説明

画像形成装置

【課題】
本発明の課題は、媒体各々の厚さに基づいて媒体を堆積させた媒体堆積部内の媒体の数を検出し、異なる厚さの媒体が媒体堆積部に堆積されていても、媒体堆積部内の媒体の数を補正することができる画像形成装置の提供にある。
【解決手段】
本発明の画像形成装置によれば、媒体の厚さを測定し、その厚さに基づいて、媒体堆積部に堆積された媒体の枚数を算出することができる。したがって、媒体堆積部に異なる厚さの媒体が堆積されていても、媒体各々の厚さに応じて媒体の枚数を補正することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関し、より詳細には、残りの媒体の数を算出する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙を収容する用紙カセット内の残りの用紙の枚数を計る画像形成装置として、異なる時点での媒体堆積部としてのカセット内の全用紙の厚さを少なくとも2点計測し、その厚さの差分を画像形成部に搬送した用紙の枚数で除算し、カセット内の用紙の枚数を計算するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−114451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような画像形成装置は、カセット内の用紙各々の厚さが全て略一定である場合に正確に用紙の枚数を検出することができるものである。すなわち、カセット内に異なる厚さの用紙が収容されている場合、算出した用紙の枚数と実際にカセット内に収容されている用紙の枚数とが異なってしまう。
【0005】
そこで、本発明の画像形成装置は、上記実状に鑑み、媒体各々の厚さに基づいて、媒体を堆積させた媒体堆積部内の媒体の数を検出し、異なる厚さの媒体が媒体堆積部に堆積されていても、媒体堆積部内の媒体の数を補正することができる装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、媒体に画像を形成する画像形成装置であって、複数の前記媒体を堆積させる媒体堆積部と、前記媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部に備えられ、搬送される複数の前記媒体の各々の厚さを検出する媒体厚検出手段と、前記媒体堆積部に堆積する前記媒体の総厚が所定の厚さになったこと示す所定堆積量状態を検出する状態検出手段と、前記状態検出手段で前記所定堆積量状態であることを検出した際に、前記媒体厚検出手段により検出した前記媒体の厚さに基づいて前記媒体堆積部に堆積した前記媒体の枚数を算出する算出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の画像形成装置によれば、媒体の厚さを測定し、その厚さに基づいて、媒体堆積部に堆積された媒体の枚数を算出することができる。したがって、媒体堆積部に異なる厚さの媒体が堆積されていても、媒体各々の厚さに応じて媒体の枚数を補正することができる。
【0008】
本発明の画像形成装置において、前記媒体厚検出手段により検出された前記媒体の厚さを記憶する記憶部を備え、前記算出手段は、前記記憶部に記憶された前記媒体の厚さに基づいて前記媒体堆積部に堆積した前記媒体の枚数を算出することを特徴とする。これにより、搬送された複数の媒体各々の厚さを記憶することができ、記憶された複数の媒体各々の厚さから媒体堆積部に堆積された媒体の枚数を算出することができる。
【0009】
また、本発明の画像形成装置において、前記状態検出手段は、発光部から発光した光を前記媒体堆積部に堆積した前記媒体の側面で反射させ、受光部で反射した前記光を受光する反射型センサであって、前記受光部で前記光が受光されない場合、前記媒体堆積部に堆積した前記媒体が前記所定堆積量状態であることを検出することを特徴とする。これにより、反射型センサからの光を媒体側面で反射できるように媒体堆積部を加工し、状態検出手段として画像形成装置内に備えるのは反射型センサのみであるため容易に備えることができる。また、反射型センサは小型であるため、装置内が狭く込み入っていても備えることが容易である。
【0010】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記状態検出手段は、発光部と受光部とが対面して配置され、前記発光部から発光した前記光を前記受光部で受光する透過型センサと、前記媒体堆積部に堆積した前記媒体の総厚に応じて、前記透過型センサから発光する光を遮る遮蔽板を備える遮蔽部材とを有し、前記受光部で前記光が受光される場合、前記前記媒体堆積部に堆積した前記媒体が所定堆積量状態であることを検出することを特徴とする。これにより、媒体堆積部に開口部が設けられない場合でも、状態検出手段として透過型センサを使用することで、所定堆積量状態を検出することができる。
