説明

画像形成装置及び給紙装置

【課題】安定して用紙を給紙できるようにする。
【解決手段】給紙トレイ31は、画像形成部に給紙するための用紙Pを積載する。用紙昇降部35a〜35fは、給紙トレイ31に設けられ、給紙トレイ31に積載された用紙Pを部分的に昇降させる。凹凸検出センサ34a〜34fは、給紙トレイ31に積載された最上位の用紙Pの凹凸状態を検出する。給紙判断部は、凹凸検出センサ34a〜34fによる検出結果に基づいて、給紙トレイ31に積載された用紙Pを画像形成部に給紙可能か否かを判断する。制御部は、給紙判断部によって画像形成部に給紙可能でないと判断された場合に、用紙昇降部35a〜35fを駆動して用紙昇降部35a〜35fの昇降位置を調整する。これにより、給紙トレイ31に積載された用紙Pが部分的に昇降されて当該用紙Pの凹凸を低減できるようになる。この結果、用紙Pを画像形成部に安定して給紙できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出し、この検出結果に基づいて用紙の凹凸の補正や、用紙の積載方向の変更を行うことで、安定して給紙できるようにした画像形成装置及び給紙装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ及び複合機等の画像形成装置は、既に絵柄や文字等の画像が印刷された用紙に対して更に追加の画像を印刷(以下、「追い刷り」という)することや、カール状態の用紙又はパンチングを施した用紙に画像を印刷することがある。このような用紙を用紙積載部に積載した場合、該積載した最上位の用紙は、水平にはならず高低差がある凹凸面(傾斜面)を有する。
【0003】
上述の一例として追い刷りされた用紙Pの積載例について説明する。図17(A)に示すように、領域R1には予め画像が印刷されている。そして、領域R2に画像を追い刷りするときに、用紙Pが横長になるような方向に積載すると、図17(B)に示すように、領域R1にはインクやトナーの画像が形成されているので、領域R1付近の用紙の厚みは、領域R2付近の用紙の厚みと比べてΔtだけ厚くなっている。また、図18(A),(B)は、図17(A),(B)の用紙Pを縦長になるような方向に積載した場合を例示している。
【0004】
このように、追い刷りをする場合には、最上位の用紙は高低差がある凹凸面(傾斜面)を有する。通常、用紙積載部に積載された最上位の用紙から画像形成部に給紙されるが、用紙の上面が水平ではない場合には、安定した給紙ができないことがあった。
【0005】
特許文献1には、用紙のカール状態を検出する給紙装置が開示されている。この給紙装置によれば、用紙カセット(用紙積載部)内に積載された用紙のカール状態を検出し、該検出したカール状態に応じて給紙条件を変更するものである。
【0006】
用紙のカール状態は、用紙の少なくとも2箇所に当接して回動する検出アームと、この検出アームの回動角を検出する回動角検出手段とによって検出される。給紙条件は、用紙カセットの側面に設けられた傾斜壁の傾斜角を調整することで、用紙の積載角度を調整する角度調整機構によって変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−277114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載の給紙装置は、カール状態に応じて給紙条件を変更することで安定した給紙をするが、角度調整機構による用紙の積載角度の調整で対応できない場合には、ユーザが用紙カセットから用紙を取り出してカールを直したり、積載枚数を減らしたりしなければならないという問題があった。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するものであって、従来の給紙条件の変更範囲が狭い角度調整機構に依らないで、安定して用紙を給紙でき、印刷ズレ、ジャム、空送り、重送等の不具合を防止できる画像形成装置及び給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部と、画像形成部に給紙するための用紙を積載する用紙積載部と、用紙積載部に設けられ、用紙積載部に積載された用紙を部分的に昇降させる用紙昇降部と、用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する凹凸検出部と、凹凸検出部による検出結果に基づいて、用紙積載部に積載された用紙を画像形成部に給紙可能か否かを判断する給紙判断部と、給紙判断部によって画像形成部に給紙可能でないと判断された場合に、用紙昇降部を駆動して用紙昇降部の昇降位置を調整する制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
請求項1に係る画像形成装置では、画像形成部、用紙積載部、用紙昇降部、凹凸検出部、給紙判断部及び制御部を備える。画像形成部は、用紙に画像を形成する。用紙積載部は、画像形成部に給紙するための用紙を積載する。用紙昇降部は、用紙積載部に設けられ、用紙積載部に積載された用紙を部分的に昇降させる。凹凸検出部は、用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する。給紙判断部は、凹凸検出部による検出結果に基づいて、用紙積載部に積載された用紙を画像形成部に給紙可能か否かを判断する。そして、制御部は、給紙判断部によって画像形成部に給紙可能でないと判断された場合に、用紙昇降部を駆動して用紙昇降部の昇降位置を調整する。これにより、用紙積載部に積載された用紙が部分的に昇降されて当該用紙の凹凸を低減できるようになる。
【0012】
請求項2に係る画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部と、画像形成部に給紙するための用紙を積載する用紙積載部と、用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する凹凸検出部と、凹凸検出部による検出結果に基づいて、用紙積載部に積載された用紙を画像形成部に給紙可能か否かを判断する給紙判断部と、給紙判断部によって画像形成部に給紙可能でないと判断された場合に、用紙積載部に積載された用紙の方向を変更することが可能か否かを判断するセット方向判断部と、セット方向判断部によって用紙の方向を変更可能であると判断された場合に、用紙の方向を変更させることを示す表示をする表示部とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に係る画像形成装置では、画像形成部、用紙積載部、凹凸検出部、給紙判断部、セット方向判断部及び表示部を備える。画像形成部は、用紙に画像を形成する。用紙積載部は、画像形成部に給紙するための用紙を積載する。凹凸検出部は、用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する。給紙判断部は、凹凸検出部による検出結果に基づいて、用紙積載部に積載された用紙を画像形成部に給紙可能か否かを判断する。セット方向判断部は、給紙判断部によって画像形成部に給紙可能でないと判断された場合に、用紙積載部に積載された用紙の方向を変更することが可能か否かを判断する。そして、表示部は、セット方向判断部によって用紙の方向を変更可能であると判断された場合に、用紙の方向を変更させることを示す表示をする。これにより、用紙積載部に積載された用紙の方向をユーザに変更させることができるようになる。
