画像形成装置及びその制御方法
【課題】フルカラー画像とモノクロ画像とを連続して画像形成する際に、パフォーマンスの低下を抑制し、かつ、消耗品の劣化を低減するために、切替シーケンスを最適なタイミングで実行する画像形成装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る画像形成装置は、複数の記録材に対して連続して印刷する場合であって、画像形成モードであるモノクロモードやカラーモードが切り替わる場合に必要となる切替処理の実行開始タイミングを好適に決定する。具体的には、本画像形成装置は、上記実行開始タイミングを、コントローラ部201における画像データの解析処理が終了するタイミングに合わせて上記切替処理が終了するように決定する。
【解決手段】本実施形態に係る画像形成装置は、複数の記録材に対して連続して印刷する場合であって、画像形成モードであるモノクロモードやカラーモードが切り替わる場合に必要となる切替処理の実行開始タイミングを好適に決定する。具体的には、本画像形成装置は、上記実行開始タイミングを、コントローラ部201における画像データの解析処理が終了するタイミングに合わせて上記切替処理が終了するように決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中間転写体を使用する画像形成装置は、複数の感光ドラム上にトナー像を形成し、各トナー像を重ね合わせて中間転写体に一次転写し、その後、紙に二次転写することによりフルカラー画像を形成する。また、近年、画像形成装置をネットワークへ接続することが日常的となり、複数のユーザが同時に様々なプリント要求を出す状況が生まれてきている。そのため、画像形成装置には、モノクロ画像を印字する指示するモード(以下、「モノクロモード」と称する。)とフルカラー画像を印字するモード(以下、「フルカラーモード」と称する。)を混在して指示されるケースが多くなっている。
【0003】
特許文献1には、モノクロモードの印字時には、カラー画像形成ステーションの感光ドラムと中間転写体を離間させるとともに、カラー画像形成ステーションの感光ドラムを回転させない状態においてモノクロ画像を形成する画像形成装置が提案されている。このような画像形成装置では、モノクロ画像形成時にはカラー画像形成ステーションの感光ドラム等の消耗が無いといった利点がある。しかし、フルカラーモードとモノクロモードとが混在したケースでは、一方のモードで印字してから他方のモードで印字するまでに、感光ドラムや中間転写体を所望の動作にする処理(以下、「切替シーケンス」と称する。)を行う必要がある。そこで、画像形成装置のパフォーマンスの低下を抑制するために、特許文献2乃至4では、切替シーケンスをできるだけ早いタイミングで実行したり、切替シーケンスに要する時間を最短にしたりする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−345101号公報
【特許文献2】特開2006−171541号公報
【特許文献3】特開2006−163287号公報
【特許文献4】特開2003−345101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、パフォーマンスの低下を抑制するために、切替シーケンスを最短のタイミングで終了させることを考慮しているが、画像形成ステーションの消耗については考慮されていない。例えば、画像形成処理において、切替シーケンスが終了した場合であっても、コントローラ部における画像データの解析が終了しておらず、エンジン部が待機しなければならない場合がある。この場合、画像形成ステーションにおける感光ドラム等の消耗品の劣化速度を速めてしまう。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、フルカラー画像とモノクロ画像とを連続して画像形成する際に、パフォーマンスの低下を抑制し、かつ、消耗品の劣化を低減するために、切替シーケンスを最適なタイミングで実行する画像形成装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、画像形成を指示する第1制御手段と、第1制御手段の指示に従って画像形成動作を制御する第2制御手段とを備える画像形成装置として実現できる。第1制御手段は、画像が形成される記録材ごとに、画像形成モードとして、単色での画像形成動作を示すモノクロモード又は複数色での画像形成動作を示すカラーモードを指定して、第2制御手段に対して画像形成動作を予約する予約手段と、画像形成動作のための画像データを解析して画像信号に変換する画像処理手段と、画像処理手段による解析結果から求まる画像形成動作の開始を指示するまでの予測時間を、第2制御手段に対して記録材ごとに予告する予告手段と、画像信号への変換が終了すると、画像形成動作の開始を、第2制御手段に対して記録材ごとに指示する指示手段とを備え、第2制御手段は、指示手段によって画像形成動作の開始が指示されると、記録材ごとに指定された画像形成モードで画像形成動作を実行させる画像形成制御手段と、次の記録材に形成する際の画像形成モードが前の記録材に形成した際の画像形成モードと異なる場合に、予測時間に応じて、次の記録材に対する画像形成モードでの画像形成動作のための切替処理の実行開始タイミングを決定する決定手段と、決定された切替処理の実行開始タイミング及び画像形成モードに基づき、画像形成動作を切り替える切替手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、例えば、フルカラー画像とモノクロ画像とを連続して画像形成する際に、パフォーマンスの低下を抑制し、かつ、消耗品の劣化を低減するために、切替シーケンスを最適なタイミングで実行する画像形成装置及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の制御構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るモノクロモード時の画像形成部の状態を示す図である。
【図4】画像形成時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る画像形成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係る切替シーケンスの開始時間を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態に係る画像形成時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】第2の実施形態に係る切替シーケンスの開始時間を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に係る画像形成時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】第2の実施形態に係る生産性を制御するためのテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0011】
<第1の実施形態>
まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る画像形成装置100の制御構成について説明する。画像形成装置100は、制御構成として、コントローラ部(第1制御手段)201、排紙オプション制御部202、エンジン制御部(第2制御手段)203、及び給紙オプション制御部204を備える。また、コントローラ部201は、各制御構成と通信可能に接続され、さらに、ホストコンピュータ200と通信可能に接続されている。
【0012】
コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から画像データと印字命令を受け取り、受け取った画像データを解析するとともに、エンジン制御部203で処理可能な画像信号、例えば、ビットデータに変換する。さらに、コントローラ部201は、ビデオインタフェース部210を介して、紙等の記録材毎に印字予約コマンド、印字開始コマンド、及び、ビデオ信号をエンジン制御部203に送出する。コントローラ部201からエンジン制御部203に対して指定された印字予約はそれぞれのページに対して一意に識別するために、ID1、ID2といったようにIDが順に割り当てられる。コントローラ部201は、エンジン制御部203へ、ホストコンピュータ200からの印字命令に従って印字予約コマンドを送信し、印字可能な状態となったタイミングで、エンジン制御部203へ印字開始コマンドを送信する。ここで、コントローラ部201は、ホストコンピュータ200からの指示に基づいて、排紙オプション制御部202へ排紙制御オプションの使用に関する指示を送出し、給紙オプション制御部204へ給紙制御オプションの使用に関する指示を送出する。
【0013】
エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字予約コマンドを受信すると、記録材の印字モードを確定する。ここで印字モードとは、Normal(1/1速)、Heavy(2/3速)、Gloss(1/3速)等といった記録材の種類や、記録材の種類に対応付けられた搬送速度のことを示す。エンジン制御部203は、コントローラ部201からの印字予約コマンドの順に印字の実行準備を行い、コントローラ部201からの印字開始コマンドを待つ。エンジン制御部203は、画像形成制御手段として機能し、印字指示を受信すると、コントローラ部201に、ビデオ信号の出力の基準タイミングとなる/TOP信号を出力し、印字予約コマンドに従って印字動作(画像形成処理)を開始する。印字動作を開始したエンジン制御部203は、CPU211、画像処理GA212、画像制御部213、定着制御部214、用紙搬送部215、駆動制御部216を制御して印字動作に必要な各負荷の画像形成動作を実行させる。
