説明

画像形成装置に内蔵の用紙後処理装置および画像形成装置

【課題】小型の画像形成装置の胴内に配置する用紙後処理装置においても、用紙後処理装置に内蔵されその大型化を極力招かずに、綴じ機能を発揮すべきときにステープルユニットを所定位置に配置して複数箇所の綴じ機能を有するステープル機能が発揮でき、必要の無いときにはステープルユニットがコンパクトに収納された用紙後処理装置の充実化を図ること。
【解決手段】画像形成する際の最大の大きさを用紙サイズでA4サイズとする画像形成装置本体内に備えられ、前記画像形成装置本体からの画像が形成されたシート状の部材を搬入して後処理を行う用紙後処理装置であって、前記用紙後処理装置は前記用紙後処理装置を移動させる移動手段と、ステープルユニットと、前記移動方向に伸長可能な搬送路を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機などの電子写真方式の画像形成装置に内蔵される用紙後処理装置であり、画像形成装置により画像が形成されたシートに穿孔したり所定枚数で仕分けしたり整合したり重ねたり綴じ処理する機能を有する用紙後処理装置に関し、またこれを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の多機能化に伴い、画像が形成された用紙を後処理する用紙後処理装置の開発が進んでいる。このような用紙後処理装置の機能としては、例えば、ステープル機能、パンチ穴開け機能、製本機能等が挙げられる。これら、いずれの機能を有する用紙後処理装置も前記機能を発揮するための処理機構が大型化し、用紙後処理装置を画像形成装置の外部に配置しなければならなかった。
【0003】
一方、用紙後処理装置自体をコンパクトに構成し、用紙後処理装置を画像形成装置の外部にではなく、画像形成装置内に配置した、いわゆる、胴内用紙後処理装置が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、用紙後処理装置を、原稿読取部と印字部と給紙部とによって形成される空間に設けて、上述のような問題点の解消を図ろうとしている。
また特許文献2には、本願出願人による、いわゆる、胴内用紙後処理装置の発明が開示されている。
【0004】
このような胴内用紙後処理装置は、画像形成装置内の限られた空間に設けられている影響で限られた機能しか備えられなかいという問題点がある。また胴内配置であっても本来の目的とする機能を発揮しなくてはならない場合には画像形成装置本体の胴内に収まりきれずに外部へはみ出す。このように、画像形成装置の置かれたスペース内に収まらずに、完全な胴内配置とは言えないものであった。特に、A4サイズまでしか対応しない小型の画像形成装置の場合に、配置する用紙後処理装置に備わる機能はさらに限定されてしまう。例えばステープル機能を付加する場合、そのステープルユニットの小型化にも限界があるため、そのステープルユニットを移動させて複数個所を綴じる処理などの機能を付与することができない。このように小型の画像形成装置では、その胴内配置の用紙後処理機能の付加には、大型化を極力招かずに、ステープル機能の充実化を実現することができないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、小型の画像形成装置の胴内に配置される場合でも、用紙後処理装置に内蔵されその大型化を極力招かずに、綴じ機能を発揮すべきときにステープルユニットを所定位置に配置でき、必要の無いときにはコンパクトに収納される用紙後処理装置の充実化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した従来技術における課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を提供することを特徴としている。
(1) 画像形成装置本体内に備えられ、前記画像形成装置本体からの画像が形成されたシート状の部材を搬入して後処理を行う用紙後処理装置であって、前記用紙後処理装置は前記用紙後処理装置を前記画像形成装置本体内で移動させる移動手段と、ステープルユニットと、前記移動手段の移動に追随して伸縮する搬送路を有することを特徴とする。
(2) 前記(1)に記載の用紙後処理装置において、前記ステープルユニットは、前記移動手段により前記用紙後処理装置の移動により設けられた前記画像形成装置本体内の空間に配置するための回転台に載置されることを特徴とする。
