードも備えている。モノクロモードには、K色の感光体以外の感光体を中間転写ベルトから相対的に離間させて画像形成を行う第1モノクロモード、K色以外の現像装置の動作を停止させる第2モノクロモードの2種類ある。この第2のモノクロモードは、オートカラーチェンジモードが選択されているときに実行されるモードである。モノクロモード、フルカラーモード、オートカラーチェンジモードの切替は、ユーザーの意思で決定して入力できるよう、手動操作手段たる図示しない操作パネルに入力部を設けている。
【0032】
ユーザーによって、モードを選択可能としているので、次のような利点がある。例えば、原稿画像は、カラー画像であるが、ユーザーがモノクロ画像にしたい場合は、ユーザーが操作パネルを操作して、モノクロモードを選択すれば、ユーザーの所望どおりのモノクロ画像を得ることができる。また、ユーザーがモノクロモードを選択したときは、常にY、M、Cの感光体が中間転写ベルト10から離間しているので、Y、M、Cの感光体の劣化を抑制することができる。
【0033】
また、ユーザーによってカラーモードが選択されると、オートカラーチェンジモードのようにモノクロ画像の場合は、モノクロモードに切り替わることがない。よって、カラー原稿とモノクロ原稿が混在した複数の原稿を連続して印刷するときの印刷スピードは、オートカラーチェンジモードよりもは速い。その結果、ユーザーが、カラーモードを選択することで、ユーザーは、カラーとモノクロが混在した複数の原稿の印刷画像を早く手に入れることができる。
【0034】
次に、帯電装置60について詳細に説明する。
図3、帯電装置60の一例を示す図である。
帯電装置60は、感光体40の表面に微小ギャップGをあけて対向配置された帯電部材である帯電ローラ2と、その帯電ローラ2に電圧を印加する電源装置3と、電源装置3を制御する制御手段4とを有している。帯電ローラ2は、導電性の芯金5の外周面に弾性層6を積層し、その弾性層6の外周面に高抵抗層7を積層したローラより成る。弾性層6の代りに、例えば樹脂より成る硬質の外層を用いることもでき、また高抵抗層7を省略することもできる。いずれの場合も外層は中抵抗の導電性材料より成ることが好ましい。
【0035】
図4に示すように、帯電ローラ2は、感光体40に対向し、かつその感光体40に対して平行に延びている。帯電ローラ2の軸方向の両端部には、感光体40の画像形成領域Xより軸方向端部側の非画像形成領域Yに対応する位置にギャップ形成部材たるスペーサ2aが設けられている。このスペーサ2aが感光体1の非画像形成領域に接触して、帯電ローラ2が感光体40と連れ回る。また、このスペーサ2aにより、感光体40の画像形成領域と帯電ローラ2とは、非接触の状態で両者の間に所定のギャップGが形成される。スペーサ2aは、絶縁体または帯電ローラ2の抵抗層7以上の体積抵抗率を有するテープより成り、帯電ローラ2に貼り付けられている。
【0036】
帯電ローラの芯金5の両端部は、それぞれ軸受5aにより回転自在に支持されている。各軸受5aは、帯電装置60のケーシング8の側板8aに設けた長孔8bに感光体に対して接離する方向に摺動自在に嵌合している。また、軸受5aは、加圧手段たる圧縮ばね9によって、感光体40の表面に向けて加圧されている。圧縮ばね9の加圧力は、感光体40の回転駆動により、帯電ローラ2が略等速で連れ周りを生じる大きさとすることが好ましい。これにより、スペーサ2aが感光体40の表面に所定の圧力で圧接し、帯電ローラ2が感光体40と良好に連れ回ることができる。また、微小ギャップGを精度良く維持することが可能となる。また、帯電ローラを図示しない駆動モータによって回転駆動させても良い。
【0037】
また、帯電ローラ2aの芯金5には、電源装置3が電気的に接続されており、帯電ローラ2に所定の帯電バイアスが印加されている。これにより、帯電ローラ2と感光体表面との間の空隙に放電が生ぜしめられ、感光体40の少なくとも画像形成領域Xが所定の極性に帯電される。
【0038】
図5は、電源装置3と制御部4の機能を説明するブロック図である。
この制御部4は、帯電装置内に備えられており、帯電装置の電源を制御するために用いられるものであってもよいし、画像形成装置内の画像形成動作を制御する制御部4であってもよい。制御部4は、記憶装置に記憶されている帯電バイアス値(直流電圧値、交流電圧のピーク間電圧値Vpp、交流電圧の周波数など)を記憶装置から読み出して、電源装置へ信号を出力する。電源装置3は信号に基づいて、電圧出力部24から、帯電バイアスを帯電ローラ2に印加する。電源装置3には、微小固定抵抗rが設けられており、この微小抵抗の両端にかかる電圧値を測定して、帯電ローラに供給される電流値Icacを電圧変換したフィードバック電圧値(FB値)として制御部4に出力するようになっている。
【0039】
ここで、帯電ローラ2と感光体40との間のギャップGは、その帯電ローラ2と感光体40の偏心や、その作動時の振動などによって周期的又はランダムに変動する。このため、帯電ローラ2に印加する帯電バイアスが直流電圧だけのDC印加方式を用いた従来の帯電装置60においては、前述のように、感光体上に形成されたトナー像に濃度むらが発生する欠点を免れなかった。
【0040】
そこで、本実施形態の帯電装置60の電源装置3は、帯電ローラ2に印加する帯電バイアスとして定電圧制御された直流電圧に、ピーク間電圧が定電圧制御された交流電圧を重畳するAC印加方式としている。これにより、ギャップGが変動しても、帯電後の像担持体5の表面電位をほぼ一定に保つことができる。
【0041】
AC印加方式は、定電圧制御された直流電圧に、定電流制御された交流電圧を帯電部材2に印加する方法と、定電圧制御された直流電圧に、定電圧制御された交流電圧を帯電部材2に印加する方法とがある。
【0042】
図6は、−750Vの直流定電圧と、ピーク間電圧Vppが定電圧制御された交流電圧を重畳した電圧を帯電ローラ2の芯金5に印加して、感光体表面を帯電したときの、そのピーク間電圧Vppと像担持体の表面電位との関係の一例を示す説明図である。各線X1,X2,X3及びX4は、ギャップGがそれぞれ80μm、60μm、40μm及び20μmのときの関係を示している。交流電圧の周波数は一定である。
【0043】
図6から判るように、ギャップGがいかなるときも、交流のピーク間電圧Vppが或る値以上となると、像担持体の表面電位はほぼ一定の値を示し、その値は帯電ローラ2に印加した直流定電圧(図の例では−750V)にほぼ一致している。すなわち、ギャップGが80μmのときは、ピーク間電圧がVp1以上となると像担持体の表面電位はほぼ−750Vの一定の値となり、同様にギャップGがそれぞれ60μm、40μm、0のときは、ピーク間電圧がそれぞれVp2、Vp3、Vp4以上となると、感光体の表面電位は、全てほぼ−750Vの一定の値となる。すなわち、定電圧制御された直流電圧に、定電流制御された交流電圧を帯電ローラ2に印加する方法の場合は、感光体40の表面電位をほぼ一定の値に帯電するために必要な交流のピーク間電圧Vppは、ギャップに依存することがわかる。
【0044】
また各種検討の結果、帯電ローラ2のまわりの雰囲気が高温高湿環境となると、帯電ローラ2の弾性層6の抵抗値が変化する。このため、図3に示した各線X1,X2,X3,X4がこの図における左方にシフトした状態となり、逆に低温低湿環境下では、右方にシフトした状態となる。
【0045】
このAC印加方式の場合、像担持体の表面電位をほぼ一定の値に帯電させることのできるピーク間電圧を帯電ローラ2に印加すればよいので、例えば図5のVp5で示した大きな電圧を印加すればよい。このようにすれば、ギャップや環境変動が生じても、感光体40の表面電位をほぼ一定の値に帯電させることができる。
