説明

画像形成装置

【課題】操作部の外観構成をすっきりさせることができ、開閉動作により破損の恐れも少ないカバーを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】操作キーを覆うカバー3を備えた画像形成装置において、カバー3は、柔軟な基部31aに複数の保形用リブ条31bを形成してなる多節状板状体として形成され、上記操作キーの回路基板6の下方空間に収容される構造としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作キーにカバーを設けた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファクシミリ等の画像形成装置の多機能化に伴って、操作部には多数の操作キーやタッチパネル等が配置され、複雑な構成となっている。
そこで、使用頻度の低いキーをカバーで覆い、操作部をすっきり構成することにより、操作性の向上を図ったものが知られている。
例えば下記特許文献1は、特殊機能を実行させるための操作ボタン等を普段は蓋体で覆い、必要なときには操作部上に露出させるようにしたものが開示されている。
またその他にも、ワンタッチキー等、使用頻度の高いキー部分をデザイン上の観点から上述と同様の蓋体で覆うものが知られている。
【特許文献1】特開平11−202697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるような従来の蓋体の構造では、蓋体を開けるときに中心となる軸を支点として、蓋体の軸に負荷がかかり、開閉を繰り返すうちに破損してしまう問題があった。またこのような上下に開閉する蓋体を開けたままにしておくと、他の操作を行うときに邪魔になるという問題もあった。
【0004】
本発明は、このような問題を解決するために提案されるものであり、簡易な構成でありながら操作部の外観をすっきりさせることができ、開閉動作により破損の恐れが少ないカバーを備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の画像形成装置は、操作キーを覆うカバーを備えた画像形成装置において、上記カバーは、柔軟な基部に複数の保形用リブ条を形成してなる多節状板状体として形成され、上記操作キーの回路基板の下方空間に収容される構造としたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の画像形成装置は、上記カバーの左右端は、転動ローラを設けたガイド溝内にスライド可能に支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1によれば、操作キーを使用しないときは、カバーで覆うことができるので、他のカバーで覆われていない操作キーを操作する際に、誤って操作するおそれがなく、画像形成装置の操作部をすっきりと構成することができる。
またカバーは多節状板状体としているので、開閉動作を繰り返し行っても破損する可能性が少ないものとすることができ、柔軟な基部に複数の保形用リブ条が形成され、保形性があるので、開閉動作がしやすい。
更にカバーを開けるときには、カバーは、操作キーの回路基板の下方空間に収容されるので、操作部の外観をシンプルに構成でき、カバーの収容スペースをとらない構造とすることができる。
【0008】
請求項2によれば、カバーの左右端には、ガイド溝が形成されているので、カバーを収容される空間へスムーズに導くことができる。またガイド溝には、カバーをスライドさせて開閉自在とするための転動ローラが設けられているので、スムーズに開閉動作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の画像形成装置の操作部を示す平面図、図2は図1のX部の拡大斜視図、図3は図1のX部に示すカバーを半開状態とした場合の部分拡大縦断面図、図4(a)はカバーの裏面を示す平面図、図4(b)は図4(a)のA−Aの拡大断面図である。
なお、ここでは、本発明を採用した例として複合機の操作部を示しているが、コピー装置、ファクシミリ装置、プリンタ、通信装置等の画像形成装置の操作部に適用可能であり、操作部の構成は図例のものに限られるものではない。また図例のカバーは、ワンタッチダイヤルキーを覆うものを示しているが、これに限られるものではなく、原稿の読み取りに関するキー(濃度、解像度等)やコピーに関するキー(リピート、ページ連写等)等、いわゆる操作キーを覆うカバーに適用可能である。
【0011】
図中、1は各種スイッチやタッチパネルで構成される操作部、2はワンタッチダイヤルキー、3はカバー、3aはカバー3をスライドさせて開閉させる際の持ち手になるカバーつまみ部、3bは嵌合部、31aは基部、31bはリブ条、4はカバー収容空間、5は転動ローラ、5aはガイド溝である。
画像形成装置は、CPUで構成され、各部を制御する制御部、電話回線にダイヤル信号を送出し、電話回線Lに対する接続制御を行うNCU、ファクシミリ通信を行うために信号の変調と復調を行うモデム、スキャナ部で読み取った原稿を蓄積する画像メモリ、各種データを記憶するためのRAM、制御プログラムなどを予め記憶したROM、タッチパネル2を備え、送信予約の設定、変更、削除等を行うための各種キー等で構成された操作部1、セットされた原稿から画像データを読み取るスキャナ部等を備えている。
【0012】
本発明の画像形成装置は、操作部1のワンタッチダイヤルキー2を覆うカバー3を備えており、カバー3は、柔軟な基部31aに複数の保形用のリブ条31bを形成してなる多節状板状体として形成され、ワンタッチダイヤルキー2の回路基板6の下方空間に形成されるカバー収容空間4に収容される構造としている。
図に示すように、操作者はワンタッチダイヤルキー2を使用する場合にのみ、このカバー3を手動により開操作し、操作が終われば閉操作する。