【0014】
請求項3に係る画像形成装置は、請求項2の記載において、用紙積載部に設けられ、用紙積載部に積載された用紙を部分的に昇降させる用紙昇降部と、凹凸検出部によって検出された用紙の凹凸状態が予め記憶される補正可能範囲内にあるか否かを判断する補正判断部と、補正判断部の判断により凹凸状態が補正可能範囲内である場合には、用紙昇降部を駆動して用紙昇降部の昇降位置を調整し、補正判断部の判断により凹凸状態が補正可能範囲内でない場合には、用紙の方向を変更させることを示す表示を表示部に表示させる制御部とを更に備えることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3に係る画像形成装置では、補正判断部が、凹凸検出部による検出結果が予め記憶される補正可能範囲内にあるか否かを判断して、制御部が用紙昇降部又は表示部を制御するので、用紙の凹凸状態が補正可能範囲内にあるか否かに関わらず、画像形成部に確実に給紙することができる。
【0016】
請求項4に係る画像形成装置は、請求項2又は3の記載において、表示部は、更に、用紙積載部から用紙を所定枚数だけ取り除かせることを示す表示をすることを特徴とするものである。
【0017】
請求項4に係る画像形成装置では、表示部により用紙積載部に積載された用紙のセット方向をユーザに変更させることのみならず、用紙積載部から用紙を所定枚数だけユーザに取り除かせることができる。
【0018】
請求項5に係る画像形成装置は、請求項2又は3の記載において、表示部は、セット方向判断部によって用紙のセット方向の変更が可能ではないと判断された場合に、用紙積載部から用紙を所定枚数だけ取り除かせることを示す表示をすることを特徴とするものである。
【0019】
請求項5に係る画像形成装置では、セット方向判断部によって用紙のセット方向の変更が可能ではないと判断された場合に、表示部により用紙積載部から用紙を所定枚数だけユーザに取り除かせることができる。
【0020】
請求項6に係る画像形成装置は、請求項1乃至5のいずれかの記載において、凹凸検出部は、測距センサ、超音波センサ又は接触型変位センサで構成されることを特徴とするものである。
【0021】
請求項6に係る画像形成装置では、凹凸検出部には、測距センサ、超音波センサ又は接触型変位センサで構成されるので、用紙の凹凸状態の検出精度が向上でき、コストを削減することができる。
【0022】
請求項7に係る給紙装置は、外部装置に給紙するための用紙を積載する用紙積載部と、用紙積載部に設けられ、用紙積載部に積載された用紙を部分的に昇降させる用紙昇降部と、用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する凹凸検出部と、凹凸検出部による検出結果に基づいて、用紙積載部に積載された用紙を外部装置に給紙可能か否かを判断する給紙判断部と、給紙判断部によって外部装置に給紙可能でないと判断された場合に、用紙昇降部を駆動して用紙昇降部の昇降位置を調整する制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0023】
請求項7に係る給紙装置では、用紙積載部、用紙昇降部、凹凸検出部、給紙判断部及び制御部を備える。用紙積載部は、外部装置に給紙するための用紙を積載する。用紙昇降部は、用紙積載部に設けられ、用紙積載部に積載された用紙を部分的に昇降させる。凹凸検出部は、用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する。給紙判断部は、凹凸検出部による検出結果に基づいて、用紙積載部に積載された用紙を外部装置に給紙可能か否かを判断する。そして、制御部は、給紙判断部によって外部装置に給紙可能でないと判断された場合に、用紙昇降部を駆動して用紙昇降部の昇降位置を調整する。これにより、用紙積載部に積載された用紙が部分的に昇降されて当該用紙の凹凸を低減できるようになる。
【0024】
請求項8に係る給紙装置は、外部装置に給紙するための用紙を積載する用紙積載部と、用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する凹凸検出部と、凹凸検出部による検出結果に基づいて、用紙積載部に積載された用紙を外部装置に給紙可能か否かを判断する給紙判断部と、給紙判断部によって外部装置に給紙可能でないと判断された場合に、用紙積載部に積載された用紙の方向を変更することが可能か否かを判断するセット方向判断部と、セット方向判断部によって用紙の方向を変更可能であると判断された場合に、用紙の方向を変更させることを示す表示をする表示部とを備えることを特徴とするものである。
【0025】
請求項8に係る給紙装置では、用紙積載部、凹凸検出部、給紙判断部、セット方向判断部及び表示部を備える。用紙積載部は、外部装置に給紙するための用紙を積載する。凹凸検出部は、用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する。給紙判断部は、凹凸検出部による検出結果に基づいて、用紙積載部に積載された用紙を外部装置に給紙可能か否かを判断する。セット方向判断部は、給紙判断部によって外部装置に給紙可能でないと判断された場合に、用紙積載部に積載された用紙の方向を変更することが可能か否かを判断する。そして、表示部は、セット方向判断部によって用紙の方向を変更可能であると判断された場合に、用紙の方向を変更させることを示す表示をする。これにより、用紙積載部に積載された用紙の方向をユーザに変更させることができるようになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る画像形成装置によれば、用紙積載部に積載された用紙の凹凸を低減でき、用紙のセット方向を変更できるので、安定して用紙に画像を形成することができ、印刷ズレ、ジャム、空送り、重送等の不具合を防止できる。
【0027】
本発明に係る給紙装置によれば、用紙積載部に積載された用紙の凹凸を低減でき、用紙のセット方向を変更できるので、ジャム、空送り、重送等の不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置100の構成例を示す概略図である。
【図2】給紙部30の構成例を示す斜視図である。
【図3】給紙部30の構成例を示す平面図である。
【図4】図3のA−A線で切断した給紙部30の構成例を示す断面図である。
【図5】画像形成装置100の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図6】画像形成装置100の動作例を示すフローチャートである。
【図7】給紙部30の動作例(その1)を示す断面図である。