【0046】
ところが、ピーク間電圧値が大きくなりすぎると、感光体40が疲労しやすくなる。例えば、最大ギャップが80μmであったとき、帯電ローラ2に対しVp5のピーク間電圧を印加したとすると、特に、回転する感光体40と帯電ローラ2との間のギャップGが最小となった時、帯電ローラ2に印加される電圧値が過剰となる。このため、帯電ローラ2と感光体5との間に形成される電界の強さが強くなりすぎて感光体の疲労が促進され、その寿命が短くなる。しかも感光体表面にトナーフィルミングが形成されやすくなり、これによって異常画像が発生するおそれもある。
【0047】
図7は、定電圧制御された直流電圧に、定電流制御された交流電圧を帯電ローラ2に印加する方式を採用した場合、感光体5と帯電ローラ2との間のギャップGが、G1、G2、G3と変化したときに、帯電ローラ2に供給される電流値に対して、感光体表面の帯電電位がいかに変化するかを示した説明図である。ここでは、G1は80μm、G2は60μm、G3は40μmであり、帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数は一定である。また図7の横軸は、帯電ローラ2に供給される交流の電流値(実効値)であり、直流成分の電流値は含まれていない。但し、直流成分の電流値は、交流成分の電流値に比べて極めて低く、従って直流成分の電流値を含めた値と像担持体表面の帯電電位の関係も、実質的に図7に示したところと変りはない。本明細書における「電流」又は「電流値」なる文言は、特に、ことわりのない限り、帯電ローラ2に印加される交流の電流又はその電流値(実効値)を意味するものとする。
【0048】
図7から判るように、ギャップGがいかに変動しても、帯電ローラ2に供給される電流値と感光体表面の帯電電位の関係はほぼ一定となる。そして、その電流値がI0以上になると、感光体表面の帯電電位はほぼ一定の値に維持され、その値は、帯電ローラ2に印加した直流定電圧(図の例では−750V)の値にほぼ一致する。帯電ローラ2に印加する直流定電圧の値が、0Vを含めたいかなるときも、帯電ローラ2に供給される電流値がI0となったとき、感光体表面の帯電電位はほぼ一定の値に保たれる。これは、環境が変化したときも同様である。従って、帯電ローラ2にI0以上の定電流を供給することによって、帯電後の感光体の表面電位を一定に保ち、濃度むらのない高品質な画像を形成することが可能となる。
【0049】
上述したように、特に画像形成装置においては、定電流制御された交流電圧を採用したAC印加方式を採用することが有利である。ところが、本発明者が定電流制御された交流電圧を用いたAC印加方式を詳細に検討したところ、この方式にも次に説明する重大な欠点のあることが明らかとなった。
【0050】
このAC印加方式は、帯電ローラ2と感光体40との間のギャップGが変動しても、帯電ローラ2に常に一定の電流が供給されるように、帯電ローラ2に印加する交流電圧のピーク間電圧値をそのギャップGの変動に対応させて変化させる制御方式である。従って、理想的な定電流制御を行うことができれば、その定電流値をI0以上に設定することによって、帯電後の感光体の表面電位を常に一定に保つことができる。
【0051】
ところが、一般に使用されている電源装置3の場合、ギャップGの変動に追従して、そのギャップGの大きさに対応した値の電圧を出力する。このとき、或る応答時間が必要とされるため、その出力のタイミングがギャップGの変動に追いつかない。すると、或る瞬間のギャップGの大きさがG1であったとしたとき、帯電ローラ2に例えばI0の定電流を供給すべく、そのギャップG1に適したピーク間電圧を帯電ローラ2に印加した時、ギャップGの大きさは既にG1以外の大きさに変化する。その結果、そのギャップGの大きさに見合っていないピーク間電圧が帯電ローラ2に印加されることになる。これにより、帯電ローラ2に過多な電圧が印加されたときには像担持体表面の電位が高くなりすぎてしまう。その結果、逆に帯電ローラ2に過少の電圧が印加されたときは、感光体表面の電位が低くなってしまい、その表面電位にむらができることになる。かかる感光体表面を露光して静電潜像を形成し、これをトナー像として可視像化すれば、特にそのハーフトーン画像に濃度むらが発生し、その濃度むらが横すじ模様として現われ、その画質が劣化する欠点を免れない。
【0052】
このため、本実施形態のAC印加方式は、定電圧制御された直流電圧に、定電圧制御された交流電圧を帯電ローラ2に印加する方法を採用している。しかしながら、交流電圧を定電圧制御した場合、上述したように、ギャップの変動や環境変動によって、感光体の表面電位をほぼ一定の値に帯電するために必要最小限の交流のピーク間電圧Vppが変動する。このため、所定の間隔で像担持体の表面電位をほぼ一定の値に帯電することができ、しかも、像担持体表面にトナーフィルミングが形成されにくい交流のピーク間電圧Vppに調整する必要がある。
【0053】
従来の交流のピーク間電圧Vppの調整は、図24に示したように、まず、帯電部材に所定の帯電バイアス(交流電圧のピーク間電圧)を印加して、帯電部材に供給される交流電流値を検知する。次に、検知結果が目標値の範囲内であるか否かを判定する。所定の範囲内でない場合は、交流電圧のピーク間電圧を切り替えて、再び、交流電流値を検知して、検知結果が目標値の範囲内であるか否かを判定する。そして、交流電流値が目標値の範囲内に入るまで、上述の検知→判定→切り替えが繰り返し行われる。
【0054】
そして、このような交流のピーク間電圧Vppの調整は、電源ON時のウォームアップ時に行われている。従来の交流のピーク間電圧Vppの調整は、交流電流値が目標値の範囲内に入るまで、交流電圧の検知→交流電流値が目標値の範囲内否かの判定→交流電圧Vpp切り替えの動作が繰り返し行われるため、交流のピーク間電圧Vppの調整が長くなる。
電源ON時のウォームアップ動作のときは、通常、交流のピーク間電圧Vppの調整を行った後、パターン像を形成しそのパターン像に基づいて、露光時間や現像バイアスを調整する画質調整動作を行う。交流のピーク間電圧Vppの調整が長いと、それだけ、画質調整動作など、交流のピーク間電圧Vppの調整が終了した段階で行う調整動作の開始タイミングが遅くなる。その結果、電源ON時のウォームアップの時間が長くなり、電源投入時から、印刷を行えるようになるまでの時間が長くなる。その結果、電源投入時において、ユーザーを長時間待たせてしまう問題が生じる。
【0055】
また、画像形成動作を繰り返し行うと、定着装置の熱の影響などのよって、装置内の環境が、電源ON時と大きく異なってくる。このように、装置内の環境が大きく異なると、電源ON時に調整した交流のピーク間電圧Vppが適正なものでなくなり、トナーフィルミングや白ぽちなどの異常画像を引き起こす問題があった。そこで、所定の通紙枚数毎に交流のピーク間電圧Vppの調整を行う必要がある。
従来の交流のピーク間電圧Vppの調整は、感光体表面が帯電を開始する帯電開始電圧Vthの2倍以下のピーク間電圧Vppで調整が行われる場合があった。このため、画像形成動作など、作像動作と並列実行すると、地汚れなどの異常画像が発生するおそれがあったので、交流のピーク間電圧Vppの調整は、作像動作と並行して実行することができなかった。よって、従来においては、ピーク間電圧Vppの調整が終了してから、画像形成動作を行っていた。その結果、ピーク間電圧Vppの調整が終了するまで、画像形成動作が行えないため、生産性が落ちてしまう。特に、上述のように、交流電流値が目標値の範囲内に入るまで繰り返し交流のピーク間電圧Vppの調整動作が行われるため、調整動作が長くなり、生産性が著しく低下してしまう。このため、従来では、200枚通紙毎にピーク間電圧Vppの調整動作を行って、生産性の低下を抑制している。しかしながら、次の調整が実行されるまで間、感光体表面にトナーフィルミングや白ぽちが形成されやすくなってしまう。
