説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】複数の定着ユニットのすべてを寿命が来るまで有効に使用することで、コストを効果的に低減する。
【解決手段】感光体2Y,2M,2C,2Kと、現像部5Y,5M,5C,5Kと、トナー像を転写材14に転写する二次転写部11と、第1および第2のユニット収納室17h1,17h2を有する断熱支持部17d、断熱支持部の第1のユニット収納室17h1に着脱可能に装着されかつ転写部11でトナー像が転写された転写材14を定着する第1の定着ユニット17a、および断熱支持部の第2のユニット収納室17h2に第1の定着ユニット17
aと独立して着脱可能に装着されかつ第1の定着ユニット17aで定着された転写材14を定着する第2の定着ユニット17bを含む定着部17とを有する画像形成装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着部で転写材の像を複数段で定着する電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法には、定着部に1つのケースにそれぞれ配設されるとともに3つの定着器(定着ユニット)を有するとともに、これらの定着器により使用状況が異なる3段で定着する画像形成装置および画像形成方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、定着部に1つの定着器を有するとともにこの定着器が一対の加熱ローラーと加圧ローラーとを含み、定着器の稼働実績に基づいて算出された残寿命により定着部の交換時期を知らせ、交換時期が知らされると定着部を交換する画像形成装置および画像形成方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−221821号公報。
【特許文献2】特開2005−257781号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、3つの定着器により使用状況の異なる3段定着を行う特許文献1に記載の定着部でも、特許文献2に記載の定着部のように定着器の稼働実績に基づいて算出された残寿命により定着部の交換時期を知らせるようにすることが考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の定着部では3つの定着器が1つのケースに単純に配設されるだけであるとともに、特許文献2に記載の定着部では交換時期が知らさせると定着部が単純に交換されるだけである。このため、3つの定着器のうち、いずれか1つの定着器の交換時期が知らされて3つの定着器を有する定着部が交換されると、まだ交換時期が来ない定着器も一緒に交換されてしまう。したがって、まだ寿命が来なく使用可能な定着器が無駄に廃棄されてしまい、3つの定着器のすべてを寿命が来るまで有効に使用することができず、その分、コストが無駄にかかるという問題がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数の定着ユニットのすべてを寿命が来るまで有効に使用することで、コストを効果的に低減することのできる画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置および画像形成方法では、第1の定着ユニットと第2の定着ユニットとが互いに独立してそれぞれ支持部の第1の装着部と第2の装着部とに着脱可能に装着される。つまり、第1の定着ユニットと第2の定着ユニットとが互いに独立して交換可能となる。したがって、第1および第2の定着ユニットのいずれかが先に寿命に達しても、寿命に達した転写ユニットのみが新品の定着ユニットと交換され、残りの定着ユニットはそのまま継続して使用可能となる。これにより、第1および第2の定着ユニットのすべての定着ユニットを寿命に達するまで有効に使用することができ、定着ユニットが寿命を超えて使用されることを低減することができる。したがって、定着ユニットを寿命まで使い切る可能性を高めることが可能となり、コストを効果的に低減することが可能となる。また、支持部の第1の装着部に第2の定着ユニットが
装着可能であるとともに、支持部の第2の装着部に第1の定着ユニットが装着可能である。
【0008】
特に、画像欠陥の発生確率が小さい範囲の画像形成積算枚数において、第1の寿命設定値および第2の寿命設定値をそれぞれ設定する。そして、第1の定着ユニットの稼働実績が積算された第1の稼働実績値が第1の寿命設定値以上になったとき、第1の定着ユニットが寿命に達したと判定する。また、同様に第2の定着ユニットの稼働実績が積算された第2の稼働実績値が第2の寿命設定値以上になったとき、第2の定着ユニットが寿命に達したと判定する。これにより、第1および第2の定着ユニットのいずれについても、画像欠陥が発生する前に寿命に達したことあるいは寿命に近づいたことを判定できる確率を増大させることができる。したがって、画像形成中に画像欠陥が発生するのをより効果的に低減することが可能となる。
【0009】
その場合、第1の稼働実績値および第2の稼働実績値を、それぞれ、画像形成装置の仕様あるいはコンセプトに基づいて設定された重み付けをして算出する。これにより、画像欠陥が発生する前に寿命に達したことあるいは寿命に近づいたことを判定できる確率をより一層増大させることができる。
【0010】
また、第1の重み付けと第2の重み付けを、それぞれ、第1の定着ユニットの第1の圧接力および第2の定着ユニットの第2の圧接力の大きい順に大きく設定する。これにより、より高光沢の画像を形成可能にしつつ、画像欠陥が発生する前に寿命に達したことあるいは寿命に近づいたことを判定できる確率をより一層増大させることができる。
【0011】
更に、第1の寿命設定値と第2の寿命設定値を、それぞれ、第1の定着ユニットの第1の定着温度および第2の定着ユニットの第2の定着温度の高い順に小さく設定する。これにより、より高光沢の画像を形成可能にしつつ、画像欠陥が発生する前に寿命に達したことあるいは寿命に近づいたことを判定できる確率をより一層増大させることができる。
【0012】
更に、第1の寿命設定値と第2の寿命設定値を、それぞれ、第1の定着ユニットの第1の圧接力および第2の定着ユニットの第2の圧接力の大きい順に小さく設定する。これにより、より高光沢の画像を形成可能にしつつ、画像欠陥が発生する前に寿命に達したことあるいは寿命に近づいたことを判定できる確率をより一層増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の第1例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】本発明にかかる画像形成装置の定着部を拡大して模式的に示す図である。
【図3】定着ユニットの斜視図である。
【図4】(a)は定着ユニットの固定方法の一例を示す図、(b)は定着ユニットの他の固定方法の一例を示す図である。
【図5】(a)は定着ユニットの装着前の状態を示す図、(b)は定着ユニットの装着後の状態を示す図である。
【図6】寿命に到達した定着ユニットを判定する第1例のフローを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の第2例における、定着部の稼働実績演算部を示す図である。
【図8】定着ユニットの寿命評価実験結果を示す図である。
【図9】定着ユニットの寿命判定のためのブロック図である。
【図10】定着部の稼働実績値と比較するための第2例の寿命設定値の設定を説明する図である。
【図11】寿命に到達した定着ユニットを判定する第2例のフローを示す図である。
【図12】本発明の実施の形態の第3例および第4例における、定着部の稼働実績値と比較するための寿命設定値の設定を説明する図である。
【図13】本発明の実施の形態の第5例および第6例における、定着部の稼働実績値と比較するための寿命設定値の設定を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の第1例の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。
【0015】
図1に示すように、第1例の画像形成装置1は、トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて画像形成を行う。この画像形成装置1は、水平またはほぼ水平にタンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の線が形成される潜像担持体である感光体2Y,2M,2C,2Kを備えている。ここで、各感光
体2Y,2M,2C,2Kにおいて、2Yはイエローの感光体、2Mはマゼンダの感光体、
2Cはシアンの感光体、2Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す。
【0016】
各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、それぞれ、帯電部3Y,3M,3C,3Kが設けられている。また、各帯電部3Y,3M,3C,3Kから、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向αに向かって、順に、露光部4Y,4M,4C,4K、現像部5Y,5M,5C,5K、一次転写部6Y,6M,6C,6K、および感光体クリーニング部7Y,7M,7C,7Kが配設されている。
【0017】
また、画像形成装置1は、転写ベルトである無端状の中間転写ベルト8を備えている。この中間転写ベルト8は、各感光体2Y,2M,2C,2Kの上方に配置されている。そし
て、中間転写ベルト8は各一次転写部6Y,6M,6C,6Kで各感光体2Y,2M,2C,2Kに圧接されている。
【0018】
図示しないが、中間転写ベルト8は、例えば樹脂等の可撓性の基材と、この基材の表面に形成されたゴム等の弾性層と、この弾性層の表面に形成された表層とを有する3層構造の比較的柔らかい弾性ベルトに形成されている。もちろん、これに限定されることはない。中間転写ベルト8は図示しないモーターの駆動力が伝達される中間転写ベルト駆動ローラー9および中間転写ベルトテンションローラー10に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト8はテンションを付与された状態で、矢印方向βに回転するようにされている。
なお、各色Y、M、C、Kに対応する感光体等の部材の配置順は、図1に示す例に限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0019】
中間転写ベルト8の中間転写ベルト駆動ローラー9側には二次転写部11が設けられている。二次転写部11は、二次転写ローラー12および二次転写ローラークリーニング部13を備えている。二次転写ローラー12は、円柱状または円筒状の基材12aの外周面に設けられたゴム等の弾性部材12bを有している。この弾性部材12bにより二次転写ローラー12の外周面に抵抗層が形成されている。
【0020】
この二次転写ローラー12は、中間転写ベルト8を介して中間転写ベルト駆動ローラー9に圧接される。このとき、中間転写ベルト駆動ローラー9は二次転写ローラー12の押圧に対するバックアップローラーとして機能する。二次転写ローラー12は回転軸12cを中心に回転方向γに回転する。
【0021】
更に、二次転写ローラー12は、中間転写ベルト8に転写されたトナー像を、転写紙等の転写材14に転写させる転写バイアスが印加される。そして、二次転写ローラー12は、画像形成装置1の画像形成動作時に回動方向γに回転するとともに転写バイアスが印加されることにより、二次転写ニップで中間転写ベルト8のトナー像を転写材14に転写する。
【0022】
二次転写ローラークリーニング部13は、クリーニングブレード等のクリーニング部材により二次転写ローラー12の弾性層12bに付着する液体現像剤を除去する。クリーニング部材で除去された液体現像剤は液体現像剤容器に回収される。
【0023】
更に、図1に示すように画像形成装置1は、気流発生部15、転写材搬送部16、および定着部17を備えている。気流発生部15は、ダクト状の吸引部材15aとファン等の気流発生部材15bとを有する。吸引部材15aはガイド部15a1と多数の吸引孔15
2とを有する。そして、二次転写ローラー12から搬送された転写材14は、吸引部材
15aのガイド部15a1にガイドされて移動する。このとき、気流発生部材15bの駆
動により、空気が矢印δで示すように吸引部材15aの吸引孔15a2を通して吸引され
る。これにより、吸引孔15a2を通過する気流が発生し、転写材14は発生した気流に
より吸引部材15aに吸引ガイドされながら転写材搬送部16の方へ移動する。なお、転写材14は中間転写ベルト8と二次転写ローラー12の回転力で転写材搬送部16の方へ移動する。
【0024】
転写材搬送部16は、多数の吸引孔16a1を有する無端状の転写材搬送ベルト16a
、多数の吸引孔16b1を有するダクト状の吸引部材16b、および気流発生部材16c
を有する。転写材搬送ベルト16aは3つの懸架ローラー16dに巻き掛けられて回動方向εに回動する。そして、気流発生部15から移動してきた転写材14が、回動する転写材搬送ベルト16aによって搬送される。このとき、気流発生部材16cの駆動により、空気が矢印ζで示すように吸引部材16bの吸引孔16b1および転写材搬送ベルト16