【0014】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。画像形成装置100は、画像形成部において、コントローラ部201から送信された画像信号に基づいて出力される画像光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して可視画像を重畳転写してカラー可視画像を形成する。さらに、画像形成装置100は、当該カラー可視画像を記録材2へ転写し、記録材2上にカラー可視画像を定着させる。なお、以下で記載するアルファベットY、M、C、Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を示す。
【0015】
画像形成部は、現像色ごとに並置した画像形成ステーションを備える。各画像形成ステーションは、像担持体である感光ドラム5Y、5M、5C、5K、帯電器7Y、7M、7C、7K、現像器8Y、8M、8C、8K、トナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kを備える。さらに、画像形成装置部は、中間転写体12、給紙カセット1、定着器13を備える。また、感光ドラム5Y、5M、5C、5K、帯電器7Y、7M、7C、7K、現像器8Y、8M、8C、8Kは、画像形成装置100の本体に着脱可能なプロセスカートリッジ22Y、22M、22C、22Kに搭載されている。
【0016】
感光ドラム5Y、5M、5C、5Kは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成され、駆動モータの駆動力が伝達されて、反時計回り方向に回転する。スキャナ部10Y、10M、10C、10Kは、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に選択的に露光することにより、静電潜像を形成する。帯電器7Y、7M、7C、7Kは、スリーブ7YS、7MS、7CS、7KSを備え、それぞれ感光ドラム5Y、5M、5C、5Kを帯電させる。現像器8Y、8M、8C、8Kは、スリーブ8YS、8MS、8CS、8CKを備え、上記静電潜像を可視化するために、各ステーション毎にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像を行う。これにより、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kには、トナーによる現像剤像が形成される。
【0017】
中間転写体12は、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kに接触しており、カラー画像形成時に時計回り方向に、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kの回転に伴って回転する。これにより、中間転写体12には可視画像が転写される。また、中間転写体12は、画像形成時に後述する転写ローラ9aが接触して記録材2を狭持搬送することにより記録材2に中間転写体12上に形成されたカラー可視画像を同時に重畳転写する。転写ローラ9aは、中間転写体12上にカラー可視画像を重畳転写している間は、中間転写体に当接させるが、印字処理終了時は、9bの位置に離間する。
【0018】
定着器13は、記録材2を搬送させながら、転写されたカラー可視画像を定着させるものであり、記録材2を加熱する定着ローラ15と記録材2を定着ローラ15に圧接させるための加圧ローラ14とを備える。定着ローラ15と加圧ローラ14は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ16、17が内蔵されている。すなわち、カラー可視画像を担持した記録材2は、定着ローラ15と加圧ローラ14により搬送されるとともに、熱及び圧力が加えられてトナーが表面に定着される。その後、記録材2は、機外に排出される。
【0019】
さらに、画像形成装置100は、搬送路上を搬送される記録材を検知するために、下段搬送センサ23、25、上段搬送センサ24、26、レジストセンサ19、定着前センサ27、定着排紙センサ20、及び排紙センサ28を備える。これらのセンサにより、画像形成装置100は、記録材の搬送状況を管理する。クリーニング装置21は、感光ドラム5Y、5M、5C、5K及び中間転写体12上に残った廃トナーを除去する。
【0020】
なお、図2では、カラーモード(又は、フルカラーモードと称する。)で画像形成を行う際の状態が示されている。具体的には、カラーモードでの画像形成では、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kが、中間転写体12に当接している。ここで、カラーモードとは、複数色による画像形成を実行する画像形成モードを示す。また、画像形成モードには、カラーモードの他に、単色での画像形成を実行するモノクロモードがある。次に、図3を参照して、モノクロモードでの画像形成を行う際の状態について説明する。
【0021】
モノクロモードでの画像形成では、図3に示すように、感光ドラム5Y、5M、5Cと、中間転写体12及び現像器8Y、8M、8Cとが離間状態となり、プロセスカートリッジ22Y、22M、22Cが駆動されない状態となる。一方、感光ドラム5Kと、中間転写体12及び現像器8Kとが当接状態となり、プロセスカートリッジ22Kが駆動され、モノクロ画像が形成される。これにより、画像形成装置100は、画像形成ごとに、必要ないプロセスカートリッジの駆動を停止することで、消耗品の劣化速度を低減する。
【0022】
次に、図4を参照して、画像形成時の各部の動作タイミングについて説明する。なお、図4では、コントローラ部201の解析処理の時間遅延によって、切替シーケンス終了時に、すぐに次の画像形成動作が行えないケースを示している。また、以下で記載するtは、タイミングを示す。
【0023】
コントローラ部201は、t400において、ホストコンピュータ200から画像情報と印刷命令を受信し、t401において、エンジン制御部203へ印字予約コマンドを送信する。図4に示す例では、コントローラ部201は、エンジン制御部203に対して、1枚目にモノクロモード指定し、2枚目にフルカラーモードを指定して予約する。また、t402において、コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から受け取った画像データを解析して、解析結果にから求まるエンジン制御部203に対して印字開始コマンドを送信できるまでの予測時間を通知するための印字開始予告コマンドを送信する。ここで、印字開始コマンドを送信できるまでの予測時間とは、コントローラ部201が画像形成対象となる画像データをビットマップデータに変換し、エンジン制御部203に対してビデオ信号を送信するまでの予測時間を示す。つまり、予測時間とは、エンジン制御部203による画像形成処理の開始時間の予測時間を示す。
【0024】
エンジン制御部203は、コントローラ部201から通知された予測時間Tp1と、前回転シーケンスに要する時間Teを比較して、Tp1<Teの場合は、t402において前回転シーケンスを開始する。ここで、前回転シーケンスとは、エンジン制御部203で行われる印字動作を行うための前処理を示す。ここで、エンジン制御部203は、モノクロモード用の前回転シーケンスを実行し、カラーの現像色に対応する感光ドラム5Y、5M、5Cと、中間転写体12及び現像器8Y、8M、8Cとを離間状態とし、対応するプロセスカートリッジを非駆動状態とする。続いて、t403において、エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字開始コマンドを受信し、画像形成可能なタイミング(t404、t420、t421)で/TOP信号を出力して印字動作(プリントシーケンス)を開始する。なお、図4では、t420がエンジン制御部203からコントローラ部201への/TOP信号の出力タイミングを示し、t421がコントローラ部201からエンジン制御部203への画像データの出力タイミングを示す。
【0025】
次に、t405において、エンジン制御部203は、プリントシーケンス中にコントローラ部201から2枚目の印字開始予告コマンドを受信する。その後、t406において、エンジン制御部203は、1枚目のプリントシーケンスが終了すると、切替シーケンスを実行する。ここで、切替シーケンスとは、フルカラーモードとモノクロモードとが混在する画像形成処理において、一方のモードで印字してから他方のモードで印字するまでに、感光ドラムや中間転写体を所望の動作にする処理を示す。ここでは、モノクロモードからフルカラーモードに切り替えるために、各エンジンが図3に示す状態から図2に示す状態に切り替えられる。具体的には、エンジン制御部203は、感光ドラム5Y、5M、5Cと、中間転写体12及び現像器8Y、8M、8Cを離間状態から当接状態に切り替え、対応するプロセスカートリッジを駆動状態にする。
【0026】
ここで、エンジン制御部203が2枚目(フルカラーモード)に対して/TOP信号を出力するタイミングについて説明する。エンジン制御部203が/TOP信号を出力する時間間隔は、コントローラ部201から印字予約コマンドによって指定された記録材2の種類によって決定される。画像形成装置100の生産性を示すスループットppmは、記録材2の種類によって、予め定めれられており、例えばNormal(1/1速)であれば、30ppmである。このとき、エンジン制御部203が/TOP信号を出力する時間間隔は、60/30=2(秒)となる。
【0027】
