説明

画像形成装置

【課題】画像形成動作中の紙間などにおいて、発光素子の露光量計測を行なうべく露光装置を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子などの発光素子を発光させると、トナーの無駄な消費や記録紙の裏汚れといった不具合が発生する。
【解決手段】発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を設定するコントローラ41と、有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を計測する露光量センサユニット57を有し、コントローラ41は有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を計測する際の露光量を、画像形成を行なう際の露光量よりも低く設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子をライン状に配置して構成された発光素子列を有する露光装置を搭載した画像形成装置、特に露光装置における発光素子の露光量を補正可能に構成した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
予め所定の電位に帯電した感光体を画像情報に応じて露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像し、顕画化されたトナー像を記録紙に転写、加熱定着して画像を得る、いわゆる電子写真プロセスを応用した画像形成装置に用いられる露光装置として、レーザダイオードを光源とした光ビームをポリゴンミラーと呼称される回転多面鏡を介して感光体上を走査して静電潜像を形成する方式と、発光ダイオード(以降LEDと呼称する)や有機エレクトロルミネッセンス材料を用いて構成した発光素子をライン状に配置した発光素子列を用いて各発光部を個別に点灯(ON/OFF)制御して感光体上に静電潜像を形成する方式が知られている。
【0003】
一般にLEDや有機エレクトロルミネッセンス材料を用いた発光素子列を構成要素として含む露光装置は、感光体のごく近傍で各発光素子を選択的に点灯して感光体上に露光光を照射するので、これらを搭載した画像形成装置はレーザダイオードを用いた画像形成装置における回転多面鏡のような可動部がなく信頼性、静粛性が高く、またレーザダイオードの出射光を感光体に導く光学系や、光の経路となる大きな光学的空間が不要で画像形成装置を小型化することが可能である。
【0004】
特に発光素子として有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した露光装置は、ガラスなどの基板上に薄膜トランジスタ(Thin Film Trnasistor。以降TFTと呼称する)から成るスイッチング素子で構成される駆動回路と有機エレクトロルミネッセンス素子を一体として形成できるため、構造、製造工程がシンプルであり、発光素子としてLEDを搭載した露光装置と比較して更なる小型化、低コスト化を実現できる可能性がある。
【0005】
しかしその一方で有機エレクトロルミネッセンス素子はその駆動に伴って発光輝度が徐々に低下する、いわゆる光量劣化が発生することが知られている。一般的なディスプレイ装置などに応用される有機エレクトロルミネッセンス素子の発光輝度は高々1000[cd/m2]程度でよいのに対し、電子写真装置などの画像形成装置に搭載される露光装置に応用される有機エレクトロルミネッセンス素子には、例えば画像形成装置の仕様として600dpi(dot/inch)、20ppm(pages/minute)程度のスペックを想定すると10000[cd/m2]以上の発光輝度が要求され、その駆動条件は高電圧、大電流の非常に過酷なものとなる。このために露光装置に応用される有機エレクトロルミネッセンス素子は、表示装置に応用される場合と比較して光量劣化の影響を受けやすく、個々の有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量を初期と同等の状態に維持するために何らかの露光量補正が必要となる。
【0006】
また有機エレクトロルミネッセンス素子の発光輝度は温度依存性があることも知られている。この温度依存性は有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する有機材料によって決まり、正特性、負特性のいずれもがあり得る。上述した電子写真装置の画像形成過程には熱と圧力によって記録紙上のトナー像を定着する工程が含まれており、装置内部に大熱量を発生可能な熱源を有するため、装置内部の温度変化に伴って有機エレクトロルミネッセンス素子の発光輝度が変化する。この場合にも個々の有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量を補正する露光量補正が必要となる。
【0007】
さて露光量補正に関して、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子を応用した露光装置を搭載した画像形成装置では、例えば(特許文献1)に開示される構成が知られている。
【0008】
(特許文献1)における露光装置は有機エレクトロルミネッセンス素子を形成したガラス基板上に受光センサを配置し、各有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量をこの受光センサで検出するという構成を有している。
【0009】
更に(特許文献1)によれば、露光装置におけるn番目の有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量Pgnを検査治具にて予め計測すると共に、この際に上述の受光センサで露光量Phnも計測し、これらに基づいて補正係数Pgn/Phnを算出し、この補正係数を露光装置あるいは画像形成装置に搭載した記憶手段に記憶させておく。そして露光装置を画像形成装置に組み込んだ後は、適宜上述した受光センサによる光量検出結果と記憶手段に記憶された補正係数に基づき、有機エレクトロルミネッセンス素子の新たな駆動電流などを決定することで、常に有機エレクトロルミネッセンス素子の初期の露光量を維持できるとしている。
【0010】
また(特許文献1)によれば、露光量補正動作は画像形成装置の起動直後の初期化動作、印字開始前、紙間の何れかの時点でプリンタコントローラの指令に基づいて行なうことができるとしている。
【特許文献1】特開2004−082330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図16は従来の画像形成装置における現像ステーションの周辺構成を示す構成図である。
【0012】
以降図16を用いて発明が解決しようとする課題について詳細に説明する。
【0013】
図16において152は感光体158に記録された潜像を現像する現像ステーションである。現像ステーション152の内部にはキャリアとトナーの混合物である現像剤156が充填されている。157a、157bは現像剤156を攪拌する攪拌パドルであり、攪拌パドル157aと157bの回転によって現像剤156中のトナーはキャリアとの摩擦によって所定の電位に帯電されると共に、現像ステーション152の内部を巡回することでトナーとキャリアが十分に攪拌混合される。
【0014】
158は像担持体としての感光体であり、感光体158は図示しない駆動源によって方向D13に回転駆動される。159は帯電器であり感光体158の表面を所定の電位に帯電する。160は現像スリーブ、161は薄層化ブレードである。現像スリーブ160は内部に複数の磁極が形成されたマグネットロール162を有している。薄層化ブレード161によって現像スリーブ160の表面に供給される現像剤156の層厚が規制されると共に、現像スリーブ160は図示しない駆動源によって方向D14に回転し、この回転およびマグネットロール162の磁極の作用によって現像剤156は現像スリーブ160の表面に供給され、後述する露光装置163によって感光体158に形成された静電潜像を現像するとともに、感光体158に転写されなかった現像剤156は現像ステーション152の内部に回収される。
【0015】
163は露光装置であり、例えばLEDや有機エレクトロルミネッセンス素子といった発光素子を列状に配置した光源を有しており、画像データに応じて感光体158上に最大A4サイズの静電潜像を形成する。現像スリーブ160に所定の電位(現像バイアス)を印加すると、この静電潜像部分と現像スリーブ160の間に電位勾配が生じ、所定の電位に帯電している現像剤156中のトナーにクーロン力が作用し、感光体158には現像剤156のうちトナーのみが付着し、静電潜像が顕画化される。
【0016】
166は転写ローラである。転写ローラ166は感光体158に対し記録紙搬送路155と対向する位置に設けられており、図示しない駆動源により方向D15に回転する。転写ローラ166には所定の転写バイアスが印加されており、感光体158上に形成されたトナー像を記録紙搬送路155に沿って搬送されてきた記録紙153に転写する。
【0017】
このような構成を有する画像形成装置において、露光量補正を行なうべく発光素子の光量を検出するために発光素子を点灯させると、結果的に感光体158は露光されることとなる。
【0018】
紙間は言うに及ばず、起動直後の初期化動作、印字開始前などの時点であっても、例えば画像形成装置のシステム上のエラーチェックを行なうために、画像形成装置の像形成に係る構成要素は画像形成時と同様に動作しているため、感光体158は露光され、感光体158には正規の画像データに基づく画像形成とは無関係に潜像が形成される。この潜像は上述の過程を経て現像され結果的に感光体158にはトナーが付着してしまう。この現象はたとえ現像スリーブ160に印加する現像バイアスをOFFにしても(即ちトナーを感光体158に移動させるクーロン力を積極的に作用させなくとも)、感光体158上に潜像が形成された部位と形成されていない部位が存在していれば、この間に電位差が存在する(即ち感光体158の潜像形成領域と非潜像形成領域の間の平面方向にクーロン力が作用する)ために程度の差はあれ発生する現象である。このために本来の画像形成とは無関係に無駄にトナーが消費されることとなる。
【0019】
このようにして感光体158に付着したトナーが転写ローラ166に到達すると、たとえ転写ローラ166に転写バイアスが印加されていなくとも、これと接触した際に受ける鏡像力や擦り応力などの力によって転写ローラ166の表面を汚染することとなる。
【0020】
一旦転写ローラ166がトナーによって汚染されると、次に記録紙搬送路155に記録紙153が搬送された場合は、いかに転写ローラ166に転写バイアスが印加されていようと(転写バイアスはトナーを転写ローラ側に引き付けるように作用する)、記録紙搬送路155を搬送される記録紙153と転写ローラ166の駆動速度の微小な差に基づく擦り応力などの作用によって記録紙153の裏面にトナーが転写し、いわゆる記録紙153の裏汚れが発生してしまう。
【0021】
このような場合に転写ローラ166の近傍にクリーニング部材を配置して、常に転写ローラ166の表面をクリーニングする構成をとることは可能ではあるが、この解決策はクリーニング部材やクリーニング後のトナーを収納する部材を配置する必要があり、コストアップや装置の大型化に直結し、いずれにせよトナーの無駄な消費は防止できないため賢明な対策とは言えない。
【0022】
本発明は例えば画像形成動作における紙間などの非画像形成時において、発光素子の露光量計測を行なうべく露光装置を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子などの発光素子を発光させた場合でも、トナーの無駄な消費や記録紙の裏汚れといった不具合が発生することのない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の画像形成装置は上記課題に鑑みてなされたもので、発光素子を設けた露光部を有し、この露光部によって像担持体を露光して画像形成を行なう画像形成装置であって、発光素子の露光量を設定する露光量設定部と、発光素子の露光量を計測する露光量計測部とを有し、露光量設定部は、発光素子の露光量を計測する際の発光素子の露光量を画像形成時の露光量よりも低く設定するように構成したものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の画像形成装置によれば、発光素子の露光量の計測を行なうべく露光装置を構成する発光素子を点灯させた場合であっても、露光量設定部によって発光素子の露光量は画像形成時よりも低く設定されるため、感光体上には実質的に現像に寄与する潜像が形成されず、発光素子の露光量の計測を行っても感光体にトナーが現像されることはない。よってトナーの無駄な消費を抑えることができるとともに、記録紙の裏汚れといった不具合を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の画像形成装置は、発光素子を設けた露光部を有し、この露光部によって像担持体を露光して画像形成を行う画像形成装置であって、発光素子の露光量を設定する露光量設定部と、発光素子の露光量を計測する露光量計測部とを有し、露光量設定部は、発光素子の露光量を計測する際の発光素子の露光量を画像形成時の露光量よりも低く設定するように構成したものである。これによって発光素子の露光量の計測を行なうべく露光部を構成する発光素子を点灯させた場合であっても、露光量設定部によって発光素子の露光量は画像形成時よりも低く設定されるため、像担持体上には実質的に画像(潜像およびトナー像)が形成されることはない。よってトナーの無駄な消費を抑えることができるとともに、記録紙の裏汚れといった不具合を解消することができる。
【0026】
また本発明は、露光部の露光によって潜像が形成される像担持体としての感光体と、この感光体に形成された潜像を現像して顕画化する現像器とを有する画像形成装置であって、発光素子の露光量を設定する露光量設定部と、発光素子の露光量を計測する露光量計測部とを有し、露光量設定部は、発光素子の露光量を計測する際に、発光素子の露光量を感光体に形成された潜像が現像される露光量よりも低く設定するように構成したものである。これによって発光素子の露光量の計測を行なうべく露光部を構成する発光素子を点灯させた場合であっても、感光体上には実質的に現像に寄与する潜像が形成されないため、発光素子の露光量の計測を行っても感光体にトナーが現像されることはない。よってトナーの無駄な消費を抑えることができるとともに、記録紙の裏汚れといった不具合を解消することができる。
【0027】
また本発明は、発光素子の露光量を計測する計測期間に露光された感光体の領域に対して、現像部へのバイアス電位の印加をOFFに設定するようにしたものである。これによってより確実にトナーの無駄な消費を抑えることができるとともに、記録紙の裏汚れといった不具合を解消することができる。
【0028】
また本発明は、露光部を複数の発光素子を列状に形成した発光素子列で構成したものである。これによって例えばレーザープリンタ等と比較して露光に必要な空間が小さくなるため、画像形成装置を小型に構成することができる。
【0029】
また本発明は、露光量計測部による計測結果に基づき、発光素子の各々の露光量を略等しく補正する露光量補正部を有し、この露光量補正部の出力に基づいて、露光量設定部は画像形成を行なう際の各発光素子の露光量を設定するようにしたものである。これによって露光部を構成する各発光素子の光量を均一化し高画質な画像を得ることができる。
【0030】
また本発明は、複数ページにわたる画像形成において、各ページ間に相当する期間に発光素子の露光量を計測するに際し、露光部に設けられた複数の発光素子のうち一部の発光素子の露光量を計測するようにしたものである。これによって各ページ間の紙間といった短時間であっても、計測のための十分な期間を確保し、精度よく発光素子の露光量を検出することができる。またこのとき発光素子を離散的に発光させることで潜像を孤立させ、より現像されにくい状態とすることができる。
【0031】
また本発明は、発光素子を有機エレクトロルミネッセンス素子で構成したものである。有機エレクトロルミネッセンス素子は、比較的簡易なプロセスによって駆動回路とともに基板上に一括して形成ができ、低コストで製造可能であることから、露光部のコストを引き下げ、ひいては画像形成装置を安価に提供できる。
【0032】
また本発明は、露光量計測部による発光素子の露光量の計測を、非画像形成時において行なうようにしたものである。非画像形成時とは、例えば画像形成装置の初期化時点や、複数ページにわたって画像形成を行なう場合における記録紙と記録紙の間(紙間)のように、感光体に画像が形成されない時点を指し、これによって露光量の計測を行なった場合であっても、画像形成の生産性を低下させることなく、高速な印刷動作が可能となる。
