説明

画像形成装置および画像形成情報処理装置

【課題】ラメ画像を電子写真方式を用いた画像形成により実現する。
【解決手段】画像形成装置は、画像情報を画像形成の要素に変換した画像形成情報の処理範囲である画像領域、および画像形成情報の処理対象である部分領域を設定し、部分領域の画像形成情報の色度を変更してこれにもとづいて有色トナー画像形成情報を生成するとともに、部分領域の画像形成情情報に対応して光沢トナー画像形成情報を生成して、有色トナー画像形成情報によるトナー像形成の最上層に光沢トナーによりトナー像形成を行なうようにして上記の部分領域にキラキラした粒子が点在しているような視覚上の効果を有するラメ画像を形成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを用いた画像形成において、ラメ効果を有する画像を形成することができる画像形成装置および画像形成情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷の分野では、パールメタリック印刷、ホログラム印刷、ラメ印刷、フレキソ印刷、デコマット印刷、スクラッチ印刷など様々な特殊印刷がある。
このような特殊印刷においては、視覚上の特殊効果を生じさせるために、印刷インク中に特殊な材料を混入させた特殊なインクを用いている。
電子写真方式を用いた画像形成においては、上記特殊印刷の効果と同様な視覚上の効果を有する画像形成を行なうために、トナーの着色剤として金属片、薄片状の魚鱗、あるいは鱗片状顔料を含む混入させたものを用いる技術が知られている。
しかしながら、電子写真方式の画像形成は静電気を利用したものであるため、トナーや色材に制限があり、上記のようなトナーを作成するためには、トナーのサイズや帯電特性の変化など解決すべき課題が存在し、実現がむずかしいものであった。
【0003】
特殊印刷のひとつであるラメ印刷によるラメ画像はキラキラした粒子が点在しているような視覚上の効果を有するものであり、これと同様な画像を特殊印刷と同様な原理で電子写真方式を用いた画像形成により実現しようとすると、人工マイカ等をトナーに入れ込んだラメ画像用のトナーを作成しなくてはならない。
しかしながら、人工マイカ等を加える場合においても、上記のようにトナーのサイズ、帯電特性等に関する課題は上記の場合と同様に存在し、そのためラメ印刷の技術をそのまま電子写真方式による画像形成に移行させることは難しいものであった。
【0004】
これに対して、特許文献1に示すように、上記金属片等の材料を用いなくても、透明トナーを利用してメタリック画像を形成することができる技術が知られている。
特許文献1には、メタリック画像を形成する領域に含まれる画素の階調値を変動させ、この階調値に応じて有色画像を形成し、この有色画像に重ねて透明トナーにより透明画像を形成する技術が記載されている。
また特許文献2には、透明トナーに関する発明として、透明トナーの保存弾性率を有色トナーの保存弾性率よりも小さくすることで、高品質な画像を形成できるものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、画素の階調を変化させて形成した画像上に透明トナーを載せることでメタリック画像を表現するものであって、画素の階調値は、元の画素の階調値に対して一定の範囲で変化させている。したがって、特許文献1の技術においては、画像の色相は大きく変わることがなく、メタリックの効果を持たせることはできるがキラキラした粒子のように見えるラメ画像の効果を持たせることはできない。
また、特許文献1の技術においては、メタリック領域全体に透明トナーを付着させるようにしているが、このことからも、キラキラした粒子が散りばめられたようなラメ画像の効果を表現することはできない。
特許文献2は透明トナーについては記載されているが、ラメ画像等の特殊画像を形成することについては記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、画像情報を画像形成の要素に変換した画像形成情報を処理する画像形成情報処理手段と、該画像形成情報処理手段において処理された画像形成情報にもとづいて記録媒体上に、有色トナーによるトナー像形成と、光沢トナーによるトナー像形成を行なうことにより画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、前記画像形成情報処理手段は、前記画像形成情報の処理範囲である領域を示す画像領域情報を入力する入力手段と、前記画像領域の画像形成情報のうちの処理対象である複数の部分領域を示す部分領域情報を入力する手段と、前記画像形成情報のうち前記部分領域に含まれる画像形成情報の色度を変更する色度変更手段と、前記色度変更手段により色度が変更された画像形成情報にもとづいて有色トナー画像形成情報を生成する有色トナー画像形成情報生成手段と、前記画像形成情報のうち前記部分領域に含まれる画像形成情情報に対応して、光沢トナー画像形成情報を生成する光沢トナー画像形成情報生成手段を有し、前記画像形成手段は、前記有色トナー画像形成情報にもとづいて有色トナーによるトナー像形成を行い、該トナー像形成の最上層に光沢トナー画像形成情報にもとづいて光沢トナーによるトナー像形成を行なうことにより画像を形成することを特徴とする。
【0007】
本発明の画像形成装置は、更に、前記色度変更手段の色度変更は、前記部分領域に形成された画像の光学的特性、および当該部分領域に形成された画像の光学的特性と前記画像領域であって前記部分領域以外の領域に形成された画像の光学的特性の差を設定するものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の画像形成装置は、更に、前記画像の光学的特性は画像の光沢度であり、前記色度変更手段の色度変更により、前記部分領域に形成された画像の光沢度、および当該部分領域に形成された画像の光沢度と前記画像領域であって前記部分領域以外の領域に形成された画像の光沢度の差を設定することを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置は、更に、前記部分領域に形成された画像の60度光沢度を20%以上で、かつ当該部分領域に形成された画像の60度光沢度と前記画像領域であって前記部分領域以外の領域に形成された画像の60度光沢度の差を10%以上に設定することを特徴とする。
【0010】
本発明の画像形成装置は、前記画像の光学的特性は画像の光沢度とハンター白色度であり、前記色度変更手段の色度変更により、前記部分領域に形成された画像の光沢度とハンター白色度、および当該部分領域に形成された画像の光沢度と前記画像領域であって前記部分領域以外の領域に形成された画像の光沢度の差を設定することを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成装置は、更に、前記部分領域に形成された画像の60度光沢度を20%以上およびハンター白色度を80以上で、かつ当該部分領域に形成された画像の60度光沢度と前記画像領域であって前記部分領域以外の領域に形成された画像の60度光沢度の差を10%以上に設定することを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成装置は、更に、前記色度変更手段により変更された色度が無色を示すものであることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像形成装置は、更に、前記色度変更手段により変更された色度が有色を示すものであることを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成装置は、更に、前記色度変更手段により変更された色度が、前記部分領域のそれぞれに対してランダムに割り当てられることを特徴とする。
【0015】
本発明の画像形成装置は、更に、前記光沢トナー画像形成情報生成手段により生成する光沢トナー画像形成情報は、前記画像形成手段により付着される光沢トナーのスクリーン角を各部分領域に対してランダムに割り当てるものであることを特徴とする。
【0016】
本発明の画像形成装置は、更に、前記光沢トナー画像形成情報生成手段により生成する光沢トナー画像形成情報は、前記画像形成手段により付着される光沢トナーの付着量を、各部分領域に対してランダムに割り当てるものであること特徴とする。
【0017】
本発明の画像形成装置は、更に、前記部分領域指定手段により指定される部分領域の単位面積あたりの数が、50個/cm以上であることを特徴とする。
【0018】
本発明の画像形成装置は、更に、前記部分領域指定手段により指定される部分領域のサイズが、1mm以下であることを特徴とする。
【0019】