(3) 前記(1)または(2)に記載の用紙後処理装置において、さらに前記移動手段を制御する制御部を有し、前記制御部は前記画像形成装置の操作部または前記画像形成装置と接続されたユーザ端末からのステープル処理要求の有無から前記ステープルユニットの使用の有無を判断し、前記移動手段を制御することを特徴とする。
(4) 前記(1)〜(3)いずれかに記載の用紙後処理装置において、前記制御部は、前記ステープルユニットの使用の有無または用紙詰りの検知の判断の結果、前記ステープルユニットを使用しないと判断した場合には、前記ステープルユニットを稼動しないことを特徴とする。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載の用紙後処理装置を内蔵する画像形成装置であって、前記制御部は画像形成装置の制御部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
小型の画像形成装置の胴内に配置する用紙後処理装置においても、用紙後処理装置自体の大型化を招かず、複数箇所の綴じ機能を有するなどのステープル機能の充実化を実現することができる。
ステープルユニットを初期状態で使用可能な場合、またはステープルユニットを使用しないときにはステープルユニットはコンパクトな状態を保ち、ステープルユニットを複数個所に綴じ機能を発揮するときなどは胴内用紙後処理装置全体を移動してステープルユニットの移動空間を設けるように空き空間を確保して、この画像形成装置の空き空間でステープル機構が所定位置に展開し、またジャムが発生した際にもステープル機構を展開することなく前記開き空間を確保でき、かつユーザフレンドリーな対応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成の概略について説明する図です。
【図2】本発明の用紙後処理装置の構成を説明するための図であり、本発明の用紙後処理装置は、シフト手段、及びステープルユニット(綴じ機構)を備える。
【図3】本実施形態に用紙後処理装置のステープルユニット、及びステープルユニットの移動手段の構成について説明する図である。
【図4】本実施形態における画像形成装置100と用紙後処理装置200の制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】具体的な用紙後処理装置とステープルユニットの移動動作について説明するための用紙後処理装置を主として示した図である。
【図6】制御部でのステープル処理かジャム処理かを行う処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の用紙後処理装置を、実施の形態により説明する。具体的には、電子写真方式の画像形成装置に装備される胴内用紙後処理装置は、以下の特徴を有する。本実施形態の用紙後処理装置は、画像形成する際の最大の大きさをたとえばA4サイズとする、胴内空間が狭い画像形成装置に設けられ、胴内の用紙後処理装置が必要な時のみにスライドして、その内部にステープルユニットが移動できる空間を設け、かつ画像形成装置の排紙部に繋がる胴内用紙後処理装置の搬送部が伸張して搬送可能な状態を保つことができる。このため、斜め綴じあるいは、2ヶ所綴じなどの複数箇所の綴じ機能を実施する動作モード時のみ、胴内用紙後処理装置をスライド移動して画像形成装置からの用紙の後処理を行い、それ以外のときはコンパクトな状態を保ちながら使用することができる特徴を有している。
【0010】
上記特徴について、以下の図面を用いて具体的に説明する。
図1に、本実施形態の用紙後処理装置を有する電子写真方式の画像形成装置の概略構成を示す。
同図において、本実施形態に係る画像形成装置は、画像形成装置本体100、用紙後処理装置200、及び画像読み取り装置300から構成されている。
【0011】
画像形成装置本体100としては、たとえば間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置を挙げて、以下に説明する。図1に示す例において、画像形成装置100のほぼ中央部に4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒)の作像ステーション111が配置された作像部110を有する。その他、この作像部110の下方に隣接して設けられた光書き込み部(図示無し)、作像部110の下方に設けられた給紙部120、給紙部120でピックアップされた用紙を2次転写部140及び定着部150に搬送する給紙搬送路(縦搬送路)130、画像が定着された用紙を用紙処理装置200側に搬送する排紙経路160、一面に画像が形成された用紙を反転し、他面に画像形成させるための両面搬送路170を備えている。