【0033】
また本発明は、複数ページにわたる画像形成を行なう際に、各ページ間に相当する期間、即ち紙間に発光素子の露光量を計測するようにしたものである。これによって発光素子の温度上昇や、画像形成装置の温度上昇によって短時間のうちに発光素子の光量が変化した場合であっても、リアルタイムに露光量補正を行なうことができる。
【0034】
また本発明は、ユーザの指示を入力する指示入力部を有し、この指示入力部への入力に基づいて発光素子の露光量を計測するようにしたものである。これによって万が一露光量補正が追随できない急激な環境変化が生じたような場合であっても、高画質を維持できるようになる。
【0035】
また本発明は、複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を列状に形成した発光素子列を設けた露光部を有し、この露光部によって像担持体を露光して画像形成を行う画像形成装置であって、有機エレクトロルミネッセンス素子が出射する光の発光光量を計測する露光量計測部と、露光量計測部によって有機エレクトロルミネッセンス素子の発光光量を計測する際に、像担持体に画像が形成されるのを抑制する像形成抑制部を設けたものである。これによって有機エレクトロルミネッセンス素子の発光光量の計測を行なうべく露光部を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子を点灯させた場合であっても、像形成抑制部によって像担持体上への画像の形成が抑制されるため、トナーの無駄な消費を抑えることができるとともに、記録紙の裏汚れといった不具合を解消することができる。
【0036】
また本発明は、像担持体は感光体であり、像形成抑制部を、露光部によって感光体に潜像が形成されるのを抑制するように構成したものである。これによって有機エレクトロルミネッセンス素子の発光光量の計測を行なうべく露光部を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子を点灯させた場合であっても、像形成抑制部によって感光体への潜像の形成が抑制されるため、感光体上にトナー像が形成されることはなく、トナーの無駄な消費を抑えることができるとともに、記録紙の裏汚れといった不具合を解消することができる。
【0037】
また本発明は、像形成抑制部を、前記露光部と前記感光体の間に変位可能に配置され、前記露光部から出射される光を遮断する光遮断部材で構成したものである。これによって有機エレクトロルミネッセンス素子の発光光量の計測を行なうべく露光部を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子を点灯させた場合であっても、光遮断部材によって感光体への潜像の形成が抑制されるため、感光体上にトナー像が形成されることはなく、トナーの無駄な消費を抑えることができるとともに、記録紙の裏汚れといった不具合を解消することができる。
【0038】
また本発明は、光遮断部材を機械的に変位するシャッタで構成したものである。これによって簡易な構成で、露光部から出射される光で感光体が露光されるのを防ぐことができる。
【0039】
また本発明は、光遮断部材を、電気的に光の透過率を制御するシャッタで構成したものである。これによって簡易な構成で、露光部から出射される光で感光体が露光されるのを防ぐことができる。また、これによって機構が簡略化されるため、露光部の周辺の構成を複雑化することを防止できる。
【0040】
また本発明は、像形抑制部を露光部と前記感光体の間の光路長を変化させる光路長調整部材で構成したものである。これによって露光部から出射される光が感光体上に結像しなくなるため、感光体上に潜像が形成されるのを抑制することができる。
【0041】
また本発明は、光路長調整部材を、露光部から出射される光の光軸方向に露光部と感光体の間の距離を変化させるように構成したものである。これによって簡易な構成によって、露光部から出射される光が感光体上に結像しなくなるため、感光体上に潜像が形成されるのを抑制することができる。
【0042】
また本発明は、露光長調整部材を、露光部から出射される光の光軸と感光体のなす角度を変化させるように構成したものである。これによって例えば露光部の配置角度を変えるといった簡易な機構によって、露光部から出射される光が感光体上に結像しなくなるため、感光体上に潜像が形成されるのを抑制することができる。
【0043】
また本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子が出射する光の発光光量を設定する露光量設定部を有し、この露光量設定部は、有機エレクトロルミネッセンス素子が出射する光の発光光量を計測する際の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光光量を、画像形成時の発光光量よりも低く設定して、感光体に潜像が形成されるのを抑制するようにしたものである。これによって有機エレクトロルミネッセンス素子が出射する光の発光光量の計測を行なうべく露光部を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子を点灯させた場合であっても、露光量設定部によって発光素子の露光量は画像形成時よりも低く設定されるため、感光体上には実質的に画像が形成されることはない。よってトナーの無駄な消費を抑えることができるとともに、記録紙の裏汚れといった不具合を解消することができる。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について図面を用いて説明する。
【0045】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の構成図である。
【0046】
図1において、画像形成装置1は装置内にイエロー現像ステーション2Y、マゼンタ現像ステーション2M、シアン現像ステーション2C、ブラック現像ステーション2Kの4色分の現像ステーションを縦方向に階段状に配列し、その上方には記録紙3が収容される給紙トレイ4を配設すると共に、各現像ステーション2Y〜2K に対応した箇所には給紙トレイ4から供給された記録紙3の搬送路となる記録紙搬送路5を上方から下方の縦方向に構成したものである。
【0047】
現像ステーション2Y〜2Kは記録紙搬送路5の上流側から順に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成するものであり、イエロー現像ステーション2Yは感光体8Y、マゼンタ現像ステーション2Mには感光体8M、シアン現像ステーション2Cには感光体8C、ブラック現像ステーション2Kには感光体8Kが含まれ、更に各現像ステーション2Y〜2Kには後に説明する現像スリーブ、帯電器など、一連の電子写真方式における現像プロセスを実現する部材が含まれている。
【0048】
更に各現像ステーション2Y〜2Kの下部には感光体8Y〜8Kの表面を露光して静電潜像を形成するための露光装置13Y、13M、13C、13Kが配置されている。
【0049】
現像ステーション2Y〜2Kは充填された現像剤の色が異なっているが、構成は現像色に関わらず同一であるため、以降の説明を簡単にするため特に明示する必要がある場合を除いて現像ステーション2、感光体8、露光装置13のごとく特定の色を明示せずに説明する。
【0050】
図2は本発明の実施例1の画像形成装置1における現像ステーション2の周辺を示す構成図である。図2において、現像ステーション2の内部にはキャリアとトナーの混合物である現像剤6が充填されている。7a、7bは現像剤6を攪拌する攪拌パドルであり、攪拌パドル7aと7bの回転によって現像剤6中のトナーはキャリアとの摩擦によって所定の電位に帯電されると共に、トナーとキャリアは現像ステーション2の内部を巡回することで十分に攪拌混合される。感光体8は図示しない駆動源によって方向D3に回転する。9は帯電器であり感光体8の表面を所定の電位に帯電する。10は現像スリーブ、11は薄層化ブレードである。現像スリーブ10は内部に複数の磁極が形成されたマグネットロール12を有している。薄層化ブレード11によって現像スリーブ10の表面に供給される現像剤6の層厚が規制されると共に、現像スリーブ10は図示しない駆動源によって方向D4に回転し、この回転およびマグネットロール12の磁極の作用によって現像剤6は現像スリーブ10の表面に供給され、後述する露光装置13によって感光体8に形成された静電潜像を現像するとともに、感光体8に転写されなかった現像剤6は現像ステーション2の内部に回収される。
【0051】
13は露光装置である。実施例1における露光装置13は露光光源としての有機エレクトロルミネッセンス素子を600dpi(dot per inch)の解像度で列状に配置した発光素子列を有しており、帯電器9によって所定の電位に帯電した感光体8に対し、画像データに応じて選択的に有機エレクトロルミネッセンス素子をON/OFFすることで、最大A4サイズの静電潜像を形成する。この静電潜像部分に現像スリーブ10の表面に供給された現像剤6のうちトナーのみが付着し静電潜像が顕画化される。
【0052】
後に詳細に説明するように露光装置13には、有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量を計測する露光量計測部として露光量センサユニットが設けられている。
【0053】
16は転写ローラである。転写ローラ16は感光体8に対し記録紙搬送路5と対向する位置に設けられており、図示しない駆動源により方向D5に回転する。転写ローラ16には所定の転写バイアスが印加されており、感光体8上に形成されたトナー像を、記録紙搬送路5を搬送されてきた記録紙3に転写する。
【0054】
以降図1に戻って説明を続ける。
【0055】
17はトナーボトルであり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが格納されている。トナーボトル17から各現像ステーション2Y〜2Kには図示しないトナー搬送用のパイプが配設され、各現像ステーション2Y〜2Kにトナーを供給している。
【0056】
18は給紙ローラであり、図示しない電磁クラッチを制御することで方向D1に回転し、給紙トレイ4に装填された記録紙3を記録紙搬送路5に送り出す。
【0057】
給紙ローラ18と最上流のイエロー現像ステーション2Yの転写部位との間に位置する記録紙搬送路5には、入口側のニップ搬送部としてレジストローラ19、ピンチローラ20対が設けられている。レジストローラ19、ピンチローラ20対は、給紙ローラ18により搬送された記録紙3を一時的に停止させ、所定のタイミングでイエロー現像ステーション2Yの方向に搬送する。この一時停止によって記録紙3の先端がレジストローラ19、ピンチローラ20対の軸方向と平行に規制され、記録紙3の斜行を防止する。
【0058】
21は記録紙通過検出センサである。記録紙通過検出センサ21は反射型センサ(フォトリフレクタ)によって構成され、反射光の有無で記録紙3の先端および後端を検出する。
【0059】
さて図示しない電磁クラッチによって動力伝達を制御しレジストローラ19の回転を開始すると記録紙3は記録紙搬送路5に沿ってイエロー現像ステーション2Yの方向に搬送されるが、レジストローラ19の回転開始のタイミングを起点として、各現像ステーション2Y〜2Kの近傍に配置された露光装置13Y〜13Kによる静電潜像の書込みタイミング、現像バイアスのON/OFF、転写バイアスのON/OFFなどがそれぞれ独立して制御される。
【0060】
以降図2を用いて説明を続ける。
【0061】
図2に示す露光装置13から現像領域(感光体8と現像スリーブ10の間隔が最も狭い部位の近傍)までの距離は設計事項であるから、例えば露光装置13による露光を開始して感光体8上に形成された潜像が現像領域に到達する時間も設計事項である。
【0062】
実施例1ではレジストローラ19の回転開始のタイミングを起点として、後に説明するように複数ページを連続して印字する際に、記録紙搬送路5を搬送される記録紙と記録紙の間(即ち紙間)において露光装置13を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量を設定して点灯させるとともに、感光体8上に形成された潜像位置に対して現像バイアスをOFFにするような制御を行なっている。
【0063】
以降図1に戻って説明を続ける。
【0064】
最下流のブラック現像ステーション2Kの更に下流側に位置する記録紙搬送路5には出口側のニップ搬送部として定着器23が設けられている。定着器23は加熱ローラ24と加圧ローラ25から構成されている。
【0065】
27は加熱ローラ24の温度を検出するための温度センサである。温度センサ27は金属酸化物を主原料とし、高温で焼結して得られるセラミック半導体であり、温度に応じて負荷抵抗が変化することを応用して接触した対象物の温度を計測することができる。温度センサ27の出力は後述するエンジン制御部42に入力され、エンジン制御部42は温度センサ27の出力に基づいて加熱ローラ24に内蔵された熱源(図示せず)に供給する電力を制御し、加熱ローラ24の表面温度が約170℃となるように制御する。
【0066】
この温度制御がなされた加熱ローラ24と加圧ローラ25によって形成されるニップ部にトナー像が形成された記録紙3が通紙されると、記録紙3上のトナー像は加熱ローラ24と加圧ローラ25によって加熱および加圧され、トナー像が記録紙3上に定着される。
【0067】
28は記録紙後端検出センサであり、記録紙3の排出状況を監視するものである。32はトナー像検出センサである。トナー像検出センサ32は発光スペクトルの異なる複数の発光素子(共に可視光)と単一の受光素子を用いた反射型センサユニットであり、記録紙3の地肌と画像形成部分とで、画像色に応じて吸収スペクトルが異なることを利用して画像濃度を検出するものである。またトナー像検出センサ32は画像濃度のみならず画像形成位置も検出できるため、実施例1における画像形成装置1ではトナー像検出センサ32を画像形成装置1の幅方向に2ヶ所設け、記録紙3上に形成した画像位置ずれ量検出パターンの検出位置に基づき画像形成タイミングを制御している。
【0068】
33は記録紙搬送ドラムである。記録紙搬送ドラム33は表面を200μm程度の厚さのゴムで被覆した金属製ローラであり、定着後の記録紙3は記録紙搬送ドラム33に沿って方向D2に搬送される。このとき記録紙3は記録紙搬送ドラム33によって冷却されると共に、画像形成面と逆方向に曲げられて搬送される。これによって記録紙全面に高濃度の画像を形成した場合などに発生するカールを大幅に軽減することができる。その後、記録紙3は蹴り出しローラ35によって方向D6に搬送され、排紙トレイ39に排出される。
【0069】
34はフェイスダウン排紙部である。フェイスダウン排紙部34は支持部材36を中心に回動可能に構成され、フェイスダウン排紙部34を開放状態にすると、記録紙3は方向D7に排紙される。このフェイスダウン排紙部34は閉状態では記録紙搬送ドラム33と共に記録紙3の搬送をガイドするように、背面に搬送経路に沿ったリブ37が形成されている。
【0070】
38は駆動源であり、実施例1ではステッピングモータを採用している。駆動源38によって給紙ローラ18、レジストローラ19、ピンチローラ20、感光体8Y〜8K、および転写ローラ16(図2参照)を含む各現像ステーション2Y〜2Kの周辺部、定着器23、記録紙搬送ドラム33、蹴り出しローラ35の駆動を行っている。
【0071】
41はコントローラであり外部のネットワークを介して図示しないコンピュータなどからの画像データを受信し、プリント可能な画像データを展開、生成する。後に詳細に説明するように、コントローラ41に搭載されたコントローラCPU(図示せず)は露光装置13Y〜13Kから発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量の計測データを受け取り露光量補正データの生成を行なう露光量補正部であるとともに、この露光量補正データに基づき有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量を設定する露光量設定部でもある。
【0072】
42はエンジン制御部である。エンジン制御部42は画像形成装置1のハードウェアやメカニズムを制御し、コントローラ41から転送された画像データおよび露光量補正データに基づいて記録紙3にカラー画像を形成すると共に、上述した定着器23の加熱ローラ24の温度制御を含む画像形成装置1の制御全般を行っている。
【0073】
