説明

画像形成装置と電子写真感光体

【課題】帯電リークによる白地部への黒点状の欠陥、放電ムラによるハーフトーンのスジ故障、転写時の中抜け等がない良好な画像を、使用環境や長期使用時においても得ることができる画像形成装置と電子写真感光体を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体、該感光体を突起状電極で帯電する帯電手段、潜像を形成する露光手段、潜像をトナーで現像する現像手段、該感光体に滑剤を供給する供給手段を有する画像形成装置において、該突起状電極の突起間隔Pが0.5mm以上、3.0mm以下であり、且つ、該突起間隔Pを評価長さlnとして測定した電子写真感光体表面の粗さ曲線における切断レベルc=20(%/μm)とするときの負荷長さ率Rmr(c)が、1%以上、20%以下である画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成装置とそれに用いられる電子写真感光体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在広く用いられている電子写真画像形成方法は、電荷付与されたトナーを電子写真感光体(単に感光体ということがある)上に形成した静電潜像に接触、或いは狭い間隙を介して対向させ、静電潜像をトナーにより顕像化する現像過程を経て形成された電子写真感光体上のトナー画像を、普通紙等に転写した後、定着して最終画像を形成するものである。
【0003】
電子写真感光体はSe、ヒ素、ヒ素/Se合金、CdS、ZnO等の無機感光体から、公害や製造の容易性等の利点に優れる有機感光体に主体が移り、様々な材料を用いた有機感光体(以下、単に感光体とも云う)が開発されている。
【0004】
有機感光体は、電子写真画像形成工程すなわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用される時に、様々なストレスを受け劣化する。劣化の種類としては、コロナ帯電器から発生する強酸化性のO3やNOxによる化学的な劣化、帯電・露光時に通電による電気的劣化、画像露光・除電光による光劣化等の劣化がある。またこれとは別の劣化としてクリーニングブレード、磁気ブラシなどの摺擦や現像剤、紙との接触等による感光層表面の摩耗や傷の発生、膜剥がれといった機械的劣化がある。特にこの様な感光層表面に生じる損傷はコピー画像上に現れやすく、直接画像品質を損なうため感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。すなわち高寿命の電子写真感光体を開発するためには電気的、化学的耐久性を高めると同時に機械的強度を高めることが求められている。
【0005】
また、印刷分野やカラー印刷の分野において、電子写真方式の複写機やプリンターを使用する機会が増加している。印刷分野やカラー印刷の分野においては、高速の画像形成装置を用い、高画質のデジタルのモノクロ画像或いはカラー画像を大量に作製する要求が強くなってきている。
【0006】
このような高画質化への要求に対し、感光体表面のクリーニング性や感光体から中間転写体への転写性を向上させて高品質のプリントを大量に作製するために、例えば、感光体の表面層にフッ素樹脂微粒子を含有さる検討(特許文献1)、感光体の表面層にポリカーボネートポリオルガノシロキサン共重合体を含有させる検討(特許文献2)、感光体表面のクリーニング性を向上させる目的で、表面層用塗布液に液状潤滑剤を添加し、液状潤滑剤を表面層中からブリードさせて感光体表面に存在させる検討(特許文献3)、ステアリン酸亜鉛等の固体潤滑剤を感光体表面に機械的に塗布し、固体潤滑剤を常に感光体表面に存在させる検討(特許文献4)が報告されているが、市場の要求を満足するレベルには至っていない。
【0007】
一方、画像形成のために行う感光体面の帯電に用いられる帯電装置には、従来からワイヤ電極を用いたワイヤ放電方式を採用したもの、及び、針状電極、鋸歯状電極等の突起状電極を用いたピン放電方式を採用したものがある。ピン放電方式は、オゾンの発生量がワイヤ方式に比べると少なく、有機感光体の劣化に対して有利であるために、近年多く用いられるようになり、この放電方式について種々のものが提案されている。(特許文献5)。しかし、ピン放電方式の放電は突起の先で行われ、その放電点はワイヤ方式とは異なり離散的であるために、一旦突起の先端に異物の付着等の不都合が起こってしまうと、その影響は極めて大きく、突起状電極に対応した帯電電位の高い部分と、突起状電極と突起状電極との間の部分に対応した帯電電位の低い部分とが順次に連続するような帯電むらを与える放電リップルが生じやすいという課題がある。
【特許文献1】特開平8−328287号公報
【特許文献2】特開平7−173275号公報
【特許文献3】特開2001−75302号公報
【特許文献4】特開平7−210051号公報
【特許文献5】特開2004−333593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされた。
【0009】
即ち、本発明の目的は、帯電リークによる白地部への黒点状の欠陥、放電ムラによるハーフトーンのスジ故障、転写時の中抜け等がない良好な画像を、使用環境や長期使用時においても得ることができる画像形成装置と電子写真感光体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が鋭意検討した結果、本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成できる。
【0011】
(1)
導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体、該感光体を突起状電極で帯電する帯電手段、潜像を形成する露光手段、潜像をトナーで現像する現像手段、該感光体に滑剤を供給する供給手段を有する画像形成装置において、該突起状電極の突起間隔Pが0.5mm以上、3.0mm以下であり、且つ、該突起間隔Pを評価長さlnとして測定した電子写真感光体表面の粗さ曲線における切断レベルc=20(%/μm)とするときの負荷長さ率Rmr(c)が、1%以上、20%以下であることを特徴とする画像形成装置。
【0012】
(2)
前記感光体に滑剤を供給する手段が、滑剤を外添したトナーであり、且つ、該トナーへの滑剤の添加量がトナー全体に対して0.25質量%以上、1.0質量%以下であることを特徴とする(1)項記載の画像形成装置。