【0056】
そこで、本実施形態の交流のピーク間電圧Vppの調整は、次の2点の構成を備えることで、交流のピーク間電圧Vppの調整時間を短縮することができ、作像動作と並列実行できるようにした。すなわち、1.感光体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の範囲内の交流電圧で交流のピーク間電圧Vppの調整を行う点、2.交流のピーク間電圧Vppの調整を、交流電流値が目標範囲内に入るまで繰り返し行わずに、複数回に分割して行う点である。
【0057】
以下に、本実施形態の交流のピーク間電圧Vppの調整について具体的に説明する。
【0058】
図8は、本実施形態の交流のピーク間電圧Vppの調整動作のタイミングチャートであり、図9は、本実施形態の交流のピーク間電圧Vppの調整動作のフローチャートである。図9(a)は、装置の電源がONされて、1回目に行う交流のピーク間電圧Vppの調整動作のフローであり、図9(b)は、2回目以降の交流のピーク間電圧Vppの調整動作のフローである。
【0059】
まず、電源投入後1回目に行う交流のピーク間電圧Vppの調整動作について、説明する。
感光体を回転駆動させるドラムモータがONし、帯電ローラに交流電圧と直流電圧とが印加されたら、交流電流値を検知動作を開始する(S1)。
具体的には、帯電ローラに供給される電流値Icacを電圧値に変換したFB電圧値のサンプリングを行う。この電流値Icacを電圧値に変換したFB電圧値は、先の図5に示すように、微小抵抗rの両端にかかる電圧値を測定したものである。測定間隔は8msで、感光体1周分サンプリングする。本実施形態においては、感光体の1周の所要時間は672msであるので、サンプリングデータとしては、(672/8)=84ポイント分のFB電圧値が制御部4に取り込まれる。このようにして取り込まれた感光体1周分(84ポイント分)のサンプリングデータたるFB電圧値について平均化処理を行い、検出FB値を算出する。
【0060】
このようにして、交流電圧値(検出FB値)を検出したら、次に、調整目標範囲内か否かチェックする(S2)。
具体的には、予め記憶装置に記憶されている最適な交流電流値Icacを読み出し、これを上述同様微小固定抵抗rで電圧変換し、目標値である目標FB値を算出する。また、図示しない温湿度検知センサで機内の温湿度を検知し、その検知結果に合致する目標電流値Icacを記憶装置に記憶されている表1に示すようなテーブルから読み出してもよい。
【表1】

【0061】
そして、上記目標FB値と上記検知FB値との差分値を算出し、差分値が目標範囲内か否かチェックする。この1回目のピーク間電圧Vppの調整動作の目標範囲は、0.04としている。差分値が調整目標範囲内の場合(S2のYES)、フラグを立てて(S5)終了する。一方、差分値が調整目標範囲外の場合(S2のNO)、交流電圧の切り替えを行う(S3)。
【0062】
交流電圧のピーク間電圧の調整量ΔVppを次式により算出する(S11)。
ピーク間電圧調整量ΔVpp[kV]=α1×(目標FB値−検出FB値)・・・(式1)
【0063】
上記粗調係数α1が大きければ、大きいほど目標FB値と検出FB値との差分に対するピーク間電圧の調整量が大きくなる。本実施形態においては、この粗調係数α1を500としている。そして、切り替える交流電圧のピーク間電圧を次式により、算出する。
ピーク間電圧Vpp[kV]=現在のピーク間電圧Vpp[kV]+ピーク間電圧調整量ΔVpp[kV]・・・(式2)
【0064】
次に、算出した次回ピーク間電圧が、ピーク間電圧の下限値Vp未満か否かをチェックする。このピーク間電圧の下限値Vpは、帯電開始電圧Vthの2倍以上の値である。先の図6に示すように、帯電開始電圧Vthの2倍の値は、ギャップによって変動するため、例えば、帯電ギャップがX3(40μm)の場合は、Vp3以上に設定する。この下限値は、予め実験により求めてある値であり、記憶装置に記憶させている。そして、算出した次回ピーク間電圧が下限値Vp未満の場合、下限値Vpにピーク間電圧を切り替える。一方、算出しピーク間電圧が、下限値Vp以上の場合は、この算出したピーク間電圧に切り替える。
【0065】
次に、交流のピーク間電圧Vppを切り替えたら、ループ回数がN(整数)回か否かチェックする。本実施形態においては、ループ回数を2回に設定している。ループ回数がN(整数)回以下のときは、ループ回数をインクリメントして、S1以降の処理を繰り返す。一方、ループ回数がN(整数)回のときは、フラグを立てて(S5)終了する。
【0066】
以上が、電源投入後、1回目に行う交流のピーク間電圧Vppの調整動作である。1回目の交流のピーク間電圧Vppの調整における、粗調係数α1、目標範囲は、1回のピーク間電圧の切り替えで、目標範囲に入るよう、予め実験により求めた値に設定するのが好ましい。
【0067】
次に、2回目以降に行う交流のピーク間電圧Vppの調整動作について説明する。
印刷開始命令がきた際、2回目の交流のピーク間電圧Vppの調整を開始する。具体的には、印刷命令がきた際に、フラグが立っているかどうかをチェックして、フラグが立っている場合、交流のピーク間電圧Vppの調整を開始する。
【0068】
2回目以降のピーク間電圧Vppの調整は、印刷工程(作像動作)と並行して実施する。1回目のピーク間電圧の調整で、交流のピーク間電圧Vppは、感光体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍の値である下限値Vp以上になっているので、2回目の交流のピーク間電圧の調整を印刷動作と並行して実行しても、地汚れなどの異常画像が生じることがない。
【0069】
2回目交流のピーク間電圧Vppの調整動作がスタートすると、作像動作(印刷工程)を開始するタイミングで、交流電流値を検知動作を開始する(S11)。交流電流値の検知動作を開始すると、感光体1周分(84ポイント分)のFB電圧値をサンプリングし、これらを平均化して、検出FB値を算出する。
【0070】
次に、目標FB値と検知FB値との差分値を算出し、差分値が調整目標範囲内か否かチェックする(S12)。2回目以降の交流のピーク間電圧Vppの調整における調整目標範囲は、0.02としている。
差分値が調整目標範囲内の場合(S12のYES)、フラグを倒して(S13)、終了する。一方、差分値が調整目標範囲外の場合(S12のNO)、ピーク間電圧Vppを切り替える。
【0071】
まず、ピーク間電圧Vppを切り替えるためのピーク間電圧調整量ΔVppを差分値から、次式を用いて算出する。
ピーク間電圧調整量ΔVpp=α2×(目標FB値−検出FB値)・・・(式3)
【0072】
2回目以降の交流のピーク間電圧Vppの調整動作におけるピーク間電圧調整量ΔVppの算出のために用いる係数は、1回目の交流のピーク間電圧Vppの調整におけるピーク間電圧調整量ΔVppの算出のために用いる粗調係数α1よりも小さい値の微調係数α2としている。すなわち、同じ差分値であったとき、2回目のピーク間電圧調整量ΔVppが1回目のピーク間電圧調整量ΔVppよりも少なくするのである。なお、本実施形態においては、微調係数α2を200としている。
【0073】
そして、切り替える交流電圧のピーク間電圧を上述の式2により、算出する。
【0074】
