説明

画像形成装置

【課題】定着装置等で揮発した溶媒の蒸気を回収し、再利用するに際して、溶媒回収装置からの排気における蒸気濃度を制御するとともに、溶媒装置からの排気量自体を低減し、溶媒の蒸気の総排出量をも抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】溶媒の蒸気を一時貯留する溶媒貯留手段と、回収装置へ移送する溶媒移送手段と、冷却し回収する溶媒回収手段とを備え、溶媒貯留手段において一時貯留している溶媒蒸気の濃度を検出し、それらに基づき溶媒移送手段による移送量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤を用いて形成され、記録媒体上に転写された未定着画像を加熱し、定着する定着手段を備えた画像形成装置に関するものであり、特に、定着時に揮発した液体現像剤の溶媒を回収する手段を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感光体(感光ドラム)に静電潜像を形成し、それにトナーを付着させて、紙などに転写して定着する電子写真方式の画像形成装置が、広く使用されている。特に、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー画像の乱れもおきにくい液体現像剤を用いる湿式現像方式が用いられるようになってきている。
【0003】
近年では、シリコンオイルなどの絶縁性液体「キャリヤ液」中に樹脂及び顔料からなる固形分としてのトナーを高濃度に分散させることで構成される、高粘度で高濃度の液体現像剤を用いる画像形成装置が提案されるようになってきた。
【0004】
この液体現像剤を用いて現像する際には、現像ローラ等の現像剤担持体上に現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された現像剤を感光体に接触させて現像するのが一般的である。
【0005】
感光体表面の潜像は、液体現像剤の薄層で現像され、感光体表面にトナー画像が形成される。このトナー画像は、記録媒体に転写される。あるいは、一旦中間転写体などに一次転写された後、記録媒体に二次転写される。
【0006】
記録媒体に転写されたトナー画像は、定着装置により加圧、加熱されるなどして、通常は紙である記録媒体に定着される。しかしトナー画像は、元々は溶媒としてのキャリヤ液にトナーを分散した液体現像剤を用いて現像したものであり、トナーのみならず、トナー間、トナー紙間には溶媒(以後、キャリヤ液ともいう)が含まれている。しかもかなり高粘度である。
【0007】
高粘度のキャリヤ液の存在は、トナー画像定着時の定着性を阻害することが知られている。例えば、トナー画像と記録媒体がキャリヤ液によって濡れた状態になっているため、トナー画像の定着性を低下させる、また加圧定着時に画像のつぶれや乱れを生じさせたりすることもある。
【0008】
これに対して、定着時に未定着のトナー画像から溶媒(キャリヤ液)を効率的に除去しようとする技術が開発されてきた。例えば加熱定着のニップ幅を拡大したり、定着前に予備加熱するなどして、未定着のトナー画像からキャリヤ液をより多く揮発させるようにする技術が提唱されている。
【0009】
しかしながら、より少ない熱エネルギーで効率的に溶媒を気化させる技術が開発されても、蒸発したキャリヤ液がそのまま大気中に放出されるのでは、問題がある。こういった溶媒のガスの中には僅かながらVOC(揮発性有機化合物)が含まれることがあり、人や環境に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0010】
安全性の観点から、揮発した溶媒を捕集し、処理するシステムを準備する必要がある。またそういった技術も開発されてきている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0011】
特許文献1には、機内で発生した溶剤ガスを浄化室に導入し、浄化室内でフィルタを何度も通すように循環させ、溶剤ガスを取り除く技術が提案されている。
【0012】
特許文献2には、画像形成装置内に酸化触媒ユニットを設け、定着ユニットで発生するキャリヤ蒸気を酸化触媒ユニットへ案内するダクトと吸入ファンを備え、データに応じて吸入ファンの速度を可変する制御を行う技術が提示されている。
【0013】
しかしながら、これらの技術にはキャリヤ液を回収して再利用するという発想そのものがない。例えば、フィルタで蒸気を捕集する方法においては、捕集することができても、そのキャリヤ液を簡単に脱離、回収し、循環利用することが難しい。また酸化触媒を利用する方法においても、キャリヤ液そのものが分解されるため、再利用は無理である。
【0014】
溶媒の蒸気を除去するとともに、できるだけ再利用できるような技術が望まれ、開発されてきた。例えば特許文献3には、機内で発生した溶剤ガスを循環させる経路を設け、冷却式の回収装置を配置し、回収処理した後、低濃度化した排気を再度加熱して定着器へ戻す技術が提案されている。
