説明

画像形成装置

【課題】メモリ容量の比較的小さな画像形成装置であっても、メモリフルの発生を回避するとともに、その回避に伴う印刷動作に対してユーザにかかる手間を軽減する。
【解決手段】通信機能を備える画像形成装置であって、画像を読み取って画データとして入力する読取手段と、画データを記憶する記憶手段と、画データを印刷する印刷手段と、印刷前に記憶手段の記憶容量を超えて画データが入力された場合、それまで記憶された蓄積画データとその後に入力される読取画データを情報処理装置に転送する制御手段と、蓄積画データ及び読取画データの転送先を設定する転送先設定手段と、を有し、制御手段は、記憶容量超過の場合、蓄積画データと読取画データを、ヘッダ情報にコピー設定パラメータを付加したEメールとして、転送先として設定された情報処理装置に転送し、印刷手段は、コピー設定パラメータに基づく転送画データの印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、メモリ容量の比較的小さい画像形成装置に好ましく適用され、メモリのオーバフロー時に適切なリカバリ処理を可能とする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置は、スキャナ等から読み取った印刷データをメモリに蓄積し、蓄積したデータを順次印刷する。印刷の終了した印刷データはメモリ上から破棄され、新たな印刷データがメモリ上に蓄積される。この画像形成装置上のメモリには上限があり、当然上限を超えた場合(メモリフル)は印刷ができない。
【0003】
以下に、メモリフルの発生しうる印刷方法を列挙する。
(1)逆順印刷
スキャナで読み取った順番と逆順に印刷を行う。
・読取順:1→2→3
・印刷順:3→2→1
(2)電子ソート
スキャナで読み取ったものを部数単位で出力する。
・読取順:1→2→3
・印刷順:1→2→3→1→2→3→・・・
【0004】
例えば、(2)に示すソートコピー等、全データをメモリに蓄積して丁合コピーする際のメモリフル発生時の処理としては、発生段階で中断する方法が知られている。また、例えば特許文献1には、メモリフル発生を回避する方法として、画像形成装置側に全ページ分の描画データを蓄積するだけのメモリ容量がない場合にメモリに蓄積出来るページまでを丁合して印刷を行い、その後残りのデータをメモリの蓄積して再度丁合コピーを行うようにして、画像形成装置側で蓄積可能な容量毎に分割して描画データを印刷する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−170631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、今までの方法では、メモリフルの発生段階で中断した場合に印刷がまったく行われないため、ユーザは所望の印刷物を得ることができず、印刷を再度行う手間が発生するという問題があった。この印刷を再開する場合も、同様の手順では当然メモリフルが再度発生するため、ユーザはコピー原稿をメモリ蓄積可能な枚数に分割して行わなければならない手間が発生するという問題があった。
【0006】
この問題を回避する方法として、特許文献1で開示されたような、印刷制御装置側で蓄積可能な容量毎に分割して描画データを印刷する方法があるが、この方法では、最終的には、分割されて印刷された結果をユーザが再度丁合する必要があるため、ユーザの利便性の向上に繋がらないという別の問題が残る。
【0007】
そこで、本発明は、メモリ容量の比較的小さな画像形成装置であっても、メモリフルの発生を回避するとともに、その回避に伴う印刷動作に対してユーザにかかる手間を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、通信機能を備える画像形成装置であって、画像を読み取って画データとして入力する読取手段と、読取手段により入力された画データを記憶する記憶手段と、記憶手段により記憶された画データを印刷する印刷手段と、印刷手段による印刷前に記憶手段の記憶容量を超えて画像読取手段で画データが入力された場合、それまで記憶手段に記憶された蓄積画データとその後に読取手段で入力される読取画データとを、接続された情報処理装置に転送する制御手段と、蓄積画データ及び読取画データの転送先を設定する転送先設定手段と、を有し、制御手段は、記憶容量超過の場合、蓄積画データと読取画データとを、ヘッダ情報にコピー設定パラメータを付加したEメールとして、転送先設定手段により転送先として設定された情報処理装置に転送し、印刷手段は、情報処理装置からのコピー設定パラメータに基づく転送画データの印刷要求に応じて印刷を行うことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明は、上記の画像形成装置において、ユーザからの操作内容の入力を受け付け、操作内容や装置状態を表示する操作入力手段を有し、転送先設定手段は、Eメールの転送先の候補を検索して操作入力手段に表示し、操作入力手段で入力された複数の情報処理装置のEメールアドレスを、1つのEメールに対する転送先として設定することを特徴とするものであってもよい。
