説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】 帯電動作に伴って発生する生成物による異常画像が生じるのを防止して良好な印字処理を行うことができる画像形成装置および画像形成方法を提供する。
【解決手段】 リフレッシュブレード251が現像位置Pdvと1次転写位置TR1との間で潜像担持体の表面に対して離当接自在に設けられている。そして、印字処理を行っていない状態(いわゆる非印字状態)で必要に応じてリフレッシュブレード251が潜像担持体の表面に当接することで潜像担持体の表層部がリフレッシュブレード251により取り除かれて潜像担持体がリフレッシュされる。また、生成物DPとともにトナーが潜像担持体20の表面に残存していたとしても、リフレッシュ動作の実行によって、潜像担持体20に残存するトナーが1次転写位置TR1に到達する直前において除去され、該トナーによる中間転写ベルト16の汚染を確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、潜像担持体の帯電、潜像担持体への潜像の形成、該潜像のトナー現像、および該トナー現像により形成されるトナー像の中間転写媒体への転写を行って印字処理を実行する画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真法等により画像形成を行う画像形成装置では、感光体などの潜像担持体の表面が帯電部材によって一様帯電された後、この潜像担持体の表面に光ビームを照射することで静電潜像が形成される。そして、この潜像担持体上の静電潜像は現像ユニットの現像ローラに担持されたトナーにより現像され、トナー像が形成される。また、このトナー像は中間転写ベルトや中間転写ドラムなどの中間転写媒体に1次転写された後、該1次転写トナー像が複写紙、転写紙などのシート状の記録材に2次転写される。さらに、記録材に転写されたトナー像は定着ユニットにより定着されて、この記録材に画像が形成される。
【0003】
また、近年、潜像担持体から中間転写媒体への転写効率を高めることで、1次転写後に潜像担持体に残留するトナーを低減させ、これによって転写後の残留トナーをクリーニング除去するクリーナを省略する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−93580号公報([0016]、[0017])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置では印字処理を行うために潜像担持体の表面を帯電させる必要があるが、その帯電動作を行った際に、多量のオゾンが発生するとともに窒素酸化物などの放電生成物が生成されることがある。このように帯電動作に伴って生成される放電生成物が潜像担持体の表面に付着すると、これが画像形成に悪影響を与えてしまうことがあった。より具体的には、帯電動作により放電が発生し、それにより例えば窒素酸化物が形成されると、その窒素酸化物が空気中の水分と反応して硝酸が生成されるとともに、金属と反応して金属硝酸塩が生成される。そして、その硝酸または硝酸塩が薄い膜になって潜像担持体の表面に形成されると、潜像担持体表面の静電潜像が壊れてしまうことがある。その結果、画像が流れたような異常画像になり、良好な印字処理を行うことができないことがあった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、帯電動作に伴って発生する生成物による異常画像が生じるのを防止して良好な印字処理を行うことができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる画像形成装置は、所定の周速で回転する潜像担持体と、潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、帯電部材により帯電された潜像担持体の表面に潜像を形成する像書込部材と、潜像担持体と対向する現像位置にトナーを搬送する現像部材と、現像部材に現像バイアスを印加して現像位置で正規帯電トナーを潜像担持体に供給して潜像を現像する現像バイアス発生部と、潜像担持体の回転方向における現像位置の下流側に設けられた転写位置で潜像担持体と接触するように設けられた中間転写媒体とを備え、潜像担持体の帯電、潜像担持体への潜像の形成、該潜像の現像位置でのトナー現像、および該トナー現像により形成されるトナー像の中間転写媒体への転写を行って印字処理を実行する画像形成装置であって、上記目的を達成するため、現像位置と転写位置との間で潜像担持体の表面に対して離当接自在に設けられ、潜像担持体の表面に当接することで潜像担持体の表層部を取り除いて潜像担持体をリフレッシュさせるリフレッシュ部材と、リフレッシュ部材を離当接駆動する駆動手段と、駆動手段に対して駆動指令を与えてリフレッシュ部材の離当接動作を制御する制御手段とを備え、制御手段は、印字処理中においてリフレッシュ部材を潜像担持体から離間させる一方、印字処理を行っていない状態で必要に応じてリフレッシュ部材を潜像担持体に当接させてリフレッシュ動作を実行することを特徴としている。
【0008】
また、この発明にかかる画像形成方法は、所定の周速で回転する潜像担持体と、潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、帯電部材により帯電された潜像担持体の表面に潜像を形成する像書込部材と、潜像担持体と対向する現像位置にトナーを搬送する現像部材と、現像部材に現像バイアスを印加して現像位置で正規帯電トナーを潜像担持体に供給して潜像を現像する現像バイアス発生部と、潜像担持体の回転方向における現像位置の下流側に設けられた転写位置で潜像担持体と接触するように設けられた中間転写媒体とを備えた画像形成装置において、潜像担持体の帯電、潜像担持体への潜像の形成、該潜像のトナー現像、および該トナー現像により形成されるトナー像の中間転写媒体への転写を行って印字処理を実行する画像形成方法であって、上記目的を達成するため、印字処理中においてリフレッシュ部材を潜像担持体から離間させる工程と、印字処理を行っていない状態で必要に応じてリフレッシュ部材を現像位置と転写位置との間で潜像担持体に当接させることで潜像担持体の表層部を取り除いて潜像担持体をリフレッシュさせる工程とを備えたことを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(画像形成装置および方法)では、リフレッシュ部材が潜像担持体の表面に対して離当接自在に設けられている。このリフレッシュ部材は印字処理中において潜像担持体から離間しており、リフレッシュ部材に起因する画像乱れを確実に防止して印字処理を良好に行うことができる。また、印字処理を行っていない状態(いわゆる非印字状態)で必要に応じてリフレッシュ部材が潜像担持体の表面に当接することで潜像担持体の表層部がリフレッシュ部材により取り除かれて潜像担持体がリフレッシュされる。これにより、帯電動作に伴って発生した生成物が潜像担持体の表面に付着したとしても、リフレッシュ動作により除去され、その結果、生成物による異常画像が生じるのを防止して良好な印字処理を行うことが可能となる。
