説明

画像形成装置

【課題】 トナー定着された用紙の搬送方向を大きく変えるため、用紙が撓むようにして誘導する際、ガイド部材と用紙とが強く擦れて擦れ跡が発生することがなく、両面印字においてトナー定着面がガイド部材と接触する場合でも、用紙上から削られたトナーがガイド部材に融着することがなく、特に大量コピー等の連続印字動作に伴って定着装置周辺温度が上昇する場合でも、これらの不具合を防止し、強力な冷却機構を備えることなく、低騒音、省エネルギー、小型軽量化を図ることが可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 定着装置から排出される用紙の搬送方向を誘導するガイド部材を有し、前記ガイド部材は、ガイド部材本体とコロガイドとからなり、該コロガイドは、その円周面の一部が、前記ガイド部材本体の用紙と接触する側の面より突出するように、ガイド部材本体に回転可能に取り付けられていることを特徴とする画像形成装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より詳しくは、定着装置にてトナーが定着された用紙の搬送方向を誘導するガイド部材における用紙接触面にコロガイドが配設された複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置においては、図9に示すように、感光体ドラム102表面に形成されたトナー像は、給紙カセット103又は手差トレイ104から供給される用紙に転写される。トナー像が転写された用紙は、定着装置105において加熱及び加圧され、用紙上にトナーが定着する。定着装置105においてトナーが定着された用紙は、排出ローラ106から排出され、ガイド部材107によって搬送先を振り分けられて上搬送ローラ108又は下搬送ローラ109へ送られる。
片面印字の場合、又は両面印字が行われる場合において用紙両面へのトナー定着を終了したとき、図10のように、用紙120は、排出ローラ106から排出されてガイド部材107によって上搬送ローラ108へ誘導される。このとき用紙120は、そのトナー定着面121の反対面がガイド部材107と接触する。そして、用紙120は、上搬送ローラ108を通って画像形成装置101の上部の図示しない排出トレイから排出される。
【0003】
一方、両面印字が行われている場合において、既にトナーが定着された用紙面とは反対面を印字するとき、図11及び図12に示すように、用紙120は、排出ローラ106から排出されてガイド部材107によって下搬送ローラ109へ誘導される。このとき用紙120は、トナー定着面121がガイド部材107と接触する。
そして、下搬送ローラ109を通った用紙は、両面ユニット110にて裏返され、感光体ドラム102下へ搬送され、先にトナーが定着された用紙面とは反対の面が感光体ドラム102表面と対峙する。その対峙した用紙面にトナー像が転写され、定着装置105においてトナーが定着される。トナーが定着されて排出ローラ106から排出された用紙は、片面印字時と同様、ガイド部材107によって搬送先を振り分けられて上搬送ローラ108へ誘導され、排出トレイから排出される。
【0004】
このように、ガイド部材107は、トナーが定着された用紙120の搬送方向を大きく変えるために、用紙が大きく撓むようにして上搬送ローラ108又は下搬送ローラ109へ誘導しなければならないので、ガイド部材107と用紙120が強く擦れる状態になる。このとき、定着装置105において高温で定着された直後のトナーが、熱い用紙120上に柔らかい状態で定着しているので、用紙120がガイド部材107と強く擦れることによって、用紙120上に柔らかく定着しているトナーが用紙120上から削れ、用紙120上に擦れ跡が発生する。
【0005】
また、両面印字において、用紙120が下搬送ローラ109へ誘導される際には、前述のようにトナー定着面121がガイド部材107と接触するので、用紙120がガイド部材107と強く擦れることによって、用紙120上から削られた柔らかいトナーがガイド部材107に融着し、この融着したトナーが紙詰まりを引き起こすことにもなる。
特に、大量のコピーを連続して行い、かつ、用紙全面にトナーを乗せるような状況では、連続印字動作に伴い、定着装置105周辺温度や搬送される用紙120温度自体が上昇するので、擦れ跡やトナー融着が発生しやすくなる。
【0006】
このような温度が高い状態でのトナー定着の不具合を解消するため、定着温度を一定として定着圧力のみを切替える画像形成装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