aの吸引孔16a1を通して吸引される。これにより、吸引孔16a1,16b1を通過する気流が発生し、転写材14は、発生した気流によって転写材搬送ベルト16aにより吸引されながら定着部17の方へ搬送される。
【0025】
定着部17は、それぞれ個別に独立して着脱可能に配設されるとともに、個別に独立して制御される第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cを有する。その場合、第1の定着ユニット17aが転写材搬送部16側に隣接して配設されるとともに、第2の定着ユニット17bが転写材搬送部16側と反対側で第1の定着ユニット17aに隣接して配設され、更に、第3の定着ユニット17cが第1の定着ユニット17a側と反対側で第2の定着ユニット17bに隣接して配設される。
【0026】
図2に拡大して示すように、定着部17は画像形成装置本体に配設されるとともに、定着ユニットを支持する支持部である直方体状の断熱ケース17dを有する。この断熱ケース17dの上端には、開平蓋17eがヒンジ等の開平蓋支持部材17fにより回動可能に支持されている。そして、開平蓋17eは下方に回動した図2に示す位置では、断熱ケース17dの上端を閉じるとともに、矢印で示す上方への回動方向ηに回動することで断熱ケース17dの上端を上方に開放する。
【0027】
断熱ケース17d内は位置決め仕切り板17gにより、3つの第1ないし第3のユニット収納室17h1,17h2,17h3に区画されている。これらの3つの第1ないし第3の
ユニット収納室17h1,17h2,17h3は、それぞれ、第1ないし第3の装着部を構成
する。これらの第1ないし第3のユニット収納室17h1,17h2,17h3は、転写材搬
送部16側から転写材14の移動方向に向かってこれらの順に所定の間隔を置いて配列さ
れている。そして、第1の定着ユニット17aが断熱ケース17dと位置決め仕切り板17gとの間に上下方向に着脱可能に嵌合支持されて第1のユニット収納室17h1内に収
納される。また、第2の定着ユニット17bが一対の位置決め仕切り板17g,17gの
間に上下方向に着脱可能に嵌合支持されて第2のユニット収納室17h2内に収納される
。更に、第3の定着ユニット17cが断熱ケース17dと位置決め仕切り板17gとの間に上下方向に着脱可能に嵌合支持されて第3のユニット収納室17h3内に収納される。
こうして、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cは断熱ケース17d内に位置決めされて固定される。その場合、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cは断熱ケース17dに対して、互いに独立して着脱可能である。
【0028】
更に、断熱ケース17d内に固定された第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cは、いずれも、断熱ケース17dの上方開口端を開平蓋17eで閉じた後、この開平蓋17eを断熱ケース17dに図示しないねじ等により固定することにより、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cは、より確実に固定される。
【0029】
第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cは、互いに同じ構成を有している。すなわち、第1の定着ユニット17aは、円筒状の第1の加熱ローラー17a1と、こ
の第1の加熱ローラー17a1に上方から圧接される円筒状の第1の加圧ローラー17a2と、第1の加熱ローラー17a1および第1の加圧ローラー17a2を回転可能に収容支持する第1の定着ユニットケース17a3とを有する。第1の加熱ローラー17a1および第1の加圧ローラー17a2は、いずれも定着ローラーを構成する。第1の加熱ローラー1
7a1は内部に配置された第1の加熱ローラー側ヒーター17a4を有するとともに、第1の加圧ローラー17a2は内部に配置された第1の加圧ローラー側ヒーター17a5を有する。
【0030】
また、第2の定着ユニット17bは、円筒状の第2の加熱ローラー17b1と、この第
2の加熱ローラー17b1に上方から圧接される円筒状の第2の加圧ローラー17b2と、第2の加熱ローラー17b1および第2の加圧ローラー17b2を回転可能に収容支持する第2の定着ユニットケース17b3とを有する。第2の加熱ローラー17b1および第2の加圧ローラー17b2は、いずれも定着ローラーを構成する。第2の加熱ローラー17b1は内部に配置された第2の加熱ローラー側ヒーター17b4を有するとともに、第2の加
圧ローラー17b2は内部に配置された第2の加圧ローラー側ヒーター17b5を有する。
【0031】
更に、第3の定着ユニット17cは、円筒状の第3の加熱ローラー17c1と、この第
3の加熱ローラー17c1に上方から圧接される円筒状の第3の加圧ローラー17c2と、第3の加熱ローラー17c1および第3の加圧ローラー17c2を回転可能に収容支持する第3の定着ユニットケース17c3とを有する。第3の加熱ローラー17c1および第3の加圧ローラー17c2は、いずれも定着ローラーを構成する。第3の加熱ローラー17c1は内部に配置された第3の加熱ローラー側ヒーター17c4を有するとともに、第3の加
圧ローラー17c2は内部に配置された第3の加圧ローラー側ヒーター17c5を有する。
【0032】
第1ないし第3加熱ローラー17a1,17b1,17c1および第1ないし第3の加圧ロ
ーラー17a2,17b2,17c2はいずれも同一の定着ローラーで構成され、それぞれ、
円筒状の芯金17iと、この芯金17iの外周面に配設された弾性層17jと、この弾性層17jの外周面に配設された表層である離型層17kとを有する。芯金17iは、例えばアルミニウム管、鉄、ステンレス、真鍮等の金属管から形成される。弾性層17jは、例えばシリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等の弾性材から形成される。離型層17kは、例えばPFA、PTFE、FEP、ETFE、PVDF、PVF、PCTFE、ECTFE等から形成される。
【0033】
第1ないし第3加熱ローラー17a1,17b1,17c1と第1ないし第3の加圧ローラ
ー17a2,17b2,17c2とは、それぞれ図示しないばねにより所定荷重で互いに圧接
される。この圧接により、第1ないし第3加熱ローラー17a1,17b1,17c1と第1
ないし第3の加圧ローラー17a2,17b2,17c2との間には、それぞれ第1ないし第
3の定着ニップ17a6,17b6,17c6が形成される。これらの第1ないし第3の定着
ニップ17a6,17b6,17c6は、それぞれ転写材14の移動方向に所定幅の第1ない
し第3の定着ニップ幅を有する。そして、定着部17の定着動作時に、第1ないし第3加熱ローラー17a1,17b1,17c1は矢印で示す回転方向θに回転するとともに、第1
ないし第3の加圧ローラー17a2,17b2,17c2は矢印で示す回転方向ιに回転する

【0034】
第1ないし第3の加熱ローラー側ヒーター17a4,17b4,17c4および第1ないし
第3の加圧ローラー側ヒーター17a5,17b5,17c5は、いずれも、例えばハロゲン
ランプ、カーボンヒーター、ニクロム線ヒーター、赤外線ヒーター等の第1ないし第3の加熱部材から構成される。
【0035】
図3に示すように第1の定着ユニット17aの第1の定着ユニットケース17a3は直
方体状に形成されている。この第1の定着ユニットケース17a3の一端側には、第1の
ギア側保護カバー17a7が配設されている。この第1のギア側保護カバー17a7は、第1の加熱ローラー17a1に連結された図示しない第1の加熱ローラー回転ギアを覆って
保護する。この第1の加熱ローラー回転ギアは、第1の定着ユニットケース17a3に回
転可能に支持された第1の駆動ギア17a8に常時噛合する。そして、第1の定着ユニッ
トケース17a3が第1のユニット収納室17h1に収納固定されると、第1の駆動ギア17a8は、画像形成装置本体に設置された図示しない第1の定着器駆動モーターの第1の
モータギア(不図示)に噛合して連結される。これにより、第1の定着器駆動モーターの回転駆動力が第1のモータギア、第1の駆動ギア17a8、および第1の加熱ローラー回
転ギアを介して第1の加熱ローラー17a1に伝達され、第1の加熱ローラー17a1が回転する。また、第1の加圧ローラー17a2が第1の加熱ローラー17a1の回転に連れ回りして回転する。
【0036】
図示しないが、第1の定着ユニットケース17a3内には、第1の加熱ローラー17a1の温度を検知する第1の加熱ローラー温度検知器および第1の加圧ローラー17a2の温
度を検知する第1の加圧ローラー温度検知器が配設されている。
【0037】
更に、第1の定着ユニットケース17a3の他端側には、第1のコネクター側保護カバ
ー17a9が配設されている。この第1のコネクター側保護カバー17a9は、第1の定着ユニットケース17a3に取り付けられた第1のコネクター17a10を覆って保護する。
図示しないが、第1のコネクター17a10は、第1の加熱ローラー側ヒーター17a4
電気的に接続される第1の加熱ローラー側端子、第1の加熱ローラー温度検知器に電気的に接続される第1の加熱ローラー温度検知端子、第1の加圧ローラー側ヒーター17a5
に電気的に接続される第1の加圧ローラー側端子、および第1の加圧ローラー温度検知器に電気的に接続される第1の加圧ローラー温度検知端子を有する。
【0038】
そして、第1の定着ユニットケース17a3が第1のユニット収納室17h1に収納固定されると、第1の加熱ローラー側端子および第1の加圧ローラー側端子は、それぞれ、画像形成装置本体に設置された図示しないコネクターの対応する第1のヒーター電力供給端子に電気的に接続されるとともに、第1の加熱ローラー温度検知端子および第1の加圧ローラー温度検知端子は、それぞれ、画像形成装置本体に設置された図示しないコネクターの対応する第1のローラー温度検知出力端子に電気的に接続される。第1のヒーター電力供給端子および第1のローラー温度検知出力端子は、画像形成装置1の制御装置に電気的
に接続されている。
【0039】
第1の加熱ローラー温度検知器および第1の加圧ローラー温度検知器によってそれぞれ検知された第1の加熱ローラー17a1の温度および第1の加圧ローラー17a2の温度が画像形成装置1の中央処理装置(CPU)に送給される。このCPUは送給された第1の加熱ローラー17a1の温度および第1の加圧ローラー17a2の温度に基づいて、それぞれ、第1の加熱ローラー17a1の温度および第1の加圧ローラー17a2の温度が個別に設定された設定温度となるように、第1の加熱ローラー17a1および第1の加圧ローラ
ー17a2に対する電力の供給および供給停止を制御する。これにより、第1の加熱ロー
ラー17a1の温度および第1の加圧ローラー17a2の温度は、それぞれの設定温度に制御される。
【0040】
第1のギア側保護カバー17a7および第1のコネクター側保護カバー17a9には、それぞれ、圧接制御レバー17a11,17a12が配設されている。これらの圧接制御レバー
17a11,17a12は断熱ケース17dに配設された図示しないカムによりばねの圧接荷
重に抗して上下動あるいは回動されることで、第1の加熱ローラー17a1および第1の
加圧ローラー17a2の圧接および圧接解除を制御する。これらの圧接制御レバー17a11,17a12による第1の加熱ローラー17a1および第1の加圧ローラー17a2の圧接制御は、例えば特許文献1の段落[0018]ないし[0020]、[図2]、および[図3]に記載されており、これらの記載を参照すれば容易に理解できるので、その詳細な説明は省略する。
【0041】
更に、第1のギア側保護カバー17a7および第1のコネクター側保護カバー17a9には、それぞれ、取っ手17a13,17a14が配設されている。これらの取っ手17a13,17a14を持って第1の定着ユニット17aを上下動することにより、矢印で示す着脱方向κで第1のユニット収納室17h1に対する第1の定着ユニット17aの取り出しおよび
収納が行われる。
【0042】
前述のように第2および第3の定着ユニット17b,17cも、第1の定着ユニット1
7aとまったく同じ構成を有している。その場合、第2および第3の定着ユニット17b,17cの構成に関して、前述の第1の定着ユニット17aの説明において、「第1の」
をそれぞれ「第2の」および「第3の」にすればよい。
【0043】
なお、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cを断熱ケース17dに固定する方法は、前述の例の固定方法に限定されることはない。例えば、図4(a)に示すように、第1の定着ユニットケース17a3に設けた取付フランジ17a15を断熱ケース1
7dの底部にねじ17mにより固定することもできる。また、図4(b)に示すように、断熱ケース17dに押さえ爪17nを回動可能に設ける。そして、ダイヤル17oで押さえ爪17nを回動することにより、この押さえ爪17nで第1の定着ユニットケース17a3を押さえつけて断熱ケース17dの底部に固定することもできる。第2および第3の