【図8】給紙部30の動作例(その2)を示す断面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る画像形成装置200の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図10】画像形成装置200の動作例を示すフローチャートである。
【図11】用紙Pのセット方向の変更例(その1)を示す説明図である。
【図12】用紙Pのセット方向の変更例(その2)を示す説明図である。
【図13】用紙Pのセット方向の変更例(その3)を示す説明図である。
【図14】用紙Pのセット方向の変更例(その4)を示す説明図である。
【図15】第3の実施の形態に係る画像形成装置300の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図16】画像形成装置300の動作例を示すフローチャートである。
【図17】(A)は、用紙Pの積載例(その1)を示す平面図であり、(B)は、その正面図である。
【図18】(A)は、用紙Pの積載例(その2)を示す平面図であり、(B)は、その正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら複写機、プリンタ及び複合機等である本発明に係る画像形成装置について説明する。
<第1の実施の形態>
[画像形成装置100の構成例]
まず、第1の実施の形態に係る画像形成装置100の構成例について説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部101及び画像読取部102で構成される。更に、画像形成装置100は、給紙部30及び定着部50を備える。画像形成部101は、タンデム型カラー画像形成部と称されるもので、複数組の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K及び転写ユニット20で構成される。
【0030】
画像読取部102は、自動原稿送り装置103及び走査露光装置104で構成され、画像形成部101の上部に設置される。自動原稿送り装置103の原稿台上に載置された原稿Gは図示しない搬送部により搬送され、走査露光装置104の光学系により原稿Gの片面又は両面の画像が走査露光され、当該画像は固体撮像素子等で構成されるラインイメージセンサ7に読み込まれる。
【0031】
ラインイメージセンサ7は、読み込んだ画像を光電変換により画像データに変換する。その画像データは、図示しない画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、露光部3Y,3M,3C,3Kに送られる。
【0032】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、像担持体である円筒状の感光体ドラム1Y、クリーニング部4Y及び現像部6Yを有する。更に、画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Yの周囲に帯電部2Y、露光部3Y及び1次転写部5Yを有する。
【0033】
マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、像担持体である円筒状の感光体ドラム1M、クリーニング部4M及び現像部6Mを有する。更に、画像形成ユニット10Mは、感光体ドラム1Mの周囲に帯電部2M、露光部3M、及び1次転写部5Mを有する。
【0034】
シアン(C)色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、像担持体である円筒状の感光体ドラム1C、クリーニング部4C及び現像部6Cを有する。更に、画像形成ユニット10Cは、感光体ドラム1Cの周囲に帯電部2C、露光部3C及び1次転写部5Cを有する。
【0035】
黒(K)色の画像を形成する画像形成ユニット10Kは、像担持体である円筒状の感光体ドラム1K、クリーニング部4K及び現像部6Kを有する。更に、画像形成ユニット10Kは、感光体ドラム1Kの周囲に帯電部2K、露光部3K及び1次転写部5Kを有する。
【0036】
画像形成装置100にカラーの画像データが入力されると、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kより各色のトナー像を形成し、画像形成装置100にモノクロの画像データが入力されると、画像形成ユニット10Kのみでブラックのトナー像を形成する。
【0037】
転写ユニット20は、中間転写ベルト21、駆動ローラ22、2次転写部23及びクリーニング部24で構成される。中間転写ベルト21は、駆動ローラ22及び複数のローラにより巻き回され、回動自在に支持される。
【0038】
制御部70によって用紙Pに画像を書き込むタイミングが補正されると、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kと1次転写部5Y,5M,5C,5Kとが中間転写ベルト21を圧着する。そして、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに形成されたトナー像が中間転写ベルト21に逐次転写され、中間転写ベルト21上にトナー像が形成される。
【0039】
給紙部30は、用紙積載部の一例である給紙トレイ31及び給紙ローラ32等で構成される。給紙トレイ31内に収容された用紙Pは、給紙ローラ32により1枚毎に分離され、搬送ローラ40を経て、停止状態にあるレジストローラ41へ給紙される。
【0040】
用紙Pはレジストローラ41で一旦停止され、用紙Pの先端と中間転写ベルト21に形成されたトナー像との位置が一致するタイミングでレジストローラ41が回転を開始することにより2次転写部23に用紙Pが給紙され、用紙P上にトナー像が転写される。
【0041】
2次転写部23により用紙Pにトナー像が転写された後、中間転写ベルト21に付着している残留トナーがクリーニング部24によって除去される。給紙部30の構成の詳細については、図2乃至図4で後述する。
【0042】
定着部50は、定着ローラ51及び加圧ローラ52で構成される。定着ローラ51及び加圧ローラ52は、2次転写部23によってトナー像が転写された用紙Pを挟持しながら用紙Pに転写されたトナー画像を加熱及び加圧して、用紙Pにトナー像を定着させる。その後、用紙Pは、排紙ローラ60に挟持されて機外の排紙トレイ61上に載置される。
【0043】
[給紙部30の構成例]
次に、給紙部30の構成例について説明する。図2乃至図4に示すように、給紙部30は、給紙トレイ31、給紙ローラ32、上限位置検出センサ33、凹凸検出センサ34a〜34f及び用紙昇降部35a〜35fで構成される。
【0044】
給紙トレイ31は、画像形成部101に給紙するための、図2及び図3の破線で示す用紙Pを積載する。給紙トレイ31は、画像形成装置100に着脱可能で、画像形成装置100にセットされたか否かを検出する図示しないトレイ検出センサが給紙部30に設けられる。また、給紙トレイ31には用紙Pがあるか否かを検出する図示しない用紙検出センサが設けられる。給紙トレイ31は、図示しないトレイ昇降部によって昇降される。用紙Pは、図17で示したように、例えば、領域R1に既に画像が印刷されていて、領域R2に画像を追い刷りされるものである。このため、最上位の用紙Pは、凹凸面(傾斜面)を有する。
