説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】接続先と通信していないときに通信ポートを省電力状態に切り替えるとともに、省電力状態において非省電力状態に復帰することなく接続先の要求に応答する画像形成装置及び画像形成システムを提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、電力を供給する電源部18と、電源部18の電力供給を受ける非省電力状態において、PC3と通信する入出力制御部10と、電源部18の電力供給を受けない省電力状態において、PC3と通信する省電力入出力制御部11と、PC3との通信元を入出力制御部10又は省電力入出力制御部11のいずれかに切り替える切替部12とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷要求を処理していない待機状態において制御部の処理速度を低速にする技術が提案されている。
【0003】
これに関連する技術として、特許文献1には、処理速度が可変のCPU(Central Processing Unit)等を用いた制御部において、印刷処理を処理していないときに制御部の処理速度を低速にして省電力状態とし、印刷要求を受け付けたときに省電力状態から復帰して印刷要求を処理する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−54073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、接続先と通信していないときに通信ポートを省電力状態に切り替えるとともに、省電力状態において非省電力状態に復帰することなく接続先の要求に応答する画像形成装置及び画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]電力を供給する電源部と、
前記電源部の電力供給を受ける非省電力状態において、外部装置と通信する第1の入出力制御部と、
前記電源部の電力供給を受けない省電力状態において、前記外部装置と通信する第2の入出力制御部と、
前記外部装置との通信元を前記第1の入出力制御部又は前記第2の入出力制御部のいずれかに切り替える切替部とを有する画像形成装置。
【0007】
[2]前記第1の入出力制御部は第1の識別情報、前記第2の入出力制御部は第2の識別情報をそれぞれ有し、前記外部装置と接続された前記第1の入出力制御部は前記外部装置に前記第2の識別情報を送信し、前記外部装置と接続された前記第2の入出力制御部は前記外部装置に前記第2の識別情報を送信する前記[1]に記載の画像形成装置。
【0008】
[3]前記第2の入出力制御部は、消費電力の異なる複数の入出力制御部から構成される前記[1]又は[2]に記載の画像形成装置。
【0009】
[4]電力を供給する電源部と、
前記電源部の電力供給を受ける非省電力状態において、外部装置とUSB High Speed以上の通信速度で通信する第1の入出力制御部と、
前記電源部の電力供給を受けない省電力状態において、前記外部装置とUSB Full Speed以下の通信速度で通信する第2の入出力制御部と、
前記外部装置との通信元を前記第1の入出力制御部又は前記第2の入出力制御部のいずれかに切り替える切替部とを有する画像形成装置。
【0010】
[5]表示部を有し、第1の識別情報又は第2の識別情報を受信すると、前記表示部に前記第1の識別情報に対応した第1の入出力制御部又は前記第2の識別情報に対応した第2の入出力制御部に接続された旨を表示する外部装置と、
電源部の電力供給を受ける非省電力状態において前記外部装置と通信する前記第1の入出力制御部と、前記電源部の電力供給を受けない省電力状態において前記外部装置と通信する前記第2の入出力制御部とを有し、前記外部装置との通信元を前記第1の入出力制御部又は前記第2の入出力制御部のいずれかに切り替えるとともに、前記外部装置と接続された前記第1の入出力制御部は前記外部装置に前記第1の識別情報を送信し、前記外部装置と接続された前記第2の入出力制御部は前記外部装置に前記第2の識別情報を送信する画像形成装置とを備える画像形成システム。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、4又は5に係る発明によれば、接続先と通信していないときに通信ポートを省電力状態に切り替えるとともに、省電力状態において非省電力状態に復帰することなく接続先の要求に応答することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、第1の入出力制御部及び第2の入出力制御部は、外部装置に接続された場合にそれぞれの識別情報を送信することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、消費電力の異なる複数の入出力制御部を用意し、異なる消費電力においてそれぞれの入出力制御部が接続先の要求に応答することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す概略図である。