定着ユニットケース17b3,17c3の固定方法も、図4(a)および(b)に示す第1
の定着ユニットケース17a3の固定方法と同様である。
【0044】
また、第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1を回転する駆動モータ
ーは画像形成装置本体側ではなく、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17c側に設けることもできる。更に、第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1への駆動モーターの回転駆動力の伝達機構はギア機構ではなく、ベルト機構を用いるこ
ともできるし、あるいは、圧力を付与することで発生する摩擦力を利用した摩擦クラッチ機構を用いることもできる。
【0045】
更に、第1ないし第3の加熱ローラー温度検知器および第1ないし第3の加圧ローラー温度検知器に備えられた電線とコネクターをそれぞれ第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cから離して配設し、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cを断熱ケース17に装着してから、これらのコネクターを画像形成装置本体側のコネクターに接続することもできる。同様に、第1ないし第3の加熱ローラー側ヒーター17a4,17b4,17c4および第1ないし第3の加圧ローラー側ヒーター17a5,17b5,1
7c5からの電線とコネクターをそれぞれ第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,
17cから離して配設し、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cを断熱ケース17に装着してから、これらのコネクターを画像形成装置本体側のコネクターに接続することもできる。
【0046】
更に、第1の加熱ローラー17a1と第1の加圧ローラー17a2とを圧接する他の圧接制御部材として、図5(a)および(b)に示すように、第1の定着ユニット17aの圧接制御レバー17a11を第1の定着ユニットケース17a3に支点17a17を介して回動
可能に取り付ける。また、断熱ケース17dには加圧ばね17a18の一端(下端)を支持固定するとともに、加圧ばね17a18の他端(上端)にレバー受け部17a19を設ける。その場合、レバー受け部17a19の上端面は第1の定着ユニットケース17a3側に向か
って下がる傾斜面とされる。
【0047】
第1の加圧ローラー17a2の芯金17iの一端側にはすべりリング17a20を相対回
転可能に嵌合するとともに、このすべりリング17a20に圧接制御レバー17a11の一端を連結する。そして、図5(a)に示すように、定着ユニット17aを断熱ケース17d内の第1のユニット収納室17h1に装着する前は、第1の加圧ローラー17a2が第1の加熱ローラー17a2に単に当接しているだけである。また、圧接制御レバー17a11
他端側は、レバー受け部17a19に当接していなく、加圧ばね17a18は自由状態となっている。この状態で、図5(b)に示すように第1の定着ユニット17aを断熱ケース17d内の第1のユニット収納室17h1に上方から装着すると、圧接制御レバー17a11
の他端側がレバー受け部17a19に当接するとともに加圧ばね17a18を圧縮しながら第1の定着ユニット17aが下動する。最後に、第1の定着ユニット17aは第1のユニット収納室17h1の図5(b)に示す所定位置に装着される。この状態では、加圧ばねの
付勢力による圧接力で、圧接制御レバー17a11が支点17a17を中心に図5(a)において反時計回りに回転するので、図5(b)に示すように第1の加圧ローラー17a2
第1の加熱ローラー17a1に圧接される。
【0048】
図示しないが、第1の加圧ローラー17a2の芯金17iの他端側にも同様のすべりリ
ングが同様に嵌合されるともに、このすべりリングに圧接制御レバー17a12の一端が連結される。また、圧接制御レバー17a12は同様の支点を介して断熱ケース17dに回転可能に設けられる。更に、圧接制御レバー17a12に対しても同様の加圧ばねおよび同様のレバー受けが設けられ、これらは同様の作用を行う。
更に、図示しないが、第2および第3の定着ユニット17b,17cに対しても、前述
の第1の定着ユニット17aに対する他の圧接制御部材が設けられる。
【0049】
断熱ケース17dは、例えばアルミニウム、鉄、真鍮等の金属板表面に、セラミック、ガラス、カーボン等の耐熱繊維で製織されたシート、あるいはポリイミド、シリコーン等の耐熱樹脂を発泡させたスポンジシート等の耐熱シートを貼った積層板、または、PPS、PBT、ポリアミドイミド、ABS等の耐熱樹脂板等から構成される。この断熱ケース17dにより、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cが覆われることにより、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各熱が放出されるのを防止して、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各熱効率を高めている。
【0050】
図2に示すように、断熱ケース17dおよび第1ないし第3の定着ユニットケース17a3,17b3,17c3は、それぞれ、画像形成装置1で使用可能に設定されるすべてのサ
イズの転写材14が通過可能な開口部17d1,17d2;17a21,17a22;17b21,
17b22;17c21,17c22を有する。これらの開口部17d1,17d2;17a21,1
7a22;17b21,17b22;17c21,17c22は、いずれも転写材移動経路に位置して配設される。
【0051】
転写材搬送部16によって定着部17に搬送されてきた転写材14は、まず第1の定着ニップ17a6に進入する。すると、転写材14に転写されたトナー像が第1の加熱ロー
ラー17a1および第1の加圧ローラー17a2により加熱加圧されることで、1段目の定着(第1の定着)が実施される。次いで、転写材14は第2の定着ニップ17b6に進入
する。同様にして、転写材14に転写されたトナー像が更に第2の加熱ローラー17b1
および第2の加圧ローラー17b2により加熱加圧されることで、2段目の定着(第2の
定着)が実施される。最後に、転写材14は第3の定着ニップ17c6に進入する。同様
にして、転写材14に転写されたトナー像が更に第3の加熱ローラー17c1および第3
の加圧ローラー17c2により加熱加圧されることで、3段目の定着(第2の定着)が実
施される。そして、3段目の定着が終了した転写材14は図示しない排転写材トレイに収容される。
【0052】
ところで、この第1例の画像形成装置1の第1ないし第3の定着ユニット17a,17
b,17cは個別に交換可能とされている。したがって、第1例の画像形成装置1では、
第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのうち、画像欠陥が発生して寿命に到達した定着ユニットのみを交換し、他の正常な定着ユニットは交換しないで、そのまま継続して使用するようにしている。
【0053】
なお、この第1例の画像形成装置1では、定着ユニットの寿命は、次の(1)または(2)で定義される。
(1)定着ユニットの定着ローラーの摩耗により、画像欠陥(光沢低下、濃淡むら、すじ等)が発生する可能性が高くなる時期を定着ユニットの寿命とする。
(2)定着ユニットの定着ローラーの表層が破れたり、弾性層が断裂したりするなどして、定着ユニットが故障する可能性が高くなる時期を定着ユニットの寿命とする。
そして、画質を重視するかあるいは定着性を重視するか等の画像形成装置1のコンセプトに応じて、これらの(1)および(2)の1つが選択される。以下の説明では、定着ユニットの寿命は(1)で定義されるものとする。すなわち、この第1例の画像形成装置1では、前述の定着ユニットの寿命(1)に基づいて、定着ユニットが寿命に達しているか否かを判定している。
【0054】
正常な定着ユニットはそのまま継続して使用することにより、すべての第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cは、個々に、それらの寿命に到達するまで有効に使用可能とされる。したがって、第1ないし第3の定着ユニットの全体でしか交換可能でない特許文献1等に記載の従来の画像形成装置では、1つあるいは2つの定着ユニットの寿命がくると、まだ寿命に到達しなく正常な定着機能を発揮している残りの定着ユニットまで交換しなければならず、定着ユニットが無駄に使用される。これに対して、第1例の画像形成装置1では、寿命に到達した定着ユニットのみを新しい定着ユニットに交換するだけであるので、定着ユニットの無駄な使用が抑制される。
【0055】
次に、第1例の画像形成装置1の実施例について説明する。
この実施例の画像形成装置1は、図1に示すタンデムに配置された4色の感光体2Y,
2M,2C,2K、中間転写ベルト8、および二次転写部11を有するとともに、液体現像剤を用いて画像形成を行う図1に示す画像形成装置1である。
【0056】
画像形成装置1の定着部17の第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cはすべて同じ定着ユニットであるとともに、それぞれ断熱ケース17dに個別に着脱可能に配設される。第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの第1ないし第3加熱ローラー17a1,17b1,17c1および第1ないし第3加圧ローラー17a2,17b2,
17c2はすべて同じ定着ローラーである。芯金17iは厚さ2mmのアルミニウム管で
形成し、弾性層17jは厚さ2mmのシリコーンゴムで形成し、離型層17kは厚さ30μmのPFAで形成する。これらの定着ローラーの外径(直径)は60mmに設定する。第1ないし第3加熱ローラー17a1,17b1,17c1と対応する第1ないし第3加圧ロ
ーラー17a2,17b2,17c2との圧接は図示しないばねにより行われ、圧接荷重はい
ずれも70kgfに設定する。
【0057】
第1ないし第3の加熱ローラー側ヒーター17a4,17b4,17c4はいずれも同じヒ
ーターであり、1500Wのハロゲンランプで構成する。また、第1ないし第3の加圧ローラー側ヒーター17a5,17b5,17c5はいずれも同じヒーターであり、600Wの
ハロゲンランプで構成する。これらのハロゲンランプを制御するために、第1ないし第3の加熱ローラー温度検知器でそれぞれ第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1の温度を検知するとともに、第1ないし第3の加圧ローラー温度検知器でそれぞれ
第1ないし第3の加圧ローラー17a2,17b2,17c2の温度を検知する。そして、各
検知温度に基づいて、それぞれ、第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1、および第1ないし第3の加圧ローラー側ヒーター17a2,17b2,17c2をON/OFF点滅させることで、第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1、およ
び第1ないし第3の加圧ローラー17a2,17b2,17c2の各定着温度を、いずれも設
定温度の160℃に維持する。
【0058】
転写材14への転写速度は50ppmに設定するとともに、転写材14の搬送速度は250mm/secに設定する。そして、この実施例の画像形成装置1により、寿命評価試験を行った。まず、実験番号1ないし3で、すじ状濃淡むらや白斑点抜けなどの画像欠陥が生じるまでの寿命画像形成枚数を測定した。
【0059】
【表1】

【0060】
表1に示すように、実験番号1で用いた転写材の種類(紙種)はOKホワイトポスト280g/m2(王子製紙(株)製)の厚紙であり、また実験番号2で用いた紙種はウルト
ラサテン金藤127g/m2(王子製紙(株)製)の普通紙であり、更に実験番号3で用
いた紙種はOKオプトグロス60g/m2(王子製紙(株)製)の薄紙である。その場合
、転写材のサイズは、いずれもA3サイズ縦である。更に、実験番号1での加熱ローラーと加圧ローラーとの圧接状態は、第1の定着ユニット17aでは圧接解除、第2の定着ユニット17bでは圧接、第3の定着ユニット17cでは圧接である。また、実験番号2での加熱ローラーと加圧ローラーとの圧接状態は、第1の定着ユニット17aでは圧接、第2の定着ユニット17bでは圧接、第3の定着ユニット17cでは圧接解除である。更に、実験番号3での加熱ローラーと加圧ローラーとの圧接状態は、第1の定着ユニット17aでは圧接、第2の定着ユニット17bでは圧接解除、第3の定着ユニット17cでは圧接解除である。
【0061】
そして、100枚白べた画像形成毎に画像欠陥確認のため、1枚黒べた画像形成を行い、黒べた画像にすじ状濃淡むらや白斑点抜けなどの画像欠陥が生じているか否かを目視で確認した。1日8時間まで連続通紙で、これらの白べた画像形成、1枚黒べた画像形成、および画像欠陥の確認を繰り返し行った。実験結果を表1に示す。表1に示すように、実験番号1では、画像欠陥が確認されるまでの寿命画像形成枚数は8,485,700枚であり、また、実験番号2では、画像欠陥が確認されるまでの寿命画像形成枚数は12,26
