説明

画像形成装置

【課題】ベルト部材の無端移動方向と垂直な方向への移動を規制するために設けられる凸部の剥がれを防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】少なくとも2つのローラに張架されて無端移動するベルト部材1であって、ベルト本体10と、該ベルト本体10のローラに接触する側の面から突出して設けられ、ベルト部材1の無端移動方向と交差する方向へのベルト部材1の移動を規制するための凸部20と、を備えたベルト部材1を有する画像形成装置100は、凸部20が、ベルト部材1の無端移動方向において端部同士が連結されていない継ぎ目40を少なくとも1つ有して上記無端移動方向に延在しており、且つ、上記突出方向の厚みが第1の値を有する第1部分21と、突出方向の厚みが第1の値よりも小さい第2の値を有する第2部分22と、を有しており、第2部分は継ぎ目40に隣接し、第1部分21は第2部分22によって継ぎ目40から隔てられている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電記録方式や電子写真方式などを用いたプリンターや複写機などの画像形成装置に関するものであり、特に、転写材搬送体や中間転写体として用いられる無端移動するベルト部材を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子写真方式の画像形成装置において、トナー像が電子写真感光体(感光体)上から転写される転写材を担持するため、又は感光体上から転写されるトナー像を担持するために、無端移動するベルト部材が用いられる。例えば、異なる色の画像を形成するための複数の画像形成手段(プロセスステーション)を直列に配置し、転写材搬送体としてのベルト部材により搬送された転写材、或いは中間転写体としてのベルト部材に画像を転写するインライン方式がある。インライン方式は、高速化が可能であること、像転写の回数が少なく高画質に有利であることなどの理由で優れた方式である。
【0003】
上記転写材搬送体や中間転写体として用いられるベルト部材を搬送するベルト搬送装置(ベルトユニット)は、ベルト部材を、回転駆動力を伝達する少なくとも1つの駆動ローラと、少なくとも1つの従動ローラとに掛け廻して張設、支持し、無端回動させる。このような構成において、本来平行であるべき、ベルト部材を張架しているローラ同士の軸が平行でないなどの理由によって、ベルト部材が、その回動に伴い、その進行方向(無端移動方向)と垂直な方向に移動することがある。この時ベルト部材上で可視画像(トナー像)を形成したり、転写工程中の転写材を搬送したりすると、画像が偏るため、良好な画像が得られないことがある。又、ベルト部材がその進行方向と垂直な方向への移動を続けると、ベルト部材がそれを張架しているローラから脱落し、ベルト部材の破損を招いてしまう。
【0004】
そこで、簡易な構成でベルト部材の進行方向と垂直な方向への移動を規制して、上記の問題に対処する手段として、次のようなリブ規制がある。つまり、ベルト部材の裏面の側端部に凸型の規制リブ、即ち、規制突条(凸部)を、ベルト部材の略全周に亙って接着固定する。これにより、ベルト部材が回動することによってその進行方向と垂直な方向にベルト部材が移動しても、ベルト部材を張架しているローラの少なくとも1つが規制リブの内側面に突き当たる。従って、ベルト部材の移動及び脱落を防止することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−20975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のリブ規制においては、次のような問題が発生することがある。次に、図8及び図9を参照して説明する。
【0006】
図8(a)は、ベルト部材1を外径が30mmのローラ3本で張架したベルトユニットにおける1本のローラ2の近傍を該ローラ2の回転軸線方向に見た側面図である。ベルト部材1は、ベルト本体10と、ベルト本体10のローラが接触する側の面である裏面(内周面)においてベルト部材1の進行方向と垂直な方向の両端部に設けられたリブ(凸部)20と、を有する。本例では、ベルト本体10は、厚さが100μmのPVdF(ポリフッ化ビニリデン)製の無端ベルトである。又、リブ20は、厚さが1.5mm、JIS−A硬度が70°、ヤング率が6.5MPaのウレタン製の細長部材であり、固定手段としての両面接着テープ30によってベルト本体10に接着される。両面接着テープ30としては、積水化学工業(株)製熱活性タイプ#5516Hを用い、100℃で20秒間、2kg/cm2の圧力をかけながら圧着した。又、ベルト本体10の裏面の両側端部に設けられる各リブ20は、ベルト本体10の略全周に亙って延在し、継ぎ目40を介して長手方向の両端部が対向するようにベルト本体1に接着されている。
【0007】
このようにして作製したベルトユニットを用い、30℃、80%R.H.(相対湿度)の環境下で1日に1000回、10秒間の起動と1秒間の停止を繰り返すテストを30日間実施した。
【0008】
続いて、上述のものと全く同じ製法で製造したベルト部材1を、外径が30mmのローラ2本と、外径が12mmのローラ1本の計3本で張架し、全く同じ試験を実施した。図9(a)は、上記3本のローラのうち外径が12mmのローラ2の近傍を、該ローラ2の回転軸線方向に見た側面図である。
【0009】