本発明の画像形成装置は、更に、前記部分領域指定手段により指定される部分領域の位置を、ランダムに割り当てることを特徴とする。
【0020】
本発明の画像形成装置は、更に、前記部分領域指定手段により指定される部分領域のサイズを、ランダムに割り当てることを特徴とする。
【0021】
本発明の画像形成装置は、前記部分領域指定手段により指定される部分領域の形状を、任意に指定できる手段を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明の画像形成情報処理装置は、上記の画像形成装置において用いられる画像形成情報処理手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、画像情報を画像形成の要素に変換した画像形成情報の処理範囲である画像領域、および画像形成情報の処理対象である部分領域を設定し、部分領域の画像形成情報の色度を変更してこれにもとづいて有色トナー画像形成情報を生成するとともに、部分領域の画像形成情情報に対応して光沢トナー画像形成情報を生成して、有色トナー画像形成情報によるトナー像形成の最上層に光沢トナーによりトナー像形成を行なうようにしたものであり、これにより上記の部分領域にキラキラした粒子が点在しているような視覚上の効果を有するラメ画像等の特殊画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す構成図
【図2】本発明の実施形態に係る制御部80のハードウエア構成を示す図
【図3】本発明の実施形態に係る制御部80の機能構成を示す図
【図4】本発明の実施形態に係るラメ画像を形成する画像の例を示す図
【図5】図4に示す画像の例を一部拡大して示す図
【図6】ラメ設定条件を入力するための入力画面を示す図
【図7】画像形成情報生成部82および画像形成情報処理部83が実行する処理を示したフローチャート
【図8】色度置き換えテーブルの例を示す図
【図9】ラメシートおよびラメドット領域を示す説明図
【図10】ラミネートシートの作成について示す説明図
【図11】実験例1の1の主観評価実験の結果を示す図
【図12】実験例1の2の主観評価実験の結果を示す図
【図13】他の実施形態1において画像形成情報生成部82および画像形成情報処理部83が実行する処理を示したフローチャート
【図14】万線処理における記録紙上のトナーに対する光の反射を示した模式図
【図15】実験例3の主観評価実験の結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を説明する。なお、実施形態としては基本的な実施形態をまず説明し、更に他の実施形態1および他の実施形態2を説明する。
【0026】
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す構成図である。
図1に示す画像構成装置は、有色トナーとクリアトナーとによって記録紙上にカラー画像を形成するものであり、4つのカラートナーと1つのクリアトナーに対応したタンデム現像方式のフルカラー画像形成装置である。
【0027】
図1において100は画像形成装置であり、この画像形成装置100には中央部に画像形成部10C、10M、10Y、10Kおよび10Tが水平方向に並べて配置されている。
これらの画像形成部10C乃至10Tは、構成は同じで用いるトナーが異なるものである。画像形成部10C、10M、10Yおよび10Kにおいてはそれぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の有色トナーが用いられ、画像形成部10Tにおいては透明のクリアトナー(T)が用いられて、それぞれのトナーによりトナー像の形成が行なわれる。
なお、画像形成部10C乃至10Tに共通する事項の説明については、画像形成部および関連する構成を示す符号はC、M、Y、KおよびTを付さずに、例えば画像形成部10のように示すものとする。
クリアトナーは顔料等の色材が含まれていない無色透明のトナーを示すのが一般的であるが、本実施形態においては、クリアトナーが光沢を生じることに着目してクリアトナーを光沢トナーとして用いている。
したがって、本実施形態におけるクリアトナーは、無色透明である必要は無く、色を有していてもよく、例えば、全光線透過率が30%以上であれば良い。なお、全光線透過率は、JIS K7361−1、ISO13468−1の全光線透過率試験法にしたがって、トナーを調製して得たサンプルに光源としてのハロゲンランプから放射された可視光を照射して測定される透過率である。
【0028】
画像形成装置100の画像形成部10の上方には、レーザ走査部20が配置されており、画像形成部10の下方には、転写ベルト機構30、給紙搬送機構40、定着部50が配置されている。
画像形成装置100の上面にはスキャナ部60および操作表示部70が配置されている。
80は、画像形成装置の制御、画像情報処理等を行う制御部である。
200は、パーソナルコンピュータ・ファクシミリ装置等の外部機器であり、制御部80に接続されている。
外部機器200には、ユーザによる外部機器200へのコマンド入力や外部機器200の装置状態の報知等を行なう操作表示部210を有している。
各画像形成部10は、像担持体として電子写真感光体であるドラム11および全面露光ランプ(図示せず)、帯電器12、現像器13、転写装置(図示せず)クリーニング装置(図示せず)等の電子写真プロセス手段を有する。
各画像形成部10の現像器13には各画像形成部10に用いられるトナーと磁性キャリア粒子とを混合した二成分系現像剤が収容されている。
画像形成装置100にはトナーカートリッジのようなトナー供給装置(図示せず)を各画像形成部10に対応して有しており、各現像器13内の現像剤のトナー濃度が所定の範囲に維持されるように、このトナー供給装置により各現像器13にトナーが補充される。
【0029】
レーザ走査部20は、各画像形成部10の各ドラム11に、各画像形成部10のそれぞれに対応したレーザビーム走査露光を行なう5系統のレーザ走査機構21を有している。
レーザ走査機構21は、光源から発せられたレーザ光を各画像形成部10それぞれの画像形成信号に応じて変調し、この変調したレーザ光をポリゴンミラーの回転により走査光としたものをFθレンズおよび反射ミラー等の光学系を介して、各ドラム11上に照射し露光するものである。
【0030】
転写ベルト機構30は、ループ状の転写ベルト31の上部の一定範囲が、画像形成部10C乃至10Tに接し、下部が給紙搬送機構40に接するように張られたものである。
転写ベルト31は各画像形成部10の各ドラム11と同期して矢印方向に移動し、各ドラム11上に形成された各トナー像が、各ドラム11の下端と転写ベルト31が接触する各転写位置において、転写ローラ等の転写装置により、転写ベルト31上に、順次転写される。この転写は転写ベルト31上の同じ位置において行なわれ、各トナー像は先に転写されたトナー像の上に重ね合わされ、これにより転写ベルト31上にトナー画像が形成される。
転写ベルト31上に転写されたトナー画像は、転写部32において、給紙搬送機構40によって搬送される記録紙P上に転写され、記録紙P上にトナー画像が形成される。
給紙搬送機構40は給紙カセット41から、記録紙Pを供給して、転写部32および定着部50を経由して排紙トレイ46に搬送するものであり、分離ローラ42、給紙ローラ43、レジストローラ44、排紙ローラ45およびその他の搬送ローラ(図示せず)を有している。
【0031】
定着部50は熱ローラ定着装置であり、記録紙Pが定着部50と接触する位置を通過するときに、定着部50の熱と圧力により、記録紙P上のトナー画像は記録紙Pに定着される。
定着部50を通過した記録紙Pは排紙ローラ45により、排紙トレイ46上に排出される。
スキャナ部60は、原稿を光学的に走査して色分解光電読取りをするもので、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色のデジタルデータである画像情報を出力する。
操作表示部70は、ユーザが画像形成等の操作入力を行なう操作キーと、操作時に入力内容を表示したり、装置の設定状態や動作状態等装置に関する情報を表示する表示パネルを有する。
【0032】
図2は制御部80のハードウエア構成を示すもので、制御部80はCPU(Central Processing Unit)801、ROM(Read Only Memory)802、RAM(Random Access Memory)803、HDD(Hard Disk Memory)804、HD(Hard Disk)805、バスライン806を有している。
ROM802には、画像形成装置100の制御プログラム、画像処理プログラム等の各種プログラムが格納されており、CPU801はこのプログラムを実行して処理を行なう。
