説明

画像形成装置および画像読取装置

【課題】インターフェースの効率的な利用と,省電力化とを両立する画像形成装置および画像読取装置を提供すること。
【解決手段】MFP100は,画像形成部1および画像読取部2への給電状態を制御するモードとして,給電を停止する節電モードと,給電を実行する非節電モードとを有している。また,節電モードから非節電モードに移行する移行命令を受け付けることが可能なインターフェースを複数有している。MFP100は,稼働中インターフェースに,あらかじめ定められた所定信号が入力された場合に,稼働中インターフェースへの給電を停止し,非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つへの給電を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,消費電力を抑える節電モードを有する画像形成装置および画像読取装置に関する。さらに詳細には,節電モードから非節電モードに移行する移行命令を受け付けるインターフェースを複数有する画像形成装置および画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,プリンタやスキャナのような画像を扱う電子装置では,省電力化を実現するため,装置が使用されていない間,一部の機能を停止させて消費電力を抑える節電モードに移行するものがある。このような電子装置は,節電モードでの動作中,節電モードから非節電モードに移行する移行命令を受け付けるインターフェース以外のインターフェースに対し,給電を行わない。
【0003】
例えば,特許文献1には,移行命令を受け付けるインターフェースを複数用意し,利用するインターフェースを,自動選択,ユーザ指定,使用頻度等によって選択し,選択されたインターフェース以外のインターフェースには給電を行わない印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−204209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,特許文献1の印刷装置では,節電モードで動作中,選択されたインターフェース以外のインターフェースを利用したい場合,選択されたインターフェースを介して節電モードを解除しなければ,その所望のインターフェースを利用できない。節電モードを解除してしまうとシステム全体に給電が行われるため,無駄が多く,省電力化に反してしまう。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,インターフェースの効率的な利用と,省電力化とを両立する画像形成装置および画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,画像形成を行う画像形成部と,前記画像形成部への給電を停止する節電モードと,前記画像形成部への給電を行う非節電モードとを有し,前記節電モードと前記非節電モードとを切り換える画像形成給電部と,前記節電モードから前記非節電モードに移行する移行命令を受け付ける複数のインターフェースと,前記インターフェースの少なくとも1つに給電を行うインターフェース給電部と,前記節電モードでの動作時に前記インターフェース給電部から給電を受けているインターフェースである稼働中インターフェースに,あらかじめ定められた所定信号が入力された場合に,前記稼働中インターフェースへの給電停止と,前記稼働中インターフェース以外のインターフェースである非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つへの給電開始とを実行する変更処理を行う変更部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像形成装置は,画像形成部への給電状態を制御するモードとして,節電モードと非節電モードとを有している。また,節電モードから非節電モードに移行する移行命令を受け付けることが可能なインターフェースを複数有している。そして,本発明の画像形成装置では,稼働中インターフェースにあらかじめ定められた所定信号が入力された場合に,その稼働中インターフェースへの給電停止と,非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つへの給電開始とを実行する。ここでいう稼働中インターフェースへの給電停止と,非稼働中インターフェースへの給電開始とは,どちらを先に行ってもよし,並行して行ってもよい。
【0009】
すなわち,本発明の画像形成装置では,節電モード中に稼働中インターフェースに所定信号が入力された際,非節電モードに切り換わることなく,所定のインターフェースを稼働中インターフェースに変更する。これにより,稼働中インターフェースに入力される信号が所定信号であった場合については,稼働中インターフェースの変更に無駄な電力を消費しなくて済む。
【0010】
また,本発明の画像形成装置において,前記所定信号は複数種類あり,前記変更部は,前記所定信号の種類に応じて,給電を開始する非稼働中インターフェースを決定するとよい。所定信号の種類に応じて,変更先となるインターフェースが決められていることで,より多くの場面に本発明を適用できる。