【0013】
(3)
導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体、該感光体を突起状電極で帯電する帯電手段、潜像を形成する露光手段、潜像をトナーで現像する現像手段、該感光体に滑剤を供給する供給手段を有する画像形成装置に用いられる電子写真感光体であって、該突起状電極の突起間隔Pが0.5mm以上、3.0mm以下であり、且つ、該突起間隔Pを評価長さlnとして測定した電子写真感光体表面の粗さ曲線における切断レベルc=20(%/μm)とするときの負荷長さ率Rmr(c)が、1%以上、20%以下であることを特徴とする電子写真感光体。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、帯電リークによる白地部への黒点状の欠陥、放電ムラによるハーフトーンのスジ故障、転写時の中抜け等がない良好な画像を、使用環境や長期使用時においても得ることができる画像形成装置と電子写真感光体を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を更に詳しく説明する。
【0016】
〔突起状電極〕
図2は、突起状電極を用いた帯電装置の斜視図である。放電部材5は図2の(a)に示すようにこれに接続された放電用の電源4を有し、図3の(c)に帯電装置の全体構成を示しているようにグリッド電極6(図3(b)参照)と組み合わせて、スコロトロン方式の帯電装置10として用いられる。
【0017】
このような組み合わせからなる帯電装置10は、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれ、この画像形成装置の被帯電部材としての感光体ドラム1の表面を静電潜像の形成に先立って帯電させるために用いられる。
【0018】
帯電部材5は、例えば図2、図3の(a)に示すように板状の電極板の一縁に、尖鋭状の放電端12aを持った突起状電極12を、図3の(c)に示す被帯電部材である感光体ドラム1の表面に軸線方向に沿うように突起間隔Pを持って一体成形したもので、全体に鋸歯形状を呈している。各突起状電極12は放電部材5に与えられる放電用の電源4からの印加電圧によって放電端12aから放電を行う。
【0019】
突起間隔Pは、本発明においては、0.5mm以上、3.0mm以下であることが好ましい。更に好ましくは1.0mm以上、2.0mm以下である。0.5mm以上、3.0mm以下にすることにより、特に本発明の感光体表面形状との組合せにおいて、隣接突起間の干渉、放電不足による帯電ムラがなく、異常放電による感光体への高圧リークが発生せず、均一な帯電が可能となり、長期に亘って良好な画像形成が可能となる。
【0020】
このような鋸歯形状の放電部材5は、圧延プレス加工、またはエッチング加工するなどして容易に得られる。なお、これは本発明が採用するものの一例である。放電部材5としては他に種々のものが考えられる。例えば、図4の(a)に示すような剃り刃状の放電端12a、図4の(b)に示すようなワイヤ放電端12a、図4の(c)に示すような針状放電端12a等を採用することもできる。
【0021】
図2に示す放電部材5についてさらに詳述すると、各突起状電極12の鋸歯形状の歯角θは、大きくなるにつれてオゾン発生量が増加することから30°以下であればよいが15度以下であるのが好ましい。また、歯角θが小さすぎると加工性、強度の点で問題が出てくるので、5°以上であるのが好ましい。したがって、5°〜15°の範囲にするのが好適である。
【0022】
鋸歯形状の突起状電極12の板厚Tは、薄くなる程オゾンの発生量は少なくなるが、薄すぎると強度不足となるから、0.1mm以下、好ましくは0.05mm程度とする。
【0023】
放電部材5の突起状電極12、特にこの突起状電極12の放電端12aを含む図2の(b)に斜線で示す先端部分は、コロナ放電を行うことにより酸化されるとともに微塵が付着し、これによっても放電むらの原因になる。したがって、酸化を抑制して微塵の付着を防止し、これによって耐久性を持たせ、放電の安定性を図ることが望ましい。この耐久性の向上は、耐蝕性、耐熱性を向上させれば達成できることから、放電端12aを形成する導電部材は、耐熱製、耐蝕性の観点から、鉄にクロムとニッケルを含有させた合金が良好で、さらに耐熱性、耐蝕性を向上させるために、モリブデンを含めてもよい。
【0024】
材料の成分割合で言えば、Cr16〜20(%)、より好ましくは16〜18(%)、Ni8〜15(%)、より好ましくは10〜14(%)含有させる。これらは余り多く入れると引っ張り強さや硬度を損なうとともに製造コストも増加する。またモリブデン(Mo)を含めるときは、2〜3(%)程度含有させる。
【0025】
余り入れすぎると電気抵抗が増加して電源4への負担となる。なお、放電部材5としては、この他、銅板等の導電性部材にニッケルメッキ等の耐蝕処理を施したものも考えられる。
【0026】
放電部材5の突起状電極12、特に、少なくとも放電端12aを含む先端部の部分を、オゾン発生量の低減、耐久性の向上、放電安定性向上の目的から、図2の(c)に示すように電気的に高抵抗の材料11(例えばセラミックスのような誘電体材料)で被覆してもよい。このよな誘電材料は好ましくはセラミックス材料で、中でもガラス、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ等が好ましい。この場合の被覆膜厚tは、それが余り大きくなると誘電電圧が大きくなってスパークが発生し易くなるから、0.1mm以下、好ましくは0.01mm以下とする。このような被覆膜の形成には、蒸着、材料塗布、チューブ材の被せ付けなどを適宜採用できる。
【0027】
突起状電極12が図4に示す各形状の放電端12aの形状を持つような放電部材5であっても、突起状電極12の少なくとも放電部材6を含む先端部分に、図5に示すように電気的に高抵抗の材料11を被覆することで同様の効果を得ることができる。
【0028】
放電部材5に接続される放電用の電源4は、オゾン発生量の低減と、放電安定性の向上を目的として少なくともAC電圧成分を含む放電電圧を印加できるものとする。印加する交流電圧の周波数が高くなるほどオゾン発生量は少なくなるが、周波数を高くすれば漏れ電流が増加することから周波数は400Hz以上、1.5KHz以下とする。また、放電電流のプラス側およびマイナス側の成分の和が零に近くなるほどオゾンの発生量は少なくなるので、電流成分の和は−200μA〜+100μAの範囲とする。