【0015】
キャリヤ液の蒸気の回収、再利用を考慮すると、このように冷却式の溶媒回収装置が望ましい。定着装置等で発生した蒸気をダクトなどで溶媒回収装置に導き、冷却して液化する。空気中の水蒸気とともに液化したキャリヤ液は、水との分離処理を経て、キャリヤ液として再利用することができる。
【特許文献1】特開平8−334984号公報
【特許文献2】特開2005−316366号公報
【特許文献3】特開平9−204121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、溶媒としてのキャリヤ液の再利用を考慮すると、定着時に揮発したキャリヤ液蒸気を冷却し、回収する技術が好適である。しかしながら、キャリヤ液蒸気を含む空気全体を冷やす必要があり、装置の大きさや電力消費、さらに霜の発生等を考慮すると、冷却温度は0℃近辺がほぼ限界である。従ってその温度での飽和蒸気圧に相当する濃度の蒸気が液化せず残留し、微量ながら排気中に含まれることになる。
【0017】
排気中のVOC濃度としては問題ないが、閉空間で継続的に排気が行われると、蓄積されたVOCが人や環境に悪影響を及ぼす問題が生ずる可能性もある。そのため、VOCの総排出量を抑制できるような溶媒回収装置の処理技術が望まれる。
【0018】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、定着装置等で揮発した溶媒の蒸気を回収し、再利用するに際して、溶媒回収装置からの排気における蒸気濃度を制御するとともに、溶媒装置からの排気量自体を低減し、溶媒の蒸気の総排出量を抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0020】
1. 溶媒中にトナーを分散した液体現像剤を用いて形成され、記録媒体上に転写された未定着画像を加熱定着する定着手段と、前記定着手段を囲み、前記定着手段により前記記録媒体から揮発させられた前記溶媒の蒸気を一時的に貯留する溶媒貯留手段と、前記溶媒の蒸気を冷却し、液体の前記溶媒として回収する溶媒回収手段と、前記溶媒貯留手段に貯留された前記溶媒の蒸気を、前記溶媒貯留手段内の空気とともに前記溶媒回収手段へと移送する溶媒移送手段と、を有する画像形成装置であって、前記溶媒貯留手段内に貯留した前記溶媒の蒸気の濃度を検出する濃度検出手段と、前記濃度検出手段により検出された濃度に基づいて、前記溶媒移送手段による前記溶媒の蒸気の移送量を調整する移送調整手段と、を有し、前記移送調整手段は、所定の基準濃度と、前記濃度検出手段により検出された濃度とを比較し、該検出された濃度が前記所定の基準濃度を上回れば移送量を増加させ、下回れば移送量を減少させるように、前記溶媒移送手段による前記溶媒の蒸気の移送量を調整することを特徴とする画像形成装置。
【0021】
2. 前記溶媒貯留手段内の雰囲気温度を検出する温度検出手段を有し、前記所定の基準濃度は、前記温度検出手段により検出された温度での前記溶媒の飽和蒸気濃度に応じて定められることを特徴とする1に記載の画像形成装置。
【0022】
3. 前記移送調整手段は、前記濃度検出手段により検出された前記濃度が前記所定の基準濃度を上回れば所定の移送量で移送を行い、下回れば移送を停止させるように、前記溶媒移送手段による前記溶媒の蒸気の移送量を調整することを特徴とする2に記載の画像形成装置。
【0023】
4. 前記所定の基準濃度は、前記温度検出手段により検出された温度での前記溶媒の飽和蒸気濃度の50%以上、90%以下に設定されることを特徴とする2または3に記載の画像形成装置。
【0024】
5. 前記溶媒移送手段は、前記溶媒貯留手段と前記溶媒回収手段とを結合するダクトと、該ダクトを通じて送風を行う送風装置とを有し、前記移送調整手段は、前記送風装置の送風を制御することで前記溶媒の蒸気の移送量を調整することを特徴とする1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【0025】
6. 前記溶媒貯留手段は、前記定着手段を内包するケーシングであり、該ケーシング内の雰囲気温度を一定に保つための熱源を備えることを特徴とする1から5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る画像形成装置によれば、定着装置等で揮発した溶媒の蒸気を回収し、再利用するに際して、溶媒の蒸気を一時貯留する溶媒貯留手段と、回収装置へ移送する溶媒移送手段と、冷却し回収する溶媒回収手段とを備え、溶媒貯留手段において一時貯留している溶媒蒸気の濃度を検出し、それらに基づき溶媒移送手段による移送量を調整する。これにより、溶媒回収手段からの排気中の蒸気濃度を制御した状態で、移送量、すなわち排気量自体を低減することができ、従って溶媒の蒸気の総排出量を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係る画像形成装置の実施形態を、図を参照して説明する。
