説明

画像形成装置

【課題】電気基板に実装されたスイッチの押圧時のクリック感に関わらず、押圧部材の操作感を向上させて操作者に押圧部材の押圧操作を確実に認識させる。
【解決手段】シールド板30は、弾性を有し機能選択ボタン26を移動可能に保持する弾性保持部30aを備え、機能選択ボタン26は、弾性保持部30aが弾性変形することにより移動してスイッチ28を押すことにより機能選択ボタン26の押圧感を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の操作部に関するものである。ここで画像形成装置としては、例えば電子写真複写機・プリンタ・ワードプロセッサ及びファクシミリ装置、マルチファンクションプリンタ等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
以下に、画像形成装置の一例としてレーザビームプリンタを例に挙げて説明する。
【0003】
従来の画像形成装置の操作部の例として、図5、図6を用いて概略構成を説明する。
【0004】
図5は、従来の画像形成装置の概略斜視図である。
【0005】
図5において、画像形成装置101は、装置本体の底部に設けられた給送カセット102と、画像形成部の一部であり装置本体から着脱可能なプロセスカートリッジ(不示図)を有している。123は、開閉する開閉カバーでこの開閉カバー123を開いてプロセスカートリッジを取り出すことができる。121は、外装カバー120と一体で成形された排出トレイであり、画像を形成された用紙が排出積載される。外装カバー120の表面には、操作部124が設けられている。
【0006】
近年の画像形成装置では、画像形成装置の機能を実行するためにユーザが機能を選択するための操作部124に表示部125と機能選択ボタン126が設けられている。操作部を有する画像形成装置の例としては、特許文献1の図1又は図2がある。
【0007】
図6は、操作部124の構成を示す主断面図である。
【0008】
127は電気基板であり、電気基板127上には、点灯部であるLED129とスイッチ128が実装されている。表示部125は光透過性であり画像形成装置101の状態によって点灯するLED129の光を透過して表示する。
【0009】
機能選択ボタン126はスイッチ128上に設けられている。ユーザが機能選択ボタン126を押圧すると機能選択ボタン126を介してスイッチ128が押され、各スイッチに対応した機能が動作して装置本体が稼動する。130は、電気基板127を静電気による静電破壊を防止するための導電性のシールド板であり、接地されている。
【特許文献1】特開平11−202697号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記のような従来例の構成では以下のような課題があった。
【0011】
押圧部材としての機能選択ボタン126(操作ボタン)が電気基板127に実装されたスイッチ128上に保持されているため、ユーザが機能選択ボタン126を押した時の感触がスイッチ128のクリック感と同じ感触になってしまう。このため、小型化又は低価格で操作感の低いスイッチを採用した場合に、ユーザが操作ボタンを押した時のクリック感が分かり難くいことがあった。
【0012】
また、電気基板や外装カバーの位置精度の影響で、操作ボタンの外装カバーに対する突出量がばらついて、操作感が変化したり、見栄えが悪くなることがあった。
【0013】
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、電気基板に実装されたスイッチの押圧時のクリック感に関わらず、押圧部材の操作感を向上させて操作者に押圧部材の押圧操作を確実に認識させることを目的とする。さらには、電気基板や外装カバーの位置精度の影響を少なくして押圧部材の外装カバーに対する突出量を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
画像形成装置を動作させるために操作者により押される押圧部材と、
前記押圧部材に対応するスイッチを実装した電気基板と、
前記電気基板の静電破壊を防止するために前記電気基板を保護する電気シールド部材と、
を備えた画像形成装置において、
前記電気シールド部材は、弾性を有し前記押圧部材を移動可能に保持する弾性保持部を備え、
前記押圧部材は、前記弾性保持部が弾性変形することにより移動して前記スイッチを押すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気基板に実装されたスイッチの押圧時のクリック感に関わらず、押圧部材の操作感を向上させて操作者に押圧部材の押圧操作を確実に認識させることが可能となる。さらには、電気基板や外装カバーの位置精度の影響を少なくして押圧部材の外装カバーに対する突出量を安定させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0017】
以下に、本発明を適用することができる画像形成装置の一実施例として、感光体にレーザ光を走査して記録する電子写真方式を採用するレーザビームプリンタを例に説明する。
【0018】
図1は、本発明を適用することができる画像形成装置1の概略断面図である。図2は本発明を適用することができる画像形成装置1の概略斜視図である。
【0019】
本実施例のレーザビームプリンタの概略構成について、以下に説明する。
【0020】