【0011】
またさらに、本発明の画像形成装置において、前記遮蔽部材は、回動自在に備えられ、前記遮蔽板と反対側の一端に前記媒体堆積部に堆積した前記媒体の上面に接触する媒体接触部を有し、前記媒体堆積部に堆積した前記媒体が所定堆積量状態でない場合、前記遮蔽部材が遮蔽板側を下方とするように傾くことで前記透過型センサの光を遮り、前記媒体堆積部に堆積した前記媒体が所定堆積量状態である場合、前記遮蔽部材が媒体接触部側を下方とするように傾くことで前記透過型センサの光を前記受光部で受光可能とすることを特徴とする。これにより、遮蔽部材の傾きを利用して所定堆積量状態を検出することができる。そして、透過型センサの位置を変えることで、所定堆積量状態となる用紙の総厚を変えることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置によれば、媒体の厚さを測定し、その厚さに基づいて、媒体堆積部に堆積された媒体の枚数を算出することができる。したがって、媒体堆積部に異なる厚さの媒体が堆積されていても、媒体各々の厚さに応じて媒体の枚数を補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の画像形成装置の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0014】
[実施の形態1]
実施の形態1で説明する本発明の画像形成装置の一例として、図1のようなプリンタ15について説明する。プリンタ15は、給紙部16と、画像形成部17と、定着部18と、用紙排出部19とを有している。
【0015】
給紙部16は、図2のように、媒体である用紙2と、媒体堆積部である用紙カセット1と、給紙ローラ3と、リタードローラ4と、レジストローラ5と、状態検出手段である反射型センサ6と、媒体厚検出手段である紙厚センサ7と、用紙ガイド8とを有する。そして、給紙ローラ3で給紙した用紙2をリタードローラ4、レジストローラ5及び用紙ガイド8で搬送路9に沿って画像形成部17に搬送する。
【0016】
用紙カセット1は、画像を形成する用紙2を堆積させ、少なくとも用紙2が取り出せるように上面に開口を有する箱型部材である。この用紙カセット1の反射型センサ6を備える側面には、用紙カセット1の内側下面からの所定の高さに開口部40が設けられ、反射型センサ6から発光する光がこの開口部40に対応するように開口部40の近傍に反射型センサ6が設けられている。
【0017】
給紙ローラ3は、搬送路9の最も上流側に設けられている。この給紙ローラ3は、用紙カセット1に堆積した用紙2を搬送路9に給紙する。
【0018】
リタードローラ4は、給紙ローラ3の下流側に設けられている。このリタードローラ4は、給紙ローラ3によって給紙された用紙2を1枚に分離し、搬送路9の下流側に用紙2を1枚ずつ搬送させる。リタードローラ4によって1枚ずつ分離された用紙2は、用紙ガイド8を通過し、搬送路9の下流側に搬送される。
【0019】
紙厚センサ7は、用紙ガイド8の出口近傍の搬送路9に設けられている。この紙厚センサ7は、用紙ガイド8を通過して搬送路9に沿って搬送された用紙2をこの紙厚センサ7に通過させることで用紙2の厚さを測定する。測定された用紙2の厚さは、信号として発信される。
【0020】
レジストローラ5は、紙圧センサ7の下流側に設けられている。このレジストローラ7は、用紙2が搬送される前では回転が停止している。用紙2が搬送路9に沿って搬送され、このレジストローラ7に突き当たることでローラの回転を開始し、搬送されてきた用紙2の斜行を矯正する。そして、斜行を矯正した用紙2を画像形成部17に搬送する。
【0021】
反射型センサ6は、反射させる光を発光する発光部と反射した光を受光する受光部とが近接配置され、発光部で発光した光を用紙に反射させ、その反射した光を受光することで、用紙の存在を検出するセンサである。この反射型センサ6の出力は、下記で説明する制御部10により制御され、発光した光が反射し、受光部で反射した光が受光するか否かを制御部10に信号として発信する。
【0022】
この反射型センサ6を上述のように用紙カセット1の側面に設けることで、用紙カセット1内の用紙2が、用紙カセット1に堆積する複数の用紙2の総厚が所定の厚さになったことを示す所定堆積量状態であるか否かを検出する状態検出手段となる。図2に示されるように、用紙カセット1の側面には、開口部40が設けられている。そして、反射型センサ6は、反射型センサ6の発光部から発光する光が開口部40に対応するように開口部40の近傍に設けられている。この反射型センサ6は、反射型センサ6の発光する光が開口部40に対応するように近傍に設けられているため、その光は開口部40から用紙カセット1の内側に入る。