【0028】
液体現像剤を用いる液体現像は、複写機、簡易印刷機、プリンタなどの画像形成装置に利用される。これらには、一般的に電子写真方式の画像形成プロセスが、共通して用いられている。まずその電子写真方式による湿式の画像形成部を、図1を参照して説明し、さらに液体現像剤を用いて現像され、記録媒体に転写された定着前のトナー画像を加熱定着する定着装置と、さらに定着時に揮発したキャリヤ液の蒸気を一時貯留する溶媒貯留装置、そこから溶媒回収装置へ移送する溶媒移送装置、蒸気を冷却し、液化回収する溶媒回収装置等について、その構成と機能動作を説明する(図2及び3参照)。
【0029】
(画像形成部の構成と機能動作)
図1を用いて、本実施形態の画像形成装置における画像形成部の構成例を説明する。図1は、湿式画像形成装置における画像形成部の概略構成例を示す断面図である。
【0030】
図1において、1は感光体ドラムであり、像担持体として機能する。画像形成部10はこの感光体ドラム1を中心に、その周囲に配設された、前記感光体ドラム1の表面を均一に帯電させる帯電装置2、帯電した感光体ドラム1上にLEDまたはレーザビームを照射して静電潜像を形成する露光装置3、その静電潜像を、液体現像剤を用いて現像する液体現像装置4、現像されたトナー像を転写材7に転写する転写装置5、そして転写後の感光体ドラムの表面に残存する液体現像剤を除去するクリーニング装置6などを備える。
【0031】
また、液体現像装置4の前後には、予め液体現像剤の一部を塗布したり、回収したりする装置を設ける場合もある。ここでは、液体現像装置4の後に、現像されたトナー像から余分な液体現像剤を除去するスクイズ装置91を設けている。
【0032】
転写材7は、そのまま記録用紙などの記録媒体であってもよいし、転写材7として中間転写ベルトなどを用いて、再度記録媒体に転写するような構成であってもよい。本実施形態では転写材7が記録媒体、すなわち記録紙であるとして説明する(以後、記録紙と呼ぶ)。
【0033】
液体現像装置4は、一般的には、表面に液体現像剤の薄層を担持し、像担持体である感光体ドラム1上の潜像を現像する現像ローラ41、その表面に液体現像剤8を供給する現像剤槽44等を備える。
【0034】
図1においては、液体現像装置4が1台のみ配置されているが、カラー画像形成のために複数台配置されていてもよい。カラー現像の方式、中間転写の有無などは任意に設定すればよく、それに合わせた任意の構成配置をとることができる。
【0035】
感光体ドラム1は、図1に示す矢印A方向に回転し、帯電装置2は、回転する感光体ドラム1の表面をコロナ放電などにより数百V程度に帯電させる。帯電装置2より感光体ドラム回転方向下流側においては、露光装置3から照射されたレーザビームにより、表面電位が百V程度以下に低下させられた静電潜像が形成される。
【0036】
露光装置3のさらに下流側には、液体現像装置4が配設されており、感光体ドラム1に形成された静電潜像が、液体現像剤8を用いて現像される。
【0037】
液体現像装置4には、絶縁性の溶媒(以後キャリヤ液とも呼称する)中にトナーを分散させた液体現像剤8が現像剤槽44内に収容されており、現像ローラ41表面に液体現像剤8が供給され、現像ローラ41上には液体現像剤8の薄層が担持される。
【0038】
さらに現像ローラ41と感光体ドラム1の静電潜像との電位差により、現像ローラ41上に担持された液体現像剤8の薄層内のトナー粒子が感光体ドラム1上の静電潜像に移動して、静電潜像が現像される。
【0039】
感光体ドラム1上の現像されたトナー像は、トナーとキャリヤ液が含まれている。スクイズ装置91は、例えばスクイズローラであり、現像されたトナー像から余分なキャリヤ液を除去する。スクイズローラ上のキャリヤ液は、ブレード92で除去する。
【0040】
転写装置5では、記録紙搬送ベルト52により感光体ドラム1の周速と同速度で搬送される記録紙7に帯電を施し、あるいは転写ローラ51により電圧を印加することで、感光体ドラム1上の現像されたトナー像が記録紙7上に転写される。
【0041】
転写装置5の下流側には、感光体ドラム1の表面上に残存する液体現像剤8を除去するクリーニング装置6(例えば、クリーナブレード)が配設されている。このクリーニング装置6により感光体ドラム1上に残存する液体現像剤8が除去される。
【0042】
転写装置5でトナー像が転写された記録紙7は、定着装置93へと搬送され、加熱定着の上、排出される。
【0043】
定着時のトナー画像の加熱とそれによるキャリヤ液の揮発、また蒸発したキャリヤ液の蒸気の回収装置とその処理についての詳細は、後述する。
【0044】
(現像剤の構成)
現像に用いる液体現像剤8について説明する。液体現像剤8は、溶媒であるキャリヤ液体中に着色されたトナー粒子を高濃度で分散している。また液体現像剤8には、分散剤、荷電制御剤などの添加剤を適宜、選んで添加してもよい。
【0045】
