説明

画像形成装置制御方法および画像形成装置

【課題】現像ACバイアスのデューティ比を基準以外に設定しつつ中間調のパッチで代用して高濃度に適した現像DCバイアス電圧を正しく算出する。
【解決手段】現像コントラスト電位とトナー付着量とが線形特性を示す基準デューティ比とした状態で、低濃度の中間調パッチを感光体上にトナー像として作成し、この際の検知手段の検知結果から中間調パッチのトナー付着量を求め、トナー付着量と現像コントラスト電位との特性に基づいて、高濃度における目標トナー付着量に応じた目標現像コントラスト電位を求め、該目標現像コントラスト電位から現像ACバイアスが基準デューティ比状態での基準の現像DCバイアス電圧を求め、現像ACバイアスのデューティ比変化によるトナー付着量の変化を表す特性と基準の現像DCバイアス電圧とに基づいて現像ACバイアスのデューティ比を変化させた状態の現像DCバイアス電圧を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙上にトナー像を形成する画像形成装置とその制御方法とに関し、特に、適切なトナー濃度の制御を実行できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置では、現像剤の経時変化や環境による現像特性の変換による濃度変化を防ぐために、像担持体上に複数の階調濃度パターンのトナー像(パッチ)を形成し、そのトナー像のトナー付着量(トナー濃度)をセンサによって光学的に検知し、その検知結果に応じて、現像バイアス電圧(現像DCバイアス電圧)を調整するようにしている。
【0003】
以上のようなセンサの場合、トナー濃度が高くなるにつれて、出力電圧が低下すると共に、分解能が低下する特性を有するものがある。
このようなセンサを画像形成装置のトナー濃度制御に用いる場合に、高濃度(いわゆる、ベタ黒)のパッチに応じた現像DCバイアス電圧を調整する際に、この高濃度のパッチの濃度を正確に検知することが難しい。
【0004】
そこで、目標濃度である高濃度よりも濃度が低く、センサによって正確に濃度検知を行える中間調のパッチ(たとえば、1ドット毎に白(トナー無し)/黒(トナー有り)を交互に配置した状態のパッチ)を用いて、現像コントラスト電位とトナー付着量との一次相関を利用し、高濃度に適した現像DCバイアス電圧を算出する手法が存在している(たとえば、特許文献1)。
【0005】
一方、現像ユニットから像担持体へのキャリア(二成分現像剤におけるトナー以外の成分)付着を改善する目的で、本来は50%であって対称波形である現像ACバイアスのデューティ比を、非対称であって50%以外に設定する技術が存在している(たとえば、特許文献2,3)。
【0006】
この手法において、たとえば、現像ACバイアスのデューティ比を30%とすることで、現像ユニットから像担持体へのトナーの送りが30%、像担持体から現像ユニットへのトナーの戻しが70%となる。これにより、戻しの力が大きく働くことになり、現像ユニットからのキャリアの飛散が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06−186816号公報
【特許文献2】特開2002―182457号公報
【特許文献3】特開2008―164878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、センサによって正確に濃度検知を行える中間調のパッチを用いて、現像コントラスト電位とトナー付着量との相関を利用し、高濃度に適した現像DCバイアス電圧を算出する手法を用いる場合には、現像コントラスト電位とトナー付着量との関係が線形特性であることを前提としている。この場合には、現像ACバイアスのデューティ比が50%(基準状態)であることが必要である。
【0009】
一方、現像ACバイアスのデューティ比を50%以外に設定してキャリアの飛散を抑制する技術を用いると、現像コントラスト電位とトナー付着量との関係が非線形となってしまう。
【0010】
よって、キャリアの飛散を抑制するために現像ACバイアスのデューティ比を50%(基準状態)以外に設定している状態では、上述した中間調のパッチで代用して高濃度に適した現像DCバイアス電圧を算出する手法において前提条件が狂ってしまって、正確な現像DCバイアス電圧の算出が行えなくなる。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、現像ACバイアスのデューティ比を基準状態以外に設定している状態であっても、中間調のパッチで代用して高濃度に適した現像DCバイアス電圧を正しく算出することが可能な画像形成装置制御方法および画像形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、課題を解決する手段としての本発明は以下に説明するようなものである。
