説明

画像形成装置及び制御プログラム

【課題】 容易に不定形用紙のサイズを設定する。
【解決手段】 不定形用紙の画像を読み取る画像読み取り手段と、読み取った画像から不定形用紙の外形を抽出し、この外形の幅と長さを求めるサイズ検出手段と、不定形用紙をセットする給紙段を特定する給紙段特定手段と、給紙段特定手段により特定された給紙段特定情報とサイズ検出手段により求めた用紙の幅と長さの値とを関連つけて記憶する記憶手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不定形サイズの用紙を使用して印刷を行う画像形成装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置における不定形用紙のサイズの設定は、操作パネルから幅と長さの値をキー入力によって行っていたため、用紙サイズを事前に計測しなければならないなど、手間がかかるという問題を有している。このような問題を解決するために、特許文献1に記載の装置のように、自動原稿送り装置を利用して、自動的に用紙のサイズを検出するものが知られている。また、特許文献2に記載の装置のように、原稿サイズ検知手段を用いて用紙サイズの検出を行うことが知られている。
【特許文献1】特開平08−202214号公報
【特許文献2】特開平11−271890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示す装置にあっては、自動原稿送り装置が必須であるため、自動原稿送り装置を備えていない装置では利用できないという問題がある。また、特許文献2に示す装置にあっては、任意の不定形用紙の正確なサイズを検出することができないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、不定形用紙のサイズの設定を容易にかつ正確に行うことができる画像形成装置及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、不定形用紙の画像を読み取る画像読み取り手段と、前記画像から前記不定形用紙の外形を抽出し、この外形の幅と長さを求めるサイズ検出手段と、不定形用紙をセットする給紙段を特定する給紙段特定手段と、前記給紙段特定手段により特定された給紙段特定情報と前記サイズ検出手段により求めた用紙の幅と長さの値とを関連つけて記憶する記憶手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記給紙段特定手段は、不定形用紙がセットされたことを検出することにより、不定形用紙をセットする給紙段を特定することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、不定形用紙のサイズを記憶する記憶手段を備えた画像形成装置を制御する制御プログラムであって、不定形用紙の画像を読み取る画像読み取り処理と、前記画像から前記不定形用紙の外形を抽出し、この外形の幅と長さを求めるサイズ検出処理と、不定形用紙をセットする給紙段を特定する給紙段特定処理と、前記給紙段特定処理により特定された給紙段特定情報と前記サイズ検出処理により求めた用紙の幅及び長さの値とを関連つけて前記記憶手段に記憶する記憶処理とをコンピュータに行わせることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記給紙段特定処理は、不定形用紙がセットされたことを検出することにより、不定形用紙をセットする給紙段を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像読み取り手段によって不定形用紙の画像を読み取り、画像処理によって不定形用紙の画像から用紙の外形を抽出し、抽出した外形の幅と長さを求めるようにしたため、不定形用紙のサイズを容易にかつ正確に設定することができるという効果が得られる。また、用紙をセットした給紙段を不定形用紙の給紙段としたため、設定動作を簡易化することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による画像形成装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、装置の処理動作を統括して制御する制御部である。符号2は、タッチパネル、ファンクションキー、テンキー等から構成する入力部である。符号3は、液晶ディスプレイ等から構成する表示部である。符号4は、画像読み取りを行うためにカラーCCDを備えたスキャナである。符号5は、スキャナ4において読み取った画像のデータを記憶する画像メモリである。