キャリヤ液としては、一般に電子写真用現像液として用いるものであれば、特に制限することなく使用できる。安全性を考慮して、絶縁性の、常温で不揮発性の溶媒が用いられる。不揮発性の溶媒としては、例えばシリコンオイル、ミネラルオイル、パラフィンオイル、鉱物油等を上げることができる。
【0046】
トナー粒子は、主として樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料をその樹脂中に均一に分散させる機能と、記録材に定着される際のバインダとしての機能がある。
【0047】
樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂を複数、混合して用いてもよい。
【0048】
トナーの着色に用いる顔料及び染料も一般市販のものを用いることができる。例えば、顔料として、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としては、ソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0049】
液体現像剤の調整方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調整することができる。例えば、樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ロールミルなどを用いて溶融混練し、均一に分散させ、得られた分散体を、例えばジェットミルによって微粉砕する。さらに得られた微粉末を、例えば風力分級機などにより分級することで、所定の粒径の着色トナーを得ることができる。
【0050】
続いて、得られたトナーをキャリヤ液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
【0051】
トナーの体積平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下の範囲が適当である。トナーの平均粒子径が0.1μmを下回ると現像性が大きく低下する。一方、平均粒子径が5μmを超えると画像の品質が低下する。
【0052】
液体現像剤に対するトナー粒子の割合は、10〜50質量%程度が適当である。10質量%未満の場合、トナー粒子の沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題がある。また必要な画像濃度を得るため、多量の現像剤を供給する必要があり、紙上に付着するキャリヤ液が増加し、定着時に乾燥せねばならず、蒸気が発生し環境上の問題が生じる。50質量%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も、また取り扱いも困難になる。
【0053】
液体現像剤の粘度は、25℃において0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が好ましい。10000mPa・s以上になると、キャリヤ液とトナーの撹拌が困難となり、均一な液体現像剤を得るための装置面での負担が大きい。
【0054】
(溶媒の回収、再利用のための構成と機能動作)
図2には、定着装置から揮発した溶媒の蒸気の回収、再利用のための装置(溶媒貯留装置、溶媒移送装置、溶媒回収装置など)の構成図を示す。また図3は、各装置の機能動作の関連を示すブロック図である。
【0055】
図2及び図3を参照して、溶媒(キャリヤ液)の蒸気の回収、再利用のための構成と機能動作について説明する。
【0056】
<定着装置の構成>
図1を参照して既述したように、画像形成部10で形成された未定着画像は、定着装置93に運ばれて、加熱定着される。定着に用いる加熱装置の形態は、特に選ばないが、ここではローラ定着装置を用いた。
【0057】
図2において定着装置93は、互いに圧接する定着ローラ93aと加圧ローラ93bとを有し、搬送装置52により搬送されてくる記録紙7を挟み込む。定着ローラ93aと加圧ローラ93bには熱源94が内包され、定着温度に制御したニップ部にて加圧、加熱により記録紙7の未定着画像を定着する。すなわち定着装置93は定着手段として機能する。
【0058】
<溶媒貯留装置の構成>
定着装置93では、加熱により未定着画像に含まれるキャリヤ液が揮発する。これを回収するために一時貯留する溶媒貯留装置110を設けている。溶媒貯留装置110はケーシング111と熱源112を有し、溶媒貯留手段として機能する。
【0059】
ケーシング111は溶媒の揮発源である定着装置93を内部に密閉し、揮発した溶媒の蒸気を外に漏らさないようにする。ケーシング111内はなるべく雰囲気温度を均一で高温に保つため、ホットプレートのような補助熱源112やファンなどを補助的に用いることが好ましい。
【0060】
またケーシング111内には、雰囲気温度を検出する温度検出手段としての温度検出装置141と、キャリヤ液の蒸気濃度(ガス濃度)を検出する濃度検出手段としての濃度検出装置142(以下、ガス濃度計ともいう)を設置した。ガス濃度計は、各種方式があるが特にこだわらない。ここでは、炭素数ベースでガス濃度を検出するNDIR式の計測器を用いた(PPMCベース)。