(1)請求項1記載の発明は、帯電された状態で露光により静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上に前記静電潜像に応じたトナー像を形成する現像ユニットとを含む画像形成部と、前記画像形成部で形成されたトナー像の濃度を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記現像ユニットに印加する現像バイアス電圧を制御する制御手段と、を備えた画像形成装置において適切な現像条件を決定する画像形成装置制御方法であって、前記制御手段は、現像コントラスト電位とトナー付着量とが線形特性を示す状態になる現像ACバイアスのデューティ比(基準デューティ比)とした状態で、目標濃度より低い所定濃度の中間調パッチを前記感光体上にトナー像として作成し、この際の前記検知手段の検知結果から前記中間調パッチのトナー付着量を求め、前記トナー付着量と現像コントラスト電位との特性に基づいて、目標濃度における目標トナー付着量に応じた目標現像コントラスト電位を求め、該目標現像コントラスト電位から、現像ACバイアスが前記基準デューティ比状態における基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧を求め、前記現像ACバイアスのデューティ比変化による前記トナー付着量の変化を表すデューティ比変更時トナー付着量特性と、前記基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧とに基づいて、前記現像ACバイアスのデューティ比を変化させた状態におけるデューティ比変更時適正現像DCバイアス電圧を決定する、ことを特徴とする画像形成装置制御方法である。
【0013】
(2)請求項2記載の発明は、帯電された状態で露光により静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上に前記静電潜像に応じたトナー像を形成する現像ユニットとを含む画像形成部と、前記画像形成部で形成されたトナー像の濃度を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記現像ユニットに印加する現像バイアス電圧を制御する制御手段と、を備えた画像形成装置であって、現像コントラスト電位とトナー付着量とが線形特性を示す状態になる現像ACバイアスのデューティ比(基準デューティ比)とした状態で、目標濃度より低い所定濃度の中間調パッチを前記感光体上にトナー像として作成し、この際の前記検知手段の検知結果から前記中間調パッチのトナー付着量を求め、前記トナー付着量と現像コントラスト電位との特性に基づいて、目標濃度における目標トナー付着量に応じた目標現像コントラスト電位を求め、該目標現像コントラスト電位から、現像ACバイアスが前記基準デューティ比状態における基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧を求め、前記現像ACバイアスのデューティ比変化による前記トナー付着量の変化を表すデューティ比変更時トナー付着量特性と、前記基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧とに基づいて、前記現像ACバイアスのデューティ比を変化させた状態におけるデューティ比変更時適正現像DCバイアス電圧を決定する、ことを特徴とする画像形成装置である。
【0014】
(3)請求項3記載の発明は、前記基準デューティ比は50%である、ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
(4)請求項4記載の発明は、前記デューティ変更時トナー付着量変化特性は、予め記憶された特性である、ことを特徴とする請求項2−3に記載の画像形成装置である。
【0015】
(5)請求項5記載の発明は、前記検知手段は、前記トナー濃度が高くなるほど、濃度変化に対する分解能が小さくなる特性であり、前記目標濃度は前記所定濃度より高い濃度である、ことを特徴とする請求項2−4のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下のような効果が得られる。
この発明では、現像コントラスト電位とトナー付着量とが線形特性を示す状態になる現像ACバイアスのデューティ比(基準デューティ比)とした状態で、所定濃度の中間調パッチを感光体上にトナー像として作成し、この際の検知手段の検知結果から中間調パッチのトナー付着量を求め、トナー付着量と現像コントラスト電位との特性に基づいて、目標濃度における目標トナー付着量に応じた目標現像コントラスト電位を求め、該目標現像コントラスト電位から、現像ACバイアスが基準デューティ比状態における基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧を求め、現像ACバイアスのデューティ比変化によるトナー付着量の変化を表すデューティ比変更時トナー付着量特性と、基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧とに基づいて、現像ACバイアスのデューティ比を変化した状態におけるデューティ比変更時適正現像DCバイアス電圧を決定する。
