説明

画像形成装置用の清掃部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】厚さのムラが抑制された短冊状シートを備えた画像形成装置用の清掃部材を提供する。
【解決手段】軸体100Aと、軸体100Aの外周面に螺旋状に巻かれた短冊状のシートと、前記軸体100Aおよび前記短冊状のシートを接着する接着層と、を有し、前記接着層を備えた状態の前記短冊状のシート100Bの、長手方向に3.0Nの荷重をかけて引張った際の伸び量が10%以下である画像形成装置用の清掃部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用の清掃部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置の帯電装置として、導電性のロール状帯電部材を像保持体に直接接触させて像保持体の帯電を行う接触帯電方式のものが用いられている。
【0003】
この接触帯電方式の帯電装置では、帯電部材が像保持体に常時接触しているため、帯電部材の表面にトナー成分や紙粉等の付着による汚れが発生する。
これに対し、帯電部材の表面に板状のブラシやスポンジを接触させ、帯電部材の表面汚れを掻き落とす清掃方式が提案されている。また、ロール状の清掃部材を帯電部材の表面に接触させる清掃方式も提案されている。これらの態様において、例えば帯電部材の表面粗さをトナー径に比して小さくする態様(例えば特許文献1または2参照)や、帯電部材の十点平均粗さを3μm以上40μm以下にする態様(例えば特許文献3参照)や、帯電部材の十点平均粗さを30μm以下にする態様(例えば特許文献4参照)が試されている。
【0004】
また近年では、発泡体樹脂または発泡体ゴムを用いたローラータイプの帯電ローラクリーナーが提案され、使用され始めている。
例えば、螺旋状の弾性部材で摺擦し清掃するクリーナー(例えば特許文献5参照)、螺旋状のクリーニング部材で帯電ロール表面を摺擦して清掃するクリーナー(例えば特許文献6参照)、数本の螺旋状のスリットを有する清掃部材(例えば特許文献7参照)、回転方向に斜めの溝を有する清掃部材(例えば特許文献8参照)等が試されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−16670号公報
【特許文献2】特開平9−222776号公報
【特許文献3】特開2005−24675号公報
【特許文献4】特開平11−143183号公報
【特許文献5】特開平8−137208号公報
【特許文献6】特開2001−209238号公報
【特許文献7】特開2006−276404号公報
【特許文献8】特開2008−096822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、接着層を備えた状態の短冊状のシートの、長手方向に3.0Nの荷重をかけて引張った際の伸び量が10%を超える場合に比べ、厚さのムラが抑制された短冊状シートを備えた画像形成装置用の清掃部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
軸体と、前記軸体の外周面に螺旋状に巻かれた短冊状のシートと、前記軸体および前記短冊状のシートを接着する接着層と、を有し、前記接着層を備えた状態の前記短冊状のシートの、長手方向に3.0Nの荷重をかけて引張った際の伸び量が10%以下である画像形成装置用の清掃部材である。
【0008】
請求項2に係る発明は、
前記接着層が、基材の少なくとも片面に接着剤層を備えた接着テープである請求項1に記載の画像形成装置用の清掃部材である。
【0009】
請求項3に係る発明は、
前記伸び量が0.1%以上である請求項1または請求項2に記載の画像形成装置用の清掃部材である。
【0010】
請求項4に係る発明は、
前記軸体の外周面において螺旋状に巻かれている前記短冊状のシートの軸体軸方向における間隔が等間隔で無く且つ間隔が最大の箇所の長さと最小の箇所の長さとの比(間隔が最大の箇所の長さ÷間隔が最小の箇所の長さ×100)が101%以上である請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置用の清掃部材である。
【0011】
請求項5に係る発明は、
被帯電体を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材の表面に接触して配置され、当該帯電部材の表面を清掃する請求項1〜4の何れか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材と、
を備える帯電装置である。
【0012】
請求項6に係る発明は、
請求項5に記載の帯電装置を少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジである。
【0013】
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる請求項5に記載の帯電装置と、
帯電された前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体に形成された前記潜像をトナーによってトナー像に現像する現像装置と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、接着層を備えた状態の短冊状のシートの、長手方向に3.0Nの荷重をかけて引張った際の伸び量が10%を超える場合に比べ、厚さのムラが抑制された短冊状シートを備えた画像形成装置用の清掃部材が提供される。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、基材を有しない接着テープを用いる場合に比べ、厚さのムラが抑制された短冊状シートを備えた画像形成装置用の清掃部材が提供される。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、接着層を備えた状態の短冊状のシートの、長手方向に3.0Nの荷重をかけて引張った際の伸び量が0.1%未満である場合に比べ、軸体への短冊状のシートの巻き付けの際に、短冊状のシートを求められる間隔(軸体の外周面において螺旋状に巻かれている短冊状のシートの軸体軸方向における間隔)で巻きやすくなる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、接着層を備えた状態の短冊状のシートの、長手方向に3.0Nの荷重をかけて引張った際の伸び量が10%を超える場合に比べ、短冊状のシートの軸体軸方向における間隔が等間隔で無い態様であっても、厚さのムラが抑制された短冊状シートを備えた画像形成装置用の清掃部材が提供される。