【0012】
作像部110は、前記作像ステーション111の前記YMCK各色用の感光体ドラムと、この感光体ドラムの外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニットと、感光体ドラムに形成された画像を1次転写ユニットによって中間転写する中間転写ベルト112と、感光体ドラムに各色毎に画像を書き込む光書き込みユニットとを備えている。光書き込みユニットは、作像ステーション111の下側に配置され、中間転写ベルト112は作像ステーション111の上側に配置されている。
【0013】
中間転写ベルト112は複数の支持ローラによって回転可能に支持され、そのうちの1つの支持ローラ114は2次転写部140で中間転写ベルト112を介して2次転写ローラ115と対向し、中間転写ベルト112上の画像を用紙に2次転写できるようになっている。
なお、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置およびその画像形成プロセスは公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0014】
給紙部120は給紙トレイ121、ピックアップローラ122、給紙搬送ローラ123を備え、給紙トレイ121からピックアップした用紙を縦搬送路130に沿って上方に送り出す。
送り出された用紙は2次転写部140で画像が転写され、定着部150に送られる。
定着部150は定着ローラと加圧ローラを備え、用紙が前記両者ローラ間のニップを通過する過程で、加熱及び加圧が行われ、トナーが用紙に定着される。
【0015】
定着部150の下流には、排紙搬送路160と両面搬送路170が設けられ、分岐爪161によって2方向のどちらかの搬送路かに用紙を分岐し、用紙後処理装置200側に搬送される搬送路と、両面搬送路170に搬送される搬送路との搬送路に用紙の搬送が選択される。
なお、分岐爪161の用紙搬送方向上流側の直近には分岐搬送ローラ162が設けられ、用紙へ搬送力を付与している。
【0016】
本実施形態の用紙後処理装置200は、画像形成装置本体100の内部に配置され、画像形成装置本体100内の作像部と画像読み取り装置300との間の空間に設けられている。画像形成装置本体100から搬送された画像形成済み用紙に所定の処理を施し、最下流に位置する排紙トレイ203に積載するものである。用紙後処理装置200の搬入部は、画像形成装置本体100の用紙搬出部である配紙経路160と連結するような位置にあるように、用紙後処理装置200が前記した空間に設けられる。
この用紙後処理装置200の詳細については後述する。
【0017】
画像読み取り装置300は、コンタクトガラス上にセットされた原稿を光走査して原稿面の画像を読み取るものであり、公知のものを用いることができる。
この画像読み取り装置300自体の構成及び機能は公知であるので、前記同様、詳細な説明は省略する。
【0018】
大略前記のように構成された画像形成装置本体100では、画像読み取り装置300から読み取られた原稿データあるいは外部のPCなどから転送された印刷データに基づいて画像データを生成する。その画像データに基づいて光書き込みユニットから各感光体ドラムに光書き込みが行われて潜像が形成されそれが各色のトナーにより現像される。そして各作像ステーションで、各色毎に形成された画像(現像画像)が順次中間転写ベルト112に転写され、中間転写ベルト112上に4色の画像が重畳されたカラー画像が形成される。
【0019】
一方、給紙トレイ121から前記画像形成に応じて用紙が給送される。
用紙は、中間転写部140の直前の図示しないレジストローラの位置で一旦停止する。そして中間転写ベルト112上の画像先端とタイミングを合わせて送り出され、中間転写部140で2次転写され、定着部150へと送り込まれる。
【0020】
定着部150で画像が定着された用紙は、片面印刷の場合及び両面印刷の両面印刷後の場合には、分岐爪161の切り替え動作により排紙経路160側へ搬送され、両面印刷の場合には両面搬送路170側へ搬送される。
両面搬送路170に搬送された用紙は、反転後、最後中間転写部140に送り込まれて、他側の面に画像が形成された後、排紙経路160側に返送される。
排紙経路160側に搬送された用紙は、用紙処理装置200に搬送され、用紙処理装置200で所定の用紙処理を施し、あるいは、処理なしで排紙トレイ203に排紙される。
【0021】
図2は、本実施形態の用紙後処理装置200の構成例を示す図である。本発明の用紙後処理装置200は、シフト処理手段とステープルユニット(綴じ機構)とを備えている。