次に、算出したピーク間電圧が、ピーク間電圧の下限値Vp未満か否かをチェックして、算出した次回ピーク間電圧が下限値Vp未満の場合、ピーク間電圧を下限値Vpに切り替える。一方、算出したピーク間電圧が、下限値Vp以上の場合は、この算出したピーク間電圧に切り替える。
【0075】
このように、ピーク間電圧を切り替えたら、交流のピーク間電圧Vppの調整動作を終了する。
そして、次の印刷工程(作像動作時)でフラグをチェックし、フラグない場合は、交流電圧(検出FB値と目標FB値との差分値)が目標範囲に入っているので、次の印刷工程(作像動作)時に3回目の交流のピーク間電圧Vppの調整は行わない。この場合の3回目の交流のピーク間電圧Vppの調整の開始のタイミングは後述する。
一方、2回目の交流のピーク間電圧Vppの調整動作でピーク間電圧の切り替えが行われた場合は、フラグが消えていないので、次の印刷工程(作像動作)時に3回目の交流のピーク間電圧Vppの調整が行われる。
この3回目のピーク間電圧Vppの調整は、2回目のピーク間電圧Vppの調整と同じ内容でもよいし、2回目と異ならせてもよい。
【0076】
そして、3回目の交流のピーク間電圧Vppの調整で、検出FB値と目標FB値との差分値が目標範囲に入っていれば、フラグを消して、4回目の交流のピーク間電圧Vppの調整を次の印刷工程で行わない。
【0077】
このように、検出FB値と目標FB値との差分値が目標範囲に入り、交流のピーク間電圧が適正値に調整された後は、印刷工程毎に行わずに、例えば、図10に示すように、所定枚数(例えば、30枚)経過した後に、ピーク間電圧Vppの調整を行う。具体的に説明すると、制御部は、通紙枚数をカウントしており、カウント値が所定枚数(例えば、30枚)となったらフラグを立てる。制御部は、印刷開始時にフラグが立っているか否かを確認しているので、このようにフラグを立てることで、目標範囲にピーク間電圧が収まってから所定枚数(30枚)毎にピーク間電圧Vppの調整をスタートさせることができる。そして、図10に示すように、2回目の調整と同じ内容の調整を行い、ピーク間電圧Vppを調整する。
【0078】
また、これに限らず、図11に示すように、所定間隔で環境検知手段で環境を検知して、環境区分(LL環境からML環境に変わるなど)が変化したら、フラグを立てて、ピーク間電圧Vppの調整を行うようにしてもよい。
【0079】
また、図12に示すように、環境区分が変わったら、先の表1に示したテーブルに基づいて、目標値(調整下限値)も変更してから、ピーク間電圧Vppの調整を行うようにしてもよい。
【0080】
もちろん、上述に限らず、目標範囲に目標FB値と検出FB値との差分値が収まるか否かにかかわらず、印刷工程毎に交流のピーク間電圧の調整を行ってもよい。
【0081】
また、紙サイズの小さい用紙は、感光体1周分のサンプリングが終了する前に印刷工程が終わってしまう。このような場合は、図13に示すように、印刷工程終了後もサンプリングを続ける。また、このサンプリング中に、次の印刷指示命令がある場合は、サンプリング中か否かに関係なく、次の印刷工程を実施する。
【0082】
本実施形態では、2回目以降のピーク間電圧の調整時のピーク間電圧Vppは、感光体の帯電開始電圧Vthの2倍以上の範囲で行うようにして、印刷工程(画像形成動作)と並行実施している。このため、上述のように、通紙枚数30枚毎など、ピーク間電圧の調整の間隔を短くしても、生産性を落とすことがない。
【0083】
図14は、LL環境(10℃15%RH)でピーク間電圧調整を30枚毎に行ったときの通紙枚数と交流電圧のピーク間電圧との関係、およびピーク間電圧調整を200枚毎に行ったときの通紙枚数と交流電圧のピーク間電圧との関係を示した図である。図に示すように、従来の200枚毎にピーク間電圧の調整を行うものは、階段状にピーク間電圧が変位する。しかし、ピーク間電圧調整を30枚毎に行う本実施形態においては、図に示すように、常に機内環境に合った帯電バイアス(交流電圧のピーク間電圧Vpp)にすることができる。これにより、従来に比べて、図中斜線部分ピーク間電圧を下げることができ、従来に比べて、トナーフィルミングの余裕度を高めることができる。その結果、2000枚通紙後の感光体表面の状態を調べたところ、30枚毎に帯電バイアスの調整を行った本発明品においては、フィルミングが確認されなかったが、200枚毎に行った従来品は、感光体表面がフィルミング気味であった。
【0084】
また、本実施形態においては、1回目の交流のピーク間電圧Vppの調整におけるピーク間電圧調整量ΔVppの算出のために用いる係数を、粗調係数α1とし、差分値に対するピーク間電圧調整量ΔVppを多くし、2回目以降の交流のピーク間電圧Vppの調整におけるピーク間電圧調整量ΔVppの算出のために用いる係数を、粗調係数α1よりも小さい値の微調係数α2として、差分値に対するピーク間電圧調整量ΔVppを少なくしている。
これは、電源投入後に最初に行われる1回目の交流のピーク間電圧Vppの調整動作においては、前回調整された環境から大幅に異なっているため、ピーク間電圧Vppが最適値から大きく外れている可能性が高い。このため、係数を大きな値の粗調係数α1として、差分値に対するピーク間電圧の調整量を多くする。調整量を多くすることで、微調係数α2で行うものに比べて、目標FB値と検出FB値との差分値を目標範囲に早く近づけることができる。
また、1回目のピーク間電圧の調整で目標FB値と検出FB値との差分値は、目標範囲に近づく。よって、2回目以降の交流のピーク間電圧Vppの調整時の係数を粗調係数α1よりも小さい微調係数α2に変更して、差分値に対するピーク間電圧の調整量を少なくする。微調係数α2に変更して、調整量を少なくすることで、粗調係数α1で行うよりも、早く目標範囲内にピーク間電圧を収めることができる。
【0085】
図15に示すように、□でプロットした、粗調係数α1のみで、ピーク間電圧Vppの調整を行ったものは、2回目以降の調整の目標範囲(0.02)に入るのに、10回調整回数が必要である。また、●でプロットした微調係数α2のみで、ピーク間電圧Vppの調整を行ったものも、9回調整することで、目標範囲に収めることができる。
一方、1回目の調整を粗調係数α1で行い、2回目以降の調整を微調係数α2で行う◇でプロットした本発明においては、3回の調整で2回目以降の調整の目標範囲(0.02)に入ることができる。このように、1回目の調整を粗調係数α1で行い、2回目以降の調整を微調係数α2で行うことで、早くピーク間電圧を適正値に調整することができる。
さらに、本実施形態においては、目標値(調整の下限値)よりも高いピーク間電圧で調整が行われるので、白ぽちなどの異常画像が生じる虞がない。
【0086】
また、検出FB値が目標値(調整下限値)よりも大きい場合、粗調係数α1を用いてピーク間電圧を調整した場合、調整後のピーク間電圧が、白ぽち画像が発生するピーク間電圧となるおそれがある。よって、目標FB値から検出FB値を除算した値が、マイナスであるときは、粗調係数α1で行わずに、微調係数α2で行うようにしてもよい。このようにすることで、調整後のピーク間電圧が、目標値(調整下限値)以下となることが防止され、画像に白ぽちが生じることがない。
【0087】
また、本実施形態においては、1回目の調整における目標範囲0.04と広めに設定して、一回のピーク間電圧の切り替えで目標範囲に入るようにしている。図16は、FB電圧値の変動について調べた図である。なお、図16においては、125ポイントごとに交流電圧の調整を実行している。図16に示すように、FB電圧値は、帯電ローラと感光体とのギャップ変動によって、約0.4〜0.6Vの範囲で変動することがわかる。このため、調整目標範囲をFB電圧値の変動の1/10程度の0.04に広げても画像異常などの問題が起こらない。
【0088】