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、清掃部材における接着層を備えた状態の短冊状のシートの、長手方向に3.0Nの荷重をかけて引張った際の伸び量が10%を超える場合に比べ、帯電部材の表面が良好に清掃される帯電装置が提供される。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、清掃部材における接着層を備えた状態の短冊状のシートの、長手方向に3.0Nの荷重をかけて引張った際の伸び量が10%を超える場合に比べ、帯電のムラが抑制されたプロセスカートリッジが提供される。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、清掃部材における接着層を備えた状態の短冊状のシートの、長手方向に3.0Nの荷重をかけて引張った際の伸び量が10%を超える場合に比べ、帯電のムラが抑制された画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の製造方法を説明するための概略斜視図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の製造方法を説明するための概略斜視図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の概略斜視図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材における接着層を備えた状態の短冊状のシートを示す拡大断面図である。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の一部を示す拡大図である。
【図6】本実施形態に係る電子写真画像形成装置を示す概略構成図である。
【図7】本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【図8】図6及び図7における帯電部材(帯電装置)周辺部分を拡大した概略構成図である。
【図9】本実施形態に係る帯電装置を示す概略構成図である。
【図10】実施例の評価試験で清掃部材のシートの厚さを測定する際の位置を示すための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材、帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置について詳細に説明する。
【0023】
<清掃部材>
本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材は、軸体と、前記軸体の外周面に螺旋状に巻かれた短冊状のシートと、前記軸体および前記短冊状のシートを接着する接着層と、を有し、前記接着層を備えた状態の前記短冊状のシートの、長手方向に3.0Nの荷重をかけて引張った際の伸び量が10%以下であることを特徴とする。
【0024】
まず、軸体の外周面に短冊状のシートを螺旋状に巻き付けた清掃部材の製造方法について、図を用いて説明する。図1に示すごとく、まず接着層を備えた状態の短冊状のシート(以下単に「接着短冊シート」と称す)100Bの長手方向の一端を軸体100Aの軸方向端部に貼り付けて固定する。その後、図1に示すごとく接着短冊シート100Bの他端側を引張って張力をかけ弛みのない状態とし、軸体100Aを矢印A方向に回転させることによって、図2に示すごとく定められた間隔で接着短冊シート100Bを軸体100Aの外周面に巻き付けていく。張力をかけ緩みのない状態を維持しながら接着短冊シート100Bの他端側まで全て貼り付けることにより、図3に示す軸体100Aの外周面に接着短冊シート100Bが螺旋状に巻き付けられた清掃部材100が製造される。
【0025】
この際、接着短冊シート100Bに緩みが生じない程度の張力を掛けて軸体100Aに巻きつけ接着しようとした場合に、短冊状のシートが接着層と共に伸びてしまい、求められる厚さ精度での巻きつけが行えない場合があった。巻きつけて接着した後の短冊状のシート厚さにムラが生じると、被清掃部材に対する清掃部材の食い込み量にバラツキが発生し、結果として清掃ムラが発生することになる。
【0026】
これに対し、接着短冊シート100Bの3.0Nの荷重をかけて引張った状態における伸び量が10%以下に抑制されていることにより、接着短冊シート100Bを安定して軸体100Aに巻き付けられ、また伸び量が10%以下に抑制されていることにより、張力によって短冊状のシートの一部が伸びる(変形する)ことが抑制されるため、厚さのムラが抑制された短冊状のシートを備えた画像形成装置用の清掃部材が得られる。
【0027】
尚、前記伸び量の上限値は更に7%以下であることが好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
【0028】
・伸び量の下限値
また、前記伸び量の下限値としては0.1%以上であることが好ましく、更には0.5%以上であることがより好ましく、1.0%以上であることが特に好ましい。
前記伸び量の下限値が上記範囲であることにより、軸体100Aへの接着短冊シート100Bの巻きつけの際に、接着短冊シート100Bを求められる間隔(軸体の外周面において螺旋状に巻かれている短冊状のシートの軸体軸方向における間隔)で巻きやすくなり、特に前記間隔が大きいほど巻き付けにくくなるとの欠点が克服される。
【0029】
・伸び量の測定法
ここで、上記伸び量は以下の方法により測定される。まず、接着層を備えた状態の短冊状のシートの長手方向の両端を固定して一端側から3.0Nの荷重で引張り、引張る前と引張っている状態での長手方向長さを測定し、その変化から前記伸び量が測定される。即ち、3.0Nの荷重をかけた際における伸縮性を測定する。上記引張りの際の装置には日本電産シンポ社製の商品名:デジタルフォースゲージFGP0.5が用いられる。
【0030】
・「3.0N」の根拠
尚、伸び量の測定の際にかける荷重を「3.0N」と規定したのは以下の理由による。即ち、軸体100Aの外周面に接着短冊シート100Bを螺旋状に巻き付ける際、前述の通り、図1に示すごとく接着短冊シート100Bの他端側を引張って張力をかけ弛みのない状態とするが、この際に接着短冊シート100Bにかける張力は弛みが生じない程度であれば充分である。これに対し、少なくとも3.0Nの荷重をかければ弛みを発生させないように接着短冊シート100Bを引張れるものと考えられ、短冊状のシートが螺旋状に巻き付けられた清掃部材を製造する際には、接着短冊シート100Bを少なくとも3.0Nの荷重で引張ることにより弛みのない状態で巻き付けられるものと考えられる。
