説明

画像形成装置

【課題】 シートに付与された電子ID手段が画像形成部に到達することによる不具合を未然に防止する。
【解決手段】 給紙カセット21に収納されているシートSに付与されたRFIDを、RFID読み取り部50で読み取り、その読み取り結果に基づいて、画像形成条件を変更したりする。RFIDがシートSとともに、画像形成部6に送られると、RFIDから発信された電波によって画像への影響が出たり、転写ローラや定着ローラを傷めたりすることがある。そこで、RFID検知手段51によってRFIDを検知し、スクレーパ53によってシートSから剥離させてRFID収容部54に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ID通信手段を備えた複写機,プリンタ,ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機,プリンタ,ファクシミリ等の画像形成装置において、電子ID手段が付与されたシートを画像形成部に給送し、このシートに画像形成を行う技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献1では、画像形成部においてRFID(Radio Frequency Identifire)が破壊されるため、RFIDの破壊を避ける印字方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、帯状物のロール体の巻き芯部に配設されたRFIDに記録された情報に基づいて、プリンタの印字に関する各種設定等を変更する印字方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−341339号公報
【特許文献2】特開2001−354343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の画像形成装置では、電子ID手段がシートに付与されたまま、使用可能状態で画像形成部に給送されていたため、特に電子写真方式などで画像形成を行う際、電子ID手段が応答してしまい、電子ID手段から電波が発信されることがある。画像形成部内で、電子ID手段から電波が発信されると、画像への影響が出ることがある。また、直接、画像に影響が出ることがない場合でも、画像形成装置の各種センサの誤検知等の誤動作につながることがある。電子ID手段は、非接触で情報のやりとりを行うために、直接接触していない部分でも影響が出るおそれがある。
【0007】
また、シート上では、電子ID手段が付与されている部分のみの厚さや剛性などが、他の部分と異なることがあり、このため、画像の転写時の不具合が発生したり、定着ローラ等の画像形成のための部品に不具合が発生することがある。
【0008】
また、シート積載部から繰り出されるシートが、帯状のロール体ではなく、カットシートである場合、上述の特許文献2の、RFIDが配設された巻き芯部が給紙部に残るのとは異なり、電子ID手段が付与された部分をシート積載部に残すことは困難である。
【0009】
そこで、本発明は、電子ID手段が付与されたシートが、画像形成部に搬送されることに起因する不具合を防止するようにした画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、データの読み取りが可能で、そのデータを電波によって送受信する電子IDチップ及びアンテナ部を有する電子ID手段が付与された少なくとも1枚のシートが積載されるシート積載部と、前記シート積載部に収納されたシートの前記電子ID手段と通信可能な少なくとも1つの電子ID通信手段と、前記シート積載部からシートを1枚ずつ給紙し搬送するシート給搬送部と、前記シート給搬送部によって搬送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置において、前記シート積載部と前記画像形成部との間に配設されて、シートが前記画像形成部に到達する前にシート上の前記電子ID手段を回収する電子ID回収手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、シートに付与されている電子ID手段がシートともに画像形成部に到達する前に、電子ID回収手段によって電子ID手段を回収することができるので、電子ID手段が画像形成部に到達することによる不具合を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一の図面又は異なる図面において同一の符合を付したものは、同様の構成あるいは同様の作用をなすものであり、これらについては、適宜、重複説明を省略している。
【0013】
<実施の形態1>
図1に、本発明を適用することができる画像形成装置を示す。同図に示す画像形成装置は、電子写真方式の複写機1であり、同図は、この複写機1を正面側、すなわち複写機1の使用時にユーザやサービスマンが位置する側から見た縦断面図に相当する模式図である。
