説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】潜像担持体上に形成した静電潜像をトナー担持体に担持させた帯電トナーにより
現像することで画像を形成する装置および方法において、無駄なトナー消費を抑制し、し
かも起動時のトルク増大や剥離手段の欠け等を抑制する。
【解決手段】感光体上に付着した放電生成物等の固着物を研磨する研磨ブレードを感光体
に当接させた画像形成装置において、円形度が0.96以上である負帯電トナーを使用し
、ブレード当接荷重を25g/cm以下とする。トナーや外添剤等が研磨ブレードをすり
抜けることで感光体上に正帯電粒子を分散させた状態で画像形成プロセスを実行すること
ができ、正帯電粒子が潤滑剤として作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、潜像担持体上に形成した静電潜像をトナー担持体に担持させた帯電トナー
により現像することで画像を形成する画像形成装置および画像形成方法に関するものであ
る。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体上で静電潜像をトナー像として現像し、該トナー像を転写媒体に転写するよ
うに構成された画像形成装置および画像形成方法においては、画像形成プロセスにおいて
潜像担持体の表面近傍で不可避的に生じる放電生成物やトナーから遊離した外添剤等が潜
像担持体表面に固着して画像形成を阻害し画像品質を低下させるという問題が知られてい
る。このような問題を解決するため、従来の画像形成装置においては、トナー像転写後の
潜像担持体にブレード状の剥離手段を当接させて、潜像担持体上の固着物を掻き取り除去
するように構成している。
【0003】
このような従来技術においては、固着物が除去された潜像担持体とクリーニング手段と
が互いに摺擦されることに起因する磨耗や剥離手段の欠けを防止するために、潜像担持体
表面にトナーを供給し、摺接手段との間で潤滑剤として機能させるようにしたものがある
。例えば、特許文献1に記載の技術では、潜像担持体上に定期的にトナーバンドを形成し
、これをブレードにより掻き取らせることでブレードの破損を防止している。
【0004】
【特許文献1】特開2006−259524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術において形成されるトナーバンドは単に潤滑剤として機能させるためだけ
にトナーを使用するものであり、無用なトナー消費量の増大を招くことになる。また、掻
き取ったトナーを現像器に回収させるとしても、トナーの劣化を避けられず現像器内のト
ナーの寿命を縮めてしまうことになる。
【0006】
また、ブレード状の剥離手段を周回する潜像担持体表面に当接させて潜像担持体表面を
クリーニングする構成においては、画像形成プロセスの終了時には潜像担持体表面から固
着物が除去された状態でその回転が停止することとなるため、次の起動時には潤滑剤とし
てのトナーが存在せず、起動時の潜像担持体の回転トルクが大きくなったりブレードが欠
けやすいなどの問題があった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、潜像担持体上に形成した静電潜像をト
ナー担持体に担持させた帯電トナーにより現像することで画像を形成する装置および方法
において、無駄なトナー消費を抑制し、しかも起動時のトルク増大や剥離手段の欠け等を
抑制することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するため、所定の回転方向に周回移
動する潜像担持体と、所定の帯電位置で、前記潜像担持体表面に対し非接触で該表面をト
ナーの正規帯電極性と同極性の電位に帯電させる帯電手段と、前記回転方向において前記
帯電位置よりも下流の潜像形成位置で、帯電された前記潜像担持体表面の電位を、トナー
を付着させる画像部と付着させない非画像部との間で異ならせることにより前記潜像担持
体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記回転方向において前記潜像形成位置よ
りも下流の現像位置で前記潜像担持体に対し非接触対向配置されたトナー担持体を有し、
該トナー担持体がその表面に帯電トナーを担持して前記現像位置へ搬送するとともに現像
バイアスとしての交番電圧を印加されて前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段
と、前記回転方向において前記現像位置よりも下流の転写位置で、前記潜像担持体に転写
媒体を当接させて前記トナー像を前記転写媒体に転写する転写手段と、前記回転方向にお
いて前記転写位置よりも下流のクリーニング位置で前記潜像担持体表面に摺接して該表面
の固着物を剥離させる剥離手段とを備え、前記トナーの円形度が0.96以上であり、前
記剥離手段の前記潜像担持体への当接荷重が25g/cm以下であることを特徴としてい
る。
【0009】
詳しくは後述するが、本願発明者らの実験によれば、潜像担持体表面に剥離手段を当接
させた画像形成装置において、帯電手段およびトナー担持体を潜像担持体に対し非接触と
し、しかも円形度が0.96以上のトナーを使用するとともに剥離手段の潜像担持体への
当接荷重を25g/cm以下とすることにより、潜像担持体と剥離手段との当接位置にお
いてトナーの少なくとも一部をすり抜けさせることが可能であることを見出した。このよ
うにすると、すり抜けたトナーが潜像担持体表面に残留したまま画像形成プロセスが実行
されることとなり、このようなトナーが潤滑剤として機能し潜像担持体の磨耗や剥離手段
の破損が防止される。そのため、別途トナーバンド等を形成して当接位置にトナーを送り
込むことが不要であるため、無用なトナー消費が抑制される。また、画像形成プロセスの
終了後もトナーが潜像担持体表面に残留したままであるため、次の起動時にもこの残留ト
ナーが潤滑剤として機能するので、トルク増大や剥離手段の破損が防止される。
【0010】
また、この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するため、所定の回転方向に
周回移動する潜像担持体の周囲に、その回転方向に沿って、前記潜像担持体表面に対し非
接触で該表面をトナーの正規帯電極性と同極性の電位に帯電させる帯電手段と、前記帯電
手段により帯電された前記潜像担持体表面の電位を、トナーを付着させる画像部と付着さ
せない非画像部との間で異ならせることにより前記潜像担持体表面に静電潜像を形成する
潜像形成手段と、前記潜像担持体に対し非接触で対向するトナー担持体を有し、該トナー
担持体がその表面に帯電トナーを担持するとともに現像バイアスとしての交番電圧を印加
されて前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、前記潜像担持体に転写媒体を
当接させて前記トナー像を前記転写媒体に転写する転写手段と、前記潜像担持体表面に摺
接して該表面の固着物を剥離させる剥離手段とをこの順番に配置して画像形成プロセスを
実行し、しかも、前記トナーの円形度を0.96以上とし、前記剥離手段の前記像担持体
への当接荷重を25g/cm以下とすることを特徴としている。
【0011】
このように構成された発明では、上記した画像形成装置の発明と同様に、無用なトナー
消費を抑制しながら、潜像担持体の磨耗や回転トルクの増大、剥離手段の破損等を防止す
ることができる。
【0012】
この発明は、前記トナーの体積平均粒径が5μm以下である場合に特に有効である。こ
のような小粒径のトナーは、その粒径の小ささに加えて潜像担持体への付着力が強いため
、これを潜像担持体から除去するのが容易でない。確実に除去するためには剥離手段を鋭
い角度で潜像担持体に当接させたり高い当接荷重を加える必要があり、潜像担持体の磨耗
や剥離手段の破損、回転トルク等の観点からは悪影響の方が大きい。本発明では、潜像担
持体上のトナーを除去しようとするのではなく剥離手段による当接位置をすり抜けさせて
残留させるようにしているので、トナー粒径の小ささは何ら不利益を生じない。すなわち