よって、軸体100Aの外周面に接着短冊シート100Bを巻き付ける際に弛みが生じない荷重として、「3.0N」の荷重をかけて引張った際の伸び量を指標とした。
【0031】
次いで、本実施形態に係る清掃部材を図面を用いて説明する。尚、同じ機能・作用を有する部材には、全図面を通して同じ符号を付与し、その説明を省略する場合がある。
【0032】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材を示す概略斜視図である。
本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材(以下単に「清掃部材」と称する)100は、図3に示すごとく、軸体(シャフト)100Aと、該軸体100Aの外周面に螺旋状に巻かれた接着短冊シート100Bと、を備えたロール状の部材である。接着短冊シート100Bは、軸体100Aの表面に螺旋状に巻かれた状態で配置され、接着短冊シート100Bは、例えば軸体100Aの一端から他端にかけて、軸体100Aの軸を螺旋軸とし、間隔を持って螺旋状に巻き回された状態で配置されている。
以下、各部材について詳細に説明する。
【0033】
・軸体
軸体100Aに用いる材質としては、金属(例えば、アルミ、ステンレス、真鍮等)、又は樹脂(例えば、ポリアセタール樹脂(POM)等)が挙げられる。なお、材質及び表面処理方法等は必要に応じて選択するのが望ましい。
特に、軸体100Aが金属で構成される場合メッキ処理を施すのが望ましい。また、樹脂等で導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等の一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
【0034】
・短冊状のシート
図3に示される接着短冊シート100Bは螺旋状に配置されており、その態様は具体的には、図5に示す螺旋角度θが10°以上65°以下、螺旋幅R1が3mm以上25mm以下であることがよい。また、螺旋ピッチR2は、例えば、3mm以上40mm以下であることがよい。
【0035】
ここで、図5に示すように、螺旋角度θとは、接着短冊シート100Bの長手方向P(螺旋方向)と清掃部材の軸方向Q(軸体軸方向)とが交差する角度(鋭角)を意味する。
螺旋幅R1とは、接着短冊シート100Bの長手方向P(螺旋方向)に対して直交する方向に沿った長さを意味する。
螺旋ピッチR2とは、接着短冊シート100Bの長手方向P(螺旋方向)に対して直交する方向に沿った、隣合う接着短冊シート100B間の長さを意味する。
【0036】
図3に示される接着短冊シート100Bは、図4に示す通り短冊状のシート102に接着層108を設けたものである。
短冊状のシート102の材料としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、又はポリプロピレン等の発泡性の樹脂、或いは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、塩素化ポリイソプレンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加ポリブタジエンゴム、ブチルゴム等のゴム材料を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料が挙げられる。尚、これらには必要に応じて、発泡助剤、整泡剤、触媒、硬化剤、可塑剤、又は加硫促進剤等の助剤を加えてもよい。
【0037】
これらの中でも、気泡を有する材料(いわゆる発泡体)がよく、特に発泡ポリウレタンであることが望ましい。
ポリウレタンとしては、例えば、ポリオール(例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルやアクリルポリール等)と、イソシアネート(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等)と、の反応物が挙げられ、鎖延長剤(例えば1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン等)が含まれたものであってもよい。そして、ポリウレタンの発泡は、例えば、水やアゾ化合物(例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等)等の発泡剤を用いて行われるのが一般的である。また、発泡ポリウレタンには、必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒などの助剤を加えてもよい。
【0038】
尚、短冊状のシート102には、100Paの外力印加により変形しても元の形状に復元する材料を用いることがより好ましい。
【0039】
短冊状のシート102の構成としては、1層構成でも積層構成でも構わない。具体的には、短冊状のシート102の構成としては、例えば、発泡体1層からなる構成でも、ソリッド層と発泡層との2層の構成でも構わない。
【0040】
短冊状のシート102の幅は、前記螺旋幅R1としても示した通り、3mm以上25mm以下が好ましく、更には5mm以上7mm以下がより好ましい。
また、短冊状のシート102の厚さ(軸体100Aに巻かれた状態での厚さ)は、0.5mm以上5mm以下が好ましく、1.5mm以上3.0mm以下がより好ましい。
【0041】
・接着層
図3に示される接着短冊シート100Bは、図4に示す通り短冊状のシート102に接着層108を設けたものである。接着層108は軸体100Aと短冊状のシート102とを接着する目的で設けられる層であり、また接着短冊シート100Bの伸び量を前述の範囲に制御する観点から、基材の少なくとも片面に接着剤層を備えた接着テープであることがより好ましい。例えば具体的には、図4に示すごとく、基材106の両面に接着剤104aおよび104bの層が設けられた両面テープの態様が挙げられる。
【0042】
上記接着テープにおける基材106としては、接着短冊シート100Bの伸び量を前述の範囲に制御する観点から、特にポリエチレンテレフタレート(PET)やポリイミド(PI)等の樹脂、金属、不織布、紙等が好ましい。
【0043】
