説明

画像形成装置の制御方法

【課題】ジョブ開始前に、画像形成装置の装置状態や、画像形成装置の画像情報の種類が決定している場合に、ファーストプリント時間を確実に短縮できる画像形成装置の制御方法を提供する。
【解決手段】ジョブ開始前にポリゴンミラー駆動モータを先行回転させて、前記ポリゴンミラー駆動モータを有する光走査手段によって潜像を形成する画像形成装置において、先行回転を開始する前に、カラートナーの有無を判別し(S604)、カラートナー無しと判別したときは、ブラックのポリゴンミラー駆動モータのみを先行回転させる(S605)ように制御する制御手段を備えた画像形成装置の制御方法により前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転多面鏡(ポリゴンミラー)を用いて感光体上に静電潜像の書き込みを行う画像形成装置の制御方法に関し、特にそのファーストプリント時間の短縮に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、複数種類の用紙に、高速、高画質、かつ高精度に画像形成することが求められている。特に、高速化の1つの手段として、光走査装置(光学系)として、レーザビームとレーザビームを偏向するための回転多面鏡(ポリゴンミラー)を駆動するポリゴンミラー駆動モータを用いているものが多い。
【0003】
このような画像形成装置においては、ユーザによるコピー開始キーやコンピュータからの印刷指示等により複写動作を開始する開始信号が入力されると、電子写真プロセス(帯電、転写など)に使用する高圧の立ち上げなどの初期動作を開始する。また、それと同期してポリゴンミラー駆動モータを停止状態若しくは低速回転している状態から画像形成するために必要な高速回転へ立ち上げ(変更し=速度を切り替え)、所定回転になった後に画像形成動作を行うといったシーケンスが用いられている。
【0004】
ポリゴンミラー駆動モータは、ポリゴンミラーを回転させるため慣性が大きく、安定した回転状態になるまで(立ち上がり)に時間がかかり、停止状態若しくは低速回転している状態から高速回転に立ち上げるには一般的に2〜7秒、必要である。このため、ポリゴンミラー駆動モータの立ち上がり時間を短縮させることが、ファーストコピー時間、即ち複写開始ボタンを押してから一枚目の用紙が排出されるまでの時間を短縮させる主な手法と考えられている。このためユーザによる操作部のコピー開始キー以外のキーの押下を検知した場合は、ポリゴンミラー駆動モータの立ち上げを開始させるフライングスタートの機能を有する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また複数のプロセススピードを持つ画像形成装置においてポリゴンミラー駆動モータの先行回転させる速度を、操作者が決定できる画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平07−273951号公報
【特許文献2】特開2002−326386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のプロセススピードを持つ画像形成装置、例えば単色モードとカラーモードとの2種類の画像形成モードや、画像形成の解像度を切替える画像形成装置では、ポリゴンミラー駆動モータの回転数が複数段設けられている。このような画像形成装置では、一般的に、画像形成モードや解像度の情報が、画像情報の受信と同程度のタイミングで確定する。このため、前もってポリゴンミラー駆動モータを立ち上げるようなフライングスタート等の機能を実施する場合、複数段の回転数の中の、いずれかの回転数でポリゴンミラー駆動モータを立ち上げる必要があった。
【0006】
そこで、ポリゴンミラー駆動モータの立ち上げ時の回転数をいずれかに選定する、あるいは予め固定設定する構成とした場合に、選定した回転数が誤っていた際に、本来の回転数へと切替えするための時間が必要となる。これにより結果的にファーストコピー時間(ファーストプリント時間)が長くなってしまうことになる。
【0007】