該画像形成装置は、両面印字可能で、かつ、プロセス速度の切り換えが可能であり、制御部は、選択された解像度モードのプロセス速度や、片面印字モードか両面印字モードかに応じ、定着圧力のみを切り換えて定着温度は一定としている。また、制御部は、両面印字モードにおいて表面への印字か裏面への印字かに応じても、定着圧力を切替えるようにしている。
【0007】
前記画像形成装置によれば、プロセス速度を切り換えて画像を形成する場合、プロセス速度に応じて定着圧力のみを切替えることによって、定着温度は一定として温度切替による時間待ちなどの不具合を伴うことなく、両面印字モードにおける表裏の画質を一定にすることができる。
しかしながら、このような画像形成装置において定着温度を一定とすることによって、定着装置周辺温度や搬送される用紙温度の上昇を抑えることができるとしても、定着装置において一定の高温でトナーが定着された直後の用紙が、ガイド部材と強く擦れることに変わりはなく、特に両面印字時に用紙のトナー定着面とガイド部材とが接触するときに、柔らかいトナーがガイド部材に融着する不具合を解消することはできない。
【特許文献1】特開2002−23546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、トナー定着された用紙の搬送方向を大きく変えるために、用紙が大きく撓むようにして誘導する際に、ガイド部材と用紙とが強く擦れて擦れ跡が発生することがなく、両面印字においてトナー定着面がガイド部材と接触する場合でも、用紙上から削られたトナーがガイド部材に融着して紙詰まりを引き起こすことがなく、特に大量コピー等の連続印字動作に伴って定着装置周辺温度が上昇する場合でも、これらの不具合を防止することができる画像形成装置を提供するものである。また、強力な冷却機構を備えることなく、低騒音、省エネルギー、小型軽量化を図ることが可能な画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、定着装置から排出される用紙の搬送方向を誘導するガイド部材を有し、前記ガイド部材は、ガイド部材本体と円柱状のコロガイドとからなり、該コロガイドは、その円周面の一部が、前記ガイド部材本体の用紙と接触する側の面より突出し、かつ、用紙と接触するように、ガイド部材本体に回転可能に取り付けられていることを特徴とする画像形成装置に関する。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記ガイド部材本体は、略三角形状の左右側面と、その周囲の上正面、下正面及び背面とからなる略三角柱形状で扁平な複数のガイド本体と、該ガイド本体の向きを切替える切替軸とから構成され、前記複数のガイド本体は、その左右側面が前記切替軸に対して直角となるように、かつ、該軸方向から見て形状が重なるように固定され、前記切替軸は、前記ガイド本体の上正面又は下正面が用紙と接触するように所定角度回転し、前記コロガイドは、その円周内に、前記上正面と下正面との境界として形成される先端部分を含まないように取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置に関する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記コロガイドは、前記略三角形状の左右側面に夫々取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置に関する。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記コロガイドは、前記略三角形状の左右側面のうちの一方の面にのみ取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置に関する。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記コロガイドは、その円周の一部が重なるように取り付けられていることを特徴とする請求項2乃至4いずれかに記載の画像形成装置に関する。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記複数のコロガイドは、同サイズの径で構成されていることを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載の画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、トナー定着直後の用紙は、用紙と接触する側のガイド部材本体の面と直接接触せず、ガイド部材本体に回転可能に取り付けられたコロガイドと接触し、該コロガイドが回転して摩擦を生じることなく搬送されるので、強く擦れて擦れ跡が発生することがない。