【0029】
グリッド電極6は、グリッド線6aが図3の(b)、(c)に示すように、図3の(a)に示す突起状電極12の配列方向と同じ方向に配列されたもので、例えば、導電性枠体に導電性ワイヤを張架することにより簡易に得られるし、導電性薄板状金属板をメッシュ状にエッチング加工やプレス加工することによっても容易に得られる。グリッド電極6の開口率はグリッド電極有効部の金属専有面積と空口面積との比で与えられるが、メッシュ状グリッド電極については一般に、図3の(b)、(c)を参照してグリッド電極の長手方向における開口幅をD、グリッド線6aの線幅をLとした際、D/(D+L)で容易に与えられる。開口率は、低すぎると感光体ドラム1等の被帯電部材に十分に電荷を与えることができず、帯電効率が低下する。また高すぎても、感光体ドラム7等の被帯電部材への漏れ電流が増加することから、帯電補償能が低下し好ましくない。グリッド開口幅Dは大きすぎると、感光体ドラム1等の被帯電部材の帯電電位むらとなり好ましくない。
【0030】
〔感光層表面の負荷長さ率〕
本発明者等は、前記突起状電極を用いた画像形成装置において、感光体表面の粗さ曲線に着目し、突起状電極の突起間隔Pと感光体表面の粗さ曲線における負荷長さ率Rmr(c)との関係を見出し本発明に至った。
【0031】
即ち、本発明においては、突起間隔Pを基準長さlrとして測定した感光体表面の粗さ曲線の切断レベルcが20(%/μm)における負荷長さ率Rmr(c)が、1%以上、20%以下であることが好ましい。更に好ましくは、5%以上、15%以下である。
【0032】
突起間隔を基準長さlrとして、突起間隔の整数倍にあたる表面粗さの情報を得ることにより、突起間隔内における感光体表面の凸部の割合、すなわち負荷長さ率Rmr(c)が得られる。また、切断レベルcを20(%/μm)とすることによって、負荷長さ率と画像品質(放電ムラや中抜け等)との相関を得ることを実験により導き出した。そして、切断レベルcが20(%/μm)における負荷長さ率Rmr(20)を1%以上、20%以下にすることで、使用環境や長期使用時においても帯電リークによる白地部への黒点状の欠陥や、放電ムラによるハーフトーンのスジ故障がない良好な画像を得ることができた。
【0033】
この理由としては、負荷長さ率を20%以下にすることで感光体の凸部の割合が高すぎず、突起状電極を用いた画像形成装置において、凸部への集中放電が特に高湿環境で発生することがないこと、また、負荷長さ率を1%以上にすることで、本発明の感光体に滑剤を供給する手段を有する画像形成装置において、滑剤の感光体への移行を十分に確保することができるために、転写時の中抜けのないこと等が考えられるが、詳細な解析には至っていない。
【0034】
(負荷長さ率Rmr(c)の測定)
本発明におけるRmr(c)は、粗さ曲線の負荷長さMl(c)の評価長さに対する比を意味し、下記数式において負荷長さ率Rmr(c)とは、切断レベルc(%/μm)における輪郭曲線要素の負荷長さMl(c)の評価長さに対する比として表され、単位は(%)である。
【0035】
【数1】

【0036】
即ち、図2において、切断レベルcにおける各ピークの幅Mlを合計し、評価長さlnで除した値が、本発明における負荷長さ率Rmr(c)である。
【0037】
なお、切断レベルcは、対象となる断面曲線の山の頂点(最大山高さ)での値を0%、谷の頂点(最大谷深さ)での値を100%とした時の、最大山高さ+最大谷深さ=最大断面粗さRt(μm)に対する割合である。
【0038】
測定機は表面粗さ計「サーフコム1400D」(東京精密社製)で測定した。但し、誤差範囲内で同一の結果を生じる測定器であれば、他の測定器を用いてもよい。
【0039】
表面粗さの測定条件
基準長さlr :突起間隔P
カットオフ波長λc :突起間隔P
評価長さln :lrの5倍
切断レベルc :20%/μm
触針先端形状 :先端角度60°円錐
触針先端半径 :2μm
測定速度 :0.3mm/sec
測定倍率 :10000倍
尚、測定は各試料とも軸方向に均等間隔で3点、(感光体の最大画像形成幅の中央部とそれから幅方向に±75mmの位置)、周方向に均等角度(120°)で3点の合計9点測定し、その平均値を本発明で定義する負荷長さ率Rmr(c)とする。
【0040】
負荷長さ率を調整する手段としては、表面層や中間層への微粒子添加、表面層のサンドブラスト等による表面加工等が挙げられるが、本発明では、導電性支持体の表面加工で調整することが好ましい。
【0041】
〔導電性支持体〕
本発明の円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になることも考えられる。
【0042】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0043】
本発明の支持体は精密旋盤を使用し、切削バイトによって加工される。
【0044】
切削バイトとして、荒加工では通常多結晶ダイヤモンド焼結体が用いられ、仕上げ加工としては単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンド焼結体からなるバイトを用いる。単結晶ダイヤモンドからなるバイトとしては、ノーズ形状は平、Rのどちらを用いても良く、R形状の場合ノーズの丸みの半径は10〜30mm程度のものを使用することが好ましい。多結晶ダイヤモンド焼結体からなるバイトとしては、ノーズ形状は平,Rのどちらを用いても良いが、粒度が0.2μm以上15μm以下のものを用い、切削バイトの切削面における研磨仕上げ粗さは最大粗さRtで0.3μm以上2.0μm以下となるように研磨することが好ましい。切削バイトの切削面の最大粗さRtは、表面粗さ計「サーフコム1400D」(東京精密社製)により測定される。切削バイトの研磨は、工具研磨盤に取り付けたダイヤモンドホイールによって研磨されることが好ましい。
【0045】
また、切削送り速度vは最小値として好ましくは100μm/rev以上、更に好ましくは150μm/rev以上、最大値として好ましくは600μm/rev以下、更に好ましくは450μm/rev以下の範囲で設定される。
【0046】
導電性支持体の表面粗さは、JIS B0601:2001の最大断面粗さRtで1μm〜5μmが好ましい。
【0047】
〔滑剤の供給〕
本発明では、感光体表面に滑剤を供給する。
【0048】