6,800枚であり、更に、実験番号3では、画像欠陥が確認されるまでの寿命画像形成
枚数は14,648,800枚であった。
【0062】
ところで、この第1例の画像形成装置1では、寿命に達した定着ユニットのみを新品の定着ユニットに交換するとともに、寿命に達していない定着ユニットはまだ使用可能状態にあるためそのまま使用することにより、各定着ユニットがそれぞれ寿命に達するまで無駄なく有効に使用可能にしている。しかし、画像欠陥が確認されても、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのいずれが寿命に達しているのかが不明である。そこで、図6に示すフローにしたがって、寿命に達した定着ユニットを判定する。
【0063】
図6に示すように、ステップS1で画像欠陥が確認されると、ステップS2で第1の定着ユニット17aのみで、前述の実験と同様にして1枚黒べた定着が行われる。次に、ステップS3で黒べた画像に画像欠陥が発生したか否かが判断される。画像欠陥が発生したと判断されると、ステップS4で第1の定着ユニット17aが寿命に達したと判定される。次に、ステップS5で第2の定着ユニット17bのみで、同様にして1枚黒べた定着が行われる。次に、ステップS6で黒べた画像に画像欠陥が発生したか否かが判断される。画像欠陥が発生したと判断されると、ステップS7で第2の定着ユニット17bが寿命に達したと判定される。次に、ステップS8で第3の定着ユニット17cのみで、同様にして1枚黒べた定着が行われる。次に、ステップS9で黒べた画像に画像欠陥が発生したか否かが判断される。画像欠陥が発生したと判断されると、ステップS10で第3の定着ユニット17cが寿命に達したと判定される。
【0064】
ステップS3で第1の定着ユニット17aで画像欠陥が発生しないと判断されると、ステップS5の処理に移行される。また、ステップS6で第2の定着ユニット17bで画像欠陥が発生しないと判断されると、ステップS8の処理に移行される。更に、ステップS9で第3の定着ユニット17cで画像欠陥が発生しないと判断されると、ステップS11で第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのいずれも寿命に達していないと判定される。
【0065】
寿命に達した定着ユニットを新品の定着ユニットに交換するとともに、寿命に達していない定着ユニットをそのまま維持して、前述の実験番号1ないし3と同様にそれぞれ実験番号4ないし6について実験を行った。その場合、定着ユニットの交換の有無を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
表2に示すように、実験番号4では第2および第3の定着ユニット17b,17cが寿
命に達したと判定されたので、第2および第3の定着ユニット17b,17cを新品に交
換するとともに、第1の定着ユニット17aをそのまま継続して使用した。実験番号5では第1および第2の定着ユニット17a,17bが寿命に達したと判定されたので、第1
および第2の定着ユニット17a,17bを新品に交換するとともに、第3の定着ユニッ
ト17cをそのまま継続して使用した。実験番号6では第1の定着ユニット17aが寿命に達したと判定されたので、第1の定着ユニット17aを新品に交換するとともに、第2および第3の定着ユニット17b,17cをそのまま継続して使用した。実験結果を表2
に示す。表2に示すように、実験番号4では寿命画像形成枚数(つまり、延長寿命画像形成枚数)は6,239,300枚であり、この枚数だけ、第1の定着ユニット17aを交換しなくても、画像欠陥が発生することなく画像形成を行うことができた。同様に、実験番号5では延長寿命画像形成枚数は7,572,400枚だけ、画像欠陥が発生することなく画像形成を行うことができた。同様に、実験番号6では延長寿命画像形成枚数は7,95
4,200枚だけ、画像欠陥が発生することなく画像形成を行うことができた。
【0068】
前述の特許文献1に記載の画像形成装置等の従来の画像形成装置では、第1ないし第3の定着ローラーのいずれかが寿命に達すると、寿命に達していない定着ローラーまで交換しなければならず、定着ローラーを無駄にし、多大のコストがかかる。
これに対して、前述のように、この第1例の画像形成装置1により、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのいずれかが先に寿命に達しても、寿命に達した転写ユニットのみが新品の定着ユニットと交換され、残りの定着ユニットはそのまま継続して使用される。これにより、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのすべての定着ユニットを寿命に達するまで有効に使用することができ、定着ユニットが寿命を超えて使用されることを低減することができる。したがって、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのすべてをそれらの寿命まで使い切る可能性を高めることが可能となり、コストを効果的に低減することが可能となる。
【0069】
なお、寿命に達した転写ユニットの場所に残りの定着ユニットのいずれかを入れ替えて装着し、入れ替えて装着した定着ユニットの場所に新品の定着ユニットを装着することもできる。
【0070】
次に、本発明の実施の形態の第2例について説明する。
この第2例の画像形成装置1では、前述の定着ユニットの寿命(1)に基づいて、定着
ユニットが寿命に達しているか否かの判定を次のようにして行っている。すなわち、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各使用状況を示す各稼働実績をそれぞれ予め設定された寿命設定の情報である第1ないし第3の寿命設定値(閾値)と比較し、稼働実績が対応する寿命設定値以上になった定着ユニットは寿命に達したと判定する。
【0071】
以下、この第2例の画像形成装置1の定着ユニットの寿命の判定について説明する。
図7は、この第2例の画像形成装置の第1ないし第3の定着ユニットの稼働実績演算部のブロック図である。
図7に示すように画像形成装置1の中央処理装置(CPU)18は、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの稼働実績演算部19を有する。この稼働実績演算部19は、画像形成枚数積算部20、第1の定着ユニット稼働実績算出部21、第2の定着ユニット稼働実績算出部22、第3の定着ユニット稼働実績算出部23、第1のヒーターON時間積算部24、第2のヒーターON時間積算部25、第3のヒーターON時間積算部26、第1のヒーターON/OFF制御部27、第2のヒーターON/OFF制御部28、第3のヒーターON/OFF制御部29、第1の(定着)ローラー圧接解除判断部30、第2の(定着)ローラー圧接解除判断部31、第3の(定着)ローラー圧接解除判断部32、第1の(定着)ローラー圧接解除用カム制御部33、第2の(定着)ローラー圧接解除用カム制御部34、第3の(定着)ローラー圧接解除用カム制御部35を有する。
【0072】
画像形成枚数積算部20は画像形成装置1の画像形成枚数を積算する。また、第1ないし第3の定着ユニット稼働実績算出部21,22,23は、それぞれ対応する第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各稼働実績値を後述する各定着ユニット稼働実績値の算出方法により算出する。その場合、定着ユニット稼働実績値の算出方法を確立するにあたって、定着ローラーの寿命に影響するパラメーターについて検討した。そこで、寿命評価実験を行った。実験条件は次の通りである。
【0073】
(1)実験装置は、タンデムに配置された4色の感光体2Y,2M,2C,2K、中間転写
ベルト8、および二次転写部11を有するとともに、液体現像剤を用いて画像形成を行う図1に示す画像形成装置1である。その場合、定着部17は1つの定着ユニットのみを用いて1段定着を行う。
(2)1日の実験時間は約8時間とする。
【0074】
(3)実験モードは次の3つモードである。
(a)第1のモード:ウォームアップ → 待機状態で8時間 → 転写材A3縦に画像欠陥確認のための黒べた画像形成 → 実験装置の立ち下げ。
この第1のモードは、加熱ローラーおよび加圧ローラーの加熱状態でかつ加熱ローラーおよび加圧ローラーの圧接状態での、黒べた画像にすじ状濃淡むらや白抜け斑点などの画像欠陥が生じる加熱ローラー側ヒーターおよび加圧ローラー側ヒーターの各ON積算時間(hour)を評価するモードである。
【0075】
(b)第2のモード:ウォームアップ → 加熱ローラーおよび加圧ローラーの圧接解除(離間)状態で8時間 → 転写材A3縦に画像欠陥確認のための黒べた画像形成 → 実験装置の立ち下げ。
この第2のモードは、加熱ローラーおよび加圧ローラーの加熱状態でかつ加熱ローラーおよび加圧ローラーの圧接解除(離間)状態での、黒べた画像にすじ状濃淡むらや白抜け斑点などの画像欠陥が生じる加熱ローラー側ヒーターおよび第1の加圧ローラー側ヒーターの各ON積算時間(hour)を評価するモードである。
【0076】
(c)第3のモード:ウォームアップ → 加熱ローラーおよび加圧ローラーの圧接状態で待機状態後すぐに転写材A3縦で画像形成開始 → A3縦の100枚白べた画像形成毎に
画像欠陥確認のための1枚黒べた画像形成 → 8時間経過後実験装置の立ち下げ。
ここで、ウォームアップは、正常な定着を行うために、加熱ローラーおよび加圧ローラーを所望の定着温度に設定するために予め加熱することである。また、待機状態は、加熱ローラーおよび加圧ローラーを設定された定着温度に維持するとともに、加熱ローラーと加圧ローラーとを圧接して定着動作開始を待機する状態をいう。更に、加熱ローラーおよび加圧ローラーの圧接解除(離間)状態では、加熱ローラーおよび加圧ローラーを設定された定着温度に維持する。更に、黒べた画像形成は、画像にすじ状濃淡むらや白抜け斑点などの画像欠陥を確認するために行う。
【0077】
(4)定着温度(℃)は、加熱ローラーおよび加圧ローラーのいずれも、155℃、175℃、185℃、195℃の5つの温度に設定する。
(5)第1ないし第3のモードにおいて黒べた画像形成に使用する転写材は普通紙であり、また第3のモードにおいてA3縦の画像形成に使用する転写材は、薄紙、普通紙、および厚紙である。その場合、第1ないし第3モードで使用する普通紙としてはいずれもウルトラサテン金藤127g/m2(王子製紙(株)製)であり、また第3モードで使用する
薄紙としてOKオプトグロス60g/m2(王子製紙(株)製)であり、更に第3モード
で使用する厚紙としてOKホワイトポスト280g/m2(王子製紙(株)製)である。
実験結果を図8に示す。
【0078】
図8には、第1および第2のモードにおいて黒べた画像にすじ状濃淡むらや白抜け斑点などの画像欠陥が普通紙に生じた加熱ローラー側ヒーターおよび加圧ローラー側ヒーターのON積算時間(hour)を●(第1のモード)および○(第2のモード)でプロットした。また、第3のモードにおいて前述の画像欠陥が生じた画像形成枚数積算値(枚)を□(薄紙)、△(普通紙)、×(厚紙)でプロットした。更に、それぞれプロットした点に基づいて、各定着ローラー温度(℃)に対する、画像欠陥が生じた加熱ローラー側ヒーターおよび加圧ローラー側ヒーターのON積算時間(hour)と画像形成枚数積算値(枚)との近似曲線を描いた。近似曲線は、第1のモードについては実線で、また第2のモードについては二点鎖線で、更に第3のモードの薄紙については破線(粗めの点線)で、更に第3のモードの普通紙については点線(細かめ)で、更に第3のモードの厚紙については一点鎖線で示した。
【0079】
図8に示すように、いずれの近似曲線も定着温度(ローラー温度)が低温から高温に向かうにしたがってほぼ同様に低下する傾向にある。つまり、画像欠陥が生じる加熱ローラー側ヒーターおよび加圧ローラー側ヒーターのON積算時間(hour)、および画像欠陥が生じる画像形成枚数積算値(枚)は、いずれも定着温度の低温から高温に向かって低下することが確認された。
【0080】
また、画像欠陥が生じる加熱ローラー側ヒーターおよび加圧ローラー側ヒーターのON積算時間(hour)は、加熱ローラーと加圧ローラーとの圧接状態および圧接解除状態で異なることが確認された。この場合のヒーターON積算時間(hour)は、加熱ローラーと加圧ローラーとの圧接状態の方がそれらの圧接解除状態より少ない。つまり、加熱ローラー17および加圧ローラーの各寿命は、それらの圧接状態の方がそれらの圧接解除状態より短い。
【0081】
更に、画像欠陥が生じる画像形成枚数積算値(枚)は、転写材の厚さによって異なることが確認された。この場合の画像形成枚数積算値(枚)は、厚さの厚い方が薄い方より小さい。つまり、加熱ローラーおよび加圧ローラーの各寿命は、転写材の厚さが厚い方が薄い方より短い。
【0082】
例えば、加熱ローラーおよび加圧ローラーの各寿命を、それぞれ、普通紙を用いた場合