そこで、本発明は、ジョブ開始前に、画像形成装置の装置状態や、画像形成装置の画像情報の種類が決定している場合に、ファーストプリント時間を短縮できる画像形成装置の制御方法を提供することを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、レーザ出射手段と、前記レーザ出射手段のレーザ光を像担持体に露光走査させる回転多面鏡と、前記回転多面鏡を回転駆動する駆動手段と、を備えた第一と第二の走査部を有し、前記第一と第二の走査部は各々異なる前記像担持体を露光走査し、前記像担持体の各々に形成された各画像を移動体に転写してカラー画像を形成可能な画像形成装置の制御方法において、画像形成の開始指示に基づいて、前記第一と第二の走査部を使用してカラーの画像形成を行い、前記第二の走査部を使用せずに前記第一の走査部を使用して白黒の画像形成を行う画像形成工程と、前記画像形成工程を行う前に、前記駆動手段の回転駆動制御を開始する先行回転制御工程と、前記画像形成工程で使用する現像剤の残量を検知する検知工程と、前記先行回転制御工程を行う際に前記検知工程で前記第二の走査部で形成する画像に使用する現像剤が無く、前記第一の走査部で形成する画像に使用する現像剤が有ると検知されたら、前記第一の走査部の駆動手段に対しては前記回転駆動制御を行い、かつ前記第二の走査部の駆動手段に対しては前記回転駆動制御を開始しない制御工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ファーストプリント時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の一実施形態を示す。もちろん以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0011】
[第1の実施形態]
(1)画像形成装置の構成:図1
図1は、実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。画像形成装置は、原稿の複写動作を行う場合の原稿読み取り部1Rとプリンタ部1Pを有している。
【0012】
原稿読み取り部1Rにおいて、原稿台カバー100が設定されている。また原稿台カバー100には、開閉検知センサが設置されており、原稿台カバー100が開けられることにより、後述するイメージリーダー制御部に対して開閉信号が通知される。
【0013】
次に、プリンタ部1Pは主に次の構成要素を有している。感光ドラム11a,11b,11c,11dは、矢印方向に回転駆動される像担持体である。感光ドラム11a,11b,11c,11dは、中心が軸支されている。感光ドラム11a〜11dの外周面に対向してその回転方向に一次帯電器12a,12b,12c,12d、光走査装置(走査部)13a,13b,13c,13d、現像装置14a,14b,14c,14dが配置されている。
【0014】
一次帯電器12a〜12dにおいて感光ドラム11a〜11dの表面に均一な帯電量の電荷を与えられる。次いで光走査装置13a〜13dによって記録画像信号に応じて変調した例えばレーザ光等の光線が感光ドラム11a〜11d上に露光走査される。これにより、感光ドラム11a〜11d上に静電潜像が形成される。そして、各静電潜像をイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色の現像剤(トナー)をそれぞれ収納した現像装置14a〜14dによってトナー画像として顕像化する。画像一次転写領域Ta,Tb,Tc,Tdにおいて、顕像化されたトナー画像が中間転写体としての中間転写ベルト31に転写される。画像一次転写領域Ta,Tb,Tc,Tdの下流側では、記録媒体Pに転写されないで感光ドラム11a〜11d上に残されたトナーがクリーニング装置15a,15b,15c,15dによって掻き落とされる。以上に示したプロセスを経て各トナーによる画像形成が順次行われる。
【0015】
一方、給紙ユニット20は、記録媒体(移動体)Pを収納するためのカセット21a,21b及び手差しトレイ27、記録媒体Pを1枚ずつ送り出すためのピックアップローラ22a,22b,26を有している。給紙ローラ対23及び給紙ガイド24は、ピックアップローラ22a,22b,26から送り出された記録媒体Pをレジストローラ25a,25bまで搬送する。レジストローラ25a,25bは、画像形成ユニット10での画像形成タイミングに合わせて記録媒体Pを二次転写領域Teへ送り出す。
【0016】
中間転写ユニット30は、中間転写体(移動体)又は担持体(移動体)としての中間転写ベルト31を有している。中間転写ベルト31は、これに駆動力を伝達する駆動ローラ32と、バックアップローラ62と、テンションローラ33と、二次転写内ローラ34とに巻回されている。バックアップローラ62は、検出センサ60に対向して設けられている。テンションローラ33は、不図示のばねの付勢力によって中間転写ベルト31に適度な張力を与えている。二次転写内ローラ34は、中間転写ベルト31を挟んで二次転写領域Teに対向している。中間転写ベルト31の材質としては例えばPI[ポリイミド]やPVdF[ポリフッ化ビニリデン]等が選定される。