【0014】
同図を参照して、複写機1の構成及び動作の概略を説明する。
【0015】
同図に示すように、複写機1は、上部に配設されたリーダ部(画像読取り部)2と、下部に配設されたプリンタ部3とを備えており、さらに、プリンタ部3には、シート給送部4と、シート搬送部5と、画像形成部6と、コントローラ(制御手段)7が設けられている。以下、リーダ部2〜制御部7の順に説明する。なお、シート給送部4とシート搬送部5とを合わせたものが、シート給搬送部に相当する。
【0016】
リーダ部2は、照明ランプ(走査光学系光源)11、プラテンガラス12、開閉可能な原稿押圧板13、レンズ14、CCD(受光素子)15、画像処理部16、メモリ部17等を有している。原稿を読み取る際には、原稿(不図示)をその画像面を可能に向けてプラテンガラス12上に載置する。この原稿は、照明ランプ11によって光照射され、その反射光がレンズ14を介してCCD15に入力される。CCD15で光電変換された画像情報は、画像処理部16により処理された後、電気的に符号化された電気信号S1に変換されて、後述するレーザスキャナ33に伝送される。なお、画像処理部16にて処理され、符号化された画像情報を一旦、メモリ部17に記憶させ、コントローラ7からの信号によって、必要に応じてレーザスキャナ33に伝送することもできる。
【0017】
シート給送部4は、シートSを積載収容するシート積載部としての給紙カセット21と、ピックアップローラ22と、フィードローラ23及びリタードローラ24を有する分離部を備えている。給紙カセット21内のシートSは所定のタイミングで昇降/回転するピックアップローラ22と、分離部との作用によって1枚ずつ分離給送されるようになっている。給紙カセット21内のシートSには、図2に示すようにRFID55が取り付けられており、シートSに関する様々な情報が記録されている。さらに、給紙カセット21の底部近傍には、RFID読み取り部(電子ID通信手段)50が配設されており、給紙カセット21内に収容されたシート上のRFID55のデータを読み取るようになっている。また、フィードローラ23とリタードローラ24のシート搬送方向下流側近傍には給紙センサ25が設けられており、そこでのシートSの通過が検出できるように構成されている。また給紙カセット21と画像形成部6とは、仕切り板26で仕切られており、給紙カセット21側は、所定の密閉度で電気的に密閉されたシールド空間を形成している。
【0018】
シート搬送部5は、搬送ローラ対27と、レジスト前ローラ対29及びレジストローラ対30を有するレジストローラ部とを備えており、さらに、シート給送部4と搬送ローラ対27との間にRFID検知手段(電子ID検知手段)51を備えており、シート給送部4から給送されたシート上のRFID55の有無を検知することができる。また、RFID検知手段51の下流には、比較的半径の小さな屈曲パス52と、進退自在のスクレーパ(電子ID回収手段)53を備えており、RFID検知手段51により検知されたRFID55を引き剥がすことができるようになっている。スクレーパ53は、図3中の破線位置で待機しており、その近傍をシートSが通過中に、パス内に進入して、RFID55を剥ぎ取る。つまり、RFID55は、通常、シートSより剛性の高い樹脂等の材料で覆われており、かつシートSに対して剥離容易に取り付けられているため、シートSが屈曲パス52を通過するとき、RFID55の端部は、シートSから浮き上がっている。シートSの先端が、スクレーパ53の先端近傍を通過したのち、図4のフローチャートに示すように、ソレノイド(不図示)をONすることによりスクレーパ53をパス内に進入させ、シートSと浮き上がったRFID55の間にスクレーパ53の先端を挿し込むことによってRFID55をシートSから容易に引き剥がすことができる。
【0019】
また、スクレーパ53がシートSに当接する際に与える負荷をすべてのシートSに許容するならば、RFID55が付与されていないシートを含め、すべてのシートSに対し、所定のタイミングでスクレーパ53を当接させてもよい。
【0020】
シートSから引き剥がされたRFID55は、スクレーパ53の下方にあるRFID収容部(電子ID収容部)54に収容される。RFID収容部54は、その周囲が導電性の金属等で構成されており、RFID55が反応する電波を遮断している。つまり、RFID収容部54の外部からの不要な電波等によってRFID55が反応し、外部に不要な電波を発することを防いでいる。
【0021】
一方、RFID55が引き剥がされたシートSは、搬送ローラ対27により、ガイド板によって構成されるシート搬送路28を通過した後、ガイド板によって案内され、その後、レジストローラ対30に導かれるようになっている。その後、シートSは、レジストローラ対30に一旦、突き当てられ、シート給紙搬送時に発生する斜行を矯正された後、画像形成部6に搬送される。