【0045】
給紙トレイ31の上部には給紙ローラ32が設けられる。給紙ローラ32は、図示しないモータ等で構成された、図5で後述する給紙ローラ駆動部32Aにより回転する。給紙ローラ32は、トレイ昇降部によって上昇された給紙トレイ31に積載される最上位の用紙Pの上面に当接しながら回転して、用紙Pを1枚毎に分離させて搬送ローラ40に向かって搬送する。例えば、給紙ローラ32は、図4では、反時計回りに回転して用紙Pを右側方向(搬送方向)に搬送する。
【0046】
給紙ローラ32の近傍には上限位置検出センサ33が設けられる。上限位置検出センサ33は、給紙トレイ31で上昇された最上位の用紙Pが搬送ローラ40で搬送できる位置(上限位置)に達したことを検出するものである。上限位置検出センサ33は、該検出結果(図5で後述する上限位置検出信号D4)を制御部70に出力する。上限位置検出センサ33には、例えば、発光ダイオード及びフォトダイオード等で構成された反射型フォトセンサが使用される。
【0047】
反射型フォトセンサでは、給紙トレイ31に積載されている最上位の用紙Pの先端が上限位置まで上昇されると、発光ダイオードからの光が最上位の用紙Pの先端で反射する。反射型フォトセンサは、その反射光をフォトダイオードで受光することで、最上位の用紙Pが上限位置に達したことを検出できる。
【0048】
給紙ローラ32の上方には凹凸検出センサ34a〜34fが設けられる。凹凸検出センサ34a〜34fは、給紙トレイ31に積載された最上位の用紙Pの凹凸状態を検出する。凹凸検出センサ34a〜34fは、該検出結果(図5で後述する凹凸検出信号D1)を制御部70に出力する。例えば、凹凸検出センサ34a〜34fには、測距センサ、超音波センサ又は接触型変位センサ等が使用される。
【0049】
測距センサは、発光ダイオード及び2分割されたフォトダイオード(2分割ダイオード)等で構成され、発光ダイオードから発せられた光であって、最上位の用紙Pで反射した光を2分割フォトダイオードでそれぞれ受光する。そして、測距センサは、2分割フォトダイオードがそれぞれ受光した受光量の差を求める(三角測距法)ことで、最上位の用紙Pと測距センサとの間の距離(凹凸状態)が検出できる。
【0050】
超音波センサは、超音波発振部、超音波受信部及びタイマ等で構成され、超音波発振部で超音波を発生すると共に、タイマによって時間の計測を開始する。そして、超音波センサは、最上位の用紙Pで反射した超音波を超音波受信部で受信すると共に、タイマによる時間の計測を終了する。これにより、超音波センサは、予め記憶された音速とタイマで計測した時間とを演算することで、最上位の用紙Pと超音波センサとの距離(凹凸状態)が検出できる。
【0051】
接触型変位センサは、給紙ローラ32の高さ位置に伸縮可能な部材(例えば、ワイヤー、バネ等)で構成される。接触型変位センサは、最上位の用紙Pの変位に伴い当該部材が変位することで、当該部材の差分を測定して最上位の用紙Pの凹凸状態が検出できる。
【0052】
給紙トレイ31の内部には用紙昇降部35a〜35fが設けられる。また、用紙昇降部35a〜35fは、凹凸検出センサ34a〜34fに対応した位置にそれぞれ設けられ、当該用紙昇降部35a〜35fに対応した位置にある、給紙トレイ31に積載された用紙Pを部分的に昇降させる。
【0053】
図4に示すように、用紙昇降部35a〜35fは、例えば、ソレノイド36a〜36f及び昇降板部材38a〜38f等で構成される。ソレノイド36a〜36fは、給紙トレイ31に積載されている用紙Pの積載面に対して垂直に設けられ、当該ソレノイド36a〜36fが有する可動部37a〜37fが上下方向に可動する。
【0054】
可動部37a〜37fの一端には昇降板部材38a〜38fが設けられる。昇降板部材38a〜38fの上面と給紙トレイ31の上面とは、通常面一になっている。前述の凹凸検出センサ34a〜34fにより、給紙トレイ31に積載されている最上位の用紙Pの凹凸状態が検出され、該検出された凹凸状態に基づいて可動部37a〜37fが上下方向に可動すると共に、昇降板部材38a〜38fが上下方向に昇降する。
【0055】
これにより、最上位の用紙Pに、追い刷りを行う際に生じる凹凸や、用紙をパンチングして生じるバリによる凹凸、又はカール等があっても、用紙Pを部分的に用紙昇降部35a〜35fで昇降させることにより、当該用紙の凹凸やカールを低減できるようになる。
【0056】
なお、本実施の形態では、凹凸検出センサ及び用紙昇降部を6つずつ設けたが、凹凸検出センサに対応した位置に用紙昇降部を設ければ、それらの数は限定されない。
【0057】
[画像形成装置100の制御系の構成例]
次に、画像形成装置100の制御系の構成例について説明する。図5に示すように、画像形成装置100の制御系は、給紙部30、制御部70、記憶部71、操作表示部72、画像形成部101及び画像読取部102で構成される。
【0058】
記憶部71は、図示しないROM及びRAM等で構成され、画像形成装置100全体の各種制御プログラムや操作画面に関する情報等を記憶する。また、記憶部71は、給紙部30が給紙トレイ31に積載された用紙Pを画像形成部101に給紙可能か否かを判断するための判断基準値D2に関する情報等を記憶する。
【0059】
操作表示部72は、記憶部71に記憶された操作画面を表示したり、ユーザからの各種入力を受け付けたりするものである。例えば、操作表示部72は、タッチパネル式の液晶ディスプレイ等で構成される。
【0060】
給紙部30は、トレイ昇降部31A、給紙ローラ駆動部32A、上限位置検出センサ33、凹凸検出センサ34a〜34f及びソレノイド36a〜36fを備える。
【0061】
トレイ昇降部31Aは、前述の図2乃至4で説明した給紙トレイ31を昇降させるものである。トレイ昇降部31Aは、給紙トレイ31に積載される用紙Pを1枚も残さずに画像形成部101に給紙するために、上限位置検出センサ33が設けられた位置まで、給紙トレイ31を上昇させる。また、トレイ昇降部31Aは、給紙トレイ31に用紙Pを補充するときに、より多くの用紙Pを積載するために、下限位置まで給紙トレイ31を下降させる。
【0062】
給紙ローラ駆動部32Aは、前述の図1乃至4で説明した給紙ローラ32を駆動させるものである。給紙ローラ駆動部32Aは、例えば、図示しないモータ等で構成され、当該モータの回転により給紙ローラ32を回転させる。
【0063】
上限位置検出センサ33、凹凸検出センサ34a〜34f及びソレノイド36a〜36fについては、図2乃至4で説明したので、詳細な説明は省略する。
【0064】
制御部70は、給紙部30、記憶部71、操作表示部72、画像形成部101及び画像読取部102にそれぞれ接続して、これらを制御する。例えば、制御部70は、原稿Gに印刷された所望の画像を画像読取部102によって読み取らせて、該読み取らせた画像を画像形成部101によって像担持体に形成させる。
【0065】