本発明の負荷長さ率Rmr(c)が、1%以上、20%以下の表面粗さを有する感光体を用いた時に、感光体表面に滑剤を供給することで、感光体表面に滑剤が過度に塗布されること無く適量が均一に塗布され、クリーニング性や転写性が向上する。
【0049】
本発明に使用される滑剤は感光体にどの様な供給手段により供給されてもよい。感光体に個体の滑剤を直接押し付ける方法、トナー中に添加する方法またはトナーに外添する方法が代表的な方法であるが、本発明においてはトナーに外添する方法が添加量や種類により塗布量をコントロールしやすいことから特に好ましい。
【0050】
滑剤の具体例としては、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等、高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0051】
滑剤の添加量は、トナー全体に対して0.25質量%以上、1.0質量%以下が好ましい。この範囲にすることで、感光体への塗布量が適正になり、転写性が良好になる。
【0052】
滑剤の添加方法は、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの混合装置を使用する方法が挙げられる。
【0053】
〔電子写真感光体の構成〕
本発明の電子写真感光体は有機感光体が好ましい。本発明の表面層は、有機感光体の電荷輸送層である。
【0054】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能のいずれか一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0055】
有機感光体の層構成は、特に限定はないが、電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層とその上に必要により、保護層を塗設した構成をとるのが好ましい。
【0056】
〔中間層〕
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることもできる。
【0057】
本発明においては導電性支持体と感光層との接着性改良、或いは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に中間層(下引層も含む)を設けることもできる。該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0058】
又、本発明に好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
【0059】
又、本発明に好ましく用いられる中間層としては疎水化表面処理を行った酸化チタン微粒子(平均粒径が0.01〜1μm)をポリアミド樹脂等のバインダーに分散させた中間層が挙げられる。該中間層の膜厚は、1〜15μmが好ましい。
【0060】
〔感光層〕
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0061】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
【0062】
〔電荷発生層〕
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0063】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.3°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θで、少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に特徴的な回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料、同2θで、少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に特徴的な回折ピークを有するクロルガリウムフタロシアニン顔料、同2θで、少なくとも6.8°、12.8°、15.8°、26.6°の位置に特徴的な回折ピークを有するガリウムフタロシアニン顔料、同2θで、12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
【0064】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0065】
〔電荷輸送層〕
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。
【0066】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.25(eV)以下である。
【0067】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0068】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアレート樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等が挙げられる。又、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。特にポリカーボネートが電子写真特性(帯電性、感度等)を良好に保つ上で好ましい。
【0069】
〔その他の添加剤等〕
電子写真特性(帯電性、感度等)を良好に維持する為には、酸化防止剤等を存在させる方がより好ましい。その代表的なものは有機感光体中ないしは有機感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。代表的には下記の化合物群が挙げられる。
【0070】
【化1】

【0071】
【化2】

【0072】
【化3】

【0073】
【化4】

【0074】
中間層、感光層、保護層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0075】
次に本発明の電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお本発明の樹脂層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0076】
〔トナーの作製方法〕