【0011】
また,本発明の画像形成装置の変更部は,前記所定信号を受け付けた稼働中インターフェースの種類に応じて,給電を開始する非稼働中インターフェースを決定するとよい。インターフェースの種類に応じて,変更先となるインターフェースが決められていることで,より多くの場面に本発明を適用できる。
【0012】
また,本発明の画像形成装置は,稼働中インターフェースに前記所定信号が入力された際に,給電を開始する非稼働中インターフェースをユーザに選択させる選択部を備え,前記変更部は,前記選択部によって選択された非稼働中インターフェースに給電を開始するとよい。変更先を決定する際,ユーザに選択の機会を与えることで,よりユーザの利便性に合致する可能性が高まる。
【0013】
また,本発明の画像形成装置は,前記変更処理によって給電が開始された稼働中インターフェースの,不使用状態の継続時間が閾値時間以上となった場合に,当該稼働中インターフェースへの給電を停止し,前記変更処理によって給電を停止した非稼働中インターフェースへの給電を再開する第2変更部を備えるとよい。稼働中インターフェースを変更したにも拘らず,その稼働中インターフェースの不使用状態が長時間継続している場合には,その稼働中インターフェースを使用する必要が無くなった,あるいは稼働中インターフェースを変更したことを忘れてしまっている可能性が高い。一方で,第三者にとっては,稼働中インターフェースが変更されたことを把握し難い。そこで,このような場合には,当初の状態に戻すことが望ましい。
【0014】
また,本発明の画像形成装置は,前記変更処理によって給電が開始された稼働中インターフェースの,使用不能状態が検出された場合に,当該稼働中インターフェースへの給電を停止し,前記変更処理によって給電を停止した非稼働中インターフェースへの給電を再開する第3変更部を備えるとよい。変更先の稼働中インターフェースが使用不能状態となっている場合には,稼働中インターフェースを変更することで移行命令の受け付けができなくなるおそれがある。そのため,このような場合には,当初の状態に戻すことが望ましい。
【0015】
また,上記の画像形成装置は,前記変更処理によって給電が開始された稼働中インターフェースの,使用不能状態が検出された場合に,使用不能状態であることをユーザに警告する警告部を備えるとよい。使用不能状態が継続することは好ましくない。そのため,ユーザに使用不能状態であることを警告し,稼働中インターフェースが使用不能状態になっていることを認識させることが望ましい。
【0016】
また,本発明は,画像読取を行う画像読取部と,前記画像読取部への給電を停止する節電モードと,前記画像読取部への給電を行う非節電モードとを有し,前記節電モードと前記非節電モードとを切り換える画像読取給電部と,前記節電モードから前記非節電モードに移行する移行命令を受け付ける複数のインターフェースと,前記インターフェースの少なくとも1つに給電を行うインターフェース給電部と,前記節電モードでの動作時に前記インターフェース給電部から給電を受けているインターフェースである稼働中インターフェースに,あらかじめ定められた所定信号が入力された場合に,前記稼働中インターフェースへの給電停止と,前記稼働中インターフェース以外のインターフェースである非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つへの給電開始とを実行する変更処理を行う変更部とを備えることを特徴とする画像読取装置を含んでいる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば,インターフェースの効率的な利用と,省電力化とを両立する画像形成装置および画像読取装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態にかかるMFPの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示したMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】給電制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】インターフェースごとに対応付けられた規定処理および変更先を記憶するデータベースの例を示す図である。
【図5】実施の形態にかかる節電処理の手順を示すフローチャート(その1)である。
【図6】実施の形態にかかる節電処理の手順を示すフローチャート(その2)である。
【図7】稼働するインターフェースの選択画面を示す図である。
【図8】警告画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下,本発明にかかる装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,消費電力を抑える節電モードを有する複合機(MFP:Multi Function Peripheral )に本発明を適用したものである。
【0020】
[MFPの構成]
本形態のMFP100は,図1に示すように,用紙に画像を印刷する画像形成部1と,原稿の画像を読み取る画像読取部2とを備えている。画像形成部1の画像形成方式は,電子写真方式であっても,インクジェット方式であってもよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像の形成のみが可能であってもよい。