【0061】
これらの雰囲気温度とガス濃度は、一時貯留したガスを以下に述べる溶媒移送装置120を用いて溶媒回収装置130へ移送する量を調整するために使用する。
【0062】
<溶媒移送装置の構成>
溶媒移送装置120は、溶媒貯留装置110と次に述べる溶媒回収装置130を結合するダクト121と、一時的に貯留した溶媒蒸気を、それを含む空気とともに溶媒貯留装置110から溶媒回収装置130へと移送するための送風装置122を有する。すなわち、溶媒移送装置120は溶媒移送手段として機能する。
【0063】
また送風装置122による溶媒蒸気を含む空気の移送を制御するために、移送調整手段として機能する移送調整装置150を設けている。
【0064】
移送調整装置150は制御装置151を有し、温度検出装置141と濃度検出装置142により検出された温度とガス濃度とに基づき、溶媒移送装置120による移送量を調整するため送風装置122の駆動を制御する。
【0065】
調整の基準となるガス濃度(所定の基準濃度)は、計算上、IP2028の平均炭素数15を考慮して、雰囲気温度下での湿度70%となるガス濃度を閾値(制御PPM)として制御を行う。詳細は後述する。
【0066】
<溶媒回収装置の構成>
溶媒回収装置130内には冷却装置131があり、ここでキャリヤ液の蒸気は冷却されて液化し、キャリヤ液と水分とが回収容器132に溜まる。すなわち、溶媒回収装置130は溶媒回収手段として機能する。
【0067】
この後、水分とキャリヤ液は、図示しない分離機に送られる。混合物は、2層に別れるので容易に分離され、回収されたキャリヤ液は再利用される。
【0068】
一方、溶媒回収装置130では、キャリヤ液蒸気の大半が液化した後の空気は、わずかながら、冷却された温度での飽和蒸気圧分のガス(VOC)を含んだ状態で、排気口133から排気されていく。
【0069】
上述した、一時貯留したガス濃度と雰囲気温度に基づく溶媒回収装置130への移送量調整は、この排気に含まれるガスの濃度を抑制するだけでなく、総排出量を抑制するためである。そのための移送量調整の考え方について、以下に述べる。
【0070】
(溶媒の総排出量抑制のための回収動作制御)
<溶媒の総排出量抑制方法について>
上述したように、定着装置93で記録媒体上からキャリヤ液を揮発・乾燥させ、冷却式の溶媒回収装置130で回収する湿式画像形成装置では、溶媒回収装置130から排出されるガスの中にも、僅かながらキャリヤ液(VOC)が残留し、含まれる。このVOCの濃度は排気されるガスの温度(飽和蒸気圧)で決定される。
【0071】
従って、まず1つには排出されるVOCの濃度を抑制することが必要である。そのためには十分冷却し、キャリヤ液の回収効率を上げるとともに、排気ガスの温度を低下させることで飽和蒸気圧を下げ、残留するVOCの濃度を抑制することが求められる。
【0072】
しかしながら、キャリヤ液蒸気を含む空気全体を冷やす必要があり、装置の大きさや電力消費、さらに霜の発生等を考慮すると、冷却温度は0℃近辺がほぼ限界である。従ってその温度での飽和蒸気圧に相当する濃度の蒸気が液化せず残留し、排気中に含まれることになる。
【0073】
また、排出されるVOCの濃度を問題ない程度に微量に抑制しても、閉空間で継続的に排気が行われると、人や環境に悪影響を及ぼす問題が生ずる可能性もある。従って、排出するVOCの濃度を制御するだけでなく、その総排出量を抑制することが必要である。
【0074】
VOC排出総量は、VOC濃度×排出風量で決定される。上で述べたように排出されるVOCの濃度はガスの温度(飽和蒸気圧)で決定される。そのため、VOCの排出総量を下げるには、総排出風量を必要最小限とすることが、有効である。
【0075】
溶媒回収装置130からの排出風量は、溶媒貯留装置110から溶媒回収装置130への移送風量に依存する。本実施形態では、VOCの排出風量を下げるために、溶媒貯留装置110のケーシング111内に定着装置93から発生する溶媒の蒸気を一時貯留して溜めておき、その温度と濃度から十分な濃度(所定の基準濃度)になった状態で、溶媒回収装置130へ移送するよう移送風量を調整する。その結果溶媒回収装置130からの排出風量を最小限とするような制御を行うものである。
【0076】
十分な濃度(所定の基準濃度)とは移送量調整のしきい値となる制御濃度値であり、その温度下での飽和蒸気濃度に達することはないが、できる限り高濃度に設定することが望ましい。例えば、その温度下での飽和蒸気濃度の50%以上、90%以下程度に相当する適切な濃度に設定するのがよい。
【0077】
このような制御を行うことで、溶媒回収装置130に十分に濃縮された溶媒蒸気を送り込み、溶媒回収装置130において蒸気を所定の温度まで冷却し、飽和蒸気圧まで蒸気濃度を低減して排気を行う。すなわち、冷却回収法の特性を考慮し、排気風量の低減を行うことで、VOCの総排出量を減らすことができる。