本発明は、小粒径トナーを使用する場合に特に優れた効果を奏するものである。
【0013】
この発明において、前記剥離手段は、前記回転方向に対し直交方向に沿って延びたエッ
ジ部を有する弾性当接部材を備え、該エッジ部が前記潜像担持体に当接するように構成さ
れてもよい。弾性体により形成されたエッジ部を潜像担持体表面に当接させることにより
、潜像担持体に付着した固着物に対して高い除去効果を挙げることができる。
【0014】
この場合においては、前記弾性当接部材の硬度がJIS−A硬度85度以上となるよう
にしてもよい。潜像担持体上の固着物に対する除去効果を高め、かつトナーについては当
接位置をすり抜けさせるようにするには、硬度の高い部材を低い当接荷重で当接させるこ
とが好ましい。本願発明者らの実験によれば、弾性当接部材の像担持体への当接荷重を2
5g/cm以下とするとともに、その硬度をJIS−A硬度85度以上とすれば特に良好
な効果を得られることがわかった。
【0015】
また、前記剥離手段の前記像担持体への当接荷重を20g/cm以下、前記弾性当接部
材の硬度をJIS−A硬度65度以上とした場合には、弾性当接部材の設計自由度を広く
することができるとともに、より効率よくトナーをすり抜けさせることができ、潜像担持
体と剥離手段との当接位置におけるトナーによる潤滑作用をより高めることができる。
【0016】
また、前記転写位置と前記クリーニング位置との間、または前記クリーニング位置と前
記帯電位置との間で前記潜像担持体表面に当接するとともに前記トナーの正規帯電極性と
逆極性の電位を付与されて、前記潜像担持体表面に付着するトナーおよびトナーから遊離
した外添剤の帯電極性を前記正規帯電極性とは逆極性に調整する帯電調整手段をさらに設
けるようにしてもよい。
【0017】
トナーの正規帯電極性と逆極性の電位を付与された帯電調整手段を潜像担持体表面に当
接させ、潜像担持体上に残留するトナーの帯電極性を正規帯電極性とは逆極性に揃えるよ
うに調整すれば、このような逆極性の残留トナーが転写位置において転写媒体に転写され
ることがなく、画像に地カブリを生じさせない。また、正規帯電極性のトナーを帯電調整
手段に吸着させることによって潜像担持体から除去するという効果も期待できる。
【0018】
特に、前記転写媒体に前記トナーの正規帯電極性と逆極性の転写バイアスを印加してお
けば、逆極性の残留トナーが転写媒体へ転写されることに起因する地カブリを防止するこ
とができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態の主要構成を模式的に示す図であ
る。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この例の画像形成装
置1においては、非磁性一成分系負帯電トナーを用いて画像形成が行われる。すなわち、
この実施形態では、負極性が「正規帯電極性」である。もちろん、正極性を正規帯電極性
とする正帯電トナーを用いて画像形成を行うこともできる。以下の説明では、画像形成装
置1は負帯電トナーを用いるものとして説明するが、正帯電トナーを用いる場合には、以
下の説明の各部材の帯電の電位を逆極性とすればよい。また、トナーは、トナー母粒子と
このトナー母粒子に外添される外添剤とを有しているが、以下の説明では、単に「トナー
」という場合には、トナー母粒子に外添剤が外添されてなる粒子全体を指すものとする。
【0020】
図1に示すように、この例の画像形成装置1は静電潜像およびトナー像が形成される感
光体2を備えている。この感光体2は感光体ドラムからなり、従来公知の感光体ドラムと
同様に円筒状の金属素管の外周面に所定膜厚の感光層が形成されている。この感光体2に
おける金属素管には、例えばアルミニウム等の導電性の管が用いられるとともに、感光層
には、従来公知の有機感光体が使用される。
【0021】
感光体2の周囲には、感光体2表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電
器5、感光体2表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光ユニット
6、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像ユニット7、該トナー像を転写される転
写ユニット8、感光体2表面に付着する放電生成物(後述)等を研磨して剥離させる研磨
ブレード3およびクリ−ニングローラ4が、それぞれこれらの順に感光体2の回転方向D
2(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0022】
帯電器5は感光体2の表面に接触しないものであり、この帯電器5には、従来周知慣用
のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合
には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤ5bには負のワイヤ電流Iwが流されるとと
もに、グリッド5aには負の直流(DC)のグリッド帯電バイアスVgが印加される。帯
電器5によりトナーと同極性(負極性)のコロナ放電で感光体2が帯電されることで、感
光体2の表面の電位が略均一の負電位、より具体的には画像形成時に設定される電位Vo
に設定される。
【0023】
露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLにより感光体
2表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。より具体的には、図2に示す
ように、画像信号を生成するホストコンピュータなどの外部装置からインタフェース11
2を介して画像信号が与えられると、この画像信号が画像処理ユニット111によって所
定の処理を施される。この画像信号は、装置全体の動作を制御するCPU101を介して
露光ユニット6に受け渡される。露光ユニット6は画像信号に応じて感光体2表面に光ビ
ームLを照射して露光し、露光された感光体2の表面領域(露光部)では電荷が中和され
て、露光されなかった表面領域(非露光部)とは異なる表面電位VLに変化する。こうし
て感光体2上に画像信号に対応した静電潜像が形成される。
【0024】
こうして形成された静電潜像に対して現像ユニット7からトナーが付与されて、静電潜
像がトナーにより現像される。この例の画像形成装置1の現像ユニット7は、現像ローラ
7aが感光体2に接触しない非接触現像方式の現像器である。現像ローラ7aは感光体2
と所定のギャップを隔てて対向配置されており、図1の矢印方向D7に回転駆動される。
現像ローラ7aには現像バイアス電源71から所定の現像バイアスVbが印加される。こ
の現像ユニット7の構造については後に詳しく説明するが、従来周知慣用の非接触現像器
も用いることができる。
【0025】
また、転写ユニット8は、表面にトナー像を担持可能な無端状ベルトであり図1の矢印
方向D8に周回移動する中間転写ベルト8aを有しており、感光体2に近接配置されたバ
ックアップローラ8bによって、中間転写ベルト8aは感光体2の表面に当接されている
。さらに、中間転写ベルト8aには転写バイアス電源81からトナーの帯電極性とは逆極
性の転写バイアスVt1が印加されており、その作用により感光体2上で現像されたトナー
像が中間転写ベルト8aに転写(一次転写)される。中間転写ベルト8aに転写されたト
ナー像はさらに図示しない記録紙に二次転写され、定着ユニット9によって記録紙上に永
久定着されて出力される。
【0026】
研磨ブレード3は例えばポリウレタン樹脂などの弾性を有する材料でブレード状に形成
されており、感光体2表面に対しそのエッジ部がいわゆるカウンタ方向に当接する、エッ
ジ当接により感光体2表面を研磨して固着物を剥離させる。この種の画像形成装置におい
ては、各部に印加した高電圧に起因する放電により生成されたNOx(窒素酸化物)など
の放電生成物や、トナーから遊離したシリカやチタニアなどの外添剤が感光体表面に膜状