また、制御部70は、画像形成部101に画像を形成させる際に、給紙部30を制御する。例えば、制御部70は、給紙トレイ31に積載された最上位の用紙Pの凹凸状態を検出するために、凹凸検出センサ34a〜34fを駆動させる。すると、凹凸検出センサ34a〜34fは、給紙トレイ31に積載された最上位の用紙Pの凹凸状態を検出する。例えば、この凹凸状態は、給紙トレイ31と最上位の用紙Pとの間の距離から算出される。そして、凹凸検出センサ34a〜34fは、当該距離が含まれる凹凸検出信号D1を制御部70に出力する。
【0066】
制御部70は、凹凸検出センサ34a〜34fによってそれぞれ出力された凹凸検出信号D1を受信し、該受信した複数の凹凸検出信号D1に基づいて最上位の用紙Pの凹凸分布値を算出する。そして、制御部70は、記憶部71に予め記憶されている判断基準値D2を読み出して、当該制御部70が有する給紙判断部70Aに用紙Pを画像形成部101に給紙可能か否かを判断させる。
【0067】
給紙判断部70Aは、制御部70が算出した凹凸分布値が判断基準値D2よりも大きいか否か(画像形成部101に給紙可能か否か)を判断する。凹凸分布値が判断基準値D2よりも大きい場合には、制御部70は、給紙判断部70Aによる判断に基づいてソレノイド36a〜36fを駆動させるためのソレノイド駆動信号D3を生成する。
【0068】
そして、制御部70は、生成したソレノイド駆動信号D3をソレノイド36a〜36fに出力する。また、凹凸分布値が判断基準値D2以下の場合には、給紙判断部70Aは、用紙Pの凹凸の補正は必要ないと判断し、制御部70は、給紙判断部70Aによる判断に基づいてソレノイド駆動信号D3を生成しない。
【0069】
ソレノイド36a〜36fは、制御部70から出力されたソレノイド駆動信号D3を受信して、可動部37a〜37fを所定距離だけ駆動させる。すると、可動部37a〜37fに接続された昇降板部材38a〜38fの昇降位置が調整されて、用紙Pの凹凸を補正する。これにより、給紙トレイ31に積載された用紙Pの凹凸を低減できるようになる。
【0070】
制御部70は、給紙判断部70Aが用紙Pの凹凸の補正は必要ないと判断した場合、及び、用紙昇降部35a〜35fによって用紙Pの凹凸が補正された場合、給紙トレイ31に積載された最上位の用紙Pを搬送ローラ40がある搬送位置まで上昇させるために、トレイ昇降部31Aを駆動して給紙トレイ31を上昇させる。
【0071】
最上位の用紙Pが搬送位置に達したとき、上限位置検出センサ33から上限位置検出信号D4が制御部70に出力される。制御部70は、上限位置検出センサ33から出力された上限位置検出信号D4を受信して、トレイ昇降部31Aの駆動を停止させる。このとき、最上位の用紙Pの上面に給紙ローラ32が当接する。その後、制御部70は、給紙ローラ駆動部32Aを駆動させて給紙ローラ32を回転させて、給紙ローラ32に当接されている最上位の用紙Pを画像形成部101に搬送する。
【0072】
[画像形成装置100の動作例]
次に、画像形成装置100の動作例についてフローチャートを用いて説明する。図6に示すように、ステップST1では、制御部70は、画像形成装置100に給紙トレイ31がセットされたか否かを、給紙部30に設けられたトレイ検出センサの検出結果により判断する。給紙トレイ31がセットされていない場合には、ステップST2に移行し、給紙トレイ31がセットされている場合には、ステップST3に移行する。
【0073】
ステップST2では、制御部70は、記憶部71に記憶されている、給紙トレイ31のセットを促すメッセージを操作表示部72に表示させるための画面情報を読み出して、該読み出した画面情報を操作表示部72に表示する。この画面情報は、例えば「給紙トレイをセットして下さい。」というような警告情報である。
【0074】
ステップST3では、制御部70は、給紙トレイ31に用紙Pがあるか否かを、給紙トレイ31に設けられた用紙検出センサの検出結果により判断する。給紙トレイ31に用紙がない場合にはステップST4に移行し、給紙トレイ31に用紙がある場合にはステップST5に移行する。
【0075】
ステップST4では、制御部70は、記憶部71に記憶されている、用紙Pのセットを促すメッセージを操作表示部72に表示させるための画面情報を読み出して、該読み出した画面情報を操作表示部72に表示する。この画面情報は、例えば「用紙をセットして下さい。」というような警告情報である。
【0076】
ステップST5に移行して、制御部70は、凹凸検出センサ34a〜34fに、給紙トレイ31に積載された最上位の用紙Pの凹凸状態を検出させる。そして、制御部70は、凹凸検出センサ34a〜34fからの凹凸検出信号D1をそれぞれ受信し、該受信した複数の凹凸検出信号D1に基づいて最上位の用紙Pの凹凸分布値を算出する。
【0077】
ステップST6に移行して、制御部70は、記憶部71に記憶される判断基準値D2を読み出す。給紙判断部70Aは、制御部70が算出した凹凸分布値と制御部70が読み出した判断基準値D2とから用紙Pが画像形成部101に給紙可能か否かを判断する。給紙判断部70Aが画像形成部101に給紙可能でないと判断した場合にはステップST7に移行し、給紙判断部70Aが画像形成部101に給紙可能であると判断した場合にはステップST8に移行する。
【0078】
ステップST7では、制御部70は、図4に示した状態から用紙Pの高さを部分的に調整する。例えば、制御部70は、ソレノイド駆動信号D3を生成してソレノイド36a〜36fに出力する。ソレノイド36a〜36fは、制御部70から出力されたソレノイド駆動信号D3を受信して、ソレノイド36a〜36fに設けられた可動部37a〜37fを所定距離だけ駆動させる。
【0079】
すると、図7に示すように、可動部37a〜37fに接続された昇降板部材38a〜38fが所定の距離だけ上昇して、給紙トレイ31に積載された用紙Pが下方から部分的に上昇する。この結果、用紙Pの凹凸が補正されて凹凸が低減できるようになる。用紙Pの凹凸を補正後、ステップST5に戻って、凹凸検出センサ34a〜34fにより再び用紙Pの凹凸状態を検出する。
【0080】
ステップST8では、制御部70は、図8に示すように、上限位置検出センサ33を駆動させると共に、給紙トレイ31を上昇させる。給紙トレイ31が積載している最上位の用紙Pが、上限位置検出センサ33がある上限位置まで上昇すると、上限位置検出センサ33から上限位置検出信号D4が制御部70に出力される。すると、制御部70は、上限位置検出センサ33からの上限位置検出信号D4を受信して、給紙トレイ31を停止させる。そして、制御部70は、給紙ローラ駆動部32Aを駆動して給紙ローラ32を回転させて、給紙ローラ32に当接されている最上位の用紙Pを画像形成部101に搬送する。
【0081】
なお、制御部70は、用紙Pを画像形成部101に搬送しているときにも、凹凸検出センサ34a〜34fにより最上位の用紙Pの凹凸状態を検出して、用紙昇降部35a〜35fを駆動して当該用紙昇降部35a〜35fの昇降位置を調整しても良い。これにより、常に、最上位の用紙Pの上面を水平に保つことができる。
【0082】
このように、本実施の形態に係る画像形成装置100によれば、画像形成部101、給紙トレイ31、用紙昇降部35a〜35f、凹凸検出センサ34a〜34f、給紙判断部70A及び制御部70を備える。