接着層108として用いられる接着テープには市販品のものを用いてもよく、例えば日東電工社製の両面テープNo5605(基材:0.05mm厚のPET樹脂)、日東電工社製の片面テープNo360A(基材:0.025mm厚のPI樹脂)、日東電工社製の片面テープNo513(基材:和紙)、3M社製の片面テープ7108AAD(基材:不織布)等が挙げられる。
【0044】
また、上記の基材を有する接着テープと併用して、基材を有しない接着テープ(例えば日東電工社製の基材レス両面テープ(No.591)等)を用いてもよい。
【0045】
・製造方法
次に、本実施形態に係る清掃部材100の製造方法について説明する。
【0046】
本実施形態に係る清掃部材100は、図1に示すごとく、まず接着短冊シート100Bの長手方向の一端を軸体100Aの軸方向端部に貼り付けて固定する。その後、図1に示すごとく接着短冊シート100Bの他端側を引張って張力をかけ弛みのない状態とし、軸体100Aを矢印A方向に回転させることによって、図2に示すごとく定められた間隔で接着短冊シート100Bを軸体100Aの外周面に巻き付けていく。張力をかけ緩みのない状態を維持しながら接着短冊シート100Bの他端側まで全て貼り付けることにより、図3に示す軸体100Aの外周面に接着短冊シート100Bが螺旋状に巻き付けられた清掃部材100が製造される。
【0047】
尚、接着短冊シート100Bを軸体100Aに螺旋上に巻き付ける際、途中で軸方向に対して巻き付ける角度(即ち図5に示す螺旋角度θ)を変更することにより、軸体100Aの外周面に螺旋状に巻き付けられる接着短冊シート100Bの軸方向間隔(即ち図5に示す螺旋ピッチR2)が等間隔で無い態様としてもよい。尚、等間隔で無い態様とは間隔が最大の箇所の長さと最小の箇所の長さとの比(間隔が最大の箇所の長さ÷間隔が最小の箇所の長さ×100)が101%以上であることを表す。
【0048】
螺旋角度θを軸方向で変更した態様としては、例えば軸方向端部における螺旋角度θを浅くし且つ中央部における螺旋角度θを深くした態様が挙げられる。軸方向端部の螺旋角度θが浅く中央部が深い清掃部材は、軸方向中央部における被帯電体との接触面積が端部に比較して大きくなる。
ここで、画像形成装置において像保持体にロール状帯電部材が接触し且つ該帯電部材にロール状の清掃部材が接している態様では、前記帯電部材が像保持体に対し両端部において定荷重で取り付けられている状態であると、軸体の撓みにより帯電部材の中央部が浮きやすくなるが、上述の軸方向端部の螺旋角度θが浅く中央部が深い清掃部材を用いることにより、中央部で帯電部材を押す力が強くなるため、帯電部材の浮きが抑制され、その結果像保持体への帯電ムラが抑制される。
【0049】
尚、接着短冊シート100Bを軸体100Aに螺旋上に巻き付ける際における、途中での軸方向に対する巻き付ける角度(即ち図5に示す螺旋角度θ)の変更は、張力をかけ弛みのない状態で接着短冊シート100Bを軸体100Aに巻き付ける上記の方法であれば容易に成し得る。また、伸び量が前述の範囲である接着短冊シート100Bを用いることにより、巻き付ける角度を変更しようとする箇所においても、厚さのムラが抑制される。
【0050】
<画像形成装置等>
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面に基づいて説明する。
図6は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【0051】
本実施形態に係る画像形成装置10は、例えば、図6に示すように、タンデム方式のカラーの画像形成装置である。本実施形態に係る画像形成装置10の内部には、感光体(像保持体)12や帯電部材14や現像装置等が、イエロー(18Y)、マゼンタ(18M)、シアン(18C)、及び黒(18K)が各色毎にプロセスカートリッジ(図7参照)として備えられている。このプロセスカートリッジは、画像形成装置10に脱着される構成となっている。
【0052】
感光体12としては、例えば、表面に有機感材等よりなる感光体層が被覆された直径が25mmの導電性円筒体が用いられ、図示しないモータにより、150mm/secのプロセススピードで回転駆動される。
【0053】
感光体12の表面は、感光体12表面に配置された帯電部材14によって帯電された後、帯電部材14より感光体12の回転方向下流側に、露光装置16から出射されるレーザービームによって画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0054】
感光体12上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像装置19Y、19M、19C、19Kによって現像され、各色のトナー像となる。
【0055】
例えば、カラーの画像を形成する場合、各色の感光体12の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して行なわれ、各色の感光体12の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
【0056】
また、記録用紙収容部28に収容される記録用紙24がピックアップロール30によって用紙搬送ロール対32および34に給紙され、更に用紙搬送ロール対32および34によって記録用紙24が用紙搬送ベルト20上に送られる。尚、用紙搬送ベルト20は支持ロール40および42によって張力を付与しつつ支持されている。
【0057】
感光体12上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体12と用紙搬送ベルト20を介して転写装置22が接する箇所にて、感光体12の外周に用紙搬送ベルト20上を搬送される記録用紙24へ転写される。さらに、感光体12上からトナー像が転写された記録用紙24は、定着装置64へと搬送され、この定着装置64によって加熱・加圧されてトナー像が記録用紙24上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録用紙24は、排出ロール66によって画像形成装置10の上部に設けられた排出部68上にそのまま排出される。
【0058】
一方、両面プリントの場合には、定着装置64により第一面(表面)にトナー像が定着された記録用紙24を、排出ロール66によって排出部68上にそのまま排出せずに、排出ロール66によって記録用紙24の後端部を狭持した状態で、排出ロール66を逆転させるとともに、記録用紙24の搬送径路を両面用の用紙搬送路70に切り替え、この両面用の用紙搬送路70に配設された搬送ロール72によって、記録用紙24の表裏を反転した状態で、再度、用紙搬送ベルト20上へ搬送して、記録用紙24の第二面(裏面)に感光体12上からトナー像を転写する。そして、記録用紙24の第二面(裏面)のトナー像を定着装置64によって定着させ、記録媒体24(被転写体)を排出部68上に排出する。