に固着し、画像形成プロセスを阻害することがあるという問題が知られている。研磨ブレ
ード3はこのような固着物を摺擦、研磨して感光体2表面から剥離させる機能を有してい
る。
【0027】
クリーニングローラ4は、回転可能に設けられたブラシローラ4aを有している。この
ブラシローラ4aは例えばナイロン製の多数のブラシ毛4bを有しており、これらのブラ
シ毛4bが感光体2の表面に当接して配設されている。ブラシローラ4aは、感光体2の
回転と順回転(感光体2とブラシ毛4bとの当接部で感光体2の回転の接線方向の速度の
向きとブラシ毛4bの回転の接線方向の速度の向きとが同じ向き)、すなわちいわゆるウ
ィズ回転で回転するように構成されている。
【0028】
このブラシローラ4aには、トナーの正規帯電極性とは逆極性、つまり正極性の直流(
DC)のクリーニングバイアスVbrが印加される。これにより、中間転写ベルト8aとの
当接位置を通過した感光体2上の転写残りトナーと外添剤のうち、正規帯電極性に帯電し
たものがブラシローラ4aへ引き寄せられてブラシ毛4bに付着する。なお、クリーニン
グローラ4には、ブラシローラ以外に導電性ゴムローラ等の他の導電性のクリーニングロ
ーラを用いることができる。
【0029】
さらに、クリーニングローラ4は、ブラシローラ4aのブラシ毛4bに当接するクリー
ニングブレード4cを有している。クリーニングブレード4cは、ブラシ毛4bに付着す
る転写残りトナーおよび外添剤を除去し回収する。このクリーニングブレード4cには、
従来周知慣用のクリーニングブレードを用いることができる。
【0030】
なお、以下の説明においては、感光体2と帯電器5との対向位置を帯電位置CP、感光
体2表面に露光ユニット6からの光ビームLが照射される位置を露光位置EP、感光体2
と現像ローラ7aとの対向位置を現像位置DP、感光体2と中間転写ベルト8aとの当接
位置を転写位置TP、感光体2に研磨ブレード3が当接する位置を剥離位置SP、感光体
2にクリーニングローラ4が当接する位置をクリーニング位置BPと称する。この実施形
態では、これらの各位置が感光体2の回転方向D2の上流側から下流側に向けて上記順序
で設けられている。
【0031】
図3はこの実施形態における現像ユニットの構造を示す断面図である。この現像ユニッ
ト7では、その内部に非磁性一成分トナーTを収容するハウジング72に供給ローラ7b
および現像ローラ7aが軸着されており、現像ローラ7aが感光体2と現像位置DPにお
いて所定のギャップを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラ7a、7bが
本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転する。供給ロ
ーラ7bは例えば発泡ウレタンゴム、シリコンゴムなどの弾性材料により円筒状に形成さ
れている。また、現像ローラ7aは、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属または合金
などの導電性材料の金属素管により円筒状に形成されている。そして、2つのローラ7a
、7bが接触しながら回転することでトナーが現像ローラ7aの表面に擦り付けられて所
定厚みのトナー層が現像ローラ7a表面に形成される。
【0032】
ハウジング72の内部空間は隔壁72aによって第1室721および第2室722に仕
切られている。供給ローラ7bおよび現像ローラ7aはともに第2室722に設けられて
おり、これらのローラの回転に伴って第2室722内のトナーが流動し攪拌されながら現
像ローラ7aの表面に供給される。
【0033】
また、この現像ユニット7では、現像ローラ7aの表面に形成されるトナー層の厚みを
所定厚みに規制するための規制ブレード76が配置されている。この規制ブレード76は
、ステンレスやリン青銅などの弾性を有する板状部材761と、板状部材761の先端部
に取り付けられたシリコンゴムやウレタンゴムなどの樹脂部材からなる弾性部材762と
で構成されている。この板状部材761の後端部はハウジング72に固着されており、図
3の矢印に示す現像ローラ7aの回転方向D7において、板状部材761の先端部に取り
付けられた弾性部材762が板状部材761の後端部よりも上流側に位置するように配設
されている。そして、その弾性部材762が現像ローラ7a表面に弾性的に当接すること
で規制ニップを形成し、現像ローラ7aの表面に形成されるトナー層を最終的に所定の厚
みに規制する。
【0034】
さらに、ハウジング72には、現像ローラ7aの回転方向D7において感光体2との対
向位置(現像位置DP)よりも下流側で現像ローラ7a表面に圧接されたシール部材77
が設けられている。シール部材77は、ポリエチレン、ナイロンまたはフッ素樹脂などの
柔軟性を有する材料により形成され、現像ローラ7aの回転軸に平行な方向Xに沿って延
びる帯状のフィルムであり、長手方向Xに直交する短手方向における一方端部がハウジン
グ72に固着されるとともに、他方端部が現像ローラ7a表面に当接されている。他方端
部は現像ローラ7aの回転方向D7における下流側に向かうように、いわゆるトレイル方
向に現像ローラ7aに当接されており、感光体2との対向位置を通過した現像ローラ7a
表面に残留しているトナーをハウジング72内に案内するともに、ハウジング内のトナー
が外部へ漏れ出すのを防止している。
【0035】
図4は現像ローラおよびその表面の部分拡大図を示す図である。その表面が導電性材料
の金属素管で形成される現像ローラ7aは略円筒形のローラ状に形成されており、その長
手方向の両端にはローラと同軸にシャフト740が設けられており、該シャフト740が
現像器本体により軸支されて現像ローラ7a全体が回転自在となっている。現像ローラ7
a表面のうちその中央部74aには、図4の部分拡大図(点線円内)に示すように、規則
的に配置された複数の凸部741と、それらの凸部741を取り囲む凹部742とが設け
られている。
【0036】
複数の凸部741のそれぞれは、図4紙面の手前側に向けて突出しており、各凸部74
1の頂面は、現像ローラ7aの回転軸と同軸である単一の円筒面(包絡円筒面)の一部を
それぞれ成している。また、凹部742は凸部741の周りを網目状に取り囲む連続した
溝となっており、凹部742全体も現像ローラ7aの回転軸と同軸かつ凸部の成す円筒面
とは異なる1つの円筒面を成している。そして、凸部741とそれを取り囲む凹部742
との間は緩やかな斜面743によって繋がれている。すなわち、該斜面743は現像ロー
ラ7aの半径方向外向き、つまり現像ローラ7aの回転軸から遠ざかる方向の成分を有す
る。
【0037】
このような構造の現像ローラ7aについては、例えば特開2007−140080号公
報に記載のいわゆる転造加工を用いた製造方法により製造することができる。これにより
、現像ローラ7aの円筒面に規則的かつ均一な凹凸部を形成することができる。そのため
、得られる現像ローラ7aは、その円筒面に均一かつ最適な量のトナーを担持させること
ができ、また、現像ローラ7aの円筒面でのトナーの転動性(転がりやすさ)も均一なも
のとすることができる。その結果、トナーの局所的な帯電不良や搬送不良を防止して、優
れた現像特性を発揮させることができる。また、型を用いて凹凸部を形成するため、ブラ
スト加工により得られた一般的な現像ローラと異なり、得られる凹凸部はその凸部の先端
の幅を比較的大きくすることができる。このような凹凸部は優れた機械的強度を有する。
特に、型により押圧された部位は機械的強度が向上するので、得られる凹凸部は、切削加
工のような処理で得られたものと比しても優れた機械的強度を有する。このような凹凸部
を有する現像ローラ7aは、優れた耐久性を発揮することができる。また、凹凸部の凸部
の先端の幅が比較的大きいと、磨耗しても形状変化が少ないので、現像特性が急激に低下
することも防止して、長期にわたり優れた現像特性を発揮することができる。
【0038】
図5は現像ローラ表面の構造の詳細を示す断面図である。図5(a)に示すように、現
像ローラ7a表面を断面方向から見ると、周方向外側に向けて突出した凸部741と、こ