その結果、図8(b)に示すように、外径が30mmのローラを3本用いた場合には、リブ20の接着状態に変化は起きなかった。しかし、図9(b)に示すように、外径が30mmのローラを2本と外径が12mmのローラを1本用いた場合には、22日目には継ぎ目40からリブ20が剥がれ始めてしまった。更に試験を継続したところ、剥がれたリブ20の先端がローラに突き当たるようになるため、25日目にリブ20の全体がベルト本体10から剥がれてしまった。
【0010】
上述のように、外径が小さいローラにベルト部材1を張架したときに、ベルト部材1の進行方向におけるリブ20の端部がベルト本体10から剥がれ始める原因は、次のように考えられる。
【0011】
図9(a)に示すように外径が小さいローラ上にリブ20の継ぎ目40が位置したときに、この継ぎ目40に隣接するリブ20の端部は、外径が大きいローラ上にある時と比べて大きく変形する。その後、ベルト本体10が平面形状に戻る際に、ベルト本体10は厚さが100μmしかないため、即時的に平面に戻る。しかし、厚みが1.5mmあるリブ20は、平面形状に戻るまでに遅れが生じる。実際は、ベルト部材1に掛かるテンションによって、リブ20は強制的に平面に戻されるため、その力は、リブ20のベルト本体10との接続(接着)部、即ち、本例では両面接着テープ30にかかる。そのため、リブ20の屈曲が繰り返されるにつれて、継ぎ目40に隣接するリブ20をベルト本体10に接着している両面接着テープ30に対するせん断力が繰り返し働く。そして、ついには、図9(b)に示すように、継ぎ目40からリブ20が剥がれ始めてしまう。
【0012】
従って、上述のようなリブ20の継ぎ目40からの剥がれを防止するためには、リブ20の硬度を下げれば良いと考えられる。例えば、アスカーC硬度が70°(JIS−A硬度換算35°程度)、ヤング率が0.5MPa以下である、(株)ロジャースイノアック製のPORON型番HH−48(以下「PORON」という。)なども、従来のベルト部材用のリブ素材として用いられている。PORONの場合、硬度がウレタンの半分で、ヤング率も10分の1以下である。そのため、例え外径が12mmのローラでベルト部材1を張架し、高温高湿環境下で上述のようなテストを実施した場合でも、リブ20とベルト本体10との接続(接着)部、即ち、本例では両面接着テープ30に対するせん断力も10分の1になる。従って、リブ20の剥がれに対しては非常に有効な対策手段となると考えられる。
【0013】
しかしながら、このようなスポンジ素材は、長時間回転を続けると削れが生じるため、例えばベルトユニットの寿命設定を長くする場合などには不向きである。
【0014】
又、リブ20の材料として上述のウレタンを用いながら、単にリブの厚みを1.5mmから1.0mmに薄くした場合を考える。この場合、両面接着テープ30に対するせん断力は2/3にすることができ、リブ20の剥がれに対しては有効な対策となるものの、ベルト部材1の進行方向と垂直な方向への移動を規制する力が不足し、リブ20が張架ローラに乗り上げてしまうことがある。
【0015】
以上説明したように、画像形成装置の小型化などに対応して、外径の小さいローラを用いてベルト部材が張架されることがある。このような場合においても、簡素な構成でコストを増すことなく、ベルト部材の進行方向と垂直な方向への移動を規制できると同時に、リブの継ぎ目からの剥がれを防止し、安定した画像を長期間出力可能とすることが望まれる。
【0016】
従って、本発明の目的は、ベルト部材の無端移動方向と垂直な方向への移動を規制するために設けられる凸部の剥がれを防止することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、少なくとも2つのローラに張架されて無端移動するベルト部材であって、ベルト本体と、該ベルト本体の前記ローラに接触する側の面から突出して設けられ、前記ベルト部材の無端移動方向と交差する方向への前記ベルト部材の移動を規制するための凸部と、を備えたベルト部材を有する画像形成装置において、前記凸部は、前記ベルト部材の無端移動方向において端部同士が連結されていない継ぎ目を少なくとも1つ有して前記無端移動方向に延在しており、且つ、前記突出方向の厚みが第1の値を有する第1部分と、前記突出方向の厚みが前記第1の値よりも小さい第2の値を有する第2部分と、を有しており、前記第2部分は前記継ぎ目に隣接し、前記第1部分は前記第2部分によって前記継ぎ目から隔てられていることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ベルト部材の無端移動方向と垂直な方向への移動を規制するために設けられる凸部の剥がれを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0020】
実施例1
[画像形成装置]
先ず、図1及び図2を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施例の全体構成及び動作について説明する。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を利用したインライン方式のカラー画像形成装置である。
【0021】
画像形成装置100は、複数の画像形成手段として、第1、第2、第3、第4のプロセスステーション(以下「ステーション」という)Sa、Sb、Sc、Sdを有する。第1、第2、第3、第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成するためのものである。
【0022】
尚、本実施例では、各ステーションSa〜Sdの構成及び動作は、用いるトナーの色が異なることを除いて実質的に同一である。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを示すために図中符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して、総括的に説明する。