RAM803はCPU801がプログラムを実行する際のワークアリアとして使用される。HDD804はHDドライブであり、HD805はデータを記憶する記憶装置である。バスライン806はこれらの各構成を接続するものである。
【0033】
図3は制御部80の機能構成を示すものである。
81は所定のプログラムにもとづき画像形成装置100全体の制御を行ない画像形成装置100を動作させる装置制御部である。
82はスキャナ部60から出力されるか、または外部機器200から入力されるR、G、Bの各色のデジタルデータである画像情報を、画像形成装置100の画像形成の要素であるC、M、Y、K各色の画像形成情報に変換する画像形成情報生成部である。
83は、画像形成情報生成部82において変換した画像形成情報に対して、ラメ画像を形成するために処理を行なって、ラメ画像を形成する画像形成情報を生成する画像形成情報処理部である。
84は、外部機器200との間で送受信を行なう送受信部である。
85は、HD805に構築されている記憶部であり、この記憶部85には、各種処理に用いる情報が記憶されている。
【0034】
画像形成情報処理部83は、ラメ画像領域特定部831、ラメドット領域特定部832、色度置き換え部833、有色トナー画像形成情報生成部834、クリアトナー画像形成情報生成部835を有している。
ラメ画像領域特定部831は、C,M,Y,K各色の各画像形成情報のうちラメ画像形成のための画像処理を行なう処理範囲であるラメ画像領域を特定するものである。
ラメドット領域特定部832は、ラメ画像領域特定部831により特定された処理範囲であるラメ画像領域のうちのラメ効果を発揮するラメドット領域を特定するものである。
このラメドット領域は、C,M,Y,K各色の各画像形成情報のうち直接の処理対象となる範囲を示している。
【0035】
図4および図5はラメ画像を形成する画像の例を示す図であり、この図において英文字のベタ文字部分が、ラメ画像領域Aを示している。図5は図4の一部の英文字を拡大したもので、ラメ画像領域A内に複数のラメドット領域Bを配置している。
したがって、ラメ画像領域Aには、ラメドット領域Bとラメドット領域以外の領域である非ラメドット領域Cが形成される。
色度変更手段である色度置き換え部833は、ラメドット領域のC,M,Y,K各色の各画像形成情報の色度を色度置き換えにより変更するもので、この置き換えにより、ラメドット領域に形成される画像の特性を設定するとともに、ラメドット領域に形成される画像の特性とその外側の非ラメドット領域に形成される画像の特性の差を設定する。
【0036】
有色トナー画像形成情報生成部834は、色度置き換え部833により色度が変更されたC,M,Y,K各色の各画像形成情報にもとづいて、C、M、Y、K各色のトナー像を形成するための有色トナー画像形成情報を生成するものである。
クリアトナー画像形成情報生成部835はラメドット領域の画像形成情情報に対応して、クリアトナー画像形成情報を生成するものである。
これらについては動作説明において後述する。
【0037】
記憶部85には、画像形成情報生成部82において、RGB形式の画像情報をY,M,C,Kの4色の色成分からなるYMCK形式の画像形成情報に変換するために用いるルックアップテーブルが記憶されている。
また、記憶部85には、画像形成情報処理部83においてラメ画像を形成するためのラメ設定条件等の情報を記憶するラメ設定情報記憶部852、色度置き換え部833において色度置き換えを行なう場合に用いる情報を記憶する色度置き換え情報記憶部852、およびクリアトナー画像形成情報生成部835において行なう処理の条件の情報、例えば線数、網点面積率等を記憶するクリアトナー設定情報記憶部854を有している。
【0038】
図6は、外部機器200の操作表示部210または画像形成装置100の操作表示部70によってラメ設定条件を入力するための入力画面を示している。
図6の操作画面においては、選択対象としてラメドット領域の「形状」および「色」が表示され、ラメドット領域の「サイズ」(面積)と「密度」(単位面積当たりのラメドット領域の数)の数値入力欄が表示されている。
ユーザは、表示された形状パターンから、ラメドット領域の形状を選択する。続いて、ラメドット領域の色を選択し、ラメドット領域のサイズと密度の数値を入力する。
これらの選択または入力された情報は、記憶部85のラメ設定情報記憶部852に記憶される。
【0039】
画像形成情報処理部83は、画像形成装置100とは別体の画像形成情報処理装置として構成することもできる。
【0040】
このような構成において、まず、クリアトナーを使用せずに、C、M、Y、K各色による画像形成を行なう場合の動作について説明する。
なお、画像情報は、パーソナルコンピュータのような外部機器200から画像形成する画像情報を受信する形態について説明する。この場合には、画像形成装置100はプリンタとして機能し、外部機器200からRGB形式の画像情報が、制御部80の送受信部84を介して画像形成情報生成部82に入力されると、装置制御部81の制御により次の動作が行なわれる。
画像情報が画像形成情報生成部82に入力されるとともに、画像形成装置100の各部は画像形成を行なうための動作、例えば画像形成部10の各ドラム11の駆動、レーザ走査部20のポリゴンミラーの回転、転写ベルト31の回転、および給紙搬送機構40の給紙カセット41からの記録紙Pの供給等を、装置制御部81による所定の制御タイミングに合わせて開始する。
画像形成情報生成部82に入力されたR、G、B各色の画像情報は画像形成情報生成部82において、画像形成装置100が処理可能な形式のC、M、Y、K各色の画像形成情報に変換される。
【0041】
給紙搬送機構40においては、給紙カセット41の分離ローラ42が駆動され、これにより、給紙カセット41に積載収納されている記録紙Pが、1枚ずつ分離され、給紙ローラ43によりレジストローラ44の位置まで搬送される。
そして記録紙Pは、制御タイミングに合わせて、レジストローラ44により転写部32に向けて送り出される。
【0042】
各画像形成部10においては、制御タイミングに合わせて、各ドラム11が反時計方向に回転し、各帯電器12が各ドラム11の表面を所定の極性の電位に一様に帯電する。
次にレーザ走査部20により各ドラム11の表面にそれぞれの画像形成信号に応じたレーザビーム走査露光を行なう。
これによって各ドラム11の表面に画像形成信号に応じた静電潜像が形成される。
各画像形成部10の各ドラム11に形成された静電潜像は各現像器13により現像されトナー像が現像される。
すなわち、画像形成部10C、10M、10Yおよび10Kの各ドラム11にそれぞれC、M、Y、Kの各色のトナーによるトナー像が形成される。なお、T(クリアトナー)の画像形成情報にはトナー像を形成する情報は存在しないので、画像形成部10Tのドラム11にはトナー像は形成されない。
【0043】
転写ベルト機構30の転写ベルト31は矢印方向に移動し、各画像形成部10のドラム11の下端と転写ベルト31が接触する転写位置において、転写ローラ等の転写装置(図示せず)により、各ドラム11上に形成されたトナー像が順次重ね合わされて転写ベルト31上に転写される。
転写ベルト31上に形成された各色によるフルカラーのトナー画像は、転写部32において、給紙搬送機構40のレジストローラ44により送り出された記録紙Pに転写される。
記録紙Pは給紙搬送機構40により定着部50に送られ、定着部50において記録紙P上のトナー画像が熱と圧力により定着される。その後記録紙Pは排紙ローラ45により搬送され、排紙トレイ46に排出される。
以上がC、M、Y、K各色による画像形成を行なう場合の動作である。
【0044】
次に、クリアトナー使用時は、クリアトナー画像形成情報により画像形成部10Tのドラム11にクリアトナーによるトナー像を形成し、他のトナー像の場合と同様に転写ベルト31上に重ねて転写して、転写ベルト31上に形成された各色およびクリアトナーによるトナー画像を記録紙Pに転写する。
したがって、クリアトナーによるトナー像の位置は転写ベルト31上では最下層となり、記録紙P上では最上層となる。
【0045】
画像の全面にクリアトナー像を形成する場合等、クリアトナーの一般的な使用の場合には、外部機器200から画像情報とともに、クリアトナー像形成の指示情報が送受信部84を介して装置制御部81に入力される。そして装置制御部81から画像形成情報生成部82にクリアトナーTの画像形成情報を生成する指示情報が入力され、画像形成情報生成部82においてクリアトナーTの画像形成情報を生成される。
【0046】