例えば、モノクロモードとフルカラーモードの切り替えが発生しない場合は、エンジン制御部203が/TOP信号を出力可能なタイミングは、図4に示すt422(切替シーケンス終了時よりも前のタイミング)となる。しかし、図4に示す例では切替シーケンスが発生しており、エンジン制御部203は、t407において、切替シーケンスを終了し、t423において/TOP信号を出力する。さらに、図4に示す例では、切替シーケンスが終了するタイミング(t407)よりも、コントローラ部201から指定された2枚目(フルカラーモード)の予測時間Tp2のタイミングの方が遅い。したがって、エンジン制御部203は、Tsの時間だけ、/TOP信号を出力することができない。この場合、エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字開始コマンドを受信した時点で、/TOP信号を出力し、フルカラーモードの画像形成動作を行う(t408、t424、t425)。以上のように、エンジン制御部203は、フルカラーモードの状態でTsの時間だけ画像形成動作を待つ状態が発生し、結果として、感光ドラム5Y、5M、5Cと現像器8Y、8M、8Cを無駄に回転させてしまい、感光ドラム5の寿命の劣化を早めてしまう。
【0028】
そこで、本実施形態によれば、コントローラ部201の解析処理の時間遅延を考慮して、切替シーケンスを開始することで、パフォーマンスの低下を抑制するとともに、消耗品の劣化速度を低下(劣化度合を軽減)させる。以下では、図5を参照して、本実施形態に係る画像形成処理の処理手順について説明する。なお、以下で記載するSに続く数字は、ステップ番号を示す。
【0029】
S500において、エンジン制御部203は、コントローラ部201から指定された画像情報から、1枚目の用紙がフルカラーモードであるかモノクロモードであるかを判定する。ここで、エンジン制御部203は、1枚目の用紙がフルカラーモードであれば、S501に進み、フルカラーモード用の前回転シーケンスを実行し、1枚目の用紙がモノクロモードであれば、S502に進み、モノクロモード用の前回転シーケンスを実行する。続いて、S503において、エンジン制御部203は、/TOP信号を出力可能なタイミングか否かを判定する。ここで、エンジン制御部203は、/TOP信号を出力可能なタイミングであれば、S504に進み、/TOP信号を出力して印字動作を開始してS505に進む。一方、/TOP信号を出力可能なタイミングでない場合は、S505に進む。
【0030】
次に、S505において、エンジン制御部203は、コントローラ部201から指定された次の用紙のモードと現在のモードとを比較し、切替シーケンスを実行する必要があるか否かを判定する。切替シーケンスを実行する必要がある場合はS506に進み、エンジン制御部203は、切替シーケンスを実行可能なタイミングか否かを判定する。ここで、エンジン制御部203は、切替シーケンスを実行可能なタイミングでなければ、切替シーケンスを実行可能なタイミングまで待機し、切替シーケンスを実行可能なタイミングになった時点でS507に進む。
【0031】
S507において、エンジン制御部203は、どのモードからどのモードへの切り替えかを判定する。フルカラーモードからモノクロモードへの切り替えの場合はS510に進み、エンジン制御部203は、その時点で切替シーケンスを実行する。一方、モノクロモードからフルカラーモードへの切り替えの場合はS508に進み、エンジン制御部203は、切替シーケンスの開始時間(実行開始タイミング)Tsを決定する処理を実行する。
【0032】
ここで、図4及び図6を参照して、切替シーケンスの開始時間Tsを決定する処理について説明する。図4に示すように、エンジン制御部203がコントローラ部201から2枚目の印字開始予告コマンドを受信したタイミング(t405)から、切替シーケンスを開始することが可能になったタイミング(t406)までの期間をTaとする。またコントローラ部201から印字開始予告コマンドで指定された予測時間Tp2とする。
【0033】
図6に示すS550において、エンジン制御部203は、切替シーケンスを開始することが可能となったタイミングから次の用紙に対して/TOP信号の出力が可能になるまでの時間(Tp2−Ta)と、切替シーケンスに要する時間Tcとを比較する。ここで、Tc<(Tp2−Ta)が成立する場合はS551に進み、エンジン制御部203は、切替シーケンスを開始する時間TsをTs=(Tp2−Ta)−Tsの式により算出する。一方、Tc<(Tp2−Ta)が成立しない場合はS552に進み、エンジン制御部203は、Ts=0とする。
【0034】
図5の説明に戻る。切替シーケンスの開始時間Tsが決定されると、S509において、エンジン制御部203は、開始時間Tsの時間が経過するまで切替シーケンスの開始を待機する。開始時間Tsの時間が経過すると、S510に進み、エンジン制御部203は、切替シーケンスを開始する。切替シーケンスが終了すると、S511において、エンジン制御部203は、画像形成終了か否かを判定し、まだ画像形成を継続する場合は、S503に戻り、次の用紙に対して/TOP信号を出力してよい否かを判定する。一方、エンジン制御部203は、S511において画像形成を終了すると判断した場合は、後回転シーケンスを実行する。ここで、後回転シーケンスとは、印字動作の後処理を示し、高圧の印加、及び、アクチュエータの駆動が停止される。
【0035】
次に、図7を参照して、図5及び図6のフローチャートを実行した場合における画像形成時の各部の動作タイミングについて説明する。コントローラ部201は、t600において、ホストコンピュータ200から画像情報と印刷命令を受信し、t601において、エンジン制御部203へ印字予約コマンドを送信する。さらに、コントローラ部201は、t602及びt605において、ホストコンピュータ200から受け取った画像情報を解析して、エンジン制御部203に対して印字開始コマンドを送信できるまでの予測時間を通知するための印字開始予告コマンドを送信する。エンジン制御部203は、上述した手順に従って決定された切替シーケンスの開始時間Tsが経過したタイミング(t607)で切替シーケンスを開始する。ここで、エンジン制御部203は、切替シーケンスによって、感光ドラム5Y、5M、5Cと、中間転写体12及び現像器8Y、8M、8Cとを当接状態とし、対応するプロセスカートリッジ22Y、22M、22Cを駆動した状態にする。
【0036】
その後、t608において、エンジン制御部203は、切替シーケンスを終了し、/TOP信号を出力可能か否かを判定する。具体的には、エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字開始コマンドを受信しているか否かを判定し、コントローラ部201から印字開始コマンドを受信した時点で、/TOP信号を出力して印字動作を開始する(t608、t624、t625)。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、複数の記録材に対して連続して印刷する場合であって、画像形成モードであるモノクロモードやカラーモードが切り替わる場合に必要となる切替処理の実行開始タイミングを好適に決定する。具体的には、本画像形成装置は、上記実行開始タイミングを、コントローラ部201における画像データの解析処理が終了するタイミング(予測時間Tp)に合わせて上記切替処理が終了するようにタイミングを決定する。これにより、本画像形成装置は、プロセスカートリッジ22Y、22M、22Cの無駄な駆動時間を削除して、消耗品の無駄な劣化を低減する。一方、本実施形態では、図5のS507乃至S510に示すように、カラーモードからモノクロモードに切り替える際は、実行開始タイミングを決定することなく、前の記録材に対する画像形成が終了すると、切替シーケンスを実行する。これにより、モノクロモードでは必要ないプロセスカートリッジ22Y、22M、22Cの無駄な駆動時間を削除することができる。
【0038】
<第2の実施形態>
以下では、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態でのコントローラ部201の解析処理の時間遅延に加え、エンジン制御部203による画像形成タイミングの遅延を考慮して、切替シーケンスの開始タイミングを決定する。ここで、画像形成タイミングの遅延とは、例えば、定着器13の状態による画像形成の遅延を示す。具体的には、定着器13の温度が所定の温度に到達していない場合がある。特に、小サイズの記録材2を印字する場合には、定着器13のヒータ端部の温度が上昇することによるヒータの破損等を防止するために、定着器13の温度に応じて、生産性を段階的に低くする制御、例えば記録材の搬送間隔(紙間)を段階的に広げて端部の温度上昇を抑制する制御が広く知られている。本実施形態においても、定着器13の端部の温度を、ヒータ端部の温度を検出するサーミスタを用いることで検出する。
【0039】
エンジン制御部203が定着器13の端部の温度に応じて生産性を低下させるために使用するテーブルを図10に示す。図10に示す1001ように、エンジン制御部203は、記録材2の種類と主走査方向幅に応じて、定着器13の端部の温度が所定の温度以上になっているか否かを判定する。エンジン制御部203は、例えば、記録材種類が「Normal」で主走査方向幅が「290mm」の場合は、定着器13の端部の温度が270度以上か否かを判定する。なお、ここで、主走査方向幅とは、記録材の搬送方向に対して垂直となる方向の記録材の長さを示す。
【0040】
ここで、エンジン制御部203は、定着器13の端部の温度が所定の温度以上になっていた場合は、生産性テーブル1003を参照し、第2の生産性(スループット)を採用する。例えば、Normalで主走査方向幅が290mmの場合は、生産性を15ppmとする。そしてそれ以降は、オフセットテーブル1002により、さらに定着器13の端部の温度が所定の温度以上であるか否かを判定する。例えば、Normalで主走査方向幅が290mmの場合は、270+5度以上か否かを判定する。ここで、エンジン制御部203は、定着器13の端部の温度が所定の温度以上である場合は、生産性テーブル1003を参照して、第3の生産性(スループット)を採用する。例えば、Normalで主走査方向幅が290mmの場合は、10ppmとする。以降、エンジン制御部203は、定着器13の端部の温度が所定の温度となるまで、第4、第5の生産性を採用する。