【0010】
また、本発明は、上記の画像形成装置において、制御手段は、印刷手段によりコピー設定パラメータに基づく転送画データの印刷が正常に行われた後、転送画像データのファイルを削除させるものであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、メモリ容量の比較的小さな画像形成装置であっても、メモリフルの発生を回避するとともに、その回避に伴う印刷動作に対してユーザにかかる手間を軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の述べる実施形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0013】
<ネットワークシステムの構成>
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置を含むオフィスフロアでのネットワークシステム10の構成を示す。図1に示すネットワークシステム10は、画像形成装置12と、情報処理装置14と、サーバ26等がイーサネット(登録商標)等のローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)28により相互接続されている。LAN28は、ハブ16により画像形成装置12、サーバ26、情報処理装置14等を物理接続していて、媒体アクセス制御(MAC:Media Access Control)アドレス及びIPアドレスを使用した相互通信を行っている。
【0014】
ハブ16は、さらにルータ18に接続され、ルータ18は、画像形成装置12、情報処理装置14、サーバ26をインターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN:Wide Area Network)等の広域ネットワーク20に接続している。広域ネットワーク20には、POP(Post Office Protocol)サーバ22が接続されていて、画像形成装置12、情報処理装置14、及びサーバ26との間でSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)プロトコルを使用した電子メールの伝送を可能としている。なお、広域ネットワーク20には、図1に示す以外にも、ウェブサーバ等が接続されていてもよい。また、POPサーバ22は、ISP(Internet Service Provider)等が提供するメール・サーバであってもよく、また、社内に設置された専用メールサーバとして実装することもできる。
【0015】
<画像形成装置の構成>
画像形成装置12は、ファクシミリ、コピー、プリンタ、ARDF(Auto Reverse Document Feeder)等の複合的な機能を提供しており、ユーザからの直接指令あるいは情報処理装置14等からのジョブ要求、公衆電話網24から受信したファクシミリデータを処理し、画像形成を行う。図2は、本実施形態の画像形成装置12の機能ブロック図である。なお、本実施形態の画像形成装置は、電子写真方式のものでもよいし、インクジェット記録方式のものでもよい。
【0016】
画像形成装置12は、プリンタ、コピー、ファクシミリ等の機能を提供するための各種機能を備え、ドキュメントを読み込んで光学読み取りを行うためのARDF30、ユーザに対して各種設定を可能とする操作パネル34(LCD(Liquid Crystal Display)パネルを含む)を有する。ARDF30は、原稿台上にセットされたドキュメントを、モータ32を起動してドキュメントの光学読み取りを行うスキャナ36に送り、照射光学系、駆動モータ、CCD(Charge-Coupled Device)等を駆動してドキュメントをデジタルデータに変換する。
【0017】
画像形成装置12は、MFPコントローラ38、画像形成を担当するプリンタエンジン52を備えている。MFPコントローラ38は、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、Windows(登録商標)200Xサーバ等のオペレーティングシステム(以下、OSという)を動作するCPU(図示せず)を含んでいる。さらに、MFPコントローラ38は、上述したOSの下で、C、C++、JAVA(登録商標)、Perl等のプログラミング言語で記述されたアプリケーションプログラムやApache、サーブレット等のサーバプログラムを実行し、ウェブサーバの一部機能も提供する。
【0018】