【0010】
また、この発明では、リフレッシュ部材は現像位置と転写位置との間に配設され、リフレッシュ動作において潜像担持体の表面に当接する。このため、次のような作用効果が得られる。従来より周知のように、クリーナレスの画像形成装置(転写後の残留トナーを回収する専用のクリーニング部材を装備しない装置)では、潜像担持体の表面に残存するトナーを回収するために現像ユニットや帯電ユニットを用いる場合がある。例えば、現像同時クリーニング作用により現像ユニットに潜像担持体上のトナーを回収する技術が用いられることがある。しかしながら、現像ユニットにより潜像担持体上のトナーを完全に回収することが事実上困難であり、現像ユニットをすり抜けたトナーはそのまま中間転写媒体に搬送されて中間転写媒体を汚すおそれがある。これに対し、本発明ではリフレッシュ動作時にリフレッシュ部材が現像位置と転写位置との間で潜像担持体の表面に当接しているため、仮に生成物とともにトナーが潜像担持体の表面に残存していたとしても、両者を潜像担持体から確実に除去することができる。その結果、トナーが転写位置に到達する直前において除去され、該トナーによる中間転写媒体の汚染を確実に防止することができる。
【0011】
このように、リフレッシュ部材が現像位置と転写位置との間に配設されていることから、リフレッシュ動作と関連させて現像バイアスの変更設定を行うことで正規帯電トナーとは逆極性のトナー、つまり逆帯電トナーを回収することができる。すなわち、現像部材に印加する現像バイアスを変更可能に構成するとともに、リフレッシュ動作時での帯電部材により帯電された潜像担持体の表面電位と現像バイアスとの電位差が印字処理時の電位差よりも大きくなるように、現像バイアスを変更するように構成してもよい。このようにリフレッシュ動作に関連して現像バイアスを上記のように変更すると、現像位置に位置するトナーのうち逆帯電トナーが潜像担持体に付着された後、リフレッシュ部材により潜像担持体から除去される。こうして、画質低下の主要因のひとつとなる逆帯電トナーがリフレッシュ動作により積極的に除去される。したがって、印字品質をさらに高めることができる。
【0012】
ここで、リフレッシュ動作時での現像バイアスについては、例えば略ゼロボルトに設定したり、印字処理での現像バイアスの極性と逆極性に設定することができる。前者のように設定した場合には、潜像担持体の表面が逆極性に帯電されるのを防止することができる。一方、後者のように設定した場合には、リフレッシュ動作時の電位差をより大きくすることができ、逆帯電トナーをより確実に潜像担持体に移行させて逆帯電トナーの除去効率を高めることができる。
【0013】
また、中間転写媒体に転写されたトナー像は記録材に転写される。このように構成された装置では、装置の小型化の観点から、潜像担持体の回転方向において、潜像担持体の周長が記録材の長さより短くなるように構成するのが望ましい。
【0014】
さらに、潜像担持体の表面全体を均一にリフレッシュさせるためには、リフレッシュ部材が潜像担持体の表面に当接した状態で、潜像担持体を1周以上回転させるのが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1は本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置1は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成するカラー印字処理、およびブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する単色印字処理を選択的に実行する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印字指令)がメインコントローラ51に与えられると、このメインコントローラ51からの指令に応じてエンジンコントローラ52がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート(記録材)Sに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0016】
図1において、本実施形態の画像形成装置1は、ハウジング本体2と、ハウジング本体2の前面(同図の右手側面)に開閉自在に装着された第1の開閉部材3と、ハウジング本体2の上面に開閉自在に装着された第2の開閉部材(排紙トレイを兼用している)4とを有している。また、第1の開閉部材3には、開閉蓋3aがハウジング本体2の前面に開閉自在に装着されている。なお、この開閉蓋3aは第1の開閉部材3と連動して、または独立して開閉可能となっている。
【0017】
ハウジング本体2内には、電源回路基板、メインコントローラ51およびエンジンコントローラ52を内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット6、送風ファン7、転写ベルトユニット9および給紙ユニット10もハウジング本体2内に配設されている。一方、第1の開閉部材3側には、2次転写ユニット11、定着ユニット12およびシート搬送機構13が配設されている。なお、この実施形態では、画像形成ユニット6および給紙ユニット10内の消耗品は、装置本体に対して着脱自在に構成されている。そして、これらの消耗品および転写ベルトユニット9については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0018】
転写ベルトユニット9は、ハウジング本体2の下方に配設され図示しない駆動モータにより回転駆動される駆動ローラ14と、駆動ローラ14の斜め上方に配設される従動ローラ15と、この2本のローラ14、15間に張架されて図示矢印方向D16へ循環駆動される中間転写ベルト16と、中間転写ベルト16の表面に当接されるクリーニング部17とを備えている。この従動ローラ15は駆動ローラ14に対して斜め上方(図1中の左手上方)に配置されている。このため、中間転写ベルト16は傾斜状態のまま方向D16に回転移動する。また、中間転写ベルト16を駆動した際のベルト搬送方向D16が下向き(図1の右下向き)になるベルト面16aは下方に位置している。本実施形態においては、ベルト面16aがベルト駆動時のベルト張り面(駆動ローラ14により引っ張られる面)となっており、後述する各色の潜像担持体の周速と略同一の周速(例えば103%程度)を有している。