また、上述では、1回目のピーク間電圧Vppの目標範囲を0.04、2回目以降のピーク間電圧の目標範囲を0.02としているが、これに限らず、FB電圧値の変動特性などに応じて、適宜設定すればよい。また、目標FB値と検出FB値との差分値に対するピーク間電圧の調整量についても、画像形成装置のエレキハード条件などに合わせて適宜設定すればよい。
【0089】
また、本実施形態においては、ピーク間電圧Vppの切り替えを、FB値(交流電圧値)をサンプリングして、切り替えるピーク間電圧を算出したら、直ぐにピーク間電圧を切り替えているが、これに限られない。例えば、次に印刷工程の開始をトリガにしてピーク間電圧Vppの切り替えてもよい。
【0090】
また、本実施形態においては、印刷工程の開始をトリガにして、2回目以降のピーク間電圧Vppの調整を開始しているが、これに限らず、印刷工程と非同期で行うようにしてもよい。この場合、ピーク間電圧Vppの調整中に印刷開始指示があった場合は、ピーク間電圧Vppの調整の終了を待たずに、直ちに実行する。ピーク間電圧Vppの調整を待たずに直ちに印刷を開始しても、2回目以降のピーク間電圧Vppの調整は、感光体の帯電開始電圧Vthの2倍以上の範囲で行うので、地汚れなどの異常画像が生じることがない。
【0091】
次に、本実施形態の変形例について、説明する。
図17は、本実施形態の変形例におけるタイミングチャートであり、図18は、変形例におけるフローチャートである。
この変形例においては、電源投入後に、環境検知手段で環境を検知して、検知結果に基づいて、感光体の帯電開始電圧Vthの2倍以上の値となるピーク間電圧Vppを求める。具体的には、環境区分とピーク間電圧とが関連づけられたテーブルを記憶装置に記憶しておく。そして、環境検知手段の検知結果に基づいて、電源投入後、最初に帯電ローラに印加する交流のピーク間電圧Vppが決定される。テーブルに記憶される交流のピーク間電圧は、白ぽちが発生する下限値以上となるように設定されるのが好ましい。なお、環境区分としては、温湿度であってもよいし、温度のみ、相対湿度のみ、絶対湿度のみでもよい。
【0092】
このようにして、電源投入後、最初に帯電ローラに印加する交流のピーク間電圧Vppを決定したら、一回目の交流のピーク間電圧Vppの調整をスタートさせる。すなわち、感光体を回転駆動させるドラムモータがONし、帯電ローラに上述の決定された交流電圧と直流電圧とを加し交流電圧出力値検知動作を開始する(S21)。そして、上述と同様に、感光体1周分(84ポイント)交流電流を変換したFB電圧値をサンプリングして、これから検出FB値を算出する。次に、環境検知手段の検知結果とテーブルとに基づいて、目標FB値を算出し、検出FB値と目標FB値とに基づき交流電圧の切り替えを行うか否かの判定を行う(S22)。この変形例においては、目標範囲を目標値以上とし、検出FB値が目標FB値よりも大きければ、目標範囲内とする。そして、目標範囲内(目標値以上)であったら(S22のYES)、交流電圧の切り替え動作を行わずに、フラグを立てて(S24)、終了する。一方、目標範囲外(目標値未満)の場合は(S22のNO)、上述同様、粗調係数α1を用いて、交流のピーク間電圧調整量を算出して、切り替える交流電圧値を算出する(粗調処理)。算出した交流電圧に切り替えたら(S23)、フラグを立てて(S24)、終了する。この変形例においては、一回目のピーク間電圧調整においても、ループ処理を一度も行わずに終了させる。これにより、一回目のピーク間電圧の調整を短縮することができ、電源ON時のウォームアップ動作を短縮することができる。
【0093】
そして、上述同様、印刷工程開始時など、所定のタイミングで2回目以降の交流電圧調整を複数回繰り返して、目標範囲内(微調の上限0.02以下)に収める。
【0094】
この変形例においては、1回目の交流電圧調整の時においても、感光体の帯電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧の範囲で調整を行うので、作像を伴う動作と並行実施が可能である。すなわち、図19に示すような中間転写ベルト10に濃度検知パターンを作像し、これを濃度検知センサで検出し、所望の画像濃度が得られるように帯電DCバイアス、現像DCバイアス、LDパワーなどの作像条件を調整する画質調整動作と並行実施が可能である。また、図20に示すような色ずれ検知パターンを中間転写ベルト10に作像し、これを色ずれ検知センサで検知し、スキュー、主走査レジストずれ量、副走査レジストずれ量、主走査倍率誤差、主走査倍率誤差偏差などの調整を行う位置合わせ調整動作とも並行実施可能である。
【0095】
よって、図21に示すように、環境を検知して、電源投入後最初に帯電ローラに印加する交流のピーク間電圧Vppを決定した後、画質調整動作(位置あわせ調整動作)をスタートさせて、検知パターンの作像を開始する。また、これと同時に、1回目の交流電圧の調整を開始する。このように、1回目の交流電圧の調整を画質調整動作や位置合わせ調整動作と並行実施することで、電源ON時のウォームアップ動作をより一層短縮することができる。
【0096】
上記においては、画質調整動作や位置合わせ調整動作と並行して、1回目の交流電圧調整を実行する例について説明したが、これに限らず、例えば、定着ローラの調整動作中など、他の調整動作と並行させて実行させてもよい。
【0097】
また、上述の交流電圧の調整は、少なくとも、帯電ローラに印加される交流電圧の出力値(FB値)を検出する動作と、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定する動作と、検出した出力値が目標範囲内でない場合は、交流電圧を切り替えるという動作とを有しているが、これらの動作を分割して行ってもよい。
【0098】
図22は、交流電圧の調整を、帯電ローラに印加される交流電圧の出力値(FB値)を検出する動作(調整動作1)と、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定する動作(調整動作2)と、交流電圧を切り替える動作(調整動作3)とに分割したときのタイミングチャートを示している。また、図23は、各調整動作のフロー図である。
図22に示すように、目標値(調整下限値)が変更されるなど、所定のタイミングでフラグAを立てる。印刷工程開始時にフラグAが立っていたら、調整動作1をスタートさせて、交流電圧の出力値(検出FB値)を検出する。この交流電圧の出力値の検出動作は、上述したとおりであるので詳細は、省略する。そして、交流電圧の出力値の検出動作が終了したら、フラグA消去して、フラグBを立てる。
【0099】
印刷工程終了時など、所定のタイミングで、フラグBが立っているか否かをチェックして、立っていた場合は、調整動作2をスタートさせて、検出FB値が、目標範囲内か否かの判定動作を行う。検出FB値が目標範囲内の場合は、フラグBを消去して終了する。一方、目標範囲外の場合は、フラグCを立て、フラグBを消去して終了する。
【0100】
印刷工程開始時など所定のタイミングでフラグCが立っているか否かを確認して、立っている場合は、調整動作3をスタートさせる。調整動作がスタートしたら、上述同様、交流電圧の調整量を算出して、切り替える交流電圧値を算出する。そして、算出した交流電圧値に切り替えたら、フラグCを消去して、フラグAを立てる。
【0101】
これにより、検出FB値が目標範囲に入るまで、調整動作1→調整動作2→調整動作3の順番で、各動作が所定のタイミングで実行される。そして、目標値に入った後は、複数枚通紙後など、間隔を開けから再び調整動作1が開始される。
【0102】