【0023】
このとき、図3(a)のように、用紙カセット1内の複数の用紙2の総厚が開口部40を越えるような厚さである場合、反射型センサ6の光は、複数の用紙2の側面に当たって反射し、この反射した光を反射型センサ6の受光部で受光する。すなわち、反射型センサ6で反射した光を受光した場合、用紙カセット1内の複数の用紙2は、その総厚が開口部40を超えるような厚さだけ堆積していることを示す。したがって、反射型センサ6は、所定堆積量状態ではないことを検出する。用紙カセット1内には十分に用紙がある状態である。
【0024】
一方、図3(b)のように、用紙カセット1内の複数の用紙2の総厚が開口部40の高さと同じ程度又はそれ以下のような厚さである場合、反射型センサ6の光は、開口部40を通過し、用紙カセット1内に入光し、発光した光を反射型センサ6の受光部で受光することができない。すなわち、反射型センサ6で発光した光を受光しない場合、用紙カセット1内の複数の用紙2は、その総厚が開口部40の高さと同じ程度又はそれ以下のような厚さだけ堆積していることを示す。したがって、反射型センサ6は、所定堆積量状態であることを検出する。
【0025】
したがって、この反射型センサ6によって用紙カセット1内の複数の用紙2が所定堆積量状態であることを検出することができる。この所定堆積量状態となる複数の用紙2の総厚は、用紙カセット1の側面に設けられる開口部40の高さに対応する。この開口部40の高さを適宜変更することで、所定堆積量状態時の用紙2の総厚を制御することができる。
【0026】
画像形成部17は、用紙2を画像形成部17内で搬送させるための用紙搬送ベルト22、トナー像を用紙上に形成するための画像形成手段20で構成されている。この画像形成部17は、外部の装置等により送信された画像データに基づいて用紙搬送ベルト22で用紙2を搬送させながら画像を形成する。
【0027】
画像形成手段20には、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応するイメージドラムやトナー画像を転写する転写ローラ等を有する。この画像形成手段20は、イメージドラムに格納された感光体ドラム上に静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーによって現像してトナー像とした上で、この感光体ドラム上のトナー像を用紙上に転写して画像を形成する。
【0028】
定着部18は、定着ローラ21を有している。この定着ローラ21は、例えば、ヒータや加圧ローラ等で熱と圧力によってトナーによって画像が形成された用紙2上のトナーを定着させる。そして、トナーが定着した用紙2を用紙排出部19に搬送する。
【0029】
用紙排出部19は、排出ローラ23を備えている。この用紙排出部19は、搬送されてきた画像が形成された用紙2をこの搬送ローラ23の駆動によりプリンタ15の外部に排出する。
【0030】
上述のようなプリンタ15は、図4のように、制御部10、記憶部24、表示部13を有している。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)28とプログラムメモリ29により構成されている。この制御部10は、記憶部24、紙厚センサ7、反射型センサ6、表示部13と接続している。
【0031】
CPU28は、マイクロプロセッサによって構成され、プログラムメモリ29に格納されたプログラムを実行する。CPU61は、プログラムを実行することで、入力された紙厚センサ7の信号に基づいた用紙2の厚さの記憶部24への記憶や、入力された反射型センサ6の信号に基づいた用紙カセット1内の用紙2の残りの枚数を算出する所定の演算が実現される。また、CPU61は、表示部13に所定事項を表示させる。
【0032】
プログラムメモリ29は、プリンタ15を制御し所定の処理をCPU28によって実行させるためのプログラムが格納されている。このプログラムをCPU28が実行することで所定の処理が実行され、各部の機能が実現される。
【0033】
記憶部24は、メモリ30によって構成された記憶領域である。この記憶部24には、制御部10で受信した紙厚センサ7の信号に基づいた用紙2の厚さを記憶する。記憶された用紙2の厚さは、用紙カセット1内の用紙2の残り枚数を算出する際にCPU28によって読み込まれ、所定の演算に利用される。
【0034】