【0019】
上記駆動ローラ14および従動ローラ15は支持フレーム9aに回転自在に支持されている。この支持フレーム9aの下端には、回動部9bが形成されるとともに、ハウジング本体2に設けられた回動軸(回動支点)2bに嵌合されている。これにより、支持フレーム9aはハウジング本体2に対して回動自在となっている。一方、支持フレーム9aの上端には、ロックレバー9cが回動自在に設けられるとともに、ハウジング本体2に設けられた係止軸2cに係止可能にされている。
【0020】
駆動ローラ14は、2次転写ユニット11を構成する2次転写ローラ19のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ14の周面には、図1に示すように、厚さ3mm程度、体積抵抗率が10Ω・cm以下のゴム層14aが形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ19を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ14に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層14aを設けることにより、2次転写部へシートSが進入する際の衝撃が中間転写ベルト16に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0021】
また、本実施形態においては、駆動ローラ14の径を従動ローラ15の径より小さくしている。これにより、2次転写後のシートSがシートS自身の弾性力で剥離し易くすることができる。また、従動ローラ15をクリーニング部17のバックアップローラとして兼用させている。このクリーニング部17は、搬送方向下向きのベルト面16a側に設けられており、図1に示すように、残留トナーを除去するクリーニングブレード17aと、除去したトナーを搬送するトナー搬送部材とを備えている。そして、クリーニングブレード17aは従動ローラ15への中間転写ベルト16の巻きかけ部において中間転写ベルト16に当接して2次転写後に中間転写ベルト16の表面に残留しているトナーをクリーニング除去する。
【0022】
また、中間転写ベルト16の搬送方向下向きのベルト面16a裏面には、後述する各画像形成ステーションY,M,C,Kの潜像担持体20に対向して1次転写ローラ21aを配置してなる1次転写ユニット21が設けられている。この1次転写ユニット21では、4つの1次転写ローラ21aがリンクバー21bに対して回転自在に軸支されている。これらの1次転写ローラ21aは図示を省略する1次転写バイアス発生部と電気的に接続されており、適当なタイミングで1次転写バイアス発生部から1次転写バイアスが印加される。
【0023】
このリンクバー21bは、ブラック(K)の画像形成ステーションKの潜像担持体20に対向して配置された1次転写ローラ21aを回動中心として、矢印方向D21に回動自在に設けられている。そして、図示を省略するアクチュエータを作動させることでリンクバー21bが回動してイエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の画像形成ステーションY,M,Cの潜像担持体20に対向して配置された1次転写ローラ21aが潜像担持体20に向かって近接し、また潜像担持体20から離間移動する。このため、各1次転写ローラ21aが潜像担持体20に向かって近接移動すると、中間転写ベルト16を挟んで該潜像担持体20に当接する(図1中の実線)。そして、この当接位置が1次転写位置(図5の符号TR1)となっており、後述するように該1次転写位置でトナー像が中間転写ベルト16に転写される。このように1次転写位置TR1が本発明の「転写位置」に相当している。逆に、各1次転写ローラ21aが潜像担持体20から離間移動すると、画像形成ステーションY,M,Cの潜像担持体20と中間転写ベルト16とは互いに離間する(図1中の破線)。一方、ブラック(K)の画像形成ステーションKの潜像担持体20に対向して配置された1次転写ローラ21aについては、中間転写ベルト16を挟んで該潜像担持体20に当接されたままと回転するように構成されている。したがって、図1の実線で示すように、全1次転写ローラ21aを潜像担持体20側に位置させることでカラー印字処理が実行可能となる。一方、同図の破線で示すように、ブラック用の1次転写ローラ21aを残して他の1次転写ローラ21aを潜像担持体20から離間させることでモノクロ印字処理のみを実行しつつ画像形成ステーションY,M,Cを非印字状態とすることができる。
【0024】
また、転写ベルトユニット9の支持フレーム9aには、駆動ローラ14に近接してテストパターンセンサ18が設置されている。このテストパターンセンサ18は、中間転写ベルト16上の各色トナー像の位置決めを行うとともに、各色トナー像の濃度を検出し、各色画像の色ずれや画像濃度を補正するためのセンサである。また、この実施形態では、上記センサ18に加えて、中間転写ベルト16の特徴部位(例えば幅方向に突設された突起部)を検出する垂直同期センサ60(図2)が支持フレーム9aに取り付けられている。このため、中間転写ベルト16の特徴部位がセンサ60を通過するたびに垂直同期信号(基準信号)が出力される。
【0025】
画像形成ユニット6は、複数(本実施形態では4つ)の異なる色の画像を形成する画像形成ステーションY(イエロー用),M(マゼンタ用),C(シアン用),K(ブラック用)を備えている。各画像形成ステーションY,M,C,Kにはそれぞれ、感光体ドラムからなる潜像担持体20が設けられている。また、各潜像担持体20の周囲には、帯電部材22、像書込部材23、現像部24およびリフレッシュ部25のリフレッシュブレード251が配設されている。この実施形態では、帯電部材22、像書込部材23、現像部24の現像ローラ33によって帯電動作、潜像形成動作およびトナー現像動作を実行する。なお、現像部24は、画像形成ステーションKのみに符号を付けて他の画像形成ステーションについては構成が同一のため符号を省略する。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kの配置順序は任意である。
【0026】
そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kの潜像担持体20が1次転写位置TR1(図5)で中間転写ベルト16の搬送方向下向きのベルト面16aに当接されるようにされ、その結果、各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ローラ14に対して図で左側に傾斜する方向に配設されることになる。また、各潜像担持体20は、図示矢印D20に示すように、中間転写ベルト16の搬送方向に所定周速で回転駆動される。なお、この実施形態では、潜像担持体20の回転方向D20において、潜像担持体20の周長は最小サイズのシート長、例えば葉書サイズよりも短くなっている。
【0027】
帯電部材22は、帯電バイアス発生部(図示省略)に接続された導電性ブラシローラで構成され、感光体である潜像担持体20と同一方向に回転し、かつ、略同一の周速度で当接回転して潜像担持体20の表面を一様に帯電させる。導電性ブラシローラは、直径5〜8mmの良導電性軸部材(例えば金属軸)の表面へ太さが2〜6デニールで原糸抵抗が10〜10Ωの半導電性繊維を平方インチあたり15万〜43万本パイル織り植毛した生地をスパイラル状に巻き付けて構成され、潜像担持体20に対する接触深さが0.3〜0.5mmとなるように回転可能に保持している。なお、帯電部材22の構成はこれに限定されるものではなく、従来より周知の帯電方式、例えばスコロトロン帯電などの非接触帯電方式、あるいは帯電ローラを潜像担持体20と略同一の周速で回転させながら接触させて帯電させるローラ帯電方式などを用いてもよい。
【0028】
像書込部材23は、発光ダイオードやバックライトを備えた液晶シャッタ等の素子を潜像担持体20の軸方向に列状に配列したアレイ状書込ヘッドを用いており、潜像担持体20から離間配置されている。また、アレイ状書込ヘッドは、レーザー走査光学系よりも光路長が短くてコンパクトであり、潜像担持体20に対して近接配置が可能であり、装置全体を小型化できるという利点を有する。本実施形態においては、各画像形成ステーションY,M,C,Kの潜像担持体20、帯電部材22および像書込部材23を交換カートリッジ6Y,6M,6C,6K(図2)としてユニット化することにより、アレイ状書込ヘッドの位置決めを保持する構成とし、交換カートリッジの交換時にはアレイ状書込ヘッドを含めて交換し、新たな交換カートリッジに対して光量調整や位置決めを行って再使用を行う構成としている。また、各交換カートリッジ6Y,6M,6C,6Kには、該交換カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性メモリ91〜94がそれぞれ設けられている。そして、各交換カートリッジに設けられた送受信部53Y,53M,53C,54Kと、本体側に設けられた送受信部522Y,522M,522C,522Kとがそれぞれ互いに近接配置され、エンジンコントローラ52のCPU521とメモリ91〜94との間で無線通信が行われる。こうすることで、各交換カートリッジに関する情報がCPU521に伝達されるとともに、各メモリ91〜94内の情報が更新記憶される。
【0029】
次に、現像部24の詳細について、画像形成ステーションKを代表して説明する。本実施形態においては、各画像形成ステーションY,M,C,Kが斜め方向に配設され、かつ潜像担持体20が中間転写ベルト16の搬送方向下向きのベルト面16aに当接される関係上、トナー貯留容器26を斜め下方に傾斜して配置している。そのため、現像部24として特別の構成を採用している。すなわち、現像部24は、トナー(図1のハッチング部)を貯留するトナー貯留容器26と、このトナー貯留容器26内に形成されたトナー貯留部27と、トナー貯留部27内に配設されたトナー撹拌部材29と、トナー貯留部27の上部に区画形成された仕切部材30と、仕切部材30の上方に配設されたトナー供給ローラ31と、仕切部材30に設けられトナー供給ローラ31に当接されるブレード32と、トナー供給ローラ31および潜像担持体20に当接して潜像担持体20とほぼ同一の周速で回転する現像ローラ33と、現像ローラ33に当接される規制ブレード34とから構成されている。なお、この実施形態では、接触現像方式を採用しているが、非接触方式の現像方式を採用することができる。
【0030】
潜像担持体20は中間転写ベルト16の搬送方向D16に回転される。また、現像ローラ33および供給ローラ31は、図示矢印D33に示すように、潜像担持体20の回転方向D20とは逆方向に回転駆動される。一方、撹拌部材29は供給ローラ31の回転方向とは逆方向に回転駆動される。このため、トナー貯留部27において撹拌部材29により撹拌、運び上げられたトナーは、仕切部材30の上面に沿ってトナー供給ローラ31に供給される。また、こうして供給されたトナーはブレード32と摺擦して供給ローラ31の表面凹凸部への機械的付着力と摩擦帯電力による付着力によって、現像ローラ33の表面に供給される。そして、現像ローラ33に供給されたトナーは規制ブレード34により所定厚さの層厚に規制される。さらに、こうして薄層化されたトナー層は、潜像担持体20へと搬送される。そして、現像ローラ33と電気的に接続された現像バイアス発生部525から現像ローラ33に印加される現像バイアスVb(図6)によって、現像ローラ33と潜像担持体20とが対向する現像位置Pdv(図5)において、正規帯電トナーが現像ローラ33から潜像担持体20に移動して、像書込部23により形成された静電潜像が顕像化される。このように、この実施形態では、現像ローラ33が本発明の「現像部材」として機能している。
【0031】
なお、本実施形態のようにクリーナレス構成の画像形成方法を用いる場合には、転写効率を高める観点から、球形トナーの使用が多くなってきており、クリーナレス構成の画像形成技術を実用レベルまで引き上げるためには球形度が0.96以上のトナーを使用するのが望ましい。ここで、トナーの平均球形度は、例えばフロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス株式会社製)を用いて測定することができる。この装置にはフラットシースフローセルと、このセルを挟んで対向する位置にCCDカメラとストロとが配置されている。そして、水などに分散させたトナー粒子を吸引してフラットシースフローセルを通過させ、通過する粒子を、ストロボをフラッシュさせた状態で撮影する。得られた画像をコンピューター処理し、個々の粒子の面積(粒子投影面積)および粒子投影像の周囲長を計測し、またコンピューターにより粒子の円相当径を計算することにより個々の粒子の球形度を求めることができる。
【0032】
次に、リフレッシュ部25について図3を参照しつつ詳述する。この実施形態の特徴的な構成として、現像位置Pdv(図5)と1次転写位置TR1(図5)との間でリフレッシュ部25のリフレッシュブレード251が潜像担持体20の表面に対して離当接自在に設けられている。
