説明

画像形成装置

【課題】コスト上昇や大型化を抑えながら、緊急停止に起因する画質の劣化を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成中に紙詰まりを契機に24V系電源がオフされたら、画像形成装置1は制御部101にて、クラッチ機構304を連結し、ソレノイド406を間欠的に通電する。ソレノイド406が間欠的に通電されると、上述のように、ラチェット歯401aとつめ402との噛み合いを間欠的に解除されるので、感光体ドラム201がぜんまい306によって断続的に回転駆動される。これによって、感光体ドラム201の特定部位が長時間に亘って帯電装置直下に留まり、コロナ放電によって発生した窒素酸化物やオゾンに暴露されることに起因する画像不良を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、緊急停止による画質劣化を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
中間転写方式の画像形成装置においては、定着装置の発熱等によって、画像形成時に感光体ドラムや中間転写体が昇温される。その後、待機状態に移行すると、感光体ドラムや中間転写体は温度低下する。この際、感光体ドラムは中間転写体よりも早く温度低下するのだが、これらは待機時も当接しているので、ニップ部と他の部分とで感光体ドラムの温度に差が生じる。感光体ドラムの光感度特性は温度に依存して変化するので、温度差がある状態で画像形成すると帯状の画像不良が生じる。
【0003】
このような問題に対して、待機時に感光体ドラムと中間転写体とを少しずつ回転させ続ける技術が開発されている。このようにすれば、感光体ドラム上でニップ位置が少しずつ移動するので、感光体ドラム表面の温度差を低減して、画像不良を解消することができる(特許文献1を参照)。
また、感光体ドラム表面を帯電させるための帯電装置はコロナ放電によって窒素酸化物(NOx)やオゾンを発生させるところ、感光体ドラムの特定部位がこれらに長時間、暴露されると、感光体ドラム表面の状態が変化して、かぶり画像や濃度の低下といった画像不良が発生する。このような問題も、感光体ドラムを少しずつ回転させ続けることにより解消することができる。
【特許文献1】特開2000−75683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、画像形成装置は画像形成に際して記録シートを搬送しなければならない関係上、時として紙詰まりが発生することがある。紙詰まりが検出されると、紙詰まり位置がオペレータに報知されると共に、駆動系電源が遮断される。これによって、記録シートを除去する際にオペレータが感電したり、短絡によって回路が破壊されたりすることが防止される。
【0005】
しかしながら、駆動系電源が遮断されると、感光体ドラムを回転させ続けることができないため、感光体ドラムの特定部位が長時間に亘って帯電装置直下に留まることになり、画像不良が避けられない。
また、駆動系電源が遮断されたら予備電源を用いて感光体ドラムを回転させる対策も考えられるが、そのような予備電源を設けると、画像形成装置のコストが上昇し、画像形成装置の小型化の要請に反するし、そもそも感電や回路破壊の防止といった目的にそぐわない。
【0006】
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、画像形成装置のコスト上昇や大型化を抑えながら、緊急停止に起因する画質の劣化を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、電動モータにて感光体ドラムを回転駆動しつつ画像形成する画像形成装置であって、弾性体の弾性復元力で回転駆動力を発生する補助駆動ユニットと、補助駆動ユニットが発生する回転駆動力を感光体ドラムに伝達、遮断する補助駆動ユニット連結器と、電動モータが感光体ドラムを回転駆動しているときは補助駆動ユニット連結器を遮断する一方、電動モータへの電力供給が断たれると補助駆動ユニット連結器を連結する制御手段、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、弾性復元力によって感光体ドラムを回転駆動する補助駆動ユニットを採用することによって、画像形成装置のコスト上昇や大型化を抑えながら、緊急停止時における窒素酸化物等の感光体ドラムへの付着の偏りに起因する画質の劣化を防止することができる。
この場合において、補助駆動ユニットが発生する回転駆動力を、電動モータよりも低速な回転駆動力に調速する調速器を備えるとすれば、より長期間に亘って前記補助駆動ユニットにて感光体ドラムを回転駆動することができる。