【0021】
また,MFP100は,その前面側に,各種のボタン(例えば,スタートキー,ストップキー,テンキーの各ボタン)によって構成されるボタン群41,液晶ディスプレイからなる表示部42を備えた操作パネル40を備えている。このボタン群41や表示部42により,動作状況の表示やユーザによる操作の入力が可能になっている。
【0022】
また,MFP100は,外部からの信号を受信する各種のインターフェースがある。MFP100は,節電モードで動作中にインターフェースを介して移行命令を受け付けると,給電に関するモードが節電モードからレディモード(非節電モードの一例)に切り替えられる。なお,操作パネル40を操作することによっても節電モードを解除できる。すなわち,操作パネル40についても,節電モードからレディモードに移行する移行命令を受け付け可能なインターフェースの1つである。各種インターフェースおよび各種モードについては後述する。
【0023】
[MFPの電気的構成]
続いて,MFP100の電気的構成について説明する。MFP100は,図2に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えた制御部30を有している。
【0024】
制御部30は,画像形成部1と,画像読取部2と,操作パネル40と,各構成要素への給電状態を制御する給電制御系50と,ネットワークインターフェース61,FAXインターフェース62,無線通信インターフェース63,USBインターフェース64,プリンタインターフェース65等の,各種のインターフェースとに電気的に接続している。制御部30は,例えば,画像読取部2から画像データの信号を取得する。また,画像形成部1へ所望の画像を作成するための信号を出力する。また,ボタン群41に入力される各種ボタンの信号を受け付ける。また,表示部42に表示する内容の信号を出力する。
【0025】
ROM32は,MFP100を制御するための各種制御プログラムや画像処理プログラム,各種設定,初期値等を記憶している。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像読取部2で読み取った原稿の画像データや各種のインターフェースを介して送られてくる画像データを一時的に記憶する記憶領域として,利用される。NVRAM34は,不揮発性を有する記憶手段であって,各種設定や画像データ等を保存する記憶領域として利用される。
【0026】
CPU31は,MFP100における画像読取機能,画像形成機能等の各種機能を実現するための演算を実行し,制御の中枢となるものである。CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,MFP100の各構成要素を制御する。
【0027】
ネットワークインターフェース61は,ネットワークに接続され,このネットワークインターフェース61を介して他の情報処理装置とのデータ通信を可能にしている。また,FAXインターフェース62は,公衆回線に接続され,このFAXインターフェース62を介して外部のFAX装置等とのデータ通信を可能にしている。また,無線通信インターフェース63は,他の情報処理装置との無線通信を確立し,その情報処理装置とのデータ通信を可能にしている。また,USBインターフェース64は,USBメモリや他の情報機器(カードリーダ等)と直接接続され,このUSBインターフェース64を介して情報機器等とのデータ通信を可能にしている。また,プリンタインターフェース65は,プリンタケーブルに接続され,このプリンタインターフェース65を介して他の情報処理装置とのデータ通信を可能にしている。
【0028】
[給電制御]
続いて,MFP100の給電制御について説明する。MFP100は,給電制御系50(画像形成給電部,画像読取給電部,インターフェース給電部,変更部,第2変更部,第3変更部の一例)として,図3に示すように,電源部51と,電源部51から供給される電力をMFP100の各種構成要素に分配するスイッチ回路52と,スイッチ回路52の各種スイッチの開閉を制御する給電制御部53とを有している。給電制御部53は,制御部30から独立して動作し,独自にCPUおよびメモリを備える。
【0029】
電源部51は,例えば商用電源あるいはバッテリと接続し,適切な電力に変換する回路で構成され,変換後の電力をMFP100の各種構成要素に供給する。スイッチ回路52は,給電制御部53から出力される命令に基づいて,MFP100の各種構成要素に給電するか否かを切り換える。具体的にMFP100には,画像形成部1や画像読取部2への電源系統,制御部30への電源系統,操作パネル40への電源系統,各種インターフェースへの電源系統の,各種の電源系統がある。スイッチ回路52は,各電源系統への給電のオンオフを切り換える。
【0030】
ここで,給電制御系50が有するモードについて説明する。給電制御系50は,画像の読み取りや印刷が可能なレディモードと,画像の読み取りや印刷が不可能となる節電モードとを有している。
【0031】