【0022】
画像形成部6は、感光ドラム31、帯電器32、レーザスキャナ(露光器)33、現像器34、転写帯電器35a、分離帯電器35b、クリーナ36等を備えている。画像形成の際には、帯電器32によって一様に帯電された感光ドラム31表面に、レーザスキャナ33からのレーザ光がポリゴンミラー33a、ミラー33bによって折り返されて露光位置aにおいて照射される。これにより、照射部分の電荷が除去されて、感光ドラム31上に静電潜像が形成される。こうして感光ドラム上に形成された静電潜像は、その後、現像器34によってトナー像として顕像化されるようになっている。コントローラ7からの制御信号により、レーザ書き込み位置制御回路を介して、レーザ光の照射位置を変更することが可能であり、感光ドラム31上の長手方向、いわゆる主走方向の潜像形成位置が変更可能となっている。
【0023】
感光ドラム上のトナー像は、その後、転写部bにおいて、転写帯電器35aによりシートSに転写される。トナー像が転写されたシートSは、分離帯電器35bにより感光ドラム31から静電分離された後、搬送ベルト37によって定着装置38に搬送されてトナー像の定着が行われ、その後、排出ローラ39によって排出される。また、定着装置38と排紙ローラ39との間の搬送経路中に排紙センサ40が設けられており、そこでのシートSの通過が検出できるように構成されている。
【0024】
なお、本実施の形態においては、プリンタ部3とリーダ部2とは別体であるが、プリンタ部3とリーダ部2とが一体の場合もある。また、プリンタ部3はリーダ部2と別体でも一体でも、レーザスキャナ33にリーダ部2の処理信号を入力すれば複写機として機能し、FAXの送信信号を入力すればFAXとして機能する。さらに、パソコンの出力信号を入力すれば、プリンタとしても機能する。
【0025】
逆に、リーダ部2の画像処理部16の処理信号を、他のFAXに送信すれば、FAXとして機能する。また、リーダ部2において、原稿押圧板13に代えて、2点鎖線で示すような自動原稿送り装置(ADF)18を装着するようにすれば、原稿を自動的に読み取ることもできる。
【0026】
次に、RFID55に関する詳細な説明を行う。
【0027】
図1では、本発明を実施した複写機1の構成を示されており、シートSを収容する給紙カセット21の底部にシートS上のRFID55のデータを読み取るRFID読み取り部50が送受信機として記載されている。簡単に説明するとシート上に取り付けられたRFID55があり、RFID読み取り部50側にはRFID55からの情報を読み出すためのリード回路を装備する。シートSを収納する給紙カセット21にシートSが収納されて、給紙カセット内の収納開閉検知センサ(不図示)からの、信号が閉じられたという情報からRFID55からデータを読み出す処理が動き出す。また、収納開閉検知センサが検知しなくても常時監視することによりシートSの情報はデータとして入手することが可能である。
【0028】
ここでRFID55の構成及び動作の概略について説明する。
【0029】
図5は、シートSに埋め込まれたRFID55の構成図である。RFID55は、データを記憶するため電源が切れてもデータを失わないEEPROM等のメモリ61を有している。メモリ61は容量に応じたアドレスを有しており、アドレス毎に16ビットのデータ記憶部が構成されている。メモリ制御部62は、コイル64からのデータを、変復調部63を介して送られてきたリーダからのコマンドに従ってメモリ61に対して、データの読み取り等を行う。
【0030】
メモリ制御部62は、変復調部63から送信されるコマンドに従ってメモリ61のリード制御を行う。
【0031】
電源回路65は外部からの電磁誘導によるコイル66からの誘導起電力により、RFID55の回路に電力を供給している。RFID55は図5に示す構成を1チップICに集積している。
【0032】
メモリ61は、アドレスが4ビット、データ16ビットの仕様なので、256ビットの容量を有している。メモリ61のアドレスマップを、例えば図6に示すように、00h番地から02h番地をRFIDタグ自身のIDに、03h番地をRFIDタグが埋め込まれたシートの製造メーカのIDに、04h番地を製造年月に、05h番地をシートの紙種情報、06h番地をシートのサイズ情報、07h番地にシートの厚み情報、08h番地にシートの色情報、09h番地にシートのタブ位置情報……というようにあらかじめ決められたアドレスマップに従ってデータのリードを実施すれば、シートの情報を読み出すことができる。
【0033】
次に、リード回路について説明する。
【0034】
前述した、RFID読み取り部50にはリード回路が実装されており、リード回路は、図7に示すような構成になっている。
【0035】