なお、画像情報が画像形成装置100のスキャナ部60において読み取られた画像情報の場合には、画像形成装置100の操作表示部70の操作により、画像形成スタートの信号が入力され、その情報が制御部80に入力されると、スキャナ部60において原稿のスキャンが行なわれ原稿が読み取られるとともに、装置制御部81の制御により上記の場合と同様に画像形成装置100の動作が開始する。
スキャナ部60において読み取られた、R、G、B各色の画像情報は画像形成情報生成部82においてC、M、Y、K各色の画像形成情報に変換される。
次にラメ画像を形成する場合の処理について説明する。
外部機器200からRGB形式の画像情報を受信すると、この画像信号は画像形成情報生成部82により画像形成装置100において処理可能な形式の画像形成情報に変換される。
この画像形成情報は、画像形成装置100における画像形成の要素であるY,M,C,K各色のトナー像形成の情報である。
【0047】
なお本実施形態の場合には画像形成情報生成部82に入力されるRGB形式の画像情報には、R、G、B各色の画像情報とともに、ラメ画像形成のための画像処理を行なう処理範囲として予め指定されたラメ画像領域の情報が含まれている。
このラメ画像領域は、外部機器200においてRGB形式の画像情報が生成されるときに、例えばユーザによる外部機器200の操作表示部210の操作によって指定された領域である。
ラメ画像領域を示す情報は、例えば画像情報のうちラメ画像領域には「1」がラベリングされ、それ以外の画像領域には「0」がラベリングされるとしたラベリング情報によって表現されている。
このように、画像形成情報生成部82に入力される画像情報には、R、G、B各色の画像情報と、ラメ画像領域を示すラベリング情報が含まれている。
【0048】
図7は画像形成情報生成部82および画像形成情報処理部83が実行する処理を示したフローチャートである。
送受信部84を介して取得されたRGB形式の画像情報が画像形成情報生成部82に入力されると、画像形成情報生成部82は、画像情報の色空間をRGB形式からYMCK色空間に変換する色変換処理を行う(ステップS1)。
この色変換処理は、具体的には、画像形成情報生成部82が、RGB形式の画像情報に対し、記憶部85に記憶されているルックアップテーブルを適用して、Y、M、Cの3色の色成分を算出した後、周知の下色除去処理(UCR処理)を行うことにより、Kの色成分を算出する処理である。
この画像形成情報生成部82の色変換処理によって、RGB形式の画像情報を、Y,M,C,Kの4色の色成分からなるYMCK形式の画像形成情報に変換する。
このYMCK形式の画像形成情報に含まれる色成分は、各色のトナーの階調値を表している。
【0049】
続いて、画像形成情報処理部83のラメ画像領域特定部831は、RGB形式の画像情報に含まれていたラメ画像領域に相当するラベリング情報を参照して、YMCK形式の画像形成情報から、ラメ画像領域に含まれる画像形成情報を抽出する(ステップS2)。
【0050】
次に、画像形成情報処理部83のラメドット領域特定部832は、ラメ画像領域に少なくとも2つ以上のラメドット位置をランダムに設定し、ラメ画像領域特定部831により抽出された画像形成情報のうち、ラメドット位置に設定されるラメドット領域に含まれる画像形成信号を抽出する(ステップS3)。
ラメドット領域は、ラメ印刷におけるラメ粒子の領域に対応するものである。一般には、ラメドット領域が多いほど、またラメドット領域の位置が不規則なほど、ラメ特有のキラキラ感や光輝感が増加する。
ラメドット領域特定部832は、記憶部85のラメ設定情報記憶部852に記憶されたラメ設定情報にもとづきラメドット領域を設定する。すなわち、ラメドット領域の密度にもとづきラメドット位置をランダムに設定し、ラメドット領域の形状情報およびサイズ情報にもとづきラメドット領域を設定し、YMCK形式の画像形成情報から、ラメドット領域に含まれるY、M、C、K各色の画像形成情報を抽出する。
【0051】
次に、色度置き換え部833によりラメドット領域に含まれる画像形成情報を、各ラメドット領域についてあらかじめ設定された色度に置き換える(ステップS4)。
この色度置き換え部833による色度の置き換えは、ラメ設定情報記憶部852に記憶された選択された色の情報に対応し、かつ色度置き換え情報記憶部852に記憶されている色度置き換え情報にもとづいて行なわれる。
図8は、色度置き換え情報記憶部852に記憶されている色度置き換え情報の例である色度置き換えテーブルを示すもので、この色度置き換えテーブルには、ユーザが選択できるラメドット領域の色に対応して設定した色度すなわち各画像形成情報Y、M、C、K各色の階調値があらかじめ記憶されている。
この階調値はYMCK形式の場合には、Y、M、C、K各色について0〜100%の数値が設定される。そして、この階調値がそのまま、出力するときの網点面積率とされこの網点面積率に応じて、トナー像が記録紙に付着することになる。したがって、Y、M、C、K各色の階調値が大きいほど付着するトナー量は多くなり色は濃くなる。
なお、図8に示す色度置き換えテーブルには無色および青色Bについてのみ階調値を記載しており、その他の階調値の記載は省略している。
本実施形態においては、ラメドット領域の色は無色(白色)が選択されており、色度置き換えテーブルにはY、M、C、K各色について「0」%があらかじめ設定されている。
したがって、この場合、色度置き換え部833は各ラメドット領域のY、M、C、K各色の画像形成情報の階調値をすべて「0」%に置き換える。
これにより、ラメドット領域には有色トナーが付着しないことになる。
このような無色にする処理を行う理由は、特殊印刷においてはシルバー色のラメ粒子に光が反射したときには白色に見えることから、本実施形態においても同様な効果を得るため、ラメドット領域には有色トナーを付着させないこととし、白く光る擬似的なシルバーのラメを表現するようにするためである。
色度置き換えテーブルに設定する階調値としては上記の「0」以外に、各色に対応して所定の条件を満たす階調値が設定される。
【0052】
この色度置き換え部833の置き換えにより色度すなわちY、M、C、K各色の階調値が変更された画像形成情報にもとづいてY、M、C、K各色の有色トナー画像形成情報が、有色トナー画像形成情報生成部834において生成され出力される(ステップS5)。
本実施形態においては、上記のように各ラメドット領域の画像形成情報の階調値をすべて「0」に置き換えているので、各ラメドット領域のY、M、C、K各色の画像形成情報の階調値はすべて「0」に置き換えられていることになる。これにより、各ラメドット領域の有色トナー画像形成情報は、トナーが付着しない情報となっている。したがって、各ラメドット領域には有色トナーが付着せず、有色トナー像は形成されないことになる。
同時に、ステップS5では、クリアトナー画像形成情報生成部835において、各ラメドット領域の画像形成情情報に対応して、クリアトナー画像形成情報が生成され、出力される。
すなわち、クリアトナー画像形成情報は各ラメドット領域の画像形成情情報の色度をクリアトナー画像形成情報生成部835において、クリアトナーの量を示す階調値に変換して生成され、出力される。これにより、各ラメドット領域にはクリアトナーが付着されクリアトナー像が形成されることになる。
【0053】
画像形成部10は、Y、M、C、K各色の有色トナー画像形成情報およびクリアトナー画像形成情報を受け取ると、それらのその画像形成情報にもとづいて有色トナー像およびクリアトナー像を形成し、それらを転写ベルト31上に重ねて転写して、記録紙P上に転写し、クリアトナーによるトナー像が最上面となるカラーのトナー画像を記録紙P上に形成する(ステップS6)。
【0054】
本実施形態においては、上記のように各ラメドット領域の画像形成情報の階調値をすべて「0」に置き換えているので、各ラメドット領域には有色トナーは付着されず、クリアトナーのみが付着されることになる。
これにより、各ラメドット領域が光沢度を有して白く光る擬似的なシルバーのラメを表現することができる。
【0055】
ラメドット領域に付着させるクリアトナーは、他の有色トナーよりも光沢度が高くなる樹脂特性を持ったトナーが望ましい。ラメドット領域と、非ラメドット領域との光沢差が大きくなるほど、ラメの特徴であるキラキラ感や光輝感が増加するからである。
ラメ効果は、ラメドット領域の光沢度、およびラメドット領域と非ラメドット領域との光沢差が所定の範囲に設定されたときに、生じるものであり、ラメ画像は以上のような処理により形成される。
色度置き換えテーブルに設定する階調値としては上記の「0」以外に、各色に対応して所定の条件を満たす階調値が設定されるが、ラメ効果を生じさせるために、ラメドット領域の光沢度、およびラメドット領域と非ラメドット領域との光沢差をどのような設定にするかについては、主観評価実験を行なってその結果にもとづいて設定値を決めている。