43は電源部である。電源部43は、露光装置13Y〜13K、駆動源38、コントローラ41、エンジン制御部42へ所定電圧の電力供給を行なうと共に、定着器23の加熱ローラ24への電力供給を行っている。また感光体8の表面を帯電するための帯電電位、現像スリーブ(図2参照)に印加する現像バイアス、転写ローラ16に印加する転写バイアスなどのいわゆる高圧電源系もこの電源部に含まれている。エンジン制御部42は電源部43を制御することで、高圧電源のON/OFFのみならず出力電圧値や出力電流値を調整している。
【0074】
また電源部43には電源監視部44が含まれ、少なくともエンジン制御部42に供給される電源電圧、および電源部43の出力電圧をモニタできるようになっている。このモニタ信号はエンジン制御部42おいて検出され、電源スイッチのオフや停電などの際に発生する電源電圧の低下や、特に高圧電源の出力異常を検出している。
【0075】
以上のように構成された画像形成装置1について、図1と図2を用いてその動作について説明する。
【0076】
なお以降の説明において、画像形成装置1の構成および動作全般に関わる説明については主に図1を用い、現像ステーション2Y〜2K、感光体8Y〜8K、露光装置13Y〜13Kのように色を区別して説明するが、露光や現像過程など単色に関わる説明については主に図2を用い、簡単のために現像ステーション2、感光体8、露光装置13のように色を区別せずに説明する。
【0077】
<初期化動作>
まず画像形成装置1に電源が投入された際の初期化動作について説明する。
【0078】
電源が投入されるとエンジン制御部42に搭載されたエンジン制御CPU(図示せず)は画像形成装置1を構成する電気的リソース、即ち書込み/読出しが可能なレジスタ、メモリなどのエラーチェックを実行する。このエラーチェックが完了するとエンジン制御CPU(図示せず)は駆動源38の回転を開始する。上述したように駆動源38によって給紙ローラ18、レジストローラ19、ピンチローラ20、感光体8Y〜8K、および転写ローラ16を含む各現像ステーション2Y〜2Kの周辺部、定着器23、記録紙搬送ドラム33、蹴り出しローラ35が駆動される。ただし電源投入直後は記録紙3の搬送にかかわる給紙ローラ18およびレジストローラ19は、これらに駆動力を伝達する電磁クラッチ(図示せず)は直ちにOFFに設定され、記録紙3を搬送することがないように制御されている。
【0079】
以降図2を中心に説明を続ける。
【0080】
駆動源38(図1参照)の回転に伴って現像ステーション2の攪拌パドル7a、7bおよび現像スリーブ10も回転を始め、これによって現像ステーション2に充填されたトナーとキャリアからなる現像剤6は現像ステーション2内を周回するとともに、トナーとキャリアの相互の摩擦によってトナーはマイナス電荷を付与される。
【0081】
エンジン制御CPU(図示せず)は駆動源38(図1参照)の回転を開始して所定時間経過後に、電源部43(図1参照)を制御して帯電器9をONにする。帯電器9によって感光体8の表面は例えば−700Vの電位に帯電される。感光体8は方向D3に回転しており、エンジン制御CPU(図示せず)は帯電領域が現像領域、即ち感光体8と現像スリーブ10の最近接位置に到達した後に、電源部43(図1参照)を制御して現像スリーブ10に例えば−400Vの現像バイアスを印加する。このとき感光体8の表面電位は−700Vであり、現像スリーブ10に印加された現像バイアスは−400Vであるから、電気力線は現像スリーブ10から感光体8の方向を向き、マイナス電荷を有するトナーに作用するクーロン力は感光体8から現像スリーブ10の方向となる。よってトナーは感光体8に付着することはない。
【0082】
既に述べたように電源部43(図1参照)には高圧電源の出力異常(例えばリークなど)をモニタする機能があり、エンジン制御CPU(図示せず)は帯電器9や現像スリーブ10に高電圧を印加した際の異常をチェックすることができる。
【0083】
これら一連の初期化動作の最後にエンジン制御CPU(図示せず)は、露光装置13の露光量補正を実行する。エンジン制御部42(図1参照)に搭載されたエンジン制御CPU(図示せず)はコントローラ41(図1参照)に対して露光量補正用のダミーイメージ情報の作成要求を出力する。この作成要求に基づきコントローラ41(図1参照)は露光量補正用のダミーイメージ情報を生成し、これに基づいて露光装置13を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子は初期化の時点で実際に点灯制御される。実施例1では、この点灯制御と同期して(具体的には図示しないエンジン制御CPUによる管理に基づいて)上述した露光装置13に設けられた露光量センサユニット(図示せず)で有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量を計測し、この露光量の検出結果に基づいて個々の有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量が略等しくなるように露光量の補正を行なっている。露光量の計測は上述したように画像形成装置1の感光体8や現像ステーション2Y〜2Kなどの作像に係るユニットが駆動している状態で実行される。これは感光体8の回転を停止した状態で露光量を計測すると感光体8の同一部分が継続的に露光され、いわゆる光暴露の状態となって感光体8の特性が局所的に劣化するためである。よって露光量の計測は少なくとも感光体8を回転駆動させると共に、感光体8へのトナー付着を防止するために帯電器9で感光体8を帯電させた状態で行なう必要がある。
【0084】
本発明に係る画像形成装置1は後に詳細に説明するように、発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)を設けた露光部としての露光装置13を有し、この露光装置13によって像担持体である感光体8を露光して画像形成を行なう画像形成装置であって、発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)の露光量を設定する露光量設定部(上述のコントローラ41に搭載されたコントローラCPU)と、発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)の露光量を計測する露光量計測部(上述の露光装置13に設けられた露光量センサユニット)を有し、露光量設定部(コントローラ41に搭載されたコントローラCPU)は、発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)の露光量を計測する際の発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)の露光量を、画像形成を行なう際の露光量よりも低く設定している。
【0085】
即ち本発明に係る画像形成装置1は、有機エレクトロルミネッセンス素子が出射する光の発光光量を設定する露光量設定部(コントローラCPU)を有し、この露光量設定部は、有機エレクトロルミネッセンス素子が出射する光の発光光量を計測する際の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光光量を、画像形成時の発光光量よりも低く設定して、前記感光体に潜像が形成されるのを抑制するのである。
【0086】
更に本発明に係る画像形成装置1は発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)を設けた露光部としての露光装置13と、この露光装置13によって潜像が形成される感光体8と、この感光体8に形成された潜像を現像して顕画化する現像部(現像ステーション2を構成する現像スリーブ10)を有しており、これも後に詳細に説明するように、発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)の露光量を設定する露光量設定部(コントローラ41に搭載されたコントローラCPU)と、発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)の露光量を計測する露光量計測部(上述の露光装置13に設けられた露光量センサユニット)を有し、露光量設定部(コントローラ41に搭載されたコントローラCPU)は、発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)の露光量を計測する際の発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)の露光量を、感光体8に形成された潜像が現像される露光量よりも低く設定し、結果的に感光体8に形成された潜像が現像部(現像ステーション2を構成する現像スリーブ10)によって現像されない露光量に設定している。
【0087】
更に、本発明に係る画像形成装置1においては、これも後に詳細に説明するように、露光部である露光装置13を、複数の微小な発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)を列状に形成した発光素子列で構成している。すなわち実施例1の露光装置13は、いわゆる固体露光素子から構成されている。
【0088】
これらによって画像形成装置1の初期化動作時において、露光装置13を構成する露光光源としての有機エレクトロルミネッセンス素子を発光させ、この露光量を計測することで露光量を補正しても感光体8にトナーは付着せずトナーを無駄に消費することはない。更に感光体8と接触回動する転写ローラ16にトナーが付着し、初期化動作に引き続いて行なわれる画像形成において、転写ローラ16に付着したトナーが記録紙3の裏面に付着して記録紙3を汚染することもなくなる。
【0089】
この露光量補正において有機エレクトロルミネッセンス素子を点灯することによって感光体8が露光された領域が現像スリーブ10に近接し、いわゆる現像領域を通過する際、即ち有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量を計測する計測期間に露光された感光体8の領域に対しては、現像スリーブ10に印加する現像バイアスはOFFにしておくことが望ましい。これによって更に効果的に感光体8へのトナー付着を防止することが可能となる。
【0090】
<画像形成動作>
次に画像形成装置1の画像形成時の動作について引き続き図1に図2を併用して説明する。
【0091】
コントローラ41に外部からイメージ情報が転送されると、コントローラ41はイメージ情報を印字可能な例えば2値画像データとしてイメージメモリ(図示せず)に展開する。イメージ情報の展開が完了するとコントローラ41に搭載されたコントローラCPU(図示せず)はエンジン制御部42に対して起動要求を発する。この起動要求はエンジン制御部42に搭載されたエンジン制御CPU(図示せず)によって受信され、起動要求を受信したエンジン制御CPU(図示せず)は直ちに駆動源38を回転させて画像形成の準備を開始する。
【0092】
この過程は電気的リソースに関するエラーチェックを除き、既に説明した<初期化動作>と同様であり、エンジン制御CPU(図示せず)はこの時点でも上述の露光量を計測することが可能である。ただし後述するように露光量の計測には10秒程度の時間を要することからファーストプリント時間(最初の一枚目を印字するのに要する時間)に影響を与える。従ってこの起動時の露光量補正は、図示しない操作パネルあるいは画像形成装置1の外部(例えばコンピュータ)からの指示、即ちユーザの指示を入力する指示入力部からの指示によってユーザが実行の有無を選択可能としている。
【0093】
上述した過程を経て画像形成の準備が完了すると、エンジン制御部42に搭載されたエンジン制御CPU(図示せず)は、電磁クラッチ(図示せず)を制御して給紙ローラ18を回転させ記録紙3の搬送を開始する。給紙ローラ18は例えば全周の一部を欠いた半月ローラであって、記録紙3をレジストローラ19の方向に搬送するとともに、一回転するとその回転を停止する。エンジン制御CPU(図示せず)は搬送された記録紙3の先端が記録紙通紙センサ21で検出すると、所定のディレイ期間を設けた上で電磁クラッチ(図示せず)を制御してレジストローラ19を回転させる。このレジストローラの回転に伴って記録紙3は記録紙搬送路5に供給される。
【0094】
エンジン制御CPU(図示せず)は、このレジストローラ19の回転を開始のタイミングを起点として、各露光装置13Y〜13Kによる静電潜像の書込みタイミングをそれぞれ独立に制御する。静電潜像の書込みタイミングは画像形成装置1における色ずれなどに直接的に影響するため、この書込みタイミングはエンジン制御CPU(図示せず)が直接発生させることはない。具体的にはエンジン制御CPU(図示せず)は、図示しないハードウェアであるタイマなどに各露光装置13による静電潜像の書込みタイミングを予め設定しておき、上述したレジストローラ19の回転を起点として各露光装置13Y〜13Kに対応するタイマの動作を同時に開始する。各タイマは予め設定された時間が経過すると、コントローラ41に対して画像データ転送要求を出力する。
【0095】
画像データ転送要求を受信したコントローラ41のコントローラCPU(図示せず)は、コントローラ41のタイミング生成部(図示せず)で生成されたタイミング信号(クロック信号、ライン同期信号など)に同期して2値画像データを各露光装置13Y〜13Kに独立して転送する。このようにして2値画像データが露光装置13Y〜13Kに送られ、この2値画像データに基づき露光装置13Y〜13Kを構成する有機エレクトロルミネッセンス素子の点灯/消灯が制御され各色に対応した感光体8Y〜8Kが露光される。
【0096】
露光によって形成された潜像は、図2に示すように現像スリーブ10上に供給された現像剤6に含まれるトナーによって顕画化される。顕画化された各色のトナー像は記録紙搬送路5を搬送されてきた記録紙3に順次転写される。4色のトナー像の転写を完了した記録紙3は定着器23に搬送され、定着器23を構成する過熱ローラ24と加圧ローラ25によって挟持搬送され、この熱と圧力によってトナー像は記録紙3に定着される。
【0097】
形成されるべき画像が複数ページの場合は、エンジン制御CPU(図示せず)は1ページ目の記録紙3の後端を記録紙通過検出センサ21で検出した後、レジストローラ19の回転を一旦停止し、所定の時間経過後に給紙ローラ18を回転させて次の記録紙3の搬送を開始し、更に所定時間経過後に再度レジストローラ19の回転を開始して、次のページの記録紙3を記録紙搬送路5に供給する。このようにレジストローラ19の回転ON/OFFのタイミング制御によって、複数のページにわたって画像を形成する場合に記録紙3の間の紙間を設定することができる。この紙間による時間(以降紙間時間と呼称する)は画像形成装置1の仕様によっても異なるが、一般に500ms程度を設定することが多い。もちろんこの紙間の期間には通常の画像形成動作(即ち露光装置13による感光体8に対する露光動作)が行われることはない。
【0098】
本発明に係る画像形成装置1は、このように複数ページの画像形成を行なう際に、各ページ間に相当する期間(紙間時間)、即ち非画像形成時において露光装置13を構成する発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)を発光させ、これと同期して露光量を計測するようにしている。この際の露光量は<初期化動作>で説明したように、通常の画像形成時よりも低く制御され、現像に寄与しない露光量が設定される。
【0099】
さて上述したように実施例1における紙間時間は500ms程度である。後に詳細に説明するが<初期化動作>の説明でも触れたように、実施例1では全ての有機エレクトロルミネッセンス素子に対して露光量を計測するのに必要な時間は約10秒程度であり、一回の紙間時間の中で全ての有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量を計測することはできない。よって実施例1では各ページ間に相当する期間に有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量を計測するに際し、露光装置13を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子のうち一部の有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量を計測するようにしている。
【0100】
紙間時間は500msであり、露光量の計測期間は10秒程度であることから、単純計算によれば、紙間が約20回発生すれば露光装置13を構成する全ての有機エレクトロルミネッセンス素子の露光量を計測できることになる。もちろん一連の印刷ジョブにおけるページ数はそれ以下であることも多いが、このような場合は印刷ジョブが完了した後に(画像形成装置1が印字指令待ちの待機状態に移行する際に)露光量を計測するようにしてもよい。
【0101】