【0041】
また、/TOP出力条件を遅延させる要因としては、画像形成装置100内の温度上昇や中間転写体12の汚れ状況、各種モータの回転数が安定するまでの時間等も考えられる。従って、プロセスカートリッジ22Y、22M、22Cの無駄な劣化を効果的に防ぐためには、コントローラ部201の解析処理の時間遅延に加え、エンジン制御部203の画像形成タイミングの遅延要因を全て考慮して、切替シーケンスを開始する必要がある。
【0042】
次に、図8を参照して、全ての画像形成タイミングの遅延要因を考慮した上で、切替シーケンスの開始時間Tsを決定する処理手順について説明する。まず、S700において、エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字開始予告コマンドによって指定された予測時間を用いて、切替シーケンスの開始可能なタイミングを基点とした/TOPの出力タイミングTtop1を、Ttop1=Tp2−Taにより算出する。
【0043】
次に、S701において、エンジン制御部203は、定着温度による画像形成タイミングの遅延量を取得して、切替シーケンス開始可能なタイミングを基点とした/TOP出力タイミングTtop2を算出する。続いて、S702において、エンジン制御部203は、その他、様々な要因で画像形成タイミング遅延となる要因に対して画像形成タイミングの遅延量を取得して、それぞれの要因に対して/TOP出力タイミングTtopnを算出する。さらに、S703において、エンジン制御部203は、Ttop1からTtopnまでの推測された遅延要因から最大の/TOP出力タイミングTtop_maxを決定する。
【0044】
次に、S704において、エンジン制御部203は、最大の/TOP出力タイミングTtop_maxと切替シーケンスにかかる時間Tcとを比較する。ここで、エンジン制御部203は、Tc<Ttop_maxが成立する場合はS705に進み、切替シーケンスを開始する時間Tsを、Ts=Ttop_max−Tsにより算出する。一方、エンジン制御部203は、Tc<Ttop_maxが成立しない場合はS706に進み、Ts=0とする。
【0045】
次に、図9を参照して、図8のフローチャートを実行した場合における画像形成時の各部の動作タイミングについて説明する。コントローラ部201は、t800において、ホストコンピュータ200から画像情報と印刷命令を受信し、t801において、エンジン制御部203へ印字予約コマンドを送信する。さらに、コントローラ部201は、t802及びt805において、ホストコンピュータ200から受け取った画像情報を解析して、エンジン制御部203に対して印字開始コマンドを送信できるまでの予測時間を通知するための印字開始予告コマンドを送信する。エンジン制御部203は、上述した手順に従って決定された切替シーケンスの開始時間Tsが経過したタイミング(t807)で切替シーケンスを開始する。ここで、エンジン制御部203は、切替シーケンスによって、感光ドラム5Y、5M、5Cと、中間転写体12及び現像器8Y、8M、8Cとを当接状態とし、対応するプロセスカートリッジ22Y、22M、22Cを駆動した状態にする。
【0046】
その後、t809において、エンジン制御部203は、切替シーケンスを終了し、/TOP信号を出力可能か否かを判定する。具体的には、エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字開始コマンドを受信している否かを判定し、他の画像形成タイミングの遅延要因を判断し、画像形成可能であれば/TOP信号を出力して印字動作を開始する(t809、t824、t825)。
【0047】
上述したように、本実施形態では、例えば、モノクロモードからフルカラーモードに切り替える際に、コントローラ部201の解析処理の時間遅延に加え、エンジン制御部203による遅延も考慮して切替処理の実行開始タイミングを決定する。ここで、エンジン制御部に203による遅延とは、例えば、本実施形態で説明したように定着器13の状態による画像形成タイミングの遅延を示す。さらに、本発明は、これに限定されず、エンジン制御部203による遅延要因として、様々な時間を想定する。例えば、遅延要因としては、各負荷を回転させるためのモータが所定の回転数に安定するまでの時間、クリーニング処理に要する時間、及び画像形成装置100の内部温度が所定範囲の温度に到達するまでの時間の少なくとも1つの時間が考慮されてもよい。また、クリーニング処理とは、前の記録材に対する画像形成によって感光ドラム5や中間転写体12に残留するトナーを除去するための処理を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中間転写体を使用する画像形成装置は、複数の感光ドラム上にトナー像を形成し、各トナー像を重ね合わせて中間転写体に一次転写し、その後、紙に二次転写することによりフルカラー画像を形成する。また、近年、画像形成装置をネットワークへ接続することが日常的となり、複数のユーザが同時に様々なプリント要求を出す状況が生まれてきている。そのため、画像形成装置には、モノクロ画像を印字する指示するモード(以下、「モノクロモード」と称する。)とフルカラー画像を印字するモード(以下、「フルカラーモード」と称する。)を混在して指示されるケースが多くなっている。
【0003】
特許文献1には、モノクロモードの印字時には、カラー画像形成ステーションの感光ドラムと中間転写体を離間させるとともに、カラー画像形成ステーションの感光ドラムを回転させない状態においてモノクロ画像を形成する画像形成装置が提案されている。このような画像形成装置では、モノクロ画像形成時にはカラー画像形成ステーションの感光ドラム等の消耗が無いといった利点がある。しかし、フルカラーモードとモノクロモードとが混在したケースでは、一方のモードで印字してから他方のモードで印字するまでに、感光ドラムや中間転写体を所望の動作にする処理(以下、「切替シーケンス」と称する。)を行う必要がある。そこで、画像形成装置のパフォーマンスの低下を抑制するために、特許文献2乃至4では、切替シーケンスをできるだけ早いタイミングで実行したり、切替シーケンスに要する時間を最短にしたりする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−345101号公報
【特許文献2】特開2006−171541号公報
【特許文献3】特開2006−163287号公報
【特許文献4】特開2003−345101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、パフォーマンスの低下を抑制するために、切替シーケンスを最短のタイミングで終了させることを考慮しているが、画像形成ステーションの消耗については考慮されていない。例えば、画像形成処理において、切替シーケンスが終了した場合であっても、コントローラ部における画像データの解析が終了しておらず、エンジン部が待機しなければならない場合がある。この場合、画像形成ステーションにおける感光ドラム等の消耗品の劣化速度を速めてしまう。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、フルカラー画像とモノクロ画像とを連続して画像形成する際に、パフォーマンスの低下を抑制し、かつ、消耗品の劣化を低減するために、切替シーケンスを最適なタイミングで実行する画像形成装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、画像形成を指示する第1制御手段と、第1制御手段の指示に従って画像形成動作を制御する第2制御手段とを備える画像形成装置として実現できる。第1制御手段は、画像が形成される記録材ごとに、画像形成モードとして、単色での画像形成動作を示すモノクロモード又は複数色での画像形成動作を示すカラーモードを指定して、第2制御手段に対して画像形成動作を予約する予約手段と、画像形成動作のための画像データを解析して画像信号に変換する画像処理手段と、画像処理手段による解析結果から求まる画像形成動作の開始を指示するまでの予測時間を、第2制御手段に対して記録材ごとに予告する予告手段と、画像信号への変換が終了すると、画像形成動作の開始を、第2制御手段に対して記録材ごとに指示する指示手段とを備え、第2制御手段は、指示手段によって画像形成動作の開始が指示されると、記録材ごとに指定された画像形成モードで画像形成動作を実行させる画像形成制御手段と、次の記録材に形成する際の画像形成モードが前の記録材に形成した際の画像形成モードと異なる場合に、予測時間に応じて、次の記録材に対する画像形成モードでの画像形成動作のための切替処理の実行開始タイミングを決定する決定手段と、決定された切替処理の実行開始タイミング及び画像形成モードに基づき、画像形成動作を切り替える切替手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、例えば、フルカラー画像とモノクロ画像とを連続して画像形成する際に、パフォーマンスの低下を抑制し、かつ、消耗品の劣化を低減するために、切替シーケンスを最適なタイミングで実行する画像形成装置及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の制御構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るモノクロモード時の画像形成部の状態を示す図である。