【0009】
また、前記調速器はラチェット機構を含み、間欠回転する駆動力を出力するとすれば、低電圧で動作するソレノイド等を用いて作動するラチェット機構を採用できるので、更に好適である。
本発明に係る画像形成装置は、電動モータが発生する回転駆動力を感光体ドラムに伝達、遮断する電動モータ連結器と、電動モータ連結器を遮断した状態で、感光体ドラムを回転駆動する場合とは逆方向の回転駆動力を電動モータに発生させて、前記弾性体に弾性エネルギーを蓄積させる第2の制御手段と、を備えることを特徴とする。このようにすれば、電動モータを用いて補助駆動ユニットに弾性エネルギーを蓄積させるので、当該補助駆動ユニットを繰り返して利用することができる。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、電動モータが発生する回転駆動力を感光体ドラムに伝達、遮断する電動モータ連結器と、補助駆動ユニットが発生する回転駆動力を規制して間欠回転とする一方、その逆方向の回転は規制しないラチェット機構と、電動モータ連結器を遮断した状態で、感光体ドラムを回転駆動する場合とは逆方向の回転駆動力を電動モータに発生させて、前記弾性体に弾性エネルギーを蓄積させる第2の制御手段と、を備え、電動モータはラチェット機構を介して補助駆動ユニットに回転駆動力を伝達し、補助駆動ユニットはラチェット機構を介して感光体ドラムを回転駆動することを特徴とする。このようにすれば、緊急停止時においても感光体ドラムを回転駆動して、窒素酸化物等の付着の偏りに起因する画質劣化を防止することができる。
【0011】
また、前記弾性体はぜんまいであるとすれば好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態について、タンデム型のカラー画像形成装置を例にとり、図面を参照しながら説明する。
[1] 画像形成装置の構成
先ず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す図である。図1に示されるように、画像形成装置1は作像部100Y〜100K、制御部101及び中間転写ベルト102を備えている。
【0013】
制御部101は、原稿を読み取って生成した画像データや外部のパソコン等から受け付けた画像データに応じて、作像部100Y〜100Kを制御する。
作像部100Y〜100Kは制御部101の制御下、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(K)の各色のトナー像を作像し、中間転写ベルト102上に転写する。中間転写ベルト102上のトナー像は記録紙に転写され、熱定着された後、排出される。
【0014】
[2] 作像部100Y〜100Kの構成
次に、作像部の構成について説明する。なお、作像部100Y〜100Kは本発明に関して何れも同様の構成を備えるので、まとめて作像部100として説明する。
図2は、作像部100の主要な構成を示す図である。図2に示されるように、作像部100は、感光体ドラム201、帯電チャージャ202、露光部203、現像部204、転写チャージャ205及びトナー回収部206を備えている。
【0015】
画像形成時において感光体ドラム201は図中矢印A方向に回転する。
また、感光体ドラム201以外の部材は、矢印A方向上流から帯電チャージャ202、露光部203、現像部204、転写チャージャ205及びトナー回収部206の順に配されている。
帯電チャージャ202はコロナ放電によって感光体ドラム201の外周面を所定の電位に帯電する。露光部203は、画像信号に応じて感光体ドラム201の外周面にレーザ光を照射し、静電潜像を形成する。現像部204は、感光体ドラム201の外周面に形成された静電潜像に各色のトナーを供給して、トナー像を形成する。
【0016】
転写チャージャ205は、中間転写ベルト102を挟んで感光体ドラム201と対向配置されており、感光体ドラム201の外周面に形成されたトナー像を静電引力にて中間転写ベルト102上に転写する。トナー回収部206は、転写後に感光体ドラム201の外周面に残留するトナーを回収する。
[3] 感光体ドラム201の駆動機構
次に、感光体ドラム201の駆動機構について説明する。
【0017】
図3は、感光体ドラム201の主要な駆動機構を示す図である。図3に示されるように、作像部100は伝達シャフト301、クラッチ機構302、304、駆動モータ303、ラチェット機構(ratchet gearing)305、ぜんまい306及びケース307を備えている。