リード回路に設けられたリーダコイル71と図5のRFID55に形成されたコイル64との間で、図8に示す電力伝送波及びデータ通信変調波からなる電磁波(無線)を使って電力の伝送及び通信の送受信の両方を行うが、電力伝送波と信号波とを各々別のアンテナにより送信しても問題はない。
【0036】
図8に示す27.02MHzの電力伝送波W1は、図5のコイル66によって受信され、RFID55を駆動する電源を供給する。
【0037】
また、27.02MHzを中心周波数とするデータ通信変調波W2は、図5のコイル64によって送受信されRFID55中のメモリ61に対してリードアクセスを行う。
【0038】
複写機1は、シートに埋め込まれたRFID55から読み取ったデータを基に画像形成の制御の変更を行う。以下に複写機1の制御の変更に関する説明を行う。
【0039】
前述したように、シート上のRFID55の情報としては、図6に示したように00h番地から02h番地をRFIDタグ自身のID、03h番地にシートの製造メーカのID、04h番地を製造年月、05h番地に紙種情報、06h番地にシートのサイズ情報、07h番地にシートの厚み情報、08h番地にシートの色情報が記憶されており(ただし、図6では07h,08hは省略している。)、これらの情報を、複写機1の電源が投入された後に、シートSが収納された給紙カセット21の近傍に配置された、RFID読み取り部50により読み出される。
【0040】
読み出されたデータを基に、コントローラ7で画像形成条件の設定を行う。
【0041】
まず00hから02h番地のデータはRFID55自身のIDであり、これを読み取ることにより、シートSの枚数をプリンタ制御回路6で把握することができる。例えばタグのIDが200個読み出されれば、シートSが200枚収納されていることが判断できる。その数量を操作部94(図1参照)の表示部に表示すれば正確なシートSの残量表示が可能となる。また操作部94から設定された画像形成モードで必要なシートSが500枚以内であれば、そのまま画像形成動作を可能とし、必要なシートSが500枚を超えるようであれば、画像形成動作を開始せずに、操作部94内の表示部にシートSが不足していること警告表示し、あるいは不足分を演算することにより不足枚数を表示する制御を行う。
【0042】
またシートのIDの読み取りにあたっては、すべてのシートSのIDを読み出す必要はなく、例えば、IDを1000以上、読み出せた場合は十分にシートがあると判断し、読み取り最大数を設定しておけば、それ以上のIDは読み取りを行わなくともよい。
【0043】
また、給紙カセット21からシートSが繰り出される時間間隔とRFID検知手段51によりRFID55が検知される時間間隔とを比較し、シートSの重送や不送りを検知することもできる。特に完全に2枚以上のシートが重なって繰り出される重送(以下、完全重送と称す)が発生した場合でも、完全重送したシートSには、2つ以上のIDが読み出せるので、RFID55を用いれば、完全重送の検知が可能となる。
【0044】
03h番地の製造メーカのID、04h番地の製造年月の情報からは、そのシートSの製造元、年月を判断し、シートSが、複写機1のコントローラ7であらかじめ記憶されているデータを基に、推奨できるシートSであるか又はシートSが製造されてから時間が経過しすぎて、劣化していないか等を判断し、推奨シートでない場合、あるいは経年時間が大きい場合には操作部94内の表示部にその旨を表示する制御を行う。
【0045】
05h番地からシートSの紙種情報が読み出され、シートの表面性、弾性、などの情報を読み取ることができる。また06h番地ではシートSのサイズ情報、07h番地からはシートSの厚み情報が得られ、これらの情報をもとにコントローラ7では画像形成時のシートSの最適な搬送速度を設定し、シート搬送駆動や、画像形成部6の駆動速度、レーザスキャナ33の速度制御を行い最適速度で画像形成を行う。また、05h番地の紙種情報と07h番地から読み出されたシートの厚み情報からは、シートSの種類や、厚みに最適な転写条件、具体的には転写帯電器35aに供給する電圧値及び電流値を供給できるようにコントローラ7から設定するとともに、シートSの種類や厚みに最適な定着装置38の定着温度設定を行う制御をコントローラ7で行う。
【0046】
また、転写帯電器35aのみならず、一次帯電器32、現像器34に印加する電圧値や電流値の設定も併せて変えることにより最適画像条件を設定してもよい。
【0047】
また、05h番地からシートSの紙種情報が読み出され認識されたシートSの種類と、操作部94等から設定された画像形成モードで設定されたシートSの種類を比較して、認識されたシートSの種類と、設定されたシートSの種類が一致していない場合は、画像形成動作を開始せずに、その旨を表示し、一致している場合は画像形成動作を開始する制御を行う。
【0048】