【0078】
具体的なキャリヤ液蒸気の回収動作制御について以下に述べる。
【0079】
<溶媒回収動作制御のフロー>
図4は溶媒蒸気の回収動作制御の手順例を示すフローチャートである。図4を参照して、溶媒蒸気の回収動作制御の手順例を説明する。
【0080】
図4のフローにおいて、制御を開始するとまずステップS11では、定着装置93が駆動しているかどうかを判定する。定着装置93が駆動しているということは、記録紙7の定着動作が行われるということであり、溶媒の揮発が発生する。
【0081】
定着装置93が駆動しているときは、ステップS12を実行する。定着装置93が駆動していない場合は、ステップS18へ進み、制御の停止に取りかかる。
【0082】
ステップS12では、溶媒回収装置130の冷却装置131を駆動状態にする。溶媒の蒸気を含む空気が溶媒貯留装置110から移送されてくるのに備える。
【0083】
ステップS13で、移送調整装置150の制御装置151は、温度検出装置141の検出温度と濃度検出装置142の検出濃度を取得する。
【0084】
検出温度は溶媒貯留装置110のケーシング111内の雰囲気温度であり、溶媒蒸気の飽和蒸気圧を上げる、すなわち十分に濃度を上げておくという観点からはできるだけ高温であるほうがよい。溶媒回収装置130の冷却装置131の能力も考慮した上で、ホットプレート等の熱源112を利用して適切な温度に制御しておくことが望ましい。
【0085】
ステップS14で、移送調整装置150の制御装置151は、制御表を参照し、検出温度に対応する制御濃度値(所定の基準濃度)を取得する。
【0086】
制御表は、温度に対して飽和蒸気圧を求め、その蒸気圧に相当する濃度に対して所定の割合(ここでは例えば70%とする)で定めた濃度を制御濃度値としてデータテーブルにしたものである。検出温度から、対応する制御濃度値を参照し、取得することができる。
【0087】
ステップS15で、移送調整装置150の制御装置151は、検出濃度を制御濃度値と比較し、上回っているかどうかを判定する。制御濃度値を超えている場合(ステップS15;YES)は、ステップS16を実行する。超えていない場合(ステップS15;NO)はステップS17を実行する。
【0088】
ステップS16では、検出濃度が制御濃度値を超えており、十分な濃度に達したとして、移送調整装置150の制御装置151は、溶媒貯留装置110から溶媒回収装置130へ溶媒蒸気を移送すべく、溶媒移送装置120の送風装置122を駆動状態とする。
【0089】
一方ステップS17では、検出濃度が制御濃度値以下であり、十分な濃度に達していないとして、移送調整装置150の制御装置151は、溶媒貯留装置110での溶媒蒸気の一時貯留を継続すべく、溶媒移送装置120の送風装置122を停止状態とする。
【0090】
ステップS16またはステップS17の操作を適宜判定して実行することで、十分な濃度に達した溶媒蒸気を空気とともに溶媒回収装置130へ送り込むことができ、移送する空気量を相対的に最小限とすることができる。すなわち、溶媒回収装置130から排出する風量も抑制し、VOCの総排出量を抑制することができる。
【0091】
回収動作の処理手順としては、ステップS11に戻り、ステップS11から同様の処理を繰り返す。その都度、一時貯留した溶媒蒸気の検出濃度に応じて、ステップS15〜ステップS17で送風装置122の駆動状態または停止状態が選択される。
【0092】
本フローにおいては、ステップS15〜ステップS17で送風装置122が駆動状態または停止状態のON/OFFで制御されているが、制御の形態はこれに限らない。例えば、検出濃度が制御濃度値を上回れば移送量を増加させ、下回れば移送量を減少させるといったように、検出濃度と制御濃度値の差に応じて、送風量が変化するような制御を行ってもよい。
【0093】
要は制御濃度値と照らして十分な濃度の状態で溶媒蒸気を含む空気が移送されるような制御形態であればよい。
【0094】
繰り返し処理の過程で、ステップS11で定着装置93の駆動停止が検知されれば、回収動作も終了である。ステップS18へ進み、回収動作の停止に取りかかる。
【0095】
ステップS18では、溶媒回収装置130の冷却装置131を停止状態にする。溶媒の蒸気を含む空気の溶媒貯留装置110から移送はもうない。
【0096】
ステップS19では、定着装置93での溶媒蒸気発生はもうないとして、移送調整装置150の制御装置151は、溶媒移送装置120の送風装置122を停止状態とする。
【0097】
以上で溶媒蒸気の回収動作は終了である。このような制御を行うことで、溶媒回収装置130に十分に濃縮された溶媒蒸気を送り込み、溶媒回収装置130において蒸気を所定の温度まで冷却し、飽和蒸気圧まで蒸気濃度を低減して排気を行う。すなわち、排気風量の低減を行うことで、VOCの総排出量を減らすことができる。
【実施例】
【0098】