特に、両面印字においてトナー定着面がガイド部材本体の面と対峙する場合でも、トナーが用紙上から削られることがなく、削られたトナーがガイド部材本体に融着して紙詰まりを引き起こすようなことがない。従って、特に大量コピー等の連続印字動作に伴って定着装置周辺温度が上昇する場合でも、これらの不具合を防止することができ、また、強力な冷却機構を備えることなく、低騒音、省エネルギー、小型軽量化を図ることが可能である。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、トナー定着直後の用紙は、ガイド本体の上正面又は下正面と直接接触せず、ガイド本体に回転可能に取り付けられたコロガイドと接触し、該コロガイドが回転して摩擦を生じることなく搬送されるので、強く擦れて擦れ跡が発生することがなく、両面印字においてもトナーが用紙上から削られてガイド本体に融着して紙詰まりを引き起こすようなことを防止することが可能である。また、コロガイドは、その円周内に、上正面と下正面との境界として形成される先端部分を含まないように取り付けられていることによって、上正面又は下正面に用紙が接触することを防ぐことができるとともに、安定して用紙を搬送することが可能になる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、コロガイドが略三角形状の左右側面に夫々取り付けられていることによって、より安定して用紙を搬送することが可能となる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、コロガイドを略三角形状の左右側面のうちの一方の面にのみ取り付けるので、その取り付けの際、位置決めや取り付けをより容易に行うことが可能となる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、コロガイドが一部重なるように取り付けられることによって、数多く取り付けて用紙がガイド本体と直接接触する部分がないようにすることが可能となる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、コロガイドが同サイズの径で構成されることによって、用紙と接触するコロガイドの面がなだらかに形成され、より摩擦を生じないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る画像形成装置の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。図2は、図1におけるガイド部材周辺を拡大して示す部分拡大図である。図3は、図1におけるガイド部材を拡大して示す左側面拡大図である。図4は、図3のガイド部材を紙面右方向から見た正面図である。
本発明に係る画像形成装置1は、表面にトナー像を形成して用紙に転写する感光体ドラム102と、画像形成装置内に備えられて用紙を供給する給紙カセット3と、画像形成装置外側から用紙を供給する手差トレイ4と、用紙上に転写されたトナーを定着する定着装置5と、定着装置5でトナーが定着された用紙を排出する排出ローラ6と、用紙の搬送方向を切替えるガイド部材7と、上搬送ローラ8と、下搬送ローラ9と、両面印刷時に使用される両面ユニット10とを備えている。
【0022】
ガイド部材7は、図3及び図4のように、複数のガイド本体20、切替軸23、円柱形状の左側面側コロガイド26及び右側面側コロガイド27(以下、単にコロガイド26,27とも称する)で構成される。複数のガイド本体20は同形状の扁平な略三角柱形状で、等間隔で切替軸23に直角に、かつ、軸方向から見て形状が重なるように、切替軸23に固定されている。切替軸23に固定されるガイド本体20の数及び間隔は、搬送する用紙の最大用紙幅及び最小用紙幅に応じて設定される。例えば、最大用紙幅がA4縦サイズで、最小用紙幅が葉書横サイズである場合、隣合うガイド本体20の間隔を葉書横サイズ(107mm)より狭くし、両端のガイド本体20の距離をA4縦サイズ(297mm)より若干狭くすると、必要なガイド本体20は4つ以上となる。安定して搬送するためには、ガイド本体20の数は多い方がよいが、コスト等を考慮すると図4のような6つくらいが適当である。
【0023】