【0059】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体12の表面は、感光体12が1回転する毎に、感光体12の表面であって、転写装置22が接する箇所よりも感光体12の回転方向下流側に配置された清掃ブレード80によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0060】
ここで、図8及び図9に示すごとく、帯電部材14は、例えば、導電性軸体14Aの周囲に弾性層14Bが形成されたロールであり、導電性軸体14Aは回転自在に支持されている。帯電部材14の感光体12と反対側には、帯電部材14の清掃部材100が接触して、帯電装置(ユニット)を構成している。この清掃部材100として、本実施形態に係る清掃部材100が用いられる。
【0061】
帯電部材14は導電性軸体14Aの両端へ荷重Fをかけて感光体12へ押付け、弾性層14Bの周面に沿って弾性変形してニップ部を形成している。更に、清掃部材100は導電性軸体100Aの両端へ荷重F’をかけて帯電部材14へ押付け、弾性層100Bが帯電部材14の周面に沿って弾性変形してニップ部を形成することで、帯電部材14の撓みを抑えて、帯電部材14と感光体12の軸方向のニップ部を形成している。
【0062】
感光体12は、図示しないモータによって矢印X方向に回転駆動され、感光体12の回転により帯電部材14が矢印Y方向に従動回転する。また、帯電部材14の回転により清掃部材100が矢印Z方向に従動回転する。
【0063】
−帯電部材の構成−
以下、帯電部材の説明をするが、本実施形態では以下の構成に限定されるものではない。符号は省略して説明する。
【0064】
帯電部材の構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、導電性軸体、弾性層、若しくは弾性層の代わりに樹脂層を有する構成が挙げられる。弾性層は単層構成からなるものであってよく、幾つもの機能を持った複数の異なる層からなる積層構成であってもよい。更には、弾性層の上に表面処理を行ってもよい。
【0065】
導電性軸体の材質としては快削鋼、ステンレス鋼等を使用し、摺動性等の用途に応じて材質及び表面処理方法は適時選択するのが望ましい。また、メッキ処理するのが望ましい。導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよい。
【0066】
弾性層は導電性弾性層とするが、導電性弾性層は、例えば、弾性を有するゴム等の弾性材、導電性弾性層の抵抗を調整するカーボンブラックやイオン導電剤等の導電剤、必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカや炭酸カルシウム等の充填剤等、通常ゴムに添加され得る材料を加えてもよい。通常ゴムに添加される材料を添加した混合物を、導電性軸体の周面に被覆することにより形成される。抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤等の電子及びイオンの少なくとも一方を電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等が用いられる。また、弾性材は発泡体であってもかまわない。
【0067】
導電性弾性層を構成する弾性材としては、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、例えば、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム及びこれらのブレンドゴムが好適に挙げられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0068】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末が挙げられる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。
【0069】
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1質量部以上60質量部以下の範囲であることが望ましく、一方、イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが望ましい。
【0070】
帯電部材の表面は、表面層を形成させてもよい。表面層の材料としては、樹脂、ゴム等の何れを用いてもよく特に限定するものではない。例えば、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロンが好適に挙げられる。
共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンの内のいずれか1種又は複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ここで、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンよりなる重合単位が共重合体中に含まれる割合は、重量比で合わせて10%以上であるのが望ましい。
【0071】
表面層に用いる高分子量の上記材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該高分子量の材料の数平均分子量は、1,000以上100,000以下の範囲であることが望ましく、10,000以上50,000以下の範囲であることがより望ましい。
【0072】
また表面層には導電性材料を含有させ、抵抗値を調整してもよい。該導電性材料としては、粒径が3μm以下であるものが望ましい。
【0073】
また、抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックや導電性金属酸化物粒子、あるいはイオン導電剤等の電子及びイオンの少なくとも一方を電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いてもよい。
【0074】
導電剤のカーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
カーボンブラックはpH4.0以下が望ましい。