記録紙上への未定着画像の形成は、図1に示した湿式画像形成装置を使用した。未定着画像の定着とキャリヤ液の回収は、図2に示したような構成の機構で行った。
【0099】
キャリヤ液としては、出光興産株式会社のIPソルベント2028を用いた。
【0100】
トナーとしては、コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)のカラー複写機C350内のブラックトナーを粉砕し、平均粒径3μmとしたものを上記キャリヤ液に添加した。
【0101】
また、分散剤(アビシア社製ソルスパース13940)をトナー量に対して25質量%添加した。
【0102】
作成した画像はベタ画像で、記録紙上のトナー付着量が3g/m、その時のキャリヤ液量が2g/mとなるように設定した。
【0103】
また、印字率は100%と50%のものを用意した。記録媒体の未定着画像の液量はトナー間に捕らえられた液が大部分であり、印字率が半分のものは媒体上の液量は、ほぼ半分である。
【0104】
<キャリヤ液回収の動作条件>
上記の未定着画像を有する記録紙を、A4で60枚/粉の速さで定着装置に1時間通紙させた。図2及び図4を参照して説明したキャリヤ液の回収動作を行い、キャリヤ液の蒸気(VOC)の排出量を評価した。回収動作及び評価の条件を下記に示す。
【0105】
定着ローラ温度は180℃設定、ケーシング内の雰囲気温度は温度調整用の熱源を用いて2水準(45℃または100℃)の何れかになるよう調整した。
【0106】
濃度検出装置としては、炭素数ベース(PPMC)で検出するNDIR式のガス濃度計を用いた。計算上は用いたキャリヤ液(IP2028)の平均炭素数15を考慮してPPMベースで制御濃度値と比較し、制御を行った。
【0107】
制御濃度値は、各温度に対して、当該温度での飽和蒸気圧に相当する濃度の70%を設定した。制御濃度値を超えるかどうかで送風装置をON/OFFする制御を行った。
【0108】
送風装置の風量は、1m/分に設定した。これは入力されたキャリヤ液量がすべて揮発して制御濃度値として含まれるときの空気量を十分上回る空気量を移送できる風量として設定した。
【0109】
各実施例について異なる条件を述べる。
実施例1は未定着画像の印字率100%、雰囲気温度45℃設定である。
実施例2は未定着画像の印字率50%、雰囲気温度45℃設定である。
実施例3は未定着画像の印字率100%、雰囲気温度100℃設定である。
実施例4は未定着画像の印字率50%、雰囲気温度100℃設定である。
【0110】
比較例は移送量の調整を行わず、送風装置は常時駆動とした。
比較例1は未定着画像の印字率100%、雰囲気温度45℃設定である。
比較例2は未定着画像の印字率50%、雰囲気温度45℃設定である。
【0111】
移送量を求めるために、各実施例毎に送風装置が駆動した時間を記録した。また溶媒回収装置の排気口での濃度を測定し記録した。
【0112】
各実施例及び比較例において、冷却装置の設定温度は2℃であり、排気口からの排気の温度も2〜3℃であった。また排気のガス濃度も約30PPMと一定していた。排気されたVOC濃度は、何れも0.3g/mと計算される。
【0113】
VOC総排出量は、VOC濃度(0.3g/m)×風量(1m/分)×送風装置駆動時間で算出した。
【0114】
<実験結果>
各実施例及び比較例での結果を表1に示す。
【0115】
【表1】

【0116】
表1によれば、比較例1と2においては、常時送風装置が駆動しており、総排気量が60mとなる。従って、VOCの総排出量は、印字率に拘わらず60m×0.3g/mで18gにもなる。
【0117】
実施例1と2は、比較例1と2と同様に雰囲気温度45℃であるが、送風装置駆動時間は40分前後に減少しており、VOCの総排出量も12g程度に抑制されている。
【0118】
実施例3と4は、雰囲気温度を100℃と高めに設定したことにより、さらに送風装置駆動時間が減少している。十分に高濃度のガスを回収装置に移送するため移送時間が1.7分(印字率100%)、1.2分(印字率50%)と減少している。VOCの総排出量も、それぞれ0.51g、0.36gと大きく抑制されている。
【0119】
また本実施形態では、雰囲気温度を45℃または100℃に設定して実施したが、必ずしもそのように固定的に温度制御する必要はない。実際には雰囲気の温度変化がある場合にも、各温度毎の制御濃度値をテーブルデータとして用意しておけば、温度変化に応じて即制御濃度値も変えていくように制御すればよい。
【0120】
また既述したように、送風装置はON/OFF制御でなく、回転数変更など送風量自体を制御できることが望ましい。そのような場合、印字率や付着量の予想値(例えばドットカウンタからのフィードバックなど)に基づいて揮発する蒸気量を推定し、それに応じてON/OFFだけでなく、風量も変化させることで、より適切に移送するガス濃度を調整し、移送量を抑制することができる。
【0121】