れに比べると後退した凹部742とが交互に配列されている。また凸部741と凹部74
2とが斜面743により繋がれている。凸部741頂面の寸法および凹部742の幅は例
えば100μm程度とすることができるがこれに限定されない。一方、凸部741と凹部
742との高低差、言い換えれば凸部741を取り囲む溝状の凹部742の深さについて
は、使用トナーの体積平均粒径Daveよりも大きな値とする。こうすることにより、凹部
742に1層以上のトナーを担持させることができ、しかも、担持されたトナーの多くは
凸部741の頂面から外部に突出しないので、規制ブレード76やシール部材77による
摺擦に起因する外添剤の剥落や変形などの劣化を免れることができる。
【0039】
より好ましくは、図5(a)に示すように、凹部742の深さを体積平均粒径Daveの
2倍(2Dave)以上とする。こうすることで、図5(b)に示すように、凸部742頂
面を結ぶ線(破線で示す)よりも外部に突出することなく凹部742に2層以上のトナー
を担持させることが可能となる。図5(b)において、符号T1を付した白丸印は現像ロ
ーラ7a表面に直接接触しているトナー(接触トナー)を示している。また、符号T2お
よびハッチングを付した丸印は現像ローラ7a表面には直接接触せずに凹部742に担持
されているトナー(非接触トナー)を示している。2層以上のトナー層はこのように接触
トナーおよび非接触トナーの双方を含む。非接触トナーT2は接触トナーT1に比べて現像
ローラ表面への拘束力が弱いため飛翔しやすく、トナーの飛翔量を大きくして画像濃度を
確保するのに効果的である。その一方、拘束力の弱さに起因して、現像ローラ7aの回転
によりその表面に生じる気流により現像ローラ7a表面から離脱して飛散しやすいという
問題もある。
【0040】
図5(b)において破線で示した凸部742頂面を結ぶ線は、各凸部741の頂面を1
つの円筒面の一部と考えたときの包絡円筒面上の曲線である。凹部742に担持されるト
ナーがこの線を越えないということは、現像ローラ7a表面においてこの包絡円筒面より
も外側にトナーが露出することがないということを意味する。したがって、現像ローラ7
aの回転に起因して現像ローラ7a表面に強い気流が発生したとしても、現像ローラ7a
表面から後退した位置に担持されているトナーにはその影響が及ばず、現像ローラへの拘
束力の弱い非接触トナーであっても離脱、飛翔することは防止されている。
【0041】
現像ローラ7a表面に図5(b)に示すようにトナーを担持させるためには、図5(c
)に示すように、現像ローラ回転方向D7における規制ブレード76の弾性部材762の
上流側エッジ762aを現像ローラ7aの凸部741に当接させる、いわゆるエッジ規制
によって凸部741へのトナー付着を規制する。これとともに、弾性部材762として適
度な弾性を有する材料を選ぶことによって、凹部742との対向位置で弾性部材762が
凹部742に向けてわずかにせり出すようにすればよい。こうすることで、凸部741へ
のトナー付着を規制するとともに、包絡円筒面を越えてトナーが凹部742に担持される
ことが防止される。
【0042】
なお、前記したように、接触トナーに対しては現像ローラ7aへの強い拘束力が作用す
る。したがって、接触トナーについては気流への耐性が比較的高く包絡円筒面の外部に露
出するようにしてもトナーの離脱は起こりにくいと考えられる。この観点からは、図5(
d)に示すように、凸部741に1層以下のトナー付着を許容するように、規制ブレード
76の当接角度や当接荷重等を調節してもよい。
【0043】
ただし、凹部742のみにトナーを担持させることによって、次のような効果も得られ
る。まず、凸部741に均一なトナー層を形成するためには規制ブレード76と凸部74
1とのギャップの精密な管理が必要となるが、凹部742のみにトナーを担持させるため
には規制ブレード76と凸部741とを当接させて凸部741のトナーを全て除去すれば
よいので実現が比較的容易である。また、搬送されるトナーの量は規制ブレード76と凹
部742との隙間に生じる空間の容積によって決まるので、トナー搬送量を安定させるこ
とができる。
【0044】
また、搬送されるトナー層の良好さという点においても利点がある。すなわち、凸部7
41にトナーを担持させると規制ブレード76との摺擦に起因するトナーの劣化が起こり
やすい。具体的には、トナーの流動性や帯電性が低下したり、トナーが圧粉状態となり凝
集したり現像ローラ7aに固着してフィルミングを生じさせるなどの問題がある。これに
対し、規制ブレード76からの押圧をあまり受けない凹部742にトナーを担持させると
このような問題が起こりにくい。また、凸部741に担持されるトナーと凹部742に担
持されるトナーとでは規制ブレード76との摺接のされ方が大きく異なるため、トナーの
帯電量のばらつきが大きくなることが予想されるが、凹部742のみにトナーを担持させ
ることでこのようなばらつきも抑えられる。
【0045】
特に近年では、画像の高精細化やトナー消費量および消費電力の削減を実現するために
トナーの小粒径化や定着温度の低温化が求められているが、本実施形態の構成はこのよう
な要求にも対応することが可能なものである。小粒径トナーにおいては帯電の立ち上がり
が鈍いにもかかわらず飽和帯電量が高いため、凸部741に担持されたトナーは凹部74
2に担持されたトナーよりも帯電量が著しく高く(過帯電)なる傾向にある。このような
帯電量の差はいわゆる現像履歴として画像に現れる。また、低融点トナーでは摺擦による
トナー同士または現像ローラ7a等への固着が起きやすい。しかしながら、凹部742の
みにトナーを担持する本実施形態の構成ではこのような問題は生じにくい。
【0046】
なお、この実施形態において、使用するトナーの粒子径は特に限定されないが、体積平
均粒径Daveが5μm以下であるトナーを使用する場合に特に顕著な効果を発揮する。こ
のような小粒径トナーは、その粒子径の小ささゆえにファンデルワールス力が強く作用し
現像ローラ7aからの飛翔が難しい。また、導電性材料からなる現像ローラ7aに強く働
く鏡像力により現像ローラ7aからの飛翔が難しい。このため、1層を越えるトナーを現
像ローラ7aに担持させ、接触トナー、非接触トナーのいずれをも飛翔させて現像動作に
寄与させる本実施形態の現像方式が、特に優れた効果を奏する。
【0047】
また、5μm程度を境にして、これ以下の体積平均粒径を有するトナーは粉体としての
性質が強まり、より粒径の大きなトナーとは挙動が異なってくる。例えば、粒子径の小さ
なトナーは質量が小さいため、いったん飛散すると長い時間空中を漂うことになり、装置
内ばかりか装置外部へも漏れ出してしまうことがある。本実施形態の装置はトナー飛散を
効果的に抑制しているため、粒子径の小さなトナーを使用する場合でもこのような問題が
生じることはない。
【0048】
次に、上記のように構成された画像形成装置に適用されるトナーについて説明する。こ
の実施形態の画像形成装置では、負極性に帯電させた非磁性一成分系のトナーを用いて静
電潜像の現像を行う。以下では、トナーの本来の帯電極性である負極性を「正規極性」、
これとは反対の正極性を「逆極性」と称することとする。一方、絶対的な帯電極性が正極
性であるトナーや外添剤などの粒子を「正帯電粒子」、帯電極性が負であるトナーや外添
剤などの粒子を「負帯電粒子」と称する。したがって、絶対的な帯電極性が正極性である
「正帯電トナー」は本実施形態においては「逆帯電トナー」である。一方、絶対的な帯電
極性が負極性である「負帯電トナー」が本実施形態における「正規帯電トナー」である。
【0049】
図6はトナーの帯電量分布を示す図である。この図は、現像ローラ表面から採集された
トナーの帯電量分布を個数基準で計測した結果を示している。この実施形態において使用
するトナーは負極性を正規帯電極性とするが、図6の実線に示すように、トナーの帯電特
性にはばらつきがあり、帯電量分布は概ね正規分布となる。中には全く帯電しなかったり
、逆極性(この場合は正極性)に帯電するトナーも含まれる。以下では、正規帯電極性に
帯電するトナーのうち帯電量の少ないものを特に「弱帯電トナー」ということがある。