また、各ガイド本体20には、上正面24及び下正面25を挟んで、略三角形状の面である左側面及び右側面に、各々左側面側コロガイド26及び右側面側コロガイド27が回転軸28,29によって回転可能に備えられている。これら左側面側コロガイド26及び右側面側コロガイド27は、切替軸23の軸方向から見て、上正面24及び下正面25からわずかに突出するように取り付けられている。また、切替軸23の軸方向から見てコロガイド26,27は、その円周の一部が重なるように取り付けられている。これによって、数多く取り付けることができ、用紙がガイド本体20と直接接触する部分がないようにすることができる。なお、ガイド本体20の先端21は尖端形状であり、コロガイド26,27は、その円周内に先端21部分を含まないように、先端21付近には取り付けられていない。
【0024】
ここで、本発明に係る画像形成装置に備えられるガイド部材7は、従来既知のガイド部材(ガイド本体20及び切替軸23に相当)にコロガイド26,27を取付けたものであり、図示例のガイド本体20及び切替軸23に限らず、従来既知のガイド部材にコロガイド26,27を取り付けて本発明におけるガイド部材7を構成することができる。即ち、少なくともコロガイド26,27の円周面の一部がガイド部材本体(ガイド本体20)の用紙と接触する側の面(上正面24又は下正面25)より突出して、用紙がガイド部材本体の面と直接接触せず、コロガイド26,27と接触するようになっていればよい。
【0025】
上搬送ローラ8は、片面印字の場合にトナー定着を終了したとき、又は、両面印字の場合に用紙両面へのトナー定着を終了したとき、その用紙がガイド部材7によって誘導される方向にあり、用紙を画像形成装置1の上部方向へ搬送して図示しない排出口から排出する。一方、下搬送ローラ9は、両面印字の場合に用紙片面へのトナー定着を終了したとき、その用紙がガイド部材7によって誘導される方向にあり、用紙を両面ユニット10へ搬送する。
【0026】
従って、ガイド部材7は、画像形成装置1に入力された片面印字か両面印字かという印字条件と、両面印字におけるいずれの面への印字を終了したかという印字状況を把握して、排出ローラ6から排出される用紙を上搬送ローラ8又は下搬送ローラ9へ誘導する。このように誘導するため、ガイド部材7には、切替軸23が備えられている。切替軸23は、印字条件及び印字状況に合わせ、ガイド本体20による搬送方向を切替えるため、図3のようにA方向又はB方向へ所定角度回転する。
なお、切替軸23のA方向及びB方向への回転角度は、排出ローラ6から排出される用紙が各々誘導しようとする側と反対の下搬送ローラ9側及び上搬送ローラ8側へ搬送されないように、排出ローラ6、ガイド部材7、上搬送ローラ8及び下搬送ローラ9の配置との関係で適宜設定される。
【0027】
切替軸23が図3に示すA方向へ所定角度回転した状態では、排出ローラ6から排出される用紙先端が上正面24側に当たり、上搬送ローラ8側へ用紙が流れる。このとき、前述のように、片面印字の場合であれば用紙印字面、即ちトナー定着面15はガイド部材7の上正面24側と反対側になるが、両面印字の場合には用紙両面へのトナー定着を終了しているので、トナー定着面がガイド部材の上正面24側と接触することになる。
一方、切替軸23が図3に示すB方向へ所定角度回転した状態では、排出ローラ6から排出される用紙先端が下正面25側に当たり、下搬送ローラ9側へ用紙が流れる。この場合、前述のように両面印字で用紙片面へのトナー定着を終了した用紙のトナー定着面15が、ガイド部材の下正面25側と接触する。
【0028】
ここで、本発明に係る画像形成装置におけるガイド部材7では、排出ローラ6から排出された用紙は、ガイド本体20の上正面24又は下正面25と直接接触せず、ガイド本体20に回転可能に取り付けられたコロガイド26,27に用紙が接触する。従って、用紙が上正面24側又は下正面25側と強くこすれるように搬送されるとき、コロガイド26,27が回転するので、用紙がコロガイド26,27の回転面と接触しても摩擦することなく搬送される。
【0029】
よって、用紙が上正面24又は下正面25と強く擦れて擦れ跡が発生することがなく、特に両面印字においてトナー定着面15が上正面24側又は下正面25側と対峙する場合でも、トナーが用紙上から削られることがなく、削られたトナーがガイド部材7に融着して紙詰まりを引き起こすようなことがない。
また、トナー定着面15がコロガイド26,27に接触するときに、わずかにトナーがコロガイド26,27の回転表面に付着しても、コロガイド26,27が回転するので、汚れが一箇所に集中せず、トナーがガイド部材に融着して紙詰まりを引き起こすようなことがない。
さらに、コロガイド26,27が回転してコロガイド26,27の回転表面全体で用紙を受け止めることになり、コロガイド26,27がなくて上正面24又は下正面25と直接接触する場合のように、用紙先端が一定の箇所に集中して当たる等して上正面24及び下正面25の特定箇所が削れるというようなことがなく、部材の寿命についても延命を図ることができる。