の画像欠陥が生じる画像形成枚数積算値(枚)を基準とする。つまり、普通紙ばかりを用いて画像形成を行った場合の画像欠陥が生じる画像形成枚数積算値(枚)を普通紙画像形成稼働実績基準値(枚)とする。また、加熱ローラーおよび加圧ローラーの各定着温度を160℃に設定する。したがって、この場合は、普通紙画像形成稼働実績基準値(枚)(定着ローラーの寿命)は、画像欠陥が生じる普通紙画像形成枚数積算値(枚)であるから、図8の記載より、
普通紙画像形成稼働実績基準値(枚)≒ 12,266,700枚 ・・・(1)式
である。
【0083】
次に、定着ユニット稼働実績値の算出方法について説明する。加熱ローラーおよび加圧ローラーの各寿命を、普通紙を用いた場合の画像欠陥が生じる普通紙画像形成枚数積算値(枚)を基準とすると、第3のモードで普通紙ばかりを用いて画像形成を行った場合の1つの定着ローラーの普通紙画像形成稼働実績値(枚)は、
普通紙画像形成稼働実績値(枚)= 普通紙画像形成枚数積算値(枚)・・・(2)式
である。
【0084】
また、図8に示すように第3のモードで薄紙ばかりを用いて画像形成を行った場合の薄紙画像形成枚数積算値(枚)が、同じ定着温度では普通紙画像形成枚数積算値(枚)より大きい。このため、加熱ローラーおよび加圧ローラーの各寿命が少し延びるので、薄紙を用いて画像形成を行った場合の1つの定着ローラーの薄紙画像形成稼働実績値(枚)を、普通紙画像形成枚数積算値(枚)に対して重み付けをする。したがって、薄紙画像形成稼働実績値(枚)は、図8より普通紙画像形成枚数積算値(枚)に対する薄紙画像形成稼働実績値(枚)の延びに基づいて寿命の延びる比率を読み取って、
薄紙画像形成稼働実績値(枚)=(薄紙画像形成枚数積算値)×0.84(枚)
・・・(3)式
である。ここで、係数(重み付け)0.84は、普通紙画像形成枚数積算値(枚)に対する薄紙画像形成稼働実績値(枚)の延びの比率であり、この比率を転写材14の厚さに基づく重み付けとする。
【0085】
更に、図8に示すように第3のモードで厚紙ばかりを用いて画像形成を行った場合の厚紙画像形成枚数積算値(枚)が、同じ定着温度では普通紙画像形成枚数積算値(枚)より小さい。このため、加熱ローラーおよび加圧ローラーの各寿命が少し縮むので、同様にして重み付けをする。したがって、厚紙を用いて画像形成を行った場合の1つの定着ローラーの厚紙画像形成稼働実績値(枚)は、図8より普通紙画像形成枚数積算値(枚)に対する厚紙画像形成稼働実績値(枚)の縮みに基づいて寿命の縮む比率を読み取って、
厚紙画像形成稼働実績値(枚)=(厚紙画像形成枚数積算値)×1.45(枚)
・・・(4)式
である。ここで、係数(重み付け)1.45は、普通紙画像形成枚数積算値(枚)に対する
厚紙画像形成稼働実績値(枚)の縮みの比率であり、この比率を転写材14の厚さに基づく重み付けとする。
【0086】
更に、第1のモードで転写材が定着ニップに進入しない待機状態では、寿命がヒーターON積算時間で決まる。しかし、ヒーターON積算時間と画像形成枚数積算値とがパラメーターが異なるから、これらのヒーターON積算時間と画像形成枚数積算値とを稼働実績値という点で揃える必要がある。そこで、ヒーターON積算時間に基づく寿命を画像形成枚数積算値に基づく寿命と同じパラメーターにするため、ヒーターON積算時間を画像形成枚数積算値に換算する。したがって、待機状態での1つの定着ローラーの稼働実績値(枚)は、図8より普通紙画像形成枚数積算値(枚)に対する第1のモードでのヒーターON積算時間(hour)の比率を読み取って、
待機状態での稼働実績値(枚)=(待機状態でのヒーターON積算時間)
×4686(枚) ・・・(5)式
である。ここで、係数4686は、普通紙画像形成枚数積算値(枚)に対するヒーターON積算時間(hour)の比率であり、この比率をヒーターON積算時間(hour)を画像形成積算枚数に換算する重み付けとする。
【0087】
更に、第2のモードで加熱ローラーおよび加圧ローラーの離間(圧接解除)状態でも、寿命が第1のモードの場合と同様にヒーターON積算時間で決まる。したがって、圧接解除状態での1つの定着ローラーの稼働実績値(枚)は、図8より普通紙画像形成枚数積算値(枚)に対する第2のモードでのヒーターON積算時間(hour)の比率を読み取って、
圧接解除状態での稼働実績値(枚)=(圧接解除状態でのヒーターON積算時間)
×1148(枚) ・・・(6)式
である。ここで、係数1148は、普通紙画像形成枚数積算値(枚)に対するヒーターON積算時間(hour)の比率であり、この比率をヒーターON積算時間(hour)を画像形成積算枚数に換算する重み付けとする。
【0088】
このように(2)式ないし(6)式の各稼働実績値(枚)に関してそれぞれ各係数が設定されることで、普通紙画像形成稼働実績値(枚)、薄紙画像形成稼働実績値(枚)、厚紙画像形成稼働実績値(枚)、待機状態での稼働実績値(枚)、および圧接解除状態での稼働実績値(枚)による寿命は、いずれも普通紙画像形成稼働実績基準値である12,2
66,700枚とほぼ同じになった。
【0089】
そして、定着ユニットは、普通紙、薄紙、および厚紙を混用した画像形成、待機状態、および圧接解除状態等の種々の使われ方で稼働されるので、定着ユニットの1つの定着ローラーの全体の稼働実績値(枚)は、
稼働実績値(枚)=(2)式+(3)式+(4)式+(5)式+(6)式
・・・(7)式
である。
【0090】
また、定着ユニットは加熱ローラーと加圧ローラーとを有しているので、定着ユニットの稼働実績値は加熱ローラーの稼働実績値と加圧ローラーの稼働実績値とを含む。これらの加熱ローラーの稼働実績値と加圧ローラーの稼働実績値は(7)式に基づいて、それぞれ個別に算出される。また、この第2例の画像形成装置1は第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cを有して3段定着を行うことから、これらの加熱ローラーの稼働実績値と加圧ローラーの稼働実績値の算出は、第1ないし第3の定着ユニット稼働実績算出部21,22,23により、第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1
第1ないし第3の加圧ローラー17a2,17b2,17c2とについてそれぞれ個別に行う

【0091】
なお、定着ローラーの寿命の基準は、普通紙を用いた場合の画像欠陥が生じる画像形成枚数積算値(枚)に限定されなく、他の基準を採用することもできる、また、(3)式ないし(6)式の係数つまり重み付けは、定着ローラーの直径、定着ローラーの弾性層の厚み、定着ローラーの離型層の厚み、定着ローラーの硬度、定着ローラーの材質あるいは構成の種類、定着ローラーである加熱ローラーと加圧ローラーとの圧接力、定着ローラーの周速度、転写材の移動速度、定着温度、定着ローラーの寿命の基準(前述の例では、普通紙を用いた場合の画像欠陥が生じる画像形成枚数積算値(枚)が基準)等により、変化する。したがって、定着ローラーの寿命の基準および(3)式ないし(6)式の係数つまり重み付けは、それぞれ画像形成装置の仕様あるいはコンセプトに基づいて設定される。しかし、定着ローラーの寿命の基準および(3)式ないし(6)式の係数がどのように設定されても、本発明の画像形成装置の作用効果は実質的に同じである。
【0092】
更に、加熱ローラーと加圧ローラーとが常時圧接して圧接解除を行わない定着部を有する画像形成装置の場合には、前述の(6)式を省略して(7)式に基づいて稼働実績値を算出すればよい。
【0093】
第1ないし第3のヒーターON時間積算部24,25,26は、それぞれ対応する第1ないし第3の加熱ローラー側ヒーター17a4,17b4,17c4および第1ないし第3の加
圧ローラー側ヒーター17a5,17b5,17c5の各ON時間を積算する。また、第1な
いし第3のヒーターON/OFF制御部27,28,29は、それぞれ対応する第1ないし第3の加熱ローラー側ヒーター17a4,17b4,17c4および第1ないし第3の加圧ロ
ーラー側ヒーター17a5,17b5,17c5の各作動を制御する。
【0094】
第1ないし第3のローラー圧接解除判断部30,31,32は、それぞれ対応する第1の加熱ローラー17a1と第1の加圧ローラー17a2との圧接解除、第2の加熱ローラー17b1と第2の加圧ローラー17b2との圧接解除、および第3の加熱ローラー17c1
第2の加圧ローラー17c2との圧接解除を判断するとともに、それらの圧接解除時間を
積算する。
【0095】
そして、画像形成枚数積算部20で積算された画像形成枚数積算値と、第1ないし第3のヒーターON時間積算部24,25,26で積算された第1ないし第3の加熱ローラー側ヒーター17a4,17b4,17c4および第1ないし第3の加圧ローラー側ヒーター17
5,17b5,17c5の各ON時間の各積算値と、第1ないし第3のローラー圧接解除判
断部30,31,32で積算された第1の加熱ローラー17a1と第1の加圧ローラー17
2との圧接解除、第2の加熱ローラー17b1と第2の加圧ローラー17b2との圧接解
除、および第3の加熱ローラー17c1と第2の加圧ローラー17c2との圧接解除の各圧接解除時間とに基づいて、第1ないし第3の定着ユニット稼働実績算出部21,22,23は、それぞれ対応する第1ないし第3の定着ローラー(第1ないし第3加熱ローラー17a1,17b1,17c1および第1ないし第3加圧ローラー17a2,17b2,17c2)の稼働実績値を(7)式に基づいて算出する。
【0096】
第1ないし第3のローラー圧接解除用カム制御部33,34,35は、それぞれ対応する圧接制御レバー(第1の定着ユニット17aでは、図3に符号17a11,17a12で示さ
れる)を制御する各カムの作動を制御する。
【0097】
図7に示すように、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cは、更にそれぞれ第1の記憶IC17a16、第2の記憶IC17b16、および第3の記憶IC17c16を有する。これらの第1ないし第3の記憶IC17a16,17b16,17c16には、第1ないし第3の定着ユニット稼働実績算出部21,22,23でそれぞれ積算された第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1の各稼働実績値および第1ないし第3の加
圧ローラー17a2,17b2,17c2の各稼働実績値が書き込まれる(記憶される)。こ
れらの稼働実績値は、それぞれ、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各使用状況を示す。
【0098】
その場合、これらの稼働実績値は、画像形成装置1の電源を切るとき、または、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cを取り外すとき、第1ないし第3の記憶IC17a16,17b16,17c16に書き込まれる。画像形成装置1の電源を切っても、または、定着ユニットを取り外しても、第1ないし第3の記憶IC17a16,17b16,17c16には各稼働実績値が記憶されている。そして、画像形成装置1を電源を入れて立ち上げるときに、または、定着ユニットを装着するときに、第1ないし第3の定着ユニット稼働実績算出部21,22,23はそれぞれ第1ないし第3の記憶IC17a16,17b16,17
16から記憶されている各稼働実績値を読み取る。更に、第1ないし第3の定着ユニット稼働実績算出部21,22,23はそれぞれ、新たに算出した各稼働実績値を読み取った各稼働実績値に加算する。なお、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cを取り外したときに、各稼働実績値を第1ないし第3の記憶IC17a16,17b16,17c16に書き込む場合、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのうち、取り外さない定着ユニットの稼働実績値については書き込みは行われず、次の画像形成装置1の電源を切るときに行われる。
【0099】
なお、第1ないし第3の定着ユニット稼働実績算出部21,22,23は、それぞれ第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cに配設することもできる。ただし、第1ないし第3の寿命設定値はそれぞれ各定着ユニット装着位置固有の値とし、定着ユニット装着位置により異ならせる場合もある。よって、その場合は、第1ないし第3の稼働実績算出部21,22,23の位置にそれぞれ第1ないし第3の寿命設定値記憶ICを画像形成装置本体側に設けるとよい。
【0100】
図9は、定着ローラーの寿命を判定するブロック図である。
図9に示すように、第1ないし第3の記憶IC17a16,17b16,17c16は、それぞれ、第1ないし第3の加熱ローラー稼働実績値36,37,38、および第1ないし第3の第1ないし第3の加圧ローラー稼働実績値42,43,44を有する。
【0101】
また、CPU18は、第1ないし第3の加熱ローラー寿命設定値39,40,41、第1ないし第3の加圧ローラー寿命設定値45,46,47、第1ないし第3の加熱ローラー寿命判定部48,49,50、および第1ないし第3の加圧ローラー寿命判定部51,52,53を有する。第1ないし第3の加熱ローラー寿命判定部48,49,50は、それぞれ対応する第1ないし第3の加熱ローラー稼働実績値36,37,38と第1ないし第3の加熱ローラー寿命設定値(閾値)39,40,41とを比較し、第1ないし第3の加熱ローラー稼働実績値36,37,38のうち、加熱ローラー寿命設定値以上になった加熱ローラーを寿命に達したと判定する。そして、加熱ローラーが寿命に達したと判定した第1ないし第3の加熱ローラー寿命判定部48,49,50は交換指示信号を表示部54に出力する。これにより、表示部54は、寿命に達した加熱ローラーの定着ユニットが寿命であることを表示して、ユーザーに知らせる。例えば、第1の加熱ローラー17a1が寿命に達した場合