【0050】
また、上記したようにこの実施形態では、現像ローラ7a表面の凹部742のみにトナ
ーを担持させ凸部741には担持させない構造としているため、供給ローラ7bや規制ブ
レード76によるトナーへのストレスが少ない。そのため、トナーの劣化に起因する帯電
量のばらつきを小さくすることができ、図6の破線で示すように比較的狭い帯電量分布を
得ることが可能である。
【0051】
図7はこの実施形態において各部に付与する電位の関係を示す図である。感光体2の表
面電位Vsは、帯電器5により帯電された後、露光ユニット6からの光ビームLを照射さ
れた露光部においては電荷が中和されて電位VLとなる一方、露光されなかった非露光部
では暗減衰後の電位Voとなっている。一方、現像バイアスVbは図7に示すように矩形波
交流電圧であり、その正側の最大値を符号Vmax、負側の最大値を符号Vmin、両者の電位
差(振幅に相当)を符号Vppにより表す。また、現像バイアスの平均電位を符号Vaveに
より表す。
【0052】
現像バイアスVbの交流成分の繰り返し周期Tcのうち、電位が正側に振れている期間を
符号Tp、負側に振れている期間を符号Tnにより表すとともに、現像バイアスVbの波形
デューティWDを次式:
WD=Tp/(Tp+Tn)=Tp/Tc
により定義する。図7に示すように、この実施形態ではTp>Tnとなるように、つまり波
形デューティWDが50%より大きくなるように、バイアス波形が定められている。これ
は、正規帯電トナーが感光体2から現像ローラ7aに向かって飛翔する期間がその逆の期
間よりも長くなるようにすることで、感光体2の非露光部、つまり本来トナーを付着させ
るべきでない領域に付着した正規帯電トナーを現像ローラ7a側へ効率よく引き戻し地カ
ブリを抑制するためである。
【0053】
以下に、各部の電位の数値の一例を示すが、ここに開示する数値は本発明の要件を満た
す一例に過ぎず、本発明の実施の態様はこれらの数値に限定されるものではない。感光体
2の非露光部電位Voは、代表的には(−500)Vであるが後述するようにその前後で
可変である。一方、露光部電位VLは感光体材料の特性によって決まる値でここでは(−
100)Vとする。現像バイアスVbの正側最大値Vmax、負側最大値Vminはそれぞれ(
+200)V、(−800)Vである。したがって振幅Vppは1000Vである。波形デ
ューティWDを60%としているので、現像バイアスVbの平均電位Vaveは(−200)
Vとなる。また現像バイアスVbの周波数は4kHzである。
【0054】
現像バイアスVbの平均値Vaveと感光体2の露光部電位VLとの電位差は、一般に「コ
ントラスト電圧」と呼ばれる画像濃度に影響を与えるパラメータであり、これを符号Vco
ntにより表す。一方、現像バイアスVbの平均値Vaveと感光体2の非露光部電位Voとの
電位差は、画像濃度への影響は少ないが現像位置DPにおけるトナー飛散やカブリの量に
影響を与えるパラメータであり、ここではこの電位差を「逆コントラスト電圧」と称し符
号Vrにより表す。
【0055】
画像濃度を制御するために、コントラスト電圧Vcontを可変とする必要がある一方、ト
ナー飛散やカブリ量を安定化させるためには逆コントラスト電圧Vrについては一定値を
維持することが好ましい。そこで、この実施形態では、現像バイアスVbの各パラメータ
Vmax、VminおよびWDを変更可能とすることで平均電圧Vaveを制御して所望の画像濃
度を得るとともに、平均電圧Vaveの変化に帯電バイアスVgを連動させて感光体2の非露
光部電位Voを変化させることにより、逆コントラスト電圧Vrが一定値に保たれるように
している。
【0056】
また、中間転写ベルト8aに印加する転写バイアスVt1およびブラシローラ4に印加す
るクリーニングバイアスVbrはいずれも(+300)Vである。ただし、これらを同値と
する必要は特にない。
【0057】
次に、上記のように構成された画像形成装置により実行される画像形成プロセスについ
て説明する。この画像形成装置1の画像形成プロセスでは、帯電器5が感光体2表面を均
一に帯電させ、この感光体2表面を露光ユニット6が露光することで静電潜像を形成する
。そして、静電潜像に対し現像ユニット7からトナーを付与してトナー像として顕像化し
、これを中間転写ベルト8aに一次転写するとともに記録紙(図示せず)に二次転写・定
着させることで画像形成プロセスが完結する。なお、以下の説明では、トナーあるいはこ
れから遊離した外添剤粒子であって正極性に帯電したものを総称して「正帯電粒子」、負
極性に帯電したものを「負帯電粒子」と称する。
【0058】
図8は感光体表面上で生じる現象を模式的に示す図である。現像位置DPでは、静電潜
像が形成された感光体2表面に対し、現像ローラ7aから帯電トナーが移行することによ
って静電潜像がトナーにより現像される。このとき、原理的には正規極性である負帯電ト
ナーが感光体2の露光部に付着するという現象のみが生じるはずであるが、実際には必ず
しもそうではない。すなわち、露光部に逆極性である正帯電トナーが付着したり、あるい
は本来トナーを付着させるべきでない非露光部にトナーが付着したりする。正帯電、負帯
電のいずれのトナーも非露光部に付着する可能性がある。トナーから遊離した外添剤粒子
についても同様である。
【0059】
その結果、図8に示すように、感光体2の回転方向にD2において現像位置DPの下流
側では、ハッチングを付した丸印で示す正帯電トナーと、白丸印で示す負帯電トナーとの
両方が感光体2表面に付着している。ここで、負帯電粒子のうち比較的帯電量の高いもの
は、現像バイアスVbにより現像位置DPに形成される交番電界が感光体2の非露光部か
ら現像ローラ7aに向けてトナーを引き戻す方向においてより強く作用するため感光体2
に残留する確率は低いが、帯電量の低い弱帯電粒子については、現像ローラ7aに戻らず
感光体2上に残留してしまう可能性が高い。したがって、感光体2の非露光部には主に弱
帯電粒子が付着している。特にこの実施形態では、帯電量の低いトナーも非接触トナーと
して積極的に現像ローラ7aに担持させているのでその傾向が顕著となる。
【0060】
この実施形態では、現像位置DPの下流側に位置する転写位置TPで感光体2に当接す
る中間転写ベルト8aに転写バイアスVt1を印加している。転写バイアスVt1は正極性の
電位であり、その大きさは、中間転写ベルト8aと感光体2の露光部との電位差が中間転
写ベルト8aと感光体2との間の放電開始電圧を超えず、中間転写ベルト8aと感光体2
の非露光部との電位差が放電開始電圧を超えるような値に設定される。一般的な装置構成
である膜厚25μmの感光体では放電開始電圧は600V程度であり、転写バイアスVt1
を(+300)Vとすると、露光部(−100V)との電位差が400V、非露光部(−
500V)との電位差が800Vとなって上記条件を満たす。
【0061】
このような条件下では、中間転写ベルト8aから感光体2の非画像部に向かって放電が
生じる。この放電は、感光体2の回転方向D2において転写位置TPの手前側位置TP0で
生じ、この放電によって感光体2の非露光部に付着しているトナーや外添剤などの粒子に
も電荷が注入され、正帯電粒子はその帯電量が増加する一方、弱帯電粒子は極性が反転し
正帯電粒子となる。こうして非露光部に付着している粒子はほとんどが正帯電粒子となる
。帯電量が高められた正帯電粒子はより強固に感光体2表面に付着することになる。
【0062】
転写位置TPにおいて、正極性の転写バイアスVt1を印加された中間転写ベルト8aが
感光体2表面に当接されており、したがって感光体2上の負帯電粒子は中間転写ベルト8
aへ移行する。感光体2表面のうち露光部に付着した負帯電トナーはトナー像として中間
転写ベルト8aに転写されるが、非露光部に付着した負帯電トナーはトナー像に地カブリ
を生じさせる。この実施形態では上記のように非露光部の負帯電粒子の極性を反転させて
いるので地カブリが抑制される。
【0063】
一方、正帯電粒子は正の転写バイアスVt1の作用により中間転写ベルト8aには移行せ
ず感光体2上に残留したままさらに下流へ送られる。転写位置TPの下流側に位置する剥