【0017】
すなわち、現像コントラスト電位とトナー付着量とが線形特性を示す状態になる現像ACバイアスのデューティ比(基準デューティ比)とした状態で、目標濃度より低い所定濃度の中間調パッチのトナー付着量を求め、トナー付着量と現像コントラスト電位との特性(線形特性)に基づいて、目標濃度における目標トナー付着量に応じた目標現像コントラスト電位を求め、該目標現像コントラスト電位から基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧を求め、デューティ比変更時トナー付着量特性と基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧とに基づいて、現像ACバイアスのデューティ比を変化させた状態におけるデューティ比変更時適正現像DCバイアス電圧を決定する。
【0018】
この結果、現像ACバイアスのデューティ比を基準状態以外に設定している状態であっても、中間調のパッチで代用した際の従来の非線形の問題の影響を受けることなく、高濃度に適した現像DCバイアス電圧を正しく算出することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(実施形態)を詳細に説明する。
〔実施形態の構成〕
ここで、本実施形態の画像形成装置100の第1の実施形態の構成を、図1〜図2に基づいて詳細に説明する。
【0020】
101は画像形成装置100の各部を制御するためにCPUなどで構成された制御部である。
この制御部101は、現像コントラスト電位とトナー付着量とが線形特性を示す状態になる現像ACバイアスのデューティ比(基準デューティ比)とした状態で、所定濃度の中間調パッチを感光体上にトナー像として作成し、この際の検知手段の検知結果から中間調パッチのトナー付着量を求め、トナー付着量と現像コントラスト電位との特性に基づいて、目標濃度における目標トナー付着量に応じた目標現像コントラスト電位を求め、該目標現像コントラスト電位から、現像ACバイアスが基準デューティ比状態における基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧を求め、現像ACバイアスのデューティ比変化によるトナー付着量の変化を表すデューティ比変更時トナー付着量特性と、基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧とに基づいて、現像ACバイアスのデューティ比を変化した状態におけるデューティ比変更時適正現像DCバイアス電圧を決定する、ように各部を制御する。
【0021】
103は各種データが保持される記憶部であり、この実施形態では、濃度センサのセンサ出力Voutとトナー付着量M/Aとの特性(図5参照)、各デューティ比におけるトナー付着量M/Aと現像コントラスト電位ΔVとの特性(図6参照)、現像ACバイアスのデューティ比変化によるトナー付着量の変化を表すデューティ比変更時トナー付着量特性(図7参照)、などのテーブルや、各種データ、各種パラメータ、画像形成時の画像データなどを記憶する。
【0022】
113は帯電された状態において露光されることにより静電潜像が形成され、この静電潜像が現像されることによりトナー像が形成される感光体ドラムなどの像担持体である。
114は像担持体113上のトナー像が記録紙に形成される中間の位置において転写される転写ベルトなどの中間転写体である。
【0023】
117は像担持体113上のトナー像の濃度を光学的に検出する検知手段としての濃度センサであり、この実施形態ではトナー濃度が高くなるほどに濃度変化に対する分解能が小さくなる特性(図5参照)を有している。ここで、濃度センサ117は、高濃度(いわゆる、ベタ黒)のパッチ濃度を正確に検知することが難しい状態となる特性を有する濃度センサである。
【0024】
120は画像データに応じて所定の画像処理を実行して画像形成用の画像データを生成する画像処理部である。
140はグリッド電圧Vgを制御することで、像担持体113の表面電位Vpを、現像バイアス電圧に対応する所定の電位となるように制御する帯電部である。
【0025】
150は像担持体113に対して画像データに応じた露光をレーザダイオードやLEDなどにより行って、像担持体113上に静電潜像を形成する露光部である。
160は像担持体113に露光によって形成された静電潜像を現像してトナーを付着せしめてトナー像とする現像部である。
【0026】