【0030】
図5は、本発明に係る画像形成装置の実施形態の他の例におけるガイド部材を示す左側面図である。図6は、図5のガイド部材を紙面右方向から見た正面図である。なお、本発明に係る画像形成装置の実施形態の他の例の構成は、ガイド部材の形状を除けば図1に示した概略構成と全く同じである。ガイド部材37は、基本的な構成はガイド部材7と同じであるので、同じ構成については同じ符号を使用して示す。
ガイド部材37は、複数のガイド本体20、切替軸23及び下側コロガイド31及び上側コロガイド32(以下、単にコロガイド31,32とも称する)で構成される。従って、コロガイド31,32が異なる以外は、ガイド部材7と同じである。
【0031】
ガイド部材37では、各ガイド本体20の左側面に近接して下側コロガイド31が回転軸35によって回転可能に備えられ、その左側面に下側コロガイド31の厚みだけ離して上側コロガイド32が回転軸36によって回転可能に備えられている。これら下側コロガイド31及び上側コロガイド32は、軸方向から見て、若干重なるように配置され、上正面24及び下正面25からわずかに突出するように取り付けられている。
ガイド部材37の下側コロガイド31は、ガイド部材7の左側面側コロガイド26と同じ形状及び大きさで、全く同じ位置でガイド本体20の左側面に取り付けられている。上側コロガイド32は、右側面側コロガイド27と基本的に同じ形状及び大きさではあるが、右側面側コロガイド27が配置される右側面に対応する左側面に回転軸36を長くして取り付けられている。
【0032】
従って、ガイド部材7とガイド部材37とは、コロガイドがガイド本体20の両側面に配置されているか、片面にだけ配置されているかの違いだけである。よって、ガイド部材37を備えた画像形成装置においても、ガイド部材7を備えた画像形成装置と同様、排出ローラ6から排出された用紙は、ガイド本体20の上正面24又は下正面25と直接接触せず、ガイド本体20に回転自在に取り付けられたコロガイド31,32と接触し、摩擦することなく搬送され、同様の効果を奏することが可能である。
ガイド部材7のようにコロガイド26,27をガイド本体20の両側面に配置する場合と、ガイド部材37のようにコロガイド31,32をガイド本体20の片面に配置する場合では、前者の両側面配置の方が用紙搬送の安定性が若干高いと考えられるが、後者の片面配置は、コロガイド31,32の取り付け時において位置決めや取り付けが両側面配置より容易に行えると考えられる。なお、片面配置なら、右側面に配置しても、図6のように左側面に配置する場合と全く同様の効果を奏することが可能である。
【0033】
ガイド部材7,37では、図示例として、上正面24及び下正面25に各々4個のコロガイドが取り付けられる例を示しているが、少なくとも、上正面24及び下正面25に各々1個のコロガイドが取り付けられている必要がある。上正面24又は下正面25と用紙が接触して摩擦することがないようにするには、コロガイドの数は多い方がよいが、コスト等を考慮すると図示例のように各々4個程度のコロガイドを取り付けることが適当である。
なお、コロガイドの数を多く、特にコロガイドの径を小さくして多く配置すれば、上正面24又は下正面25と接触しないだけでなく、用紙と接触するコロガイドの面がなだらかに形成されるので、より摩擦を生じないようにすることができる。ただし、先端21部分では、用紙との摩擦を生じないため、コロガイドを取り付けることを要しない。
また、ガイド部材7,37において、コロガイドが軸方向から見て重なるように配置することによって、コロガイドの隙間で用紙が上正面24又は下正面25と接触しないようにすることができる。
【0034】
また、ガイド部材7,37は、コロガイドが同じ大きさ(同サイズの径)のものを例示したが、大きさが違うものを組合わせて取付けたものであってもよい。径のサイズが同じであれば、用紙と接触するコロガイドの面がなだらかに形成され、より摩擦を生じないようにすることができる。大きさが違うものを組合わせる場合には、軸方向から見て、上正面24及び下正面25から同じ幅だけ突出するようにし、用紙と接触するコロガイドの面がなだらかに形成されるようにすると、より摩擦を生じないようにすることができる。
【0035】
次に、本発明に係る画像形成装置における片面印字時の用紙搬送動作について、図1〜図4に基づいて説明する。なお、図1は、前述のように本発明に係る画像形成装置の実施形態の一例の概略構成を示すとともに、片面印字時の用紙搬送経路を示している。