【0023】
各ステーションSには、像担持体としてのドラム型の感光体(感光ドラム)101、感光ドラム101を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ102、帯電した感光ドラム101上を走査露光する露光手段としての露光光学系103が設けられている。又、各ステーションSには、感光ドラム101上に形成された静電像(潜像)を現像する現像手段としての現像器104、感光ドラム101上をクリーニングするクリーナ106が設けられている。そして、各ステーションSの感光ドラム101に対向するように、ベルトユニットとしての転写ユニット105が設けられている。
【0024】
転写ユニット105は、無端移動するベルト部材として、転写材搬送体(転写材担持体)である静電吸着搬送ベルト(以下「搬送ベルト」という)1を有する。搬送ベルト1は、支持部材(張架部材)である複数のローラとして、外径が24mmの駆動ローラ2と、外径が12mmの従動ローラ3と、外径が12mmのテンションローラ4との3本のローラに張架されている。そして、搬送ベルト1は、駆動ローラ2に伝達された回転駆動力が伝達されることで駆動されて、図中矢印で示す時計方向に無端移動(回転)する。又、転写ユニット105は、搬送ベルト1の内周面側に、各ステーションSa〜Sdに対応して、転写手段としての転写ローラ151a〜151dを有する。
【0025】
搬送ベルト1の周面に沿って、それぞれ異なる色の画像を形成するステーションSa〜Sdが一列に配置されており、各ステーションSa〜Sd内の感光ドラム101a〜101dが搬送ベルト1を介して転写ローラ151a〜151dに当接されている。各転写ローラ151a〜151dは、所定の押圧力にて搬送ベルト1を各感光ドラム101a〜101dに押し当て、各感光ドラム101a〜101dと搬送ベルト1との間の接触部(転写位置)にニップ部(転写ニップ)Na〜Ndを形成する。
【0026】
又、搬送ベルト1の移動方向において第1のステーションSaの上流には、吸着ローラ5が配置されている。吸着ローラ5は搬送ベルト1を介して従動ローラ3に当接している。転写材Pは、吸着ローラ5と搬送ベルト1とが接触して形成されるニップ部(吸着ニップ)を通過する際に、吸着ローラ5を介してバイアスが印加されることで、搬送ベルト1に静電的に吸着される。そして、搬送ベルト1の移動に伴って図中矢印にて示すように、各ステーションSa〜Sdの転写ニップNa〜Ndを通過して搬送される。
【0027】
画像形成時には、先ず、感光ドラム101は帯電ローラ102によって一様に帯電される。帯電した感光ドラム101の表面は、露光光学系103によって、画像情報に応じた走査光Eで露光される。これにより、感光ドラム101上に画像情報に応じて静電像(潜像)が形成される。この静電像は、現像器104によって現像される。即ち、現像器104が備える現像剤担持体としての現像ローラ241によって、現像容器242内に収容されたトナーを搬送して、このトナーを感光ドラム101上の静電像に応じて感光ドラム101に付着させる。これにより、感光ドラム101上にトナー像が形成される。
【0028】
次に、感光ドラム101上に形成されたトナー像は、搬送ベルト1上に担持されて搬送される転写材Pに転写される。一般的に用いられる反転現像方式において、感光ドラム101が例えば負極性のOPC感光体の場合、露光部を現像する際には負極性トナーが用いられる。従って、転写ローラ151には、転写バイアス電源152より正極性の転写バイアスが印加される。ここで、転写ローラ151としては中抵抗ローラを用いるのが一般的である。こうして、転写ローラ151に転写バイアスが印加されることで転写ニップNに形成される電界の作用によって、感光ドラム101から搬送ベルト1上の転写材Pにトナー像が転写される。
【0029】
例えばフルカラー画像の形成時の実際のプリントプロセスにおいては、搬送ベルト1の移動速度と各ステーションSa〜Sdの転写位置間の距離を考慮する。つまり、転写材P上に形成される各色のトナー像の位置が一致するタイミングで各ステーションSa〜Sdでの画像形成プロセス、転写プロセス、転写材Pの搬送が行われる。そして、転写材Pが各ステーションSa〜Sdの転写ニップNa〜Ndを一度通過する間に、転写材P上にフルカラーの多重トナー像が完成される。
【0030】
転写材P上にトナー像が完成された後、転写材Pは、定着装置107に通され、転写材P上にトナー像が定着される。
【0031】
尚、転写プロセスにて転写材P上に転写されずに感光ドラム101上に残ったトナー(転写残トナー)は、クリーナ106が備えるクリーニングブレード161により感光ドラム101上から掻き落とされ、廃トナー容器162に収容される。
【0032】
又、本実施例では、感光ドラム101と、感光ドラム101に作用するプロセス手段としての帯電ローラ102、現像器104及びクリーナ106とは、一体的にカートリッジ化されて、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ107を構成する。
【0033】
[搬送ベルト]
次に、図3を参照して、本実施例の画像形成装置100が備える搬送ベルト1について更に詳しく説明する。
【0034】