170はトナー像を転写するための転写部であり、像担持体113から中間転写体114にトナー像を転写させる一次転写部170Aと、中間転写体114から記録媒体(記録紙)Pにトナー像を転写させる二次転写部170Bとを備えて構成されている。
【0027】
180は記録紙上のトナー像を熱と圧力とにより記録紙上に定着させて安定させる定着部である。
なお、図1や図3において、既知であって、本実施形態の制御に直接に関係しない部分についての説明は省略してある。
【0028】
〔実施形態の動作〕
以下、図3のフローチャート、図4以降の説明図などを参照して本実施形態の画像形成装置の動作(画像形成装置制御方法)の説明を行う。
【0029】
制御部101は、画像形成装置100の初期調整時あるいは定期的に呼び出される図3の現像DCバイアス電圧決定ルーチンに従って、画像形成装置100の濃度補正の際に現像DCバイアス電圧を決定する。なお、制御部101による現像DCバイアス電圧決定ルーチンに従った動作を、以下の説明では、単に制御部101の制御として説明する。
【0030】
まず、制御部101は、制御実行タイミングに該当するかを確認する(図3中のステップS301)。ここで、制御実行タイミングとは、画像形成装置100を設置した最初の動作タイミング、所定の一定時間動作毎のタイミング、毎朝電源オン直後のタイミング、主要な構成部品を交換した直後の動作タイミング、装置内環境(温度や湿度)が一定以上変化したことが検出されたタイミング、などが該当する。
【0031】
制御実行タイミングに該当していれば(図3中のステップS301でYES)、制御部101は記憶部103から関連する各種パラメータを読み出し、現像コントラスト電位とトナー付着量とが線形特性を示す状態になる現像ACバイアスのデューティ比(基準デューティ比)、たとえば、デューティ比が50%であって、交流成分±が対称波形となる状態に、現像ACバイアスの電圧と波形とを設定する(図3中のステップS302、図4(a))。
【0032】
そして、制御部101は、現像ACバイアスの波形を以上の状態として、以上の濃度センサ117によって正確に濃度検知を行える濃度(充分な分解能を有する領域に該当する濃度)、たとえば、画像データの信号値が0−255の256段階である場合に、中間調となる127程度のパッチを像担持体113上に作像するように各部に指示を与える(図3中のステップS303)。すなわち、信号値127に応じたパッチの静電潜像が露光部150いによって像担持体113上に形成され、この静電潜像が現像部160によって現像され、像担持体113上でトナー像とされる。
【0033】
ここで、制御部101は、記憶部103に記憶されているセンサ出力Voutとトナー付着量M/Aの特性(図5)を参照し、上述したパッチを濃度センサ117が検知した結果(センサ出力電圧Vout)から、トナー付着量M/Aを求める(図3中のステップS304)。
【0034】
また、制御部101は、パッチ作成時の現像DCバイアス電圧Vdcと、帯電部140による像担持体113の表面電位との差から、現像コントラスト電位ΔVを求め、さらに、記憶部103に記憶されているトナー付着量M/Aと現像コントラスト電位ΔVとの特性(図6参照)を参照し、ベタ黒などの目標濃度における目標トナー付着量M/Amaxに応じた目標現像コントラスト電位ΔVmaxを求める(図3中のステップS305)。ここでは、現像ACバイアスのデューティ比を50%としているため、トナー付着量M/Aと現像コントラスト電位ΔVとの特性(図6参照)は線形であり、正確に求まる。
【0035】
そして、制御部101は、ベタ黒などの目標濃度を得るために露光した像担持体113の目標濃度表面電位Viと、以上の目標現像コントラスト電位ΔVmaxから、現像ACバイアスが基準デューティ比になっている状態における基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧Vdc_refを求める(図3中のステップS306)。
【0036】
さらに、制御部101は、現像ACバイアスのデューティ比DUTYac変化によるトナー付着量M/Aの変化を表すデューティ比変更時トナー付着量特性(図7)を記憶部103から読み出して参照し、デューティ比DUTYacを基準(50%)から基準以外(たとえば、30%)に変更した場合のトナー付着量M/Aの変化(変動率)の逆数を係数として求め、基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧Vdc_refに上記係数を乗じて、現像ACバイアスのデューティ比を変化させた状態におけるデューティ比変更時適正現像DCバイアス電圧Vdc_newを決定する(図3中のステップS307)。
【0037】