同図において、用紙後処理装置200は、用紙搬送方向上流側から入口ローラ対201、排紙搬送路202、シフトローラ対203、シフト排紙ローラ対204、ステープルトレイ219、叩きコロ211、戻しコロ214、基準フェンス220、ジョガーフェンス(整合板:搬送方向と直交する整合板)212、排紙ローラ206、及び排紙トレイ208から主に構成されている。
【0022】
すなわち、用紙後処理装置200の用紙受入れ部(搬入部)には画像形成装置100の排紙搬送路160から用紙を受け入れる入口ローラ対201、受け入れた用紙をシフトローラ対203側に搬送する排紙搬送路202、及び排紙トレイ208に用紙をシフトして排紙する機能を有するシフト処理手段としてのシフトローラ対203及びシフト排紙ローラ対204が設けられている。また入口ローラ対201、シフトローラ対203及びシフト排紙ローラ対204を回転させることによって排紙搬送路202に沿って用紙を搬送する。
【0023】
また、排紙搬送路202にはセンサ(図示せず)が配置され、用紙の先端と後端の検知、およびこのセンサによって検知された用紙の先端と後端の検知タイミング情報により各ローラ駆動モータの各用紙処理を行う際のタイミングをとっている。
なお、排紙搬送路202に沿って設けられた入口ローラ対201、シフトローラ対203、及びシフト排紙ローラ対204が搬送手段として機能する。
【0024】
排紙の動作は、用紙をシフトして排紙するシフトモードと、複数の用紙を綴じて排紙するステープルモードで異なる。以下にこれらの各モード毎の各部構成について説明する。
【0025】
1 シフトモード
シフトモードは、用紙を排紙する際に所定枚数毎に用紙搬送方向と垂直な方向に用紙の排紙位置をずらし、このずれにより用紙を仕分けするモードである。
【0026】
このようなシフトモードの際には、本実施形態の用紙後処理装置200では、シフトローラ対203、シフト排紙ローラ対204は、排紙搬送路202の下流に設けられ、不図示のシフトモータにより用紙搬送方向に対して垂直な方向に往復駆動される。
すなわち、シフトモードで用紙の仕分けを行う際、所定枚数毎に用紙搬送方向と垂直な方向に移動し、用紙の搬送方向を垂直な方向に移動した分だけずらして排紙トレイ208に排紙する。
【0027】
これにより排紙トレイ208に積載されたとき、前記所定枚数毎に排紙位置が交互にずれて積載され、用紙の仕分けが行われる。
また、シフト搬送ローラ対204の下流には排紙ガイド板205と排紙ローラ206が配置されている。
排紙ローラ206と、上下動可能な排紙ガイド板205は、排紙ローラ206と排紙ガイド板205に取り付けられた従動コロにより用紙を挟持して搬送し、用紙を排紙トレイ208へと排紙し、排紙トレイ208上に積載する。
【0028】
排紙トレイ208の用紙後処理装置200本体部への取り付け部には、排紙トレイ208上に積載された用紙を押えるための用紙押え209が配置され、ソレノイド218のON/OFFにより用紙押え解除動作と用紙押え動作が行われる。
すなわち、用紙の搬送にあわせてソレノイド218をONして用紙押え209の押圧動作を解除し、用紙が排紙ローラ206を通過したらソレノイド218をOFFして用紙押えを行う。
【0029】
排紙トレイ208は、搬送方向下流側の固定トレイ部208aと上流側の可動トレイ部208bを備え、可動トレイ部208bはトレイDCモータ221aおよびカム・リンク機構221bにより上下動する。固定トレイ部208aは「へ」字状に途中、支軸221Cで折れ曲がって構成された板状部材である。この板状部材の折れ曲がる支軸221Cの支点に、可動トレイ部208bが繋がる。これにより、排紙方向に対して用紙後処理装置本体200Aから伸び、なだらかに上方向に一直線状に傾斜したものとなる。また固定トレイ部208aと可動トレイ部208bとが固定トレイ部の支軸221Cで繋がることにより三角形が形成されてトレイの強度が保持される。
可動トレイ部208bは上流側の端部が回動端となって支軸221cを介して固定トレイ部208aに揺動可能に軸支され、カム・リンク機構221bの作動端がこの可動トレイ208bに連結されている。
【0030】
これにより、トレイDCモータ221aが回転し、この回転に応じて可動トレイ部208bが前記支軸221cを中心に揺動する。
この可動トレイ208bは、排紙された用紙枚数が一定枚数に達すると、後述の制御部からの指令によりトレイDCモータ221aが回転し、可動トレイ部208の自由端を下降させる。
【0031】