表示部13は、制御部10に接続されている。この表示部13は、制御部10の制御により、用紙2の残り枚数や用紙2の残り枚数が少ないこと示す警告等を表示する。
【0035】
このようにプリンタ15は、外部装置等から画像データが送信された際、以下のように作動する。まず、用紙カセット1に堆積した用紙2は、給紙ローラ3により用紙カセット1から給紙され、リタードローラ4によって1枚ずつに分離される。そして、1枚ずつに分離した用紙2は、用紙ガイド8を通過し、レジストローラ5に搬送される。そのとき、用紙2は、紙厚センサ7を通過し、用紙2の厚さが測定される。
【0036】
このとき、紙厚センサ7は、用紙2の厚さを信号として制御部10に送信する。信号の入力を受けた制御部10は、CPU28でプログラムを実行することで記憶部24のメモリ30に記憶される。
【0037】
レジストローラ5に搬送された用紙2は、斜行が矯正され、画像形成部17に搬送される。搬送された用紙2は、画像形成部17の画像形成手段20によって外部装置等が送信した画像データに基づいて用紙搬送ベル22に搬送されながらトナー像が形成される。トナー像による画像が形成された用紙2は、定着部18に搬送され、定着部18の定着ローラ21により用紙2上のトナーを定着させる。このように画像が形成された用紙2は、用紙排出部19の排出ローラ23によりプリンタ15の上部に排出される。
【0038】
このように、画像の形成により用紙2が排出されると、用紙カセット1に堆積した用紙2の量が徐々に減少する。そして、用紙カセット1に堆積している複数の用紙2の総厚が所定の厚さ以下であることを示す所定堆積量状態となったことを反射型センサ6が検出し、その信号が制御部10に入力された場合、用紙カセット1内の用紙2の残り枚数を算出する。
【0039】
用紙カセット1内の用紙2の残り枚数の算出は、用紙カセット1に堆積した用紙2が反射型センサ6で所定堆積量状態であることを検出したことに基づく。以下の説明において、x(mm)は所定堆積量状態となる用紙カセット1に堆積した複数の用紙2の総厚、n(枚)は所定堆積量状態となってからの印刷枚数、k(枚)は異なる厚さの用紙2が給紙された際のnの値、t(mm)はn枚目に給紙された用紙2の厚さ、α(mm)は用紙2の厚さが変化したと判定する変化分、Z(枚)は用紙カセット1内の残りの用紙2の枚数、P(枚)は警告を発する用紙カセット1内の残りの用紙2の枚数を示している。このとき、nの初期値は0で、kの初期値は1とする。また、α及びPは予め設定されている。
【0040】
制御部10は、ステップS1のように、用紙カセット1の用紙2が1枚給紙されると、ステップS2のように、用紙カセット1内の残りの用紙2の総厚がx以下であるか否かを反射型センサ6で検出させる。用紙2の総厚がx以下である場合、ステップS1に移行する。
【0041】
一方、ステップS2において、用紙2の総厚がx以下であることを反射型センサ6で検出した場合、用紙カセット1内の用紙2は、所定堆積量状態であり、ステップS3に移行する。そして、制御部10は、ステップS3のように、所定堆積量状態後に給紙された用紙2を1枚目とし、給紙される毎にnをカウントアップする。すなわち、nは、所定堆積量状態後に給紙された用紙2の枚数を示している。
【0042】
そして、制御部10は、ステップS4のように、所定堆積量状態後に用紙2の給紙1枚毎に給紙した用紙2の厚さを記憶部24のメモリ30から読み出し、その厚さをtとする。例えば、所定堆積量状態後、1枚目の給紙の場合、すなわちn=1の場合、その用紙の厚さをtとし、20枚目の給紙の場合、すなわちn=20の場合、その用紙の厚さをt20とする。
【0043】
次に、制御部10は、読み出したn枚目に給紙された用紙2の厚さtとn−1枚目に給紙された用紙2の厚さtn−1の差分の絶対値を算出し、異なる厚さの用紙2であることを判断するための変化分αと比較する。その結果、制御部10は、ステップS5のように、|t−tn−1|>αが成り立つか否かを判断する。すなわち、変化分αは、この値以上となった場合に厚さが異なっていると判断する基準となっている。したがって、変化分αよりも大きい値となった場合、n−1枚目に給紙した用紙2の厚さとは異なる厚さの用紙2が給紙されたことを示す。
【0044】
ステップS5において、|t−tn−1|>αが成り立つ場合、制御部10は、ステップS7のように、値kにnを代入し、ステップS8に移行する。例えばn=5である場合、kに1が代入されk=5となる。
【0045】
一方、ステップS5において、|t−tn−1|>αが成り立たたない場合、制御部10は、ステップS7のように、値kをそのまま維持し、ステップS8に移行する。kの初期値は1であるため、所定堆積量状態後で用紙2の厚さが変わらない場合は、k=1のまま維持される。