【0017】
駆動ローラ32とバックアップローラ62との間に一次転写平面Bが形成される。駆動ローラ32は、金属ローラの表面に数mm厚のゴム(ウレタン又はクロロプレン)をコーティングして中間転写ベルト31とのスリップが防がれている。この駆動ローラ32は不図示のパルスモータによって回転駆動される。
【0018】
図示しない加圧機構によって付勢されるテンションローラ33はアライメントが調整可能になっており、中間転写ベルト31の蛇行を補正することができる。一次転写領域Ta〜Tdには、それぞれ中間転写ベルト31の裏側に一次転写装置35a〜35dが配置されている。中間転写ベルト31上の二次転写領域Teの下流には、中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのクリーニング装置50が配置されている。クリーニング装置50は、クリーナブレード51と廃トナーを収納する廃トナーボックス52とで構成されている。クリーナブレード51の材質としてはポリウレタンゴム等が用いられる。
【0019】
定着ユニット40は、定着ローラ41aと、この定着ローラ41aに加圧される加圧ローラ41bと、搬送ガイド43と、内排紙ローラ44と、外排紙ローラ45等で構成されている。定着ローラ41aは、内部にハロゲンヒータ等の熱源を備えている。加圧ローラ41bにも熱源を備えてもよい。搬送ガイド43は、定着ローラ41aと加圧ローラ41bのニップ部へ記録媒体Pを導く。内排紙ローラ44、及び外排紙ローラ45は、定着ローラ41aと加圧ローラ41bとから排出されてきた記録媒体Pを装置外部に導き出す。
【0020】
制御ユニット70は、各ユニット内の機構の動作を制御するための制御基板や不図示のモータドライブ基板等で構成されている。制御基板には、例えば、CPU、ROM、RAM及び各種の制御回路が搭載される。ROMには、ファームウエアなどの制御プログラムが記憶されている。
【0021】
次に、本カラー画像形成装置の動作について説明する。操作部等から画像形成動作の開始信号が発せられると、まず、ピックアップローラ22aによってカセット21aから記録媒体Pが1枚ずつ送り出される。そして、給紙ローラ対23によって記録媒体Pが給紙ガイド24の間を案内されてレジストローラ25a,25bまで搬送される。このとき、レジストローラ25a,25bは停止しており、記録媒体Pの先端はニップ部に突き当たる。その後、画像形成ユニット10が画像の形成を開始するタイミングに合わせてレジストローラ25a,25bは回転を開始する。このレジストローラ25a,25bの回転時期は、記録媒体Pと、中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー画像とが二次転写領域Teにおいて丁度一致するように設定されている。
【0022】
一方、画像形成ユニット10では、上記の開始信号が発せられると、中間転写ベルト31の回転方向において一番上流にある感光ドラム11d上に形成されたトナー画像が中間転写ベルト31に一次転写される。そして、中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー画像は次の一次転写領域Tcまで搬送される。一次転写領域Tcでは、画像形成部間をトナー画像が搬送される時間だけ遅延して画像形成が行われている。すなわち形成済みのトナー画像の上に位置を合わせて次のトナー画像が転写されることになる。このように色の異なる複数のカラー画像の形成位置を合わせることをレジストレーションと呼ぶ。以下も同様の工程が繰り返され、結局4色のトナー画像が中間転写ベルト31上に一次転写される。
【0023】
その後、記録媒体Pが二次転写領域Teに進入して中間転写ベルト31に接触すると、該記録媒体Pの通過タイミングに合わせて二次転写装置36に高電圧が印加される。そして、前述したプロセスによって中間転写ベルト31上に形成された4色のトナー画像が記録媒体Pの表面に転写される。トナー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ガイド43によって定着ユニット40のニップ部まで正確に案内される。そして、定着ユニット40のローラ対41a,41bの熱及びニップの圧力によってトナー画像が記録媒体Pの表面に定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは内排紙ローラ44と外排紙ローラ45によって搬送されて機外に排出される。