さらに、MFPコントローラ38は、ストレージ管理部40、通信処理部42、イメージ変換部44を備えている。ストレージ管理部40は、SDRAM(Synchronous DRA)56の入出力管理を実行する。SDRAM(Synchronous DRA)56のほかに、ハードディスク装置等の記憶装置でもよい。また、通信処理部42は、56Kbpsまたは126Kbps程度の通信レートのファックスモデム58から受信したITU−T勧告T.6等のプロトコルでデータを、ランレングス符号化、MR(Modified Read)、MMR(Modified MR)等の符号化方法を使用して復号化し、また画像形成装置12からのファクシミリ送信のためにデジタルデータをコードする。また、通信処理部42は、IPプロトコルスイート及びTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)又はUDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)を使用するデータ伝送も管理する。
【0019】
通信処理部42は、MFPコントローラ38が含むアプリケーションプログラムからのデータ伝送要求を受付け、IPパケットまたはフレームを作成し、ネットワークインタフェースカード(NIC(Network Interface Card))60からイーサネット(登録商標)あるいはワイヤレスLANへとデータを伝送し、また入来データをアプリケーションプログラムへと伝送する。なお、通信処理部42は、上述した処理を実行するため、PPP(Point to Point Protocol)及びPPPoE(PPP on Ethernet(登録商標))等のデータ接続プロトコルをサポートする。
【0020】
イメージ変換部44は、画像処理装置12が取得したデータを、GIF(Graphics Interchange Format)、BMP(Bit MAP)、JPEG(Joint Photographic Expert Group)、JPEG2000、TIFF(Tagged Image File Format)、PNG(Portable Network Graphics)等のイメージデータに変換し、変換されたイメージデータを使用してPDL(Page Description Language)を作成し、作成したPDLをプリンタエンジン52に渡し、画像形成させる。その他、MFPコントローラ38は、フラッシュROM(Read Only Memory)50などを実装し、画像形成装置12の起動時のセットアップデータや画像形成に使用する色変換データ等を管理している。USB(Universal Serial Bus)制御部48を含んでいて、USBコネクタ62を介してUSBホスト(図示せず)やプリンタエンジン52との間のバス接続を管理する。なお、USB制御部48は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15等により規定されるUWB(Ultra Wideband)プロトコルをサポートしていてもよい。画像形成装置12は、PSU(Power Supply Unit)54を実装していて、PSU54は、画像形成装置12の電源管理を行っている。
【0021】
プリンタエンジン52は、電子写真法あるいはインクジェット法を使用した画像形成を行っており、各画像形成方法により画像を形成するため、感光体、半導体レーザ、現像器、転写装置、定着装置あるいはインク容器、インクジェットノズル等を含んで構成されている。また、プリンタエンジン52は、PJL(Printer Job Language)をサポートしていて、外部からのプリント要求に対応した印刷を実行することができる。
【0022】
SDRAM等の記憶装置56は、複数のデータセットを管理する。記憶装置56が管理する本実施形態にかかわるデータセットは、送信元登録データ(SUC_ADDR:Source_Address)64、通知先登録データ(ACK_ADDR:Acknowledge_Address)66、およびMIB(Management Information Base)68である。
【0023】
送信元登録データ64は、ユーザがあらかじめ設定し、受信したファクシミリデータの通知を受けるか否かを指定するデータである。送信元登録データ64は、ファクシミリ番号のフォーマットで登録する。また、通知先登録データ66は、当該ユーザの通知先アドレスを登録する。通知先登録データ66は、種々のフォーマットで登録することができ、例えば、メーラ46を使用して電子メールとして通知メッセージを送信するための電子メールアドレス、MACアドレス、IPアドレス(プライベートアドレス/サブネットマスクで規定されるローカルドメイン)、または端末名称を使用することができる。MACアドレス、IPアドレスを通知先登録データ66として使用する場合、端末名称またはユーザ識別値と、MACアドレスまたはIPアドレスとの対応テーブルを実装することが、ユーザ入力の手間を省くためには好ましい。また、ネットワーク基盤がTCP/IPではなく、NETBIOS(Network Basic Input-Output System)を使用している場合には、端末名称を使用して、端末名称とIPアドレスとMACアドレス等を対応させて登録したルックアップテーブル等を通知先登録データ66とすることができる。
【0024】