クラッチ機構302は制御部101の制御下、駆動モータ303やぜんまい306が発生する回転駆動力を感光体ドラム201に伝達したり遮断したりする。また、クラッチ機構304は同じく、ぜんまい306が発生する回転駆動力を感光体ドラム201に伝達したり遮断したりし、また、駆動モータ303が発生する回転駆動力をぜんまい306に伝達したり遮断したりする。
【0018】
駆動モータ303は制御部101の制御下、ギア303a、303bを介して伝達シャフト301を回転駆動する。クラッチ機構302が接続され、クラッチ機構304が切断されている状態で、駆動モータ303は感光体ドラム201を矢印A方向に回転駆動する。
また、クラッチ機構302が切断され、クラッチ機構304が接続されている状態で、駆動モータ303はラチェット機構305を介して伝達シャフト301を矢印B方向に回転させる。これによって、ぜんまい306が巻き戻される。
【0019】
ラチェット機構305は制御部101の制御下、伝達シャフト301の矢印A方向への回転を規制する。なお、矢印B方向への回転は規制されない。
図4は、ラチェット機構305の主要な構成を示す図である。図4に示されるように、ラチェット機構305は、つめ車401、つめ402、ハウジング403、引張ばね404、ヨーク405及びソレノイド406を備えている。
【0020】
つめ車401には6つのラチェット歯401aとひとつの中心孔401bが形成されており、伝達シャフト301が前記中心孔401bに嵌合されている。ラチェット歯401aにはつめ402の先端部が噛み合って、つめ車401の矢印A方向への回転を規制する。なお、つめ車401の矢印B方向への回転は規制されない。
つめ402とハウジング403とにはそれぞれ切欠き部が形成されており、これら切欠き部を遊嵌させることによって、つめ402がハウジング403に揺動自在に取り付けられている。
【0021】
また、つめ402の一端には引張ばね404が係止されており、引張ばね404の他端はハウジング403に係止されている。引張ばね404は、前記切欠き部を支点として、つめ402の他端がラチェット歯401aに噛み合うように付勢する。
ヨーク405とソレノイド406とはハウジング403の内部に格納されている。ソレノイド406は制御部101の制御下、通電されることによってヨーク405に磁気を発生させ、つめ402を吸引する。これによって、つめ402の端部とラチェット歯401aとの噛み合いが解除される。
【0022】
ぜんまい306は一端を伝達シャフトの突起部301aに係止され、もう一端をケース307の内部に係止されている。前述のように、ぜんまい306は駆動モータ303によって巻かれる。また、クラッチ機構302、304が連結された状態で、制御部101がラチェット歯401aとつめ402との噛み合いを間欠的に解除することによって、感光体ドラム201が断続的に回転駆動される。
【0023】
ケース307はぜんまい306を格納する。ケース307はビス307aにて不図示の支持部材に固定される。また、枢支軸307cはワッシャ307bを挟んで伝達シャフト301を回転可能に枢支する。
[4] 制御部101の構成
次に、制御部101の構成について説明する。
【0024】
図5は、制御部101の主要な構成を示すブロック図である。図5に示されるように、制御部101はCPU(Central Processing Unit)501、RAM(Random Access Memory)502、ROM(Read Ony Memory)503、制御IO(Input/Output)504及びタイマIC505が内部バス506にて相互に接続されてなる。
CPU501は画像形成装置1の電源オン時に制御プログラムをROM503からRAM502上に読み出して、これを実行する。CPU501は制御プログラムに従い、制御IO504を介して、駆動モータ303、ソレノイド406の動作を制御したりする。
【0025】
また、CPU501は、タイマIC505にタイマ値をセットすると、当該タイマ値に相当する時間が経過した後、タイマIC505からタイマ割込みを受ける。CPU501は当該タイマ割込みを契機にソレノイド406に流す電流を制御する。
なお、制御部101並びにソレノイド406は5V系の直流電源にて駆動される一方、駆動モータ303は24V系の直流電源にて駆動される。駆動モータ303以外のモータや定着装置も24系電源から電力の供給を受ける。
【0026】
[5] 画像形成装置1の動作
次に、画像形成装置1の動作について、特に、感光体ドラム201の回転制御に着目して説明する。
図6は、画像形成装置1の動作を表すタイミングチャートである。図6に示されるように、画像形成装置1は、画像形成時には、クラッチ機構302を接続し、クラッチ機構304を切断した状態で駆動モータ303を正転させることによって、感光体ドラム201を回転させる。