【0024】
(2)制御ブロック図:図2
図2は、実施形態に係るプリンタ部1Pを制御する制御ブロック図である。
【0025】
CPU201、ROM202、RAM203及び各種の制御回路は、制御ユニット70に搭載される。ここで、各種の制御回路とは、負荷制御ASIC204、トナー残量検知ASIC211、ポリゴンミラー駆動モータ制御ASIC206(図中、ポリゴンモータ制御ASICと記す)、コントローラユニット216である。ROM202には、ファームウエアなどの制御プログラムが記憶されている。
【0026】
CPU201は、プリンタ部1Pの駆動負荷を制御する制御マイコンである。CPU201は、ROM202、RAM203に格納されているプログラムを実行し、負荷制御ASIC204に対して駆動負荷の制御信号をセットしてモータ205を駆動する。CPU201は、ポリゴンミラー駆動モータ制御ASIC206に駆動速度等のパラメータを指定することにより、ポリゴンミラー駆動モータ制御ASIC206はポリゴンミラー駆動モータ(駆動手段)13a〜13dを駆動制御する。
【0027】
CPU201は、トナー残量検知ASIC211を介して、感光ドラム11a〜11dに対してトナーを供給するトナーカートリッジ212〜215のトナー残量を検知することができる。
【0028】
コントローラユニット216は、操作パネル218の複写開始ボタンの操作者(ユーザ)による押下で複写指令を受け付け(プリントジョブが投入、開始指示)、プリンタ部1Pに対してプリント指令を出し、画像データを送信する。同時に、原稿読み取り部1R(図中、イメージリーダー部と記す)との通信で原稿画像データを読み込むと共に、原稿カバー(圧板)100が開いたことを示す信号を原稿読み取り部1Rより受け取る役割も担っている。
【0029】
(3)ROM、RAM:図3
図3(A)はROM202、図3(B)はRAM203の記憶領域の割付について述べた図である。図3(A)に示すのはROM202上に格納されたデータであり、プログラムが格納された領域303と、プログラム実行に必要な固定パラメータが格納された領域304と、モータなどの負荷を駆動させるための負荷駆動パラメータ305とより構成される。図3(B)に示すのはRAM203上に展開されるパラメータマップであり、プログラムを実行するためのスタック領域であるプログラムスタック306及び変数領域307(図中、変数と記す)より構成される。
【0030】
(4)光走査装置:図4
図4は、光走査装置(走査部)13(図中、破線部)の構成を模式的に示す図である。光走査装置13a〜13dは各々同じ構成を有しているため、ここでは白黒画像形成時に使用するKの光走査装置13a(第一の走査部)を代表として説明を行う。尚、13b〜13dは、第二の走査部に相当し、第一の走査部である光走査装置13aと第二の走査部である光走査装置13b〜13dは各々異なる感光ドラム11a、11b〜11dを露光走査する。
【0031】
つまりレーザダイオード705の対向する位置には、ポリゴンミラー駆動モータ701(図2では「ポリゴンモータ(701a〜701d)」と記す)によって回転駆動されるポリゴンミラー(回転多面鏡)702が配置される。レーザダイオード(レーザ出射手段)705から出射したレーザ光がポリゴンミラー702によって反射・走査される方向に結像レンズ703、折り返しミラー16が配置されている。また、結像レンズ703の近傍には、感光ドラム11を走査するタイミングの基準となる信号を出力するビーム検知センサ704が配置されている。
【0032】
レーザダイオード705は、画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発生し、レーザ光は回転するポリゴンミラー702によって反射され、結像レンズ703を通過し、折り返しミラー16に反射される。そして感光ドラム11に達し、感光ドラム11上に潜像を形成する。
【0033】
(5)先行回転制御工程:図5