上述してきたように、本実施形態の画像形成装置によれば、定着装置等で揮発した溶媒の蒸気を回収し、再利用するに際して、溶媒の蒸気を一時貯留する溶媒貯留手段と、回収装置へ移送する溶媒移送手段と、冷却し回収する溶媒回収手段とを備え、溶媒貯留手段において一時貯留している溶媒蒸気の濃度を検出し、それらに基づき溶媒移送手段による移送量を調整する。これにより、溶媒回収手段からの排気中の蒸気濃度を制御した状態で、移送量、すなわち排気量自体を低減することができ、従って溶媒の蒸気の総排出量を抑制することができる。
【0122】
なお、上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】湿式画像形成装置における画像形成部の概略構成例を示す断面図である。
【図2】定着装置から揮発した溶媒の蒸気の回収、再利用のための装置(溶媒貯留装置、溶媒移送装置、溶媒回収装置など)の概略構成例を示す断面図である。
【図3】図2の各装置の機能動作の関連を示すブロック図である。
【図4】図2の装置における溶媒蒸気の回収動作制御の手順例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0124】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電装置
3 露光装置
4 液体現像装置
5 転写装置(転写ローラ、記録紙搬送ベルト)
6 クリーニング装置(クリーナブレード)
7 転写材(記録紙)
8 液体現像剤
10 画像形成部
41 現像ローラ(現像剤担持体)
44 現像剤槽
93 定着装置(定着ローラ、加圧ローラ)
110 溶媒貯留装置
111 ケーシング
112 熱源
120 溶媒移送装置
121 ダクト
122 送風装置
130 溶媒回収装置
131 冷却装置
132 回収容器
133 排気口
141 温度検出装置
142 濃度検出装置
150 移送調整装置
151 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中にトナーを分散した液体現像剤を用いて形成され、記録媒体上に転写された未定着画像を加熱定着する定着手段と、
前記定着手段を囲み、前記定着手段により前記記録媒体から揮発させられた前記溶媒の蒸気を一時的に貯留する溶媒貯留手段と、
前記溶媒の蒸気を冷却し、液体の前記溶媒として回収する溶媒回収手段と、
前記溶媒貯留手段に貯留された前記溶媒の蒸気を、前記溶媒貯留手段内の空気とともに前記溶媒回収手段へと移送する溶媒移送手段と、を有する画像形成装置であって、
前記溶媒貯留手段内に貯留した前記溶媒の蒸気の濃度を検出する濃度検出手段と、
前記濃度検出手段により検出された濃度に基づいて、前記溶媒移送手段による前記溶媒の蒸気の移送量を調整する移送調整手段と、を有し、
前記移送調整手段は、
所定の基準濃度と、前記濃度検出手段により検出された濃度とを比較し、該検出された濃度が前記所定の基準濃度を上回れば移送量を増加させ、下回れば移送量を減少させるように、前記溶媒移送手段による前記溶媒の蒸気の移送量を調整する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記溶媒貯留手段内の雰囲気温度を検出する温度検出手段を有し、
前記所定の基準濃度は、前記温度検出手段により検出された温度での前記溶媒の飽和蒸気濃度に応じて定められる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移送調整手段は、
前記濃度検出手段により検出された前記濃度が前記所定の基準濃度を上回れば所定の移送量で移送を行い、下回れば移送を停止させるように、前記溶媒移送手段による前記溶媒の蒸気の移送量を調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の基準濃度は、前記温度検出手段により検出された温度での前記溶媒の飽和蒸気濃度の50%以上、90%以下に設定される
ことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記溶媒移送手段は、前記溶媒貯留手段と前記溶媒回収手段とを結合するダクトと、該ダクトを通じて送風を行う送風装置とを有し、
前記移送調整手段は、前記送風装置の送風を制御することで前記溶媒の蒸気の移送量を調整する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記溶媒貯留手段は、前記定着手段を内包するケーシングであり、該ケーシング内の雰囲気温度を一定に保つための熱源を備える
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−107637(P2010−107637A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278023(P2008−278023)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】