離位置SPでは感光体2表面に研磨ブレード3が当接している。研磨ブレード3は感光体
2表面に固着する放電生成物等を剥離させる機能を有するが、後に詳述するように、感光
体2上のトナーについてはほとんど掻き取ることなく研磨ブレード3と感光体2との間を
すり抜けさせるように、研磨ブレード3の当接のさせ方を管理している。したがって、感
光体2上の正帯電粒子は剥離位置SPを通過しクリーニング位置BPへ送られる。
【0064】
クリーニング位置BPにおいて感光体2と当接するブラシローラ4aにも正極性のクリ
ーニングバイアスVbrが付与されているため、感光体2上に付着している正帯電粒子を収
集する作用はない。特に、ブラシローラ4aを感光体2に対しウィズ回転させることによ
り、ブラシによる正帯電粒子の掻き取り作用も小さく抑えられる。
【0065】
転写効率が100%以下であることに起因して、転写位置TPを通過した感光体2の露
光部表面には転写残りの負帯電粒子が残留していることがある。このような負帯電粒子は
ブラシローラ4aとの当接により正の電荷を与えられて正極性に転換するか、ブラシ毛4
bに吸着されて感光体2表面から除去される。こうして、クリーニング位置BPの下流側
ではほぼ正帯電粒子のみが感光体2表面に付着した状態となっている。すなわち、クリー
ニングローラ4は感光体2上のトナー等の帯電極性を正極性(逆極性)に調整する作用を
有する。
【0066】
この正帯電粒子は、非接触であるため帯電器5に付着することもなく、帯電位置CPお
よび露光位置EPを通過して再び現像位置DPに到達する。現像位置DPに戻ってきた感
光体2表面には周回の過程で帯電量を高められた正帯電粒子が既に付着しているために感
光体2が及ぼす付着力が弱められており、新たな粒子の付着は起こりにくい。さらに、交
番電界による往復動により負帯電粒子が非露光部に付着したとしても、感光体2の付着力
が低下しているために引き戻し方向の電界で容易に現像ローラ7aに戻ることが可能にな
る。すなわち、この実施形態では、概ね一定量の正帯電粒子が常時感光体2上に分散付着
した状態で画像形成プロセスが進行する。
【0067】
そのため、画像形成プロセスの進行によって感光体2が回転を繰り返す間、感光体2と
研磨ブレード3との間には正帯電粒子が次々と通過する。この正帯電粒子は両者の摩擦を
低減する潤滑剤として機能し、感光体2の磨耗や研磨ブレード3の欠けを抑制するととも
に、感光体2を回転駆動するモータ(図示せず)の負荷トルクを低減させる。
【0068】
なお、ここでは現像ローラ7a表面に担持されるトナーがもともとある程度の正帯電粒
子を含んでおり、これを感光体2上に残留させることを前提として説明したが、図6の破
線で示すように正帯電粒子の含有比率が極めて小さい場合でも同様である。というのは、
正帯電粒子の含有比率が小さいといえども帯電量のばらつきはあり、この実施形態では転
写位置TPやクリーニング位置BPで帯電量の低い弱帯電粒子の帯電極性を反転させるこ
とで感光体2上に正帯電粒子が生成されるからである。
【0069】
さらに、この実施形態では、画像形成プロセスの終了時に以下のようにして帯電粒子を
感光体2上に残留させたまま感光体2を停止させておくことによって、次の画像形成プロ
セス開始時にも正帯電粒子による潤滑剤としての機能を発揮させるようにしている。
【0070】
図9は画像形成プロセスの動作を示すタイミングチャートである。また、図10は回転
停止後の感光体表面の状態を模式的に示す図である。図9に示すように、この画像形成装
置1に外部から画像形成指令が与えられCPU101により画像形成プロセスの実行が開
始されると、感光体2の回転駆動が開始される。これとほぼ同時に、クリーニングローラ
4にはクリーニングバイアスVbrが印加される。そして、現像ローラ7aへの現像バイア
スVb、中間転写ベルト8aへの転写バイアスVt1の印加が順次開始される。ここで、現
像バイアスVbの印加が開始されることにより静電潜像の現像が開始されるが、これから
転写バイアスVt1の印加は開始されるまでの時間Taについては、現像されたトナー像が
現像位置DPから転写位置TPに到達するまでの時間よりも短いことが望ましい。
【0071】
一方、画像形成プロセスの終了時には、現像バイアスVbをオフにして現像を終了させ
た後、感光体2を回転させた状態で所定時間Tbだけ転写バイアスVt1の印加を継続する
。この時間Tbは、現像バイアスVbの印加終了時点で現像位置DPにあった感光体2表面
が転写位置TPに到達するまでの時間以上とすることが望ましい。すなわち、感光体2表
面に沿った現像位置DPと転写位置TPとの距離をL1、感光体2表面の周速をvとした
とき、
Tb≧L1/v
とすることが望ましい。その理由は以下のとおりである。
【0072】
現像ローラ7aに現像バイアスVbが印加されている間、現像位置DPにおいては帯電
トナーが飛翔しており、感光体2上には正帯電粒子、負帯電粒子のいずれもが付着しうる
。その結果、図8に示すように、現像位置DPの下流側には正負両極性に帯電した粒子が
付着している。この実施形態では、中間転写ベルト7aに転写されない正帯電粒子のみを
感光体2に残留付着させる必要があるが、現像バイアスVbの印加停止後すぐに感光体2
の回転を停止すると、現像位置DPから転写位置TPまでの間の感光体2上に負帯電粒子
が残留してしまうこととなる。
【0073】
そこで、上記のように現像バイアスVbの印加停止後に時間Tbだけ転写バイアスVt1の
印加を継続し、その後で感光体2の回転を停止させる。こうすると、現像位置DPから転
写位置TPまでの間に残留する負帯電粒子は全て転写位置まで到達し、しかも該負帯電粒
子は転写バイアスVt1による放電で正帯電に転換する。もしくは、中間転写ベルト8aに
移行する。このため、回転停止後の感光体2上には負帯電粒子が残存しなくなり、図10
に示すように、正帯電粒子のみが感光体2表面に残留付着した状態となる。
【0074】
このようにしておくと、次回の画像形成プロセス開始時に感光体2の回転が起動される
際にも感光体2上に残留付着した正帯電粒子が研磨ブレード3との間の潤滑剤として作用
し、起動トルクの増大や研磨ブレード3の欠けや変形などが防止される。
【0075】
なお、クリーニングローラ4へのクリーニングバイアスVbrについては、感光体2の回
転が継続している間は印加されることが望ましいが、さらには、図9に示すように、現像
ローラ7aへの現像バイアスVbの印加を停止してから時間Tc以上継続されることが望ま
しい。ここで、時間Tcは、感光体2表面に沿った現像位置DPとクリーニング位置BP
との距離をL2としたとき、
Tc≧L2/v
となるような時間、つまり、現像バイアスVbの印加終了時点で現像位置DPにあった感
光体2表面がクリーニング位置BPに到達するまでの時間以上の時間である。こうするこ
とで、現像バイアスVbの印加終了時に現像位置DPから転写位置TPまでの間の感光体
2上に残留していた負帯電粒子は全て転写位置TPおよびクリーニング位置BPを通過す
ることになる。こうすることで、より確実に、感光体2上に正帯電粒子のみを残留させる
ことができる。
【0076】
次に、上記のような効果を得るための条件について説明する。感光体2と研磨ブレード
3との当接位置(剥離位置SP)において上記のようなトナーのすり抜けを実現させるた
めには、トナーの流動性や感光体2への研磨ブレード3の当接荷重などが所定の条件を満
たす必要がある。感光体2上のトナーが研磨ブレード3により掻き取られてしまったので
は本発明の効果を得られないからである。本願発明者らは、トナーおよび研磨ブレードの
素材や当接荷重などの組み合わせを種々に変更しながら実験を行い、トナーのすり抜けを
良好に行わせるための条件を見出した。
【0077】
実験は、感光体2表面にトナー粒子を一定密度で分散させ、これに研磨ブレード3を当
接させて回転させたときの、感光体2上に残留するトナーの密度を測定するというもので
ある。パラメータとしては、トナーの粒径(体積平均粒径)、その円形度、研磨ブレード
3の硬度、感光体2表面への当接角度、当接荷重などである。
【0078】