【図4】画像形成時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る画像形成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係る切替シーケンスの開始時間を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態に係る画像形成時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】第2の実施形態に係る切替シーケンスの開始時間を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に係る画像形成時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】第2の実施形態に係る生産性を制御するためのテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0011】
<第1の実施形態>
まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る画像形成装置100の制御構成について説明する。画像形成装置100は、制御構成として、コントローラ部(第1制御手段)201、排紙オプション制御部202、エンジン制御部(第2制御手段)203、及び給紙オプション制御部204を備える。また、コントローラ部201は、各制御構成と通信可能に接続され、さらに、ホストコンピュータ200と通信可能に接続されている。
【0012】
コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から画像データと印字命令を受け取り、受け取った画像データを解析するとともに、エンジン制御部203で処理可能な画像信号、例えば、ビットデータに変換する。さらに、コントローラ部201は、ビデオインタフェース部210を介して、紙等の記録材毎に印字予約コマンド、印字開始コマンド、及び、ビデオ信号をエンジン制御部203に送出する。コントローラ部201からエンジン制御部203に対して指定された印字予約はそれぞれのページに対して一意に識別するために、ID1、ID2といったようにIDが順に割り当てられる。コントローラ部201は、エンジン制御部203へ、ホストコンピュータ200からの印字命令に従って印字予約コマンドを送信し、印字可能な状態となったタイミングで、エンジン制御部203へ印字開始コマンドを送信する。ここで、コントローラ部201は、ホストコンピュータ200からの指示に基づいて、排紙オプション制御部202へ排紙制御オプションの使用に関する指示を送出し、給紙オプション制御部204へ給紙制御オプションの使用に関する指示を送出する。
【0013】
エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字予約コマンドを受信すると、記録材の印字モードを確定する。ここで印字モードとは、Normal(1/1速)、Heavy(2/3速)、Gloss(1/3速)等といった記録材の種類や、記録材の種類に対応付けられた搬送速度のことを示す。エンジン制御部203は、コントローラ部201からの印字予約コマンドの順に印字の実行準備を行い、コントローラ部201からの印字開始コマンドを待つ。エンジン制御部203は、画像形成制御手段として機能し、印字指示を受信すると、コントローラ部201に、ビデオ信号の出力の基準タイミングとなる/TOP信号を出力し、印字予約コマンドに従って印字動作(画像形成処理)を開始する。印字動作を開始したエンジン制御部203は、CPU211、画像処理GA212、画像制御部213、定着制御部214、用紙搬送部215、駆動制御部216を制御して印字動作に必要な各負荷の画像形成動作を実行させる。
【0014】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。画像形成装置100は、画像形成部において、コントローラ部201から送信された画像信号に基づいて出力される画像光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して可視画像を重畳転写してカラー可視画像を形成する。さらに、画像形成装置100は、当該カラー可視画像を記録材2へ転写し、記録材2上にカラー可視画像を定着させる。なお、以下で記載するアルファベットY、M、C、Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を示す。
【0015】
画像形成部は、現像色ごとに並置した画像形成ステーションを備える。各画像形成ステーションは、像担持体である感光ドラム5Y、5M、5C、5K、帯電器7Y、7M、7C、7K、現像器8Y、8M、8C、8K、トナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kを備える。さらに、画像形成装置部は、中間転写体12、給紙カセット1、定着器13を備える。また、感光ドラム5Y、5M、5C、5K、帯電器7Y、7M、7C、7K、現像器8Y、8M、8C、8Kは、画像形成装置100の本体に着脱可能なプロセスカートリッジ22Y、22M、22C、22Kに搭載されている。
【0016】
感光ドラム5Y、5M、5C、5Kは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成され、駆動モータの駆動力が伝達されて、反時計回り方向に回転する。スキャナ部10Y、10M、10C、10Kは、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に選択的に露光することにより、静電潜像を形成する。帯電器7Y、7M、7C、7Kは、スリーブ7YS、7MS、7CS、7KSを備え、それぞれ感光ドラム5Y、5M、5C、5Kを帯電させる。現像器8Y、8M、8C、8Kは、スリーブ8YS、8MS、8CS、8CKを備え、上記静電潜像を可視化するために、各ステーション毎にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像を行う。これにより、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kには、トナーによる現像剤像が形成される。
【0017】
中間転写体12は、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kに接触しており、カラー画像形成時に時計回り方向に、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kの回転に伴って回転する。これにより、中間転写体12には可視画像が転写される。また、中間転写体12は、画像形成時に後述する転写ローラ9aが接触して記録材2を狭持搬送することにより記録材2に中間転写体12上に形成されたカラー可視画像を同時に重畳転写する。転写ローラ9aは、中間転写体12上にカラー可視画像を重畳転写している間は、中間転写体に当接させるが、印字処理終了時は、9bの位置に離間する。
【0018】
定着器13は、記録材2を搬送させながら、転写されたカラー可視画像を定着させるものであり、記録材2を加熱する定着ローラ15と記録材2を定着ローラ15に圧接させるための加圧ローラ14とを備える。定着ローラ15と加圧ローラ14は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ16、17が内蔵されている。すなわち、カラー可視画像を担持した記録材2は、定着ローラ15と加圧ローラ14により搬送されるとともに、熱及び圧力が加えられてトナーが表面に定着される。その後、記録材2は、機外に排出される。
【0019】
さらに、画像形成装置100は、搬送路上を搬送される記録材を検知するために、下段搬送センサ23、25、上段搬送センサ24、26、レジストセンサ19、定着前センサ27、定着排紙センサ20、及び排紙センサ28を備える。これらのセンサにより、画像形成装置100は、記録材の搬送状況を管理する。クリーニング装置21は、感光ドラム5Y、5M、5C、5K及び中間転写体12上に残った廃トナーを除去する。
【0020】
なお、図2では、カラーモード(又は、フルカラーモードと称する。)で画像形成を行う際の状態が示されている。具体的には、カラーモードでの画像形成では、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kが、中間転写体12に当接している。ここで、カラーモードとは、複数色による画像形成を実行する画像形成モードを示す。また、画像形成モードには、カラーモードの他に、単色での画像形成を実行するモノクロモードがある。次に、図3を参照して、モノクロモードでの画像形成を行う際の状態について説明する。
【0021】
モノクロモードでの画像形成では、図3に示すように、感光ドラム5Y、5M、5Cと、中間転写体12及び現像器8Y、8M、8Cとが離間状態となり、プロセスカートリッジ22Y、22M、22Cが駆動されない状態となる。一方、感光ドラム5Kと、中間転写体12及び現像器8Kとが当接状態となり、プロセスカートリッジ22Kが駆動され、モノクロ画像が形成される。これにより、画像形成装置100は、画像形成ごとに、必要ないプロセスカートリッジの駆動を停止することで、消耗品の劣化速度を低減する。
【0022】
次に、図4を参照して、画像形成時の各部の動作タイミングについて説明する。なお、図4では、コントローラ部201の解析処理の時間遅延によって、切替シーケンス終了時に、すぐに次の画像形成動作が行えないケースを示している。また、以下で記載するtは、タイミングを示す。
【0023】