そして、その場合の画像形成情報の階調値を、色度置き換えの階調値として色度置き換えテーブルに設定している。
【0056】
発明者は、ラメドット領域との光沢度、非ラメドット領域の光沢度、およびラメドット領域のサイズを、変えたサンプルを作成し、主観評価実験を実施しその効果を調査した。それについては後述する。
【0057】
ここで、図7に示すステップS3およびステップS4における処理のうち、ラメ画像領域でラメドット位置をランダムに指定する処理、ラメドット位置にもとづきラメドット領域を設定する処理および色度置き換え処理について具体的に説明する。
【0058】
具体例としては、入力される画像形成情報は600dpiで、1画素サイズが0.042×0.042mmであり、設定条件として、ラメ画像領域のラメドット密度を100個/cm、各ラメドット領域のサイズを0.1mm、各ラメドット領域の形状を正方形、色を無色とし、またラメドット位置を設定する単位面積とラメシート情報を作成する単位面積を、10×10mm=1×1cm(238×238画素)とした場合について説明する。
これらの設定条件は上記のように図6に示す入力画面により入力される。またラメドット位置を設定する単位面積とラメシート情報を作成する単位面積はあらかじめ設定され、ラメ設定情報記憶部852に記憶されている。
【0059】
まず、ラメのドットが密度100 個/cm、ラメドットのサイズが0.1mmの条件を示す情報が、ラメ設定情報記憶部852に記憶されており、この情報が画像形成情報処理部83のラメドット領域特定部832に送信され、この条件にもとづいてラメドット領域特定部832においてラメシート情報が作成される。
ラメシートは、各画素の画像形成情報を示すための所定の単位面積のシートであり、これに、色度置き換え部833において色度を置き換える画像形成情報が書き込まれたものがラメシート情報である。
【0060】
この実施形態においては、ラメシート内にラメドット領域が特定され、このラメドット領域に画像形成情報の色度を置き換える画像形成情報が書き込まれている。
このラメシート情報を、画像形成情報生成部82により変換されたYMCK形式の画像形成情報に上書きすることにより、画像形成情報の色度の置き換えが行なわれる。
ラメシートは、ラメドット密度とラメドット領域サイズ情報にもとづいて作成される。本実施例では、ラメシートの最小単位は10×10mm(238×238画素)として作成する。なお、10×10mm以外の単位で作成しても構わない。
【0061】
ラメシートの作成処理について説明する。ラメシートはラメドット位置を設定する単位面積である10×10mm=1×1cm(238×238画素)の大きさであり、このラメシートの単位面積内において、上記の条件であるラメドット密度100個/cmより、100個のラメドット領域を配置する。そのために、まず、各ラメドット位置を設定し、次にラメドットの位置に合わせて各ラメドット領域を配置する。
【0062】
図9は、ラメシートおよびラメドット領域を示す説明図であり、このラメシートにおいては238×238画素の各位置を、各ラメドット位置を設定可能な位置として特定する。
設定する各ラメドットの位置は、0〜229までの乱数を発生させて指定する。
乱数を238でなく229までとしたのは、本実施例のラメドット領域サイズが8×8画素であり、各ラメドット領域の左上の画素位置Qを、ラメシート上の各ラメドットの位置例えば位置Pに合わせて各ラメドット領域を配置するため、ラメシートの右端または下端をラメドットの位置Pとした場合にはラメドット領域がラメシートの範囲外となる可能性があるためである。
したがって乱数の幅は、ラメドット領域サイズに対応して変化させる必要がある。
各ラメドットの位置の設定は、ラメシート上の左上の位置Pを基点として横方向の画素位置Xと縦方向の画素位置Yとし、XとYに関してそれぞれ乱数を100回発生させ、ラメドット100個の各座標を決定する。
そして、上記のように各ラメドット領域の左上の座標Qと、乱数により発生させたラメドット各位置が一致するように、ラメシート内にラメドット領域を配置する。
図9において、Rはこのようにしてラメシート内に配置したラメドット領域を代表的に示している。
【0063】
上記のように、ラメドット領域をラメシート上に配置したが、次に色度置き換え部833により、ラメシートに画像形成情報の色度を置き換える画像形成情報、すなわち置き換え後の画像形成情報を書き込む。
本実施形態では、ラメドット領域の色を無色とするため、記憶部85の色度置き換え情報記憶部852に記憶されている色度置き換えテーブルには、ラメドット領域が無色のときのY、M、C、K各色の階調値を示す「0」の情報が記憶されている。
したがって、ラメシートのラメドット領域内のすべての画素に対し、階調値としてこの「0」の情報を書き込む。
また、ラメシート情報のラメドット領域以外の画素は「透明」とする。この情報は、上記の色度置き換えテーブルとは別の情報として、ラメドット領域以外の領域の色度として透明を示す「ブランク(無情報)」が記憶部85のラメ設定情報記憶部852に記憶されている。
したがって、ラメシートのラメドット領域以外の領域のすべての画素については、その階調値として「ブランク」状態にする。
これにより、画像形成情報生成部82により変換された画像形成情報に対してラメシート情報を上書きしても、ラメドット領域以外のラメシート情報は透明の情報であるため、ラメドット領域に含まれない画像形成情報の色情報はそのまま保存されることとなる。
以上のように、色度を置き換える画像形成情報が書き込まれたラメシートの一単位の作成が完了する。
【0064】
次に、このラメシートを用いて、Y、M、C、K各色の画像形成情報に上書きするためのラミネートシートを作成する。
ラミネートシートは、画像サイズと同一であり、ラメ画像領域のみにラメドット領域が配置され、ラメドット領域内のラメドット領域内のすべての画素に対して、階調値として「0」が書きまれたものである。
【0065】
このラミネートシートの作成について説明する。
まず、上記のように作成したラメシートの一単位を複製して、これらを図10に示すように、画像サイズの大きさになるように並べて連結する。ここでは画像サイズがA4であるため、ラメシートを連結させたA4サイズのラミネートシートを作成する。連結したときに画像サイズ内に収まりきれなかったラメシート部分(図中破線で示す部分)はカットする。
このようにして、画像サイズと同じサイズで、ラメドット領域が全範囲に亘って配置されたラミネートシートを作成する。
【0066】
次に、上記で説明した、外部機器200から画像形成情報生成部82にRGB各色の画像情報とともに入力されるラメ画像領域を示すラベリング情報にもとづいて、上記のラミネートシート内のラメ画像領域以外の画素を、すべて透明にする。
すなわち、上記したラメシートのラメドット領域以外の領域のすべての画素の場合と同様に、ラミネートシートのラメ画像領域以外のすべての画素を、その階調値として「ブランク」状態にする。
これにより、画像サイズと同じサイズで、ラメドット領域がラメ画像領域のみに配置されたラミネートシートの最終版が作成される。
このようにして作成したラミネートシートを、画像形成情報生成部82において変換されたY、M、C、K各色の画像形成情報に上書きする。
これにより、ユーザが指定した領域のみの画像形成情報の色度が置き換えられた画像形成情報を取得することができる。
【0067】
図7に示すステップS3およびステップS4における処理のうち、ラメ画像領域内でラメドット位置をランダムに指定する処理、ラメドット位置にもとづきラメドット領域を設定する処理および色度置き換え処理についての説明は以上の通りである。
次に、上記のような実施形態において画像を実験的に形成し、その結果を検証する主観評価実験を行なったので、説明する。
【0068】
<実験例1>
本実験では、有色トナーとして(株)リコー製のimagioMPC7500のY,M,C,Kの各色のトナーを用いた。これらトナーの平均粒径は約6μmであった。
クリアトナーとして、(株)リコー製のimagioMPC7500用トナー樹脂作製工程を一部変更して得た樹脂を用いて、平均粒径6μmのトナーを作製して用いた。
また、画像形成装置として、(株)リコー製のimagioMPC7500を、Y,M,C,K,Tの5種類のトナーで像を形成可能な構成に一部改造した装置を用いた。
なお、imagioは(株)リコーの登録商標である。
記録紙は王子製紙社製のPODグロスコート紙(坪量128g/m)A4サイズと、PODマットコート紙(坪量128g/m)A4サイズを用いた。
本実験では画像は図5に示すような英文字のベタ文字部分Aにラメ効果を生じる画像とした。図5は図4の一部の英文字を拡大したものである。図4のようにベタ文字部分Aに複数のラメドット領域Bを配置した。