【図2】図2は、画像形成装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、入出力制御部及び省電力入出力制御部とUSBポートとの接続の構成例を示すブロック図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、画像形成装置が非省電力状態で動作する際及び省電力状態で動作する際にPCの表示部に表示される画像の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、画像形成装置の動作例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、画像形成装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(画像形成システムの構成)
図1は、実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す概略図である。
【0016】
この画像形成システム4は、画像形成装置1と、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)3とをUSBケーブル2によって互いに通信可能に接続することで構成される。
【0017】
画像形成装置1は、情報を処理するための機能を備えたCPU(Central Processing Unit)や記憶部等の電子部品及び用紙に文字や図形等を印刷する印刷機能部を本体内部に有し、USBケーブル2のUSBコネクタ2aと接続されるUSBポート13と、各種操作を要求するためのスイッチを複数有する操作部15とを備える。また、画像形成装置1は、USBケーブル2を介してPC3から受け付ける印刷要求に応じて印刷処理を実行するが、PC3との通信状態として通常に動作して印刷処理を実行可能な非省電力状態と、印刷処理を待機する省電力状態のいずれかを取り得る。
【0018】
PC3は、液晶ディスプレイ等の表示部31と、操作入力用のキーボード、マウス、タッチパッド等の操作部32と、USBケーブル2のUSBコネクタ2bと接続されるUSBポート30とを備え、本体内部にはCPUや記憶部等の電子部品を有する。なお、PC3は、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機等を用いることもできる。
【0019】
USBケーブル2は、情報を伝達するデータライン(D+及びD−)と、電力を供給する電源ライン(VBUS、GND)とを有する。
【0020】
図2は、画像形成装置1の構成例を示すブロック図である。
【0021】
画像形成装置1は、入出力制御部10と、省電力入出力制御部11と、操作部15と、制御部16と、記憶部17と、電源部18と、印刷機能部19とをバス20によって接続することで構成される。切替部12は、入出力制御部10又は省電力入出力制御部11のいずれかとUSBポート13との接続を切り替える。つまり、画像形成装置1は、入出力制御部10又は省電力入出力制御部11のいずれかによってPC3とUSBケーブル2を介して通信する。
【0022】
入出力制御部10は、非省電力状態においてUSBポート13を介してPC3と、例えば、「Super Speed」(5Gbps、以下「SS」という。)又は「High Speed」(480Mbps、以下「HS」という)で通信する。また、入出力制御部10は、外部のLAN(Local Area Network)と接続するためのLANポート14を有し、LANポート14を介して外部機器と通信する。
【0023】
省電力入出力制御部11は、USBポート13を介してPC3と、例えば、「Full Speed」(12Mbps、以下「FS」という。)で通信する。また、省電力入出力制御部11は、省電力状態において電池11Aにより動作する。なお、電池11Aは、省電力入出力制御部11が非動作状態において図示しない充電部によって充電される。
【0024】
操作部15は、各種操作を要求するためのスイッチを複数有する。
【0025】
制御部16は、CPU等から構成され各部を制御するとともに、PC3から受け付けた印刷要求を処理する。
【0026】
記憶部17は、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され各種情報を記憶する。
【0027】
電源部18は、AC電源等から供給される電力をDC電源に変換して入出力制御部10、操作部15、制御部16、記憶部17及び印刷機能部19等に供給する。
【0028】
印刷機能部19は、制御部16が処理した印刷要求に基づいて用紙に文字や図形等を印刷する。
【0029】
図3は、入出力制御部10及び省電力入出力制御部11とUSBポート14との接続の構成例を示すブロック図である。
【0030】
入出力制御部10は、電源部18から電力の供給を受けて動作し、非省電力状態において切替部12を介してUSBポート14とデータラインD+及びD−を含むMAIN USBラインによって接続される。