トナーの製造方法としては、特に限定されるものではないが、乳化会合法による方法が好ましく用いられる。特にミニエマルジョン重合粒子を乳化重合によって多段重合構成とした樹脂粒子を会合(凝集・融着)する製造方法が好ましい。
【0077】
以下、ミニエマルジョン重合会合法によるトナーの作製方法の一例について詳細に説明する。このトナーの作製方法では、以下の工程を経て作製される。
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)離型剤を溶解/分散させた重合性単量体溶液を溶液媒体中で液滴化し、ミニエマルジョン重合して樹脂粒子の分散液を調製する重合工程
(3)含有する溶液媒体中で着色剤を分散させる着色剤分散工程
(4)溶液媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子を会合させて会合粒子を得る凝集・融着工程
(5)会合粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整しトナー粒子とする熟成工程
(6)トナー粒子の分散液を、冷却する冷却工程
(7)冷却されたトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を固液分離し、当該トナー母体から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(8)洗浄処理されたトナー粒子を、乾燥する乾燥工程
(9)乾燥処理されたトナー粒子に、外添剤を添加する工程
以下、各工程について説明する。
【0078】
(1)溶解/分散工程
この工程は、ラジカル重合性単量体に離型剤を溶解或いは分散させて、当該離型剤のラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
【0079】
(2)重合工程
この重合工程の好適な一例においては、界面活性剤を含有した溶液媒体中に、前記離型剤を溶解或いは分散したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤からのラジカルにより当該液滴中において重合反応を進行させる。尚、前記溶液媒体中に、核粒子として樹脂粒子を添加しておいても良い。
【0080】
この重合工程により、離型剤と結着樹脂とを含有する樹脂粒子が得られる。かける樹脂粒子は、着色された粒子であっても良く、着色されていない粒子であっても良い。着色された樹脂粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない樹脂粒子を使用する場合には、後述する凝集工程において、樹脂粒子の分散液に、着色剤粒子の分散液を添加し、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させることで着色粒子とすることができる。
【0081】
(3)着色剤粒子の分散工程
この工程は、界面活性剤を含有する溶液媒体中に着色剤粒子を添加し、分散装置を用いて着色剤粒子を溶液媒体中に分散させる工程である。
【0082】
着色剤粒子を分散する工程に用いられる分散装置としては、特に限定されず公知のものを用いることができる。好ましい分散装置としては超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機等を挙げることができる。
【0083】
尚、着色剤は表面改質されていても良い。着色剤の表面改質法は溶媒中に着色剤粒子を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応修了後、着色剤粒子を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤が得られる。
【0084】
本発明に記載の効果を更に好ましく得る観点から、トナー製造工程時、溶液媒体中に分散された着色剤の平均分散径が2〜300nmであることが好ましく、2〜200nmであることがより好ましい。着色剤の平均分散径は、化合物の種類や量、界面活性剤の量、分散装置の回転数、分散時間等により制御することができる。
【0085】
(4)凝集・融着工程
凝集工程は、重合工程により得られた樹脂粒子と着色剤粒子を用いて着色粒子を形成する工程である。又、当該凝集工程においては、樹脂粒子や着色剤粒子とともに、離型剤粒子や荷電制御剤などの内添剤粒子なども凝集させることができる。
【0086】
好ましい凝集方法は、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移温度以上であって、且つ前記離型剤の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで凝集を行う方法である。
【0087】
(5)熟成工程
熟成は、熱エネルギー(加熱)により行う方法が好ましい。
【0088】
具体的には、会合粒子を含む液を、加熱撹拌することにより、会合粒子の形状を所望の円形度になるまで、加熱温度、撹拌速度、加熱時間により調整し、トナー粒子とするものである。
【0089】
(6)冷却工程
この工程は、前記トナー粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
【0090】
(7)洗浄工程
この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却されたトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウェット状態にあるトナー粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物、熟成工程で用いたアルカリ剤を除去する洗浄処理とが施される。
【0091】
洗浄処理は、濾液の電気伝導度が10μS/cmになるまで水洗浄する。濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
【0092】
(8)乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥されたトナー粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理しても良い。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0093】
本発明に用いるトナーはいわゆる小粒径トナーであり、体積基準におけるメディアン径(D50)は、2.5〜7.0μmが好ましい。
【0094】