図3のベタ文字部分Aのうちのラメドット領域B以外の部分である非ラメドット領域Cは階調値がY色100%、M色100%の配分で作製した。
【0069】
このトナー像を上記のPODグロスコート紙上に定着させたときの非ラメドット領域Cの60度光沢度は約30%であった。また、同様に、PODマットコート紙上に定着させたときの非ラメドット領域Cの60度光沢度は約7%であった。
実験に用いるサンプル作製条件は、ラメドット領域の光沢度と、ラメドット領域のサイズと、単位面積当たりのラメドット領域の個数をそれぞれ変更した。
また、ラメドット領域の形状は正方形とした。
なお、ラメドット領域に付着させたクリアトナーの面積は、従来の光沢度計のアパーチャーに対して小さく測定不可能なため、同一の記録紙上にラメドット領域の光沢度を測定するためのパッチを追加し、ラメドット領域の光沢度を計測した。
また、ラメドット領域に付着させるクリアトナーは網点処理を行わず、ベタで付着させた。単位面積当たりのクリアトナー付着量は0.40mg/cmとした。
【0070】
なお、上記で説明した光沢度とは、鏡面光沢度測定方法(JIS−Z8741)により測定された値のことを指す。
この鏡面光沢度測定方法は、被評価物に規定された入射角θで平行光を入射し、被評価サンプルからの正反射方向に反射した光束を受光器で検出し、検出した反射光束を標準面(可視波長全域で屈折率が1.567のガラス表面)において同様の条件で検出された反射光束によって規格化したものを鏡面光沢度とする測定方法である。
この鏡面光沢度測定方法では、入射角θとして20°、45°、60°、75°、85°を適用した測定方法が規定されており、一般的には鏡面光沢度の大きい被評価物の測定には入射角が小さい測定方法を、鏡面光沢度の小さい被評価物の測定には入射角が大きい測定方法を用いることが好ましいとされている。
本実験例では60度光沢度を使用している。光沢度計測には、村上色彩GM-26Dを使用した。
【0071】
主観評価実験は、画像評価技術者10名が各サンプルに対して以下の基準によって主観評価点をつける方法とした。
4点:ラメのように、よく見える
3点:ラメのように、見える
2点:ラメのように、やや見える
1点:ラメのように、見えない
そして、各評価者の評価点の平均値を各サンプルの評価点とした。
【0072】
<実験例1の1>
まず、ラメドット領域サイズ(mm)と単位面積当たりのラメドット数(個数/cm)を変更して作製したサンプルにより、主観評価実験を実施した。
なお、記録紙は王子製紙社製のPODグロスコート紙を用いたもので、このPODグロスコート紙上に定着させたときのベタ文字部の60度光沢度は約30%であった。また、ラメドット領域の60度光沢度は45%であった。結果を図11に示す。ここでは、評価者のばらつきを考慮して、評価点が2点の「ラメのようにやや見える」と、3点の「ラメのように見える」の中間値を許容限界値とし、評価点の平均点が2.5点以上であれば、ユーザはラメとして許容できる範囲とし、評価点の平均点が1点以上1.5点未満を×、1.5点以上2.5点未満を「△」、2.5点以上3.5点未満を「○」、3.5点以上4点以下を「◎」とした。
例えばラメドット領域サイズが1mm、単位面積当たりのラメドット数が100(個数/cm)以上のときは、ラメ領域すべてラメドットで埋め尽くされてしまうので、このような場合にはサンプルは作成せず、「−」と記した。
結果を見ると、ラメドット領域サイズが1mm以下かつ単位面積当たりのラメドット数が50(個数/cm)以上のときが、「〇」あるいは「◎」であり、ラメ画像のように見えることが判明した。
【0073】
<実験例1の2>
次に、ラメドット領域サイズを0.49(mm)、単位面積当たりのラメドット数を50(個数/cm)に設定し、ラメドット領域の光沢度と非ラメドット領域の光沢度を変更した場合について主観評価実験を行った。
記録紙として上記のPODグロスコート紙とPODマットコート紙(128g/m)を用いて、非ラメドット領域の光沢度が異なるようにした。これにより非ラメドット領域の60度光沢度が30%の場合と、7%の場合を比較した。
クリアトナーとしては、上記のように(株)リコー製のimagioMPC7500用トナー樹脂作製工程を一部変更する場合に、更に粘弾特性を変えるようにして、定着後の光沢度が異なるクリアトナーを数種類作製したものを用いた。
サンプルの画像は上記と同様のものを使用した。
結果を図12に示す。結果を見ると、ラメドット部の60度光沢度は文字部の光沢度よりも少なくとも10%以上大きいことが望ましいことが判明した。
また、ラメドット領域自身にある程度の光沢度が必要であり、実施形態としては、ラメドット領域の光沢度はで20%以上あることが望ましいことが判明した。
本実験結果から、上記のように色度置き換えテーブルに設定する階調値として、本実施形態の場合には、無色である「0」に設定することが妥当であることが判明した。
以上説明したように、本実験により、ラメ印刷のような効果を持つ画像を、従来の電子写真画像形成装置やトナーの構成を大きく変えることなく形成可能となることが確認できた。
【0074】
≪他の実施形態1≫
上記の実施形態においては、各ラメドット領域において、クリアトナーをベタすなわち階調値100%で付着させていたが、次に付着させるクリアトナーに付着について、網点面積率とスクリーン角をランダムに設定することで、よりラメ効果の高い画像を形成することが可能となる実施形態を説明する。
【0075】
図13はこの本実施形態における画像形成手順を示したフローチャートである。
この実施形態においては、図7に示す画像形成情報生成部82および画像形成情報処理部83が実行する処理のうち、クリアトナー画像形成情報生成部835の処理が異なるのみでありその他の構成は上記の実施形態と同様であるので、図7の処理と比較して説明する。
図13のフローチャートにおいてステップS131からステップS134まで、およびステップS135からステップS136は、図7に示すステップS1からステップS4まで、およびステップS5からステップS6と同じである。
【0076】
図13のフローチャートにおいては、ステップ134の後にステップ134aに進む。
このステップ134aでは各ラメドット領域に付着させるクリアトナーの網点面積率とスクリーン角をランダムに設定する処理を行なう。これは、各ラメドット領域の光沢性にランダムな変化をもたせて、見る角度によって光沢が変わるラメのようなきらきら感、光輝感が生じ、これによりラメ効果をより表現するものである。
以下に、この理由を説明する。
実際のラメにおいては、ある角度でラメ領域全体を見たときに、光沢があるラメ粒子部と無いラメ粒子部が混在することにより、きらきらした感じを与える効果をもたらすものである。
トナーが付着した状態においては、網点面積率が高いほど定着後のトナー表面での凹凸が小さくなる傾向があり、光沢度が増加する。この性質を利用することにより、網点面積率を各ラメドット領域においてランダムに設定することにより、ラメのきらきら感を擬似的に再現することが可能となる。
したがってクリアトナー画像形成情報生成部835において、クリアトナー画像形成情報にこのような網点面積率をランダムに設定する処理を施すことによりこのような効果を持たせることができる。
クリアトナー画像形成情報生成部835において行なう処理の条件の情報、例えば線数、網点面積率等の設定値は、記憶部85のクリアトナー設定情報記憶部854に記憶されている。
【0077】
次にクリアトナーのスクリーン角を各ラメドット領域でランダムに設定する理由について説明する。
ラメは上記で説明したように、見る角度によって光沢があるラメ粒子と光沢が無いラメ粒子が存在し、きらきらしたように見える。そこで、クリアトナーのスクリーン角をランダムに設定することにより、各ラメドットの光沢に異方性を加える。そして、見る角度によって光沢が各ラメドット領域で変化する画像を形成する。
スクリーン角を変えることにより光沢に異方性が生じる原理について説明する。図14は万線処理における記録紙上のトナーに対する光の反射を示した模式図である。
図14(A)は光の入射/反射面に対して、トナーのスクリーン角が平行な状態を示しており、図14(B)は直交した状態を示している。
【0078】
図14(A)の場合は、スクリーン角は入射面と平行なため、表面で拡散される光は少なく、反射する光の量は大きくなり、光沢が高くなる。しかし、図14(B)の場合は、入射面とトナーの凹凸が直交していることにより、一部がトナーが入射光をさえぎる壁となり(例えば破線部分)、光が拡散する。そのため、反射する光の量は図14(A)と比較して小さく、光沢が小さくなる。
【0079】
以上の性質を利用して、スクリーン角を各ラメドット領域でランダムに設定することにより、見る角度によって各ラメドットの光沢性が異なり、きらきらした効果を持たせた画像を形成することができる。