、表示部54は、「第1の定着ユニット17aが寿命です。画像欠陥が生じる場合があります。」、あるいは、「第1の定着ユニット17aが交換時期です。」と表示する。その場合、第1ないし第3の加熱ローラー寿命設定値(閾値)39,40,41より、小さい他の閾値をそれぞれ設けて、各稼働実績値のいずれかが対応する他の閾値以上になったとき、表示部54は、他の閾値以上になった定着ユニットについて「定着ユニットの交換時期が近づいています。」と表示して、ユーザーに前もって知らせることもできる。
【0102】
同様に、第1ないし第3の加圧ローラー寿命判定部51,52,53は、それぞれ対応する第1ないし第3の加圧ローラー稼働実績値42,43,44と第1ないし第3の加圧ローラー寿命設定値45,46,47とを比較し、第1ないし第3の加圧ローラー稼働実績値42,43,44のうち、加圧ローラー寿命設定値以上になった加圧ローラーを寿命に達したと判定する。そして、加圧ローラーが寿命に達したと判定した第1ないし第3の加圧ローラー寿命判定部51,52,53は、表示部54に出力する。これにより、表示部54は寿命に達した加圧ローラーを有する定着ユニットについて、前述と同様の内容を表示する。こうして、加熱ローラーおよび加圧ローラーのいずれか一方が寿命に達したと判定されると、寿命であると判定されたローラーを有する定着ユニットが寿命であることが、ユーザーに報知される。
【0103】
次に、定着ローラーの寿命設定値(閾値)の設定方法について説明する。画像形成装置
1の仕様やコンセプトにより、定着ローラーの種類が異なる。そこで、画像形成装置1毎に定着ローラーの寿命設定値が設定される。その場合、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの第1ないし第3加熱ローラー17a1,17b1,17c1および第1
ないし第3加圧ローラー17a2,17b2,17c2がすべて同じ定着ローラーであるとす
ると、各寿命設定値は共通の1つの寿命設定値でよい。
【0104】
この第2例の画像形成装置1では、定着ローラーの寿命設定値を設定するにあたり、実験を行った。この実験では、寿命設定値の設定のための基準として、
(6)寿命設定値に達する前に画像欠陥が発生する画像欠陥発生確率(%)、
(7)寿命設定値に達しても画像欠陥が発生しない場合、寿命設定値に達した後も画像欠陥が発生するまで画像形成を続けたときの残画像形成枚数(枚)、
を調べた。実験にあたって、図1に示す画像形成装置1を用いた。また、第1ないし第3加熱ローラー17a1,17b1,17c1および第1ないし第3加圧ローラー17a2,17
2,17c2はすべて同一の定着ローラーにするとともに、各定着温度もすべて同一の1
60℃に設定した。前述の実験の場合と同様に、転写材14への転写速度を50ppmに設定するとともに、転写材14の搬送速度を250mm/secに設定した。
【0105】
実験方法は、図10に示すように、6.0×106枚、8.0×106枚、1.0×107枚、1.2×107枚、1.4×107枚、1.6×107枚、1.8×107枚、2.0×107枚、2.2×107枚、および2.4×107枚の10個の実験用寿命設定値(枚)(プロット
位置の寿命設定値)を仮設定し、これらの実験用寿命設定値(枚)についてそれぞれ実験
を行った。転写材として普通紙(ウルトラサテン金藤127g/m2:王子製紙(株)製
)A3サイズ縦を使用し、まず白べた画像形成を各実験用寿命設定値(枚)まで行い、その後、1枚黒べた画像形成を行ってこの黒べた画像における画像欠陥発生の有無を前述と同様にして確認した。そして、画像欠陥が発生していないときは、そのまま、白べた画像形成を連続で行い、100枚白べた画像形成毎に1枚黒べた画像形成を行って、同様にして画像欠陥発生の有無を確認するとともに、寿命設定値到達後の画像形成枚数を数えた。そして、これらの白べた画像形成、黒べた画像形成、および画像欠陥発生の確認を画像欠陥が発生するまで行い、画像欠陥が発生したときの残画像形成枚数を求めた。
【0106】
また、画像欠陥が発生したときは、前述の図6に示すフローにしたがって、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのうち、画像欠陥が発生した定着ユニットを判定するとともに、画像欠陥が発生した定着ユニットを新品の定着ユニットに交換して、100枚白べた画像形成、1枚黒べた画像形成、および画像欠陥発生の確認を継続した。そして、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各々につき新品の定着ユニット交換を10回以上繰り返して実験を行った。これにより、寿命設定値に達する前に画像欠陥が発生する画像欠陥発生確率(%)および残画像形成枚数(枚)のばらつきを調べた。その結果を図10に示す。寿命設定値に達する前に画像欠陥が発生する画像欠陥発生確率(%)は、(寿命設定値に達する前に画像欠陥が発生した回数)÷(10回以上の繰り返し回数)の百分率で与えられる。
【0107】
図10に示すように、寿命設定値に達する前に画像欠陥が発生する画像欠陥発生確率(%)は寿命設定値(枚)が小さいほど小さい。寿命設定値(枚)が約9.0×106枚以下に設定された場合ではこの画像欠陥発生確率(%)は0%であり、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cはいずれも寿命設定値に達する前に画像欠陥が発生することはない。また、寿命設定値に達する前に画像欠陥が発生する画像欠陥発生確率(%)は、二次転写側から最も遠い位置にある第3の定着ユニット17cにおいて最も低く、白抜きの矢印で示すように二次転写側の最も近い位置にある第1の定着ユニット17aに向かって順に高くなる。一方、残画像形成枚数(枚)のばらつきは第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのいずれにおいても発生した。また、寿命設定値に到達後の残画
像形成枚数(枚)は、二次転写側から最も近い位置にある第1の定着ユニット17aにおいて最も少なく、白抜きの矢印で示すように二次転写側の最も遠い位置にある第3の定着ユニット17cに向かって順に多くなる。
【0108】
前述の第1例では、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのいずれの定着ユニットにおいても、画像欠陥が発生するまで寿命に到達したことがわからない。これに対して、この第2例の画像形成装置1では、画像欠陥発生確率が最も低い第3の定着ユニット17cの画像欠陥発生確率が100%になる寿命設定値以下の寿命設定範囲Aに、実際の共通の1つ寿命設定値を設定することにより、少なくとも第3の定着ユニット17cについて画像欠陥が発生する前に寿命に到達したことを判定する確率を増大させることができる。これにより、画像形成中に画像欠陥が発生するのを低減することが可能となる。
【0109】
特に、第1の定着ユニット17aの画像欠陥発生確率が0%でなくなる寿命設定値(約9.0×106枚)から第3の定着ユニット17cの残画像形成枚数(枚)が0枚になる寿命設定値(約1.5×107枚)までの寿命設定範囲Bに、実際の共通の1つの寿命設定値を設定することにより、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのすべてについて画像欠陥が発生する前に寿命に到達したことを判定する確率を増大させることができるとともに、少なくとも第3の定着ユニット17cについて寿命設定値到達後に画像欠陥を発生させることなく画像形成を継続して行うことが可能となる。このとき、寿命設定値(約9.0×106枚)では、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cはいずれも寿命設定値到達後にも継続して画像形成を行うことができる。また、寿命設定値(約1.5×107枚)では、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのすべてにおいて、寿命設定値に到達する前に画像欠陥が100%発生する可能性はない。
【0110】
更に、約9.0×106枚の寿命設定値以下の寿命設定範囲Cに、実際の共通の1つの寿命設定値を設定することにより、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのすべてについて画像欠陥が発生する前に寿命に到達したことを判定することが可能となるとともに、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのすべてについて寿命設定値到達後に画像欠陥を発生させることなく画像形成を継続して行うことが可能となる。その場合、寿命設定値が約9.0×106枚の寿命設定値よりかなり小さく設定されると、寿命設定値到達後残可能画像形成枚数は多くなるが、画像欠陥が発生するまでまだかなり余裕があるにもかかわらず、寿命に到達したと判定される。このため、定着ユニットが無駄なく有効に交換されるとは言えなくなる。したがって、寿命設定値は前述の寿命設定範囲B内で設定することが好ましい。特に、(1)式の普通紙画像形成稼働実績基準値とすることが好ましい。
なお、寿命設定範囲A,B,Cの各範囲内で、第1ないし第3の定着ユニット17a,1
7b,17cに対して必ずしも共通の1つ寿命設定値を設定する必要はなく、それぞれ個
別の第1ないし第3の寿命設定値を設定することもできる。
【0111】
次に、このように構成されたこの第2例の画像形成装置1の第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの寿命の判定について説明する。図11は、寿命の判定のフローを示す図である。
画像形成装置1のCPU18には、前述のように予め設定された第2例の画像形成装置1における図10に示す第1ないし第3の寿命設定値がそれぞれ記憶されている。すなわち、これらの第1ないし第3の寿命設定値は、それぞれ図9に示すに各第1ないし第3加熱ローラー寿命設定値39,40,41と各第1ないし第3加圧ローラー寿命設定値45,
46,47とを含む。以下の説明では、説明の便宜上、第1ないし第3の定着ユニット1
7a,17b,17cの稼働実績値が、それぞれ第1ないし第3の寿命設定値と比較して説明するが、実際には、各第1ないし第3の加熱ローラー稼働実績値および各第1ないし第
3の加圧ローラー稼働実績値が、それぞれ、各第1ないし第3加熱ローラー寿命設定値39,40,41および各第1ないし第3加圧ローラー寿命設定値45,46,47と比較される。
【0112】
いま、新品の第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cが画像形成装置1に装着された状態で、図11に示すようにステップS21で画像形成装置1の電源が投入される。すると、まず、第1ないし第3の定着ユニット稼働実績部21,22,23が、それぞれ対応する第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの第1ないし第3の記憶IC17a16,17b16,17c16に記憶されている稼働実績値を読み取る。なおこの場合、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cが新品であることから、各稼働実績値はいずれも0枚である。
【0113】
電源が投入と同時に、ステップS22で第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cがONされ、ステップS23で画像形成装置1のウォームアップが開始される。このとき、第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1、および第1ないし第
3の加圧ローラー17a2,17b2,17c2をウォームアップするために、第1ないし第
3のヒーターON/OFF制御部27,28,29が、それぞれ第1ないし第3の加熱ローラー側ヒーター17a4,17b4,17c4、および第1ないし第3の加圧ローラー側ヒー
ター17a5,17b5,17c5をオンする。これにより、第1ないし第3の加熱ローラー
17a1,17b1,17c1、および第1ないし第3の加圧ローラー17a2,17b2,17
2のウォームアップが開始される。
【0114】
像形成装置1のウォームアップが終了すると、ステップS24で画像形成装置1は待機状態にされる。この待機状態で、第1ないし第3のヒーターON/OFF制御部27,2
8,29が、それぞれ第1ないし第3の加熱ローラー温度検知器の各検知温度および第1
の加圧ローラー温度検知器の各検知温度に基づいて、第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1、および第1ないし第3の加圧ローラー側ヒーター17a2,17b2,17c2をON/OFF点滅させることで、第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1、および第1ないし第3の加圧ローラー17a2,17b2,17c2が所望の定着温度に維持される。