【0046】
ステップS6又はステップS7によってkの値が入力された後、制御部10は、記憶部24のメモリ30に記憶された給紙した用紙2の厚さを読み出し、ステップS8のように、用紙カセット1内の用紙2の残りの枚数Zを下記式1で算出する。
【0047】
【数1】

【0048】
式1の右辺分子は、所定堆積量状態となった時点の用紙カセット1の複数の用紙2の総厚から所定堆積量状態後に給紙された用紙2の厚さの総和を引いたものである。すなわち、n枚給紙されたときの用紙カセット1の複数の用紙2の総厚を示している。例えば、所定堆積量状態後、1枚給紙したときの用紙カセット1内の用紙2の総厚は、所定堆積量状態となった時点の用紙カセット1の複数の用紙2の総厚x(mm)から、1枚目の用紙2の厚さtを引くことで求められる。すなわちx−tとなる。また、2枚給紙した場合は、同様にx−t−tとなる。そして、n枚給紙した場合は、x−t−t−・・・−tとなる。
【0049】
式1の右辺分母は、異なる厚さの用紙2が給紙されたk枚目からn枚目に給紙された用紙2が給紙されたn枚目まで給紙された用紙2の厚さの総和を、異なる厚さの用紙2が給紙されてからの用紙2の枚数n−k+1で除算したものである。すなわち、異なる厚さの用紙2が給紙されてからの給紙された用紙2の厚さの平均を示している。例えば、5枚目に用紙2の厚さが変わり、現在8枚の用紙2を給紙した場合、(t+t+t+t)/(8−5+1)となる。
【0050】
したがって、式1は、n枚給紙されたときの用紙カセット1の複数の用紙2の総厚を異なる厚さの用紙2が給紙されてからの給紙された用紙2の厚さの平均で除算することを示している。これは、n枚目に給紙された用紙2の厚さを基にカセット1内の残りの用紙の枚数を算出することになる。
【0051】
ステップS8によって算出した後、制御部10は、ステップS9のように、用紙カセット1内の残り枚数Zが予め設定されていた警告を発する枚数P以下であるか否かを判断する。その結果、用紙カセット1内の残り枚数Zが警告を発する枚数P以下でない場合、ステップS1に戻る。
【0052】
ステップS9において、用紙カセット1内の残り枚数Zが警告を発する枚数P以下である場合、制御部10はステップS10のように、残りの枚数が少なくなったことを示す警告を表示部13に表示させ、用紙2の給紙を中断し、この処理を終了する。ここでPは0以上の整数で、P=0と設定した場合は、用紙がなくなった状態で警告を発するように設定されていることを示す。
【0053】
この処理は、ステップS10での警告を発するまで実行される。すなわち、用紙2が給紙される毎に算出される。したがって、用紙2の厚さが異なっても用紙2の残りの枚数が算出されることになり、用紙2の厚さが異なった場合、残り枚数が補正される。
【0054】
このように、プリンタ15は、用紙2の厚さが変わったことを検出し、測定された用紙2の厚さに基づいて、用紙カセット1内の残りの枚数を算出し、更新することができる。例えば、2種類の厚さを有する用紙それぞれを束にして用紙カセット1に納めた場合、所定堆積量状態後に異なる厚さの用紙が給紙されることで、用紙カセット1内の用紙の残り枚数が更新され、正確な残り枚数を算出することができる。
【0055】
[実施の形態2]
以下、実施の形態2におけるプリンタ15について説明するが、実施の形態1と構成が同じであるため、同一番号を付して部材の説明を省略する。
【0056】
実施の形態2のプリンタ15の用紙カセット1に堆積した用紙2も実施の形態1と同様に、画像の形成により用紙2が排出されると、その量が徐々に減少する。そして、用紙カセット1に堆積している複数の用紙2の総厚が所定の厚さ以下であることを示す所定堆積量状態となったことを反射型センサ6が検出し、その信号が制御部10に入力された場合、用紙カセット1内の用紙2の残り枚数を算出する。
【0057】
用紙カセット1内の用紙2の残り枚数の算出は、用紙カセット1に堆積した用紙2が反射型センサ6で所定堆積量状態であることを検出したことに基づく。以下の説明において、xは所定堆積量状態となる用紙カセット1に堆積した複数の用紙2の総厚、n(mm)は所定堆積量状態となってからの印刷枚数、S(mm)はn枚給紙後の用紙カセット1に堆積している複数の用紙2の総厚、t(枚)はn枚目に給紙された用紙2の厚さ、α(mm)は用紙2の厚さが変化したと判定する変化分、Z(枚)は用紙カセット1内の残りの用紙2の枚数、P(枚)は警告を発する用紙カセット1内の残りの用紙2の枚数を示している。このとき、nの初期値は0とする。また、α及びPは予め設定されている。
【0058】