このように、本実施形態においては、よりラメ効果の高い画像を形成することが可能となる。
【0080】
<実験例2>
上記の効果を確かめるために、上記の処理によるサンプルを作製し、主観評価実験を実施した。サンプルの作製には実験例1の実験で用いた装置、有色トナーおよびクリアトナーを使用した。
クリアトナーは実験例1で用いたもののうち定着後のベタの60度光沢度が約60%となる特性を持った(株)リコー製のトナーを使用した。また記録紙は実験例1で使用したPODグロスコート紙を使用した。
記録紙に付着させるクリアトナー画像形成情報の処理は、線数を212線、万線タイプとした。また、網点面積率は50〜100%の範囲でランダムとなるように設定した。
またスクリーン角は0度〜360度の範囲でランダムとなるように設定した。入力画像パターンは実験例1で用いたものと同じものを用いた。
ラメドットサイズが0.49mm、ラメドット数が50(個数/cm)の条件で作製した実験例1の1のサンプルと、この条件に、上記の条件でクリアトナー画像形成情報に網点面積率とスクリーン角をランダムに設定した処理を施して作製したサンプルを比較することで、本実施形態の効果を確かめた。
【0081】
主観評価実験は実験例1の場合と同様に、主観評価者として画像設計技術者10人で実施した。結果は、評価者すべてが本実施形態の方法で作製したサンプルの方がよりラメに見えると評価した。
以上より、本実施形態によって画像を形成することにより、ラメ効果の高い擬似的ラメが像を形成することが可能となることが確認できた。
【0082】
≪他の実施形態2≫
上記の各実施形態においては、ラメドット領域には有色トナーは付着させなかったが、本実施形態においては有色トナーを付着させて色つきのラメ画像を形成する実施形態を説明する。
上記の各実施形態においては、ラメ画像の下地は記録紙と同じ白色であり、これによりシルバー色のラメ画像が形成されるものであったが、実際のラメ印刷画像にはカラーも存在している。そこで、本実施形態においてはラメドット領域に有色トナーを付着させることによりカラーのラメ画像を形成する。
【0083】
本実施形態においては、画像形成情報処理部83が実行する処理のうち、色度置き換え部833による処理が異なるのみでありその他の構成は上記の各実施形態と同様であるので、この色度置き換え部833による処理について説明する。
上記の図7のステップS4のように、色度置き換え部833はラメドット領域に含まれる画像形成情報を、各ラメドット領域についてあらかじめ設定された色度に置き換える。この色度の置き換えのために、色度置き換え情報記憶部852の色度置き換えテーブルには、あらかじめ設定されたR、G、B各色の画像形成情報ごとに、また直接的にC、M、K各色の各画像形成情報ごとにあらかじめ設定された階調値が記憶されている。
【0084】
本実施形態における手順について説明すると、ユーザは、図13に示す入力画面においてラメドット領域の色を選択する。
色度置き換えテーブルには、あらかじめ設定する色度として、上記の実施形態に示したように「0」に限らず、図6に示す操作画面で選択する色の画像形成情報であるC、M、K各色について所定の条件を満たす階調値が設定されている。
ここで、ユーザがラメドット領域の色として青色Bを選択した場合について説明する。
図8に示すように、色度置き換えテーブルには、あらかじめ設定する色の1つである青色Bについての画像形成情報であるC色およびM色の階調値が記憶されている。
本実施形態においては、C色およびM色の階調値として「0〜20」%が記憶されている。
この数値にした理由は、色度置き換え部833によりこれらの色の画像形成情報の階調値を、0〜20%の範囲でランダムに置き換えるためである。
階調値の設定範囲の上限値を20%としたのは、ラメドット領域の有色トナーは低濃度の場合によりラメに見えるといった実験結果によるものである。実験結果については次に説明する。
このように、本実施形態に示すカラーのラメ画像を形成することを可能とすることができる。
【0085】
<実験例3>
ラメドット領域の白色度の違いにより、ラメの再現性が変化するのかを確かめるために、主観評価実験を実施した。
白色度とは、物体の白さを表す値であり、物体の色度値を(L,a,b)としたときに具体的には次の式(1)で算出される。

なお上記の(L,a,b)値とは、国際照明委員会(CIE)が定めた色の表示方法である。(L,a,b)は一般的には測色計と呼ばれる計測器で計測できる。本実施例では測色にはX-RITE939を用い、測定条件は光源D50、標準観察者2度視野、測定アパーチャー4mmとした。
また、上記の白色度算出式はハンター白色度(JIS−P8123)とLab値を用いた白色度算出方法である。
サンプルの作製には実験例1および2の実験で用いた装置、有色トナーおよびクリアトナーを使用した。
クリアトナーは実験例1および2で用いたもののうち定着後のベタの60度光沢度が約60%となる特性を持った(株)リコー製のトナーを使用した。また記録紙は実験例1および2で使用したPODグロスコート紙を使用した。
【0086】
記録紙に付着させるクリアトナー画像形成情報の処理は、線数を212線、万線タイプとした。また、網点面積率は50〜100%の範囲でランダムとなるように設定した。
またスクリーン角は0度〜360度の範囲でランダムとなるように設定した。入力画像パターンは実験例1および2で用いたものと同じものを用いた。
また、ラメドット領域サイズは0.49/mm、ラメドット数は50(個数/cm)とし、ラメドットの色は青色とした。また、濃度および白色度を変更させるためにCトナーとMトナーの網点面積率を1〜25%まで1%ずつ変化させてサンプルを作製した。
【0087】
主観評価実験は実験例1の場合と同様に、主観評価者として画像設計技術者10人で実施した。結果を図15に示す。図15には実験例1の場合と同じ基準で「×」、「△」、「○」、「◎」として示している。
この結果によると、CとMの網点面積率が20%以下、白色度については約80以上のときが、ラメ画像のように見えるということが判明し、ラメドット領域に有色トナーを付着させてカラーのラメ画像を形成してもラメ効果を出せることが確認できた。
したがって、本実施形態においては、網点面積率20%以下の範囲で、有色トナーを付着させることが望ましい。
ただし、トナー1個の樹脂内の顔料量は、開発されるトナーごとに異なる場合があるため、網点面積率と白色度の関係もトナーごとで異なることがある。
よって、網点面積率に対応して有色トナー量を設定するのではなく、白色度に対応して有色トナー量の範囲を設定することが望ましい。これによると、本実験結果では白色度80以上でラメ効果が高いという結果となる。
【0088】
ここで、白色度と光沢度の組み合わせでラメ効果が出るメカニズムについて説明する。
白色度が高いとラメの再現性が高い理由についての考察を以下に説明する。
ラメ効果は、トナー層表面の正反射光とトナーの透明層内での内部散乱、記録紙表面での散乱の大きさに依存すると考えられる。有色トナーはYMCKのいずれにおいても、付着量が多くなるとトナー内部で散乱される光が減少して、これによりラメ特有のきらきら感が抑制されるため、ラメ効果が薄れるものと考えられる。
また、図15の光沢度に関する結果から、上記の実験例1の2において述べたようにラメドット領域の60度光沢度は文字部の非ラメドット領域の光沢度よりも少なくとも10%以上大きくないとラメには見えにくいということが判明している。
図12の光沢度に関する結果からは、更に、ラメドット領域の光沢度が20%以上あることが望ましいことが判明している。
つまり、ラメドット領域の白色度が高くても、ラメドット領域の光沢度が非ラメドット領域の光沢度がラメよりも小さいとき、またはラメドット領域の光沢度が一定以下の場合にはラメドット領域の表面で反射する光が目立たず、ラメ特有のきらきら感の効果が著しく小さくなってしまうことになると考えられる。
【0089】
以上のことから、ラメドット領域については、白色度と光沢度の二つの条件を満たさなければ、ラメのような質感を表現することはできないと考えられ、したがって、実験結果から、ラメドット領域の条件として、「ハンター白色度が80以上」であって、かつ「ラメドット領域の光沢度が20%以上」および「ラメドット領域の60度光沢度−非ラメドット領域外の60度光沢度≧10%」であることが必要であると考えられる。
なお、本実施形態ではC色とM色の0%〜20%の範囲でランダムとなるように設定したが、この範囲内であれば、固定値でもあっても、またユーザが任意に設定できるようにしても構わない。
【0090】
このように、本実施形態の画像形成によって、カラーのラメ画像を形成することが可能となる。
【0091】