【0033】
図3は潜像担持体に対してリフレッシュ処理を施すリフレッシュ部の構成を示す図である。このリフレッシュ部25では、リフレッシュ位置Prfにおいてリフレッシュブレード251が潜像担持体20に対して離当接自在に配置されている。すなわち、リフレッシュブレード251の上端部が揺動レバー252の後端部と連結されるとともに、その連結部分が回動軸253に固定されており、リフレッシュブレード251および揺動レバー252が一体的に回動軸253回りに回動自在となっている。この回動動作によりリフレッシュブレード251の先端部が潜像担持体20に移動して当接したり(同図(a))、リフレッシュブレード251の先端部が潜像担持体20から移動して離間する(同図(b))。なお、この実施形態では、揺動レバー252の下端部にバネ部材254が取り付けられて該バネ部材254の付勢力によりリフレッシュブレード251が潜像担持体20に当接される。
【0034】
また、潜像担持体20に対してリフレッシュブレード251の離当接駆動するために、ブレード駆動機構255が設けられている。このブレード駆動機構255は、回転軸256と、この回転軸256に固着されてリフレッシュブレード251を潜像担持体20に離当接させる偏心カム257とを備えている。また、回転軸256はクラッチ258を介して駆動モータ259に連結されており、エンジンコントローラ52からの指令によってクラッチ258が閉じられると、駆動モータ259の駆動力が回転軸256に伝達され、カム257が回転する。
【0035】
ここでは、偏心カム257はリフレッシュブレード251が図3に示すような2つのポジションのうち一のポジションに選択的に回転位置決めされるように、回転軸256に対して固着されている。すなわち、同図(a)では、リフレッシュブレード251が潜像担持体20に当接されている状態を示しており、カム257がリフレッシュブレード251の揺動レバー252から離間されている(以下、「当接ポジション」という)。また、同図(b)では、リフレッシュブレード251が潜像担持体20から離間されている状態を示しており、カム257がリフレッシュブレード251の揺動レバー252に当接されている(以下、「離間ポジション」という)。
【0036】
そして、必要に応じて、ブレード初期化動作およびリフレッシュ動作を選択的に行う。なお、「ブレード初期化動作」および「リフレッシュ動作」の概要は以下のとおりである:
・ブレード初期化動作…リフレッシュブレード251をまず強制的に潜像担持体20の表面に移動当接させ、さらに該表面から離間移動させてリフレッシュブレード251を離間位置(初期位置)に位置決めする動作;
・リフレッシュ動作…リフレッシュブレード251を潜像担持体20に当接することで、潜像担持体20の表層部を削り取って潜像担持体20をリフレッシュする動作。
【0037】
図1に戻って、装置構成の説明を続ける。給紙ユニット10は、シートSが積層保持されている給紙カセット35と、給紙カセット35からシートSを一枚ずつ給送するピックアップローラ36とからなる給紙部を備えている。第1の開閉部材3内には、2次転写部へのシートSの給紙タイミングを規定するレジストローラ対37と、駆動ローラ14および中間転写ベルト16に圧接される2次転写手段としての2次転写ユニット11と、定着ユニット12と、シート搬送機構13と、排紙ローラ対39と、両面プリント用搬送路40を備えている。
【0038】
2次転写ユニット11では、2次転写ローラ19が中間転写ベルト16に対して離当接自在に設けられるとともに、2次転写ローラ19を離当接駆動する2次転写ローラ駆動機構111が設けられている。なお、2次転写ローラ駆動機構111は基本的にブレード駆動機構255と同一の構成を有している。すなわち、その一端に2次転写ローラ19が回転自在に取り付けられた回動レバー42が固定軸41に回動自在に枢支されている。また、その回動レバー42の他端と第1の開閉部材3との間にスプリング43が配設されており、その付勢力によって2次転写ローラ19は図示矢印方向に移動し、中間転写ベルト16および駆動ローラ14に押圧されている。また、2次転写ローラ駆動機構111は偏心カム44を有しており、この偏心カム44は回動レバー42のスプリング43側に設けられている。そして、図示を省略するクラッチを介して駆動モータの駆動力によって偏心カムが回転すると、回動レバー42がスプリング43に抗して回動し、2次転写ローラ19を中間転写ベルト16から離間させる。
【0039】
定着ユニット12は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ45と、この加熱ローラ45を押圧付勢する加圧ローラ46と、加圧ローラ46に揺動可能に配設されたベルト張架部材47と、加圧ローラ46とベルト張架部材47間に張架された耐熱ベルト49を有している。そして、シートSに2次転写された画像は、加熱ローラ45と耐熱ベルト49で形成するニップ部で所定の温度でシートSに定着される。本実施形態においては、中間転写ベルト16の斜め上方に形成される空間、換言すれば、中間転写ベルト16に対して画像形成ユニット6と反対側の空間に定着ユニット12を配設することが可能になり、電装品ボックス5、画像形成ユニット6および中間転写ベルト16への熱伝達を低減することができ、各色の色ずれ補正動作を行う頻度を少なくすることができる。
【0040】
また、こうして定着処理を受けたシートSは排紙ローラ対39を経由して装置本体の上面部に設けられた第2の開閉部材(排紙トレイ)4に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排紙ローラ対39後方の反転位置まで搬送されてきた時点で排紙ローラ対39の回転方向を反転し、これによりシートSは両面プリント用搬送路40に沿って搬送される。そして、レジストローラ対37の手前で再び搬送経路に乗せられるが、このとき、2次転写領域において中間転写ベルト16と当接して画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
【0041】
また、この装置1では、図2に示すように、メインコントローラ51のCPU511により制御される表示部54を備えている。この表示部54は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU511からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
【0042】