【0083】
画像形成部101は、用紙Pに画像を形成する。給紙トレイ31は、画像形成部101に給紙するための用紙Pを積載する。用紙昇降部35a〜35fは、給紙トレイ31に設けられ、給紙トレイ31に積載された用紙Pを部分的に昇降させる。凹凸検出センサ34a〜34fは、給紙トレイ31に積載された最上位の用紙Pの凹凸状態を検出する。給紙判断部70Aは、凹凸検出センサ34a〜34fによる検出結果に基づいて、給紙トレイ31に積載された用紙Pを画像形成部101に給紙可能か否かを判断する。そして、制御部70は、給紙判断部70Aによって画像形成部101に給紙可能でないと判断された場合に、用紙昇降部35a〜35fを駆動して用紙昇降部35a〜35fの昇降位置を調整する。
【0084】
これにより、給紙トレイ31に積載された用紙Pが部分的に昇降されて当該用紙Pの凹凸を低減できるようになる。この結果、当該用紙Pを画像形成部101に安定して給紙でき、印刷ズレ、ジャム、空送り、重送等の不具合を防止できる。
【0085】
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、操作表示部72で用紙の方向を変更させる表示を行う画像形成装置200について説明する。前述の第1の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0086】
[画像形成装置200の制御系の構成例]
まずは、画像形成装置200の制御系の構成例について説明する。図9に示すように、画像形成装置200の制御系は、操作表示部72、制御部73、給紙部80、記憶部82、画像形成部101及び画像読取部102で構成される。
【0087】
記憶部82は、第1の実施の形態で説明した記憶部71と同様に、給紙部80が用紙Pを画像形成部101に給紙可能か否かを判断するための判断基準値D2に関する情報が記憶されている。操作画面に関する情報とは、例えば、操作表示部72に警告を表示させるための警告情報D5である。警告情報D5には図11に示す給紙トレイ81に積載される用紙Pのセット方向の向きを変更させる警告や、給紙トレイ81に積載される用紙Pの枚数を減らすように促す警告等が含まれている。
【0088】
操作表示部72は、記憶部82に記憶された警告情報D5に基づく画面を表示したり、ユーザからの各種入力を受け付けたりするものである。操作表示部72は、警告情報D5に基づいて、例えば、「給紙トレイの用紙を横向きから縦向きに変えて下さい。」という用紙Pのセット方向の向きを変更させる警告画面や、「給紙トレイから用紙を300枚程度取り除いて下さい。」という給紙トレイ81に積載された用紙Pの枚数を減らすように促す警告画面を表示する。
【0089】
給紙部80は、トレイ昇降部31A、給紙ローラ駆動部32A、上限位置検出センサ33及び凹凸検出センサ34a〜34fを備える。つまり、給紙部80は、前述の第1の実施の形態で説明した給紙部30と比べて、用紙昇降部35a〜35fを駆動するソレノイド36a〜36fが削除されている。トレイ昇降部31A、給紙ローラ駆動部32A、上限位置検出センサ33及ぶ凹凸検出センサ34a〜34fは、前述の第1の実施の形態で説明したものと同じであるので、その説明を省略する。
【0090】
制御部73は、記憶部82、操作表示部72、給紙部80、画像形成部101及び画像読取部102にそれぞれ接続して、これらを制御する。制御部73は、画像形成部101に画像を形成させる際に、給紙部80を制御する。制御部73は、給紙判断部73A及びセット方向判断部73Bを有する。
【0091】
制御部73は、凹凸検出センサ34a〜34fによってそれぞれ出力された凹凸検出信号D1を受信し、該受信した複数の凹凸検出信号D1に基づいて最上位の用紙Pの凹凸分布値を算出する。制御部73は、記憶部82に予め記憶されている判断基準値D2を読み出して、給紙判断部73Aに算出した凹凸分布値が判断基準値D2よりも大きいか否か(用紙Pを画像形成部101に給紙可能か否か)を判断させる。
【0092】
給紙判断部73Aが用紙Pを画像形成部101に給紙可能であると判断した場合、制御部73は、給紙ローラ駆動部32Aを制御して、給紙トレイ81に積載されている用紙Pを画像形成部101に給紙する。
【0093】
また、給紙判断部73Aが用紙Pを画像形成部101に給紙可能でないと判断した場合、制御部73は、セット方向判断部73Bに給紙トレイ81に積載された用紙Pの方向を変更することが可能か否かを判断させる。
【0094】
セット方向判断部73Bが用紙Pの方向を変更することが可能であると判断した場合、制御部73は、記憶部82に記憶されている警告情報D5を読み出して、操作表示部72に、例えば「給紙トレイの用紙を横向きから縦向きに変えて下さい。」という警告画面を表示させる。
【0095】
また、セット方向判断部73Bが用紙Pの方向を変更することが可能でないと判断した場合、制御部73は、記憶部82に記憶されている警告情報D5を読み出して、操作表示部72に、例えば「給紙トレイから用紙を300枚程度取り除いて下さい。」という警告画面を表示させる。
【0096】
[画像形成装置200の動作例]
次に、画像形成装置200の動作例についてフローチャートを用いて説明する。図10に示すステップST11からステップST16までは、図6に示したステップST1からステップST6までと同じ動作であるので、その説明を省略する。
【0097】
ステップST17では、セット方向判断部73Bは、制御部73が算出した凹凸分布値と制御部73が記憶部82から読み出した判断基準値D2とから、給紙トレイ81に積載された用紙Pのセット方向を変更することが可能か否かを判断する。セット方向判断部73Bが用紙Pのセット方向を変更可能であると判断した場合にはステップST18に移行し、セット方向判断部73Bが用紙Pのセット方向を変更可能でないと判断した場合にはステップST19に移行する。
【0098】
ステップST18では、制御部73は、記憶部82に記憶された警告情報D5を読み出して、該読み出した警告情報D5に基づいて操作表示部72に、給紙トレイ81に積載された用紙Pのセット方向を変更する、又は、給紙トレイ81に積載された用紙Pを所定枚数だけ取り除くように警告する画面を表示させる。その後、ステップST15に戻って、凹凸検出センサ34a〜34fにより再び用紙Pの凹凸状態を検出する。
【0099】
ステップST19では、制御部73は、記憶部82に記憶された警告情報D5を読み出して、該読み出した警告情報D5に基づいて操作表示部72に、給紙トレイ81に積載された用紙Pを所定枚数だけ取り除くように警告する画面を表示させる。その後、ステップST15に戻って、凹凸検出センサ34a〜34fにより再び用紙Pの凹凸状態を検出する。
【0100】
ステップST20では、制御部73は、上限位置検出センサ33を駆動させると共に、給紙トレイ81を上昇させる。給紙トレイ81が積載している最上位の用紙Pが、上限位置検出センサ33がある上限位置まで上昇すると、上限位置検出センサ33から上限位置検出信号D4が制御部73に出力される。すると、制御部73は、上限位置検出センサ33からの上限位置検出信号D4を受信して、給紙トレイ81を停止させる。そして、制御部74は、給紙ローラ駆動部32Aを駆動して給紙ローラ32を回転させて、給紙ローラ32に当接されている最上位の用紙Pを画像形成部101に搬送する。