符号6は、画像メモリ5に記憶されている画像データを印刷するために、給紙、印刷、排紙の一連の印刷処理を行う印刷処理部である。この画像メモリ5には、画像形成装置を複写機として使用する場合にスキャナ4で読み取った原稿画像のデータを記憶する他に、画像形成装置をプリンタとして使用する場合にホストコンピュータから送信された印刷データを記憶する。符号7は、画像メモリ5に記憶されているデータに対して、画像処理を施す画像処理部である。符号8は、検出した不定形用紙サイズに関する情報を記憶する用紙サイズ記憶部である。符号9は、不定形サイズの用紙に画像を印刷するために、画像データの印刷倍率を算出する倍率算出部である。符号10は、画像形成装置を複写機として使用する場合に原稿のサイズを判別する原稿判別部である。符号11は、スキャナ4の画像読み取り面(原稿台)のカバー開閉状態を検出するカバー開閉センサである。符号12は、手差し給紙段に用紙がセットされたか否か、または給紙カセットが挿入されたか否かを給紙段毎に検出する用紙センサである。
【0011】
次に、図2を参照して、図1に示す装置の動作を説明する。図2は、不定形の用紙サイズを設定する動作を示すフローチャートである。まず、使用者は入力部2を操作して、ユーザ定義サイズ設定機能を選択する。これを受けて、制御部1は、定義したい不定形用紙をスキャナ4の画像読み取り面(原稿台)にセットする指示のガイダンス表示(例えば、「不定形用紙をセットしてください」)を行う(ステップS1)。この指示に対して、使用者は、設定したい不定形用紙をスキャナ4の原稿台に置き、入力部2のスタートキーを押下する(ステップS2、S3)。このとき、不定形用紙は、原稿自動送り装置を使用して、原稿台へ搬送するようにしてもよい。
【0012】
これを受けて、制御部1は、スキャナ4に対して、画像読取りを指示する。この指示を受けて、スキャナ4は、画像読み取り面に置かれた不定形用紙の画像を読み取り、得られた画像データを画像メモリ5へ記憶する(ステップS4)。続いて、制御部1は、画像処理部7に対して、不定形用紙の検出処理実行を指示する。これを受けて、画像処理部7は、画像メモリ5に記憶されている画像データを読み出し、画像処理を行うことによって不定形サイズの用紙部分を抽出して、抽出した不定形サイズの用紙部分の大きさから用紙サイズ(幅と長さ)を求める。そして、画像処理装置7は、求めた用紙サイズを制御部1へ通知する。これを受けて、制御部1は、通知された不定形用紙のサイズを用紙サイズ記憶部8へ記憶する(ステップS5)。そして、制御部1は、給紙段設定確定待ち状態となる(ステップS6、S7)。
【0013】
次に、使用者は、不定形用紙をセットする給紙段を選択し、不定形用紙をセットする。このとき、不定形用紙を抜き差し可能な給紙カセットに入れる場合は、不定形用紙を給紙カセットに入れて、この給紙カセットを給紙段に挿入する。また、不定形用紙を手差し給紙段にセットする場合は、手差しの給紙段に不定形用紙をセットする。用紙センサ12は、用紙がセットされたことを検出して、用紙がセットされた給紙段を識別する識別番号を制御部1へ通知する。これを受けて制御部1は、不定形用紙がセットされた給紙段の識別番号を、用紙サイズ記憶部8に記憶されている不定形用紙のサイズに関連つけて記憶する。これにより、用紙サイズ記憶部8には、不定形用紙のサイズとこの不定形用紙を給紙する給紙段の識別番号とが関連つけられて記憶されてたことになり、給紙段設定が確定する。
【0014】
次に、制御部1は、確認のために、不定形用紙のサイズとこの不定形用紙を給紙する給紙段の識別番号とを表示部3へ表示する(ステップS8)。使用者は、この表示を見て、設定内容を確認する。そして、制御部1は、用紙サイズの設定を続行するか否かの問い合わせのメッセージを表示部3へ表示する。このメッセージに対して、使用者は入力部2を操作して回答する。制御部1は、この回答内容を読み取り、設定を続行するのであれば、ステップS1へ戻り、処理を繰り返し、続行しないのであれば、ユーザ定義サイズ設定機能から抜けて、原稿読み取りモードへ移行する。
【0015】
そして、原稿読み取りモードへ移行した後、使用者が、原稿をスキャナ4の原稿台に置き、スターキーを押下すると、原稿判別部10は、原稿台に置かれた原稿のサイズを判別し、倍率算出部9へ通知する。続いて、制御部1は、スキャナ4に対して、画像読み取りの開始を指示する。これを受けて、スキャナ4は、原稿台の原稿の画像を読み取り、画像メモリ5へ格納する。倍率算出部9は、用紙サイズ記憶部8に記憶されている不定形用紙のサイズを読み出す。倍率算出部9は、原稿判別部10から通知された原稿サイズと用紙サイズ記憶部8から読み出した不定形用紙のサイズとから画像の倍率を算出し、この倍率値を制御部1へ出力する。これを受けて、制御部1は、この倍率を画像処理部7へ通知するとともに、用紙サイズ記憶部8に記憶されている給紙段の識別番号を印刷処理部6へ通知することにより印刷処理部6に対して印刷指示を出力する。画像処理部7は、制御部1から通知された倍率に基づいて、画像メモリ5に格納されている画像データに対して変倍処理を施す。印刷処理部6は、変倍処理が施された画像データを画像メモリ5から読み出して、制御部1から通知された給紙段の用紙を給紙することにより印刷処理を実行する。これにより、不定形用紙を用いた印刷が可能となる。