本実施例では、搬送ベルト1は、ベルト本体10と、ベルト本体10のローラ2、3、4に接触する側の面から突出して設けられた凸部であるリブ20と、を有する。リブ20は、搬送ベルト1の進行方向(無端移動方向)と交差する方向(典型的には垂直な方向)への該搬送ベルト1の移動を規制するための規制手段を構成する。本実施例では、ベルト本体10は、幅が250mm、周長が600mm、厚さが100μmのPVdFの樹脂フィルムから成る無端ベルトである。又、リブ20は、後述する主部(第1部分)の厚さ(T1)が1.5mm、幅が3.0mm、JIS−A硬度が70°、ヤング率が6.5MPaのウレタン製のシートから成る細長部材である。リブ20は、固定手段としての接着部材である両面接着テープ30によって、ベルト本体10の裏面(内周面)において、搬送ベルト1の進行方向と垂直な方向の両端部に接着される。両面接着テープ30としては、積水化学工業(株)製熱活性タイプ#5516Hを用い、100℃で20秒間、2kg/cm2の圧力をかけながら圧着した。又、本実施例では、ベルト本体10の裏面の両側端部に設けられるリブ20は、ベルト本体10の略全周に亙って延在する。そして、リブ20は、長手方向の両端部が、搬送ベルト1の進行方向上流側及び下流側から、1箇所の継ぎ目40を介して対向するようにベルト本体10に接着されている。
【0035】
これにより、搬送ベルト1が回動することによってその進行方向と垂直な方向に移動しても、搬送ベルト1を張架しているローラ2、3、4のうちの少なくとも1つがリブ20の内側面に突き当たることで、搬送ベルト1の移動及び脱落を防止することができる。
【0036】
上述のように、リブ20は、搬送ベルト1の進行方向において端部同士が連結されていない継ぎ目40を少なくとも1つ有してその進行方向に延在している。そして、本実施例では、リブ20は、ベルト本体10の面からの突出方向の厚みが第1の値(T1)を有する第1部分(主部)21と、該突出方向の厚みが第1の値よりも小さい第2の値(T2)を有する第2部分(薄肉部)22と、を有している。又、薄肉部22は継ぎ目40に隣接し、主部21は薄肉部22によって継ぎ目40から隔てられている。
【0037】
特に、本実施例では、各リブ20の長手方向両端部は、図3中の拡大図に示すように段差形状を有する。本実施例では、厚みが第1の値(T1)である主部(第1部分)21と、厚みが第2の値(T2)である薄肉部(第2部分)22との間に段差が形成されており、薄肉部22は、厚みの値(第2の値)が実質的に同一である平面を有する。そして、薄肉部22の端部同士が継ぎ目40を介して対向している。
【0038】
尚、図3の拡大図は、搬送ベルト1の移動方向と垂直な方向における一方の端部のリブ20の継ぎ目40の近傍のみを示すが、他方の端部に設けられたリブ20の継ぎ目40の近傍も同じ形状とされている。
【0039】
本実施例では、リブ20は、実質的に、厚みが第1の値(T1)である主部(第1部分)21と、リブ20の周方向の両端部において継ぎ目40に隣接する厚みが第2の値(T2)である薄肉部(第2部分)との、2種類の厚み部分のみから成る。このように、リブ20は、薄肉部22と、この薄肉部22以外の実質的に全てを構成する主部21とから成っていてよい。即ち、本実施例では、リブ20は、継ぎ目40に隣接する部位の厚みが、それ以外の部分よりも薄くなるように成形されている。
【0040】
本実施例では、リブ20は、図4に示す加工冶具50を用いて、予め継ぎ目40に隣接する部分の厚みを薄く加工する。先ず、リブ20の作製に用いる幅3.0mm、厚さ(T1)1.5mmである断面矩形のウレタン製の短冊(ウレタン短冊)20Aを、長手長さ597mmにカットする。次に、図4に示す加工冶具50において、枠体51の嵌合溝51Aに対し、リブ20用にカットしたウレタン短冊20Aを設置する。そして、ウレタン短冊20Aの上から、入れ子52の当接部52Aを図中矢印の方向に押し込む。これにより、当接部52Aによってウレタン短冊20Aを嵌合溝51A内で図中矢印方向に移動させ、嵌合溝51A内に設けられている切断手段としてのカッター51Bによってウレタン短冊20Aから切片20Bを切り出す。こうして、継ぎ目40に隣接する部分を薄く加工したリブ20を作製する。この時、加工後のリブ20の薄肉部22の厚み(T2)は1.0mmとし、加工する長さ、即ち、1箇所の薄肉部22の搬送ベルト1の進行方向における長さ(L1)は2.5mmとする。同様に、ウレタン短冊20Aの長手方向反対側の端部も加工する。
【0041】
上述のように加工したリブ20を、両面接着テープ30によってベルト本体10に貼り付ける。両面接着テープ30は、予めリブ20に対して貼っておいても、ベルト本体10に対して貼っておいても良い。
【0042】
この時、リブ20が無い継ぎ目40の部分の搬送ベルト1の進行方向における長さ(L5)が1〜3mmになるように、ウレタン製のリブ20をできるだけ伸ばさないようにベルト本体10に貼ることが好ましい。リブ20を伸ばしながらベルト本体10に貼り付けてしまうと、搬送ベルト1を実際に使用する時に、ベルト本体10に対して、リブ20が縮もうとする方向に常に力を及ぼすことになるため、ベルト本体10からリブ20が剥がれ易くなってしまう。
【0043】
ここで、1つの継ぎ目40に搬送ベルト1の進行方向の上流側及び下流側から隣接する2箇所の薄肉部22の両方と、その継ぎ目40とを合わせた、搬送ベルト1の進行方向における長さ(L2)の値を、次のように設定することが好ましい。即ち、この長さL2の値は、搬送ベルト1を張架するローラのうち搬送ベルト1の巻き付け量が最も小さいローラに対する搬送ベルト1の巻き付け長さの値よりも小さくすることが好ましい。
【0044】
又、1箇所の薄肉部22の搬送ベルト1の進行方向における長さ(L1)の値は、リブ20がベルト本体10から剥がれることを防止する効果に鑑みて、適宜選択することができるが、本発明者の検討によれば、主部21の厚み(T1)よりも大きいことが好ましい。