トナーの体積基準におけるメディアン径(D50)は、下記の測定方法にて測定して得られる。
【0095】
コールターマルチサイザー3(コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出する。
【0096】
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(コールター社製)の入ったビーカーに、測定器表示濃度が5%〜10%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出する。体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メディアン径とする。
【0097】
次に、トナー粒子を構成する材料について説明する。
【0098】
〔トナー結着樹脂〕
結着樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレン或いはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独或いは組み合わせて使用することができる。
【0099】
又、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが更に好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0100】
更に、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0101】
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
【0102】
又、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0103】
(連鎖移動剤)
樹脂の分子量を調整するためには、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。用いられる連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばn−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素及びα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
【0104】
〔着色剤〕
本発明に用いられる着色剤は、特に限定はなく一般に使用されている着色剤を使用することができる。
【0105】
尚、これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用しても良い。又、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのが良い。
【0106】
〔離型剤〕
本発明に用いられる離型剤は、公知の化合物を用いることができる。
【0107】
このようなものとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
【0108】
トナーに含有される離型剤の量は、トナー全体に対し1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
【0109】
〔荷電制御剤〕
本発明に係るトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
【0110】
〔現像剤〕
本発明のトナーは、一成分現像剤、二成分現像剤として用いることができる。
【0111】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1μm〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも使用することができる。
【0112】
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の磁性粒子を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記キャリアの粒子径は、質量平均粒子径で20〜100μmが好ましく、20〜70μmがより好ましい。
【0113】
キャリアの粒子径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0114】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂によりコートされているもの、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コート用の樹脂としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。これらの中では、スチレン−アクリル樹脂でコートしたコートキャリアが外部添加剤の離脱防止や耐久性を確保できより好ましい。
【0115】
〔外添剤〕
本発明に係るトナーには、通常外添剤が添加される。外添剤を構成する材料としては、金属酸化物、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、等が挙げられる。
【0116】
更に、上記金属酸化物に疎水化処理を行ったものでもよい。疎水化のための処理には、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤等の所謂カップリング剤によって疎水化処理することが好ましく、更に高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理することも好ましく使用される。トナー中の金属酸化物の添加量としては0.10〜10.0質量%が好ましく、更には0.50〜5.0質量%が好ましい。
【0117】
通常外添剤は、個数平均粒径が3.0〜300nmの粒子として添加されるものであるが、80〜300nm粒径のものと、より粒径の小粒径外添剤を併用しても構わない。
【0118】
個数平均粒径の測定方法としては、下記の如き方法がある。
【0119】
走査型電子顕微鏡にて3万倍写真を撮影し、この写真画像をスキャナーにより取り込む。画像処理解析装置LUZEX AP(ニレコ製)にて、該写真画像のトナー表面に存在する外添剤について2値化処理し、無機微粒子1種につき100個についての水平方向フェレ径を算出、その平均値を個数平均粒径とする。なお、無機微粒子がいくつかの凝集体としてトナー表面に存在する場合は、該凝集体を形成する一次粒子の粒子径を測定するものとする。