図5は、本発明の一実施の形態に係る光走査装置が有するポリゴンミラー駆動モータ701の先行回転制御(フライングスタート)を行った場合のタイミングチャートである。ただし、図5(A)は、ポリゴンミラー駆動モータ701を先行回転制御中にプリントジョブが投入された場合であり、図5(B)はポリゴンミラー駆動モータ701を先行回転制御中にプリントジョブが投入されなかった場合を示したものである。
【0034】
図5(A)、図5(B)それぞれにおいて、S401a及びS401bはポリゴンミラー駆動モータ701の回転速度を示し、S402a及びS402bはプリントジョブの動作を示す動作中信号(プリンタ駆動信号)である。
【0035】
まず図5(A)に関して説明する。S403aの如く操作パネル218の複写開始ボタン以外が操作者(ユーザ)により押下されるか、若しくは原稿読み取り部1Rの原稿台カバー100の開閉を検知した時に、ポリゴンミラー駆動モータ701の先行回転制御(回転駆動制御)を行う。CPU201はポリゴンモータ制御ASICを経由して、ポリゴンミラー駆動モータ701を回転させる(立ち上げる)。これがポリゴンミラー駆動モータ701の先行回転制御(フライングスタート)である。CPU201はポリゴンミラー駆動モータ701の回転開始時にタイマ(不図示)を設定する(フライングスタートを開始してからの経過時間を測定する)。もしユーザがそれ以上の操作を行わずに所定時間経過した場合、モータの寿命の観点からポリゴンミラー駆動モータ701を一度停止するよう制御する。
【0036】
前述したようにポリゴンミラー駆動モータ701が回転状態にある時(フライングスタートしてから所定時間経過前)に、ユーザがS404aの如く操作パネル218上の複写開始ボタン(不図示)を押下すると、プリントジョブが開始される(S405a)。
【0037】
プリントジョブが終了すると(S406a)、CPU201は次のジョブに備えるべくポリゴンミラー駆動モータ701を一定時間回転状態にしておく。このジョブ後のポリゴンミラー駆動モータ701の回転中にユーザが操作パネル218上でキーを押下するか、原稿台カバー100の開閉を行った場合、先行回転制御を行う為ポリゴンミラー駆動モータ701の回転時間が延長される(S407a)。この状態で再び複写開始ボタンが押下されれば(S408a)、プリントジョブが開始される(S409a)。S410aにてプリントジョブが終了した後、ジョブ後の回転中にユーザの操作が無い場合は、S411aのようにポリゴンミラー駆動モータ701は所定時間後に停止する。
【0038】
次に、ポリゴンミラー駆動モータ701の先行回転制御中に、ユーザがプリントジョブを実行しなかった(ユーザが操作パネル218上の複写開始ボタンを押下しなかった)場合について、図5(B)を用いて説明する。
【0039】
図5(A)の場合と同じく、S403bの如く操作パネル218上で複写開始ボタン以外が操作者(ユーザ)により押下されるか、若しくは原稿読み取り部1Rの原稿台カバー100の開閉を検知した時に、ポリゴンミラー駆動モータ701の先行回転制御を行う。この際CPU201はポリゴンミラー駆動モータ制御ASIC206を経由して、ポリゴンミラー駆動モータ701を回転させると共に、タイマ(不図示)を所定時間に設定する。この所定時間内にユーザがそれ以上の操作を行わずに所定時間経過した場合、モータの寿命の観点からポリゴンミラー駆動モータ701を一度停止するよう制御する(S412b)。ポリゴンミラー駆動モータ701が停止した状態でユーザがコピースタートボタン(不図示)を押下した場合(S404b)、すでにポリゴンミラー駆動モータ701が停止しているため、再びポリゴンミラー駆動モータ701を始動させる(S413b)。そして、ポリゴンミラー駆動モータ701の回転が安定してから画像形成動作を開始する。プリントジョブ終了後(S406b)は図5(A)と同じくCPU201は次のジョブに備えるべくポリゴンミラー駆動モータ701を一定時間回転状態にしておくが、一定時間内にユーザの操作が無い場合はポリゴンミラー駆動モータ701を停止する(S411b)。
【0040】
(6)動作モードと駆動速度:図6
図6は、本発明の一実施の形態に係る画像形成モードと駆動負荷の駆動速度について示した図である。501はモノクロモードであり、画像形成装置の有する複数ステーションの内、ブラックステーションのみを用いてモノクロ画像(白黒)の画像形成を行うモードである。502はフルカラーモードであり、画像形成装置の有する複数ステーションの内、全ステーションを用いてフルカラーの画像形成を行うモードである。503は、前記各画像形成モードにおけるプロセススピード(画像作像速度)についてあらわしており、504は前記各画像形成モードにおけるポリゴンミラー駆動モータ701の回転速度(駆動速度)について表している。