すなわち、図7の特性の場合、現像ACバイアスのデューティ比を50%(図4(a)参照)から30%(図4(b)参照)に変更することで、トナー付着量M/Aがα倍に増加している。このため、現像ACバイアスのデューティ比を変更した際の現像DCバイアス電圧を基準デューティ比時よりも1/α倍することで、デューティ比を変更した状態における適正なトナー付着量M/Aとなる。なお、デューティ比変更時トナー付着量特性(図7)は、ベタ黒などの目標濃度付近における、現像ACバイアスのデューティ比DUTYacとトナー付着量M/Aとの変化の様子を示す特性になっている。
【0038】
以上のように現像DCバイアス電圧決定ルーチンを実行することで、現像ACバイアス電圧のデューティ比DUTYacを基準状態以外に設定している状態であっても、トナー濃度が高くなるほどに濃度変化に対する分解能が小さくなる特性の濃度センサを用いた場合に、濃度センサ117の分解能が高い中間調のパッチの濃度測定で代用したとしても、従来の非線形特性の問題の影響を受けることなく、高濃度のトナー像に適した現像DCバイアス電圧Vdc_newを誤差なく正しく算出することが可能になる。
【0039】
これ以後、画像形成装置100では、現像ACバイアスのデューティ比を30%などの値に設定し、現像ユニットからのキャリアの飛散を低減させた状態にして、算出した現像DCバイアス電圧Vdc_newを用いて、通常の画像形成を実行する。
【実施例】
【0040】
以下、以上の実施形態について、具体的数値を用いた実施例の一例を示す。
まず、制御部101は、現像DCバイアス電圧Vdcを−400V、現像ACバイアスのデューティ比DUTYacを基準値の50%と設定し、濃度センサ117が充分な分解能を有する領域に該当する濃度として最大255の場合に中間調となる127のパッチを像担持体113上に作像するように各部を制御する。
【0041】
この状態で濃度センサ117で検知された出力Voutが2.0V、像担持体113の露光潜像の表面電位Vmが−300Vであるとする。このとき、現像コントラスト電位ΔVは100V(=400−300)となる。
【0042】
そして、記憶部103に記憶されているセンサ出力Voutとトナー付着量M/Aの特性(図5)の相関式が、
M/A=0.235×(Vout)2−2.007×(Vout)+4.6421,
で現されるとすると、
トナー付着量M/Aは1.57g/m2となる。
【0043】
ここで、濃度センサ117で充分な分解能が得られないベタ黒での目標濃度を得るための目標トナー付着量M/Amaxを4.4g/m2とすると、記憶部103に記憶されているトナー付着量M/Aと現像コントラスト電位ΔVとの特性(図6参照:線形特性)に当てはめて、ΔVmaxは281Vが得られる。
【0044】
ここで、ベタ表面電位Vi=100Vとすると、基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧Vdc_refは−381V(=−(281V+100V))と得られる。
これにより、現像ACバイアスのデューティ比DUTYacを50%から30%に変更するには、デューティ比変更時トナー付着量特性(図7)により、
α=(M/A(DUTYac(30)))/(M/A(DUTYac(50)))=1.1,
であるので、
現像DCバイアス電圧Vdc_new=−381/1.1=−343Vと求まる。
【0045】
このようにして、濃度センサ117の分解能が高い中間調のパッチの濃度測定で代用し、高濃度のトナー像に適した現像DCバイアス電圧Vdc_newを誤差なく正しく算出することが可能になる。
【0046】
また、現像ACバイアスのデューティ比DUTYacを他の値に設定する場合でも、以上の説明と同様の手順で現像DCバイアス電圧Vdc_newを求めることができる。
〔その他の実施形態〕
なお、以上の説明では、モノクロあるいは1色の画像形成装置について説明したが、カラー画像形成装置であっても、各色で同様な制御を行うことで良好な結果を得ることができる。
【0047】
また、以上の説明では、現像ACバイアスの基準デューティ比として50%を具体例に示したが、現実の画像形成装置において、トナー付着量M/Aと現像コントラスト電位ΔVとの特性が線形特性になる適切な値を採用することができる。また、実施形態や実施例で説明に用いられた数値は一例であり、適切な値を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施形態の画像形成装置の動作状態を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態の画像形成装置のセンサの特性を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態の画像形成装置の動作状態を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施形態の画像形成装置の動作状態を説明する説明図である。