【0016】
このように、使用したい不定形用紙の画像読み取りを行い、画像処理によって用紙サイズを求め、求めたサイズと選択した給紙段と関連つけて記憶するようにしたため、不定形用紙のサイズを実測することなく、不定形用紙のサイズの設定を容易にかつ正確に行うことができ、設定作業の負担を軽減することができる。
【0017】
なお、前述した説明において、不定形用紙をセットする給紙段を選択し、不定形用紙をセットした時点で、不定形用紙のサイズと給紙段を関連つけるようにしたが、入力部2を操作して、給紙段を選択するようにしてもよい。また、予め開けてある給紙段を選択したものとして処理するようにしてもよい。さらには、給紙段が1つも開けられていない場合は、手差しの給紙段が選択されたものと見なして処理するようにしてもよい。
【0018】
また、制御部1は、入力部2のスタートキーの状態を読み込み、スタートキーが押下された時点で、カバー開閉センサ11の出力値を参照して、カバーが開いている状態であればスキャナ4に対して、画像読取りを指示を出力するようにしてもよい。このようにすれば、対象の不定形用紙の読み取り画像は原稿台のカバーを開けた状態で読み取りを行うことになるため、不定形用紙部分の抽出処理は、画像の画素値を所定のしきい値と大小比較することにより2値化することによって容易にかつ正確に行うことが可能である。
【0019】
また、図1における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりサイズ設定処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0020】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
1・・・制御部、2・・・入力部、3・・・表示部、4・・・スキャナ、5・・・画像メモリ、6・・・印刷処理部、7・・・画像処理部、8・・・用紙サイズ処理部、9・・・倍率算出部、10・・・原稿判別部、11・・・カバー開閉センサ、12・・・用紙センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不定形用紙の画像を読み取る画像読み取り手段と、
前記画像から前記不定形用紙の外形を抽出し、この外形の幅と長さを求めるサイズ検出手段と、
不定形用紙をセットする給紙段を特定する給紙段特定手段と、
前記給紙段特定手段により特定された給紙段特定情報と前記サイズ検出手段により求めた用紙の幅と長さの値とを関連つけて記憶する記憶手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記給紙段特定手段は、不定形用紙がセットされたことを検出することにより、不定形用紙をセットする給紙段を特定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
不定形用紙のサイズを記憶する記憶手段を備えた画像形成装置を制御する制御プログラムであって、
不定形用紙の画像を読み取る画像読み取り処理と、
前記画像から前記不定形用紙の外形を抽出し、この外形の幅と長さを求めるサイズ検出処理と、
不定形用紙をセットする給紙段を特定する給紙段特定処理と、
前記給紙段特定処理により特定された給紙段特定情報と前記サイズ検出処理により求めた用紙の幅及び長さの値とを関連つけて前記記憶手段に記憶する記憶処理と
をコンピュータに行わせることを特徴とする制御プログラム。
【請求項4】
前記給紙段特定処理は、不定形用紙がセットされたことを検出することにより、不定形用紙をセットする給紙段を特定することを特徴とする請求項3に記載の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−30629(P2006−30629A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209840(P2004−209840)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】