【0115】
次に、ステップS25で画像指令があるか否かが判断される。画像指令がないと判断されると、ステップS26ないしS28で、それぞれ第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの稼働実績が算出される。すなわち、各定着ローラーのウォームアップが開始と同時に、第1ないし第3のヒーターON時間積算部24,25,26が、それぞれ第1ないし第3の加熱ローラー側ヒーター17a4,17b4,17c4の各ON時間、および
第1ないし第3の加圧ローラー側ヒーター17a5,17b5,17c5の各ON時間を積算
する。また、前述の各ヒーターのON/OFF点滅の間、第1ないし第3のヒーターON時間積算部24,25、26が、それぞれ第1ないし第3の加熱ローラー側ヒーター17
4,17b4,17c4の各ON時間、および第1ないし第3の加圧ローラー側ヒーター1
7a5,17b5,17c5の各ON時間を更に積算する。そして、第1ないし第3のヒータ
ーON時間積算部24,25,26で積算された各ON時間は、それぞれ対応する第1ないし第3の定着ユニット稼働実績算出部21,22,23に送給される。
【0116】
ステップS25で画像指令があると判断されると、ステップS29で画像形成装置1による画像形成が行われる。次に、ステップS26ないしS28に移行する。画像形成装置1が画像形成動作を開始すると、第1ないし第3の定着ニップ17a6,17b6,17c6
に進入する転写材14により、それぞれ第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1、および第1ないし第3の加圧ローラー17a2,17b2,17c2の各熱が奪われる。このため、第1ないし第3の加熱ローラー側ヒーター17a4,17b4,17c4の各
ON時間、および第1ないし第3の加圧ローラー側ヒーター17a5,17b5,17c5
各ON時間は増加する。そして、前述と同様に第1ないし第3のヒーターON時間積算部24,25、26が、これらの各ON時間を更に積算する。そして、第1ないし第3のヒ
ーターON時間積算部24,25,26で積算された各ON時間は、それぞれ対応する第1ないし第3の定着ユニット稼働実績算出部21,22,23に送給される。
【0117】
また、同時に画像形成枚数積算部20が画像形成枚数を積算する。その場合、第1ないし第3の加熱ローラー17a1,17b1,17c1と第1ないし第3の加圧ローラー17a2,17b2,17c2との圧接が解除されている場合は、これらのローラー17a1,17b1,17c1;17a2,17b2,17c2は転写材14によって損傷等の影響を受けないので、
画像形成枚数積算部20は画像形成枚数を積算しない。そして、画像形成枚数積算部20で積算された画像形成枚数は、それぞれ対応する第1ないし第3の定着ユニット稼働実績算出部21,22,23に送給される。第1ないし第3の定着ユニット稼働実績算出部21,22,23は、それぞれ(7)式に基づいて、第1ないし第3の定着ユニット17a,1
7b,17cの稼働実績値を算出する。
【0118】
次に、ステップS30ないしS32で、それぞれ、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの稼働実績値がそれぞれ第1ないし第3の寿命設定値以上であるか否かが判断される。その場合、第1の定着ユニット17aの稼働実績値は第1の加熱ローラー17a1の稼働実績値および第1の加圧ローラー17a2の稼働実績値であり、これらの稼働実績値がそれぞれ第1の寿命設定値と比較される。第2および第3の定着ユニット17b,17cについても同様である。そして、加熱ローラーの稼働実績値および加圧ローラ
ーの稼働実績値が対応する寿命設定値以上でないと判断された定着ユニットは、ステップS33で連続して画像指令があるか否かが判断される。ステップS33で連続して画像指令がないと判断されると、ステップS34で画像形成装置1が待機状態にされる。次いでステップS35で画像指令があるか否かが判断される。画像指令がないと判断されると、ステップS36で画像形成装置1の電源OFF指令があるか否かが判断される。画像形成装置の電源OFF指令があると判断されると、ステップS37で画像形成装置1の電源がOFFにされる。
【0119】
ステップS33で連続して画像指令があると判断されると、ステップS29の処理に移行し、前述と同様にステップS29以降の各処理が繰り返される。また、ステップS35で画像指令があると判断されると、ステップS29の処理に移行し、前述と同様にステップS29以降の各処理が繰り返される。更に、ステップS36で画像形成装置1の電源OFF指令がないと判断されると、ステップS26ないしS28の各処理に移行し、これらのステップS26ないしS28以降の各処理が繰り返される。
【0120】
更に、ステップS30ないしS32で、それぞれ第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの少なくともいずれか1つの稼働実績値が対応する第1ないし第3の寿命設定値以上であると判断されると、寿命設定値以上であると判断された定着ユニットは、ステップS38で表示部54に前述のように定着ユニットが寿命である旨等が表示される。そして、画像形成装置1の電源がOFFにされた後、表示部54に定着ユニットが寿命です旨等が表示された定着ユニットは新品の定着ユニットと交換される。また、表示部54に表示されない定着ユニットは交換することなく,そのまま継続して使用される。
【0121】
第2例の画像形成装置1によれば、画像形成装置1の仕様あるいはコンセプトに応じて、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのうち、少なくとも最も画像欠陥が発生し難い定着ユニットにおける寿命設定値前画像欠陥発生率が100%にならない範囲で予め寿命設定値を設定している。これにより、少なくとも1つ以上の定着ユニットについて画像欠陥が発生する前に寿命に達したことあるいは寿命に近づいたことを判定でき
る確率を増大させることができる。したがって、画像形成中に画像欠陥が発生するのをより効果的に低減することが可能となる。
【0122】
特に、第1の定着ユニット17aの画像欠陥発生確率が0%でなくなる寿命設定値(約9.0×106枚)から第3の定着ユニット17cの残画像形成枚数(枚)が0枚になる寿命設定値(約1.5×107枚)までの寿命設定範囲Bに、寿命設定値を設定することにより、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのすべてについて画像欠陥が発生する前に寿命に到達したことを判定できる確率を増大させることができるとともに、寿命後残可能画像形成枚数を低減することができる。したがって、定着ユニットが寿命を超えて使用されることを低減することができるとともに、定着ユニットを寿命まで使い切る可能性を高めることが可能となる。
この第2例の画像形成装置1の他の構成および他の作用効果は第1例と同じである。
【0123】
次に、本発明の実施の形態の第3例について説明する。この第3例の画像形成装置1では、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17c毎にそれぞれ異なる第1ないし第3の寿命設定値が設定される。
図12は、第3例の画像形成装置1における寿命設定値の設定を説明する、第2例の図10と同様の図である。なお、図12は図10に対して寿命設定値の設定のみが異なるだけで、各データーはまったく同じである。
【0124】
図10に示す第2例では、寿命設定値を寿命設定範囲内に設定するようにしているが、図12に示すように第3例の画像形成装置1では、第1ないし第3の寿命設定値がポイントで設定される。すなわち、第1の定着ユニット17aの第1の寿命設定値Dは、第1の定着ユニット17aの寿命設定値前画像欠陥発生確率のプロットに基づく近似直線λと第1の定着ユニット17aの寿命設定値後残可能画像形成枚数のプロットに基づく近似直線μとの交点における寿命設定値(約1.05×107枚)に設定される。また、第2の定着ユニット17bの第2の寿命設定値Eは、第2の定着ユニット17bの寿命設定値前画像欠陥発生確率のプロットに基づく近似直線νと第2の定着ユニット17bの寿命設定値後残可能画像形成枚数のプロットに基づく近似直線ξとの交点における寿命設定値(約1.
25×107枚)に設定される。更に、第3の定着ユニット17cの第3の寿命設定値F
は、第3の定着ユニット17cの寿命設定値前画像欠陥発生確率のプロットに基づく近似直線οと第3の定着ユニット17cの寿命設定値後残可能画像形成枚数のプロットに基づく近似直線πとの交点における寿命設定値(約1.4×107枚)に設定される。なお、図12に示すように、近似直線λ、ν、ο、μ、ξ、およびπの各傾きは、定着ユニット間距離、定着ユニット位置などにより変わるため(転写材15の定着間の冷え方でダメージが変わる)、少なくとも2つ以上の水準の寿命設定値についてデータを求める必要がある。
【0125】
このように、寿命設定値前画像欠陥発生確率の近似直線と寿命設定値後残可能画像形成枚数の近似直線との交点に各寿命設定値を設定することにより、画像欠陥が発生する前に定着ユニットが寿命に到達したことを判定できる確率を増大させるとともに、寿命到達後にもある程度は画像形成が可能であるため、各寿命設定値は、最適寿命設定値となる。その場合、各最適寿命設定値が第1の寿命設定値D<第2の寿命設定値E<第3の寿命設定値Fとずれる。その理由は、第1の定着ユニット17aでは高温の定着ローラーが室温の転写材14に接するため、非常に多くの熱量が定着ローラーの芯金、弾性層、および離型層を通過するのに対して、第2および第3の定着ユニット17b,17cでは、これらの
定着ユニットより前の定着ユニットにより転写材14が高温にされるため、この転写材14が第2および第3の定着ユニット17b,17cの各定着ローラーに接しても、これら
の定着ローラーを通過する熱量が第2の定着ユニット17bおよび第3の定着ユニット17cの順に小さくなるためであると考えられる。したがって、定着ローラーの構成部材に
対する転写材通過によるダメージは、第1の定着ユニット17aで最も大きく、第2の定着ユニット17bから第3の定着ユニット17cに向かって順次小さくなることが見出された。
【0126】
この第3例の画像形成装置1によれば、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのすべてにおいて、画像欠陥発生前での寿命到達判定を可能にできる確率を第2例に比べて一層増大させることができるとともに、残可能画像形成枚数を低減させることができる。すなわち、定着ユニットが寿命を超えて使用されることを一層低減することができるとともに、定着ユニットを寿命まで使い切る可能性を一層高めることが可能となる。
この第3例の画像形成装置1の他の構成および他の作用効果は第2例と同じである。
【0127】
次に、本発明の実施の形態の第4例について説明する。この第4例の画像形成装置1では、前述の第2例において稼働実績値を算出する(2)式ないし(6)式の各係数(重み付け)が、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17c毎に異なる。例えば、(2)式ないし(6)式の各係数(重み付け)が、第1の定着ユニット17aの寿命設定値を基準として前述の第3例の第1ないし第3の寿命設定値D,E,Fに基づいて設定される。すなわち、
(定着ユニットの共通寿命設定値)
普通紙画像形成稼働実績基準値(枚)≒ 1.05×107枚 ・・・(8)式
(第1の定着ユニット17a)
普通紙画像形成稼働実績値(枚)=普通紙画像形成枚数積算値(枚) ・・・(9)式
(第2の定着ユニット17b)
普通紙画像形成稼働実績値(枚)=
普通紙画像形成枚数積算値×(第1の寿命設定値D/第2の寿命設定値E)枚
・・・(10)式
(第3の定着ユニット17c)
普通紙画像形成稼働実績値(枚)=
普通紙画像形成枚数積算値×(第1の寿命設定値D/第3の寿命設定値F)枚
・・・(11)式
(第1の定着ユニット17a)
薄紙画像形成稼働実績値(枚)=薄紙画像形成枚数積算値×0.84枚 ・・(12)式(第2の定着ユニット17b)
薄紙画像形成稼働実績値(枚)=薄紙画像形成枚数積算値×0.84×
(第1の寿命設定値D/第2の寿命設定値E)枚
・・・(13)式
(第3の定着ユニット17c)
薄紙画像形成稼働実績値(枚)= 薄紙画像形成枚数積算値×0.84×
(第1の寿命設定値D/第3の寿命設定値F)枚
・・・(14)式
(第1の定着ユニット17a)
厚紙画像形成稼働実績値(枚)=厚紙画像形成枚数積算値×1.45枚 ・・(15)式(第2の定着ユニット17b)
厚紙画像形成稼働実績値(枚)=薄紙画像形成枚数積算値×1.45×
(第1の寿命設定値D/第2の寿命設定値E)枚
・・・(16)式
(第3の定着ユニット17c)
薄紙画像形成稼働実績値(枚)= 薄紙画像形成枚数積算値×1.45×
(第1の寿命設定値D/第3の寿命設定値F)枚
・・・(17)式