【図7】本発明の実施形態の画像形成装置の動作状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0049】
100 画像形成装置
101 制御部
103 記憶部
105 操作表示部
113 像担持体
114 中間転写体
117 濃度センサ
103 記憶部
117 濃度センサ
120 画像処理部
140 帯電部
150 露光部
160 現像部
170 転写部
180 定着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電された状態で露光により静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上に前記静電潜像に応じたトナー像を形成する現像ユニットとを含む画像形成部と、前記画像形成部で形成されたトナー像の濃度を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記現像ユニットに印加する現像バイアス電圧を制御する制御手段と、を備えた画像形成装置において適切な現像条件を決定する画像形成装置制御方法であって、
前記制御手段は、
現像コントラスト電位とトナー付着量とが線形特性を示す状態になる現像ACバイアスのデューティ比(基準デューティ比)とした状態で、目標濃度より低い所定濃度の中間調パッチを前記感光体上にトナー像として作成し、この際の前記検知手段の検知結果から前記中間調パッチのトナー付着量を求め、
前記トナー付着量と現像コントラスト電位との特性に基づいて、目標濃度における目標トナー付着量に応じた目標現像コントラスト電位を求め、
該目標現像コントラスト電位から、現像ACバイアスが前記基準デューティ比状態における基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧を求め、
前記現像ACバイアスのデューティ比変化による前記トナー付着量の変化を表すデューティ比変更時トナー付着量特性と、前記基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧とに基づいて、前記現像ACバイアスのデューティ比を変化させた状態におけるデューティ比変更時適正現像DCバイアス電圧を決定する、
ことを特徴とする画像形成装置制御方法。
【請求項2】
帯電された状態で露光により静電潜像が形成される像担持体と、
該像担持体上に前記静電潜像に応じたトナー像を形成する現像ユニットとを含む画像形成部と、
前記画像形成部で形成されたトナー像の濃度を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて、前記現像ユニットに印加する現像バイアス電圧を制御する制御手段と、を備えた画像形成装置であって、
現像コントラスト電位とトナー付着量とが線形特性を示す状態になる現像ACバイアスのデューティ比(基準デューティ比)とした状態で、目標濃度より低い所定濃度の中間調パッチを前記感光体上にトナー像として作成し、この際の前記検知手段の検知結果から前記中間調パッチのトナー付着量を求め、
前記トナー付着量と現像コントラスト電位との特性に基づいて、目標濃度における目標トナー付着量に応じた目標現像コントラスト電位を求め、
該目標現像コントラスト電位から、現像ACバイアスが前記基準デューティ比状態における基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧を求め、
前記現像ACバイアスのデューティ比変化による前記トナー付着量の変化を表すデューティ比変更時トナー付着量特性と、前記基準デューティ比時適正現像DCバイアス電圧とに基づいて、前記現像ACバイアスのデューティ比を変化させた状態におけるデューティ比変更時適正現像DCバイアス電圧を決定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記基準デューティ比は50%である、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記デューティ変更時トナー付着量変化特性は、予め記憶された特性である、
ことを特徴とする請求項2−3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記トナー濃度が高くなるほど、濃度変化に対する分解能が小さくなる特性であり、
前記目標濃度は前記所定濃度より高い濃度である、
ことを特徴とする請求項2−4のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−53446(P2011−53446A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202356(P2009−202356)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】