【0075】
抵抗値を調整するための導電性粒子である導電性金属酸化物粒子は、酸化錫、アンチモンがドープされた酸化錫、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、酸化スズインジウム(ITO)等の導電性を有した粒子で、電子を電荷キャリアとする導電剤あれば何れも用いられ、特に限定されるものではない。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。また、何れの粒径であってもよいが、望ましくは酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫、アナターゼ型酸化チタンであり、更に、酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫が望ましい。
【0076】
さらに、表面層には、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂が好適に用いられる。特に、フッ素変性アクリレートポリマーで構成されることが望ましい。また、表面層の中に粒子を添加してもよい。また、アルミナやシリカ等の絶縁性粒子を添加して、帯電部材の表面に凹部を付与してもよい。
【0077】
帯電部材の外径としては6mm以上16mm以下が望ましい。尚、上記外径の測定は、市販のノギスやレーザー方式外径測定装置を用いて行われる。
【0078】
帯電部材のマイクロ硬度は30°以上70°以下が望ましい。低硬度化にする為には可塑剤添加量を増量する方法、シリコーンゴム等の低硬度の材料を使用することが考えられる。
【0079】
また、帯電部材のマイクロ硬度は高分子計器株式会社製MD−1型硬度計にて測定した値を用いている。
【0080】
なお、本実施形態に係る画像形成装置では、感光体(像保持体)、帯電装置(帯電部材と清掃部材とのユニット)、現像装置、清掃ブレード(クリーニング装置)を備えたプロセスカートリッジを説明したが、これに限られず、帯電装置(帯電部材と清掃部材とのユニット)を備え、その他必要に応じて、感光体(像保持体)、露光装置、転写装置、及び現像装置、清掃ブレード(クリーニング装置)から選択されるものを備えたプロセスカートリッジとしてもよい。なお、これら装置や部材をカートリッジ化せず、画像形成装置に直接配置した形態であってもよい。
【0081】
また、本実施形態に係る画像形成装置では、帯電装置として、帯電部材と清掃部材とのユニットで構成した形態を説明したが、つまり、被清掃部材として帯電部材を採用した形態を説明したが、これに限られず、被清掃部材としては、感光体(像保持体)、転写装置(転写部材;転写ロール)、中間転写体(中間転写ベルト)等が挙げられる。そして、これら被清掃部材とこれに接触して配置される清掃部材とのユニットを、画像形成装置に直接配置してもよいし、上記同様にプロセスカートリッジのようにカートリッジ化して画像形成装置に配置してもよい。
【0082】
また、本実施形態に係る画像形成装置は、上記構成に限られず、中間転写方式の画像形成装置等、周知の画像形成装置を採用してもよい。
【実施例】
【0083】
以下、実施例を挙げて上記本実施形態に係る清掃部材についてより詳細に説明する。
【0084】
[帯電ロールの作製]
エピクロルヒドリンゴム100質量部にイオン導電剤PEL−100(日本カーリット社製)3質量部を添加して十分混練した後、これを押し出し成形後、φ6mmのSUM−Niシャフト(鉛フリー快削鋼(新日鉄社製:SUM24EZ)に無電解ニッケルメッキを施したもの)を挿入し、プレス成形機にて成形・加硫をおこなった後、研磨によって求められる外径に加工を行い、端部外径Φ8.95mm、中央部外径φ9.00mmとなるように加工した。その後、この帯電ロール表面に浸漬コーティング方法によってフッ素系樹脂を、膜厚5μmでコーティングを実施した。
【0085】
<実施例1>
[帯電ロール用清掃部材の作製]
ポリエーテルとイソシアネートとを混合し、得られたウレタン樹脂を加熱硬化させ、3次元網目構造からなるウレタン材料(INOAC社製、EP70)を厚さ2.35mmのシート状に切り出した。基材が0.05mm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる両面テープ(日東電工社製、No5605)を、シート状に切り出した前記ウレタン材料の片面に貼り付けた後、幅6mm、長さ256.69mm(長さは最低長)の短冊状に裁断し、接着テープを備えた短冊状シート(A1)を得た。
【0086】
得られた短冊状シート(A1)の長手方向の両端を固定して一端側から3.0Nの荷重で引張り、引張る前と引張っている状態での長手方向長さを測定したところ、伸び量は1%であった。
【0087】
快削鋼に無電解ニッケルメッキを施したφ4mmの軸体の定められた位置に、前記短冊状シート(A1)の長手方向の一端を貼り付けた。次いで前記短冊状シート(A1)を1.96Nの張力を掛けて長手方向に引張り、弛みが生じない状態で前記軸体を回転させながら、軸方向に対する角度(即ち図5に示す螺旋角度θ)が26°となるよう螺旋状に巻き付け、帯電ロール用清掃部材を作製した。
【0088】
<実施例2>
[帯電ロール用清掃部材の作製]
ポリエーテルとイソシアネートとを混合し、得られたウレタン樹脂を加熱硬化させ、3次元網目構造からなるウレタン材料(INOAC社製、EP70)を厚さ2.35mmのシート状に切り出した。基材が0.025mm厚のポリイミド(PI)樹脂からなる片面テープ(日東電工社製、No360A)を、シート状に切り出した前記ウレタン材料の片面に貼り付けた後、更に前記片面テープを貼り付けた面に基材レスの両面テープ(日東電工社製、No.591)を貼り付け、幅6mm、長さ256.69mm(長さは最低長)の短冊状に裁断し、接着テープを備えた短冊状シート(A2)を得た。
【0089】
得られた短冊状シート(A2)の長手方向の両端を固定して一端側から3.0Nの荷重で引張り、引張る前と引張っている状態での長手方向長さを測定したところ、伸び量は0.5%であった。
【0090】
快削鋼に無電解ニッケルメッキを施したφ4mmの軸体の定められた位置に、前記短冊状シート(A2)の長手方向の一端を貼り付けた。次いで前記短冊状シート(A2)を1.96Nの張力を掛けて長手方向に引張り、弛みが生じない状態で前記軸体を回転させながら、軸方向に対する角度(即ち図5に示す螺旋角度θ)が26°となるよう螺旋状に巻き付け、帯電ロール用清掃部材を作製した。
【0091】
<実施例3>