MIB68は、RFC(Request For Comment)1156として規定されている第1MIBあるいはRFC1213で規定されている第2MIBを使用して構成される、ネットワーク管理情報を登録するデータセットであり、管理するべき画像形成装置に状態を、オブジェクト識別値(OID:Object Identifier)及びそのステータスデータとして対応づけて管理する。
【0025】
なお、情報処理装置14及びサーバ26は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ブレードサーバやシンサーバ等、サーバ専用の情報処理装置である。情報処理装置14は、アプリケーションソフトによる処理結果を、プリンタドライバを介して画像形成装置12に伝送し、画像形成装置12に対して処理結果を出力させている。また、サーバ26がプリンタサーバとして提供されている場合には、サーバ26は、情報処理装置14からのプリント要求を受け付け、適切な画像形成装置12にプリントジョブを指令している。
【0026】
図3は、本実施形態の画像形成装置12のMFPコントローラ38のソフトウエア構成図を示す。ポータルソフトウエア381、ドキュメントマネージ382、スキャン383、ファックス384、プリント385、SMU(System Management Unit)390は、マルチファンクション画像形成装置に必要な各種アプリケーションソフトである。
【0027】
ポータルソフトウエア381は、各機能のアプリケーションソフトの設定、削除を行う。TWAINドライバ386は、スキャン383から入力した画像データをPC上で使用が可能な形式に変換する。PC−FAXドライバ387は、ファックス384から入出力された画像データをPC上で使用が可能な形式に変換する。RPCSドライバ388は、画像データをプリンタ出力が可能な形式に変換する。PCLドライバ389は、PCL形式の印刷データをプリンタ出力可能な形式に変換する。SMU390は、AIO機器情報を管理をし、各ドライバのデータサイズや図1のRAM/ROM容量情報等の機器情報も記憶する。MIB391は、機器情報データベースを意味する。LSD392は、PC上からUSB等を経由して機器設定の登録・変更を行うアプリケーションである。
【0028】
<コピー動作の概要>
コピー機能の動作例を示す。原稿をフラットベットあるいはARDFユニット(図2の32)にセットする。ARDFユニットは、原稿反転機構(不図示)を備えているため、原稿を反転して原稿の裏面を読み取ることが可能で、両面原稿の自動読み取りに対応している。オペレーションパネル上から、記録紙サイズ、記録紙タイプ、給紙トレイ、原稿タイプ(写真、文字)、読み取り解像度、濃度、拡大/縮小、両面原稿/両面印刷、集約、ソート等の機能設定を選択して、スタートキーを押下する。オペレーションパネル上から設定されたパラメータは、MFPコントローラ(図2の38)で設定条件の演算処理が行われて、原稿読み取り条件としてスキャナユニット(図2の36)に送られる。
【0029】
スキャナユニットでは、送られた読み取り条件にしたがって、CCDセンサ駆動モータ、またはARDFの原稿搬送モータの駆動を行い、CCDセンサによって、原稿から上記コピー設定に従った画像データの読込みが行われる。読み取られた画像データは、スキャナユニットからMFPコントローラに送られ、上記オペレーションパネルで設定されたコピー設定に従った画像加工が行われる。
【0030】
例として以下のコピーモードがある。
(1)通常コピー
原稿1ページの画データを設定されたコピーパラメータでスキャンを行い、画像の特殊加工は行わないで、印字対象の記録紙サイズのセンター基準でレイアウトする。
(2)集約コピー
2ページ分の画像データを設定されたコピーパラメータでスキャンし、印刷対象の記録紙1ページに印字できるように画像を、縮小・回転を行って1ページ内にレイアウトする。
(3)ポスターコピー(フラットベットのみの機能)
一度原稿のプレスキャンを行って画像サイズを検知する。検知した画像を4つのエリア分割して、エリアごとに設定されたコピーパラメータでスキャンを行い、各スキャン画像を印字対象の記録紙サイズ全面に拡大してレイアウトする。
(4)リピートコピー(フラットベットのみの機能):
一度原稿のプレスキャンを行って画像サイズを検知する。検知した画像が印字対象の記録紙サイズに縦横に並べていくつ入るかを算出して、検知したエリアの画像を設定されたコピーパラメータでスキャンを行い、印字対象の記録紙サイズに繰り返し並べてレイアウトする。
(5)自動変倍(フラットベットのみの機能)
一度原稿のプレスキャンを行って画像サイズを検知する。検知したエリアの画像を設定されたコピーパラメータでスキャンを行い、画像が印字対象の記録紙サイズにちょうど納まるように画像サイズを拡大/縮小を行って、印字対象の記録紙サイズにレイアウトする。
(6)ミラーコピー
原稿1ページの画データを設定されたコピーパラメータでスキャンし、スキャンした画像を反転(鏡像)して、印字対象の記録紙サイズのセンター基準でレイアウトする。
【0031】