【0031】
省電力入出力制御部11は、電源部18と独立した電池11Aから電力の供給を受けて動作し、省電力状態において切替部12を介してUSBポート14とデータラインD+及びD−を含むDSLP USBラインによって接続される。また、省電力入出力制御部11は、USBポート14の電源ラインVBUSと接続されるが、本実施の形態においてはUSB FSで動作するため、VBUSを介して電力の供給を受けるものではない。なお、省電力入出力制御部11がUSB LOW SPEED(1.5Mbps)等で動作するものである場合は、VBUSを介してUSBポート14から電力の供給を受けることができる。いずれにしても、省電力入出力制御部11は、省電力状態において電源部18から電力の供給を受けることなく動作する。
【0032】
また、省電力入出力制御部11は、省電力状態から非省電力状態に切り替える際、切替部12及び電源部18にウェイクアップ信号を送信するためのWKUPライン及び入出力制御部10にリセット信号を送信するためのRESET#ラインを有する。
【0033】
(画像形成システムの動作)
以下に、画像形成システム4の動作を図1〜図6を参照しつつ、(1)非省電力状態の基本動作、(2)省電力状態への移行動作、(3)省電力状態の基本動作及び(4)非省電力状態への移行動作に分けて説明する。
【0034】
(1)非省電力状態の基本動作
図5は、画像形成装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0035】
まず、利用者により画像形成装置1の電源投入スイッチが操作されることで、電源部18の電源が投入されると(S1)、省電力入出力制御部11を除く各部へ電力が供給される。
【0036】
入出力制御部10は、自己に設定された識別情報であるデバイスIDをUSBポート13を介してPC3へ送信する(S2)。その後、画像形成装置1は、USB HSによって通信を実行する非省電力状態となる(S3)。
【0037】
PC3は、デバイスIDを受信して画像形成装置1との接続を認識し、以下に説明する画像を表示部31に表示する。
【0038】
図4(a)は、画像形成装置1が非省電力状態で動作する際にPC3の表示部31に表示される画像の一例を示す概略図である。
【0039】
表示部31に表示される表示画面31aは、例えば、一般的なGUIとともに、入出力制御部10のデバイスIDが認識された旨を示す「メインプリンタが有効になりました。“PRINTER XXX_MAIN”」という内容のポップアップ310を表示する。ポップアップ310の表示内容を表示するための情報は、PC3が受信したデバイスIDに対応付けられて、PC3に内蔵された記憶部に記憶されており、デバイスIDの受信をトリガーとしてPC3の制御部によって記憶部から呼び出されて、表示処理される。また、表示内容は、デバイスIDの選択やPC3のソフトウエアの設計によって変更可能である。
【0040】
次に、画像形成装置1は、PC3から印刷要求を受信するため待機し(S4)、印刷要求を受信すると(S5;Yes)、非省電力状態によりUSB HSによって通信を実行する。
【0041】
(2)省電力状態への移行動作
【0042】
また、画像形成装置1は、印刷要求を受信しないまま(S5;No)、予め設定された時間が経過すると(S6;Yes)、切替部12がUSBポート14との接続先を入出力制御部10から省電力入出力制御部11に切り替える(S7)。
【0043】
また、電源部18は、省電力入出力制御部11を除く画像形成装置1の各部に対する電力を遮断し、省電力状態に移行する(S8)。次に、省電力入出力制御部11に電池11Aから電力が供給されて有効化される(S9)。
【0044】
(3)省電力状態の基本動作
図6は、画像形成装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0045】
省電力入出力制御部11は、自己に設定された識別情報であるデバイスIDをUSBポート13を介してPC3へ送信する(S11)。その後、画像形成装置1は、USB FSによって通信を実行する省電力状態となる(S12)。
【0046】
図4(b)は、画像形成装置1が省電力状態で動作する際にPC3の表示部31に表示される画像の一例を示す概略図である。
【0047】
表示部31に表示される表示画面31bは、例えば、一般的なGUIとともに、省電力入出力制御部11のデバイスIDが認識された旨を示す「省エネプリンタが有効になりました。“PRINTER XXX_ECO”」という内容のポップアップ311を表示する。ポップアップ310の表示内容は、デバイスIDの選択やPC3のソフトウエアの設計によって変更可能である。
【0048】
次に、画像形成装置1とPC3とが、例えば、初めて接続された場合等であって、PC3に画像形成装置1の入出力制御部10及び/又は省電力入出力制御部11に対応するドライバがインストールされていない場合に、PC3から当該ドライバのインストール要求を受け付けると(S13;Yes)、図示しないメモリ又は記憶部17に記憶された当該ドライバをPC3に送信する(S14)。