具体的に,レディモードでは,画像形成部1,画像読取部2,制御部30,操作パネル40,各インターフェース61〜65の全てに給電が行われ,印刷動作やスキャン動作が可能になる。一方,節電モードでは,画像形成部1および画像読取部2への給電が停止する。すなわち,印刷および読み取りが不可能になる。
【0032】
給電制御系50は,起動直後はレディモードで動作する。そして,印刷も読み取りもユーザ操作もなく,MFP100の不使用状態が継続している連続時間(以下,「不使用時間」とする)が所定時間以上となった場合,あるいは節電モードに強制移行する強制移行命令が入力された場合,レディモードから節電モードに移行する。
【0033】
また,給電制御系50は,節電モードに移行しても給電を継続するインターフェース(操作パネルを含む)の設定を,給電制御部53のメモリ530に記憶している。インターフェースの設定は,レディモード中にユーザ操作によって指定される。また,指定されるインターフェースは,1つであっても複数であってもよい。なお,移行命令の受け付け不能状態を回避するため,少なくとも1つのインターフェースが指定される。
【0034】
また,給電制御系50は,節電モード中,レディモードに移行するための移行命令を受け付ける。なお,給電制御系50は,節電モードへの移行の際,指定されたインターフェースへの給電を継続するものの,それ以外のインターフェースへの給電を停止する。このことから,指定されたインターフェースのみ移行命令を受け付け可能な状態になる。給電制御系50は,給電が継続しているインターフェースを介して移行命令を受け付けると,節電モードからレディモードに復帰する。移行命令としては,例えば操作パネル40へのユーザ操作,他の情報処理装置からの移行命令に相当する信号の受信,情報機器の装着が該当する。また,他の情報処理装置からのジョブの受信であってもよい。
【0035】
なお,本形態の説明では,移行命令を受け付けることが可能なインターフェース(本形態では,操作パネル40および各インターフェース61〜65)を,「復帰用IF」とする。また,節電モード中,給電が継続している復帰用IFを「稼働中IF」とし,給電が停止している復帰用IFを「非稼働中IF」とする。
【0036】
給電制御部53は,モードが変更される度に,スイッチ回路52に対して各種電源系統への給電をオンオフする信号を入力する。なお,給電制御部53は,電源部51から直接給電され,節電モード中も常に動作する。そのため,節電モード中であってもスイッチ回路52を制御することができる。
【0037】
また,給電制御部53は,節電モード中,稼働中IFが移行命令以外の入力としてあらかじめ定められた信号を受け付けると,レディモードに移行することなく,あらかじめ定められた復帰用IFに給電を開始し,当該信号を受け付けた稼働中IFへの給電を停止する。すなわち,その信号を受け付けた稼働中IFを非稼働中IFに変更し,その所定信号に対応する非稼働中IFを稼働中IFに変更する。
【0038】
具体的に,給電制御部53は,復帰用IFに対応する所定処理(所定信号)に基づいて,新たに稼働中IFとなる変更先の復帰用IFを決定する。そのため,給電制御部53は,図4に示すように復帰用IFごとに,その復帰用IFに対応する所定処理と,その所定処理に対応付けられた変更先の復帰用IFおよびタイムアウト時間とを記憶するデータベース531を有している。すなわち,復帰用IFの種類に応じて,稼働中IFに変更されるインターフェースが決められている。
【0039】
なお,必ずしも1つの復帰用IFに対して1つの所定処理ではなく,1つの復帰用IFに対して複数の所定処理を記憶してもよい。そして,所定処理ごとに変更先を登録してもよい。例えば,図4に示したデータベース531の登録例では,操作パネル40に対して,「FAX受信専用ボタン押下」,「ネットワーク受信専用ボタン押下」および「USB受信専用ボタン押下」の3種類の所定処理があり,所定処理ごとに異なる変更先が設定されている。すなわち,1つの復帰用IFについて,所定信号の内容に応じて変更先を決定する。
【0040】
また,データベース531にて所定処理に「−」が登録されている場合は,所定処理が設定されていないことを意味する。本形態では,所定処理が「−」となっている復帰用IFについては,稼働中IFの変更対象とならないことを意味する。また,変更先に「ユーザ選択」が登録されている場合には,ユーザが変更先を選択することを意味する。
【0041】
また,給電制御部53は,上述した節電モード中の稼働中IFの変更処理を禁止する禁止フラグを記憶している。そして,禁止フラグがオンの場合には,稼働中IFが所定処理を受け付けたとしても稼働中IFの変更は行わないように制御する。禁止フラグは,レディモード中にユーザ操作によって設定される。なお,禁止フラグの初期値は,オフである。
【0042】
[節電処理]
続いて,節電モードにおける給電先の変更動作を実現する節電処理(変更部,第2変更部,第3変更部の一例)の手順について,図5および図6のフローチャートを参照しつつ説明する。節電処理は,節電モードへの移行条件を満たしたことを契機に,給電制御部53によって実行される。なお,節電モードへの移行条件としては,例えば不使用時間が所定時間以上となった場合が該当する。
【0043】