【0041】
本発明の一実施の形態では、モノクロモードにおけるプロセススピード(第二の速度)がカラーモードにおけるプロセススピード(第一の速度)よりも速くなっているためモノクロモードにおける単位時間あたりの印刷可能枚数がフルカラーモードよりも多くなる。同様の理由で、ポリゴンミラー駆動モータ701の走査速度もモノクロモードにおける走査速度がフルカラーモードにおける走査速度よりも速く設定されている。
【0042】
また、フルカラーモードでの速度(35000PPS)で先行回転した場合に、画像形成モードがモノクロであった時はポリゴンミラー駆動モータ701の回転速度をモノクロ画像形成時の回転速度(40000PPS)にスピードアップする必要がある。一方、モノクロモードでの回転速度(40000PPS)で先行回転した場合に、画像形成モードがフルカラーであった時はポリゴンミラー駆動モータ701の回転速度をフルカラー画像形成時の回転速度(35000PPS)にスピードダウンする必要がある。
【0043】
ここで両者のスピード変更に要する時間を比較すると、スピードアップの方がスピードダウンより短く済む。したがって、どちらの画像形成モードが実行されるか分からない場合は、ポリゴンミラー駆動モータ701をフルカラーのスピードで先行回転させることにする。
【0044】
(7)判断シーケンス:図7
図7は、ポリゴンミラー駆動モータ701の先行回転を開始する際に行う条件判断シーケンスを示すフローチャートである。このフローチャートの処理はCPU201によりROM202のプログラムに基づいて行われる。まず、ステップ601(S601と略記する、以下同様)にてポリゴンミラー駆動モータ701の先行回転を行うにあたり、S602にて現在、ポリゴンミラー駆動モータ701が画像形成可能な速度で回転しているか否かを確認する。すでにポリゴンミラー駆動モータ701が回転している場合、S603に示すようにポリゴンミラー駆動モータ701の回転状態はそのままとする。
【0045】
ポリゴンミラー駆動モータ701が回転していない場合(又は画像形成時のスピード以下の速度で回転している場合)、S604にてカラートナーのありなしを判定する。Y、M、Cいずれのトナーもある場合は(検知結果)、S607の様に、Y、M、C、Bk全てのポリゴンミラー駆動モータ701をフルカラー画像形成時の回転速度(35000PPS)で先行回転させる。一方、Y、M、Cいずれかのトナーがトナーなしである場合は(検知結果)、フルカラー画像形成が出来ない為、Bkのポリゴンミラー駆動モータ701をモノクロモードでの駆動速度(40000PPS)で先行回転させる(S605)。このように、先行回転を行う際に、トナー残量の検知結果に基づいて、Bkのポリゴンミラー駆動モータ701をフルカラー画像形成時の回転速度とモノクロモードでの回転速度のいずれかに設定する。
【0046】
(8)判断シーケンス:図8
図8は、従来例と本発明におけるYMCトナーなし時のファーストコピー時間の比較について示したタイミングチャートである。図8(A)は、従来例におけるYMCトナーなし時のファーストコピー時間について示したタイミングチャートであり、図8(B)は、本発明におけるYMCトナーなし時のファーストコピー時間について示したタイミングチャートである。
【0047】
801及び804はポリゴンミラー駆動モータ701(ポリゴンモータ駆動と図示)の駆動タイミングを表し、802及び805は、駆動負荷の駆動タイミングを表し、803及び806は、画像形成タイミングを表している。また、図8(A)では、先述したようにキー入力若しくは原稿台カバー開閉時のポリゴンミラー駆動モータ701の先行回転速度は、フルカラーの画像形成速度としている。このためカラートナーなしの場合には、モノクロの画像形成速度に対応するためにポリゴンミラー駆動モータ701の回転速度をモノクロ画像形成速度までアップする必要がある。
【0048】
したがって、画像形成開始タイミングが速度変更時間分だけ遅れるため、その分ファーストコピー時間も遅れる。一方、本発明の図8(B)では、YMCトナーなしではモノクロ印刷命令しか来ない事が解るため、キー入力若しくは原稿台カバー開閉時にポリゴンミラー駆動モータ701をモノクロの画像形成速度まで先行回転しておく。したがって、従来例の図8(A)と比べて、確実にポリゴンミラー駆動モータ701の変速に要する時間分だけファーストコピー時間の短縮が実現できる。