図3は本発明の実施例1の画像形成装置1における露光装置13の構成図である。
【0102】
以降露光装置13の構造について図3を用いて詳細に説明する。図3において50は無色透明なガラス基板である。実施例1ではガラス基板50としてコスト的に有利なホウケイ酸ガラスを用いているが、発光素子やガラス基板50上に薄膜トランジスタにより形成される制御回路、駆動回路などの発熱をより効率的に放熱する必要がある場合にはMgO、Al23、CaO、ZnOなどの熱伝導度加成因子を含有するガラス、または石英を用いてもよい。
【0103】
ガラス基板50の面Aには発光素子として有機エレクトロルミネッセンス素子が図面と垂直な方向(主走査方向)に600dpi(dot per inch)の解像度で形成されている。51はプラスティックまたはガラスで構成される棒レンズ(図示せず)を列状に配置したレンズアレイであり、ガラス基板50の面Aに形成された有機エレクトロルミネッセンス素子の出射光を正立等倍の像として感光体8の表面に導く。レンズアレイ51の一方の焦点はガラス基板50の面Aであり、もう一方の焦点は感光体8の表面となるようにガラス基板50、レンズアレイ51、感光体8の位置関係が調整されている。即ち面Aからレンズアレイ51の近い方の面までの距離L1と、レンズアレイ51の他方の面と感光体8の表面までの距離L2とするとき、L1=L2となるように設定される。
【0104】
52は例えばガラスエポキシ基板の上に電子回路を構成した中継基板である。53aはコネクタA、53bはコネクタBであり、中継基板52には少なくともコネクタA53
aおよびコネクタB53bが実装されている。中継基板52は例えばフレキシブルフラ
ットケーブルなどのケーブル56によって露光装置13に外部から供給される画像データや露光量補正データ、およびその他の制御信号をコネクタB53bを介して一旦中継し
、これらの信号をガラス基板50に渡す。
【0105】
ガラス基板50の表面にコネクタを直接実装することは接合強度や多様な環境における信頼性を考慮すると困難であるため、実施例1では中継基板52のコネクタA53aとガラス基板50との接続手段としてFPC(フレキシブルプリント回路)を採用し(図示せず)、ガラス基板50とFPCの接合は例えばACF(異方性導電フィルム)を用いて、予めガラス基板50上に形成された例えばITO(錫ドープ酸化インジウム)電極に直接接続する構成としている。
【0106】
一方コネクタB53bは、露光装置13を外部と接続するためのコネクタである。一
般的にACFなどによる接続は接合強度が問題となる場合が多いが、このように中継基板52上にユーザが露光装置13を接続するためのコネクタB53bを設けることで、ユ
ーザが直接アクセスするインタフェースに十分な強度を確保することができる。
【0107】
54aは筐体Aであり金属板を例えば折り曲げ加工により成型したものである。筐体A54aの感光体8に対向する側にはL字状部位55が形成されており、L字状部位55
に沿ってガラス基板50およびレンズアレイ51が配設されている。筐体A54aの感
光体8側の端面とレンズアレイ51の端面を同一面に合わせ、更に筐体A54aによっ
てガラス基板50の一端部を支持する構造とすることで、L字状部位55の成型精度を確保すれば、ガラス基板50とレンズアレイ51の成す位置関係を精度よく合わせ込むことが可能となる。このように筐体A54aは寸法精度を要求されるため、金属にて構成す
ることが望ましい。また筐体A54aを金属製とすることで、ガラス基板50上に形成
される制御回路およびガラス基板50上に表面実装されるICチップなどの電子部品へのノイズの影響を抑制することが可能である。
【0108】
54bは樹脂を成型して得られる筐体Bである。筐体B54bのコネクタB53bの近傍には切欠き部(図示せず)が設けられており、ユーザはこの切欠き部からコネクタB53bにアクセスが可能となっている。コネクタB53bに接続されたケーブル56を介して既に説明したコントローラ41(図1参照)から露光装置13に画像データ、露光量補正データ、クロック信号やライン同期信号などの制御信号、制御回路の駆動電源、発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動電源などが供給される。
【0109】
図4(a)は本発明の実施例1の画像形成装置1における露光装置13に係るガラス基板50の上面図であり、図4(b)は同要部拡大図である。
【0110】
以降図4に図3を併用して実施例1におけるガラス基板50の構成について詳細に説明する。
【0111】
図4においてガラス基板50は厚みが約0.7mmの、少なくとも長辺と短辺を有する長方形形状の基板であり、その長辺方向(主走査方向)には発光素子である複数の有機エレクトロルミネッセンス素子63が列状に形成されている。実施例1ではガラス基板50の長辺方向には少なくともA4サイズ(210mm)の露光に必要な有機エレクトロルミネッセンス素子63が配置され、ガラス基板50の長辺方向は後述する駆動制御部58の配置スペースを含め250mmとしている。また実施例1では簡単のためにガラス基板50を長方形として説明するが、ガラス基板50を筐体A54aに取り付ける際の位置決
め用などのために、ガラス基板50の一部に切り欠きを設けるような変形を伴っていてもよい。
【0112】
58はガラス基板50の外部から供給される2値画像データ、露光量補正データおよびクロック信号やライン同期信号などの制御信号を受け取り、これらの信号に基づいて有機エレクトロルミネッセンス素子63の駆動を制御する駆動制御部であり、これらの信号をガラス基板50の外部から受け取るインタフェース部とインタフェース部を介して受け取った制御信号に基づき有機エレクトロルミネッセンス素子63の駆動を制御するICチップ(ソースドライバ61)を含んでいる。
【0113】
60は中継基板52のコネクタA53aとガラス基板50とを接続するインタフェー
ス部としてのFPC(フレキシブルプリント回路)であり、コネクタなどを介さずガラス基板50に設けられた図示しない回路パターンに直接接続されている。既に説明したように露光装置13に外部から供給された、2値画像データ、露光量補正データおよびクロック信号やライン同期信号などの制御信号、制御回路の駆動電源、発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子63の駆動電源は、図3に示す中継基板52を一旦経由した後にFPC60を介してガラス基板50に供給される。
【0114】
63は有機エレクトロルミネッセンス素子であり、露光装置13における露光光源である。実施例1では有機エレクトロルミネッセンス素子63は主走査方向に600dpiの解像度で5120個が列状に形成されており、個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63はそれぞれ独立に後述のTFT回路によって点灯/消灯を制御される。
【0115】
61は有機エレクトロルミネッセンス素子63の駆動を制御するICチップとして供給されるソースドライバであり、ガラス基板50上にフリップチップ実装されている。ガラス面へ表面実装を行なうことを考慮しソースドライバ61はベアチップ品を採用している。ソースドライバ61には露光装置13の外部からFPC60を介して電源、クロック信号、ライン同期信号などの制御関連信号および8bitの露光量補正データが供給される。ソースドライバ61は有機エレクトロルミネッセンス素子63に対する駆動電流、即ち駆動パラメータ設定部である。より具体的には、有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量補正部であり露光量設定部でもある、コントローラ41(図1参照)に搭載されたコントローラCPU(図示せず)によって生成された露光量補正データに基づいて、ソースドライバ61は個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63を駆動するための駆動電流を設定する。露光量補正データに基づくソースドライバ61の動作については後に詳細に説明する。
【0116】
ガラス基板50においてFPC60の接合部とソースドライバ61は、例えば表面にメタルを形成したITOの回路パターン(図示せず)を介して接続されており、駆動電流、即ち駆動パラメータ設定部たるソースドライバ61にはFPC60を介して露光量補正データ、クロック信号、ライン同期信号などの制御信号が入力される。このようにインタフェース部としてのFPC60および駆動パラメータ設定部としてのソースドライバ61は駆動制御部58を構成している。
【0117】
62はガラス基板50上に形成されたTFT(Thin Film Transistor)回路である。TFT回路62はシフトレジスタ、データラッチ部など、有機エレクトロルミネッセンス素子63の点灯/消灯のタイミングを制御するゲートコントローラ(図示せず)、および個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63に駆動電流を供給する駆動回路(図示せず、以降ピクセル回路と呼称する。)を含んでいる。ピクセル回路は各有機エレクトロルミネッセンス素子63に対して1つずつ設けられ、有機エレクトロルミネッセンス素子63が形成する発光素子列と並列に設けられている。駆動パラメータ設定部であるソースドライバ61によって、個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63を駆動するための駆動電流値がこのピクセル回路に設定される。
【0118】
TFT回路62を構成するゲートコントローラ(図示せず)には露光装置13の外部からFPC60を介して電源、クロック信号、ライン同期信号などの制御信号および2値画像データが供給され、ゲートコントローラ(図示せず)はこれらの電源および信号に基づいて個々の発光素子の点灯/消灯タイミングを制御する。ゲートコントローラおよびピクセル回路(ともに図示せず)の動作については後に図面を用いて詳細に説明する。
【0119】
64は封止ガラスである。有機エレクトロルミネッセンス素子63は水分の影響を受けると発光領域の経時的な収縮(シュリンキング)や、発光領域内に非発光部位(ダークスポット)が生じるなどして発光特性が極端に劣化するため、水分を遮断するための封止が必要である。実施例1ではガラス基板50に接着剤を介して封止ガラス64を貼り付けるベタ封止法を採用しているが、封止領域は一般に有機エレクトロルミネッセンス素子63が構成する発光素子列から副走査方向に2000μm程度が必要とされており、実施例1でも封止しろとして2000μmを確保している。
【0120】
57はアモルファスシリコンなどで構成される複数のフィルム状の露光量センサをガラス基板50の端面に沿って主走査方向に配置した露光量検出部としての露光量センサユニットであり、59は少なくとも増幅回路およびアナログ−ディジタル変換回路を含む処理回路である。この露光量センサユニット57によって個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量が計測される。計測に際しては原則的には有機エレクトロルミネッセンス素子63を一つ一つ個別に点灯して露光量を計測する必要があるが、計測の対象となる有機エレクトロルミネッセンス素子63から十分に離間した露光量センサには、その発光の影響が殆どない(有機エレクトロルミネッセンス素子63からの出射光が減衰してしまう)ことから、実施例1では露光量センサユニット57を複数の露光量センサで構成することで複数の有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を同時に計測することを可能としている。
【0121】
複数の露光量センサの出力は図示しない配線によって処理回路59に入力される。処理回路59はアナログ/ディジタル混載のICチップである。露光量センサユニット57を構成する個々の露光量センサの出力は、処理回路59において電荷蓄積法による電圧変換を施され、更に所定の増幅率で増幅された後にアナログ−ディジタル変換され、このディジタル変換後のディジタルデータ(以降、露光量計測データと呼称する)が、FPC60、中継基板52、ケーブル56(ともに図3参照)を介して露光装置33の外部に出力される。後に詳細に説明するように露光量計測データはコントローラ41(図1参照)に搭載されたコントローラCPU(図示せず)にて受信、処理されて8bitの露光量補正データが生成される。
【0122】
図5は本発明の実施例1の画像形成装置1におけるコントローラ41の構成を示すブロック構成図である。
【0123】
以降図5を用いてコントローラ41の動作を説明するとともに、露光量補正について更に詳細に説明する。
【0124】
図5において80はコンピュータである。コンピュータ80はネットワーク81に接続され、ネットワーク81を経由してコントローラ41にイメージ情報や印字枚数や印字モード(例えばカラー/モノクロ)などのプリントジョブ情報を転送する。82はネットワークインタフェースである。コントローラ41はネットワークインタフェース82を介してコンピュータ80から転送されたイメージ情報やプリントジョブ情報を受信し、イメージ情報を印字可能な2値画像データに展開するとともに、逆に画像形成装置側で検出されたエラー情報などをいわゆるステータス情報としてネットワーク81経由でコンピュータ80に送信する。
【0125】
83はコントローラCPUであり、ROM84に格納されたプログラムに基づきコントローラ80の動作を制御する。85はRAMでありコントローラCPU83のワークエリアとして使用されるとともに、ネットワークインタフェース82を介して受信したイメージ情報やプリントジョブ情報などが一時的に記憶される。
【0126】
86は画像処理部である。画像処理部86ではコンピュータ80から転送されたイメージ情報とプリントジョブ情報に基づき、ページ単位に画像処理(例えばプリンタ言語に基づくイメージ展開処理、色補正、エッジ補正、スクリーン生成など)を行って印字可能な2値画像データを生成し、これをページ単位にイメージメモリ65に格納する。
【0127】
66は例えばEEPROMなど書き換え可能な不揮発性メモリによって構成された露光量補正データメモリである。
【0128】
図6は本発明の実施例1の画像形成装置1における露光量補正データメモリの内容を示す説明図である。
【0129】
以降図6を用いて露光量補正データメモリにおけるデータ構造およびデータの内容について説明する。
【0130】
図6に示すように露光量補正データメモリ66は第1エリアから第3エリアの三つの領域を有している。それぞれの領域は露光装置13(図3参照)を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子63(図4参照)の個数と等しい5120個の8bitのデータを含み、合計15360バイトを占有している。
【0131】
まず第1エリアに格納されているデータDD[0]〜DD[5119]について図6に図3と図4を併用して説明する。
【0132】
既に説明した露光装置13(図3参照)は、その製造工程において露光装置13を構成する個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63(図4参照)の露光量を調整する工程を含んでいる。この工程において露光装置13は所定の治具(図示せず)に取り付けられ、露光装置13の外部から供給される制御信号に基づいて、有機エレクトロルミネッセンス素子63が個別に点灯制御される。
【0133】
更に治具(図示せず)に設けられたCCDカメラによって、感光体8(図3参照)の像面位置における個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63の二次元の露光量分布が計測される。治具(図示せず)はこの露光量分布に基づき感光体8上に形成される潜像の電位分布を計算し、更に実際の現像条件(現像バイアス値)に基づいてトナー付着量との相関が高い潜像断面積を計算する。治具(図示せず)では有機エレクトロルミネッセンス素子63を駆動するための駆動電流値を変化させ{既に説明したようにソースドライバ61(図4参照)を介してTFT回路62(図4参照)を構成するピクセル回路にアナログ値をプログラムすることで有機エレクトロルミネッセンス素子63を駆動する電流値を設定することができる。}個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63によって形成される潜像断面積のどれもが略等しくなるような駆動電流値、即ちピクセル回路への設定値(制御する観点からはソースドライバ61への設定データ)を抽出する。
【0134】