【0027】
画像形成中に発生する紙詰まり等を契機に24V系電源がオフされたら、画像形成装置1は制御部101にて、クラッチ機構304を連結し、ソレノイド406を間欠的に通電する。
ソレノイド406が間欠的に通電されると、上述のように、ラチェット歯401aとつめ402との噛み合いを間欠的に解除されるので、感光体ドラム201がぜんまい306によって断続的に回転駆動される。
【0028】
これによって、感光体ドラム201の特定部位が長時間に亘って帯電装置直下に留まり、コロナ放電によって発生した窒素酸化物やオゾンに暴露されることに起因する画像不良を解消することができる。
その後、紙詰まり等が解消され、24V系電源がオンされたら、画像形成装置1は、クラッチ機構302を切断し、駆動モータ303を逆回転させることによって、ぜんまい306が巻き戻される。ぜんまい306を巻き戻し終わったら、中断されていた画像形成が再開される。
【0029】
[6] 制御部101の処理
画像形成装置1に上述のような動作をさせるために、制御部101は以下のような処理を実行する。
図7は、制御部101の処理を示すフローチャートである。図7に示されるように、制御部101は24V系電源をオフした場合には(S701:Yes)、クラッチ機構302を連結する(S702)。これによって、ぜんまい306の回転力が感光体ドラム201に伝達される。
【0030】
次に、制御部101はタイマIC505に所定のタイマ値(30秒)をセットして(S703)、タイマIC505からの割込みによってタイムアウトを検出したら(S704:Yes)、ソレノイド406を入り切りする(S705)。
すなわち、制御部101はソレノイド406に通電して、ラチェット歯401aとつめ402との噛み合いを解除した後、直ちにソレノイド406の通電を停止して、次のラチェットは401aとつめ402とを噛み合せる。
【0031】
つめ車401には6つのラチェット歯401aが形成されているので、ソレノイド406の1回の入り切りによって、感光体ドラム201は60度だけ回転する。これによって、窒素酸化物等が感光体ドラム201の表面において偏在することによる画質の劣化を防止することができる。
その後、24系電源をオンしない場合には(S706:No)、再びタイマをセットする(S703)。また、24系電源をオンした場合には(S706:Yes)、ステップS701に戻る。
【0032】
[7] 変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1) 上記実施の形態においては特に言及しなかったが、ぜんまい306としては、例えば、以下を用いれば良い。すなわち、SUS(Stainless Used Steel)31製で板幅が8mm、総巻き数22巻きの接触型渦巻きバネを用い、ケース307の内径50mm、伝達シャフト301のシャフト径10mmとすれば、トルク100Nmmで感光体ドラム201を10回転させることができる。
【0033】
また、ぜんまい306にはステンレス鋼帯の他、炭素工具鋼などを用いても良い。
(2) 上記実施の形態においては、つめ車401のラチェット歯401aの個数が6つである場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、これに代えて次のようにしても良い。
例えば、感光体ドラム201径が60mmであって、帯電チャージャ202の幅が27mmである場合に、感光体ドラム201の周面を周方向に54mm(=27mm×2)移動させるにはラチェット歯401aを4つ設ければ良い。また、30mm移動させるにはラチェット歯401aを6つ設ければ良い。
【0034】
感光体ドラム201の特定部分が窒素酸化物等に暴露される時間を短縮するという目的に鑑みれば、感光体ドラム201の帯電チャージャ202に覆われる部分の中心角よりも大きくするのが望ましい。また、ぜんまい306によって、感光体ドラム201を回転駆動する時間を長くするためには、一度に駆動する回転角を前記中心角よりも小さくならない範囲で小さくするのが望ましい。
【0035】
(3) 上記実施の形態においては、専らぜんまい306を用いて感光体ドラム201を回転駆動する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、ぜんまい以外の装置を用いて感光体ドラムを駆動しても良い。
すなわち、ぜんまい306は、駆動モータ303に巻き戻されることによって、弾性エネルギーを蓄え、24V系電源がオフされたら当該弾性エネルギーを用いて感光体ドラム201を回転駆動する。このため、ぜんまい以外の駆動源であっても、駆動モータ303によって弾性エネルギーを蓄え、当該弾性エネルギーを用いて感光体ドラム201を回転させる駆動源を用いれば、本発明の効果を得ることができる。