コントローラ部201は、t400において、ホストコンピュータ200から画像情報と印刷命令を受信し、t401において、エンジン制御部203へ印字予約コマンドを送信する。図4に示す例では、コントローラ部201は、エンジン制御部203に対して、1枚目にモノクロモード指定し、2枚目にフルカラーモードを指定して予約する。また、t402において、コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から受け取った画像データを解析して、解析結果にから求まるエンジン制御部203に対して印字開始コマンドを送信できるまでの予測時間を通知するための印字開始予告コマンドを送信する。ここで、印字開始コマンドを送信できるまでの予測時間とは、コントローラ部201が画像形成対象となる画像データをビットマップデータに変換し、エンジン制御部203に対してビデオ信号を送信するまでの予測時間を示す。つまり、予測時間とは、エンジン制御部203による画像形成処理の開始時間の予測時間を示す。
【0024】
エンジン制御部203は、コントローラ部201から通知された予測時間Tp1と、前回転シーケンスに要する時間Teを比較して、Tp1<Teの場合は、t402において前回転シーケンスを開始する。ここで、前回転シーケンスとは、エンジン制御部203で行われる印字動作を行うための前処理を示す。ここで、エンジン制御部203は、モノクロモード用の前回転シーケンスを実行し、カラーの現像色に対応する感光ドラム5Y、5M、5Cと、中間転写体12及び現像器8Y、8M、8Cとを離間状態とし、対応するプロセスカートリッジを非駆動状態とする。続いて、t403において、エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字開始コマンドを受信し、画像形成可能なタイミング(t404、t420、t421)で/TOP信号を出力して印字動作(プリントシーケンス)を開始する。なお、図4では、t420がエンジン制御部203からコントローラ部201への/TOP信号の出力タイミングを示し、t421がコントローラ部201からエンジン制御部203への画像データの出力タイミングを示す。
【0025】
次に、t405において、エンジン制御部203は、プリントシーケンス中にコントローラ部201から2枚目の印字開始予告コマンドを受信する。その後、t406において、エンジン制御部203は、1枚目のプリントシーケンスが終了すると、切替シーケンスを実行する。ここで、切替シーケンスとは、フルカラーモードとモノクロモードとが混在する画像形成処理において、一方のモードで印字してから他方のモードで印字するまでに、感光ドラムや中間転写体を所望の動作にする処理を示す。ここでは、モノクロモードからフルカラーモードに切り替えるために、各エンジンが図3に示す状態から図2に示す状態に切り替えられる。具体的には、エンジン制御部203は、感光ドラム5Y、5M、5Cと、中間転写体12及び現像器8Y、8M、8Cを離間状態から当接状態に切り替え、対応するプロセスカートリッジを駆動状態にする。
【0026】
ここで、エンジン制御部203が2枚目(フルカラーモード)に対して/TOP信号を出力するタイミングについて説明する。エンジン制御部203が/TOP信号を出力する時間間隔は、コントローラ部201から印字予約コマンドによって指定された記録材2の種類によって決定される。画像形成装置100の生産性を示すスループットppmは、記録材2の種類によって、予め定めれられており、例えばNormal(1/1速)であれば、30ppmである。このとき、エンジン制御部203が/TOP信号を出力する時間間隔は、60/30=2(秒)となる。
【0027】
例えば、モノクロモードとフルカラーモードの切り替えが発生しない場合は、エンジン制御部203が/TOP信号を出力可能なタイミングは、図4に示すt422(切替シーケンス終了時よりも前のタイミング)となる。しかし、図4に示す例では切替シーケンスが発生しており、エンジン制御部203は、t407において、切替シーケンスを終了し、t423において/TOP信号を出力する。さらに、図4に示す例では、切替シーケンスが終了するタイミング(t407)よりも、コントローラ部201から指定された2枚目(フルカラーモード)の予測時間Tp2のタイミングの方が遅い。したがって、エンジン制御部203は、Tsの時間だけ、/TOP信号を出力することができない。この場合、エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字開始コマンドを受信した時点で、/TOP信号を出力し、フルカラーモードの画像形成動作を行う(t408、t424、t425)。以上のように、エンジン制御部203は、フルカラーモードの状態でTsの時間だけ画像形成動作を待つ状態が発生し、結果として、感光ドラム5Y、5M、5Cと現像器8Y、8M、8Cを無駄に回転させてしまい、感光ドラム5の寿命の劣化を早めてしまう。
【0028】
そこで、本実施形態によれば、コントローラ部201の解析処理の時間遅延を考慮して、切替シーケンスを開始することで、パフォーマンスの低下を抑制するとともに、消耗品の劣化速度を低下(劣化度合を軽減)させる。以下では、図5を参照して、本実施形態に係る画像形成処理の処理手順について説明する。なお、以下で記載するSに続く数字は、ステップ番号を示す。
【0029】
S500において、エンジン制御部203は、コントローラ部201から指定された画像情報から、1枚目の用紙がフルカラーモードであるかモノクロモードであるかを判定する。ここで、エンジン制御部203は、1枚目の用紙がフルカラーモードであれば、S501に進み、フルカラーモード用の前回転シーケンスを実行し、1枚目の用紙がモノクロモードであれば、S502に進み、モノクロモード用の前回転シーケンスを実行する。続いて、S503において、エンジン制御部203は、/TOP信号を出力可能なタイミングか否かを判定する。ここで、エンジン制御部203は、/TOP信号を出力可能なタイミングであれば、S504に進み、/TOP信号を出力して印字動作を開始してS505に進む。一方、/TOP信号を出力可能なタイミングでない場合は、S505に進む。
【0030】
次に、S505において、エンジン制御部203は、コントローラ部201から指定された次の用紙のモードと現在のモードとを比較し、切替シーケンスを実行する必要があるか否かを判定する。切替シーケンスを実行する必要がある場合はS506に進み、エンジン制御部203は、切替シーケンスを実行可能なタイミングか否かを判定する。ここで、エンジン制御部203は、切替シーケンスを実行可能なタイミングでなければ、切替シーケンスを実行可能なタイミングまで待機し、切替シーケンスを実行可能なタイミングになった時点でS507に進む。
【0031】
S507において、エンジン制御部203は、どのモードからどのモードへの切り替えかを判定する。フルカラーモードからモノクロモードへの切り替えの場合はS510に進み、エンジン制御部203は、その時点で切替シーケンスを実行する。一方、モノクロモードからフルカラーモードへの切り替えの場合はS508に進み、エンジン制御部203は、切替シーケンスの開始時間(実行開始タイミング)Tsを決定する処理を実行する。
【0032】
ここで、図4及び図6を参照して、切替シーケンスの開始時間Tsを決定する処理について説明する。図4に示すように、エンジン制御部203がコントローラ部201から2枚目の印字開始予告コマンドを受信したタイミング(t405)から、切替シーケンスを開始することが可能になったタイミング(t406)までの期間をTaとする。またコントローラ部201から印字開始予告コマンドで指定された予測時間Tp2とする。
【0033】
図6に示すS550において、エンジン制御部203は、切替シーケンスを開始することが可能となったタイミングから次の用紙に対して/TOP信号の出力が可能になるまでの時間(Tp2−Ta)と、切替シーケンスに要する時間Tcとを比較する。ここで、Tc<(Tp2−Ta)が成立する場合はS551に進み、エンジン制御部203は、切替シーケンスを開始する時間TsをTs=(Tp2−Ta)−Tsの式により算出する。一方、Tc<(Tp2−Ta)が成立しない場合はS552に進み、エンジン制御部203は、Ts=0とする。
【0034】
図5の説明に戻る。切替シーケンスの開始時間Tsが決定されると、S509において、エンジン制御部203は、開始時間Tsの時間が経過するまで切替シーケンスの開始を待機する。開始時間Tsの時間が経過すると、S510に進み、エンジン制御部203は、切替シーケンスを開始する。切替シーケンスが終了すると、S511において、エンジン制御部203は、画像形成終了か否かを判定し、まだ画像形成を継続する場合は、S503に戻り、次の用紙に対して/TOP信号を出力してよい否かを判定する。一方、エンジン制御部203は、S511において画像形成を終了すると判断した場合は、後回転シーケンスを実行する。ここで、後回転シーケンスとは、印字動作の後処理を示し、高圧の印加、及び、アクチュエータの駆動が停止される。
【0035】
次に、図7を参照して、図5及び図6のフローチャートを実行した場合における画像形成時の各部の動作タイミングについて説明する。コントローラ部201は、t600において、ホストコンピュータ200から画像情報と印刷命令を受信し、t601において、エンジン制御部203へ印字予約コマンドを送信する。さらに、コントローラ部201は、t602及びt605において、ホストコンピュータ200から受け取った画像情報を解析して、エンジン制御部203に対して印字開始コマンドを送信できるまでの予測時間を通知するための印字開始予告コマンドを送信する。エンジン制御部203は、上述した手順に従って決定された切替シーケンスの開始時間Tsが経過したタイミング(t607)で切替シーケンスを開始する。ここで、エンジン制御部203は、切替シーケンスによって、感光ドラム5Y、5M、5Cと、中間転写体12及び現像器8Y、8M、8Cとを当接状態とし、対応するプロセスカートリッジ22Y、22M、22Cを駆動した状態にする。
【0036】