よって、ワンタッチダイヤルキー2を使用しないときは、ワンタッチダイヤルキー2はカバー3で覆われている状態になるので、他の操作キーを操作する際に誤ってワンタッチダイヤルキー2を押してしまうといった誤操作を起こすおそれがない。また、多機能化に伴い操作部1には多種多様な操作可能な操作キーが並ぶが、カバー3で所定の操作キー(本実施例ではワンタッチダイヤルキー2)を覆うことにより、操作部1をすっきりと構成することができ、デザイン性が向上する。
【0013】
図3及び図4に示すように、カバー3は、柔軟な基部31aと、該基部31a上に一定間隔で複数形成されるリブ条31bとで構成される多節状板状体でなるものである。よって、基部31aが柔軟であるので、カバー3の左右端に形成されるガイド溝5aに沿って、任意に湾曲自在とすることができ、またカバー3の前後方向を平行に横切る保形用のリブ条31bが骨材として機能し、保形性があるものとできる。いわば本発明のカバー3はキャタピラ状に形成されてなるものである。
なお、カバー3の基部31aとリブ条31bとは、図3に示すように一体成型され多節状板状体としたものでもよい。また、図4(b)に示すように、軟質樹脂シート32に、リブ条31bを設けた硬質樹脂シートを積層して構成するものとしてもよい。
そしてリブ条31bの内部は、中空形状として空洞31cを形成してもよい。このように空洞31cとすれば、カバー3を軽量に構成することができる。
【0014】
図4(a)はカバー3の裏面の平面図を示している。カバー3は、その表面となる側は平坦面、裏面となる側は凹凸状に形成されている。カバー3の一端部には起立したカバーつまみ部3aが形成され、カバー3を閉操作するときのつまみになると同時に、カバー3を開操作した場合には、図1(a)に示すように、カバー収容空間4へカバー3が入り込んでしまうことがないようにする留め部の役割も担う。
このように、カバー3を多節状としているので、開閉動作を繰り返し行っても破損する可能性が少ないものとすることができる。
【0015】
ここでカバー3は、閉状態としても、収容されているワンタッチダイヤルキー2が視認できるように透光性を有した素材としてもよい。これによれば、カバー3内にどのような操作キーが収容されているのか一目で確認することができる。
また後述する転動ローラ5の上をスムーズにスライドできるように、リブ条31bを備えた面を表面としてもよいが、図例のように、リブ条31bを備えた面を裏面として、更にリブ条の凸部表面を滑りの良い平滑面とすれば、リブ条31bを内面に向けてもスムーズにスライドさせることができる。このようにすれば、カバー3の表面は平坦でシンプルとなり、ゴミや埃等が付きにくいものとすることができる。
【0016】
カバー3は、ワンタッチダイヤルキー2を制御する回路基板6の下方空間に形成されるカバー収容空間に収容される構造としている。
このときワンタッチダイヤルキー2は、メンブレンスイッチ等の薄型スイッチを用いれば、このような構造とすることができる。
これによれば、カバー収容空間4が回路基板6の下方側に延出して形成されるので、カバー3を設けることにより、操作部1が大型化したり、画像形成装置の他の部位に影響を及ぼすことがない。なお、カバー収容空間4は、図例の構造に限らず、カバー3をシャッターのように回動式として巻き取って収容していく構造としてもよい。
【0017】
カバー3が設置される左右端には、カバー3をカバー収容空間4へ導くためのガイド溝5aが形成されており、このガイド溝5aには、カバー3をスライドさせて開閉自在とするための転動ローラ5が設けられている。そしてカバー3の左右端には、ガイド溝5aに嵌合される嵌合部3bが形成され、ガイド溝5aに沿ってスライド可能としている。
【0018】
なお、ここではカバー3の開閉操作は、手動でなされるものを説明したが、電気制御されるものとしてもよいし、また節電モードを備えた画像形成装置であれば、連動制御されるものとしてもよい。例えば、節電モードに入っているときに、カバー3の開操作を検知すると、節電モードを解除する一方、カバー3の閉操作を検知すると、節電モードに入るようにする等である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の画像形成装置の操作部を示す平面図である。
【図2】本発明の要部を示す操作キーのカバーの構造を示す部分拡大斜視図(図1のX部拡大斜視図)である。
【図3】操作キーのカバーの操作要領を示す部分拡大縦断面図である。
【図4】(a)はカバーの別態様を裏面から見た図、(b)は図4(a)A−Aの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 操作部
2 ワンタッチダイヤルキー(操作キー)
3 カバー
3a カバーつまみ部
3b 嵌合部
31a 基部
31b リブ条
32 軟質樹脂シート
4 カバー収容空間
5 転動ローラ
5a ガイド溝
6 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作キーを覆うカバーを備えた画像形成装置において、
上記カバーは、柔軟な基部に複数の保形用リブ条を形成してなる多節状板状体として形成され、上記操作キーの回路基板の下方空間に収容される構造としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記カバーの左右端は、転動ローラを設けたガイド溝内にスライド可能に支持されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−150692(P2007−150692A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341997(P2005−341997)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】