【0036】
この場合において、画像形成装置の小型化の要請を考慮すれば、弾性エネルギーを蓄積、利用する駆動源はぜんまいと同程度に小型であるのが望ましい。
(4) 上記実施の形態においては、専ら作像部100Y〜100Kに個別にぜんまい306を配して感光体ドラム201を回転駆動する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、これに代えて次のようにしても良い。
【0037】
すなわち、24V系電源は作像部100Y〜100Kに共通してオフされることから、作像部100Y〜100Kの感光体ドラムを共通のぜんまいにて回転駆動しても良い
(5) 上記実施の形態においては特に言及しなかったが、駆動モータ303の回転力をぜんまい306に伝達する経路上にトルクリミッタを配すれば更に好適である。このようにすれば、駆動モータ303がぜんまい306を巻き過ぎて、ぜんまい306が損壊するのを防止することができる。
【0038】
(6) 上記実施の形態においては、ラチェット歯401aとつめ402の噛み合いを30秒毎に解除する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、30秒以外の周期でラチェット歯401aとつめ402の噛み合いを解除しても良い。例えば、24V系電源がオフされる時間が高々1時間であると見積もられる場合には、ぜんまい306の最大回転数とラチェット歯401aの個数とを考慮して当該周期を決定すれば良い。
【0039】
(7) 上記実施の形態においては特に言及しなかったが、24系電源は駆動モータ303や定着装置等に電力を供給する高圧系電源である一方、5V系電源は制御部101や操作パネル等に電力を供給する低圧系電源である。本発明を実施するに際しては、画像形成装置が24V以外の高圧系電源を用いたり、5V以外の低圧系電源を用いたりしても良く、電源電圧値によらず本発明の効果を得ることができる。
【0040】
なお、クラッチ機構302、304も低電圧系電源にて駆動される。
(8) 上記実施の形態においては、専らクラッチ機構を用いて駆動源を切り替える場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、クラッチ機構に代えて、或いはクラッチ機構と共に他の動力切り替え機構を用いても良い。例えば、ギアの噛み合いと分離とによって動力を切り替えても良い。
【0041】
(9) 上記実施の形態においては主に24V系電源の復帰時にぜんまいを巻き戻す場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに加えて次のようにしても良い。
すなわち、24V系電源がオフされた状態で更にすべての電源が遮断されることも不具合等の発生時には珍しくない。このような場合、ぜんまいが巻き戻されないまま通常動作に復帰すると、次に24V系電源がオフされた場合に感光体ドラムを十分に回転駆動し続けることができない。
【0042】
これに対して、24V系電源の復帰時に加えて電源投入時にもぜんまいを巻き戻せば、上述のような問題を解決することができる。
図8は、本変形例に係る巻き戻し処理を示すフローチャートである。図8に示されるように、制御部101は、巻き戻し処理として、先ず、クラッチ機構302を切断し(S801)、クラッチ機構304を連結した後(S802)、駆動モータ303を逆回転させる(S803)。
【0043】
制御部101は、ぜんまい306を巻き終わるまで駆動モータ303を逆回転させ続け、ぜんまい306を巻き終わったら(S804:Yes)、駆動モータ303を停止する(S805)。そして、クラッチ機構304を切断し(S806)、クラッチ機構302を連結する(S807)。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る画像形成装置は、緊急停止時等に発生する窒素酸化物等が感光体に付着することによる画質劣化を防止する技術として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る作像部100の主要な構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る感光体ドラム201の主要な駆動機構を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るラチェット機構305の主要な構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る制御部101の主要な構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の動作を表すタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る制御部101の処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の変形例(9)に係る制御部101の巻き戻し処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1………………………画像形成装置