その後、t608において、エンジン制御部203は、切替シーケンスを終了し、/TOP信号を出力可能か否かを判定する。具体的には、エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字開始コマンドを受信しているか否かを判定し、コントローラ部201から印字開始コマンドを受信した時点で、/TOP信号を出力して印字動作を開始する(t608、t624、t625)。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、複数の記録材に対して連続して印刷する場合であって、画像形成モードであるモノクロモードやカラーモードが切り替わる場合に必要となる切替処理の実行開始タイミングを好適に決定する。具体的には、本画像形成装置は、上記実行開始タイミングを、コントローラ部201における画像データの解析処理が終了するタイミング(予測時間Tp)に合わせて上記切替処理が終了するようにタイミングを決定する。これにより、本画像形成装置は、プロセスカートリッジ22Y、22M、22Cの無駄な駆動時間を削除して、消耗品の無駄な劣化を低減する。一方、本実施形態では、図5のS507乃至S510に示すように、カラーモードからモノクロモードに切り替える際は、実行開始タイミングを決定することなく、前の記録材に対する画像形成が終了すると、切替シーケンスを実行する。これにより、モノクロモードでは必要ないプロセスカートリッジ22Y、22M、22Cの無駄な駆動時間を削除することができる。
【0038】
<第2の実施形態>
以下では、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態でのコントローラ部201の解析処理の時間遅延に加え、エンジン制御部203による画像形成タイミングの遅延を考慮して、切替シーケンスの開始タイミングを決定する。ここで、画像形成タイミングの遅延とは、例えば、定着器13の状態による画像形成の遅延を示す。具体的には、定着器13の温度が所定の温度に到達していない場合がある。特に、小サイズの記録材2を印字する場合には、定着器13のヒータ端部の温度が上昇することによるヒータの破損等を防止するために、定着器13の温度に応じて、生産性を段階的に低くする制御、例えば記録材の搬送間隔(紙間)を段階的に広げて端部の温度上昇を抑制する制御が広く知られている。本実施形態においても、定着器13の端部の温度を、ヒータ端部の温度を検出するサーミスタを用いることで検出する。
【0039】
エンジン制御部203が定着器13の端部の温度に応じて生産性を低下させるために使用するテーブルを図10に示す。図10に示す1001ように、エンジン制御部203は、記録材2の種類と主走査方向幅に応じて、定着器13の端部の温度が所定の温度以上になっているか否かを判定する。エンジン制御部203は、例えば、記録材種類が「Normal」で主走査方向幅が「290mm」の場合は、定着器13の端部の温度が270度以上か否かを判定する。なお、ここで、主走査方向幅とは、記録材の搬送方向に対して垂直となる方向の記録材の長さを示す。
【0040】
ここで、エンジン制御部203は、定着器13の端部の温度が所定の温度以上になっていた場合は、生産性テーブル1003を参照し、第2の生産性(スループット)を採用する。例えば、Normalで主走査方向幅が290mmの場合は、生産性を15ppmとする。そしてそれ以降は、オフセットテーブル1002により、さらに定着器13の端部の温度が所定の温度以上であるか否かを判定する。例えば、Normalで主走査方向幅が290mmの場合は、270+5度以上か否かを判定する。ここで、エンジン制御部203は、定着器13の端部の温度が所定の温度以上である場合は、生産性テーブル1003を参照して、第3の生産性(スループット)を採用する。例えば、Normalで主走査方向幅が290mmの場合は、10ppmとする。以降、エンジン制御部203は、定着器13の端部の温度が所定の温度となるまで、第4、第5の生産性を採用する。
【0041】
また、/TOP出力条件を遅延させる要因としては、画像形成装置100内の温度上昇や中間転写体12の汚れ状況、各種モータの回転数が安定するまでの時間等も考えられる。従って、プロセスカートリッジ22Y、22M、22Cの無駄な劣化を効果的に防ぐためには、コントローラ部201の解析処理の時間遅延に加え、エンジン制御部203の画像形成タイミングの遅延要因を全て考慮して、切替シーケンスを開始する必要がある。
【0042】
次に、図8を参照して、全ての画像形成タイミングの遅延要因を考慮した上で、切替シーケンスの開始時間Tsを決定する処理手順について説明する。まず、S700において、エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字開始予告コマンドによって指定された予測時間を用いて、切替シーケンスの開始可能なタイミングを基点とした/TOPの出力タイミングTtop1を、Ttop1=Tp2−Taにより算出する。
【0043】
次に、S701において、エンジン制御部203は、定着温度による画像形成タイミングの遅延量を取得して、切替シーケンス開始可能なタイミングを基点とした/TOP出力タイミングTtop2を算出する。続いて、S702において、エンジン制御部203は、その他、様々な要因で画像形成タイミング遅延となる要因に対して画像形成タイミングの遅延量を取得して、それぞれの要因に対して/TOP出力タイミングTtopnを算出する。さらに、S703において、エンジン制御部203は、Ttop1からTtopnまでの推測された遅延要因から最大の/TOP出力タイミングTtop_maxを決定する。
【0044】
次に、S704において、エンジン制御部203は、最大の/TOP出力タイミングTtop_maxと切替シーケンスにかかる時間Tcとを比較する。ここで、エンジン制御部203は、Tc<Ttop_maxが成立する場合はS705に進み、切替シーケンスを開始する時間Tsを、Ts=Ttop_max−Tsにより算出する。一方、エンジン制御部203は、Tc<Ttop_maxが成立しない場合はS706に進み、Ts=0とする。
【0045】
次に、図9を参照して、図8のフローチャートを実行した場合における画像形成時の各部の動作タイミングについて説明する。コントローラ部201は、t800において、ホストコンピュータ200から画像情報と印刷命令を受信し、t801において、エンジン制御部203へ印字予約コマンドを送信する。さらに、コントローラ部201は、t802及びt805において、ホストコンピュータ200から受け取った画像情報を解析して、エンジン制御部203に対して印字開始コマンドを送信できるまでの予測時間を通知するための印字開始予告コマンドを送信する。エンジン制御部203は、上述した手順に従って決定された切替シーケンスの開始時間Tsが経過したタイミング(t807)で切替シーケンスを開始する。ここで、エンジン制御部203は、切替シーケンスによって、感光ドラム5Y、5M、5Cと、中間転写体12及び現像器8Y、8M、8Cとを当接状態とし、対応するプロセスカートリッジ22Y、22M、22Cを駆動した状態にする。
【0046】
その後、t809において、エンジン制御部203は、切替シーケンスを終了し、/TOP信号を出力可能か否かを判定する。具体的には、エンジン制御部203は、コントローラ部201から印字開始コマンドを受信している否かを判定し、他の画像形成タイミングの遅延要因を判断し、画像形成可能であれば/TOP信号を出力して印字動作を開始する(t809、t824、t825)。
【0047】
上述したように、本実施形態では、例えば、モノクロモードからフルカラーモードに切り替える際に、コントローラ部201の解析処理の時間遅延に加え、エンジン制御部203による遅延も考慮して切替処理の実行開始タイミングを決定する。ここで、エンジン制御部に203による遅延とは、例えば、本実施形態で説明したように定着器13の状態による画像形成タイミングの遅延を示す。さらに、本発明は、これに限定されず、エンジン制御部203による遅延要因として、様々な時間を想定する。例えば、遅延要因としては、各負荷を回転させるためのモータが所定の回転数に安定するまでの時間、クリーニング処理に要する時間、及び画像形成装置100の内部温度が所定範囲の温度に到達するまでの時間の少なくとも1つの時間が考慮されてもよい。また、クリーニング処理とは、前の記録材に対する画像形成によって感光ドラム5や中間転写体12に残留するトナーを除去するための処理を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成を指示する第1制御手段と、該第1制御手段の指示に従って画像形成動作を制御する第2制御手段とを備える画像形成装置であって、
前記第1制御手段は、
画像が形成される記録材ごとに、画像形成モードとして、単色での画像形成動作を示すモノクロモード又は複数色での画像形成動作を示すカラーモードを指定して、前記第2制御手段に対して前記画像形成動作を予約する予約手段と、
前記画像形成動作のための画像データを解析して画像信号に変換する画像処理手段と、
前記画像処理手段による解析結果から求まる前記画像形成動作の開始を指示するまでの予測時間を、前記第2制御手段に対して記録材ごとに予告する予告手段と、
前記画像信号への変換が終了すると、前記画像形成動作の開始を、前記第2制御手段に対して記録材ごとに指示する指示手段と
を備え、
前記第2制御手段は、
前記指示手段によって前記画像形成動作の開始が指示されると、記録材ごとに指定された前記画像形成モードで前記画像形成動作を実行させる画像形成制御手段と、
次の記録材に形成する際の前記画像形成モードが前の記録材に形成した際の前記画像形成モードと異なる場合に、前記予測時間に応じて、次の記録材に対する画像形成モードでの前記画像形成動作のための切替処理の実行開始タイミングを決定する決定手段と、
決定された前記切替処理の前記実行開始タイミング及び前記画像形成モードに基づき、前記画像形成動作を切り替える切替手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2制御手段は、前記画像形成動作ための複数の負荷の駆動を制御し、
前記決定手段は、