さて有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光面積および発光面内における発光光量分布が等しく、かつ通常の現像条件を想定した場合、上述の潜像断面積は露光量とほぼ比例する。更に「露光時間を一定としたときの発光光量」と「露光量」は同義であり、また一般的に有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光光量と駆動電流値(即ちピクセル回路への設定値)は比例するから、全てのピクセル回路への駆動電流設定を同一とした上で個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光光量を一度計測することで、各有機エレクトロルミネッセンス素子63による潜像断面積を一定にするピクセル回路への設定値(前述のごとくソースドライバ61への設定データ)を計算によって求めることも可能である。
【0135】
露光量補正データメモリ66の第1エリアには、このようにして求めたソースドライバ61への設定データが格納されている。その個数は前述のごとく露光装置13を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子63の個数と等しい(即ちピクセル回路の個数とも等しい)5120個である。このように露光量補正データメモリ66の第1エリアには「初期状態において個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63によって形成される潜像断面積を等しくするためのソースドライバ61の設定値」が格納されている。
【0136】
次に第2エリアに格納されているデータID[0]〜ID[5119]について図6に図3と図4を併用して説明する。
【0137】
治具は第1エリアに格納されるデータを取得するとの同時に、露光装置13の処理回路59(図4参照)を介して露光量センサユニット57(図4参照)の出力に基づく8bitの露光量計測データを取得する。これによって「初期状態において個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63によって形成される潜像断面積を等しくした際の露光量計測データ」を取得できる。第2エリアにはこの8bitの露光量計測データID[n]が格納されている。
【0138】
さて治具によってID[n]を取得する際の有機エレクトロルミネッセンス素子63の駆動条件は、露光量計測時と同等にしておく必要があり、実施例1では後述するように画像形成装置1の1ライン期間(ラスタ期間)である350μsを複数回適用して総計約30msの点灯期間を付与している。
【0139】
このようにして露光装置13の製造工程において第1エリアおよび第2エリアに格納されるデータが取得され、これらのデータは図示しない電気的な通信手段によって治具から露光量補正データメモリ66に書き込まれる。
【0140】
次に第3エリアに格納されているデータND[0]〜ND[5119]について図6に図3と図4および図5を併用して説明する。
【0141】
本発明の実施例1に係る画像形成装置1は、露光量計測部としての露光量センサユニット57による計測結果に基づき、有機エレクトロルミネッセンス素子63の各々の露光量を略等しく補正する露光量補正部{コントローラCPU83(図5参照)}を有し、この露光量補正部の出力に基づいて、露光量設定部(同じくコントローラCPU83)は画像形成を行なう際の各有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を設定する。第3エリアには光量補正部たるコントローラCPU83によって画像形成を行なう際の各有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量の設定値、即ち露光量補正データが書き込まれる。
【0142】
実施例1の画像形成装置1では、画像形成装置1の初期化動作、画像形成動作の起動時、紙間、画像形成動作の完了時などにおいて、露光装置13を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を計測することは既に述べたとおりである。コントローラCPU83はこれらの時点で計測された露光量計測データと、露光装置13の製造工程において第1エリアに格納された「初期状態において個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63によって形成される潜像断面積を等しくするためのソースドライバ61の設定値」と、同じく露光装置13の製造工程において第2エリアに格納された「初期状態において個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63によって形成される潜像断面積を等しくした際の露光量計測データ」とに基づいて露光量補正データを生成する。
【0143】
以降コントローラCPU83による露光量補正データの計算内容について説明するが、本発明のポイントを明確にするため、まず露光量計測時の露光量を画像形成時と等しくしたと想定して説明する。
【0144】
第1エリアに格納された「初期状態において個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63によって形成される潜像断面積を等しくするためのソースドライバ61の設定値」をDD[n](nは主走査方向における個々の有機エレクトロルミネッセンス素子番号、以下同じ)、第2エリアに格納された「初期状態において個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63によって形成される潜像断面積を等しくした際の露光量計測データ」をID[n]、初期化動作などにおいて新たに計測された露光量計測データをPD[n]とするとき、第3のエリアに書き込まれる新たな露光量補正データND[n]は(数1)に基づきコントローラCPU83によって生成される。
【0145】
【数1】

【0146】
さて(数1)に示す計算式は露光量補正データ算出にあたっての原則的な計算式であり、上述のごとく画像形成時と露光量計測時の露光量が等しい場合に適用されるべきものである。実施例1では露光量補正に係る光量計測の際の有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を画像形成の際の露光量よりも小さく設定する。これを実現するためには露光量の計測をする際は、露光装置13に送出する露光量補正データとしてDD[n]に1より小さい定数kを乗じ、これに基づいて有機エレクトロルミネッセンス素子63を点灯させればよい。例えばkを0.5し、これを乗じた露光量補正データDD[n]を前述したようにソースドライバ61(図4参照)を介して図示しないピクセル回路にプログラムすることで、有機エレクトロルミネッセンス素子63を、画像形成時と比較して0.5倍の光量(単位はcd/m2)で発光させることができる。そしてこのときの新たな露光量補正データND[n]は(数2)に基づいて生成すればよい。
【0147】
【数2】

【0148】
このようにして生成された露光量補正データND[n]は一旦露光量補正データメモリ66(図5参照)のエリア3に書き込まれる。以降画像形成に先立って露光量補正データND[n]は露光量補正データメモリ66からイメージメモリ65(図5参照)の所定の領域にコピーされる。画像を形成するにあたってイメージメモリ65にコピーされた露光量補正データND[n]は、2値画像データとともに後述するバッファメモリ88(図5参照)に一時的に蓄積され、プリンタインタフェース87(図5参照)を介してエンジン露光量計測データは前述した処理回路59(図4参照)において電荷蓄積法による電圧変換を施される。電荷蓄積法はSN比を向上させるために有効であるが、露光量センサユニット57(図4参照)を構成する露光量センサの出力(電流値)は微小であるため、電荷蓄積にはある程度の蓄積時間を必要とする。実施例1では蓄積時間を30ms程度とすることで露光量計測におけるSN比=48dBを確保している。しかし蓄積時間を30msとすると露光量の計測には長時間を要する。5120個の有機エレクトロルミネッセンス素子63(図4参照)に対して一つずつ露光量を計測すると5120×30ms=154秒となってしまい、実用に耐えられるものではない。よって実施例1では露光量センサユニット57を構成する露光量センサを32枚のフィルム状のアモルファスセンサとし、これを偶奇の2群に分け群単位(即ち16枚の露光量センサ)で同時に電荷蓄積を行ない、電荷蓄積後の露光量センサの端子電圧を計測することで、隣接する露光量センサ間のクロストークを抑えた上で処理の高速化を実現している。これによって露光量の計測は154/16=9.6秒で行なうことが可能となった。露光量センサユニット57の構成については後に詳細に説明する。
【0149】
以降図5に戻って説明を続ける。
【0150】
88はバッファメモリであり、イメージメモリ65に格納された2値画像データおよび前述の露光量補正データは、エンジン制御部42への転送にあたって一旦バッファメモリ88に蓄積される。バッファメモリ88はイメージメモリ65からバッファメモリ88への転送速度と、バッファメモリ88からエンジン制御部42へのデータ転送速度の差を吸収するため、いわゆるデュアルポートRAMによって構成されている。
【0151】
87はプリンタインタフェースである。イメージメモリ65に格納されたページ単位の2値画像データおよび露光量補正データは、タイミング生成部67が生成するクロック信号やライン同期信号と同期してプリンタインタフェース87を介してエンジン制御部42に転送される。
【0152】
図7は本発明の実施例1の画像形成装置1におけるエンジン制御部42の構成を示すブロック構成図である。
【0153】
以降図7に図1を併用してエンジン制御部42の動作を詳細に説明する。
【0154】
図7において90はコントローラインタフェースである。コントローラインタフェース90は、コントローラ41から転送される露光量補正データ、ページ単位の2値画像データなどを受信する。
【0155】
91はエンジン制御CPUであり、ROM92に格納されたプログラムに基づき画像形成装置1における画像形成動作を制御している。93はRAMでありエンジン制御CPU91が動作する際のワークエリアとして使用される。94はEEPROMなどのいわゆる書き換え可能な不揮発性メモリである。不揮発性メモリ94には例えば画像形成装置1の感光体8の回転時間、定着器23(図1参照)の動作時間など、構成要素の寿命に関する情報が格納されている。
【0156】
95はシリアルインタフェースである。記録紙通過検出センサ21(図1参照)や記録紙後端検出センサ28(図1参照)などのセンサ群からの情報や電源監視部44(図1参照)の出力は、図示しないシリアル変換部によって所定の周期のシリアル信号に変換され、シリアルインタフェース95で受信される。シリアルインタフェース95で受信されたシリアル信号はパラレル信号に変換された後にバス99を介してエンジン制御CPU91に読取られる。
【0157】
一方給紙ローラ18や駆動源38(ともに図1参照)の起動・停止、給紙ローラ18(図1参照)に対する駆動力伝達を制御する電磁クラッチ(図示せず)などのアクチュエータ群96に対する制御信号や、現像バイアス、転写バイアス、帯電電位などの電位設定を管理する高圧電源制御部97に対する制御信号などは、パラレル信号としてシリアルインタフェース95に送られる。シリアルインタフェース95ではパラレル信号をシリアル信号に変換してアクチュエータ群96、高圧電源制御部97に出力する。このように実施例1では高速に検出する必要のないセンサ入力やアクチュエータ制御信号の出力は全てシリアルインタフェース95を介して行っている。一方ある程度の高速性が要求される例えばレジストローラ19を駆動/停止させるための制御信号はエンジン制御CPU42の出力端子に直接接続されている。
【0158】
98はシリアルインタフェース95に接続された操作パネルである。ユーザが操作パネル98に対して行なった指示はシリアルインタフェース95を介してエンジン制御CPU91によって認識される。実施例1ではユーザの指示を入力する指示入力部としての操作パネルを有し、この操作パネルへの入力に基づいて、露光装置13を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を計測し、露光量を補正するようにしている。この指示は外部のコンピュータなどからコントローラ41を経由して与えることももちろん可能である。具体的な使用態様としては、例えば大量の印字を行なった際にユーザが印字面に濃度ムラを発見したような場合に、ユーザが露光量の補正を強制的に行なって画質確保を図るような場合が想定される。画像形成装置1が待機中であればユーザはいつでも強制的な露光量補正の実行を指示することが可能であるし、画像形成時であっても画像形成装置1をオフラインに遷移させ画像形成を一時的に保留することで、ユーザは露光量補正の実行を指示することができる。このようにユーザが強制的な露光量補正を行なうような事態に対しては、早急な対処が望まれるため、例えば上述のオフライン状態などの非画像形成時に、全ての有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光光量を計測するようにしている。
【0159】
いずれにしても指示部としての操作パネル98などから露光量の補正要求が入力されると、エンジン制御CPU91は<初期化動作>で説明したように、画像形成装置1の構成要素の駆動を開始し、コントローラ41に対して露光量補正用のダミーイメージ情報の作成要求を出力する。この要求に基づきコントローラ41に搭載されたコントローラCPU83は露光量補正用のダミーイメージ情報を生成し、これに基づいて露光装置13を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子63は点灯制御される。このときに上述した露光装置13に設けられた露光量センサユニット57で、個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を検出し、この露光量の検出結果に基づいて個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量が略等しくなるように露光量の補正を行なう。
【0160】
次に有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を計測する際の動作について、図7に図1、図5および図6を併用して詳細に説明する。
【0161】
既に述べたように露光量の補正は画像形成装置1の起動直後の初期化動作、印字開始前、紙間、印字開始後、操作パネル98などによるユーザ指定時のタイミングで行なわれるが、簡単のために画像形成装置1の初期化動作時点で露光量の計測を実行する場合について説明する。また実施例1の画像形成装置1はフルカラー画像を形成可能に構成されたものであり、既に説明したように4色に対応した露光装置13Y〜13K(図1参照)を有しているが、これも簡単のために1色に対する動作のみを説明し、露光装置13のように記載する。また以下に示す状況において例えば駆動源38(図1参照)や現像ステーション2(図2参照)などは、<初期化動作>にて既に詳細を示したように既に起動されているものとする。
【0162】
画像形成装置1において画像形成動作を管理しているのはエンジン制御部42であり、露光量の計測を含む露光量の補正シーケンスはエンジン制御部42のエンジン制御CPU91によって起動される。まずエンジン制御CPU91はコントローラ41に対して、画像形成に係る正規の2値画像データとは異なるダミーイメージ情報の作成要求を出力する。
【0163】
エンジン制御部42とコントローラ41は双方向のシリアルインタフェース(図示せず)で接続されており、リクエストコマンド(要求)およびこれに対するアクノリッジ(応答情報)を相互にやり取りすることができる。エンジン制御CPU91が発するダミーイメージ情報の作成要求は、この双方向のシリアルインタフェース(図示せず)を用いてバス99を経由しコントローラインタフェース90からコントローラ41に出力される。
【0164】
この要求に基づいてコントローラ41に搭載されたコントローラCPU83はダミーイメージ情報、即ち露光量の計測に用いる2値画像データをイメージメモリ65に直接的に作成する。更にコントローラCPU83は露光量補正データメモリ66の第1エリア(図6参照)に格納された「初期状態において個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63によって形成される潜像断面積を等しくするためのソースドライバ61の設定値」DD[n](n:0〜5119)を読出し、これに1より小さい定数k(例えば0.5)を乗じて、有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を通常の画像形成時よりも低く設定する。そしてこの値をイメージメモリ65の所定領域に書き込む。これらの処理を完了するとコントローラCPU83はプリンタインタフェース87を介して応答情報をエンジン制御部42に出力する。