まず、画像形成装置1の図示しない入力部に、印字条件の片面印字と用紙のサイズや枚数等が設定される。
スタートが押下されると入力部への設定内容に従って、給紙カセット3の用紙が、表面にトナー像が形成された感光体ドラム2下へ搬送され、そのトナー像が用紙に転写される。
トナー像が転写された用紙は、定着装置5に搬送されて加熱及び加圧され、用紙上にトナーが定着する。トナーが定着された用紙は、排出ローラ6から排出される。
このときガイド部材7は、入力部への設定内容から片面印字の用紙が排出されることを把握し、切替軸23をA方向へ所定角度回転させて搬送方向を上搬送ローラ8方向へ切替える。
【0036】
排出ローラ6から排出された用紙13は、その先端がガイド部材7の上正面24側に当たり、図2のように上正面24のコロガイド26,27と接触しながら上搬送ローラ8方向へ誘導される。
上搬送ローラ8に誘導された用紙13は、画像形成装置1の上部の図示しない排出トレイから排出され、片面印字が終了する。
【0037】
このように、定着装置5において高温でトナー定着された直後に排出された用紙13が、ガイド部材7によって搬送方向を大きく切替えられるときでも、排出された用紙13がガイド部材7の上正面24側のコロガイド26,27と接触するので、コロガイド26,27の回転によって摩擦を生じることがない。よって、上正面24と直接接触して摩擦を生じて強く擦れて擦れ跡が発生することを回避することができる。なお、片面印字では、トナー定着面15とは反対面がガイド部材7の上正面24側と接触するが、この場合であっても、コロガイド26,27がなければ、トナー定着面15の反対面が強く擦れることによって、トナー定着面15側のトナーがよれて擦れ跡が発生することになる。
従って、両面印字をしない片面印字だけの画像形成装置においても、前記コロガイドを取付けたガイド部材を採用することによって、トナー定着後の不具合を解消することができる。
【0038】
図7は、図1と全く同じ実施形態の一例の画像形成装置において両面ユニットを経由した用紙搬送経路を示した概略構成図である。図8は、図7におけるガイド部材周辺を拡大して示す部分拡大図である。
図3,4,7及び8に基づいて、本発明に係る画像形成装置における両面印字時の片面印字から反対面への印字に至る用紙搬送動作について説明する。
画像形成装置1の図示しない入力部に予め設定された印字条件の両面印字と用紙のサイズや枚数等の設定内容に従って、感光体ドラム2表面に形成されたトナー像は、給紙カセット3又は手差トレイ4から供給される用紙13に転写される。
トナー像が転写された用紙は、定着装置5において加熱及び加圧され、トナーが定着された用紙13は、排出ローラ6から排出される。ここまでは、前述の片面印字の場合と全く同様である。
【0039】
排出ローラ6からトナー定着された用紙13が排出されるとき、ガイド部材7は、入力部への設定内容と搬送状況から、両面印字において片面が印字された用紙13であることを把握し、切替軸23をB方向へ所定角度回転させて搬送方向を下搬送ローラ9方向へ切替える。
排出ローラ6から排出された用紙13は、その先端がガイド部材7の下正面25側に当たり、図8のように下正面25のコロガイド26,27と接触しながら下搬送ローラ9方向へ誘導される。このとき、トナー定着面15が下正面25側と接触する。
下搬送ローラ9に誘導された用紙13は、両面ユニット10へ搬送されて裏返され、印字面を下側にして感光体ドラム2下へ搬送される。
【0040】
このように、定着装置5において高温でトナー定着された直後に排出された用紙13が、ガイド部材7によって搬送方向を大きく切替えられるときでも、排出された用紙13がガイド部材7の下正面25側のコロガイド26,27と接触するので、コロガイド26,27の回転によって摩擦を生じることがない。よって、下正面25と直接接触して摩擦を生じて強く擦れることによる擦れ跡の発生を回避することができる。また、強く擦れることがないので、トナー定着面が下正面25側と接触しても、用紙上からトナーが削れてガイド部材7に融着して紙詰まりを引き起こすことがない。
特に大量コピー等の連続印字動作に伴って定着装置周辺温度が上昇する場合でも、これらの不具合を防止することができ、強力な冷却機構を備える必要もなく、画像形成装置の低騒音、省エネルギー、小型軽量化を図ることが可能となる。
【0041】
なお、前述のように印字面を下側にして感光体ドラム2下へ搬送された用紙13は、その後、片面印字の場合と同様にして、トナー像が転写された用紙13がトナー定着されて排出ローラ6から排出され、ガイド部材7によって上搬送ローラ8方向へ誘導されて排出トレイから排出され、両面印字を終了する。ただし、片面印字の場合と異なり、先に印字されてトナーが定着した面がガイド部材7の上正面24側と接触することになる。