図中、2は画像形成装置1内に給送される記録材Pを収納する記録材収納手段の給送カセットである。給送カセット2に収納された記録材Pは給送カセット2の上部前端側に配設された給送手段である給送ローラ3に押圧部材である加圧板4により押圧され、ピックアップされる。
【0021】
そして、分離手段を構成する分離パッド5と給送ローラ3によって1枚ずつ分離され、第1搬送ローラ対6に向けて給送される。第1搬送ローラ対6は、湾曲した搬送路7中に設けられ給送装置8から給送された記録材Pを第2搬送ローラ対9に搬送する。そして、記録材Pは第2搬送ローラ対9により転写部に搬送される。
【0022】
10はレジストセンサーであり、これは記録材Pの先端位置と露光光源であるレーザスキャナ11の発光タイミングを同期させ、記録材P上の所定位置から画像の描き出しをするものである。12は折り返しミラーである。
【0023】
13は感光体14、現像器、クリーナ、帯電ローラ等の画像形成手段から成るプロセスカートリッジであり、15は感光体14上の顕画像を記録材P上に転写させる転写ローラである。
【0024】
16は転写後の記録材Pを定着器17まで案内する搬送ガイドであり、定着器17は記録材P上の顕画像を加熱定着する。18は、加熱定着後の記録材Pの記録材先端位置と記録材後端位置を検出して、ジャム検知する排出センサーである。
【0025】
加熱定着後の記録材Pは排出ローラ対19により外装カバー20と一体で形成されている排出トレイ21上に排出される。
【0026】
(記録材搬送路について)
図1に示すように、給送カセット2は、画像形成装置1本体(以下、装置本体という)の下部(図1の下部分)に設けられ、排出トレイ21が装置本体の上部に設けられている。そして、給送カセット2の先端部と排出トレイ21の後端部とは、画像形成部、定着器17を含めて構成される搬送路で連結されており、これらは全体としてS字のパスを構成している。給送カセット2を装置本体の下部、排出トレイ21を装置本体の上部としたS字パスの搬送路とすることで、装置本体をコンパクトにまとめ、設置面積を低減している。
【0027】
(レーザスキャナ配置について)
図1に示すようにレーザスキャナ11は、ユニット配置としてはそれぞれスキャナポリゴン11aから右上がりの配置となっている。ここで、画像形成装置1の大きさを出来るだけ小型にするためには、図1に示すように給送装置〜転写手段〜定着器にかけての記録材搬送路に対して略垂直な方向から感光体14にレーザ光を入射することが最も有効である。
【0028】
このような構成とすることによって、画像形成装置1の奥行き及び高さを最小の寸法に収めることが可能となっている。
【0029】
(電装系レイアウトについて)
22は、AC電源及びDC電源、高圧電源から成る電装部である。
【0030】
図1に示す様に、現像部〜定着器にかけての記録材搬送路の下部で、給送カセット2の上部に電装部22を配置することで、装置本体のスペースを無駄なく利用して電装部22による設置面積の増大を防いでいる。また、現像部〜定着器にかけての記録材搬送路の下部に電装部22を配置することにより、転写ローラ15や定着器17との電気的接続に必要な束線類を簡略化することができる。
【0031】
(操作部について)
図2に示す様に、画像形成装置1は、装置本体の底部に設けられた給送カセット2と、画像形成部の一部であり装置本体から着脱可能なプロセスカートリッジ13を有している。給送カセット2は、矢印A方向に着脱可能で記録材Pを充填することができる。
【0032】
23は開閉する開閉カバーで、この開閉カバー23を開いてプロセスカートリッジ13を取り出すことができる。
【0033】
外装カバー20の表面には、操作部24が設けられている。操作部24には、画像形成装置1の待機状態やジャム状態などを点灯により表示する表示部25と、画像形成装置1の機能を選択する押圧部材としての機能選択ボタン26が設けられている。図2では、表示部25及び機能選択ボタン26は、各2個で示されているが、これに限らず、操作部においては機能選択ボタンは1つ又は複数でも構わない。
【0034】
図3は、本実施例の画像形成装置1の操作部24の概略断面図を示す。
【0035】
27は、電気基板であり、機能選択ボタン26を介してユーザ(操作者)により機能選択されておされるスイッチ28と、画像形成装置1の状態を示すために点灯するLED29が実装されている。表示部25は光透過性で点灯したLED29の光を透過して表示する。
【0036】
30は、電気シールド部材としてのシールド板であり、本実施例では金属性の薄い板材でバネ性(弾性)を有している。シールド板30は接地されていて、装置本体外部からの静電気による電気基板上の実装部品の静電破壊を防止している。表示部25は外装カバー20に係止されている。
【0037】
機能選択ボタン26は、スイッチ28に対して移動可能となるようにシールド板30に設けられた弾性保持部30aに保持されている。また、機能選択ボタン26には、装置本体の外装カバー20から突出するように設けられ、ユーザにより押される突出部26aと、外装カバー20の内壁20aに当接する当接部26bとが設けられている。
【0038】
上述したように、本実施例に係る画像形成装置1の操作部24においては、機能選択ボタン26がバネ性のあるシールド板30上に保持されている。そして、ユーザが機能選択ボタン26を押した場合、機能選択ボタン26は、弾性保持部30aが弾性変形することにより移動してスイッチ28を押すこととなる。このため、ユーザが機能選択ボタン26を押した時の操作感をシールド板30のバネ性を変えることで調整することができる。