【0101】
[用紙Pのセット方向の変更例]
次に、給紙トレイ81に積載された用紙Pのセット方向の変更例について説明する。図11に示すように、給紙トレイ81に用紙Pが積載され、当該用紙Pの最上位の面が左上がりになっていることを前提とする。この左上がりは、図17に示したように、既に画像が印刷された領域R1があるために当該領域R1の部分が厚くなっていることによる。また、画像形成部101に用紙Pが良好に給紙されるようなセット方向は、画像形成装置の仕様等によって異なる。本例では、用紙Pのセット方向が左上がりよりも右上がりに積載されている方が画像形成部101に用紙Pが良好に給紙されることにする。
【0102】
図11に示すように、凹凸検出センサ34a〜34fが給紙トレイ81に積載された最上位の用紙Pの凹凸状態を検出する。すると、凹凸検出センサ34a〜34fは、用紙Pが左上がりになっていることを検出する。
【0103】
制御部73は、セット方向判断部73Bによって給紙トレイ81に積載された用紙Pのセット方向を変更することが可能か否かを判断させる。セット方向の変更が可能である場合に、制御部73は、給紙トレイ81に積載された用紙Pを180度回転させて右上がりにするために、操作表示部72に警告画面を表示させる。
【0104】
操作表示部72の警告画面をユーザが見て、給紙トレイ81に積載された用紙Pを180度回転させる(図12)。その後、再度、凹凸検出センサ34a〜34fが給紙トレイ81に積載された最上位の用紙Pの凹凸状態を検出する。すると、凹凸検出センサ34a〜34fは、用紙Pが右上がりになっていることを検出する。その後、制御部73は、給紙トレイ81に積載された最上位の用紙Pが所定の搬送位置になるように給紙トレイ81を上昇させ、給紙ローラ32を回転させて最上位の用紙Pを画像形成部101に給紙する(図13)。
【0105】
なお、図14に示すように、図18に示した方向に用紙Pが給紙トレイ81に積載されている場合でも、操作表示部72に警告画面を表示させることが可能である。
【0106】
このように、本実施の形態に係る画像形成装置200によれば、画像形成部101、給紙トレイ81、凹凸検出センサ34a〜34f、給紙判断部73A、セット方向判断部73B及び操作表示部72を備える。
【0107】
画像形成部101は、用紙Pに画像を形成する。給紙トレイ31は、画像形成部101に給紙するための用紙Pを所定の方向に積載する。凹凸検出センサ34a〜34fは、給紙トレイ31に積載された最上位の用紙Pの凹凸状態を検出する。給紙判断部73Aは、凹凸検出センサ34a〜34fによる検出結果に基づいて、給紙トレイ31に積載された用紙Pを画像形成部101に給紙可能か否かを判断する。セット方向判断部73Bは、給紙判断部73Aによって画像形成部101に給紙可能でないと判断された場合に、給紙トレイ81に積載された用紙Pの方向を変更することが可能か否かを判断する。そして、操作表示部72は、セット方向判断部73Bによって用紙Pの方向を変更可能であると判断された場合に、用紙Pの方向を変更させることを示す警告情報D5に関する表示画面を表示する。
【0108】
これにより、給紙トレイ81に積載された用紙Pの方向をユーザに変更させることができるようになる。この結果、当該用紙Pを画像形成部101に安定して給紙でき、印刷ズレ、ジャム、空送り、重送等の不具合を防止できる。
【0109】
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、用紙の凹凸を補正することが可能か否かを判断する補正判断部74Cを設けた画像形成装置300について説明する。前述の第1及び第2の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0110】
[画像形成装置300の制御系の構成例]
まずは、画像形成装置300の制御系の構成例について説明する。図15に示すように、画像形成装置300の制御系は、給紙部30、操作表示部72、制御部74、記憶部82、画像形成部101及び画像読取部102で構成される。
【0111】
制御部74は、給紙部30、操作表示部72、記憶部82、画像形成部101及び画像読取部102にそれぞれ接続して、これらを制御する。制御部74は、画像形成部101に画像を形成させる際に、給紙部30を制御する。制御部74は、給紙判断部74A、セット方向判断部74B及び補正判断部74Cを有する。
【0112】
補正判断部74Cは、凹凸検出センサ34a〜34fによって検出された用紙Pの凹凸状態が補正可能範囲内にあるか否かを判断する。補正可能範囲は、給紙トレイ31に積載された用紙Pの凹凸を用紙昇降部35a〜35fが補正できる範囲であって、記憶部82に補正可能範囲情報として予め記憶されている。
【0113】
補正判断部74Cの判断により凹凸状態が補正可能範囲内である場合には、制御部74は、ソレノイド36a〜36fを駆動することで用紙昇降部35a〜35fの昇降位置を調整し、給紙トレイ31に積載された用紙Pを昇降させる。また、補正判断部74Cの判断により凹凸状態が補正可能範囲内でない場合には、セット方向判断部74B及び操作表示部72を制御して記憶部82に記憶されている警告情報D5に関する画面を表示させる。
【0114】
[画像形成装置300の動作例]
次に、画像形成装置300の動作例についてフローチャートを用いて説明する。図16に示すステップST21からステップST26までは、図6に示したステップST1からステップST6までと同じであり、ステップST28は、図6に示したステップST7と同じであり、ステップST29からステップST32までは、図10に示したステップ17からステップST20と同じであるので、その説明を省略する。
【0115】
ステップST27では、補正判断部74Cは、制御部74が算出した凹凸分布値と制御部74が記憶部82から読み出した補正可能範囲情報とから、給紙トレイ31に積載された最上位の用紙Pの凹凸状態が補正可能範囲内にあるか否かを判断する。補正判断部74Cが用紙Pの凹凸状態が補正範囲内にあると判断した場合にはステップST28に移行し、補正判断部74Cが用紙Pの凹凸状態が補正範囲内にないと判断した場合にはステップST29に移行する。
【0116】
このように、本実施の形態に係る画像形成装置300によれば、用紙昇降部35a〜35fは、給紙トレイ31に設けられ、この給紙トレイ31に積載された用紙Pを部分的に昇降させる。補正判断部74Cは、凹凸検出センサ34a〜34fによって検出された用紙Pの凹凸状態が予め記憶される補正可能範囲内にあるか否かを判断する。そして、制御部74は、補正判断部74Cの判断により用紙Pの凹凸状態が補正可能範囲内である場合には、用紙昇降部35a〜35fを駆動して用紙昇降部35a〜35fの昇降位置を調整し、補正判断部74Cの判断により用紙Pの凹凸状態が補正可能範囲内でない場合には、用紙の方向を変更させることや用紙の枚数を取り除かせることを操作表示部72に警告画面として表示させる。