[帯電ロール用清掃部材の作製]
ポリエーテルとイソシアネートとを混合し、得られたウレタン樹脂を加熱硬化させ、3次元網目構造からなるウレタン材料(INOAC社製、EP70)を厚さ2.35mmのシート状に切り出した。基材が和紙(厚さ0.05mm)からなる両面テープ(日東電工社製、No513)を、シート状に切り出した前記ウレタン材料の片面に貼り付け、幅6mm、長さ256.69mm(長さは最低長)の短冊状に裁断し、接着テープを備えた短冊状シート(A3)を得た。
【0092】
得られた短冊状シート(A3)の長手方向の両端を固定して一端側から3.0Nの荷重で引張り、引張る前と引張っている状態での長手方向長さを測定したところ、伸び量は10%であった。
【0093】
快削鋼に無電解ニッケルメッキを施したφ4mmの軸体の定められた位置に、前記短冊状シート(A3)の長手方向の一端を貼り付けた。次いで前記短冊状シート(A3)を1.96Nの張力を掛けて長手方向に引張り、弛みが生じない状態で前記軸体を回転させながら、軸方向に対する角度(即ち図5に示す螺旋角度θ)が26°となるよう螺旋状に巻き付け、帯電ロール用清掃部材を作製した。
【0094】
<実施例4>
[帯電ロール用清掃部材の作製]
ポリエーテルとイソシアネートとを混合し、得られたウレタン樹脂を加熱硬化させ、3次元網目構造からなるウレタン材料(INOAC社製、EP70)を厚さ2.35mmのシート状に切り出した。基材が不織布(厚さ0.8mm)からなる両面テープ(3M社製、7108AAD)を、シート状に切り出した前記ウレタン材料の片面に貼り付けた後、幅6mm、長さ256.69mm(長さは最低長)の短冊状に裁断し、接着テープを備えた短冊状シート(A4)を得た。
【0095】
得られた短冊状シート(A4)の長手方向の両端を固定して一端側から3.0Nの荷重で引張り、引張る前と引張っている状態での長手方向長さを測定したところ、伸び量は7%であった。
【0096】
快削鋼に無電解ニッケルメッキを施したφ4mmの軸体の定められた位置に、前記短冊状シート(A4)の長手方向の一端を貼り付けた。次いで前記短冊状シート(A4)を1.96Nの張力を掛けて長手方向に引張り、弛みが生じない状態で前記軸体を回転させながら、軸方向に対する角度(即ち図5に示す螺旋角度θ)が26°となるよう螺旋状に巻き付け、帯電ロール用清掃部材を作製した。
【0097】
<比較例1>
[帯電ロール用清掃部材の作製]
ポリエーテルとイソシアネートとを混合し、得られたウレタン樹脂を加熱硬化させ、3次元網目構造からなるウレタン材料(INOAC社製、EP70)を厚さ2.35mmのシート状に切り出した。基材レスの両面テープ(日東電工社製、No.591)を、シート状に切り出した前記ウレタン材料の片面に貼り付けた後、幅6mm、長さ256.69mm(長さは最低長)の短冊状に裁断し、接着テープを備えた短冊状シート(B1)を得た。
【0098】
得られた短冊状シート(B1)の長手方向の両端を固定して一端側から3.0Nの荷重で引張り、引張る前と引張っている状態での長手方向長さを測定したところ、伸び量は40%であった。
【0099】
快削鋼に無電解ニッケルメッキを施したφ4mmの軸体の定められた位置に、前記短冊状シート(B1)の長手方向の一端を貼り付けた。次いで前記短冊状シート(B1)を0.98Nの張力を掛けて長手方向に引張り、前記軸体を回転させながら、軸方向に対する角度(即ち図5に示す螺旋角度θ)が26°となるよう螺旋状に巻き付け、帯電ロール用清掃部材を作製した。
【0100】
<評価試験>
・シートの厚さ測定
図10に示す[1]乃至[9]の位置におけるシートの厚さ(軸体100A表面から接着短冊シート100Bの反対側表面までの長さ/但し測定は図5に示す螺旋幅R1方向における中央部において行った)を、レーザーマイクロスコープ(キーエンス社製、商品名:VHX200)によって測定した。
その結果、および[1]乃至[9]の位置のうち最大値と最小値との差(Δ)を、下記表1に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
・帯電ロールの抵抗値測定
前述の帯電ロールと、前記実施例および比較例より得られた帯電ロール用清掃部材、並びに該帯電ロールと清掃部材との食い込み量(0.25mm)を制御する専用軸受け(導電性ポリアセタール樹脂(POM)製)を、DELL製C3110cnのプロセスカートリッジに組み込み、該プロセスカートリッジをDELL製C3110cnに取り付けて、下記に示す条件の連続印字テストを実施した。
・使用M/C:DELL製C3110cn
・使用チャート:カラー像密度20%画像
・走行枚数:20000枚(A4)
・走行環境:28℃85%RH環境で10000枚、10℃15%RH環境で10000枚
【0103】
連続印字テストの前後において、幅5mmのベアリング電極により100Vの電圧をかけながら走査し、周方向の0°および180°の位置計2箇所について抵抗値の常用対数を測定(測定環境は10℃15%RH環境下)し、走行前後の抵抗差(単位:logΩ)を算出した。結果を下記表2に示す。
【0104】
【表2】

【0105】
<実施例5>
[帯電ロール用清掃部材の作製]
ポリエーテルとイソシアネートとを混合し、得られたウレタン樹脂を加熱硬化させ、3次元網目構造からなるウレタン材料(INOAC社製、EP70)を厚さ2.35mmのシート状に切り出した。基材が0.05mm厚のポリイミド(PI)樹脂からなる片面テープ(日東電工社製、No360A)を、シート状に切り出した前記ウレタン材料の片面に貼り付けた後、更に前記片面テープを貼り付けた面に基材レスの両面テープ(日東電工社製、No.591)を貼り付け、幅6mm、長さ256.69mm(長さは最低長)の短冊状に裁断し、接着テープを備えた短冊状シート(A5)を得た。
【0106】
得られた短冊状シート(A5)の長手方向の両端を固定して一端側から3.0Nの荷重で引張り、引張る前と引張っている状態での長手方向長さを測定したところ、伸び量は0%であった。
【0107】
快削鋼に無電解ニッケルメッキを施したφ4mmの軸体の定められた位置に、前記短冊状シート(A5)の長手方向の一端を貼り付けた。次いで前記短冊状シート(A5)を1.96Nの張力を掛けて長手方向に引張り、弛みが生じない状態で前記軸体を回転させながら、軸方向に対する角度(即ち図5に示す螺旋角度θ)が26°となるよう螺旋状に巻き付け、帯電ロール用清掃部材を作製した。
【0108】
しかし、前記短冊状シート(A5)が軸体に倣わず、シワを発生させずに巻きつけることが難しかった。尚、この帯電ロール用清掃部材について実施例1と同様にして図10に示す[1]乃至[9]の位置におけるシートの厚さを測定した結果を表3に示す。