【0045】
本実施例では、図1に示すように、巻き付け長さL3を有するテンションローラ4において、最も搬送ベルト1の巻き付け量が少なく設定されている。本実施例では、テンションローラ4は、その回転中心を基準としてその回転方向に90度の範囲に搬送ベルト1が巻き付けられている(即ち、接触している)。従って、この巻き付け量を搬送ベルト1の長さ(L3)に直すと、L3=12×π×90/360≒9.42(mm)となる。
【0046】
一方、本実施例では、リブ20の長手方向両端部の薄肉部22、22と、リブ20の無い継ぎ目40とを合わせた、搬送ベルト1の進行方向の長さ(L2)は、最大で、L2=2.5×2+3.0=8.0(mm)となる。
【0047】
即ち、本実施例では、リブ20は、継ぎ目40に隣接する厚みが薄く成形された部位、即ち、薄肉部22の1箇所の長さ(L1)が、リブ20のその他の部位、即ち、主部21の厚み(T1)よりも長い。又、それと共に、1つの継ぎ目40に隣接する2箇所の薄肉部22の双方と、ベルト本体10上にリブ20の無い継ぎ目40とを合わせた、搬送ベルト1の進行方向の長さ(L2)が、搬送ベルト1のローラに対する最小の巻き付け長さ(L3)よりも短い。最小の巻き付け長さ(L3)とは、搬送ベルト1を張架するローラの中で最も搬送ベルト1の巻き付け量が小さいローラに対する、搬送ベルト1の巻き付け長さである。
【0048】
このように搬送ベルト1の張架ローラに対する最小の巻き付け長さ(L3)よりも上記長さL2を十分に小さくすることで、搬送ベルト1が、リブ20の薄肉部22に対応する部分のみでローラに接することを避けることができる。これにより、リブ20がローラに乗り上げることを防止することができる。
【0049】
更に、リブ20の薄肉部22は、その厚みの値が、主部21の厚みの値の30%以上70%以下の平面22Aを有することが好ましい。即ち、本実施例では、好ましくは、継ぎ目40に隣接する厚みが薄く成形された部位は、その他の部位の30%以上70%以下の厚みの平面を有する。この割合が70%を越えると、リブ20の剥がれを抑制する効果が顕著ではなくなることがあり、30%より小さいと強度不足となることがある。
【0050】
本実施例では、リブ20の継ぎ目40に隣接する薄肉部22の厚さ(T2)が、主部21の厚さ(T1)の約67%になるように、薄肉部22の厚さを薄く加工する。そのため、搬送ベルト1が外径が12mmの従動ローラ3又はテンションローラ4上を通過する際に変形した後に、リブ20がベルト本体10から離れる方向に及ぼす力も約67%となる。従って、例えば長手方向の全体で厚みが1mmのリブを使用した時と同様に、継ぎ目40からリブが剥がれ始めることを防止することが可能となった。ここで、長手方向の全体で厚みが1mmであるようなリブを用いる場合には、前述のようにリブがローラに乗り上げてしまうことがあるが、上述のように本実施例では主部21の厚みが十分に厚くされているので、そのようなことは無い。
【0051】
リブがベルトから離れる方向に発生する力Fは、ベルトを張架するローラの外径と反比例するリブの変形量ΔXが増すほどに大きくなり、リブの断面積Sを小さくするほど下げられる。このことは、ヤング率Eを求める計算式から、次のように計算可能である。
E=(F/S)/(ΔX/X)
より
F=E×S×(ΔX/X)
E:ヤング率(Pa、kgf/mm2
F:力(kgf)
S:断面積(mm2
X:元の長さ(mm)
ΔX:変形量(mm)
【0052】
以上、本実施例によれば、簡素な構成でコストを増すことなく、ベルト部材の進行方向と垂直な方向への移動を規制できると同時に、リブの継ぎ目からの剥がれを防止することができる。これにより、安定した高画質の画像を長期間出力可能とする、長寿命のベルトユニットを提供することができる。
【0053】
実施例2
次に、図5を参照して、本発明の他の実施例について説明する。尚、本実施例における画像形成装置、及びベルト部材である搬送ベルトの基本的な構成は、実施例1のものと同様である。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する構成・作用を有する要素には同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0054】
図5は、本実施例におけるリブ20と、このリブ20を加工する加工冶具60を示す。本実施例では、リブ20の継ぎ目40に隣接する薄肉部22の形状は、段差形状ではなく、スロープ形状に加工されている。即ち、本実施例では、リブ20の薄肉部22は、搬送ベルト1の進行方向に沿って継ぎ目40に向けて厚みの値(第2の値)の値が連続的に小さくなる面22Bを有する。
【0055】
本実施例では、リブ20の薄肉部22は、図5に示す治具60を用いて、ベルト本体10に接着する前に予め加工する。治具60は、加工台61を有し、この加工台61は、ウレタン短冊20Aの加工前の断面矩形の端部が嵌合する凹所61Aと、この凹所61Aに形成された後述の刃物62のガイド溝61Bと、を有する。ガイド溝61Bは、上記スロープ形状に対応して形成されている。
【0056】
先ず、実施例1と同様にして予めカットされたリブ20の作製に用いるウレタン短冊20Aを、加工台61の凹所61Aにセットする。次いで、切断手段としての剃刀等の鋭利な刃物62を冶具のガイド溝61Bに沿って入れ、切片20Bを切り出し、継ぎ目40に隣接する部分がスロープ形状に厚みが薄く加工されたリブ20を作製する。同様にして、ウレタン短冊20Aの長手方向反対側の端部も加工する。このようにして、リブ20のベルト本体10に対する貼り始め部分及び終わり部分を削ぎ落とすことができる。