節電処理では,図5に示すように,先ず,画像形成部1および画像読取部2への給電を停止する(S101)。具体的には,画像形成部1の電源系統に接続するスイッチおよび画像読取部2の電源系統に接続するスイッチをオフする。また,S101では,制御部30への給電も停止してよい。節電処理を実行する給電制御部53は,制御部30から独立して動作するため,制御部30への給電を停止しても節電処理は実行を継続する。また,節電モード中に稼働するインターフェースとして指定されていない復帰用IFへの給電も停止する(S102)。S101とS102とは逆順であってもよい。
【0044】
次に,稼働中IFに対して入力があったか否かを判断する(S103)。稼働中IFに対して入力があった場合には(S103:YES),データベース531を参照し,その入力が,入力を受けた稼働中IFに対する所定処理に該当するか否かを判断する(S104)。そして,所定処理に該当する場合には(S104:YES),禁止フラグがオンしているか否かを判断する(S105)。
【0045】
所定処理に該当し(S104:YES),かつ禁止フラグがオフしている場合には(S105:NO),図6のS106に移行し,現在稼働中IFとなっている復帰用IFの情報を給電制御部53自身のメモリ530に記憶する(S106)。
【0046】
次に,該当した所定処理に対応する変更先が「ユーザ選択」であるか否かを判断する(S107)。変更先が「ユーザ選択」になっている場合には(S107:YES),図7に示すように操作パネル40の表示部42に非稼働中IFを列挙し,給電を再開する非稼働中IFをユーザに問い合わせる(S141)(選択部の一例)。
【0047】
例えば,データベース531に図4に示したような情報が登録されていたとすると,ネットワークインターフェース61が稼働中IFであった場合の変更先が「ユーザ選択」になっている。そのため,ネットワークインターフェース61が稼働中IFの際,所定処理である特定パケットを受信すると,S141が実行される。図7は,その際に表示される選択画面を示している。ネットワークインターフェース61は変更元であるため,選択画面に選択肢として表示されない。問い合わせ手段としては,操作パネル40への選択画面の表示の他,外部装置に選択画面を表示させてもよい。なお,S141の段階で操作パネル40が稼働中IFになっていない場合には,一時的に操作パネル40への給電を再開し,ユーザによる非稼働中IFの選択後は給電を停止する。
【0048】
S141にて選択結果が入力された後,あるいは変更先が「ユーザ選択」になっていない場合には(S107:NO),稼働中IFを変更する(S108)(変更部の一例)。すなわち,現在の稼働中IFへの給電を停止して非稼働中IFとし,S141で選択された復帰用IFあるいは所定処理に対応する変更先として設定された復帰用IFへの給電を再開して稼働中IFとする。なお,稼働中IFへの給電停止と,復帰用IFへの給電再開とは,どちらを先に行ってもよいし,同時に行ってもよい。また,両インターフェースへの給電期間が重なってもよい。
【0049】
次に,変更先の稼働中IFが使用不能状態か否かを判断する(S109)。ここでいう使用不能状態には,断線等による不通状態や故障の他,無線通信における電波受信が不安定な状態など,通信が不完全な状態も含まれる。稼働中IFが使用不能状態と判断された場合には(S109:YES),図8に示すような警告メッセージを操作パネル40の表示部42に表示する(S110)(警告部の一例)。警告メッセージには,少なくとも変更先のインターフェースが使用不能状態である旨を通知する。通知手段としては,操作パネル40への表示の他,外部装置に警告メッセージを表示させてもよい。
【0050】
S110の後,稼働中IFの変更を行う(S111)(第3変更部の一例)。すなわち,S108にて稼働中IFに変更された復帰用IFへの給電を停止して非稼働中IFに戻し,S108にて非稼働中IFに変更された復帰用IFへの給電を再開して稼働中IFに戻す。変更先の稼働中IFが使用不能状態となっている場合には,稼働中IFを変更したことで移行命令の受け付けができなくなるおそれがある。そのため,このような場合には,当初の状態に戻す。
【0051】
S111の後,S106で記憶した稼働中IFの情報をメモリ530から消去する(S112)。S112の後,あるいは稼働中IFが使用不能状態と判断されなければ(S109:NO),図5のS103に移行し,稼働中IFへの入力を待つ。
【0052】
図5のフローチャートの説明に戻り,稼働中IFに対して入力がなかった場合には(S103:NO),給電制御部53自身のメモリ530に復帰用IFの情報が記憶されているか否かを判断する(S161)。復帰用IFの情報が記憶されていない場合には(S161:NO),S108による稼働中IFの変更は行われていないと判断できる。そのため,S103に戻って,稼働中IFへの入力を待つ。
【0053】
復帰用IFの情報が記憶されている場合には(S161:YES),S108による稼働中IFの変更が行われていると判断できる。そこで,稼働中IFが変更された時点を起点として,変更後の稼働中IFに何も入力されていない連続時間(以下,「変更後不使用時間」とする)が閾値時間を経過したか否かを判断する(S162)。閾値時間は,変更先の稼働中IFごとに異なり,データベース531のタイムアウト時間として登録されている。変更後不使用時間は給電制御部53が計時する。