【0117】
これにより、補正判断部74Cが、凹凸検出センサ34a〜34fによる検出結果が予め記憶される補正可能範囲内にあるか否かを判断して、制御部74が用紙昇降部35a〜35f又は操作表示部72を制御するので、用紙Pの凹凸状態が補正可能範囲内にあるか否かに関わらず、画像形成部101に確実に給紙することができる。
【0118】
なお、第1乃至第3の実施の形態では、本発明に係る給紙部30,81を画像形成装置に適用したものを説明したが、これに限定されず、画像形成装置に大量の用紙を供給する給紙装置にも適用可能である。この場合、表示部は、タッチパネル式の液晶ディスプレイ等でなくてもよく、LEDランプのような簡易的なものであっても構わない。
【0119】
また、第1乃至第3の実施の形態では、給紙ローラ32によって画像形成部101に給紙する構成について説明したが、これに限定されず、例えば、用紙の側面にエアを吹き付けて浮上させて、給紙トレイの上方にある吸着面に浮上した用紙を吸着させながら搬送するエア給紙にも適用可能である。
【0120】
また、第2及び第3の実施の形態では、操作表示部72に用紙の枚数を減らすように促す警告画面を表示してユーザに用紙を取り除かせる説明をしたが、これに限定されず、用紙に画像を形成させないで、当該用紙を排紙トレイ61まで強制的に搬送させて取り除く方法であっても構わない。これにより、給紙トレイから用紙を取り除くユーザの作業を削減することができる。
【符号の説明】
【0121】
10Y,10M,10C,10K・・・画像形成ユニット、20・・・転写ユニット、30・・・給紙部、31,81・・・給紙トレイ、31A・・・トレイ昇降部、32・・・給紙ローラ、32A・・・給紙ローラ駆動部、33・・・上限位置検出センサ、34a〜34f・・・凹凸検出センサ、35a〜35f・・・用紙昇降部、36a〜36f・・・ソレノイド、37a〜37f・・・可動部、38a〜38f・・・昇降板部材、50・・・定着部、70,73,74・・・制御部、70A,73A,74A・・・給紙判断部、73B,74B・・・セット方向判断部、74C・・・補正判断部、71,82・・・記憶部、72・・・操作表示部、100,200,300・・・画像形成装置、101・・・画像形成部、102・・・画像読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に給紙するための用紙を積載する用紙積載部と、
前記用紙積載部に設けられ、前記用紙積載部に積載された用紙を部分的に昇降させる用紙昇降部と、
前記用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する凹凸検出部と、
前記凹凸検出部による検出結果に基づいて、前記用紙積載部に積載された用紙を前記画像形成部に給紙可能か否かを判断する給紙判断部と、
前記給紙判断部によって前記画像形成部に給紙可能でないと判断された場合に、前記用紙昇降部を駆動して前記用紙昇降部の昇降位置を調整する制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に給紙するための用紙を積載する用紙積載部と、
前記用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する凹凸検出部と、
前記凹凸検出部による検出結果に基づいて、前記用紙積載部に積載された用紙を前記画像形成部に給紙可能か否かを判断する給紙判断部と、
前記給紙判断部によって前記画像形成部に給紙可能でないと判断された場合に、前記用紙積載部に積載された用紙の方向を変更することが可能か否かを判断するセット方向判断部と、
前記セット方向判断部によって用紙の方向を変更可能であると判断された場合に、用紙の方向を変更させることを示す表示をする表示部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙積載部に設けられ、前記用紙積載部に積載された用紙を部分的に昇降させる用紙昇降部と、
前記凹凸検出部によって検出された用紙の凹凸状態が予め記憶される補正可能範囲内にあるか否かを判断する補正判断部と、
前記補正判断部の判断により前記凹凸状態が前記補正可能範囲内である場合には、前記用紙昇降部を駆動して前記用紙昇降部の昇降位置を調整し、前記補正判断部の判断により前記凹凸状態が前記補正可能範囲内でない場合には、用紙の方向を変更させることを示す表示を前記表示部に表示させる制御部とを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記表示部は、
更に、前記用紙積載部から用紙を所定枚数だけ取り除かせることを示す表示をすることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記表示部は、
前記セット方向判断部によって用紙のセット方向の変更が可能ではないと判断された場合に、前記用紙積載部から用紙を所定枚数だけ取り除かせることを示す表示をすることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記凹凸検出部は、
測距センサ、超音波センサ又は接触型変位センサで構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
外部装置に給紙するための用紙を積載する用紙積載部と、
前記用紙積載部に設けられ、前記用紙積載部に積載された用紙を部分的に昇降させる用紙昇降部と、
前記用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する凹凸検出部と、
前記凹凸検出部による検出結果に基づいて、前記用紙積載部に積載された用紙を前記外部装置に給紙可能か否かを判断する給紙判断部と、
前記給紙判断部によって前記外部装置に給紙可能でないと判断された場合に、前記用紙昇降部を駆動して前記用紙昇降部の昇降位置を調整する制御部とを備えることを特徴とする給紙装置。
【請求項8】
外部装置に給紙するための用紙を積載する用紙積載部と、
前記用紙積載部に積載された最上位の用紙の凹凸状態を検出する凹凸検出部と、
前記凹凸検出部による検出結果に基づいて、前記用紙積載部に積載された用紙を前記外部装置に給紙可能か否かを判断する給紙判断部と、
前記給紙判断部によって前記外部装置に給紙可能でないと判断された場合に、前記用紙積載部に積載された用紙の方向を変更することが可能か否かを判断するセット方向判断部と、
前記セット方向判断部によって用紙の方向を変更可能であると判断された場合に、用紙の方向を変更させることを示す表示をする表示部とを備えることを特徴とする給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−241013(P2011−241013A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112598(P2010−112598)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】