また、用紙押え209には不図示のトレイ紙面センサが配置され、用紙押え209が用紙押えを行っている状態でトレイ紙面センサがOFFであれば排紙トレイ203を紙面センサがONするまで上昇させる。また紙面センサがONしていれば紙面センサがOFFするまで排紙トレイ203を下降し、再度ONするまで上昇させることによって用紙が積載された排紙トレイの高さを一定に保つようになっている。
【0032】
このように、排紙トレイ208の用紙積載状態に応じて可動トレイ部208の自由端を上下させ、排紙ローラ206のニップ部から可動トレイ部208bの用紙積載部までの距離を一定に保つ。これにより、排紙ローラ206から排紙される用紙と可動トレイ部208bの接触角度を一定にし、排紙トレイ208に積載される用紙の揃え品質を安定させることができ、また多枚数の積載が可能となる。
以上の動作を繰り返すことにより排紙トレイ208上に仕分けされた用紙が積載されることになる。
【0033】
2 ステープルモード
ステープルモードは、用紙を排紙する際に所定枚数毎にステープラによって綴じて、排紙するモードである。
このようなステープルモードの際には、本実施形態の用紙後処理装置200では、排紙搬送路202の最下流の端部に設けられたシフト搬送ローラ対204と排紙トレイ208に排紙する直前に設けられた排紙ガイド板205との間には、不図示のステッピングモータにより上下方向に駆動される叩きコロ211が配置されている。
【0034】
叩きコロ211は上下動を行うレバー部分とコロ部分から成り、コロ部分は排紙モータ216により、用紙搬送方向と逆方向に回転駆動される。
ステープルモードでは、用紙後端がシフト搬送ローラ対204を通過したタイミングで叩きコロ211を下降させ、コロ部分で用紙を積載手段としてのステープルトレイ219に押し付け、さらにコロ部分を回転させて用紙後端が基準フェンス220に突き当たるまでスイッチバックさせる。
【0035】
また、基準フェンス220の上部には、不図示の入口モータで駆動される戻しコロ214が配置されており、用紙のスイッチバックの補助を行い、また用紙搬送方向の整合を行う。
この整合は、基準フェンス220に突き当てることにより、基準フェンス220を基準に行われる。
【0036】
用紙のスイッチバックが完了すると、ステープルトレイ219に配置されているジョガーフェンス212による用紙搬送方向と垂直な方向の用紙整合を行う。
ジョガーフェンス212は、固定部分と可動部分からなり、可動部分が用紙搬送方向と直交する方向に移動して用紙の端部を固定部分と挟むように移動し、用紙の端部に当接して用紙を基準位置に揃え、整合する。
その際、用紙の後端の一側の端面は、ステープル処理手段としてのステープラ215の綴じ針の打ち込み位置まで挿入され、指定枚数の用紙の搬送動作、スイッチバック動作、及び整合動作が完了した後、綴じ処理される。
したがって、本実施形態では、基準フェンス220及びジョガーフェンス212が整合手段として機能する。
【0037】
綴じ処理後、図2の点線で示すように排紙ガイド板205を下降させ、排紙ローラ206と排紙ガイド板205に取り付けられた従動コロにより用紙束を挟持し、排紙モータ216を駆動することによって用紙束を排紙トレイ208に排紙する。
用紙束の排紙を開始してから排紙モータ216を一定ステップ駆動した後、ソレノイド218をONして用紙押え209を解除し、さらに排紙トレイ208を一定量下降させる。
次いで、用紙束後端が図示しない束排紙センサを通過したタイミングで排紙ガイド板205を上昇させ、排紙モータ216を停止して次用紙の受入れに備える。
また、同じタイミングでソレノイド218をOFFして用紙押えを行う。
【0038】
図3は、本実施形態に係るステープルユニット215、及びステープルユニット215の移動手段217の構成について説明する図である。
同図は図2のステープルユニット215の下に位置するレール217の斜視図であり、画像形成装置内部では用紙搬送方向に対してレールの伸びる方向が直交するように配置されている。図3に示すステープルユニット215のA面がレールの伸縮方向に向いているのが、図2に示されているステープルユニット215の状態である。
【0039】
図3において、ステープルユニット215は、回転台222上に備えられており、不図示のステープル回転モータにより回転動作を可能としている。また、ステープルユニット215は回転台222と共に直線移動させるレール217上に備えられており、ステープル移動モータ223を駆動することでレール217に従って直線移動を可能としている。
【0040】