上記のラメ設定条件を入力するための実施形態の応用例として、ラメドット領域ごとに色を指定し、配色に規則性を持たすことによって、ホログラムのような効果を持つ画像を擬似的に形成することも可能である。この場合にはユーザがラメドット領域ごとに色を指定する代わりに複数の色を選択して、この複数の色を各ラメドット領域に自動的に割り当てる処理を行うようにしてもよい。
また、形状パターンは一種類ではなく、ユーザは複数のパターンを選択可能とすることで、ラメ領域ごとにラメの見え方が異なる画像を形成することも可能である。さらに、ユーザが操作パネル上で、形状をタッチペンなどで描くことで、任意に形状を製作できる方法でも構わない。
【0092】
以上説明したように、本実施形態においては、様々な形状やサイズや密度を持つラメ粒子が含まれたような、ラメ画像を形成することが可能となる。特殊印刷のラメ画像では、ラメの形状、サイズ、密度ごとにインキを用意しなくてはならないため、コストがかかってしまうが、本実施形態においては、その必要が無く、簡単に形状やサイズを変更することができる画像形成装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0093】
100 画像構成装置
10 画像形成部
11 ドラム
12 帯電器
13 現像器
20 レーザ走査部
21 レーザ走査機構
30 転写ベルト機構
31 転写ベルト
32 転写部
40 給紙搬送機構
41 給紙カセット
42 分離ローラ
43 給紙ローラ
44 レジストローラ
45 排紙ローラ
46 排紙トレイ
50 定着部
60 スキャナ部
70 操作表示部
80 制御部
801 CPU
802 ROM
803 RAM
804 HDD
805 HD
806 バスライン
81 装置制御部
82 画像形成情報生成部
83 画像形成情報処理部
831 ラメ画像領域特定部
832 ラメドット領域特定部
833 色度置き換え部
834 有色トナー画像形成情報生成部
835 クリアトナー画像形成情報生成部
84 送受信部
85 記憶部
851 ラメ設定情報記憶部
852 色度置き換え情報記憶部
853 クリアトナー設定情報記憶部
200 外部機器
210 操作表示部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特許第4535112号公報
【特許文献2】特開2001−175022号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を画像形成の要素に変換した画像形成情報を処理する画像形成情報処理手段と、該画像形成情報処理手段において処理された画像形成情報にもとづいて記録媒体上に、有色トナーによるトナー像形成と、光沢トナーによるトナー像形成を行なうことにより画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、
前記画像形成情報処理手段は、前記画像形成情報の処理範囲である領域を示す画像領域情報を入力する入力手段と、
前記画像領域情報により示される画像形成情報のうちの処理対象である複数の部分領域を示す部分領域情報を入力する入力手段と、
前記画像形成情報のうち前記部分領域に含まれる画像形成情報の色度を変更する色度変更手段と、
前記色度変更手段により色度が変更された画像形成情報にもとづいて有色トナー画像形成情報を生成する有色トナー画像形成情報生成手段と、
前記画像形成情報のうち前記部分領域に含まれる画像形成情報に対応して、光沢トナー画像形成情報を生成する光沢トナー画像形成情報生成手段を有し、
前記画像形成手段は、前記有色トナー画像形成情報にもとづいて有色トナーによるトナー像形成を行い、該トナー像形成の最上層に光沢トナー画像形成情報にもとづいて光沢トナーによるトナー像形成を行なうことにより画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記色度変更手段の色度変更は、前記部分領域に形成された画像の光学的特性、および当該部分領域に形成された画像の光学的特性と前記画像領域であって前記部分領域以外の領域に形成された画像の光学的特性の差を設定するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、前記画像の光学的特性は画像の光沢度であり、前記色度変更手段の色度変更は、前記部分領域に形成された画像の光沢度、および当該部分領域に形成された画像の光沢度と前記画像領域であって前記部分領域以外の領域に形成された画像の光沢度の差を設定するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、前記部分領域に形成された画像の60度光沢度を20%以上で、かつ当該部分領域に形成された画像の60度光沢度と前記画像領域であって前記部分領域以外の領域に形成された画像の60度光沢度の差を10%以上に設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像形成装置において、前記画像の光学的特性は画像の光沢度とハンター白色度であり、前記色度変更手段の色度変更により、前記部分領域に形成された画像の光沢度とハンター白色度、および当該部分領域に形成された画像の光沢度と前記画像領域であって前記部分領域以外の領域に形成された画像の光沢度の差を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、前記部分領域に形成された画像の60度光沢度を20%以上およびハンター白色度を80以上で、かつ当該部分領域に形成された画像の60度光沢度と前記画像領域であって前記部分領域以外の領域に形成された画像の60度光沢度の差を10%以上に設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記色度変更手段により変更された色度が無色を示すものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記色度変更手段により変更された色度が有色を示すものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記色度変更手段により変更された色度が、前記部分領域のそれぞれに対してランダムに割り当てられることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記光沢トナー画像形成情報生成手段により生成する光沢トナー画像形成情報は、前記画像形成手段により付着される光沢トナーのスクリーン角を各部分領域に対してランダムに割り当てるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記光沢トナー画像形成情報生成手段により生成する光沢トナー画像形成情報は、前記画像形成手段により付着される光沢トナーの付着量を、各部分領域に対してランダムに割り当てるものであること特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の画像形成装置において、前記部分領域指定手段により指定される部分領域の単位面積あたりの数が、50個/cm以上であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の画像形成装置において、前記部分領域指定手段により指定される部分領域のサイズが、1mm以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の画像形成装置において、前記部分領域指定手段により指定される部分領域の位置を、ランダムに割り当てることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれかに記載の画像形成装置において、前記部分領域指定手段により指定される部分領域のサイズを、ランダムに割り当てることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の画像形成装置において、前記部分領域指定手段により指定される部分領域の形状を、任意に指定できる手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれかに記載の画像形成装置において用いられる画像形成情報処理手段を有する画像形成情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−20225(P2013−20225A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50291(P2012−50291)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】