説明

画像形成装置

【課題】 必要に応じてリソースの占有を解除することが可能な画像形成装置を提供すること
【解決手段】 特定のリソースが占有状態にある間、占有開始を指示したユーザ以外に当該リソースが使用されることを防止する機能を備えた画像形成装置を前提としている。このような画像形成装置において、記憶部は、共通パスワードを記憶している。また、占有部は、ユーザを識別するユーザ情報の受け付けがあると、リソースの占有を実行する。解除部は、受け付けられたユーザ情報又は上記共通パスワードの入力があると、上記占有を解除する。このようにすれば、占有開始を指示したユーザ以外の者であっても、記憶部に記憶されている共通パスワードを知っている者であれば、当該リソースの占有を解除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ・コピー機・複合機などの画像形成装置に関し、特に、特定のリソースが占有状態にある間、占有開始を指示したユーザ以外に当該リソースが使用されることを防止する機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ・コピー機・複合機などの画像形成装置が普及している。このような画像形成装置は、複数のユーザによって使用されることが多いため、リソースの共有の仕方について問題となることがあった。
【0003】
たとえば、特殊な用紙を用いて印刷をしたい場合は、画像形成装置の給紙トレイに予め必要数の用紙をセットしておき、その状態でPCなどの上位装置から印刷要求を出すことになる。ところが、このように用紙をセットしてから印刷要求を出すまでの間に、他のユーザが印刷要求を出した場合は、この印刷要求によって、給紙トレイにセットしておいた特殊な用紙が使われてしまうことがあった。
【0004】
そこで、図4に示すように、特許文献1に開示される画像形成装置100では、操作部101を用いて、リソース(給紙トレイ)の占有開始を指示するとともに、他のユーザの知らない認証用のパスワードを入力するようになっている。これによって、制御部110は、給紙トレイをロックするようになっており、予め設定された占有時間が経過するまで、又は認証用のパスワードを再度入力するまでは、当該給紙トレイが使われることを禁止するようになっている。
【0005】
なお、占有状態になっているリソースを他のユーザが使用したい場合は、リソース占有の予約を入れておくことができる。すなわち、前のユーザによるリソース占有が解除されると、リソース占有のオーナーが次のユーザに移るようになっている。
【特許文献1】特開2004-109526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、従来技術によると、いったん占有状態になってしまうと、予め設定された占有時間が経過するまで、又は認証用のパスワードが入力されるまでは、当該リソースを使うことができない。そのため、予め設定された占有時間が経過するまでは、認証用のパスワードを知らない他のユーザが当該リソースを使うことはできない。
【0007】
本発明は、上記従来の事情に基づいて提案されたものであって、必要に応じてリソースの占有を解除することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の手段を採用している。
【0009】
すなわち、本発明は、特定のリソースが占有状態にある間、占有を指示したユーザ以外に当該リソースが使用されることを防止する機能を備えた画像形成装置を前提としている。このような画像形成装置において、記憶部は、共通パスワードを記憶している。また、占有部は、ユーザを識別するユーザ情報の受け付けにより占有を実行する。
【0010】
解除部は、受け付けられたユーザ情報か、共通パスワードの入力があると占有を解除する。
【0011】
このようにすれば、占有開始を指示したユーザ以外の者であっても、記憶部に記憶されている共通パスワードを知っていれば、当該リソースの占有を解除することができる。パスワードは、管理者など、一定の者しか知り得ないようにしておくのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、必要に応じてリソースの占有を解除することが可能である。すなわち、占有状態になっているリソースを緊急に使いたい場合は、予め設定された占有時間が経過するのを待つことなく、直ちにリソースの占有を解除することができる。しかも、このようにリソースの占有を解除することができる者を管理者などの一定の者に制限しているため、それ以外のユーザによってリソースの占有が解除されるという不具合は生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明を適用した複合機10の概略機能ブロック図である。この複合機10は、公衆回線30に接続されており、また、LAN(Local Area Network)20を介して、上位装置であるPC40と接続されているものと仮定する。
【0015】
操作部(受付部)11は、ユーザからの指示を受け付けるための手段である。画像読み取り部12は、原稿を読み取って画像データを得るための手段である。印字部13は、画像データを記録紙に印字するため手段である。記憶部14は、画像データや共通パスワードや各種設定情報を記憶するための手段である。占有部15aは、リソースの占有を制御する手段であり、解除部15bはリソースの占有を解除する手段ある。ファクシミリ通信部16は、公衆回線30を介してファクシミリ通信をするための手段である。ネットワークインターフェイス部17は、LAN20を介してPC40等と通信するため手段である。
【0016】
以下、上記複合機10の構成をその動作とともに説明する。
【0017】
特殊な用紙を用いてコピーをしたい場合は、まず、給紙トレイの占有開始を指示する。具体的には、図2(A)に示すように、操作部11に設定画面11aを表示させて、この設定画面11aに含まれる占有開始ボタンB1を押下する(図3、ステップS1)。
【0018】
これによって、操作部11は、給紙トレイの占有開始が指示された旨を占有部15aに通知し、この通知を受けた占有部15aは、ユーザ情報の入力を促すための画面を操作部11に表示させるようになっている。なお、ユーザ情報とは、ユーザを識別するための情報であり、具体的には、パスワードやユーザの名前などである。
【0019】
次に、占有開始を指示したユーザが自己のユーザ情報を操作部11から入力すると(図3、ステップ2)、占有部15aは、このユーザ情報を記憶しておくとともに、給紙トレイをロックして、占有時間のカウントアップを開始する。この占有時間は、従来と同様、予め設定することができるようになっている。