また、上述では、ピーク間電圧Vppの調整を非接触帯電方式の画像形成装置に適用した例について説明したが、接触帯電方式の画像形成装置にも適用することができる。接触帯電方式の場合は、FB電圧値の周期変動は、感光体周期変動成分よりも帯電ローラ周期成分の方が大きい。よって、接触帯電方式の場合は、FB電圧値のサンプリング条件は、帯電ローラ1周分でよい。
【0103】
また、本実施形態においては、目標FB値(目標値)と検出FB値(出力値)との差分値に基づいて、ピーク間電圧調整量ΔVppを算出しているが、これに限られず、目標FB値(目標値)と検出FB値(出力値)との比から、ピーク間電圧調整量ΔVppを算出してもよい。
【0104】
以上、本実施形態によれば、像担持体である感光体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の範囲内の交流電圧で交流のピーク間電圧Vppの調整を行うことで、調整時に、作像動作を行っても地汚れなどの異常画像が発生することがない。よって、作像時、非作像時を問わず、いつでも交流電圧の調整を行うことができる。
【0105】
よって、本実施形態によれば、印刷と並列実行することが可能となり、従来のようにピーク間電圧調整が終了するまで、印刷の開始を待つことがなくなり、生産性の低下を抑制することができる。
【0106】
また、電源投入時のウォームアップ時に行う1回目のピーク間電圧調整を他の調整動作と並行実施することで、電源投入時に行うウォームアップ動作の時間を短縮させることができる。
【0107】
特に、像形成動作を伴う調整動作である位置合わせ調整動作などや画質調整動作と並行して実行することで、ピーク間電圧調整が終わってから画質調整動作や位置合わせ調整を実行するものに比べて、電源投入時に行うウォームアップ動作の時間を短縮させることができる。
【0108】
また、電源投入後に最初に帯電ローラに印加する交流電圧を、感光体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の交流電圧にすることで、ピーク間電圧の調整を感光体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の交流電圧で実施することができる。
【0109】
特に、電源投入後に最初に帯電ローラに印加する交流電圧を、環境条件に応じて決定することで、目標値に近い交流電圧値にすることができ、ピーク間電圧の調整動作回数を少なくすることができる。
【0110】
また、上記環境条件としては、温度、相対湿度、絶対湿度を用いることができる。
【0111】
また、環境条件を検出し、検出した環境条件に基づいて、ピーク間電圧調整の目標値を決定するので、ピーク間電圧調整後のピーク間電圧を機内環境に合ったピーク間電圧Vppにすることができる。これにより、感光体表面にトナーフィルミングが形成されやすくなるのをより良好に抑制することができる。
【0112】
また、検知した環境条件、および環境条件と目標値とが関連づけられたテーブルに基づいて、目標値を決定する。これにより、テーブルを参照するだけで、環境条件に応じた目標値を設定することができる。
【0113】
また、環境条件に応じて、目標値が変更されたら、ピーク間電圧の調整を行うことで、常に機内環境に合ったピーク間電圧Vppにすることができる。
【0114】
また、交流のピーク間電圧調整動作は、電流値が目標範囲内に入るように、交流電圧を調整することで、交流電圧を適正な値に調整することができる。
【0115】
また、交流電圧の調整を、検出した出力値が目標範囲内に入るまで繰り返し行わずに、複数回に分割して行う。これにより、検出した出力値である検出FB値が目標範囲内に入るまで繰り返し行うものに比べて、1回の交流のピーク間電圧調整動作の時間を短くすることができる。よって、交流電圧調整動作終了後に行われる各種動作の開始タイミングを早めることができ、ウォームアップ時間を短縮することができるとともに、生産性の低下を抑制することができる。
【0116】
また、交流電圧の調整動作の内容を調整の回数に応じて異ならることで、交流電圧の調整回数に応じた、適正な調整を行うことができる。
【0117】
また、本実施形態においては、1回の調整でピーク間電圧を適正値にするのではなく、調整を複数回分割して行うことで、ピーク間電圧を適正値に調整するものである。このため、調整と調整との間に画像形成を行うこともある。このとき、ピーク間電圧が適正値から大幅にずれていると、画像に異常が生じるおそれがある。特に、電源投入時のピーク間電圧は、適正値から大幅に異なる場合がある。このため、電源投入後、1回目のピーク間電圧の調整を、交流電圧出力値(FB値)検知→判定→交流電圧の切り替えの動作を複数回繰り返して終了するものとすることで、1回目の調整で、適正値から大幅に離れていたピーク間電圧を適正値近くまで調整することができる。これにより、1回目のピーク間電圧と2回目のピーク間電圧との間に画像形成動作が行われたときの、異常画像を抑制することができる。
【0118】
また、ピーク間電圧の調整動作の回数に関係なく、ピーク間電圧の調整動作が、検知→判定→切り替えの動作を1回行って終了するようにしてもよい。こうすることで、1回のピーク間電圧の調整時間が短くなり、ウォームアップ時間を短縮することができるとともに、生産性の低下を抑制することができる。
【0119】
また、電源投入後に最初に行われる1回目の交流のピーク間電圧Vppの調整においては、前回調整された環境から大幅に異なっているため、ピーク間電圧Vppが最適値から大きく外れている可能性が高い。このため、電源投入後、1回目のピーク間電圧の調整時の交流電圧の調整量を、2回目以降の交流電圧の調整動作時のピーク間電圧の調整量よりも多くする(粗調にする)ことで、一回目の調整動作で、目標範囲に近づけることができる。そして、2回目以降は、目標範囲に近づいているので、ピーク間電圧の調整量を1回目に比べて、少なく(微調)して、徐徐に目標範囲に近づける。これにより、ピーク間電圧の調整動作の回数に関係なく、一律な調整量としたものに比べて、目標範囲にピーク間電圧が入るまでに行うピーク間電圧の調整の回数を少なくできる。
【0120】
また、交流電圧の調整の回数に基づいて目標範囲を異ならせることで、交流電圧の調整の回数に応じた、適正な調整動作を行うことができる。
【0121】
特に、電源投入後、1回目の交流電圧の調整時の目標範囲を、2回目以降の交流電圧の調整時の目標範囲よりも広くすることで、1回目の調整時に、交流電圧の切り替え動作を行わずに終了できる確率が高くなり、1回目の調整を早く終わらせることができる。
【0122】
また、交流電圧の調整量は、交流電圧出力値の目標値(目標FB値)と検出した出力値(検出FB値)との差分値に係数を乗算することで算出されるものであり、この係数を、交流電圧の調整の回数に応じて異ならせる。これにより、交流電圧の調整回数に応じた、適正な調整を行うことができる。
【0123】
また、電源投入後、1回目の交流電圧の調整時における交流電圧の調整量を算出するときに用いる係数を、2回目以降の交流電圧の調整時における交流電圧の調整量を算出するときに用いる係数よりも大きい値とする。これにより、1回目の調整時における交流電圧の調整量を多くすることができ、1回目の調整で、目標範囲に近づけることができる。
【0124】
また、交流電圧の調整で検出した交流電圧値が目標範囲内に入っていない場合は、適正なピーク間電圧に調整されていないので、その後行う交流電圧の調整の間隔を目標範囲内に入った場合に比べて短くすることで、早期に適正なピーク間電圧に調整することができる。
【0125】