なお、図2において、符号513はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース512を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ51に設けられた画像メモリである。また、符号523はCPU521が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号524はCPU521における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0043】
次に、上記のように構成された画像形成装置におけるリフレッシュ動作について図4および図5を参照しつつ説明する。図4は図1の画像形成装置における電源投入時の動作を示すタイミングチャートである。また、図5は電源投入時でのリフレッシュ部材の動作を模式的に示す図である。
【0044】
図1の装置に電源が投入されると、最初の印字処理前に以下のようにして潜像担持体20に対するリフレッシュ処理が実行される。すなわち、電源投入から所定時間が経過すると、エンジンコントローラ52によりエンジン部EGの各部が以下のように制御されてシート搬送準備、ブレード初期化動作、リフレッシュ動作および通常印字シーケンスが実行される。まず、シート搬送準備が実行されるとともに、ハウジング本体2の下方に配設された駆動モータにより駆動ローラ14が回転駆動されて中間転写ベルト16の回転駆動が開始される。すると、中間転写ベルト16の特徴部位が垂直同期センサ60を通過するたびに垂直同期信号(基準信号)Vsyncが出力される。つまり、中間転写ベルト16が1周するたびに垂直同期信号Vsyncが出力され、その周期は中間転写ベルト16の1周分に相当している。また、この実施形態では、図示を省略する除電器(イレーサ)の作動が開始されて潜像担持体20の表面に対して除電処理が実行される。なお、この除電処理は次に説明するブレード初期化動作およびリフレッシュ動作が完了するまで継続される。
【0045】
このブレード初期化動作では、エンジンコントローラ52からの駆動指令に応じて駆動モータ259の駆動が開始される。また、それと同時または若干遅れて、クラッチ258が閉じて駆動モータ259からの回転駆動を回転軸256に伝達する。これによって、回転軸256が回転し、リフレッシュブレード251が潜像担持体20に対して離当接される。すなわち、図5(a)の1点鎖線で示すように、リフレッシュブレード251が強制的に潜像担持体20の表面に移動当接する。その後、クラッチ258により所定の角度でカム257が停止する。これにより、同図(a)の実線で示すように、リフレッシュブレード251が初期位置(ホームポジション)に位置決めされる。なお、同図中の符号DPは帯電動作に伴って発生して潜像担持体20の表面に付着した硝酸や硝酸塩などの生成物を示している。
【0046】
こうして、ブレード初期化動作が完了すると、最初の垂直同期信号Vsyncが出力されるのを待って、帯電部材への帯電バイアスの印加を開始するとともに、リフレッシュ動作を開始する。すなわち、エンジンコントローラ52からの当接指令に応じてクラッチ258が閉じて駆動モータ259からの回転駆動を回転軸256に伝達してリフレッシュブレード251を潜像担持体20に移動当接させる(同図(b))。そして、潜像担持体20へのリフレッシュブレード251の当接状態を維持することで潜像担持体20の表層部が削り取られ、潜像担持体20に付着していた生成物DPが除去される。こうして、潜像担持体20のリフレッシュ処理が実行される。ここでは、垂直同期信号Vsyncの周期よりも長い時間Tの間、リフレッシュブレード251を潜像担持体20の表面に当接させたまま潜像担持体20を回転させている。つまり、リフレッシュブレード251が潜像担持体20の表面に当接した状態で潜像担持体20を1周以上回転させた後でリフレッシュ動作を完了させている(同図(c))。これによって、潜像担持体20の表面全体を均一にリフレッシュさせることができる。
【0047】
また、リフレッシュ動作時にリフレッシュブレード251が現像位置Pdvと転写位置TR1との間で潜像担持体20の表面に当接しているため、仮に生成物DPとともにトナーが潜像担持体20の表面に残存していたとしても、その残存トナーは生成物DPとともにリフレッシュブレード251によって除去される。
【0048】
こうしてリフレッシュ処理(ブレードの初期化処理+リフレッシュ動作)が完了すると、エンジンコントローラ52からの離間指令に応じてクラッチ258が閉じて駆動モータ259からの回転駆動を回転軸256に伝達してリフレッシュブレード251を潜像担持体20から離間させてホームポジションで停止位置決めする。また、次の垂直同期信号Vsyncの出力を検出した後、潜像担持体20の回転を停止させるとともに、イレーサの電源をOFFして画像形成指令の入力を待つ。
【0049】
そして、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印字指令)がメインコントローラ51に与えられると、通常印字シーケンスを実行して印字処理を実行する。なお、電源投入直後にリフレッシュ処理が行われた後においては、リフレッシュブレード251はホームポジションに待機しており、リフレッシュブレード251に起因する画像乱れを確実に防止して印字処理を良好に行うことができる。
【0050】
以上のように、この実施形態では、電源投入直後にリフレッシュ処理を実行するように構成しているので、前回の装置稼動期間において潜像担持体20の表面に付着した生成物(硝酸や硝酸塩など)DPを確実に除去してフレッシュな状態の潜像担持体20を用いて印字処理を実行することができる。その結果、生成物DPによる異常画像が生じるのを防止して良好な印字処理を行うことができる。また、リフレッシュブレード251を現像位置Pdvと1次転写位置TR1との間に配設しているので、リフレッシュ動作による作用効果に加えて次のような作用効果が得られる。すなわち、クリーナレスの画像形成装置(転写後の残留トナーを回収する専用のクリーニング部材を装備しない装置)では、潜像担持体20の表面に残存するトナーを回収するために帯電部材22や現像部24を用いる場合があるが、これらの機能部材をすり抜けてトナーが中間転写ベルト16に向けて搬送されることがあり、該トナーによって中間転写ベルト16が汚れることがある。これに対し、本実施形態にかかる装置ではリフレッシュ動作時にリフレッシュブレード251が現像位置Pdvと1次転写位置TR1との間で潜像担持体20の表面に当接しているため、仮に生成物DPとともにトナーが潜像担持体20の表面に残存していたとしても、潜像担持体20から確実に除去される。したがって、リフレッシュ動作の実行によって、潜像担持体20に残存するトナーが1次転写位置TR1に到達する直前において除去され、該トナーによる中間転写ベルト16の汚染を確実に防止することができる。