制御部10は、ステップS11のように、用紙カセット1の用紙2が1枚給紙されると、ステップS12のように、用紙カセット1内の残りの用紙2の総厚がx以下であるか否かを反射型センサ6で検出させる。用紙2の総厚がx以下である場合、ステップS11に移行する。
【0059】
一方、ステップS12において、用紙2の総厚がx以下であることを反射型センサ6で検出した場合、用紙カセット1内の用紙2は、所定堆積量状態となり、ステップS3に移行する。そして、制御部10は、ステップS13のように、所定堆積量状態後に給紙された用紙2を1枚目とし、給紙される毎にnをカウントアップする。すなわち、nは、所定堆積量状態後に給紙された用紙2の枚数を示している。
【0060】
そして、制御部10は、ステップS14のように、所定堆積量状態後に用紙2の給紙1枚毎に給紙した用紙2の厚さを記憶部24のメモリ30から読み出し、その厚さをtとする。例えば、所定堆積量状態後、1枚目の給紙の場合、すなわちn=1の場合、その用紙の厚さをtとし、20枚目の給紙の場合、すなわちn=20の場合、その用紙の厚さをt20とする。
【0061】
次に、制御部10は、ステップS15のように、読み出したn枚目に給紙された用紙2の厚さtとn−1枚目の用紙2が給紙された際に算出された用紙カセット1内の複数の用紙2の総厚Sn−1からn枚目の用紙2を給紙直後の用紙カセット1内の用紙2の総厚Sを算出する。この総厚Sは、用紙2が給紙される毎に算出される。例えば、所定堆積量状態後、1枚目の用紙2が給紙された場合、所定堆積量状態での用紙カセット1内の用紙2の総厚xがSn−1となり、1枚目の用紙2を給紙直後の用紙カセット1内の用紙2の総厚Sは、S=x−tとなる。また、2枚目の用紙2が給紙された場合、S=S−tとなる。
【0062】
ステップS15において、n枚目の用紙2を給紙直後の用紙カセット1内の用紙2の総厚Sを算出した後、制御部10は、ステップS16のように、読み出した用紙2の厚さtと算出した総厚Sに基づいて、用紙カセット1内の用紙2の残りの枚数Zを下記式2で算出する。
【0063】
【数2】

【0064】
式2は、n枚目に給紙された用紙2の厚さtで、n枚目の用紙2が給紙された後の用紙カセット1内の用紙2の総厚Sを除算することを示している。これは、n枚目に給紙された用紙2の厚さを基にカセット1内の残りの用紙の枚数を算出することになる。
【0065】
ステップS16によって算出した後、制御部10は、ステップS17のように、用紙カセット1内の残り枚数Zが予め設定されていた警告を発する枚数P以下であるか否かを判断する。その結果、用紙カセット1内の残り枚数Zが警告を発する枚数P以下でない場合、ステップS11に戻る。
【0066】
ステップS17において、用紙カセット1内の残り枚数Zが警告を発する枚数P以下である場合、制御部10はステップS18のように、残りの枚数が少なくなったことを示す警告を表示部13に表示させ、用紙2の給紙を中断し、この処理を終了する。ここでPは0以上の整数で、P=0と設定した場合は、用紙がなくなった状態で警告を発するように設定されていることを示す。
【0067】
この処理は、ステップS18での警告を発するまで実行される。すなわち、用紙2が給紙される毎に算出される。したがって、用紙2の厚さが異なっても用紙2の残りの枚数が算出されることになり、用紙2の厚さが異なった場合、残り枚数が補正される。
【0068】
このように、プリンタ15は、用紙2の厚さが変わったことを検出し、測定された用紙2の厚さに基づいて、用紙カセット1内の残りの枚数を算出し、更新することができる。例えば、2種類の厚さを有する用紙それぞれを束にして用紙カセット1に納めた場合、所定堆積量状態後に異なる厚さの用紙が給紙されることで、用紙カセット1内の用紙の残り枚数が更新され、正確な残り枚数を算出することができる。
【0069】
[実施の形態3]
実施の形態1及び2は、反射型センサ6によって所定堆積量状態を検出しているが、本実施の形態3では、その所定堆積量状態を透過型センサによって検出するものである。以下、実施の形態3におけるプリンタ15について説明するが、実施の形態1と重複する部材は、同一の番号を付し、説明を省略する。
【0070】
プリンタ15は、図7のように、反射型センサ6の代わりに透過型センサ25と、開口部40の代わりに遮蔽部材26とを備えている。
【0071】
透過型センサ25は、光を発光する発光部と、発光部で発光させた光を受光する受光部とが対向するように配置される。この透過型センサ25の出力は、制御部10により制御され、発光した光が受光部で受光するか否かを制御部10に信号として発信する。
【0072】