【0020】
このように給紙トレイが占有状態になったら、基本的に、占有部15aが占有時間の経過を計測して、解除部15bが占有を解除するまでは、他のユーザが当該給紙トレイを使うことはできない。したがって、占有開始を指示したユーザは、他のユーザによって給紙トレイにセットした特殊用紙が使われてしまうことを気にすることなく、コピー作業をすることができる。
【0021】
なお、給紙トレイが占有状態になっても直ちにコピー作業を開始することができない場合もあり、この場合は、コピー作業が完了しない間に占有時間が経過してしまうことも予想される。したがって、占有時間が経過しても、まだ一連の操作が完了していない場合は、占有状態を維持するようになっている(図3、ステップS3:Yes→S5:Yes)。
【0022】
さて、給紙トレイが占有状態にある間、この占有を解除したい場合がある。占有を解除したい理由としては、占有開始を指示したユーザ(本人)がその指示を取り消したい、他のユーザが給紙トレイを占有したい、緊急に給紙トレイの占有を解除する必要が生じた等、様々な理由があり、一律に占有を解除できるようにするのは好ましくない。そこで、本発明では、以下の手法を採用することによって、占有開始を指示したユーザ(本人)がその指示を取り消したい場合のほか、緊急に給紙トレイの占有を解除する必要が生じた場合にも、占有を解除することができるようになっている。
【0023】
すなわち、給紙トレイの占有を解除したい場合は、図2(B)に示すように、操作部11に設定画面11aを表示させて、この設定画面11aに含まれる占有解除ボタンB2を押下する(図3、ステップS4)。このように占有解除ボタンB2が押下されると、上記と同様、ユーザ情報の入力を促すための画面が操作部11に表示されるようになっているので、占有解除を指示したユーザは、自己のユーザ情報を操作部11から入力する(図3、ステップS6)。
【0024】
これによって、解除部b15は、占有開始時に入力されたユーザ情報と、占有解除時に入力されたユーザ情報とが一致するかどうかを判定するようになっている。そして、両情報が一致する場合には、占有開始を指示したユーザ(本人)によってその指示が取り消されたものとみなして、給紙トレイの占有を解除するようになっている(図3、ステップ7:Yes)。
【0025】
一方、両情報が一致しない場合には、解除部15bは、記憶手段14に記憶されている共通パスワードを読み出して、このパスワードと、占有解除時に入力されたユーザ情報とが一致するかどうかを判定するようになっている。そして、両情報が一致する場合には、緊急に給紙トレイの占有を解除する必要が生じたものとみなして、給紙トレイの占有を解除するようになっている(図3、ステップ8:Yes)。
【0026】
上記パスワードは、管理者など、一定の者しか知り得ないようにしておく。このようにすれば、緊急に給紙トレイの占有を解除することができる者を一定の者に限定することができ、また、それ以外のユーザに対しては、従来機と同様の占有機能を提供することができる。
【0027】
以上のように、本発明によれば、必要に応じてリソースの占有を解除することが可能である。すなわち、占有状態になっているリソースを緊急に使いたい場合は、占有時間が経過するのを待つことなく、直ちにリソースの占有を解除することができる。しかも、このようにリソースの占有を解除することができる者を管理者などの一定の者に制限しているため、それ以外のユーザによってリソースの占有が解除されるという不具合は生じない。
【0028】
なお、ここでは、複合機10の操作部11からユーザの指示を受け付けることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、複合機10と接続されたPC40等からユーザの指示を受け付けるようにしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0029】
また、ここでは、特殊な用紙を用いてコピーをする場合を例示しているので、給紙トレイを占有することとしているが、占有対象となるリソースは特に限定されるものではない。操作内容についてもコピーに限定されるものでなく、たとえば印刷であってもよいのはもちろんである。
【0030】
さらに、上記の説明では特に言及しなかったが、占有解除を指示したにもかかわらず、占有解除がされなかった場合は、従来と同様、次の占有を予約できるようにしてもよい。あるいは、占有者情報(占有開示時に入力されたユーザ情報)や、残りの占有時間情報などを操作部11に画面表示するのも有効である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、必要に応じてリソースの占有を解除することが必要なプリンタ・コピー機・複合機などの画像形成装置に適用するのが有用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明を適用した複合機の概略機能ブロック図
【図2】操作画面の表示状態を示す図
【図3】本発明を適用した複合機の動作を示すフローチャート
【図4】従来の画像形成装置の概略機能ブロック図
【符号の説明】
【0033】
10 複合機
11 操作部
12 画像読み取り部
13 印字部
14 記憶部
15a 占有部
15b 解除部
16 ファクシミリ通信部
17 ネットワークインターフェイス部
20 LAN
30 公衆回線
40 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のリソースが占有状態にある間、占有を指示したユーザ以外に当該リソースが使用されることを防止する機能を備えた画像形成装置において、
共通パスワードを記憶する記憶部と、
ユーザを識別するユーザ情報の受け付けにより特定のリソースの占有を実行する占有部と、
受け付けられたユーザ情報又は上記共通パスワードの入力があると、上記占有を解除する解除手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記解除手段は、上記占有状態が一定時間経過したときも、上記占有を解除する請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−103009(P2006−103009A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289309(P2004−289309)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】