また、感光体2上におけるトナー密度については、感光体2表面の光学濃度(OD値)
により評価した。以下に結果を説明する実験においては、単体で約0.1のOD値を有す
る感光体2表面にOD値が約0.5となるまでトナーを付着させ、これに研磨ブレード3
を当接させて一定量回転させた後の感光体2表面のOD値を測定した。研磨ブレード3に
より完全にトナーが除去されていれば測定値はほぼ0.1となる一方、全く除去されてい
なければ測定値は0.5となるはずである。すなわち、測定値が初期値0.5に近いほど
、感光体2と研磨ブレード3との間におけるトナーのすり抜けが良好に行われているとい
うことができる。
【0079】
なお、感光体2表面に対する研磨ブレード3の当接角については、7度から18度の間
で変化させたが実験結果にはほとんど差が出なかった。そこで、以下では当接角を12度
に設定した場合の結果のみ示している。
【0080】
図11はトナーの粒径および円形度を変化させたときの実験結果を示す図である。すり
抜けを良好に行わせるにはトナーの粒径が小さいことが好ましいと考えられるが、図11
に示すように、むしろトナーの円形度の影響が大きいことがわかった。すなわち、円形度
が0.955以上のトナーでは、研磨ブレード3の当接荷重が20g/cm以下であれば
比較的粒径の大きなものも含めて良好にすり抜けさせることができた。特に、トナーの円
形度を0.96以上、研磨ブレード3の当接荷重を20g/cm以下としたとき、OD値
の低下はほとんど見られずトナーのすり抜けが極めて良好に行われているといえる。これ
に対して、円形度の低いトナーでは、研磨ブレード3の当接荷重を調整しても良好な結果
は得られなかった。
【0081】
図12は研磨ブレードの硬度を変化させたときの実験結果を示す図である。使用トナー
は円形度0.96のものである。研磨ブレード3の硬度をJIS−A硬度85度としたと
き、ブレード当接荷重が25g/cm以下であればOD値の低下はほとんどなく、ほぼ完
全なすり抜けを実現することができた。一方、これより低硬度のブレードを使用したとき
、ブレード当接荷重が20g/cm以下であればOD値の低下はほとんどなかったが、当
接荷重を高めるとOD値が低下してしまうことがわかった。また、硬度が低いほどOD値
の低下も顕著である。これは、硬度の低いブレードが弾性変形して感光体2表面に密着す
ることで、感光体2上のトナーを掻き取りやすくなっているためと考えられる。
【0082】
つまり、トナーのすり抜けを実現させ感光体2と研磨ブレード3との間で潤滑作用をさ
せるためには、流動性の高いトナーを使用し、硬度の高い研磨ブレード3を低い当接荷重
で感光体2表面に当接させることが好ましい。より具体的には、トナーとして円形度が0
.96以上のものを使用し、また研磨ブレード3の感光体2への当接荷重としては25g
/cm以下、さらに好ましくは20g/cm以下とすることが必要である。特に、高いす
り抜け効果を得るにはトナーは小粒径であることが望ましく、例えば体積平均粒径が5μ
m以下のものが望ましい。
【0083】
また、研磨ブレード3はJIS−A硬度85度以上のものが好ましい。より低硬度のも
のを使用する場合には、それに応じて感光体2に対する当接荷重を低減することが必要で
ある。例えばJIS−A硬度65度以上の研磨ブレードを20g/cm以下の当接荷重で
使用することが好ましい。
【0084】
以上より、この実施形態では、トナーとして体積平均粒径4.5μm、円形度0.97
の重合トナーを使用し、また研磨ブレード3はJIS−A硬度74度のポリウレタンゴム
製ブレードを当接角10度、当接荷重13g/cmで感光体2に当接させるようにした。
このような構成によれば、感光体2上に概ね一定量の正帯電粒子を付着させた状態で画像
形成プロセスを実行させることができ、研磨ブレード3による感光体2の磨耗や研磨ブレ
ード3の欠け、変形等を抑制することができた。また、画像形成プロセスの終了時には、
図9に示す手順で感光体2を停止させることにより、感光体2上に正帯電粒子を残存付着
させた状態で停止させておくことができ、次回起動時にはこれが潤滑剤としての作用を果
たし感光体2の起動トルク増大を防止することができた。
【0085】
なお、このように感光体2と研磨ブレード3との間でトナーをすり抜けさせた場合であ
っても、感光体2表面に固着した放電生成物等の固着物を研磨する効果を低下させるもの
でない点については、感光体2表面の観察によって確認されている。
【0086】
図13はこの発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図である。この図におい
ては、上記した第1実施形態の装置と同様の構造・機能を有するものについては図1と同
一の符号を付している。図1に示す第1実施形態では転写位置TPの下流側に剥離位置S
Pを設け、さらにその下流側にクリーニング位置BPを設けていた。これに対し、図13
に示す第2実施形態では、研磨ブレード3とクリーニングローラ4との位置関係を入れ替
えて、転写位置TPの下流にクリーニング位置BP、さらにその下流に剥離位置SPを配
している。第1および第2実施形態の得失を比較すると以下のとおりである。
【0087】
上記第1実施形態では、研磨ブレード3をすり抜けたトナー等がクリーニング位置BP
に搬送されてくる構成であるため、もし剥離位置SPにおいて研磨ブレード3との摺擦に
よりトナーが負極性に帯電した場合であっても、正のクリーニングバイアスを印加された
クリーニングローラ4により帯電極性を反転させたり、ブラシ毛4bに付着させて回収す
ることができる。このため、帯電位置CP、現像位置DPに負帯電粒子が搬送されてくる
ことはなく地カブリの原因とはならない。その一方で、転写位置TPにおいて感光体2の
露光部から中間転写ベルト8aに転写されなかった転写残りトナーが感光体2に残留した
状態で研磨ブレード3と当接するため、露光部と非露光部とでトナーの密度差があること
に起因して、露光部と非露光部との間で研磨効果に差が出る可能性がある。
【0088】
これに対して第2実施形態では、転写残りトナーはクリーニングローラ4により回収さ
れるため露光部と非露光部との差は少ない。ただし、研磨ブレード3との摺擦によって負
帯電した粒子はそのまま帯電位置CPへ送られることとなるので、帯電器5によってさら
に帯電量が高められた負帯電粒子が感光体2上に残留して中間転写ベルト8aに転写され
ると地カブリの原因となる。
【0089】
このように、研磨ブレード3による均一な研磨効果を得るとの観点では第2実施形態が
有利である一方、地カブリをより低く抑えるという観点では第1実施形態がより有利であ
るといえる。
【0090】
以上説明したように、上記各実施形態においては、感光体2、帯電器5、露光ユニット
6、現像ユニット7、転写ユニット8および研磨ブレード3がそれぞれ本発明の「潜像担
持体」、「帯電手段」、「潜像形成手段」、「現像手段」、「転写手段」および「剥離手
段」として機能している。また、現像ローラ7a、中間転写ベルト8aがそれぞれ本発明
の「トナー担持体」、「転写媒体」として機能している。
【0091】
また、上記各実施形態においては、研磨ブレード3が本発明の「弾性当接部材」として
も機能する一方、クリーニングローラ4が本発明の「帯電調整手段」としての機能を有し
ている。
【0092】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限
りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形
態の説明において示した各数値は一例にすぎず、本発明がこれらに限定されるものではな
い。また、クリーニングローラ4に印加されるクリーニングバイアスは、上記実施形態の
ように直流電位だけでなく、直流電位に交流電位を重畳したものであってもよい。この場
合にはクリーニングバイアスの平均電位がトナーの正規帯電極性と逆極性となるようにす
ればよい。
【0093】
また、上記実施形態は帯電させた感光体2表面のうち露光により電荷が除去された領域
にトナーを付着させる、いわゆるネガ潜像タイプの画像形成装置であり、感光体2上にお