【0049】
なお、本実施形態は複写機での例であるが、ホストコンピュータからのプリント命令の場合も同様に、実施することができる。この際、開始信号は、ホストコンピュータから画像形成装置に送られるリモートプリント装置選択信号となる。
【0050】
また、本実施形態はポリゴンミラー駆動モータ701の先行回転の例であるが、定着装置を先行駆動する形で同様に実施することができる。すなわち、モノクロ、カラーの別、あるいは記録媒体の種類別に、目標とする定着温度が異なる場合に、目標とする定着温度になるよう先行駆動する形で実施することができる。
【0051】
また、一部の画像形成部が故障の場合も、カラートナー無しの場合と同様に実施することができる。
【0052】
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。基本的な構成は、第1の実施形態の画像形成装置の構成と同様である。
【0053】
図9は実施形態に係るプリンタ部1Pを制御する制御ブロック図である。また、本実施形態の画像形成装置には、FAX受信機能が備わっている。FAXユニット920により受信したFAXデータをモノクロ印刷することが可能である。また、これからFAXデータが送られてくることを表すFAX受信開始信号を受信することができるため、FAXデータを全て受信する前であっても画像形成装置を印刷のための準備動作させることが可能となっている。
【0054】
図10は、ポリゴンミラー駆動モータ701の先行回転を開始する際に行う条件判断シーケンスを示すフローチャートである。このフローチャートの処理はCPU201で行われる。まずS1001にてポリゴンミラー駆動モータ701の先行回転を行うにあたり、S1002にて現在、ポリゴンミラー駆動モータ701が画像形成可能な速度で回転しているか否かを確認する。すでにポリゴンミラー駆動モータ701が回転している場合、S1006に示すようにポリゴンミラー駆動モータ701の回転状態はそのままとする。
【0055】
ポリゴンミラー駆動モータ701が回転していない場合(又は画像形成時のスピード以下の速度で回転している場合)、S1003にて画像形成する画像形成データがFAXの画像形成モードであるかどうかを判定する。ここで、FAXの画像形成モードであるかどうかの判断は、CPU201が画像形成動作開始以前にコントローラユニット216より信号を受信しておく。通常、FAX画像の受信は電話回線でのデータ受信にある程度の時間を有するので、先にFAXジョブかどうかの情報さえ得ることができれば、データ受信時間を利用してポリゴンミラー駆動モータ701を先行回転することが可能である。FAXの出力でないならば、Y、M、C、Bk全てのポリゴンミラー駆動モータ701をフルカラーのモードでの駆動速度(S1004)で先行回転させる。FAXの出力である場合は、Bkのポリゴンミラー駆動モータ701をモノクロモードでの駆動速度で先行回転させる(S1005)。
【0056】
なお、本実施形態では、FAX受信のとき、モノクロ画像の可能性が大きいということを前提にするものである。同様に、自動階調補正画像のときは、カラー画像の可能性が大きいという前提で、自動階調補正画像が指定されているときは、全てのポリゴンミラー駆動モータ701を先行回転させることにより、ファーストプリント時間を短縮することができる。
【0057】
以上説明したように、本発明によれば、FAX受信の際には、ブラックのポリゴンミラー駆動モータ701のみをモノクロモードでの駆動速度で先行回転させる。よって、フルカラーのモードでの駆動速度で先行回転させ、さらにモノクロモードでの駆動速度に速度変更する場合に比べて、ファーストプリント時間の短縮が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施例1の概略構成を示す断面図
【図2】実施例1における、プリンタ部駆動負荷を制御する制御コントローラと接続されたモジュール構成を示すブロック図
【図3】実施例1における、ROM202及びRAM203の領域割付を示す図
【図4】実施例1における、レーザ走査装置の構成を示す図
【図5】実施例1における、ポリゴンミラー駆動モータの先行回転制御を行った場合のタイミングチャート
【図6】実施例1における、動作モードと駆動負荷の駆動速度の関係を示す図
【図7】実施例1における処理を示すフローチャート
【図8】従来例と実施例1におけるYMCトナーなし時のファーストコピー時間の比較について示したタイミングチャート