また、環境が変化すると、交流電圧の調整動作で検出した検出FB値が目標範囲内から外れてしまい、適正な交流電圧でなくなるおそれがある。よって、交流電圧の調整で検出した検出FB値が目標範囲内に入った後に行う調整動作の間隔を、環境変化量に基づき決定することで、適正な交流電圧を維持することができる。
【0126】
交流電圧の調整で検出した検出FB値が目標範囲内であった後に行う交流電圧の調整を、複数枚画像形成後に行い、定期的に検出FB値が目標範囲内であるか否かの確認を行う。これにより、適正な交流電圧を維持することができる。
【0127】
また、交流電圧の調整で検出した出力値(検出FB値)が目標範囲内でなかった後に行う交流電圧の調整を、画像形成動作毎に行うことで、適正な交流電圧値にするまでの時間を短縮することができる。
【0128】
また、交流電圧の調整を、帯電ローラに印加される交流電圧の出力値(検出FB値)を検出する動作と、検出FB値が目標範囲内か否かを判定する動作と、交流電圧を切り替える動作とに分割して行う。これにより、例えば、帯電ローラに印加される交流電圧の出力値(検出FB値)を検出する後に、画像形成動作を行うことができ、検出→判定→切り替えを行った後に画像形成動作を実行するものに比べて、生産性の低下をより一層抑制することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 プリンタ
2 帯電ローラ
3 電源装置
4 制御部
10 中間転写ベルト
18 画像形成手段
20 画像形成部
40 感光体
60 帯電装置
61 現像装置
62 一次転写ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【特許文献1】特開平3−240076号公報
【特許文献2】特開2001−201921号公報
【特許文献3】特開2002−108059号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体に対して接触または非接触に配置され、直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスが印加される帯電部材とを備えた画像形成装置において、
前記帯電部材に印加される交流電圧の調整を、前記像担持体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の範囲内の交流電圧で行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記交流電圧の調整を、印刷と並列実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
前記交流電圧の調整を、他の調整動作と並列実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
前記調整動作は、像形成動作を伴う調整動作であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
前記像形成動作を伴う調整動作は、画質調整動作であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4の画像形成装置において、
前記像形成動作を伴う調整動作は、位置合わせ調整動作であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかの画像形成装置において、
電源投入後に前記帯電部材に最初に印加する交流電圧を、前記像担持体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の交流電圧にすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
電源投入後に前記帯電部材に最初に印加する交流電圧を、環境条件に応じて決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
前記環境条件は、温度であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8の画像形成装置において、
前記環境条件は、相対湿度であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項8の画像形成装置において、
前記環境条件は、絶対湿度であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の画像形成装置において、
前記交流電圧の調整は、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値が、目標値に対して所定の幅を有する目標範囲に入るように前記交流電圧のピーク間電圧を調整するものであって、
環境条件を検出し、検出した環境条件に基づいて、前記目標値を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12の画像形成装置において、
前記環境条件と前記目標値とが関連づけられたテーブルを記憶手段に記憶しておき、検知した環境条件とテーブルとに基づいて、前記目標値を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項12または13の画像形成装置において、
検出した環境条件に基づいて、前記目標値が変更されたタイミングで交流電圧の調整を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項12乃至14いずれかの画像形成装置において、
前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値は、電流値であって、前記交流電圧の調整は、前記電流値が目標範囲内に入るように、交流電圧を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
像担持体と、前記像担持体に対して接触または非接触に配置され、直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスが印加される帯電部材とを備えた画像形成装置において、
前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出し、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定し、検出した出力値が目標範囲内でない場合は、交流電圧を切り替えるという動作を行って交流電圧の調整を行う制御手段を有し、前記交流電圧の調整を、検出した出力値が目標範囲内に入るまで繰り返し行わずに、複数回に分割して行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項16の画像形成装置において、
前記交流電圧の調整の内容を調整の回数に応じて異ならせたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項17の画像形成装置において、
電源投入後、1回目の交流電圧の調整が、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出し、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定し、検出した出力値が目標範囲内でない場合は、交流電圧を切り替えるという動作を、複数回繰り返して終了する調整であり、2回目以降の調整が、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出し、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定し、検出した出力値が目標範囲内でない場合は、交流電圧を切り替えるという動作を一回行って終了する調整であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