【0165】
露光量を計測する際における有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を設定する上記定数kの値は、0.5(即ち露光量を計測する際の露光量を画像形成時の1/2にする)に限られるものではない。本発明の目的は露光量を計測する際に有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光によって感光体8が露光され、それが顕画化されることによる不具合を解消するものであるから、この目的が達せられるのであれば、定数kの値はどのような値を設定してもよい。定数kを小さくするほど有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光光量は小さくなり、従って感光体8上に形成される潜像の電位ポテンシャルも小さくなる。よって現像されにくい状態となる。しかしながら露光量検出センサユニット57で検出される値も小さくなるため、露光量を計測する際のSN比の観点では不利となる。実際の適用にあたって定数kの値は、「現像されにくさ」と、「露光量を計測する際のSN比」を考慮しながら決定する必要がある。
【0166】
また定数kの値は画像形成装置1の置かれる環境や状況に応じて変化させることが望ましい。特に電子写真方式を応用した画像形成装置1は環境(温度、湿度)、感光体8の経時劣化などによって現像特性は変化するため、例えば温湿度センサ(図示せず)や既に述べた不揮発性メモリ94に格納された寿命に関する情報に基づいてkの値を変化させることが望ましい。また既に説明した処理回路59(図4参照)による電荷蓄積時間を延長することによって実質的に計測時のSN比の改善を図ることが可能であるから、例えば画像形成装置1の機内温度の上昇が少なく、紙間において露光量の計測対象となる有機エレクトロルミネッセンス素子63の数を少なくできる場合は、定数kをより小さく設定できることとなり定数kの選択の幅が拡大する。
【0167】
さて上述の応答情報を受信したエンジン制御部42のエンジン制御CPU91は、直ちに露光装置13に対して書込みタイミングを設定する。即ちエンジン制御CPU91は図示しないハードウェアであるタイマなどに露光装置13による静電潜像の書込みタイミングを設定し、応答情報を受信したら直ちにタイマの動作を開始する(この機能はもともと複数の露光装置13の色毎の起動タイミングを定めるためのものである。露光量の計測においてはこのような厳密なタイミング設定は不要であり、例えばタイマに0を設定してもよい)。各タイマは予め設定された時間が経過すると、コントローラ41に対して画像データ転送要求を出力する。画像データ転送要求を受信したコントローラ41はコントローラインタフェース90を介してタイミング生成部67で生成されたタイミング信号(クロック信号、ライン同期信号など)に同期して2値画像データを露光装置13に転送する。これと同時に既にイメージメモリ65に書き込まれた「通常の画像形成時よりも低く設定された露光量の設定値」も上述のタイミング信号に同期して露光装置13に転送される。なお露光量計測時ではなく通常の画像形成時は、「通常の画像形成時よりも低く設定された露光量の設定値」の代わりに露光量補正データ(既に説明したND[n])が同じ転送経路によって露光装置13に供給されることになる。
【0168】
このようにタイミング信号に同期して転送された2値画像データは露光装置13のTFT回路62に入力され、同時に露光量の設定値は露光装置13のソースドライバ61に入力される。露光装置13では入力された2値画像データ、即ちON/OFF情報に基づいて該当する有機エレクトロルミネッセンス素子63の点灯と消灯が制御される。そしてこのときの有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量は、露光量の設定値に基づくものとなり通常の画像形成時に対する露光量より低い光量で発光する。そしてこのときの個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量は露光量センサユニット57を構成する露光量センサで計測される。
【0169】
図8は本発明の実施例1の画像形成装置1における有機エレクトロルミネッセンス素子63と露光量センサユニット57を構成する露光量センサの位置関係を示す説明図である。
【0170】
図8において100a〜100eは露光量センサである。以降露光量センサユニット57による露光量の計測過程について説明する。なお露光量センサをまとめて示す場合は露光量センサ100と表記するものとする。
【0171】
実施例1における有機エレクトロルミネッセンス素子63は一辺が約40μmの多角形あるいは略円形形状を呈するものであり、これが600dpiの解像度即ち42.3μmピッチでガラス基板50上に列状に配置され発光素子列を構成している。また露光量センサユニット57はそれぞれ約6.5mmの幅を有する露光量センサ100を32枚列状に配置したもので、有機エレクトロルミネッセンス素子63が構成する列と並列にガラス基板50の端面に接着、配置されている。また発光素子列と露光量センサユニット57の間隔は図4を用いて説明したように封止しろの必要性から2mmとしている。
【0172】
図8に示すように露光量センサユニット57は露光量センサ100a、同100b、同100c・・・からなるA群と、100d、100e・・・からなるB群によって構成されている。そしてA群の露光量センサ100a、100b、100cによって有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を計測する時点では、B群の露光量センサ100d、100eはTFTにより構成された図示しないスイッチング回路によって処理回路59(図7参照)との接続を絶たれ、露光量を計測しないように制御されている。なお、この制御も、上述したタイミング信号(図7参照)に基づいて行なわれており、処理の起動を行なうエンジン制御部42のエンジン制御CPU91によって間接的に管理されていることになる。
【0173】
このA群とB群は交互に計測を行なうようにし、かつ1つの群によって露光量の計測を行なう際は、該当する群の露光量センサ100は全て一斉に露光量を計測する。この際例えばP1の位置に形成された有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量は露光量センサ100aで、P2の位置に形成された有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量は露光量センサ100bで、P3の位置に形成された有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量は露光量センサ100cで計測される。P1、P2、P3・・・といった特定の位置の有機エレクトロルミネッセンス素子63を発光させるために、コントローラ41(図5参照)にて当該位置の有機エレクトロルミネッセンス素子63に対応するダミーイメージ情報が生成される。
【0174】
さてP1、P2、P3はともにB群を構成する露光量センサ100がこれらの間に配置されているため、P1とP2、P2とP3の間には十分大きな間隔を設けることができる。このようにすることでP1の位置の有機エレクトロルミネッセンス素子63の出射光が露光量センサ100b、100cなどに到達して検出される、いわゆる光学的なクロストークを十分に小さくすることができる。
【0175】
このように露光量の計測にあたっては発光する有機エレクトロルミネッセンス素子63の位置は離散的になる。電子写真方式においては面積的に連続(特に主走査方向)する潜像領域は現像されやすいが、微小な潜像が孤立して存在する場合は電気力線の作用が小さく現像されにくいという特性を有している。実施例1ではこのように潜像の配置にも工夫することで、露光量計測時の感光体8へのトナーの付着を極力防止するようにしている。
【0176】
以降図7に戻って説明を続ける。
【0177】
以上述べたようにして有機エレクトロルミネッセンス素子63の点灯が制御され、その露光量が露光量センサユニット57によって計測される。露光量センサユニット57の出力(アナログ電流値)は処理回路59において電荷蓄積法によって電圧に変換され、所定の増幅率で増幅された後、アナログ−ディジタル変換を施されて8bitの露光量計測データ(ディジタルデータ)として処理回路59から出力される。
【0178】
処理回路59から出力された露光量計測データはコントローラインタフェース90を経由してエンジン制御部42からコントローラ41に転送され、コントローラ41のコントローラCPU83によって受信される。コントローラCPU83では、図5、図6を用いて説明したように、これを(数2)のPD[n]として光量補正データND[n]を生成する。
【0179】
図9は本発明の実施例1の画像形成装置1における露光装置13の回路図である。
【0180】
以降図9を用いてTFT回路62およびソースドライバ61による点灯制御についてより詳細に説明する。
【0181】
TFT回路62はピクセル回路69とゲートコントローラ68とに大別されている。ピクセル回路69は個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63に対して一つずつ設けられており、有機エレクトロルミネッセンス素子63のM画素分を一つのグループとしてガラス基板50上にNグループ設けられている。
【0182】
実施例1においては一つのグループを8画素(即ちM=8)とし、このグループを640個としている。従って全画素数は8×640=5120画素となる。各ピクセル回路69は有機エレクトロルミネッセンス素子63に電流を供給して駆動するドライバ部70と、有機エレクトロルミネッセンス素子63を点灯制御するにあたってドライバが供給する電流値(即ち有機エレクトロルミネッセンス素子63の駆動電流値)を内部に含むコンデンサに記憶させる、いわゆる電流プログラム部71を有しており、予め所定のタイミングでプログラムされた駆動電流値に従って有機エレクトロルミネッセンス素子63を定電流駆動することができる。
【0183】
ゲートコントローラ68は入力された2値画像データを順次シフトするシフトレジスタと、シフトレジスタと並列に設けられシフトレジスタに所定の画素数の入力が完了した後にこれらを一括して保持するラッチ部と、これらの動作タイミングを制御する制御部からなる(共に図示せず)。ゲートコントローラ68はコントローラ41から2値画像データ(画像形成時はコントローラ41によって変換されたイメージ情報、露光量計測時はコントローラ41によって変換されたダミーイメージ情報)を渡され、この2値画像データ即ちON/OFF情報に基づいてSCAN_AおよびSCAN_B信号を出力し、これによってピクセル回路69に接続された有機エレクトロルミネッセンス素子63の点灯/消灯を行なう期間および、駆動電流を設定する電流プログラム期間のタイミングを制御する。
【0184】
一方ソースドライバ61は内部に有機エレクトロルミネッセンス素子63のグループ数Nに相当する数(実施例1では640個)のD/Aコンバータ72を有している。ソースドライバ61はFPC60を介して供給された8bitの露光量補正データ(画像形成時は図6に示すND[n]、露光量計測時は図6に示すDD[n]に1より小さい定数kを乗じた値)に基づいて、個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63に対する駆動電流を設定する。この構成によって画像形成時においては既に述べた光量補正データND[n]によって個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量が均一に制御され、露光量計測時においては通常の画像形成時の露光量よりも低い露光量で有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量が制御される。
【0185】
図10は本発明の実施例1の画像形成装置1における露光装置13に係る電流プログラム期間と有機エレクトロルミネッセンス素子63の点灯期間を示す説明図である。
【0186】
以降図10に図9を併用して実施例1の点灯制御について更に詳細に説明する。以降説明を簡単にするために8画素から成る一つの画素グループ(例えば図10の「主走査方向における画素番号」=1〜8)について説明を行なう。
【0187】
実施例1では露光装置13の1ライン期間(ラスタ期間)は350μsに設定されており、この1ライン期間のうち1/8(43.77μs)を電流プログラム部71に形成されたコンデンサに対し駆動電流値を設定するプログラム期間として当てている。
【0188】
まずゲートコントローラ68(図9参照)は画素番号=1の画素に対してSCAN_A信号をONに、SCAN_B信号をOFFにしてプログラム期間を設定する。プログラム期間にソースドライバ61(図9参照)に内蔵されたD/Aコンバータ72には8bitの露光量補正データが供給されており、この供給されたディジタルデータをD/A変換したアナログレベル信号によって電流プログラム部71(図9参照)のコンデンサが充電される。このプログラム期間はゲートコントローラ68に入力される2値画像データのON/OFFに係らず実行される。これによって電流プログラム部71に形成されたコンデンサには、8bitの露光量補正データ(画像形成時は図6に示すND[n]、露光量計測時は図6に示すDD[n]に1より小さい定数kを乗じた値)に基づくアナログ値が1ライン期間の都度、毎回書き込まれる。即ち電流プログラム部71に形成されたコンデンサの蓄積電荷は常にリフレッシュされ、これに基づき決定される有機エレクトロルミネッセンス素子63の駆動電流は常に一定に保たれるのである。
【0189】
プログラム期間が完了するとゲートコントローラ68(図9参照)は直ちにSCAN_A信号をOFFに、SCAN_B信号をONに切り替えて点灯期間を設定する。既に説明したようにゲートコントローラ68(図9参照)には画像形成時、露光量計測時に応じて2値画像データが供給されており、点灯期間であっても画像データがOFFの場合、有機エレクトロルミネッセンス素子63は点灯しない。一方画像データがONの場合、有機エレクトロルミネッセンス素子63は残りの306.25μs(350μs−43.75μs)の期間、点灯を継続する(実際は制御信号の切り替わり時間が存在するため発光時間は若干短くなる)。既に述べたように実施例1では有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を計測する際は30msの計測期間を想定しているから、露光量計測時の点灯回数は例えば100回(即ち100ライン)となるように、コントローラ41でダミーイメージ情報が生成されることとなる。
【0190】
一方、図10に示す画素番号=1のピクセル回路69(図9参照)に対するプログラム期間が終了すると、ゲートコントローラ68(図9参照)は直ちに画素番号=8のピクセル回路69(図9参照)に対する電流プログラム期間を設定する。以降、画素番号1のピクセル回路に対する手順と同様に、画素番号8のピクセル回路に対するプログラム期間が完了すると直ちに当該画素番号の有機エレクトロルミネッセンス素子63(図9参照)の点灯期間に移行する。
【0191】
このようにしてゲートコントローラ68(図9参照)は主走査方向における画素番号=「1→8→2→7→3→6→4→5→1・・・・」の順にプログラム期間と点灯期間を設定していく。このような点灯順序とすることで、隣接する画素グループ間において最も近い画素の点灯タイミングが時間的に近接するため、1ライン形成時の画像段差を目立たなくすることができる。
【0192】
さて、ここで電流プログラム期間にピクセル回路69(図9参照)に設定される値は、前述のとおり例えば8bitの露光量補正データである。有機エレクトロルミネッセンス素子63(図9参照)は例えばスピンコートなどによる塗りプロセスによって作成されるため、隣接画素相関は極めて高くなる。この効果により特定の有機エレクトロルミネッセンス素子63(図9参照)の近傍にある有機エレクトロルミネッセンス素子63(図9参照)の発光輝度は殆ど同じになる。従ってこれら近傍の有機エレクトロルミネッセンス素子63(図9参照)に対する露光量補正データの相関も非常に高いため、例えば画素番号=1の露光量補正データと画素番号=8の露光量補正データは大きく変わらないのである。
【0193】