【0109】
【表3】

【0110】
<実施例6>
[帯電ロール用清掃部材の作製]
ポリエーテルとイソシアネートとを混合し、得られたウレタン樹脂を加熱硬化させ、3次元網目構造からなるウレタン材料(INOAC社製、EP70)を厚さ2.35mmのシート状に切り出した。基材が和紙(厚さ0.05mm)からなる両面テープ(日東電工社製、No513)を、シート状に切り出した前記ウレタン材料の片面に貼り付け、幅6mm、長さ256.69mm(長さは最低長)の短冊状に裁断し、接着テープを備えた短冊状シート(A6)を得た。
【0111】
得られた短冊状シート(A6)の長手方向の両端を固定して一端側から3.0Nの荷重で引張り、引張る前と引張っている状態での長手方向長さを測定したところ、伸び量は10%であった。
【0112】
快削鋼に無電解ニッケルメッキを施したφ4mm(全長230mm、短冊状シート貼り付け領域222mm)の軸体の定められた位置に、前記短冊状シート(A6)の長手方向の一端を貼り付けた。次いで前記短冊状シート(A6)を1.96Nの張力を掛けて長手方向に引張り、弛みが生じない状態で前記軸体を回転させながら、軸方向に対する角度(即ち図5に示す螺旋角度θ)を、軸体軸方向の一端側の74mmの領域を26°、中央部の74mmの領域を30°、他端側の74mmの領域を26°となるよう螺旋状に巻き付け、帯電ロール用清掃部材を作製した。
【0113】
この場合短冊状シートの長手方向中心線のピッチは、螺旋角度θをα、軸体半径をRと定義すると、以下のように表される。
シート中心線ピッチ距離=2πRcosα/sinα
この式に螺旋角度θの26°および30°を代入し、シートの幅(図5に示す螺旋幅R1)を考慮しシート間の間隔を計算すると、螺旋角度θが26°の領域では該間隔が19.76mm、30°の領域では該間隔が15.76mmとなり、間隔が最大の箇所の長さと最小の箇所の長さとの比(間隔が最大の箇所の長さ÷間隔が最小の箇所の長さ×100)は125%となる。
【0114】
<評価試験>
帯電ロールの感光体ドラムに対するニップの安定性を測る指標として、感光体ドラム軸方向の帯電電位バラツキを以下の装置を用いて測定した。
【0115】
・帯電電位測定方法
富士ゼロックス社製 DocuPrintC2110ドラムカートリッジにクラウン量60μmの帯電ロールの両端を0.49Nの荷重で感光体ドラムに取り付け、前記実施例1および実施例6の帯電ロール用清掃部材を中心部で帯電ロールに対して0.5mmの食い込み量となるよう定変位で取り付けた。またこのドラムカートリッジの現像ロールの位置にトレックジャパン製表面電位測定用プローブ(model555P1)を、端部(帯電ロールのゴム端部より5mmの位置)及び中央部に配置し、画像出力中の感光体ドラム上の帯電電位を測定し、端部と中央部の電位差の評価を実施した。
【0116】
この結果、軸体の外周面において螺旋状に巻かれている短冊状シート(A1)の軸体軸方向における間隔が等間隔である実施例1の帯電ロール用清掃部材を用いた場合には、軸方向電位差が8Vであったのに対し、軸体の外周面において螺旋状に巻かれている短冊状シート(A6)の軸体軸方向における間隔を変化させ、螺旋角度を両端部26°、中央部を30°の角度とした実施例6の帯電ロール用清掃部材を用いた場合には、軸方向電位差が4Vと改善されている事が確認された。
【符号の説明】
【0117】
10 画像形成装置、12 感光体、14 帯電ロール、14A 軸体、14B 弾性層、16 露光装置、19Y、19M、19C、19K 現像装置、20 用紙搬送ベルト、22 転写装置、24 記録媒体、64 定着装置、66 排出ロール、68 排出部、70 用紙搬送路、72 搬送ロール、80 清掃ブレード、100 清掃部材、100A 軸体、100B 接着層を備えた状態の短冊状のシート(接着短冊シート)、102 短冊状のシート、104a,104b 接着剤、106 基材、108 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、前記軸体の外周面に螺旋状に巻かれた短冊状のシートと、前記軸体および前記短冊状のシートを接着する接着層と、を有し、前記接着層を備えた状態の前記短冊状のシートの、長手方向に3.0Nの荷重をかけて引張った際の伸び量が10%以下である画像形成装置用の清掃部材。
【請求項2】
前記接着層が、基材の少なくとも片面に接着剤層を備えた接着テープである請求項1に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【請求項3】
前記伸び量が0.1%以上である請求項1または請求項2に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【請求項4】
前記軸体の外周面において螺旋状に巻かれている前記短冊状のシートの軸体軸方向における間隔が等間隔で無く且つ間隔が最大の箇所の長さと最小の箇所の長さとの比(間隔が最大の箇所の長さ÷間隔が最小の箇所の長さ×100)が101%以上である請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【請求項5】
被帯電体を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材の表面に接触して配置され、当該帯電部材の表面を清掃する請求項1〜4の何れか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材と、
を備える帯電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の帯電装置を少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる請求項5に記載の帯電装置と、
帯電された前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体に形成された前記潜像をトナーによってトナー像に現像する現像装置と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−8413(P2012−8413A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145497(P2010−145497)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】