これにより、ステープルユニット215の綴じ針の打ち込み位置(ステープル綴じ位置)を変えることができ、回転台222を不図示のステープル回転モータによりステープルユニット215を回転させる。これによって、用紙に対して縦、横、斜めなどの多彩な方向の綴じ処理が可能となる。また、ステープル移動モータ223を駆動してステープルユニット215をレール217に沿って直線移動させることで、端綴じ、2箇所綴じなどの複数箇所の綴じ処理が可能となる。
【0041】
ただし、通常は移動手段230の上部には用紙後処理装置200があるため、ステープルユニット215が移動・回転できるのは、後述する図5に示すように用紙後処理装置200が用紙搬送方向下流へLの距離移動して、移動手段230(たとえばレール231)上部に空間を確保できたときのみとなる。なお図3に示すように、ステープルユニット215がステープル機能を発揮しないときにはステープルユニット215のA面が図の伸縮方向、換言すれば用紙搬送方向に直交する方向を向いており、その分、図2に示すように用紙後処理装置200は、用紙搬送方向が縮んでいる。このように用紙搬送方向にコンパクトに縮んでステープルユニット215が用紙後処理装置200内に収められていることになる。
【0042】
図4は本実施形態における画像形成装置本体100と用紙後処理装置200の制御部の構成を示すブロック図である。
同図において、画像形成装置100の制御はCPU411、ROM412、RAM413、不揮発RAM414、シリアルI/F415、タイマ416などを内蔵した画像形成装置制御部410によって実行される。
制御のためのプログラムはROM412に格納され、CPU411はこのROM412に格納されたプログラムを読み出しRAM413に展開し、制御に必要なデータをRAM413に記憶し、当該RAMをワークエリアとして使用しながら前記プログラムによって定義される制御を実行する。
画像形成装置制御部410には、感光体などの作像部110で使用されるモータ、給紙部120、給紙搬送路130、両面搬送路170における各種モータやクラッチなどの各種直流負荷450、各種交流負荷470、定着ローラの温度を検出する温度センサなどの各種センサ460が接続されている。
また、画像読み取り装置300、及び操作表示部440が接続され、画像形成装置制御部410を介して各部が制御される。
【0043】
一方、用紙後処理装置200の制御は、CPU401、ROM402、RAM403、シリアルI/F404、タイマ405などを内蔵した用紙後処理装置制御部400によって実行される。
制御のためのプログラムはROM402に格納され、CPU401は格納されたプログラムを読み出しRAM403に展開し、制御に必要なデータをRAM403に記憶し、当該RAMをワークエリアとして使用しながら前記プログラムによって定義される制御を実行し、各種直流負荷420の制御を行っている。
【0044】
画像形成装置100と用紙後処理装置200は、シリアルI/F415および404を介して用紙搬送制御に必要なコマンドをやり取りし、用紙後処理装置200では該コマンドおよび各種センサ430から得られる用紙位置情報により、用紙搬送制御および後処理を行う。
【0045】
図5は図3に示すような左端部に位置したステープルユニット215が、この位置で図2の位置、すなわち図3に示すステープルユニット215のA面が伸縮方向に向いている位置から90°反時計回り方向に回転動作して、ステープルユニット215を自在に動作させるようにした場合の概略図である。
【0046】
前記したように通常、図2に示すようにステープルユニット215は、図3に示すA面が伸縮方向を向き、用紙搬送方向に対して図2に示すようにジョガーフェンス212の固定部側(図5の手前側)に、綴じ処理を施すステープル口部215mが位置している。このように搬送方向に対してステープルユニットはコンパクトに配置されている。またステープルユニット215を自在に動作させる場合には、排紙されてきた用紙端に対してその斜め綴じや、用紙後端側の2ヶ所綴じなどのステープル処理要求に従い、ステープルユニット215が、用紙後端を揃える後端基準フェンス220と画像形成装置本体の排紙部160dとの間に入り込んでステープル処理が行えるようにする。このようにステープルユニット215が所定位置に位置することにより、ユーザからの要求に従い綴じ処理(ステープル処理)を行う。
【0047】
そのためステープルユニット215に対しては図2に示すステープルユニット215の位置から回転台222を反時計回りに45°回転させて斜め綴じ処理を施したり(図3参照)、90°回転させながらさらにレール229の上を移動させて用紙後端部のたとえば2ヶ所綴じ処理を行うことが可能となる。