また07h番地から読み出されたシートの厚み情報に関しても、安定した画像の定着を行うための、定着器38の温度制御や、搬送速度等の変更を行うことができる。さらに、複写機1の排紙ローラ39の下流にシート後処理装置が接続されていた場合、ステイプル処理の可否等、さらにデータの活用範囲を広くすることもできる。
【0049】
08h番地からはシートの色情報が読み出され、例えば、カラーの画像形成装置を使用する場合には、シートSの下地色の影響により画像形成色が変わってくるために、シートSの色情報を基に、シートSの下地色の影響による画像形成部の色見変動を最小限に抑え、最適な画像の色味が得られるような制御が可能となる。
【0050】
上述の、RFID55上の番地、情報の内容については、例示されたものに限定されるものではなく、その他必要な情報を、適当な番地に記録しておけばよい。
【0051】
<実施の形態2>
図9に、実施の形態2の複写機(画像形成装置)1Aを示す。本実施の形態において、給紙カセット21に収容されたすべてのシートSにRFID55が付与されていなくてもよい。この場合、給紙カセット21にシート束を収容するとき、最下部にRFID55が付与されたシートSを配設する。シート束を給紙カセット21に収容する際、給紙カセット21内のRFID読み取り部50によりRFID55を常時監視しており、収納されたシート束の種類と順序を認識する。例えば、種類Aのシート束を100枚、種類Bのシート束を200枚、種類Cのシート束を100枚、順に積載すると、下から種類A,B,Cの順で、給紙カセット21内に積載されていることが認識される。このとき、RFID付きのシートSは、種類Aのシート束の最下部、種類Bのシート束の最下部、種類Cのシート束の最下部に配設されている。つまり、RFID付きのシートは、合計3枚、給紙カセット21内に収容されており、複写機1としては、何枚のシートSが給紙カセット21内に収容されているか認識することはできない。
【0052】
複写機1Aの動作が開始されると、複写機1Aは、シート種類Cの情報に対応した状態で画像形成を行う。そして、シート種類Cの情報が記録されたRFID付きシートSが給紙されると、複写機1Aは、その次のシートSが給紙される前に、シート種類Bに対応した状態に設定が変更される。RFID付きのシートが給紙されたとき、画像形成動作を一時停止させてもよい。
【0053】
また、本実施の形態において、図9に示すように、RFID検知手段51が、RFID55を検知した場合、ソレノイド(不図示)によってフラッパ(電子ID回収手段)81が図9の位置に移動し、シートSを搬送路82に導く。RFID付きシートSは、搬送ローラ85によって、搬送路82を搬送され、排出ローラ83によってRFID付きシート収容部(電子ID収容部)84に排出される。収容積載されたシートSは、そのまま回収し、RFID55内のデータを書き換えることによって、再利用も容易に行うことができる。
【0054】
なお、画像形成部6と給紙カセット21とRFID付きシート収容部84とは、仕切り板26a,26bで仕切られており、給紙カセット21側、RFID付きシート収容部84側は、所定の密閉度で電気的に密閉されたシールド空間を形成している。
【0055】
<実施の形態3>
図10に、実施の形態3の複写機(画像形成装置)1Bを示す。本実施の形態において、RFID55は、図11に示すようにシート端部に付与されており、シート搬送路91に設けられたカッター手段(電子ID回収手段)92により図11のカットラインSaに沿ってシートSの一部と共に切り落とされるようになっている。シート端部近傍であれば、搬送方向前後、左右に関係なく、切り落とすことは可能である。このとき、図12に示すようにシート端部に突起形状を設け、そこにRFID55を付与してもよい。そして、カットラインSbに沿ってRFID55が付与された突起部を切り落とすようにする。また、RFID55が付与されていないシートSも付与されたシートと同様にシート端部を切り落とすことも可能である。
【0056】
また、図13に示すような、必ずパンチ穴をあけるシートSは、あらかじめ切り落とす部分Scが決められているため、その部分ScにRFID55を埋め込むようにすればよい。
【0057】
上述の切り落とされたRFID55を含むシートSの一部は、RFID収容部(電子ID収容部)93に収容される。
【0058】
また、上述の実施の形態において、給紙カセット21内にRFID通信手段を設け、さらに、シートが1枚ずつ搬送される搬送パス中にRFID検知手段を設けていたが、それらを兼用してもよい。つまり、給紙カセット21内のRFID通信手段のみを使用する場合、RFID通信手段により、給紙カセット21内のRFID55のIDを常時監視しており、シートSが給紙されることにより収容していたシートSのIDが1つ減少したとき、RFID付きシートSが搬送されたとしてRFID付きシートが搬送されたときのシーケンスを行う。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施の形態1の複写機の構成を正面側から見た模式図である。