遮蔽部材26は、透過型センサ25の発光部から発光する光を遮る遮蔽板と遮蔽板と反対側の一端に用紙カセット1内に堆積した用紙2の上面に接触する媒体接触部とを有している。そして、この遮蔽部材26は、その遮蔽板と媒体接触部との間を支点として回動自在となっている。このとき、この遮蔽部材26の媒体接触部は、用紙カセット1内の用紙2が無くなった場合を除いて常に用紙カセット1内の用紙2の上面に接触している。
【0073】
この透過型センサ25と遮蔽部材26とは、用紙カセット1に堆積した複数の用紙2の総厚に応じて遮蔽板が上下に動き、透過型センサ25の発光部から発光する光を受光部で受光させたり、遮蔽板で透過型センサ25の発光部から発光する光を遮ったりできる位置に設置される。用紙カセット1内の用紙2は、画像が形成され、排出された用紙2が増加に応じて用紙カセット1に堆積した複数の用紙2の総厚が減少する。そして、この総厚が所定の厚さであることを示す所定堆積量状態となったときに、遮蔽部材26の媒体接触部が下方となるように傾くことで遮蔽板が上方に移動し、透過型センサ25の発光部で発光した光を受光部で受光することができるように透過型センサ25と遮蔽部材26とを配置する。
【0074】
図7(a)のように、用紙カセット1内に用紙2が多く存在する場合、遮蔽部材26は、遮蔽板を下方とするように傾き、透過型センサ25の発光部と受光部との間に遮蔽板が配置される。したがって、発光部で発光した光が遮蔽板により遮られ受光部で光を受光することができない。すなわち、透過型センサ25の発光部で発光した光が受光部で受光できない場合、用紙カセット1内の用紙2の総厚は、所定堆積量状態ではないことを示し、透過型センサ25はそれを検出する。用紙カセット1内には十分に用紙2がある状態である。
【0075】
図7(b)のように、用紙カセット1内の用紙2の枚数が減少するにつれ、媒体接触部が下方となるように傾く。そして、用紙カセット1内の用紙2の総厚が所定量より下回り、所定堆積量状態となった場合、遮蔽部材26は、媒体接触部が下方とするように傾くことで遮蔽板が上方に動き、透過型センサ25の発光部で発光した光を受光部で受光できる。すなわち、透過型センサ25で発光した光を受光する場合、用紙カセット1内の複数の用紙2の総厚は、所定堆積量状態であることを示し、透過型センサ25はそれを検出する。
【0076】
したがって、実施の形態1及び2と同様にこの透過型センサ25によって用紙カセット1内の複数の用紙2が所定堆積量状態であることを検出することができる。この所定堆積量状態となる複数の用紙2の総厚は、遮蔽部材26と透過型センサ25との位置を調整することで、所定堆積量状態時の用紙2の総厚を制御することができる。
【0077】
実施の形態3で示されるプリンタ15は、図8のように、制御部10、記憶部24、表示部13を有している。制御部10は、CPU28とプログラムメモリ29により構成されている。この制御部10は、記憶部24、紙厚センサ7、透過型センサ25、表示部13と接続している。
【0078】
CPU28は、マイクロプロセッサによって構成され、プログラムメモリ29に格納されたプログラムを実行する。CPU61は、プログラムを実行することで、入力された紙厚センサ7の信号に基づいた用紙2の厚さの記憶部24への記憶や、入力された透過型センサ25の信号に基づいた用紙カセット1内の用紙2の残りの枚数を算出する所定の演算が実現される。また、CPU61は、表示部13に所定事項を表示させる。
【0079】
このように、透過型センサ25と遮蔽部材26を使用することで、実施の形態1及び2で説明したプリンタ15における所定堆積量状態を検出することができる。実施の形態3のプリンタ15の用紙カセット1に堆積した用紙2も実施の形態1及び2と同様に、画像の形成により用紙2が排出されると、その量が徐々に減少する。そして、用紙カセット1に堆積している複数の用紙2の総厚が所定の厚さ以下であることを示す所定堆積量状態となったことを透過型センサ25が検出し、その信号が制御部10に入力された場合、用紙カセット1内の用紙2の残り枚数を実施の形態1又は2の方法で算出することができる。この残り枚数の算出は、実施の形態1及び2と同じであるため、説明を省略する。
【0080】
このように、プリンタ15は、用紙2の厚さが変わったことを検出し、測定された用紙2の厚さに基づいて、用紙カセット1内の残りの枚数を算出し、更新することができる。例えば、2種類の厚さを有する用紙それぞれを束にして用紙カセット1に納めた場合、所定堆積量状態後に異なる厚さの用紙が給紙されることで、用紙カセット1内の用紙の残り枚数が更新され、正確な残り枚数を算出することができる。
【0081】
本発明の画像形成装置は、プリンタ15を例にして説明したが、これに限らず、ファクシミリ、MFP、コピー装置にも応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明のプリンタの構成を示す断面図である。