【0048】
このようにするには、用紙後処理装置200が図2の位置で、ステープルユニット215が回転すると画像形成装置100の排紙部に干渉するため、本実施形態では、まず用紙後処理装置200を移動手段230により用紙搬送方向下流(図2の左方向)側へLの距離だけ移動させる(図5参照)。すなわちステープル機能を発揮する場合には、用紙後処理装置全体がLだけ動いて形成された画像形成装置本体の排紙部160dと入口ローラ対201との間に空間Lを設けるように用紙後処理装置200全体が用紙後処理移動手段230により移動する。
【0049】
なおステープルユニット215を図2に示す位置で用いることもでき、この場合には前記した制御部では、ユーザの画像形成装置からの操作部またはユーザ端末からの要求がステープルユニット215を移動せずに実行できるかを判断する。実行できると判断した場合には用紙後処理装置200の移動処理をせずにステープル処理を実行することができる。
【0050】
ここで移動手段230として、例えば図5ではレール231とコロ232によるスライド移動による例を挙げているが、他に、スライドレールの延伸と収縮、ベルト駆動、スライドレールとベルト駆動との組み合わせによる移動などの構成でもよい。
【0051】
図5に示す距離Lはステープルユニット215が図2に示す位置から90°回転して排紙部と用紙後処理装置200の間に入り込むことができる空間を確保し、回転台222上でステープルユニット215を90°回転可能に設けたものである。このときに搬送部202も距離Lの分だけ用紙後処理装置200の移動に追随させて伸張させることになる。
【0052】
図2と図5との搬送部202を比較すると、搬送部202は2つの搬送ガイド板が重なって構成されており、用紙後処理装置200を距離L移動させると、外側の搬送ガイド板(第1の搬送路)202aと内側の搬送ガイド板(第2の搬送路)202bとの重なり部分の少なくとも1部が離れて搬送路が延伸し搬送部220の搬送長さをLの距離だけ増加させることができる。これにより、用紙後処理装置200はステープルユニット215の移動空間を確保するために距離L移動し、この状態で用紙後処理装置200を動作させることができる。
【0053】
あとは制御部においてオペレータ操作指示の通りの綴じ処理(ステープル実行処理)を施し、全て処理が終了したら用紙後処理装置200を、再度後処理移動手段230により、元の位置に戻す。
【0054】
これらの移動制御はCPUなどで構成される制御部400(または410)によって行われるが、どちらの制御部で実行しても構わない。
また、胴内用紙後処理装置200の搬送部202でジャムが発生した場合も同様である。すなわち用紙後処理装置200を移動手段230により移動させて、ステープルユニット215の移動空間をジャム処理空間としてオペレータが胴内後処理装置200の内部にアクセスすることで、ジャム処理の容易性を高めることが可能である。
【0055】
このようなステープル処理かジャム処理かを行う制御部でのフローを、図6を用いて以下に説明する。
移動空間が上記したジャム処理空間であるか、ステープル処理空間であるかを決める制御部におけるフローは、まず、このフローが開始されると、用紙後処理装置本体200AをLの距離移動させる(ステップS1)。この用紙後処理装置本体200Aの移動が終わるのを確認し(ステップS2/Yes)、制御部ではステープル処理の実行か、否かを判断する(ステップS3)。
【0056】
ステープル処理であると判断するとオペレータからのステープル処理内容に従ってステープル処理を実行し(ステップS3/Yes→ステップS4)、ステープル処理でないと判断するとジャム処理に従い、どの箇所に紙が詰まっているかを画像形成装置本体100の表示部に示し、ジャム処理の実行がされているかをジャムが発生した各部におけるセンサで検知する(ステップS3/No→ステップS8)。そしてそれぞれの処理が終了したのを確認し(S4→S5またはS8→S5)、終了していれば用紙後処理装置本体200Aを元の位置に戻す処理を行い確認後終了し(S5/Yes→S6→S7/Yes→終了)、終了していない場合には終了するまで確認し(S5/No→S5のループ)、その後、用紙後処理装置本体200Aを元の位置に戻す処理を行い確認後終了する。なお上記したようにこれらの制御は、画像形成装置本体内の制御部410または用紙後処理装置200内の制御部400のどちらで行ってもよいが、ジャム処理における画像形成装置100の表示部(440など)での表示、およびジャム処理の終了の確認に関しては、原則的には画像形成装置本体内の制御部410で行われるものとしている。