いては露光された領域(露光部)がトナーを付着させるべき本発明における「画像部」で
ある一方、露光されなかった領域(非露光部)が本発明における「非画像部」となってい
る。しかしながら、本発明は露光により電荷の発生した領域にトナーを付着させる、いわ
ゆるポジ潜像タイプの画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。この場合に
は、感光体上の露光された領域が「画像部」、露光されなかった領域が「非画像部」とな
る。また、本実施形態では負帯電トナーを使用しているが、正帯電トナーを使用する画像
形成装置に対しても本発明を適用することが可能である。この場合には各部の電位関係を
上記と逆転させればよい。
【0094】
また、上記実施形態の画像形成装置は、均一に帯電された感光体2表面を露光ユニット
6により露光することで静電潜像を形成する装置であるが、帯電された潜像担持体の表面
に静電潜像を形成することができるものであれば、上記のように露光によるもの以外の潜
像形成手段を用いてもよい。
【0095】
また、本実施形態における現像ローラ7aの表面構造は、略菱形の頂面を有する凸部7
41とこれを取り囲むように設けられた凹部742とを規則的に配してなるものであるが
、凸部の形状や現像ローラの表面構造はこれに限定されるものではない。これ以外にも例
えば、ほぼ平滑な包絡円筒面上に多数のディンプルを設けた構造のものや、螺旋状の溝を
設けたものも利用可能である。また従来から用いられているブラスト加工により表面を荒
らした現像ローラを用いる場合にも、本発明を適用可能である。
【0096】
また、上記実施形態では現像ユニット7の個数について特に言及していないが、本発明
は、回転自在のロータリー現像ユニットに複数の現像ユニットを装着したカラー画像形成
装置や、複数の現像ユニットを中間転写媒体の周囲に配置したいわゆるタンデム型の画像
形成装置、現像ユニットを1個だけ備えてモノクロ画像を形成するモノクロ画像形成装置
などに対して好適に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態の主要構成を模式的に示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】この実施形態における現像ユニットの構造を示す断面図。
【図4】現像ローラおよびその表面の部分拡大図を示す図。
【図5】現像ローラ表面の構造の詳細を示す断面図。
【図6】トナーの帯電量分布を示す図。
【図7】この実施形態において各部に付与する電位の関係を示す図。
【図8】感光体表面上で生じる現象を模式的に示す図。
【図9】画像形成プロセスの動作を示すタイミングチャート。
【図10】回転停止後の感光体表面の状態を模式的に示す図。
【図11】トナーの粒径および円形度を変化させたときの実験結果を示す図。
【図12】研磨ブレードの硬度を変化させたときの実験結果を示す図。
【図13】この発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図。
【符号の説明】
【0098】
2…感光体(潜像担持体)、 3…研磨ブレード(剥離手段)、 4…クリーニングロ
ーラ(帯電調整手段)、 5…帯電器(帯電手段)、 6…露光ユニット(潜像形成手段
)、 7…現像器(現像手段)、 7a…現像ローラ(トナー担持体)、 8…転写ユニ
ット(転写手段)、 8a…中間転写ベルト(転写媒体)、 741…凸部、 742…
凹部、 BP…クリーニング位置、 CP…帯電位置、 DP…現像位置、 EP…露光
位置(潜像形成位置)、 SP…剥離位置、 TP…転写位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転方向に周回移動する潜像担持体と、
所定の帯電位置で、前記潜像担持体表面に対し非接触で該表面をトナーの正規帯電極性
と同極性の電位に帯電させる帯電手段と、
前記回転方向において前記帯電位置よりも下流の潜像形成位置で、帯電された前記潜像
担持体表面の電位を、トナーを付着させる画像部と付着させない非画像部との間で異なら
せることにより前記潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
前記回転方向において前記潜像形成位置よりも下流の現像位置で前記潜像担持体に対し
非接触対向配置されたトナー担持体を有し、該トナー担持体がその表面に帯電トナーを担
持して前記現像位置へ搬送するとともに現像バイアスとしての交番電圧を印加されて前記
静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、
前記回転方向において前記現像位置よりも下流の転写位置で、前記潜像担持体に転写媒
体を当接させて前記トナー像を前記転写媒体に転写する転写手段と、
前記回転方向において前記転写位置よりも下流の剥離位置で前記潜像担持体表面に摺接
して該表面の固着物を剥離させる剥離手段と
を備え、
前記トナーの円形度が0.96以上であり、前記剥離手段の前記潜像担持体への当接荷
重が25g/cm以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーの体積平均粒径が5μm以下である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記剥離手段は、前記回転方向に対し直交方向に沿って延びたエッジ部を有する弾性当
接部材を備え、該エッジ部が前記潜像担持体に当接する請求項1または2に記載の画像形
成装置。
【請求項4】
前記弾性当接部材の硬度が、JIS−A硬度85度以上である請求項3に記載の画像形
成装置。
【請求項5】
前記剥離手段の前記像担持体への当接荷重が20g/cm以下であり、前記弾性当接部
材の硬度が、JIS−A硬度65度以上である請求項1ないし3のいずれかに記載の画像
形成装置。
【請求項6】
前記転写位置と前記剥離位置との間、または前記剥離位置と前記帯電位置との間で前記
潜像担持体表面に当接するとともに前記トナーの正規帯電極性と逆極性の電位を付与され
て、前記潜像担持体表面に付着するトナーおよびトナーから遊離した外添剤の帯電極性を
前記正規帯電極性とは逆極性に調整する帯電調整手段を備える請求項1ないし5のいずれ
かに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写媒体には、前記トナーの正規帯電極性と逆極性の転写バイアスが印加されてい
る請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
所定の回転方向に周回移動する潜像担持体の周囲に、その回転方向に沿って、
前記潜像担持体表面に対し非接触で該表面をトナーの正規帯電極性と同極性の電位に帯
電させる帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体表面の電位を、トナーを付着させる画像
部と付着させない非画像部との間で異ならせることにより前記潜像担持体表面に静電潜像
を形成する潜像形成手段と、
前記潜像担持体に対し非接触で対向するトナー担持体を有し、該トナー担持体がその表
面に帯電トナーを担持するとともに現像バイアスとしての交番電圧を印加されて前記静電
潜像をトナー像として現像する現像手段と、
前記潜像担持体に転写媒体を当接させて前記トナー像を前記転写媒体に転写する転写手
段と、
前記潜像担持体表面に摺接して該表面の固着物を剥離させる剥離手段と
をこの順番に配置して画像形成プロセスを実行し、しかも、
前記トナーの円形度を0.96以上とし、前記剥離手段の前記像担持体への当接荷重を
25g/cm以下とすることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−139681(P2010−139681A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315311(P2008−315311)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】