上述したコピーモードでMFPコントローラによりレイアウトされ、1ページ単位の画像データに作成された画像は、TIFFフォーマット形式のデータとしてプリンタエンジンユニットへ、USB2.0の規格に則ったUSB通信を介して送られ、印字用の画像メモリに蓄積される。画像メモリに蓄積された画像データは、順次プリンタエンジンユニットの印字ヘッド1スキャン分の印字用データに変換が行われ、印字ヘッドからインクを吐出して記録紙に印刷される(インクジェット記録方式の場合)。
【0032】
次に、上述のようにして、ページ単位に読み込んだ画像データを蓄積しておき、これを適宜出力して印刷を行う基本動作について具体的に説明する。まず、本発明の特徴点をわかりやすくするために、従来の画像形成装置が備えていた基本的印刷機能について、逆順印刷及びソート印刷を挙げて説明する。図4(a)に1〜4ページの画像読み込み例、図4(b)に逆順印刷例、図4(c)に2部のソート印刷例をそれぞれ示す。
(逆順印刷)
読み込んだページの順番と、逆の順番で印刷を行う。
(ソート印刷)
読み込んだ画像を、部数単位で印刷する。
【0033】
上記従来の画像形成装置において行われていた基本動作の問題点について、図5を参照して説明する。まず、図5(a)に示すように、第1ページ目から読み込みを行い、第3ページ目に画像形成装置の記憶容量不足(メモリフル)が発生し、全ての画像データを保存しきれない状態となったと仮定する。すると、図5(b)に示すように、印刷対象の全データをメモリ上に保存できない場合はコピー自体がキャンセルされ、何も出力できない状態となる。図5(c)のソート印刷においても全ページの印刷が不可能となる。
【0034】
このような問題に対応するため、本発明では、第1の対策として、図6に示すように、メモリフルが発生した段階で、メモリ蓄積画像データをスキャナ読み取りデータで処理すべく、画像処理装置のスキャンtoE−mail機能を用いてPCへE−mail送信し、E−mail転送された画像データを、PCからプリンタ機能を用いて逆順あるいはソード印刷を自動に行う。
【0035】
具体的には、第1ページ目から読み込みを行って第3ページ目にメモリフルが発生した場合、まず第3ページ目からのコピー処理を一旦中断してスキャナ処理に切り替える。次に、第2ページ目までの蓄積画像をE−mail送信可能なファイル形式(例えばJPEG等)に圧縮、変換する。次に、第3ページ目以降の画像データを読み込んで、変換済みの画像ファイル(第2ページ目までの蓄積画像)の継続データとして圧縮、蓄積する。そして、ファイル形式の変換した画像データを蓄積した後、スキャンtoE−mail機能を用いて、あらかじめメールアドレスを指定してあるPCに該画像データを送信する。なお、スキャンtoE−mail機能は、スキャナ機能とNICが搭載されている画像形成装置では一般的な機能である。
【0036】
図7に、メモリフル判定フローの一例を示す。まず、所定の操作パネル上の入力キーから、複写開始命令を受けて、画像の読み取りを開始する(701)。スキャナにより読み取られた画像データを順次メモリに保存するとともに、読み取られた画像データの容量とプリンタ上のメモリ残量とを比較する(702)。画像データの容量が多い場合は、メモリフルの発生となるため(1)へ進む。逆に、画像データの容量が少ない場合は、メモリフルではないためプリンタに対して画像データの転送を行う(703)。プリンタは保存手段に画像データを保存する。読み取り対象がまだ残っている場合は、スキャンを再開する(704)。読み取り対象が残っていない場合は、印刷を実行し終了する(705)。
【0037】
次に、上記メモリフルが発生した場合(図7の(1)に進んだ場合)の処理例(上記第1の対策)について、図8を参照して説明する。メモリフルが発生した後、スキャナによる画像の読み取り操作を停止する(901)。このとき、メモリに残っている画像データは保持したままとする。次に、操作パネル上のLCDにメモリフルが発生した旨を表示する(902)。続いて、コピーの設定をスキャナ読み取り機能に切り替える(903)。そして、メモリに蓄積された画像データを、E−mail送信可能なファイル形式(JPEG、PDF等)に変換する(904)。次に、スキャナによる原稿蓄積を再開して、読み取りデータを変換済みデータの継続データとしてメモリに蓄積する(905)。次いで、原稿蓄積終了後、装置内に記録してあるコピーデータ転送用メールアドレスを検索する(906)。
【0038】
コピーデータ転送用メールアドレスを検索した後、PCへメール送信する際の送信ファイルにTEXT形式のヘッダ情報として、コピー設定パラメータ(逆順印刷、ソート印刷、部数、解像度)を付加する(907)。そして、コピーデータ転送用メールアドレスに指定してあるPCに、蓄積データをE−mailとして送信する(908)。そして、送信ファイルを受け取ったPCは、画像形成装置専用アプリを用いて送信ファイルのヘッダ情報を解析し、印刷パラメータとしてプリンタドライバに設定する(909)。なお、画像形成装置専用アプリとは、例えばコピー時にPCにE−mail転送された画像データを、PCにインストールされている画像形成装置のプリンタドライバ機能を使用して自動的に印刷を実行するアプリである。そして、PCにおける画像形成装置専用アプリは、プリンタドライバの印刷機能を使用して、E−mailに添付してある画像ファイルを画像形成装置に印刷情報として送信して印刷を行う(910)。