【0054】
変更後不使用時間が閾値時間を経過している場合には(S162:YES),S111と同様に,稼働中IFの変更を行う(S163)(第2変更部の一例)。すなわち,稼働中IFを変更したにも拘らず,その稼働中IFの不使用状態が長期間継続している場合には,その稼働中IFを使用する必要が無くなった,あるいは稼働中IFを変更したことを忘れてしまっている可能性が高い。一方で,第三者にとっては,稼働中IFが変更されたことを把握し難い。そこで,このような場合には,変更前の給電状態に戻す。
【0055】
S163の後,記憶されている復帰用IFの情報をメモリ530から消去する(S164)。S164の後,あるいは変更後不使用時間が閾値時間を経過していない場合には(S162:NO),S103に移行し,稼働中IFへの入力を待つ。
【0056】
また,所定処理に該当しない場合(S104:NO),あるいは禁止フラグがオンしている場合には(S105:YES),移行命令が入力されたと見做し,画像形成部1,画像読取部2,制御部30および全復帰用IFへの給電を再開する(S121)。これにより,レディモードに移行する。なお,稼働中IFの情報を記憶していた場合には,レディモードへの移行の際,その情報をメモリ530から消去する。S121の後,節電処理を終了する。
【0057】
上述の節電処理によれば,節電モード中に,復帰用IFの給電先が変更される。例えば,データベース531に図4に示したような情報が登録され,節電モード移行直後に稼働中IFとなる復帰用IFが操作パネル40であったとすると,節電モードへの移行直後は,操作パネル40以外の復帰用IFへの給電は全て停止する。
【0058】
そして,その状態で,例えば操作パネル40に設けられたFAX受信専用ボタンが押下されると,稼働中IFが操作パネル40からFAXインターフェース62に変更される。また,例えば操作パネル40に設けられたネットワーク受信専用ボタンが押下されると,稼働中IFが操作パネル40からネットワークインターフェース61に変更される。また,例えば操作パネル40に設けられたUSB受信専用ボタンが押下されると,稼働中IFが操作パネル40からUSBインターフェース64に変更される。このように,本形態の節電処理では,ある稼働中IFに対して特定の処理を受け付けた場合については,レディモードに移行することなく節電モードのままで,稼働中IFが変更される。
【0059】
一方,その他の復帰用IFを使用したい場合には,操作パネル40に対して所定処理として記憶されている操作以外の操作を行う。これにより,レディモードに移行して全ての復帰用IFに給電が再開されることから,所望の復帰用IFを使用することができるようになる。
【0060】
以上詳細に説明したように本形態のMFP100は,移行命令を受け付けることが可能なインターフェースを複数有している。そして,MFP100は,節電モードで動作中,復帰用IFへの給電状態を変更する。具体的には,節電モードで動作中,稼働中IFに所定処理が入力された際には,画像形成部1および画像読取部2に給電を行うレディモードに切り換わることなく,変更先として指定された非稼働中IFを稼働中IFに変更する。これにより,稼働中IFに入力される信号が所定処理であった場合については,稼働中IFの変更に無駄な電力を消費しなくて済む。
【0061】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,MFPに限らず,プリンタ,コピー機,スキャナ,FAX装置等,画像形成機能あるいは画像読取機能を備えるものであれば適用可能である。
【0062】
また,実施の形態では,給電制御部53が全ての復帰用IFの給電管理を行っているが,これに限るものではない。例えば,復帰用IFごとに給電管理を行う専用基板を設けてもよい。この場合,稼働中IFであれば,その稼働中IFに対応する専用基板にも給電が行われ,移行命令の入力を監視する。一方,非稼働中IFであれば,その非稼働中IFに対応する専用基板への給電も停止する。そして,節電モード時は,稼働中IFおよびその専用基板以外の機器への給電は停止する。このとき,制御部30への給電も停止する。稼働中IFは,移行命令を受け付けると,制御部30を含む全機器への給電を再開する。
【0063】
また,実施の形態では,稼働中IFを変更した後,その変更先の稼働中IFが閾値時間を越えて不使用であれば,その変更先の稼働中IFを非稼働中IFに戻しているが,必ずしも戻す必要はない。また,実施の形態では,稼働中IFを変更した後,その変更先の稼働中IFが使用不能状態であれば,その稼働中IFを非稼働中IFに戻しているが,必ずしも戻す必要はない。
【0064】
また,実施の形態では,稼働中IFを変更した後,その変更先の稼働中IFへの給電を維持しているが,その変更先の稼働中IFが使用された後,元の給電状態に戻してもよい。すなわち,その変更先の稼働中IFを非稼働中IFに戻し,変更元の非稼働中IFへの給電を再開してもよい。
【0065】
また,実施の形態では,変更後不使用時間のタイムアウト時間を,データベース531から取得しているが,共通のタイムアウト時間を1つ設定し,稼働中IFの種類に関係なくそのタイムアウト時間を所定時間として利用してもよい。