【0057】
尚、上述の冶具60は小型であるため、貼り始めのみを加工したリブ20をベルト本体10に貼り、余った部分をカットする際に貼り終わり部を削ぎ切り加工することも可能である。
【0058】
本実施例では、スロープを設けるリブ20の底面の長さ、即ち、1箇所の薄肉部22の搬送ベルト1の進行方向における長さ(L6)を3mmとし、薄肉部22においてリブ20が最も薄くなる継ぎ目40に隣接する切断面の厚さ(T3)を0.4mmとする。治具60の加工台61は、斯かるスロープ形状が得られるように設計した。
【0059】
即ち、継ぎ目40に対向するスロープ加工によって削ぎ切るリブ20の断面の高さ(L4)は1.1mmである。この高さ(L4)の、加工前の元のリブ20断面の高さ(即ち、主部21の厚みT1)である1.5mmに対する割合は、約73%となる。換言すれば、リブ20の薄肉部22の継ぎ目40に隣接する最も薄い部分の厚み(T3)が、主部21の厚さ(T1)の約27%になるように、薄肉部22のスロープ形状を加工する。これにより、少なくとも主部21の厚さ(T1)の30%以上100%以下の範囲においてスロープ形状が形成される。
【0060】
又、上記冶具60を用いてリブ20の継ぎ目40に隣接する薄肉部22を加工するで、スロープの角度は約20度となり、加工後の継ぎ目40の近傍3mmの領域におけるリブ20の体積は37%程度になる。
【0061】
その結果、本実施例によっても、実施例1と同様に、リブ20が継ぎ目40に隣接する位置においてベルト本体10から離れようとする力を、十分に小さくすることが可能になる。
【0062】
ここで、水平に配置されたベルト本体10の面とその上のリブ20とを、搬送ベルト1の進行方向と直交する方向に見る。この時、薄肉部22の厚みの値(第2の値)が連続的に小さくなる面22Bのうち、搬送ベルト1の進行方向においてその厚みの値(第2の値)が最も小さい位置と最も大きい位置とを結ぶ線分と、水平との成す角度が、15度以上45度以下であることが好ましい。
【0063】
本実施例では、薄肉部22の厚みの値(第2の値)が連続的に小さくなる面22Bは平面である。
【0064】
つまり、換言すれば、本実施例では、リブ20の継ぎ目40に隣接する部分は、継ぎ目40に対向する部分の加工前の断面高さの30%乃至100%の部分において、平面状に配置されたベルト本体10の内面に対して傾斜した面を持つよう加工される。それと共に、この傾斜した面の継ぎ目40に最も近い始点と継ぎ目40から最も遠い点とを結ぶ線分と、平面状に配置されたベルト本体10の内面とが成す角度は15度以上45度以下であることが好ましい。
【0065】
上述の角度が15度未満であると、薄肉加工される長さは長くなるものの、加工後の厚みが厚い部分が多くなるため薄肉化が不十分となることがある。又、上述の角度が45度を越えると、加工後の厚みが薄い部分が作れるものの、薄肉部分の長さが短いために、薄肉化が不十分となることがある。
【0066】
尚、薄肉部22の厚みの値(第2の値)が連続的に小さくなる面22Bが平面である構成は、加工が容易であることなどから好ましいが、これに限定されるものではない。この薄肉部22の厚みの値(第2の値)が連続的に小さくなる面は、曲面であってもよい。
【0067】
本実施例では、リブ20の長手方向両端部の薄肉部22、22と、リブ20の無い継ぎ目40とを合わせた、搬送ベルト1の進行方向の長さ(L2)は、最大で、L2=3.0×2+3.0=9.0(mm)となる。又、搬送ベルト1を張架するローラ2、3、4のうち、搬送ベルト1の巻き付け量が最小のテンションローラ4に対する巻き付け長さ(L3)は、実施例1と同様に、L3=12×π×90/360≒9.42(mm)となる。このように、本実施例においても、搬送ベルト1の張架ローラに対する最小の巻き付け長さ(L3)よりも上記長さ(L2)が十分に小さくなっている。
【0068】
以上、本実施例によれば、継ぎ目40の近傍のリブ20の厚さが十分に薄くなるように、リブ20の継ぎ目40に隣接する部分をスロープ形状に成形する。これにより、実施例1と同様に、リブ20の継ぎ目40からの剥がれを防止することができる。又、好ましくは、リブ20の薄く成形された部分の全長が、搬送ベルト1の張架ローラに対する最小の巻き付け長さよりも短くなるように、リブ20の継ぎ目40に隣接する部分をスロープ形状に成形する。これにより、実施例1と同様に、リブ20がローラに乗り上げることも防止することができる。
【0069】
実施例3
次に、図6を参照して、本発明の更に他の実施例について説明する。尚、本実施例における画像形成装置、及びベルト部材である搬送ベルトの基本的な構成は、実施例1のものと同様である。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する構成・作用を有する要素には同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0070】
図6は、本実施例におけるリブ20の継ぎ目40の近傍を示す。本実施例では、厚みの薄い短冊状のウレタンシートを複数枚貼り重ねてリブ20を形成する。即ち、本実施例では、リブ20は複数の層を積み重ねて形成されており、薄肉部22の積層数は、主部21の積層数よりも少ない。特に、本実施例では、リブ20は、短冊状のシートを2層積み重ねて形成され、リブ20の継ぎ目40に隣接する部分の積層数は1で、他の部位の積層数である2よりも少ない。
【0071】
本実施例では、リブ20の作製に用いるウレタンシート20A1、20A2の1枚の厚み(T4)は0.8mmである。ウレタンシート20A1、20A2の幅は実施例1と同じである。ウレタンシート20A1、20A2の長手長さについては後述する。