【0049】
(4)非省電力状態への移行動作
次に、画像形成装置1は、PC3から印刷要求を受信すると(S15;Yes)、省電力入出力制御部11は、切替部12にWKUPラインによってウェイクアップ信号を送信し、切替部12はウェイクアップ信号に応じてUSBポート14との接続先を省電力入出力制御部11から入出力制御部10に切り替える(S16)。
【0050】
また、省電力入出力制御部11は、電源部18にWKUPラインによってウェイクアップ信号を送信し、電源部18は、省電力入出力制御部11を除く画像形成装置1の各部に電力を供給し、非省電力状態に移行する(S17)。次に、入出力制御部10にRESET#ラインによってリセット信号を送信し、入出力制御部10が有効化される(S18)。
【0051】
その後、再び図5に示すステップS2へと戻る。
【0052】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。例えば、省電力入出力制御部11は、電力の消費量(USBの転送速度)を変化させて複数用意してもよい。その場合、各省電力入出力制御部に固有のデバイスIDを設定するものとする。また、USBに限らず他の規格による通信方法に置き換えて実施してもよい。
【0053】
なお、上記実施の形態の動作説明で示した各ステップは、順序の変更、ステップの省略、追加が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 画像形成装置
2 USBケーブル
3 PC
4 画像形成システム
10 入出力制御部
11 省電力入出力制御部
11A 電池
12 切替部
13 USBポート
14 LANポート
15 操作部
16 制御部
17 記憶部
18 電源部
19 印刷機能部
20 バス
30 USBポート
31 表示部
31a 表示画面
31b 表示画面
32 操作部
310 ポップアップ
311 ポップアップ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給する電源部と、
前記電源部の電力供給を受ける非省電力状態において、外部装置と通信する第1の入出力制御部と、
前記電源部の電力供給を受けない省電力状態において、前記外部装置と通信する第2の入出力制御部と、
前記外部装置との通信元を前記第1の入出力制御部又は前記第2の入出力制御部のいずれかに切り替える切替部とを有する画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の入出力制御部は第1の識別情報を、前記第2の入出力制御部は第2の識別情報をそれぞれ有し、前記外部装置と接続された前記第1の入出力制御部は前記外部装置に前記第2の識別情報を送信し、前記外部装置と接続された前記第2の入出力制御部は前記外部装置に前記第2の識別情報を送信する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の入出力制御部は、消費電力の異なる複数の入出力制御部から構成される請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
電力を供給する電源部と、
前記電源部の電力供給を受けて、外部装置とUSB High Speed以上の通信速度で通信する第1の入出力制御部と、
前記電源部の電力供給を受けずに、前記外部装置とUSB Full Speed以下の通信速度で通信する第2の入出力制御部と、
前記外部装置との通信元を前記第1の入出力制御部又は前記第2の入出力制御部のいずれかに切り替える切替部とを有する画像形成装置。
【請求項5】
表示部を有し、第1の識別情報又は第2の識別情報を受信すると、前記表示部に前記第1の識別情報に対応した第1の入出力制御部又は前記第2の識別情報に対応した第2の入出力制御部に接続された旨を表示する外部装置と、
電源部の電力供給を受ける非省電力状態において前記外部装置と通信する前記第1の入出力制御部と、前記電源部の電力供給を受けない省電力状態において前記外部装置と通信する前記第2の入出力制御部とを有し、前記外部装置との通信元を前記第1の入出力制御部又は前記第2の入出力制御部のいずれかに切り替えるとともに、前記外部装置と接続された前記第1の入出力制御部は前記外部装置に前記第1の識別情報を送信し、前記外部装置と接続された前記第2の入出力制御部は前記外部装置に前記第2の識別情報を送信する画像形成装置とを備える画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−139968(P2012−139968A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−809(P2011−809)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】