100…………………作像部
101…………………制御部
102…………………中間転写ベルト
201…………………感光体ドラム
202…………………帯電チャージャ
203…………………露光部
204…………………現像部
205…………………転写チャージャ
206…………………トナー回収部
301…………………伝達シャフト
301a………………突起部
302、304………クラッチ機構
303…………………駆動モータ
303a、303b…ギア
305…………………ラチェット機構
306…………………ぜんまい
307…………………ケース
307a………………ビス
307b………………ワッシャ
307c………………枢支軸
401…………………つめ車
401a………………ラチェット歯
401b………………中心孔
402…………………つめ
403…………………ハウジング
404…………………引張ばね
405…………………ヨーク
406…………………ソレノイド
501…………………CPU(Central Processing Unit)
502…………………RAM(Random Access Memory)
503…………………ROM(Read Ony Memory)
504…………………制御IO(Input/Output)
505…………………タイマIC
506…………………内部バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータにて感光体ドラムを回転駆動しつつ画像形成する画像形成装置であって、
弾性体の弾性復元力で回転駆動力を発生する補助駆動ユニットと、
補助駆動ユニットが発生する回転駆動力を感光体ドラムに伝達、遮断する補助駆動ユニット連結器と、
電動モータが感光体ドラムを回転駆動しているときは補助駆動ユニット連結器を遮断する一方、電動モータへの電力供給が断たれると補助駆動ユニット連結器を連結する制御手段、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
補助駆動ユニットが発生する回転駆動力を、電動モータよりも低速な回転駆動力に調速する調速器を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記調速器はラチェット機構を含み、間欠回転する駆動力を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
電動モータが発生する回転駆動力を感光体ドラムに伝達、遮断する電動モータ連結器と、
電動モータ連結器を遮断した状態で、感光体ドラムを回転駆動する場合とは逆方向の回転駆動力を電動モータに発生させて、前記弾性体に弾性エネルギーを蓄積させる第2の制御手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
電動モータが発生する回転駆動力を感光体ドラムに伝達、遮断する電動モータ連結器と、
補助駆動ユニットが発生する回転駆動力を規制して間欠回転とする一方、その逆方向の回転は規制しないラチェット機構と、
電動モータ連結器を遮断した状態で、感光体ドラムを回転駆動する場合とは逆方向の回転駆動力を電動モータに発生させて、前記弾性体に弾性エネルギーを蓄積させる第2の制御手段と、を備え、
電動モータはラチェット機構を介して補助駆動ユニットに回転駆動力を伝達し、
補助駆動ユニットはラチェット機構を介して感光体ドラムを回転駆動する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記弾性体は、ぜんまいである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−139433(P2009−139433A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312682(P2007−312682)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】