この場合、排出された用紙13がガイド部材7の上正面24側のコロガイド26,27と接触するので、コロガイド26,27の回転によって摩擦を生じることがなく、擦れ跡の発生を回避することができるとともに、用紙上からトナーが削れてガイド部材7に融着して紙詰まりを引き起こすこともない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、定着装置にてトナー定着された用紙の搬送方向を誘導するガイド部材を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に対して好適に利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1におけるガイド部材周辺を拡大して示す部分拡大図である。
【図3】図1におけるガイド部材を拡大して示す左側面拡大図である。
【図4】図3のガイド部材を紙面右方向から見た正面図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の実施形態の他の例におけるガイド部材を示す左側面図である。
【図6】図5のガイド部材を紙面右方向から見た正面図である。
【図7】図1と全く同じ実施形態の一例の画像形成装置において両面ユニットを経由した用紙搬送経路を示した概略構成図である。
【図8】図7におけるガイド部材周辺を拡大して示す部分拡大図である。
【図9】従来の画像形成装置においてその概略構成とともに片面印刷時の用紙搬送経路を示した概略構成図である。
【図10】図9におけるガイド部材周辺を拡大して示す部分拡大図である。
【図11】従来の画像形成装置においてその概略構成とともに両面ユニットを経由した用紙搬送経路を示した概略構成図である。
【図12】図11におけるガイド部材周辺を拡大して示す部分拡大図である。
【符号の説明】
【0044】
1 画像形成装置
2 感光体ドラム
3 給紙カセット
4 手差トレイ
5 定着装置
6 排出ローラ
7 ガイド部材
8 上搬送ローラ
9 下搬送ローラ
10 両面ユニット
26 左側面側コロガイド
27 右側面側コロガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着装置から排出される用紙の搬送方向を誘導するガイド部材を有し、
前記ガイド部材は、ガイド部材本体と円柱状のコロガイドとからなり、該コロガイドは、その円周面の一部が、前記ガイド部材本体の用紙と接触する側の面より突出し、かつ、用紙と接触するように、ガイド部材本体に回転可能に取り付けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド部材本体は、略三角形状の左右側面と、その周囲の上正面、下正面及び背面とからなる略三角柱形状で扁平な複数のガイド本体と、該ガイド本体の向きを切替える切替軸とから構成され、
前記複数のガイド本体は、その左右側面が前記切替軸に対して直角となるように、かつ、該軸方向から見て形状が重なるように固定され、
前記切替軸は、前記ガイド本体の上正面又は下正面が用紙と接触するように所定角度回転し、
前記コロガイドは、その円周内に、前記上正面と下正面との境界として形成される先端部分を含まないように取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コロガイドは、前記略三角形状の左右側面に夫々取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記コロガイドは、前記略三角形状の左右側面のうちの一方の面にのみ取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記コロガイドは、その円周の一部が重なるように取り付けられていることを特徴とする請求項2乃至4いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数のコロガイドは、同サイズの径で構成されていることを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−331931(P2007−331931A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169365(P2006−169365)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】