【0072】
ベルト本体10にリブ20を設ける方法を説明すると、本実施例では、先ず、搬送ベルト1に対し1枚目のウレタンシート20A1を、継ぎ目40の隙間(L5)が1〜3mmになるように貼り付ける。この時、両面接着テープ30は、予めベルト本体10に貼っておいても、ウレタンシート20A1に貼っておいても良い。
【0073】
次に、2枚目のウレタンシート20A2を、最初に貼った1枚目のウレタンシート20A1の上に貼り重ねる。2枚目のウレタンシート20A2を貼る際に、貼り始め部分及び貼り終わり部分共に、1枚目のウレタンシート20A1を2.5mm(実施例1における長さL1に相当)分だけ露出させる。即ち、本実施例では、搬送ベルト1の周長600mmに対して、1枚目のウレタンシート20A1は、長手長さ597mmにカットされている。一方、2枚目のウレタンシート20A2は、長手長さ592mmにカットされている。この時、貼り付けに使用する両面接着テープ30は、予め1枚目のウレタンシート20A1に貼っておいても、後から貼る2枚目のウレタンシート20A2に貼っておいても良い。又、両面接着テープの加熱圧着工程は、2枚のウレタンシート20A1、20A2を貼り終わってから行うことができるが、別法として、1枚目のウレタンシート20A1を貼ってから一旦加熱圧着工程を行っても良い。但し、ベルト本体10としてPVdFシートなどの比較的熱に弱い材料を用いる場合には、加熱圧着工程を2回実施する場合には、熱のかけ過ぎに注意する。
【0074】
このように、本実施例では、リブ20を2枚重ねて貼り、継ぎ目40に隣接する部分のみ1枚構成とする。これにより、リブ20の継ぎ目40に隣接する部分は、リブ20の剥がれ難さを優先した厚み設定とし、且つ、それ以外のリブ20の乗り上げ防止に必要な領域については、リブ20の厚みを十分確保する構成を達成することができる。
【0075】
尚、本実施例では、リブ20を作製するウレタンシートを重ねる枚数を2枚としたが、これに限定されるものではない。積層構造のリブ20の各層を構成する部材(シート)は2枚以上を重ねても良く、その際、継ぎ目40に隣接する部分、即ち、薄肉部22の段差は1つだけではなく、階段形状にすることも可能である。
【0076】
以上説明したように、本実施例のようにリブ20を積層構成として、薄肉部22を設けるようにしても、実施例1と同様の効果を奏し得ることができる。
【0077】
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではないことを理解されたい。
【0078】
例えば、上記各実施例では、搬送ベルト1の移動方向においてリブ20の継ぎ目40は1箇所であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。リブ20が少なくとも1つの継ぎ目40を有してベルト本体10に設けられていれば、本発明を適用することができ、当然、継ぎ目40が2箇所以上設けられていてもよい。又、継ぎ目40においては、リブ20の端部同士が離間していることに限定されるものではなく、端部同士が接触していてもよい。
【0079】
又、上記各実施例では、リブ20は、両面接着テープ30によってベルト本体10に接着するものとして説明した。両面接着テープは、リブ20をベルト本体10に容易に接着することができる点などから好ましい固定手段であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、適当な接着剤を用いてリブ20をベルト本体10に接着するなどしてもよい。
【0080】
又、上記各実施例では、ベルト部材が転写材搬送体であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ベルト部材が中間転写体である場合にも、本発明は等しく適用することができ、上記同様の効果を得ることができる。
【0081】
例えば、図7は、ベルト部材として中間転写体を有する画像形成装置の一例の概略断面を示す。図7に示す画像形成装置は、ベルトユニットとして、図1に示す画像形成装置100における転写ユニット105に替えて中間転写ユニット205を有する。尚、図7に示す画像形成装置200において、図1に示す画像形成装置100のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0082】
中間転写ユニット205は、無端移動するベルト部材として、中間転写体(以下「中間転写ベルト」という)201を有する。中間転写ベルト201は、駆動ローラ202、従動ローラ203、テンションローラ204に張架されている。又、中間転写ユニット205は、中間転写ベルト201の内周側において、各画像形成部Sa〜Sdの感光ドラム101a〜101dに対向する位置に、一次転写手段としての一次転写ローラ251a〜251dを有する。一次転写ローラ251a〜251dは、中間転写ベルト201を感光ドラム101a〜101dに圧接させて一次転写ニップN1a〜N1dを形成する。中間転写ユニット205は更に、二次転写手段としての二次転写ローラ206を有する。二次転写ローラ206は、中間転写ベルト201に接触して二次転写ニップN2を形成する。
【0083】
斯かる構成により、各画像形成部Sa〜Sdにおいて形成されたトナー像は、一次転写ニップN1a〜N1dにおいて一旦中間転写ベルト201上に転写(一次転写)される。その後、二次転写ニップN2において、転写材Pに転写(二次転写)される。
【0084】