【0120】
〔転写紙〕
本発明に用いられる転写紙としては、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、或いは転写材といわれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
〔画像形成装置〕
次に、本発明の画像形成装置について説明する。
【0121】
図6は、本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【0122】
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体(中間転写媒体)ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0123】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
【0124】
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、回転する帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、像露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段5Y、5M、5C、5Bkより構成されている。
【0125】
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
【0126】
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、あるいは、帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Y(以下、単にクリーニング手段5Y、あるいは、クリーニングブレード5Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Yを一体化するように設けている。
【0127】
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
【0128】
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザ光学系などが用いられる。
【0129】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
【0130】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体と云う。
【0131】
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
【0132】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
【0133】
二次転写ローラ5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
【0134】
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
【0135】
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
【0136】
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bとから成る。
【0137】
本発明の画像形成方法は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【実施例】
【0138】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。又、文中の「部」は質量部を表す。
〔電子写真感光体の作製〕
下記の様に感光体1を作製した。
【0139】
円筒形アルミニウム支持体の表面を表1に示す仕上げ加工バイトを用いて切削加工し、表1に示す導電性支持体9種(F−1〜9)を用意した。
【0140】
なおこの時、荒加工は全てR形状(R10mm)、粒度5μmの多結晶ダイヤモンド焼結体からなるバイトを使用した。
【0141】
【表1】

【0142】
〈中間層〉
下記中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、中間層塗布液を作製した。
【0143】
バインダー:ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 1部
無機粒子:酸化チタン(数平均一次粒径35nm) 3部
溶媒:メタノール 10部
を混合し、分散機としてサンドミルを用い、バッチ式で10時間の分散を行い、中間層分散液を作製した。
【0144】
上記塗布液を用いて前記支持体(F−1)上に、乾燥膜厚1μmとなるよう塗布した。
【0145】
〈電荷発生層:CGL〉
電荷発生物質(CGM):Y型チタニルフタロシアニン 24部
バインダー:ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製)
12部
溶媒:2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(vol/vol) 300部
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0146】
〈電荷輸送層:CTL〉
電荷輸送物質(CTM):CTM−1 225部
樹脂:ポリアレート樹脂(例示化合物P−1) 300部
溶媒:テトラヒドロフラン/トルエン=4/1(vol/vol) 2000部
レベリング剤:シリコーンオイル「KF−50」(信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、110℃、70分の乾燥を行い、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0147】
【化5】

【0148】
(電子写真感光体2の作製)
電子写真感光体1の作製において、支持体をF−2に、電荷輸送層のバインダー樹脂を例示化合物P−2に代えた以外は同様にして、電子写真感光体2を作製した。