【0057】
以上説明したステープル処理かジャム処理かは、制御部により、画像形成装置本体100の操作部あるいは画像形成装置と接続されたパーソナルコンピュータなどのユーザ端末からのステープル処理の入力の有無が検知されることによって判断される。この判断によって図6に示されるステープル処理か否かの判断のステップS3が行われるため、ステップS1、S2の後でS3を行わずにステープル処理S4以降を行うことになる。
【0058】
また制御部では、搬送の途中に設けられるセンサによってジャムが発生しているのを検知して、ジャム処理を行なうように画像形成装置本体100の表示部に表示する。これによって、ユーザにジャム処理を行うように報知し、また制御部ではジャム処理であると判断する。このようなジャム処理の場合、制御部では、用紙後処理装置200の移動を行う必要があるか否かを判断し、行う必要が有ると判断した場合には、図6における用紙後処理装置本体200Aを移動する処理S1を実行し、所定位置か否かを判断するS2処理を行った後にS3の処理を省略してS8以降の処理を行うこともできる。なおこのようなジャム処理において、制御部では用紙後処理装置本体200Aの移動を必要としないと判断した場合には、従来のジャム処理が実行されることになる。
【符号の説明】
【0059】
100 画像形成装置本体
160d 画像形成装置の排紙部
200 用紙後処理装置
200A 用紙後処理装置本体
201 入口ローラ対
202 排紙搬送路
202a 第1の排紙搬送路
202b 第2の排紙搬送路
212 ジョガーフェンス
215 ステープルユニット
215m ステープルユニットの口部
217 レール(綴じ処理のためのステープル移動レール)
220 後端基準フェンス
222 ステープルユニット回転台
230 移動手段
231 レール
232 コロ
400 用紙後処理装置制御部
410 画像形成装置制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2003−335449号公報
【特許文献2】特開2009−63832号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体内に備えられ、前記画像形成装置本体からの画像が形成されたシート状の部材を搬入して後処理を行う用紙後処理装置であって、
前記用紙後処理装置は前記用紙後処理装置を前記画像形成装置本体内で移動させる移動手段と、
ステープルユニットと、
前記移動手段の移動に追随して伸縮する搬送路と、
を有することを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項2】
前記ステープルユニットは、前記移動手段により前記用紙後処理装置の移動により設けられた前記画像形成装置本体内の空間に配置するための回転台に載置されていることを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項3】
さらに前記移動手段を制御する制御部を有し、前記制御部は前記画像形成装置の操作部または前記画像形成装置と接続されたユーザ端末からのステープル処理要求の有無から前記ステープルユニットの使用の有無を検知し、前記移動手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の用紙後処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ステープルユニットの使用の有無または用紙詰りの検知の判断の結果、前記ステープルユニットを使用しないと判断した場合には、前記ステープルユニットを稼動しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の用紙後処理装置。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれかに記載の用紙後処理装置を内蔵する画像形成装置であって、前記制御部は画像形成装置の制御部であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−219236(P2011−219236A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91373(P2010−91373)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】