前記画像形成モードが前記モノクロモードから前記カラーモードに切り替わる際に、前記切替処理の実行開始タイミングを決定し、
前記切替手段は、
前記画像形成モードが前記モノクロモードから前記カラーモードを切り替わる場合には、前の記録材に対する前記画像形成処理が終了してから前記決定手段によって決定された前記実行開始タイミングまでの間、前記カラーモードでの画像形成のみに用いられる各負荷の駆動を待機し、
前記画像形成モードが前記カラーモードから前記モノクロモードに切り替わる場合には、前の記録材に対する前記画像形成処理が終了すると、前記カラーモードでの画像形成のみに用いられる各負荷の駆動を停止することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記予告手段によって予告された前記予測時間と、前記切替処理に要する時間とから前記実行開始タイミングを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2制御手段は、
各負荷が前記画像形成処理を実行するための前処理を実行する前処理手段をさらに備え、
前記決定手段は、
前記前処理に要する時間を推測する推測手段を備え、
前記予測時間と前記切替処理に要する時間と前記推測手段によって推測された時間を用いて前記実行開始タイミングを決定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記推測手段は、記録材に画像を定着させるための定着器が所定の温度に到達するまでの時間、各負荷を回転させるためのモータが所定の回転数で安定するまでの時間、前記画像形成装置のクリーニング処理に要する時間、及び前記画像形成装置の内部温度が所定範囲の温度に到達するまでの時間の少なくとも1つを推測することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の負荷には、対応する色ごとに設けられる複数の像担持体と、像担持体に形成された現像剤像が転写される中間転写体とが含まれ、
前記カラーモードでの画像形成のみに用いられる各像担持体は、駆動された状態で前記中間転写体に当接し、駆動されていない状態で前記中間転写体から離間することを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成を指示する第1制御手段と、該第1制御手段の指示に従って画像形成動作を制御する第2制御手段とを備える画像形成装置の制御方法であって、
前記第1制御手段は、
画像が形成される記録材ごとに、画像形成モードとして、単色での画像形成動作を示すモノクロモード又は複数色での画像形成動作を示すカラーモードを指定して、前記第2制御手段に対して前記画像形成処理を予約する予約ステップと、
前記画像形成動作のための画像データを解析して画像信号に変換する画像処理ステップと、
前記画像処理ステップにおける解析結果から求まる前記画像形成動作の開始を指示するまでの予測時間を、前記第2制御手段に対して記録材ごとに予告する予告ステップと、
前記画像信号への変換が終了すると、前記画像形成動作の開始を、前記第2制御手段に対して記録材ごとに指示する指示ステップと
を実行し、
前記第2制御手段は、
前記指示ステップにおいて前記画像形成動作の開始が指示されると、記録材ごとに指定された前記画像形成モードで前記画像形成動作を実行させる画像形成制御ステップと、
次の記録材に形成する際の前記画像形成モードが前の記録材に形成した際の前記画像形成モードと異なる場合に、前記予測時間に応じて、次の記録材に対する画像形成モードでの前記画像形成動作のための切替処理の実行開始タイミングを決定する決定ステップと、
決定された前記切替処理の前記実行開始タイミング及び前記画像形成モードに基づき、前記画像形成動作を切り替える切替ステップと
を実行することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項1】
画像形成を指示する第1制御手段と、該第1制御手段の指示に従って画像形成動作を制御する第2制御手段とを備える画像形成装置であって、
前記第1制御手段は、
画像が形成される記録材ごとに、画像形成モードとして、単色での画像形成動作を示すモノクロモード又は複数色での画像形成動作を示すカラーモードを指定して、前記第2制御手段に対して前記画像形成動作を予約する予約手段と、
前記画像形成動作のための画像データを解析して画像信号に変換する画像処理手段と、
前記画像処理手段による解析結果から求まる前記画像形成動作の開始を指示するまでの予測時間を、前記第2制御手段に対して記録材ごとに予告する予告手段と、
前記画像信号への変換が終了すると、前記画像形成動作の開始を、前記第2制御手段に対して記録材ごとに指示する指示手段と
を備え、
前記第2制御手段は、
前記指示手段によって前記画像形成動作の開始が指示されると、記録材ごとに指定された前記画像形成モードで前記画像形成動作を実行させる画像形成制御手段と、
次の記録材に形成する際の前記画像形成モードが前の記録材に形成した際の前記画像形成モードと異なる場合に、前記予測時間に応じて、次の記録材に対する画像形成モードでの前記画像形成動作のための切替処理の実行開始タイミングを決定する決定手段と、
決定された前記切替処理の前記実行開始タイミング及び前記画像形成モードに基づき、前記画像形成動作を切り替える切替手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2制御手段は、前記画像形成動作ための複数の負荷の駆動を制御し、
前記決定手段は、
前記画像形成モードが前記モノクロモードから前記カラーモードに切り替わる際に、前記切替処理の実行開始タイミングを決定し、
前記切替手段は、
前記画像形成モードが前記モノクロモードから前記カラーモードを切り替わる場合には、前の記録材に対する前記画像形成処理が終了してから前記決定手段によって決定された前記実行開始タイミングまでの間、前記カラーモードでの画像形成のみに用いられる各負荷の駆動を待機し、
前記画像形成モードが前記カラーモードから前記モノクロモードに切り替わる場合には、前の記録材に対する前記画像形成処理が終了すると、前記カラーモードでの画像形成のみに用いられる各負荷の駆動を停止することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記予告手段によって予告された前記予測時間と、前記切替処理に要する時間とから前記実行開始タイミングを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2制御手段は、
各負荷が前記画像形成処理を実行するための前処理を実行する前処理手段をさらに備え、
前記決定手段は、
前記前処理に要する時間を推測する推測手段を備え、
前記予測時間と前記切替処理に要する時間と前記推測手段によって推測された時間を用いて前記実行開始タイミングを決定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記推測手段は、記録材に画像を定着させるための定着器が所定の温度に到達するまでの時間、各負荷を回転させるためのモータが所定の回転数で安定するまでの時間、前記画像形成装置のクリーニング処理に要する時間、及び前記画像形成装置の内部温度が所定範囲の温度に到達するまでの時間の少なくとも1つを推測することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の負荷には、対応する色ごとに設けられる複数の像担持体と、像担持体に形成された現像剤像が転写される中間転写体とが含まれ、
前記カラーモードでの画像形成のみに用いられる各像担持体は、駆動された状態で前記中間転写体に当接し、駆動されていない状態で前記中間転写体から離間することを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成を指示する第1制御手段と、該第1制御手段の指示に従って画像形成動作を制御する第2制御手段とを備える画像形成装置の制御方法であって、
前記第1制御手段は、
画像が形成される記録材ごとに、画像形成モードとして、単色での画像形成動作を示すモノクロモード又は複数色での画像形成動作を示すカラーモードを指定して、前記第2制御手段に対して前記画像形成処理を予約する予約ステップと、
前記画像形成動作のための画像データを解析して画像信号に変換する画像処理ステップと、
前記画像処理ステップにおける解析結果から求まる前記画像形成動作の開始を指示するまでの予測時間を、前記第2制御手段に対して記録材ごとに予告する予告ステップと、
前記画像信号への変換が終了すると、前記画像形成動作の開始を、前記第2制御手段に対して記録材ごとに指示する指示ステップと
を実行し、
前記第2制御手段は、
前記指示ステップにおいて前記画像形成動作の開始が指示されると、記録材ごとに指定された前記画像形成モードで前記画像形成動作を実行させる画像形成制御ステップと、
次の記録材に形成する際の前記画像形成モードが前の記録材に形成した際の前記画像形成モードと異なる場合に、前記予測時間に応じて、次の記録材に対する画像形成モードでの前記画像形成動作のための切替処理の実行開始タイミングを決定する決定ステップと、
決定された前記切替処理の前記実行開始タイミング及び前記画像形成モードに基づき、前記画像形成動作を切り替える切替ステップと
を実行することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−262180(P2010−262180A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113901(P2009−113901)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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