【図2】本発明のプリンタの給紙部の構成を示す図である。
【図3】本発明のプリンタに備えられる反射型センサと用紙カセット内の用紙との関係を示す図である。(a)は、反射型センサが、用紙の側面で反射した光を受光する状態を示し、(b)は、反射型センサの発光部からの光が受光できない状態を示す。
【図4】本発明のプリンタの制御部の構成及び各部と制御部との関係を示す図である。
【図5】本発明のプリンタの用紙カセット内の用紙の残りの枚数を算出するフロー図である。
【図6】本発明のプリンタの用紙カセット内の用紙の残りの枚数を算出するフロー図である。
【図7】本発明のプリンタに備えられる透過型センサと用紙カセット内の用紙との関係を示す図である。(a)は、遮蔽板が透過型センサの発光部からの光を遮る状態を示し、(b)は、遮蔽板が上方に移動し、透過型センサの受光部が発光部からの光を受光する状態を示す。
【図8】本発明のプリンタの制御部の構成及び各部と制御部との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 用紙カセット
2 用紙
3 給紙ローラ
4 リタードローラ
5 レジストローラ
6 反射型センサ
7 紙厚センサ
8 用紙ガイド
9 搬送路
10 制御部
13 表示部
15 プリンタ
16 給紙部
17 画像形成部
18 定着部
19 用紙排出部
20 画像形成手段
21 定着ローラ
22 搬送ベルト
23 排出ローラ
24 記憶部
25 透過型センサ
26 遮蔽部材
28 CPU
29 プログラムメモリ
30 メモリ
40 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
複数の前記媒体を堆積させる媒体堆積部と、
前記媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部に備えられ、搬送される複数の前記媒体の各々の厚さを検出する媒体厚検出手段と、
前記媒体堆積部に堆積する前記媒体の総厚が所定の厚さになったこと示す所定堆積量状態を検出する状態検出手段と、
前記状態検出手段で前記所定堆積量状態であることを検出した際に、前記媒体厚検出手段により検出した前記媒体の厚さに基づいて前記媒体堆積部に堆積した前記媒体の枚数を算出する算出手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記媒体厚検出手段により検出された前記媒体の厚さを記憶する記憶部を備え、
前記算出手段は、前記記憶部に記憶された前記媒体の厚さに基づいて前記媒体堆積部に堆積した前記媒体の枚数を算出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記状態検出手段は、発光部から発光した光を前記媒体堆積部に堆積した前記媒体の側面で反射させ、受光部で反射した前記光を受光する反射型センサであって、
前記受光部で前記光が受光されない場合、前記媒体堆積部に堆積した前記媒体が前記所定堆積量状態であることを検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記状態検出手段は、
発光部と受光部とが対面して配置され、前記発光部から発光した前記光を前記受光部で受光する透過型センサと、
前記媒体堆積部に堆積した前記媒体の総厚に応じて、前記透過型センサから発光する光を遮る遮蔽板を備える遮蔽部材とを有し、
前記受光部で前記光が受光される場合、前記前記媒体堆積部に堆積した前記媒体が所定堆積量状態であることを検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材は、回動自在に備えられ、前記遮蔽板と反対側の一端に前記媒体堆積部に堆積した前記媒体の上面に接触する媒体接触部を有し、
前記媒体堆積部に堆積した前記媒体が所定堆積量状態でない場合、前記遮蔽部材が遮蔽板側を下方とするように傾くことで前記透過型センサの光を遮り、
前記媒体堆積部に堆積した前記媒体が所定堆積量状態である場合、前記遮蔽部材が媒体接触部側を下方とするように傾くことで前記透過型センサの光を前記受光部で受光可能とすることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−290537(P2006−290537A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113192(P2005−113192)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】