【0051】
なお、ここでは電源投入時にリフレッシュ処理を実行しているが、印字処理後の終了シーケンス時にリフレッシュ動作を実行するようにしてもよい。もちろん、電源投入時および終了シーケンス時の両方でリフレッシュ動作を実行するようにしてもよい。また、潜像担持体20へのリフレッシュブレード251の当接タイミングは非印字状態であれば任意であり、(1)装置への電源投入後でかつ最初の印字処理前、(2)印字処理後の終了シーケンス時以外に、次のようなタイミングで実行してもよい。例えば、生成物の発生要因のひとつとして帯電動作に伴うオゾン発生が挙げられる。つまり、累積帯電時間に比例して潜像担持体20の表面に付着する生成物の量は増大し、その結果、異常画像の発生確率が高くなる。そこで、潜像担持体20の表面に付着する生成物が所定量以上となったタイミングでリフレッシュ処理を実行するように構成してもよい。
【0052】
<第2実施形態>
ところで、上記した第1実施形態では、リフレッシュ動作時に潜像担持体20に残存したトナーを生成物DPとともに取り除いているが、次のように構成することで印字(画像)品質をさらに高めることができる。以下、図6および図7を参照しつつ本発明の第2実施形態について詳述する。
【0053】
図1の画像形成装置1の現像部24では、大多数のトナーは摩擦帯電により所定極性に帯電されて正規帯電トナーとなるが、一部のトナーは正規帯電トナーとは逆極性のトナー、つまり逆帯電トナーとなってしまうことがある。このような逆帯電トナーは画像品質の劣化を招くため、積極的に取り除くのが望まれる。そこで、この第2実施形態では、リフレッシュ動作時に現像ローラ33に印加する現像バイアスを調整して逆帯電トナーを積極的に取り除いている。
【0054】
図6は印字処理時とリフレッシュ動作時の電位関係を示す図である。また、図7は第2実施形態におけるリフレッシュ動作を模式的に示す図である。図6(a)に示すように、印字処理においては、帯電部材22により潜像担持体20の表面電位Voは例えば−500Vに帯電されている。そして、印字指令に対応して像書込部23のアレイ状書込ヘッドから射出された光が潜像担持体20の表面に照射されて潜像が形成される。ここでは、潜像形成位置(露光領域)の表面電位Vimが−50Vに変化して潜像が形成されている。そして、現像バイアス発生部255から現像ローラ33に現像バイアスVbとして−200Vが印加されることで、現像ローラ33に担持されている正規帯電トナーが潜像に付着してトナー像が形成される。
【0055】
これに対し、リフレッシュ動作時には、同図(b)に示すように、帯電部材22により潜像担持体20の表面電位Voは例えば−500Vに帯電される一方、像書込部23による潜像形成は行われていない。そして、現像バイアス発生部525から現像ローラ33に対して現像バイアスVbとして略ゼロボルトが印加される。この現像バイアス印加により帯電部材22により帯電された潜像担持体20の表面電位Voと現像バイアスVbとの電位差Vsbは、印字処理時の値Vsb(a)と、リフレッシュ動作時の値Vsb(b)とが相違する。より具体的には、
印字処理時の電位差Vsb(a)<リフレッシュ動作時の電位差Vsb(b) … (a)
となる。このため、印字処理時には現像ローラ33に担持されたトナーのうち正規帯電トナーのみが潜像担持体20に付着するのに対し、リフレッシュ動作時には逆帯電トナーのみが潜像担持体20に付着することとなる。
【0056】
そこで、この第2実施形態では、リフレッシュ動作時に上記不等式(a)が満足されるように現像バイアスVbを変更させている。これによって、図7に示すように、現像位置Pdvにおいて逆帯電トナー(同図中の黒丸)のみが潜像担持体20に移行して現像ローラ33から逆帯電トナーが除去される。また、これらの逆帯電トナーは潜像担持体20の回転移動に伴ってリフレッシュ位置Prfに搬送され、リフレッシュブレード251によって生成物DPと一緒に潜像担持体20の表面から除去される。このように、第2実施形態によれば、リフレッシュ動作時に現像ローラ33から逆帯電トナーが除去されるため、印字品質をより一層高めることができる。
【0057】
また、リフレッシュ動作時の現像バイアスVbを略ゼロボルトに設定しているので、潜像担持体20の表面が逆極性に帯電されるのを防止することができる。これによって、リフレッシュ動作後に実行される印字処理を良好に行うことができる。なお、逆帯電トナーの除去効率を高めることを重視する場合には、リフレッシュ動作時の現像バイアスVbを印字処理での現像バイアスの極性と逆極性に設定するのが望ましい。
【0058】
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、本発明の「駆動手段」としてカムを利用したブレード駆動機構255を用いているが、潜像担持体20に対するリフレッシュブレード251の離当接駆動方式については任意である。また、リフレッシュブレード251の位置を直接検出してリフレッシュブレード251を駆動制御するのか、いわゆるオープンループ制御でリフレッシュブレード251を駆動制御するのか等についても任意である。したがって、リフレッシュブレード251の初期化動作が不要な場合には、リフレッシュ処理においてブレード初期化動作を行わずに直ちにリフレッシュ動作を実行することができる。
【0059】
また、中間転写媒体として中間転写ベルト16を用いた画像形成装置に対して本発明を適用したが、中間転写ドラムなどの中間転写媒体を用いた画像形成装置や潜像担持体20上のトナー像をシートSに直接転写する画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。また、リフレッシュ部材としてブレード251を用いているが、潜像担持体20の表面に当接して潜像担持体20の表層部を取り除いて潜像担持体20をリフレッシュさせることができる部材であれば、その形状、大きさおよび個数などについては任意である。
【0060】
また、上記各実施形態は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーを用いて画像を形成する装置に本発明を適用したものであるが、トナー色の種類および数については上記に限定されるものでなく任意である。さらに、タンデム方式の画像形成装置のみでなく、いわゆるロータリー現像方式の装置に対しても本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】リフレッシュ部の構成を示す図。