【0039】
また、本発明では、上記の問題(現状の何も出力できない問題)に対応する上記第1の対策に加え、ユーザの利便性を向上するため、第2の対策として、第1の対策の実施中に、E−mailの転送先を検索して装置LCDに転送先候補を表示し、選択された送信先にコピーパラメータが付加されたE−mailを送信するようにしている。
【0040】
具体的には、図9に示すように、メモリフルが発生した後、スキャナによる画像の読み取り操作の中断を行い(1001)、操作パネル上のLCDにメモリフルが発生した旨を表示する(1002)。次に、コピーの設定をスキャナ読み取り機能に切り替え(1003)、メモリに蓄積された画像データのファイル形式変換を行う(1004)。次いで、スキャナによる原稿蓄積を再開し(1005)、原稿蓄積終了後、装置内に記録してあるコピーデータ転送用メールアドレスを検索する(1006)。ここまでは、第1の対策と同様である。
【0041】
次に、あらかじめ画像形成装置内に保存されている複数のコピーデータ転送用メールアドレスをLCD等の表示パネル上に選択可能な状態で表示する(1007)。そして、ユーザは表示されたメールアドレスから所望のメールアドレスを選択し、画像形成装置上の設定ボタンを押下して画像送信先メールアドレスを確定する(1008)。なお、この送信先アドレスは1つのE−mailに対して複数を選択することが可能である。もちろん単一のアドレスを選択してもよい。次に、PCへメール送信する際の送信ファイルにTEXT形式のヘッダ情報として,コピー設定パラメータ(逆順印刷、ソート印刷、部数、解像度)を付加する(1009)。
【0042】
続いて、コピーデータ転送用メールアドレスに指定してあるPCに蓄積データをE−mailとして送信する(1010)。送信ファイルを受け取ったPCは、画像形成装置専用アプリを用いて、送信ファイルのヘッダ情報を解析し、印刷パラメータとして、プリンタドライバに設定する(1011)。そして、画像形成装置専用アプリは、プリンタドライバの印刷機能を使用して、E−mailに添付してある画像ファイルを画像形成装置に印刷情報として送信して印刷を行う(1012)。
【0043】
また、本発明では、上記の問題(現状の何も出力できない問題)に対応する上記第1あるいは第2の対策に加え、ユーザの利便性を向上するため、第3の対策として、第1あるいは第2の対策の実施後に、E−mail送信された画像データがプリンタドライバに基づいて正常に印刷された後にこの印刷画像ファイルを削除するようにしている。すなわち、図10に示すように、図8や図9のフローに従ってコピー画像がPC経由で画像形成装置から出力された後、印刷出力が行われたファイルを画像形成装置専用アプリにより削除する(1101)。
【0044】
また、本実施形態では、印刷前にメモリフルが発生し、印刷自体がキャンセルされて何も出力できない場合の第1の対策として、PCに転送されたスキャンデータを自動で画像形成装置に印刷データとして送るようにしている。このように構成することで、印刷装置のメモリサイズに制限されないで目的の印刷物が得られ、自動にコピー出力が得られるため、メモリフルを解決するとともに、スキャナからの蓄積原稿から、自動で(大型コピー機同等に)ソート等の丁合いを行った印刷物を出力することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態では、印刷前にメモリフルが発生し、印刷自体がキャンセルされて何も出力できない場合の第2の対策として、画像形成装置で蓄積した画像をPCにE−mail送信する際に、複数のPCを選択できるようにしている。このように構成することで、画像形成装置のユーザ別にそれぞれのPCに画像送信ができ、ユーザ個々のPCに画像を配信するため不特定多数にコピー画像を見られることなく情報の保護が可能となる。
【0046】
また、本実施形態では、印刷前にメモリフルが発生し、印刷自体がキャンセルされて何も出力できない場合の第3の対策として、PCにE−mail送信した画像データの印刷動作が正常に終了した後でPCに転送されたE−mail(画像ファイル)を削除するようにしている。このように構成することで、コピー出力目的でPCに転送された画像ファイルを確実に削除することができ、コピー画像をPC上から不特定多数に見られることなく情報の保護が可能となる。
【0047】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0048】
すなわち、本実施形態における画像形成装置で実行されるプログラムは、実際のハードウエアを用いて具体的手段を実現する。すなわち、コンピュータ(CPU)が所定の記録媒体からプログラムを読み出して実行することにより、上述したようなメモリフル判定や、スキャナ機能切り替え、蓄積画像データのE−mail転送等の処理を行う。
【0049】