【0066】
また,実施の形態のMFP100では,例えば,節電モード移行直後に稼働中IFとなる復帰用IF,非稼働中IFを稼働させるためのインターフェースとして機能させることもできる。この場合,節電モード移行直後の稼働中IFは,所定処理が入力された後は給電が停止される,すなわち非稼働中IFとなるため,電力を無駄に消費しなくて済む。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成部
2 画像読取部
30 制御部
40 操作パネル
51 電源部
52 スイッチ回路
53 給電制御部
61 ネットワークインターフェース
62 FAXインターフェース
63 無線通信インターフェース
64 USBインターフェース
65 プリンタインターフェース
100 MFP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成を行う画像形成部と,
前記画像形成部への給電を停止する節電モードと,前記画像形成部への給電を行う非節電モードとを有し,前記節電モードと前記非節電モードとを切り換える画像形成給電部と,
前記節電モードから前記非節電モードに移行する移行命令を受け付ける複数のインターフェースと,
前記インターフェースの少なくとも1つに給電を行うインターフェース給電部と,
前記節電モードでの動作時に前記インターフェース給電部から給電を受けているインターフェースである稼働中インターフェースに,あらかじめ定められた所定信号が入力された場合に,前記稼働中インターフェースへの給電停止と,前記稼働中インターフェース以外のインターフェースである非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つへの給電開始とを実行する変更処理を行う変更部と,
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において,
前記所定信号は複数種類あり,
前記変更部は,前記所定信号の種類に応じて,給電を開始する非稼働中インターフェースを決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
前記変更部は,前記所定信号を受け付けた稼働中インターフェースの種類に応じて,給電を開始する非稼働中インターフェースを決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
稼働中インターフェースに前記所定信号が入力された際に,給電を開始する非稼働中インターフェースをユーザに選択させる選択部を備え,
前記変更部は,前記選択部によって選択された非稼働中インターフェースに給電を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記変更処理によって給電が開始された稼働中インターフェースの,不使用状態の継続時間が閾値時間以上となった場合に,当該稼働中インターフェースへの給電停止と,前記変更処理によって給電を停止した非稼働中インターフェースへの給電再開とを実行する第2変更部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記変更処理によって給電が開始された稼働中インターフェースの,使用不能状態が検出された場合に,当該稼働中インターフェースへの給電停止と,前記変更処理によって給電を停止した非稼働中インターフェースへの給電再開とを実行する第3変更部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載する画像形成装置において,
前記変更処理によって給電が開始された稼働中インターフェースの,使用不能状態が検出された場合に,使用不能状態であることをユーザに警告する警告部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像読取を行う画像読取部と,
前記画像読取部への給電を停止する節電モードと,前記画像読取部への給電を行う非節電モードとを有し,前記節電モードと前記非節電モードとを切り換える画像読取給電部と,
前記節電モードから前記非節電モードに移行する移行命令を受け付ける複数のインターフェースと,
前記インターフェースの少なくとも1つに給電を行うインターフェース給電部と,
前記節電モードでの動作時に前記インターフェース給電部から給電を受けているインターフェースである稼働中インターフェースに,あらかじめ定められた所定信号が入力された場合に,前記稼働中インターフェースへの給電停止と,前記稼働中インターフェース以外のインターフェースである非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つへの給電開始とを実行する変更処理を行う変更部と,
を備えることを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−232429(P2012−232429A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100869(P2011−100869)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】