【0039】
このため、シールド板30の板厚等の変更でバネ性を変更することで、電気基板に実装されたスイッチの押圧時のクリック感に関わらず、機能選択ボタン26の操作感を向上してユーザに機能選択ボタン26の操作を確実に認識させることができる効果が得られる。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明の実施例2に係る画像形成装置1の操作部について説明する。
【0041】
図4は、本実施例に係る画像形成装置1の操作部24の概略断面図であり、実施例1に対して異なる構成部分のみ述べることにして、同様の構成部分については、その説明を省略する。
【0042】
図4に示す画像形成装置1の操作部24においては、機能選択ボタン26は、スイッチ28に対して移動可能となるようにシールド板30に設けられた弾性保持部としてのバネ部30bに保持されている。そして、機能選択ボタン26は、バネ部30bの弾性力により外装カバー20(の内壁20a)に押圧されている。加えて表示部25もシールド板30のバネ部30cの弾性力により外装カバー20に押圧されている。
【0043】
本実施例の画像形成装置1の操作部24においても、機能選択ボタン26がバネ性のあるシールド板30上に保持されているため、実施例1同様、ユーザが機能選択ボタン26を押した時の操作感をシールド板30のバネ性を変えることで調整することができる。
【0044】
このため、シールド板30の板厚等の変更でバネ性を変更することで、電気基板に実装されたスイッチの押圧時のクリック感に関わらず、機能選択ボタン26の操作感を向上してユーザに機能選択ボタン26の操作を確実に認識させることができる効果が得られる。
【0045】
さらに、表示部25及び機能選択ボタン26がシールド板30のバネ部30b,30cにより押圧され外装カバー20に突き当たる構成としている。このことで、表示部25及び機能選択ボタン26の外装カバー20からの突出量を、シールド板30や電気基板27や外装カバー20の位置精度によらず決めることができる。このため、操作部24の見栄えを向上することができる効果が得られる。
【0046】
なお、実施例1及び実施例2では、操作部24のシールド板を金属性の薄い板材で構成した場合について説明したが、これに限るものではない。電気シールド部材は、導電性で接地されるものであって、バネ性を有するものであればよく、例えば導電性の樹脂材で構成しても、実施例1及び実施例2と同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、実施例1及び実施例2では、画像形成装置を用いて説明したが、本発明に係る操作部の構成は、画像形成装置の画像形成部の替わりに画像読み取り部を持つ原稿読み取り装置においても適用できる。また、効果においても機能選択ボタン26の操作感を向上する及び操作部24の見栄えを向上する実施例1及び実施例2と同様の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の概略断面図。
【図2】本発明の実施例1に係る画像形成装置の概略斜視図。
【図3】本発明の実施例1に係る画像形成装置の操作部の概略断面図。
【図4】本発明の実施例2に係る画像形成装置の操作部の概略断面図。
【図5】従来例の画像形成装置の概略斜視図。
【図6】従来例の画像形成装置の操作部の概略断面図。
【符号の説明】
【0049】
1 画像形成装置
20 外装カバー
20a 内壁
24 操作部
25 表示部
26 機能選択ボタン
27 電気基板
28 スイッチ
29 LED
30 シールド板
30a 弾性保持部
30b バネ部
30c バネ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置を動作させるために操作者により押される押圧部材と、
前記押圧部材に対応するスイッチを実装した電気基板と、
前記電気基板の静電破壊を防止するために前記電気基板を保護する電気シールド部材と、
を備えた画像形成装置において、
前記電気シールド部材は、弾性を有し前記押圧部材を移動可能に保持する弾性保持部を備え、
前記押圧部材は、前記弾性保持部が弾性変形することにより移動して前記スイッチを押すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、
画像形成装置の外装カバーから突出するように設けられ、操作者により押される突出部と、
前記外装カバーの内壁に当接する当接部と、
を備え、
前記弾性保持部の弾性力により前記外装カバーの内壁に向けて押圧されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電気シールド部材は、金属の板材から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電気シールド部材は、導電性の樹脂部材から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−83345(P2008−83345A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262625(P2006−262625)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】