本実施形態における画像形成装置で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されるように構成してもよい。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供あるいは配布するように構成してもよい。
【0050】
また、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD、不揮発性のメモリカード等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されるように構成してもよい。また、上記プログラムは、ROM等にあらかじめ組み込んで提供するように構成してもよい。
【0051】
この場合、上記記録媒体から読み出された又は通信回線を通じてロードし実行されたプログラムコード自体が前述の実施形態の機能を実現することになる。そして、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を含むネットワークシステムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置のソフトウエア構成図を示す。
【図4】一般のコピー動作の概要を説明するための図である。
【図5】メモリフル発生時の問題点を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態におけるメモリフル発生時の動作処理の概要を説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態におけるメモリフル判定処理を示したフローチャート図である。
【図8】本発明の実施形態における転送画像データの自動印刷処理を示したフローチャート図である。
【図9】本発明の実施形態における転送画像データの自動印刷処理(アドレス選択あり)を示したフローチャート図である。
【図10】本発明の実施形態における印刷後の転送画像データ削除処理を示したフローチャート図である。
【符号の説明】
【0053】
10 ネットワークシステム
12 画像形成装置
14 情報処理装置
16 ハブ
18 ルータ
20 広域ネットワーク
22 POPサーバ
24 公衆電話網
26 サーバ
28 ローカルエリアネットワーク
30 ARDF
34 操作パネル
36 スキャナ(Scanner)
38 MFPコントローラ(MFP Controller)
40 ストレージ管理部
42 通信処理部
44 イメージ変換部
46 メーラ
48 USB制御部
52 プリンタエンジン(Pinter Engine)
54 PSU
56 SDRAM
58 ファックスモデム(FAXmodem)
60 ネットワークインタフェースカード(NIC)
62 USBコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能を備える画像形成装置であって、
画像を読み取って画データとして入力する読取手段と、
前記読取手段により入力された画データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された画データを印刷する印刷手段と、
前記印刷手段による印刷前に前記記憶手段の記憶容量を超えて前記画像読取手段で画データが入力された場合、それまで前記記憶手段に記憶された蓄積画データとその後に前記読取手段で入力される読取画データとを、接続された情報処理装置に転送する制御手段と、
前記蓄積画データ及び前記読取画データの転送先を設定する転送先設定手段と、を有し、
前記制御手段は、前記記憶容量超過の場合、前記蓄積画データと前記読取画データとを、ヘッダ情報にコピー設定パラメータを付加したEメールとして、前記転送先設定手段により転送先として設定された前記情報処理装置に転送し、
前記印刷手段は、前記情報処理装置からの前記コピー設定パラメータに基づく前記転送画データの印刷要求に応じて印刷を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ユーザからの操作内容の入力を受け付け、前記操作内容や装置状態を表示する操作入力手段を有し、
前記転送先設定手段は、前記Eメールの転送先の候補を検索して前記操作入力手段に表示し、前記操作入力手段で入力された複数の前記情報処理装置のEメールアドレスを、1つのEメールに対する転送先として設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記印刷手段により前記コピー設定パラメータに基づく前記転送画データの印刷が正常に行われた後、前記転送画像データのファイルを削除させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−103627(P2010−103627A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271070(P2008−271070)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】