待機状態での稼働実績値(枚)=(待機状態でのヒーターON積算時間)
×4686枚 ・・・(18)式
圧接解除状態での稼働実績値(枚)=(圧接解除状態でのヒーターON積算時間)
×1148枚 ・・・(19)式
(第1の定着ユニット17a)
稼働実績値(枚)=(9)式+(12)式+(15)式+(18)式+(19)式
・・・(20)式
(第2の定着ユニット17b)
稼働実績値(枚)=(10)式+(13)式+(16)式+(18)式+(19)式
・・・(21)式
(第3の定着ユニット17c)
稼働実績値(枚)=(11)式+(14)式+(17)式+(18)式+(19)式
・・・(22)式
である。
【0128】
ここで、(9)式は第2例の(2)式と同じであり、また、(12)式は第2例の(3)式と同じであり、更に、(15)式は第2例の(4)式と同じであり、更に、(18)式は第2例の(5)式と同じであり、更に、(19)式は第2例の(6)式と同じである。なお、第1の定着ユニット17aの寿命設定値を基準とすることに代えて、第2の定着ユニット17bまたは第3の定着ユニット17cの各寿命設定値を基準とすることもできる。
【0129】
この第4例の画像形成装置1によれば、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cのすべてにおいて、画像欠陥発生前での寿命到達判定を可能にできる確率を第3例に比べて一層増大させることができるとともに、残可能画像形成枚数を低減させることができる。すなわち、定着ユニットが寿命を超えて使用されることを一層低減することができるとともに、定着ユニットを寿命まで使い切る可能性を一層高めることが可能となる。
この第4例の画像形成装置1の他の構成および他の作用効果は第2例または第3例と同じである。
【0130】
次に、本発明の実施の形態の第5例について説明する。この第5例の画像形成装置1では、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各定着温度、つまり加熱ローラーおよび加圧ローラーを含む各定着ローラーの温度がこれらの順に高くなるように設定される。すなわち、第1の定着ローラー温度(℃)<第2の定着ローラー温度(℃)<第3の定着ローラー温度(℃)である。
【0131】
図13は、第5例の画像形成装置における寿命設定値の設定を説明する、第2例の図10と同様の図である。
図8に示すように画像欠陥が発生するヒーターON積算時間、および、画像形成枚数積算値は定着温度により変わってしまう。そこで、図10に示すグラフを求めたときと同様の実験を新たに行い、寿命設定値を後残画像形成可能枚数、および、寿命設定値前画像欠陥発生確率の関係を調べた。その結果を図13に示す。
【0132】
図13に示すように、第5例の画像形成装置1では、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各定着温度が前述の第4例とは異なるように設定されることから、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各寿命設定値前画像欠陥発生確率の近似直線λa,νa,οaの相対位置関係が、図12に示すこれらの近似直線λ,ν,οの相対位置関係と逆になる。すなわち、寿命設定値前画像欠陥発生確率が、同じ寿命設定値では第1の定着ユニット17aから第3の定着ユニット17cに向かって順次大きくなる。換言すると、第5例の画像形成装置1では、第3の定着ユニット17cの寿命設定値前での画像欠陥が最も小さい寿命設定値で発生し、また、第2の定着ユニット17bの寿命
設定値前での画像欠陥が次に小さい寿命設定値で発生し、更に、第1の定着ユニット17aの寿命設定値前での画像欠陥が最も大きい寿命設定値で発生する。
【0133】
そして、第1の定着ユニット17bの第1の寿命設定値Gは、第1の定着ユニット17aの寿命設定値前画像欠陥発生確率の近似直線λaと第1の定着ユニット17aの寿命設定値後残可能画像形成枚数の近似直線μaとの交点における最適寿命設定値(約1.05
×107枚)に設定される。また、第2の定着ユニット17bの第2の寿命設定値Hは、
第2の定着ユニット17bの寿命設定値前画像欠陥発生確率の近似直線νaと第2の定着ユニット17bの寿命設定値後残可能画像形成枚数の近似直線ξaとの交点における最適寿命設定値(約8.7×106枚)に設定される。更に、第3の定着ユニット17cの第3の寿命設定値Iは、第3の定着ユニット17cの寿命設定値前画像欠陥発生確率の近似直線οaと第3の定着ユニット17cの寿命設定値後残可能画像形成枚数の近似直線πaとの交点における最適寿命設定値(約7.7×106枚)に設定される。すなわち、第1の寿命設定値G>第2の寿命設定値H>第3の寿命設定値Iである。
【0134】
このように構成された第5例の画像形成装置1によれば、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各定着ローラー温度が、第1の定着ローラー温度(℃)<第2の定着ローラー温度(℃)<第3の定着ローラー温度(℃)に設定される。したがって、より高光沢の画像が形成可能となる。
この第5例の画像形成装置1の他の構成および他の作用効果は第2例または第3例と同じである。なお、第5例の画像形成装置1において、第4例と同じように稼働実績算出に重み付けを変えることで、第4例と同じ作用効果も得ることができる。
【0135】
次に、本発明の実施の形態の第6例について説明する。この第6例の画像形成装置1では、加熱ローラーと加圧ローラーとの圧接力が、第1ないし第3の定着ユニット17a,
17b,17c毎にそれぞれ異なる第1ないし第3の圧接力に設定される。すなわち、こ
の第6例の画像形成装置1では、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各ローラー圧接力がこれらの順に大きくなるように設定される。すなわち、第1の加熱ローラー17a1と第1の加圧ローラー17a2との第1の圧接力(kgf)<第2の加熱ローラー17b1と第2の加圧ローラー17b2との第2の圧接力(kgf)<第3の加熱ローラー17c1と第3の加圧ローラー17c2との第3の圧接力(kgf)である。
【0136】
この第6例の画像形成装置1においても、寿命設定値と寿命設定値前画像欠陥発生率および寿命設定値後残可能画像形成枚数との関係は、実質的に第5例と同じ図13に示す関係となる。したがって、第6例の画像形成装置1でも、各最適寿命設定値が第1の寿命設定値G>第2の寿命設定値H>第3の寿命設定値Iである。
【0137】
このように構成された第6例の画像形成装置1によれば、第1ないし第3の定着ユニット17a,17b,17cの各定着ローラーの圧接力が、第1の加熱ローラー17a1と第
1の加圧ローラー17a2との第1の圧接力(kgf)<第2の加熱ローラー17b1と第2の加圧ローラー17b2との第2の圧接力(kgf)<第3の加熱ローラー17c1と第3の加圧ローラー17c2との第3の圧接力(kgf)に設定される。したがって、より
高光沢の画像が形成可能となる。
この第6例の画像形成装置1の他の構成および他の作用効果は第2例または第3例と同じである。なお、第6例の画像形成装置1において、第4例と同じように稼働実績算出に重み付けを変えることで、第4例と同じ作用効果も得ることができる。
【0138】
なお、本発明の画像形成装置および画像形成方法は、前述の実施の形態の各例に限定されることはない。例えば、定着部17は2または4以上の定着ユニットを有して2または4以上の複数段定着を行う画像形成装置1および画像形成方法にも、本発明の画像形成装
置および画像形成方法は適用することができる。この場合にも、加熱ローラーの稼働実績値と加圧ローラーの稼働実績値の各算出は、同様に(7)式を用いてそれぞれ個別に行う。
【0139】
また、前述の各例の画像形成装置1における気流発生部15および転写材搬送部16の少なくとも一方を省略することもできる。更に、前述の各例の画像形成装置では、タンデム型の画像形成装置としているが、他の形式の画像形成装置でもよいし、単色の画像形成装置でもよい。要は、本発明は特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0140】
1…画像形成装置、2Y,2M,2C,2K…感光体、5Y,5M,5C,5K…現像部、6Y,6M,6C,6K…一次転写部、8…中間転写ベルト、11…二次転写部、17…定着部
、17a…第1の定着ユニット、17a1…第1の加熱ローラー、17a2…第1の加圧ローラー、17b…第2の定着ユニット、17b1…第2の加熱ローラー、17b2…第2の加圧ローラー、17c…第3の定着ユニット、17c1…第3の加熱ローラー、17c2…第3の加圧ローラー、17d…断熱ケース、17h1…第1のユニット収納室、17h2…第2のユニット収納室、17h3…第3のユニット収納室、18…中央処理装置(CPU
)、19…稼働実績演算部、54…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像を現像する現像部と、
前記現像部で現像された像を転写材に転写する転写部と、
第1の装着部および第2の装着部を有する支持部と、
前記支持部の前記第1の装着部に装着されるとともに、前記転写部で前記像が転写された転写材を定着する第1の定着ユニット、および前記支持部の前記第2の装着部に装着されるとともに、前記第1の定着ユニットで定着された前記転写材を定着する第2の定着ユニットを含む定着部と、を有し、
前記第1の装着部は、前記第2の定着ユニットを装着可能であり、前記第2の装着部は前記第1の定着ユニットを装着可能である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の定着ユニットの稼働実績を算出する第1の定着ユニット稼働実績算出部と、
前記第1の定着ユニット稼働実績算出部で算出された前記第1の定着ユニットの稼働実績の値と予め設定された前記第1の定着ユニットの第1の寿命設定値とを比較して、前記第1の定着ユニットの寿命を判定する第1の定着ユニットの寿命判定部と、
前記第2の定着ユニットの稼働実績を算出する第2の定着ユニット稼働実績算出部と、
前記第2の定着ユニット稼働実績算出部で算出された前記第2の定着ユニットの稼働実績の値と予め設定された前記第2の定着ユニットの第2の寿命設定値とを比較して、前記第2の定着ユニットの寿命を判定する第2の定着ユニットの寿命判定部と、
を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の定着ユニット稼働実績算出部は、前記第1の定着ユニットの使用状況に応じて第1の重み付けをして前記第1の定着ユニットの稼働実績の値を算出するととともに、前記第2の定着ユニット稼働実績算出部は、前記第2の定着ユニットの使用状況に応じて第2の重み付けをして前記第2の定着ユニットの稼働実績の値を算出する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の定着ユニットは、第1の加熱ローラー、及び前記第1の加熱ローラーに第1の圧接力で圧接される第1の加圧ローラーを有し、
前記第2の定着ユニットは、第2の加熱ローラー、及び前記第2の加熱ローラーに第2の圧接力で圧接される第2の加圧ローラーを有し、
前記第1の重み付けと前記第2の重み付けは、前記第1の定着ユニットの前記第1の圧接力および前記第2の定着ユニットの前記第2の圧接力により調整する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の定着ユニットの前記第1の圧接力が前記第2の定着ユニットの前記第2の圧接力よりも大きい時、前記第1の重み付けは前記第2の重み付けよりも大きい請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
潜像担持体に潜像を形成し、
前記潜像担持体で形成された前記潜像を現像し、
前記潜像が現像された像を転写材に転写し、
第1の装着部に装着された第1の定着ユニットにより、前記像が転写された転写材を定着するとともに、前記第1の定着ユニットの使用状況を記憶し、
前記第1の装着部と異なる第2の装着部に装着された第2の定着ユニットにより、前記第1の定着ユニットで定着された前記転写材を定着するとともに、前記第2の定着ユニットの使用状況を記憶し、
記憶された第1の定着ユニットの使用状況と予め定められた第1の装着部に装着される定着ユニットの寿命設定の情報とを比較し、比較した結果に基づいて前記第1の定着ユニットの交換指示信号を出力する
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
記憶された第2の定着ユニットの使用状況と予め定められた第2の装着部に装着される定着ユニットの寿命設定の情報とを比較し、比較した結果に基づいて前記第2の定着ユニットの交換指示信号を出力する
請求項6に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−53601(P2011−53601A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204645(P2009−204645)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】