請求項16または17の画像形成装置において、
前記交流電圧の調整が、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出し、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定し、検出した出力値が目標範囲内でない場合は、交流電圧を切り替えるという動作を一回行って終了する調整であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
請求項17乃至19いずれかの画像形成装置において、
電源投入後、1回目の交流電圧の調整時の交流電圧の調整量を、2回目以降の交流電圧の調整時の交流電圧の調整量よりも大きくすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項21】
請求項17乃至20いずれかの画像形成装置において、
前記交流電圧の調整の回数に基づいて前記目標範囲を異ならせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項22】
請求項21の画像形成装置において、
電源投入後、1回目の交流電圧の調整時の目標範囲を、2回目以降の交流電圧の調整時の目標範囲よりも広くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項23】
請求項17乃至22いずれかの画像形成装置において、
交流電圧の調整量は、前記出力値の目標値と検出した出力値とに基づいて算出されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項24】
請求項23の画像形成装置において
交流電圧の調整量は、前記出力値の目標値と検出した出力値との差分値に係数を乗算することで算出されるものであって、上記係数を、前記交流電圧の調整の回数に応じて異ならせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項25】
請求項24の画像形成装置において、
電源投入後、1回目の交流電圧の調整時における交流電圧の調整量を算出するときに用いる係数を、2回目以降の交流電圧の調整時における交流電圧の調整量を算出するときに用いる係数よりも大きい値とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項26】
請求項16乃至25いずれかの画像形成装置において、
交流電圧の調整で検出した出力値が目標範囲内でなかった後に行う交流電圧の調整の間隔を、検出した出力値が目標範囲内であった後に行う交流電圧の調整の間隔よりも短くしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項27】
請求項26の画像形成装置において、
前記交流電圧の調整で検出した出力値が目標範囲内であった後に行う交流電圧の調整の間隔を、環境変化量に基づき決定されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項28】
請求項26または27の画像形成装置において、
前記交流電圧の調整で検出した出力値が目標範囲内であった後に行う交流電圧の調整を、複数枚画像形成後に行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項29】
請求項26乃至28いずれかの画像形成装置において、
前記交流電圧の調整で検出した出力値が目標範囲内でなかった後に行う交流電圧の調整を、画像形成動作毎に行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項30】
像担持体と、前記像担持体に対して接触または非接触に配置され、直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスが印加される帯電部材とを備えた画像形成装置において、
前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出し、該出力値に基づいて交流電圧を調整する交流電圧の調整を、前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出する動作と、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定する動作と、交流電圧を切り替える動作とに分割して行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項31】
像担持体に対して接触または非接触に配置された帯電部材に印加される直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスを調整する帯電バイアス調整方法において、
像担持体が帯電する帯電開始電圧Vthの2倍以上の範囲内の交流電圧で帯電バイアスの調整を行うことを特徴とする帯電バイアス調整方法。
【請求項32】
像担持体に対して接触または非接触に配置された帯電部材に印加される直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスを調整する帯電バイアス調整方法において、
前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出する工程と、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定する工程と、検出した出力値が目標範囲内でない場合は、交流電圧を切り替える動作を行って交流電圧の調整を行う工程とを有する帯電バイアス調整動作を、検出した出力値が目標範囲内に入るまで繰り返し行わずに、複数回に分割して行うことを特徴とする帯電バイアス調整方法。
【請求項33】
像担持体に対して接触または非接触に配置された帯電部材に印加される直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスを調整する帯電バイアス調整方法において、
前記帯電部材に印加される交流電圧の出力値を検出する工程と、検出した出力値が目標範囲内か否かを判定する工程と、交流電圧を切り替える工程とに分割して帯電バイアスの調整を行うことを特徴とする帯電バイアス調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図23】
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【図24】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図17】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−215650(P2011−215650A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168127(P2011−168127)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【分割の表示】特願2006−213758(P2006−213758)の分割
【原出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】