ゲートコントローラ68(図9参照)が制御する電流プログラム期間においては、ピクセル回路69(図9参照)に露光量補正データに従った電流値を供給して、ピクセル回路69(図9参照)内のコンデンサをいわゆる定電流源にて充電することになり、充電に必要な時間は(数3)となる。
【0194】
【数3】

【0195】
(数3)によれば、充電時間は静電容量と比例しており、配線引き回しに伴う配線容量の増大によって静電容量Cが大きくなると充電時間が大きくなってしまう。実施例1ではソースドライバを発光素子列の延長線上の位置であり、かつガラス基板50の長辺方向の端部に配置するために、ソースドライバ61(図9参照)から最も遠い画素グループでは、通常であれば配線容量による充電遅延が懸念される。
【0196】
しかし実施例1ではソースドライバ61(図9参照)によって供給されるのは、露光量補正データであり、前述したように1つの画素グループ内では露光量補正データの値は同一性が高いため、同一の画素グループ内では(数3)におけるVが殆ど変化しない。結局、電流プログラムの過程では順次選択される画素番号間でのVの差が充電時間を支配するが、もともと選択された画素番号間でのVの差は非常に小さいため、充電時間は極めて短くなるのである。従ってソースドライバ61(図9参照)からの配線長が長くなることに起因する電流プログラム期間の時間的不足については、実施例1においては殆ど問題がなくなり、これまで説明してきたようにソースドライバ61(図9参照)とピクセル回路69(図9参照)間の距離を大きく離せることとなる。
【0197】
この辺りの事情は、電流プログラム法を用いて各画素単位に駆動電流を設定し、各画素単位に64階調、256階調といった多階調を再現するディスプレイとは大きく異なっており、2値画像データに基づいて点灯/消灯を制御し、多値の露光量補正データに基づいて電流プログラム法で駆動電流を設定することが可能な露光装置13ならではのメリットであるといえる。
【0198】
さて実施例1においては露光装置13を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子63の点灯時間を一定とし、電流値を変化させることで、有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を制御する構成を前提として説明してきたが、本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子63などの発光素子の駆動電流値を固定的に設定し、点灯時間を変化させて発光素子の露光量を制御する、いわゆるPWM方式においても容易に適用できる。この場合は図6を用いて説明した第1エリアの内容を「潜像断面積を等しくするための駆動時間の設定値」と置き換えればよい。
【0199】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2について説明するが、実施例2の画像形成装置1の全体構成は、現像ステーション2の周辺部を除いて実施例1と殆ど異なるところがないため、共通する部分の説明は省略する。
【0200】
図11は本発明の実施例2の画像形成装置の現像ステーション2の周辺を示す構成図である。
【0201】
図12(a)は本発明の実施例2の画像形成装置1において画像形成時の露光装置13の状態を示す説明図、図12(b)は本発明の実施例2の画像形成装置1において光量計測時の露光装置13の状態を示す説明図である。
【0202】
以降、本発明の実施例2の画像形成装置1の構成について図11、図12(a)、図12(b)に図1を併用して説明する。
【0203】
図11、図12(a)、図12(b)において45は像形成抑制部であり、露光装置13を構成する基板50の面Aに形成された有機エレクトロルミネッセンス素子から出射される光が、感光体8に照射されるのを抑制する。像形成抑制部45は光遮断部材46と光遮断部材46を変位させる変位部材47から構成されている。
【0204】
このように実施例2では像形成抑制部45を、露光部(露光装置13)と感光体8の間に変位可能に配置し、露光部(露光装置13)から出射される光を遮断する光遮断部材46で構成している。
【0205】
光遮断部材46は、例えば樹脂で構成された板状部材であり、その一端部には黒色のフィルムが貼り付けられており、このフィルムが露光装置13から出射される光を遮断する。実施例2では光遮断部材46を板状部材と黒色フィルムで構成したが、これを一体的に構成してもよい。また光を遮断するためのフィルムは黒色に限る必要はなく、有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光波長域の光を物理的に遮断可能なものであればよい。
【0206】
変位部材47は例えば金属シャフトであり、その回転軸は金属シャフトの中心からずらして構成されている。変位部材47は画像形成装置1(図1参照)の、図示しない筐体に露光装置13、感光体8などと並行して支持されており、その端部は駆動源38(図1参照)から動力が伝達され、図示しない電磁クラッチなどの部材によって、方向D8に半周単位で回転する。変位部材47を方向D8に回転させることによって、光遮断部材46は方向D9または方向D10に変位する。
【0207】
図12(a)に図示するように、画像形成時において変位部材47は光遮断部材46を下方(方向D9側)で支持しており、基板50に形成された有機エレクトロルミネッセンス素子63から出射され、レンズアレイ51によって導かれる光は、光遮断部材46に遮られることなく感光体8に到達し、感光体8上に潜像を形成する。
【0208】
一方、図12(b)に図示するように、光量計測時においては、図12(a)に示す状態から変位部材47を方向D8に半回転させることで、光遮断部材46は上方(方向D10)に変位し、レンズアレイ51によって導かれる光は、光遮断部材46によって遮られ、感光体8に到達することはない。なお、後述するように、変位部材47はエンジン制御CPU91によって回転を制御されている。
【0209】
図13は本発明の実施例2の画像形成装置1におけるエンジン制御部42の構成を示すブロック構成図である。
【0210】
以降、図13に図12を併用して説明を続ける。
【0211】
画像形成装置1において画像形成動作を管理しているのはエンジン制御部42であり、露光量の計測を含む露光量の補正シーケンスはエンジン制御部42のエンジン制御CPU91によって起動される。まずエンジン制御CPU91はコントローラ41に対して、画像形成に係る正規の2値画像データとは異なるダミーイメージ情報の作成要求を出力する。
【0212】
エンジン制御部42とコントローラ41は双方向のシリアルインタフェース(図示せず)で接続されており、リクエストコマンド(要求)およびこれに対するアクノリッジ(応答情報)を相互にやり取りすることができる。エンジン制御CPU91が発するダミーイメージ情報の作成要求は、この双方向のシリアルインタフェース(図示せず)を用いてバス99を経由しコントローラインタフェース90からコントローラ41に出力される。
【0213】
この要求に基づいてコントローラ41に搭載されたコントローラCPU83はダミーイメージ情報、即ち露光量の計測に用いる2値画像データをイメージメモリ65に直接的に作成する。更にコントローラCPU83は露光量補正データメモリ66の第1エリア(図6参照)に格納された「初期状態において個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63によって形成される潜像断面積を等しくするためのソースドライバ61の設定値」DD[n](n:0〜5119)を読出し、有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を通常の画像形成時と同じ値に設定する。そしてこの値をイメージメモリ65の所定領域に書き込む。これらの処理を完了するとコントローラCPU83はプリンタインタフェース87を介して応答情報をエンジン制御部42に出力する。
【0214】
実施例1では露光量の計測時において、有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光光量を画像形成時よりも低く設定((数2)に示すように、定数kの値を1より小さく設定)しているが、実施例2では上述した光遮断部材46が設けられているため、有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光光量を意図的に低下させる必要はなく(数1)に示す設定で有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光光量を定めればよい。
【0215】
また、露光装置13から出射される光は、レンズアレイ51と感光体8の間で遮られるため、定数kの値を1より大きくして、発光光量を計測する際の有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光光量を、実施例1と比較して大きく、更に画像形成時の発光光量よりも大きく設定してもよい。このようにすることで、光量センサユニット57(図4参照)に入射する光の量が増大するため、受光感度の点では有利となり、光量検出におけるS/N比を改善することが可能となる。
【0216】
有機エレクトロルミネッセンス素子63を発光させるための準備が完了すると、CPU91はシリアルインタフェース95を介してアクチュエータ群96の1つを成す変位部材47を方向D8に回転させ、光遮断部材46を方向D10変位させ、光量遮断部材46に貼り付けられた黒色のフィルムを、レンズアレイ51と感光体8の間に配置する。これによって露光装置13から出射される光の光路が遮られ、感光体8には光量計測に起因する潜像が形成されることはない。
【0217】
即ち実施例2では、光遮断部材46を機械的に変位するシャッタで構成している。
【0218】
この状態で、実施例1で説明した手順に従って有機エレクトロルミネッセンス素子63を発光させ、光量センサユニット57(図4参照)によって各有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光光量が計測される。このとき感光体8には潜像が形成されていないので、その後の現像工程では感光体8の上にトナー像が形成されることはなく、トナーの無駄な消費や、記録紙の背面がトナーで汚染される事態が防止される。
【0219】
発光光量の計測が完了すると、エンジン制御CPU91はシリアルインタフェース95を介して変位部材47を再度方向D8に半周回転させ、光遮断部材46を方向D9に変位させ、露光装置13から出射された光が感光体8を露光して潜像を形成可能な状態、即ち図12(a)に示す状態に復帰させる。
【0220】
この動作は、画像形成装置1の初期化時や、複数のページにわたって画像形成動作を行なっている場合の紙間期間、ユーザの指示に基づく期間など、既に説明した期間に行なうことができるのは言うまでもない。
【0221】
このように、実施例2は複数の有機エレクトロルミネッセンス素子63を列状に形成した発光素子列を設けた露光部(露光装置13)を有し、この露光部によって像担持体(感光体8)を露光して画像形成を行う画像形成装置であって、有機エレクトロルミネッセンス素子63が出射する光の発光光量を計測する露光量計測部(図4に示す露光量センサユニット)と、露光量計測部によって有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光光量を計測する際に、像担持体(感光体8)に画像が形成されるのを抑制する像形成抑制部45を有している。
【0222】
また実施例2の画像形成装置1は感光体8を有し、像形成抑制部45を、露光部(露光装置13)によって感光体8に潜像が形成されるのを抑制するように構成している。
【0223】
以上述べたように、実施例2では像形成抑制部45を変位可能なシャッタとして構成したが、像形成抑制部45をレンズアレイ51と感光体8の間に固定的に配置する構成としてもよい。この場合、像形成抑制部45の構成は、図12(b)に示すものから例えば変位部材47を除去したものとなる。そしてこの場合には、上述した光路を遮断する黒色のフィルムは、例えば図示しない液晶シャッタ等の電気的に光の透過率を制御可能なシャッタを採用することが望ましい。
【0224】
像形成抑制部45を液晶シャッタによって構成する場合は、図示しない液晶シャッタを露光装置13に内蔵させ、例えばレンズアレイ51と基板50の間の空間に配置するようにしてもよい。基板50は例えばガラス等の平滑性が高い材料で構成されており、面Aと反対側の面の表面状態も極めて平滑性に優れるので、液晶シャッタ等を基板50に沿わせることで位置精度よく配置することができる。またこのような構成を採用した場合は、レンズアレイ51の光出射面の外側に構造物を配置する必要がないため、露光装置13のサイズをより小さく構成できる。
【0225】
(実施例3)
以下、本発明の実施例3について説明するが、実施例3の画像形成装置1の全体構成は、現像ステーションの周辺部を除いて実施例1と殆ど異なるところがないため、共通する部分の説明は省略する。また像形成抑制部45の制御についても、図13を用いて説明したものと実質的に変わりはないため説明を省略する。
【0226】
図14(a)は本発明の実施例3の画像形成装置において画像形成時の露光装置13の状態を示す説明図、図14(b)は本発明の実施例3の画像形成装置において光量計測時の露光装置13の状態を示す説明図である。
【0227】
以降、本発明の実施例3の画像形成装置1における像形成抑制部45の構成および動作について図14(a)、図14(b)を用いて説明する。
【0228】
図14(a)、図14(b)において48は露光部(露光装置13)と感光体8の間の光路長を変化させる光路長調整部材であり、実施例3では光路長調整部材48がそのまま像形成抑制部45を構成している。
【0229】
実施例3では、露光装置13は支持軸49を回転中心として所定の範囲で回転可能に支持されている。光路長調整部材48は例えば金属シャフトで構成されている。その回転軸は金属シャフトの中心からずらして構成されている。光路長調整部材48は画像形成装置1(図1参照)の、図示しない筐体に露光装置13、感光体8などと並行して支持されており、その端部には駆動源38(図1参照)から動力が伝達され、図示しない電磁クラッチなどの部材によって、方向D8に半周単位で回転する。また、露光装置13は図示しないスプリング等の付勢手段によって常に光路長調整部材48に押し付けられており、光路長調整部材48を方向D8に回転させることによって、露光装置13のレンズアレイ51側の端部は、方向D11または方向D12に変位する。
【0230】
図14(a)に図示するように、画像形成時において光路長調整部材48は露光装置13を上方(方向D11側)で支持しており、基板50に形成された有機エレクトロルミネッセンス素子63から出射され、レンズアレイ51によって導かれる光は、所定の位置関係に配置された感光体8に到達し、感光体8上に潜像を形成する。
【0231】
一方、図14(b)に図示するように、光量計測時において光路長調整部材48は、図14(a)に示す状態から方向D8に半回転し、露光装置13は下方(方向D12)に変位する。即ち実施例3では露光装置13から出射される光の光軸と感光体8のなす角度を変化させて光路長を調整し、感光体8に潜像が形成されるのを抑制している。
【0232】
このように実施例3ではレンズアレイ51によって導かれる光は感光体8に到達するものの、光量計測時においてレンズアレイ51と感光体8の距離は図14(a)、即ち画像形成時と比べて長く調整される。
【0233】
既に説明したように、レンズアレイ51はプラスティックまたはガラスで構成される棒レンズ(図示せず)を列状に配置したものであるが、基板50上に形成された1つの有機エレクトロルミネッセンス素子63の出射光は、あらゆる方向に出射されるため結果的に複数の棒レンズを透過して感光体8上に結像する。従って正規の焦点距離においては個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63の出射光は単一の光スポットとして感光体8上に結像するが、焦点距離が正規の距離より長く(あるいは短く)なると、1つの有機エレクトロルミネッセンス素子63から出射された光は、単一の光スポットを形成しなくなる。つまり複数の棒レンズのそれぞれで伝送された像は一点に合焦することなく、複数の光スポットに分離されるのである。
【0234】
既に説明したように、光量計測において隣接する有機エレクトロルミネッセンス素子63の光量は同時に計測しないようにするので、分離された複数の光スポットが重畳して積分的な効果は発生することはなく、感光体8を露光する露光量を大幅に低下させることが可能となる。
【0235】