【図2】実施の形態1におけるRFID付きシートを示す図である。
【図3】実施の形態1の複写機におけるRFID剥がし部を示す図である。
【図4】実施の形態1において、シートからRFIDを剥がす動作を説明するフローチャートである。
【図5】RFIDの構成を示す図である。
【図6】RFIDのメモリ部のアドレスマップを説明する図である。
【図7】RFIDに対して無線非接触によってリード制御を行うリード回路のブロック図である。
【図8】RFIDのリード動作タイミングを説明する図である。
【図9】実施の形態2の複写機の構成を正面側から見た模式図である。
【図10】実施の形態3の複写機の構成を正面側から見た模式図である。
【図11】実施の形態3におけるRFID付きシートを示す図である。
【図12】実施の形態3における、他のRFID付きシートを示す図である。
【図13】実施の形態3における、さらに他のRFID付きシートを示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1,1A,1B
複写機(画像形成装置)
4 シート給送部(シート給搬送部)
5 シート搬送部(シート給搬送部)
6 画像形成部
7 コントローラ(制御手段)
21 給紙カセット(シート積載部)
50 RFID読み取り部(電子ID通信手段)
51 RFID検知手段(電子ID検知手段)
53 スクレーパ(電子ID回収手段)
54,93 RFID収容部(電子ID収容部)
55 RFID(電子ID手段)
81 フラッパ(電子ID回収手段)
84 RFID付きシート収容部(電子ID収容部)
92 カッター手段(電子ID回収手段)
P シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの読み取りが可能で、そのデータを電波によって送受信する電子IDチップ及びアンテナ部を有する電子ID手段が付与された少なくとも1枚のシートが積載されるシート積載部と、前記シート積載部に収納されたシートの前記電子ID手段と通信可能な少なくとも1つの電子ID通信手段と、前記シート積載部からシートを1枚ずつ給紙し搬送するシート給搬送部と、前記シート給搬送部によって搬送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置において、
前記シート積載部と前記画像形成部との間に配設されて、シートが前記画像形成部に到達する前にシート上の前記電子ID手段を回収する電子ID回収手段を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート積載部と前記画像形成部との間でシート上の前記電子ID手段を検知する電子ID検知手段と、
前記電子ID回収手段の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記電子ID検知手段がシート上の前記電子ID手段を検知したときに、前記電子ID手段が付与されているシートが前記画像形成部に到達する前に、前記電子ID手段を回収するように前記電子ID回収手段の動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電子ID回収手段は、前記電子ID手段をシートごと回収して電子ID収容部に収容する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電子ID回収手段は、前記電子ID手段をシートから剥離させて電子ID収容部に収容する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電子ID回収手段は、シートにおける前記電子ID手段が付与されている部分を切除して電子ID収容部に収納する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電子ID収容部が導電性又は磁性を有する材料により構成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電子ID通信手段と、前記電子ID検知手段とが兼用されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記電子ID通信手段によって前記電子ID手段から得られた情報に基づいて、画像形成動作を変更する、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−313295(P2006−313295A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−136734(P2005−136734)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】