そして、斯かる画像形成装置200の中間転写ベルト201として、実質的に、上記各実施例において搬送ベルト1を構成しているベルト部材と同じものを用いることができる。これにより、中間転写方式の画像形成装置においても、上記各実施例と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明を適用し得る画像形成装置の一実施例の概略断面構成図である。
【図2】図1の画像形成装置が備えるステーションをより詳しく示す断面図である。
【図3】本発明に従って構成されるベルト部材及びこのベルト部材に設けられるリブの一実施例の説明図である。
【図4】本発明に従ってベルト部材に設けられるリブを加工する治具の一実施例の説明図である。
【図5】本発明に従ってベルト部材に設けられるリブを加工する治具の他の実施例の説明図である。
【図6】本発明に従って構成されるベルト部材に設けられるリブの他の実施例の説明図である。
【図7】本発明を適用し得る画像形成装置の他の実施例の概略断面構成図である。
【図8】従来のベルト部材のリブを説明するための模式図である。
【図9】従来のベルト部材のリブを説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0086】
1 静電搬送ベルト(ベルト部材)
2 駆動ローラ
3 従動ローラ
4 テンションローラ
10 ベルト本体
20 リブ(凸部)
21 主部(第1部分)
22 薄肉部(第2部分)
30 両面接着テープ(固定手段)
40 継ぎ目
50 加工治具
60 加工治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのローラに張架されて無端移動するベルト部材であって、ベルト本体と、該ベルト本体の前記ローラに接触する側の面から突出して設けられ、前記ベルト部材の無端移動方向と交差する方向への前記ベルト部材の移動を規制するための凸部と、を備えたベルト部材を有する画像形成装置において、
前記凸部は、前記ベルト部材の無端移動方向において端部同士が連結されていない継ぎ目を少なくとも1つ有して前記無端移動方向に延在しており、且つ、前記突出方向の厚みが第1の値を有する第1部分と、前記突出方向の厚みが前記第1の値よりも小さい第2の値を有する第2部分と、を有しており、前記第2部分は前記継ぎ目に隣接し、前記第1部分は前記第2部分によって前記継ぎ目から隔てられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
1つの前記継ぎ目に隣接する2箇所の前記第2部分の両方と、その継ぎ目とを合わせた、前記ベルト部材の無端移動方向における長さの値は、前記ベルト部材を張架するローラのうち前記ベルト部材の巻き付け量が最も小さいローラに対する前記ベルト部材の巻き付け長さの値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
1箇所の前記第2部分の前記ベルト部材の無端移動方向における長さの値は、前記第1の値よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2部分は、前記第2の値が前記第1の値の30%以上70%以下の平面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記凸部は複数の層を積み重ねて形成されており、前記第2部分の積層数は、前記第1部分の積層数よりも少ないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2部分は、前記ベルト部材の無端移動方向に沿って前記継ぎ目に向けて前記第2の値が連続的に小さくなる面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
水平に配置された前記ベルト本体の面とその上の前記凸部とを、前記ベルト部材の無端移動方向と直交する方向に見たときに、前記第2の値が連続的に小さくなる面のうち前記無端移動方向において前記第2の値が最も小さい位置と最も大きい位置とを結ぶ線分と、水平との成す角度が、15度以上45度以下であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2の値が連続的に小さくなる面が、前記第1の値の30%以上100%以下の範囲に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2の値が連続的に小さくなる面は平面であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記凸部は、前記2部分と、該第2部分以外の実質的に全てを構成する前記第1部分とから成ることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記凸部は、前記ベルト本体に接着されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記ベルト部材は、トナーで形成された画像が転写される転写材を担持して搬送する転写材搬送体であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記ベルト部材は、トナーで形成された画像が転写される中間転写体であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−52222(P2008−52222A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231176(P2006−231176)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】