【0149】
(電子写真感光体3の作製)
電子写真感光体1の作製において、支持体をF−3に、電荷輸送層のバインダー樹脂を例示化合物P−7に代えた以外は同様にして、電子写真感光体3を作製した。
【0150】
(電子写真感光体4の作製)
電子写真感光体1の作製において、支持体をF−4に、電荷輸送層のバインダー樹脂を例示化合物P−8に代えた以外は同様にして、電子写真感光体4を作製した。
【0151】
(電子写真感光体5の作製)
電子写真感光体1の作製において、支持体をF−5に代えた以外は同様にして、電子写真感光体5を作製した。
【0152】
(電子写真感光体6の作製)
電子写真感光体1の作製において、支持体をF−6に代えた以外は同様にして、電子写真感光体6を作製した。
【0153】
(電子写真感光体7の作製)
電子写真感光体1の作製において、支持体をF−7に代えた以外は同様にして、電子写真感光体7を作製した。
【0154】
(電子写真感光体8の作製)
電子写真感光体2の作製において、電荷輸送層のバインダー樹脂を例示化合物P−9に代えた以外は同様にして、電子写真感光体8を作製した。
【0155】
(電子写真感光体9の作製)
電子写真感光体1の作製において、支持体をF−8に代えた以外は同様にして、電子写真感光体9を作製した。
【0156】
(電子写真感光体10の作製)
電子写真感光体1の作製において、支持体をF−9に代えた以外は同様にして、電子写真感光体10を作製した。
【0157】
【化6】

【0158】
〔実写評価〕
図2に記載の構成を有する市販のフルカラー複合機「bizhub PRO C500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)の改造機を用いて下記条件にて評価を実施した。
【0159】
画像評価は、上記評価機を用い、下記の各評価を実施した。
(放電ムラ)
高温高湿(30℃、85%RH)環境下で、オリジナル原稿をプリントした。
【0160】
10万枚プリント後、オリジナル画像で0.2の濃度のハーフトーン画像を0.2の濃度にコピー、コピー画像の品質を目視で判定した。
◎:画像欠陥がない良好なハーフトーン画像。
○:突起状電極に若干の汚れがあるが、ハーフトーン画像は実用上の問題はないレベル。
×:ハーフトーン画像にスジ状の画像欠陥が発生。
(文字画像の中抜け)
低温低湿(10℃、15%RH)環境下で、オリジナル原稿をプリントした。
【0161】
文字画像の3ポイント、5ポイントの文字をルーペで拡大観察し、文字画像の中抜けの発生状態を目視で評価した。
【0162】
評価基準
◎:5万枚目のプリントまで、3ポイント、5ポイントの文字共に中抜けの発生なし
○:5万枚目のプリントまで、3ポイントの文字に中抜けの発生なし
×:5万枚目のプリントで、3ポイント、5ポイントの文字共に顕著な中抜け発生あり。
【0163】
(画像ムラ)
低温低湿(10℃、15%RH)環境下で、オリジナル原稿をプリントした。
【0164】
10万枚プリント後、オリジナル画像で0.4の濃度のハーフトーン画像を0.4の濃度にコピー、コピー画像の濃度差(ΔHD=最大濃度−最小濃度)で判定した。
【0165】
評価基準
◎:ΔHDが0.05以下(良好)
○:ΔHDが0.05より大で0.1未満(実用上問題なし)
×:ΔHDが0.1以上(実用上問題あり)
【0166】
【表2】

【0167】
表2より、本発明の実験No.1〜8は、何れの評価項目でも問題なく高品質の画像が得られることが判る。一方比較の実験No.9〜13は、評価項目の何れかに問題が有ることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明における負荷長さ率Rmr(c)を説明する図。
【図2】本発明の一実施例のコロナ放電装置に用いる放電部材を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施例のコロナ放電装置に用いる放電部材およびグリッド電極と、これらを組み合わせたコロナ放電装置の全体構成を示す図。
【図4】図2の放電部材の各種の変形例を示す突起状電極部分の斜視図。
【図5】図4の放電部材の各種突起状電極部分に被覆を施した別の変形例を示す斜視図。
【図6】本発明を説明する画像形成装置の断面構成図。
【符号の説明】
【0169】
1 感光体ドラム
4 放電用電源
5 放電部材
6 グリッド電極
6a グリッド線
10 帯電装置
12 突起状電極
12a 放電端
P 突起間隔
c 切断レベル
ln 評価長さ
Rmr(c) 負荷長さ率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体、該感光体を突起状電極で帯電する帯電手段、潜像を形成する露光手段、潜像をトナーで現像する現像手段、該感光体に滑剤を供給する供給手段を有する画像形成装置において、該突起状電極の突起間隔Pが0.5mm以上、3.0mm以下であり、且つ、該突起間隔Pを評価長さlnとして測定した電子写真感光体表面の粗さ曲線における切断レベルc=20(%/μm)とするときの負荷長さ率Rmr(c)が、1%以上、20%以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記感光体に滑剤を供給する手段が、滑剤を外添したトナーであり、且つ、該トナーへの滑剤の添加量がトナー全体に対して0.25質量%以上、1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体、該感光体を突起状電極で帯電する帯電手段、潜像を形成する露光手段、潜像をトナーで現像する現像手段、該感光体に滑剤を供給する供給手段を有する画像形成装置に用いられる電子写真感光体であって、該突起状電極の突起間隔Pが0.5mm以上、3.0mm以下であり、且つ、該突起間隔Pを評価長さlnとして測定した電子写真感光体表面の粗さ曲線における切断レベルc=20(%/μm)とするときの負荷長さ率Rmr(c)が、1%以上、20%以下であることを特徴とする電子写真感光体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−150966(P2009−150966A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327033(P2007−327033)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】