【図4】画像形成装置における電源投入時の動作を示すタイミングチャート。
【図5】電源投入時でのリフレッシュ部材の動作を模式的に示す図。
【図6】印字処理時とリフレッシュ動作時の電位関係を示す図。
【図7】第2実施形態におけるリフレッシュ動作を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0062】
1…画像形成装置、 16…中間転写ベルト(中間転写媒体)、 20…潜像担持体、 22…帯電部材、 23…像書込部材、 24…現像部、 52…エンジンコントローラ(制御手段)、 251…リフレッシュブレード(リフレッシュ部材)、 255…ブレード駆動機構(駆動手段)、 521…CPU(制御手段)、 525…現像バイアス発生部、 DP…生成物、 Pdv…現像位置、 TR1…1次転写位置、 S…シート(記録材)、 Vb…現像バイアス、 Vsb(a),Vsb(b)…(表面電位と現像バイアスとの)電位差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周速で回転する潜像担持体と、前記潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記帯電部材により帯電された前記潜像担持体の表面に潜像を形成する像書込部材と、前記潜像担持体と対向する現像位置にトナーを搬送する現像部材と、前記現像部材に現像バイアスを印加して前記現像位置で正規帯電トナーを前記潜像担持体に供給して潜像を現像する現像バイアス発生部と、前記潜像担持体の回転方向における前記現像位置の下流側に設けられた転写位置で前記潜像担持体と接触するように設けられた中間転写媒体とを備え、前記潜像担持体の帯電、前記潜像担持体への潜像の形成、該潜像の前記現像位置でのトナー現像、および該トナー現像により形成されるトナー像の前記中間転写媒体への転写を行って印字処理を実行する画像形成装置において、
前記現像位置と前記転写位置との間で前記潜像担持体の表面に対して離当接自在に設けられ、前記潜像担持体の表面に当接することで前記潜像担持体の表層部を取り除いて前記潜像担持体をリフレッシュさせるリフレッシュ部材と、
前記リフレッシュ部材を離当接駆動する駆動手段と、
前記駆動手段に対して駆動指令を与えて前記リフレッシュ部材の離当接動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記印字処理中において前記リフレッシュ部材を前記潜像担持体から離間させる一方、前記印字処理を行っていない状態で必要に応じて前記リフレッシュ部材を前記潜像担持体に当接させてリフレッシュ動作を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像バイアス発生部は、前記現像部材に印加する現像バイアスを変更可能に構成されるとともに、前記リフレッシュ動作時での前記帯電部材により帯電された前記潜像担持体の表面電位と前記現像バイアスとの電位差が前記印字処理時の前記電位差よりも大きくなるように、現像バイアスを変更する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像バイアス発生部は前記リフレッシュ動作時での現像バイアスを略ゼロボルトに設定する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像バイアス発生部は前記リフレッシュ動作時での現像バイアスの極性を前記印字処理での現像バイアスの極性と逆極性に設定する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像書込部材は前記潜像担持体に対して非接触に設けられ、
前記帯電部材および前記現像部材の各々は、前記潜像担持体に対して非接触または前記潜像担持体と略同一の周速で回転しながら接触するように設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記中間転写媒体に転写されたトナー像を記録材に転写する請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記潜像担持体の回転方向において、前記潜像担持体の周長は前記記録材の長さより短い画像形成装置。
【請求項7】
前記リフレッシュ部材が前記潜像担持体の表面に当接した状態で、前記潜像担持体を1周以上回転させてリフレッシュ動作を行う請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記中間転写媒体の表面に当接して該表面に残存するトナーをクリーニング除去するクリーニング部材をさらに備える請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
球形度が0.96以上のトナー粒子を用いてトナー像を形成する請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
所定の周速で回転する潜像担持体と、前記潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記帯電部材により帯電された前記潜像担持体の表面に潜像を形成する像書込部材と、前記潜像担持体と対向する現像位置にトナーを搬送する現像部材と、前記現像部材に現像バイアスを印加して前記現像位置で正規帯電トナーを前記潜像担持体に供給して潜像を現像する現像バイアス発生部と、前記潜像担持体の回転方向における前記現像位置の下流側に設けられた転写位置で前記潜像担持体と接触するように設けられた中間転写媒体とを備えた画像形成装置において、前記潜像担持体の帯電、前記潜像担持体への潜像の形成、該潜像のトナー現像、および該トナー現像により形成されるトナー像の前記中間転写媒体への転写を行って印字処理を実行する画像形成方法であって、
前記印字処理中においてリフレッシュ部材を前記潜像担持体から離間させる工程と、
前記印字処理を行っていない状態で必要に応じて前記リフレッシュ部材を前記現像位置と前記転写位置との間で前記潜像担持体に当接させることで前記潜像担持体の表層部を取り除いて前記潜像担持体をリフレッシュさせる工程と
を備えたことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−98435(P2006−98435A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280974(P2004−280974)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】