また、実施例2では露光装置13の回転軸49は、露光装置13の端部近辺に設定しているが、これを49aに示すように、露光装置13の中央部に配置しても構わない。このように中心軸49の位置は、画像形成装置1におけるユニットの配置の整合性を崩さない範囲で適切な場所とすればよい。
【0236】
(実施例4)
以下、本発明の実施例4について説明するが、実施例4の画像形成装置1の全体構成は、現像ステーションの周辺部を除いて実施例1と殆ど異なるところがないため、共通する部分の説明は省略する。また像形成抑制部45の制御についても、図13を用いて説明したものと実質的に変わりはないため説明を省略する。
【0237】
図15(a)は本発明の実施例4の画像形成装置において画像形成時の露光装置13の状態を示す説明図、図15(b)は本発明の実施例4の画像形成装置において光量計測時の露光装置13の状態を示す説明図である。
【0238】
以降、本発明の実施例4の画像形成装置1における像形成抑制部45の構成および動作について図15(a)、図15(b)を用いて説明する。
【0239】
図15(a)、図15(b)において48は露光部(露光装置13)と感光体8の間の光路長を変化させる光路長調整部材であり、実施例4では光路長調整部材48がそのまま像形成抑制部45を構成している。110は露光装置13に設けられた突起部材であり、111は例えばスプリング等で構成される付勢部材である。光路長調整部材48と付勢部材111は突起部材110を挟んで対向する位置に配置されている。
【0240】
光路長調整部材48は例えば金属シャフトで構成されている。その回転軸は金属シャフトの中心からずらして構成されている。光路長調整部材48は画像形成装置1(図1参照)の、図示しない筐体に露光装置13、感光体8などと並行して支持されており、その端部には駆動源38(図1参照)から動力が伝達され、図示しない電磁クラッチなどの部材によって、方向D8に半周単位で回転する。また、露光装置13に固定された突起部材110は付勢部材111によって常に光路長調整部材48に押し付けられており、光路長調整部材48を方向D8に回転させることによって、露光装置13は方向D13または方向D14に変位する。
【0241】
図15(a)に図示するように、画像形成時において光路長調整部材48は露光装置13を左方(方向D13側)で支持しており、基板50に形成された有機エレクトロルミネッセンス素子63から出射され、レンズアレイ51によって導かれる光は、所定の位置関係に配置された感光体8に到達し、感光体8上に潜像を形成する。
【0242】
一方、図15(b)に図示するように、光量計測時において光路長調整部材48は、図15(a)に示す状態から方向D8に半回転し、露光装置13は右方(方向D14)に変位する。即ち実施例4では光路長調整部材48を、露光部(露光装置13)から出射される光の光軸方向に露光装置13と感光体8の間の距離を変化させるように構成したものである。これによって簡易な構成によって、露光装置13から出射される光が感光体8上に結像しなくなるため、感光体8上に潜像が形成されるのを抑制することが可能となる。
【0243】
このように実施例4ではレンズアレイ51によって導かれる光は感光体8に到達するものの、光量計測時においてレンズアレイ51と感光体8の距離は図15(a)、即ち画像形成時と比べて長く調整される。
【0244】
このように光量計測時においてレンズアレイ51と感光体の距離を広げることで、実施例3で説明したのと同様の理由によって、1つの有機エレクトロルミネッセンス素子63から出射された光は、単一の光スポットを形成しなくなる。つまり複数の棒レンズのそれぞれで伝送された像は一点に合焦することなく、複数の光スポットに分離される。
【0245】
既に説明したように、光量計測において隣接する有機エレクトロルミネッセンス素子63の光量は同時に計測しないようにするので、分離された複数の光スポットが重畳して積分的な効果は発生することはなく、感光体8を露光する露光量を大幅に低下させることが可能となる。
【0246】
以上、本発明に係る構成、動作について実施例1〜実施例4を用いて説明してきたが、これらの実施例においては、複数の現像ステーションを用いて画像を形成する、いわゆるタンデム型のカラー画像形成装置を中心に説明したが、本発明は単一の感光体を有するモノクロの画像形成装置においても容易に適用可能であることは言うまでもない。
【0247】
また単一の感光体に単色の画像を複数回にわたって形成し、これを例えば中間転写体のような中間媒体を用いてカラー画像を合成するような画像形成装置にも容易に適用が可能である。
【0248】
また露光装置によっては有機エレクトロルミネッセンス素子などによって構成された発光素子列を複数列有し、感光体の回転方向に対して略同じ位置に複数回の露光を行なうことで、潜像を形成するものも知られている。このような露光装置であっても複数回の露光によって形成される潜像が現像に寄与しないように露光量やPWM時間を設定することで、本発明の技術的思想を適用することが可能となる。このような露光装置では単一の発光素子列では現像に寄与する潜像は形成されないから、例えば紙間において列単位で露光量を計測するようなシーケンスが考えられる。
【0249】
また上述の実施例1では露光装置13のガラス基板50の端面に配置した露光量センサユニットを用いて有機エレクトロルミネッセンス素子63の露光量を計測しているが、本発明の技術的思想はこれに限定されるものではない。TFT回路62を構成可能な例えば低温ポリシリコンの光透過率は比較的高いため、実施例1で説明したガラス基板50側から露光光を取り出すいわゆるボトムエミッション構成であっても、個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63の内部に各有機エレクトロルミネッセンス素子63に対応する露光量センサを埋設することができる。この場合の露光量センサは例えば個々の有機エレクトロルミネッセンス素子63の発光面の直下全面に形成してもよいし、その一部に対応して形成してもよい。
【0250】
以上述べてきたように、実施例1では電子写真法を応用した画像形成装置について説明したが、本発明は電子写真法に限られるものではない。有機エレクトロルミネッセンス素子によってRGB光源は容易に実現できるため、例えば露光光源としてR光源、G光源、B光源をそれぞれ有する複数の露光装置を配置し、RGB各色の画像データに基づいて印画紙を直接的に露光する画像形成装置に対しても容易に応用が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0251】
以上のように本発明にかかる画像形成装置は、特に電子写真装置においてトナーの無駄を防止し、かつ記録紙の裏面のトナーによる汚染を有効に防止することができることから、例えばプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、フォトプリンタなどへの利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0252】
【図1】本発明の実施例1の画像形成装置の構成図
【図2】本発明の実施例1の画像形成装置における現像ステーションの周辺を示す構成図
【図3】本発明の実施例1の画像形成装置における露光装置の構成図
【図4】(a)本発明の実施例1の画像形成装置における露光装置に係るガラス基板の上面図、(b)同要部拡大図
【図5】本発明の実施例1の画像形成装置におけるコントローラの構成を示すブロック構成図
【図6】本発明の実施例1の画像形成装置における露光量補正データメモリの内容を示す説明図
【図7】本発明の実施例1の画像形成装置におけるエンジン制御部の構成を示すブロック構成図
【図8】本発明の実施例1の画像形成装置における有機エレクトロルミネッセンス素子と露光量センサユニットを構成する露光量センサの位置関係を示す説明図
【図9】本発明の実施例1の画像形成装置における露光装置の回路図
【図10】本発明の実施例1の画像形成装置における露光装置に係る電流プログラム期間と有機エレクトロルミネッセンス素子の点灯期間を示す説明図
【図11】本発明の実施例2の画像形成装置の現像ステーションの周辺を示す構成図
【図12】(a)本発明の実施例2の画像形成装置において画像形成時の露光装置の状態を示す説明図、(b)本発明の実施例2の画像形成装置において光量計測時の露光装置の状態を示す説明図
【図13】本発明の実施例2の画像形成装置におけるエンジン制御部の構成を示すブロック構成図
【図14】(a)本発明の実施例3の画像形成装置において画像形成時の露光装置の状態を示す説明図、(b)本発明の実施例3の画像形成装置において光量計測時の露光装置の状態を示す説明図
【図15】(a)本発明の実施例4の画像形成装置において画像形成時の露光装置の状態を示す説明図、(b)本発明の実施例4の画像形成装置において光量計測時の露光装置の状態を示す説明図
【図16】従来の画像形成装置における現像ステーションの周辺構成を示す構成図
【符号の説明】
【0253】
1 画像形成装置
2,2Y,2M,2C,2K 現像ステーション
3 記録紙
4 給紙トレイ
5 記録紙搬送路
6 現像剤
8,8Y,8M,8C,8K 感光体
10 現像スリーブ
13,13Y,13M,13C,13K 露光装置
19 レジストローラ
20 ピンチローラ
21 記録紙通過検出センサ
41 コントローラ
42 エンジン制御部
43 電源部
45 像形成抑制部
46 光遮断部材
47 変位部材
48 光路長調整部材
49,49a 支持軸
50 ガラス基板
51 レンズアレイ
57 露光量センサユニット
59 処理回路
61 ソースドライバ
62 TFT回路
63 有機エレクトロルミネッセンス素子
64 封止ガラス
65 イメージメモリ
66 露光量補正データメモリ
67 タイミング生成部
68 ゲートコントローラ
69 ピクセル回路
70 ドライバ部
71 電流プログラム部
72 D/Aコンバータ
80 コンピュータ
83 コントローラCPU
87 プリンタインタフェース
90 コントローラインタフェース
91 エンジン制御CPU
98 操作パネル
100,100a,100b,100c,100d,100e 露光量センサ
110 突起部材
111 付勢部材
152 現像ステーション
153 記録紙
155 記録紙搬送路
156 現像剤
158 感光体
160 現像スリーブ
163 露光装置
166 転写ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を設けた露光部を有し、この露光部によって像担持体を露光して画像形成を行う画像形成装置であって、発光素子の露光量を設定する露光量設定部と、発光素子の露光量を計測する露光量計測部とを有し、前記露光量設定部は、発光素子の露光量を計測する際の発光素子の露光量を画像形成時の露光量よりも低く設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記露光部の露光によって潜像が形成される像担持体としての感光体と、この感光体に形成された潜像を現像して顕画化する現像器とを有する画像形成装置であって、発光素子の露光量を設定する露光量設定部と、発光素子の露光量を計測する露光量計測部とを有し、前記露光量設定部は、発光素子の露光量を計測する際に、発光素子の露光量を前記感光体に形成された潜像が現像される露光量よりも低く設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記発光素子の露光量を計測する計測期間に露光された前記感光体の領域に対して、前記現像部へのバイアス電位の印加をOFFに設定するようにしたことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光部を、複数の発光素子を列状に形成した発光素子列で構成したことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記露光量計測部による計測結果に基づき、前記発光素子の各々の露光量を略等しく補正する露光量補正部を有し、この露光量補正部の出力に基づいて、前記露光量設定部は画像形成を行う際の各発光素子の露光量を設定するようにしたことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
複数ページにわたる画像形成において、各ページ間に相当する期間に前記発光素子の露光量を計測するに際し、前記露光部に設けられた複数の発光素子のうち一部の発光素子の露光量を計測するようにしたことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記発光素子を有機エレクトロルミネッセンス素子で構成したことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記露光量計測部による発光素子の露光量の計測を、非画像形成時において行なうことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項9】
複数ページにわたる画像形成を行う際に、各ページ間に相当する期間に前記発光素子の露光量を計測するようにしたことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
ユーザの指示を入力する指示入力部を有し、この指示入力部への入力に基づいて、前記発光素子の露光量を計測するようにしたことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項11】
複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を列状に形成した発光素子列を設けた露光部を有し、この露光部によって像担持体を露光して画像形成を行う画像形成装置であって、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が出射する光の発光光量を計測する露光量計測部と、前記露光量計測部によって前記有機エレクトロルミネッセンス素子の発光光量を計測する際に、前記像担持体に画像が形成されるのを抑制する像形成抑制部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記像担持体は感光体であり、前記像形成抑制部を、前記露光部によって前記感光体に潜像が形成されるのを抑制するように構成したことを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記像形成抑制部を、前記露光部と前記感光体の間に変位可能に配置され、前記露光部から出射される光を遮断する光遮断部材で構成したことを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記光遮断部材を、機械的に変位するシャッタで構成したことを特徴とする請求項13記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記光遮断部材を、電気的に光の透過率を制御するシャッタで構成したことを特徴とする請求項13記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記像形成抑制部を、前記露光部と前記感光体の間の光路長を変化させる光路長調整部材で構成したことを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記光路長調整部材を、前記露光部から出射される光の光軸方向に前記露光部と前記感光体の間の距離を変化させるように構成したことを特徴とする請求項16記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記露光長調整部材を、前記露光部から出射される光の光軸と前記感光体のなす角度を変化させるように構成したことを特徴とする請求項16記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子が出射する光の発光光量を設定する露光量設定部を有し、この露光量設定部は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が出射する光の発光光量を計測する際の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光光量を、画像形成時の発光光量よりも低く設定して、前記感光体に潜像が形成されるのを抑制することを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−128040(P2007−128040A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216891(P2006−216891)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】