【図9】実施例2における、プリンタ部駆動負荷を制御する制御コントローラと接続されたモジュール構成を示すブロック図
【図10】実施例2における処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0059】
13a〜13d ポリゴンミラー駆動モータ
201 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ出射手段と、前記レーザ出射手段のレーザ光を像担持体に露光走査させる回転多面鏡と、前記回転多面鏡を回転駆動する駆動手段と、を備えた第一と第二の走査部を有し、前記第一と第二の走査部は各々異なる前記像担持体を露光走査し、前記像担持体の各々に形成された各画像を移動体に転写してカラー画像を形成可能な画像形成装置の制御方法において、
画像形成の開始指示に基づいて、前記第一と第二の走査部を使用してカラーの画像形成を行い、前記第二の走査部を使用せずに前記第一の走査部を使用して白黒の画像形成を行う画像形成工程と、
前記画像形成工程を行う前に、前記駆動手段の回転駆動制御を開始する先行回転制御工程と、
前記画像形成工程で使用する現像剤の残量を検知する検知工程と、
前記先行回転制御工程を行う際に前記検知工程で前記第二の走査部で形成する画像に使用する現像剤が無く、前記第一の走査部で形成する画像に使用する現像剤が有ると検知された場合、前記第一の走査部の駆動手段に対しては前記回転駆動制御を行い、かつ前記第二の走査部の駆動手段に対しては前記回転駆動制御を開始しない制御工程と、
を備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項2】
レーザ出射手段と、前記レーザ出射手段のレーザ光を像担持体に露光走査させる回転多面鏡と、前記回転多面鏡を回転駆動する駆動手段と、を備えた第一と第二の走査部を有し、前記第一と第二の走査部は各々異なる前記像担持体を露光走査し、前記像担持体の各々に形成された各画像を移動体に転写してカラー画像を形成可能な画像形成装置の制御方法において、
画像形成の開始指示に基づいて、前記第一と第二の走査部を使用して前記駆動手段を第一の速度で回転駆動してカラーの画像形成を行い、前記第二の走査部を使用せずに前記第一の走査部を使用して前記駆動手段を前記第一の速度と異なる第二の速度で回転駆動して白黒の画像形成を行う画像形成工程と、
前記画像形成工程を行う前に、前記駆動手段の回転駆動制御を開始する先行回転制御工程と、
前記画像形成工程で使用する現像剤の残量を検知する検知工程と、
前記先行回転制御工程を行う際に前記検知工程での検知結果に基づいて、前記第一の走査部における前記駆動手段を制御する速度を前記第一の速度と前記第二の速度のいずれかに設定する設定工程と、
を備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項3】
レーザ出射手段と、前記レーザ出射手段のレーザ光を像担持体に露光走査させる回転多面鏡と、前記回転多面鏡を回転駆動する駆動手段と、を備えた第一と第二の走査部を有し、前記第一と第二の走査部は各々異なる前記像担持体を露光走査し、前記像担持体の各々に形成された各画像を移動体に転写してカラー画像を形成可能な画像形成装置の制御方法において、
画像形成の開始指示に基づいて、前記第一と第二の走査部を使用してカラーの画像形成を行い、前記第二の走査部を使用せずに前記第一の走査部を使用して白黒の画像形成を行う画像形成工程と、
前記画像形成工程を行う前に、前記駆動手段の回転駆動制御を開始する先行回転制御工程と、
前記先行回転制御工程を行う際にFAX受信されるときは、前記第一の走査部の駆動手段に対しては前記回転駆動制御を行い、かつ前記第二の走査部の駆動手段に対しては前記回転駆動制御を開始しない制御工程と、
を備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項4】
前記開始指示とは、前記画像形成装置の操作パネルからの入力であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−310365(P2007−310365A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87879(P2007−87879)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】