説明

画像形成装置

【課題】様々な印刷処理が行なえる画像形成装置において、画像形成部の稼働率の向上を実現できるような画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、原稿の読取開始を指示する信号に応答して、原稿を読込んでページ毎の画像データを出力する原稿読込機能と、原稿読込機能から出力された画像データを記憶する原稿記憶機能と、原稿記憶機能に記憶された画像データを所定の順序で読出して印刷する印刷機能(S914)と、原稿読込機能による原稿の読込が開始されたことに応答して、原稿読込機能による原稿の読込終了までに要する時間と、印刷機能による画像データの印刷終了までに要する時間とを予測し、両者が所定の条件を満たすまで、印刷手段による画像データの印刷の開始を遅延させる印刷開始遅延機能(S910)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピーモード及びプリンタモードで動作する画像形成装置に関し、特に、印刷動作制御機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿読取装置を備えた画像形成装置において、複数枚の原稿を読込みコピー処理を実行する場合、1枚の原稿画像を読込むと、すぐに読込んだ原稿の印字処理を行なっていた。原稿が複数枚にわたる場合、1ページ目の画像読込が完了した時点でその画像に対する印字処理を行ない、それ以降、原稿読込が1ページ完了するごとに、その原稿に対する印字処理を行なう。
【0003】
図11は、従来技術でのコピー処理にかかる時間と画像形成装置の使用状況の関係とを表す図である。図11を参照し、Sn(n=1〜8)はn枚目の原稿を読込む時間、Cn(n=1〜8)はn枚目の原稿の印字処理にかかる時間、Pm(m=1〜5)は受信したプリントジョブにおいてm枚目の印字処理にかかる時間を表している。図11の例では、コピー処理では8枚の原稿の読込及び印字処理が、プリントジョブでは5枚の印字処理が行なわれる。
【0004】
図11の例では、コピー処理では1枚目の印字処理が行なわれると、最終原稿の印字処理が終了するまで他の処理を行なわない。そのコピー処理の間にプリントジョブを受信した場合、プリント処理はコピー処理の後に実行される。そのため、原稿読込に時間がかかる場合などは、動作待ちの時間が多く発生し、画像形成装置の稼働率の低下につながっていた。
【0005】
特許文献1では、複数の原稿の全てを読込んだ後に印字動作を行なうコピー処理において、原稿読込中の画像形成装置の空き時間に新たなプリント処理が要求されると、その空き時間を利用してプリント処理を実行させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−335000号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置の多機能化により、様々な形態の原稿の読取が可能になり、記録紙への印字方法も様々である。一般的には印字処理の方が原稿読取よりも時間がかかっていたが、多機能化により原稿読取及び印字処理に要する時間はその設定によって異なり、一概に印字処理の方が長いともいえない。また、画像形成装置は、コピー処理の印字が開始されると、コピー処理による印字結果と他から受信したプリントジョブによる印字結果とが混在しないようにするため、割込印刷指示など特殊な指示が出されない限り、先に動作したコピー処理が完了するまで受信したプリントジョブを実行しない。そのため、原稿読取に要する時間が印字処理に要する時間より長い場合は、印字処理後次のページの読込が完了するまで待ち時間が生じ、印字装置が休止している時間が長くなる。その結果、画像形成装置の稼働率は著しく低下し、装置利用に関して大きな課題になっている。
【0007】
特許文献1の技術では、原稿読込と印字とが基本的に別々の時間帯に行なわれるため、装置の稼働率を上げようとしても限界がある。
【0008】
そのため、本発明では、様々な印刷処理が行なえる画像形成装置において、画像形成部の稼働率の向上を実現できるような画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面にかかる画像形成装置は、原稿の読取開始を指示する信号に応答して、原稿を読込んでページ毎の画像データを出力するための原稿読込手段と、原稿読込手段から出力された画像データを記憶するための原稿記憶手段と、原稿記憶手段に記憶された画像データを所定の順序で読出して印刷するための印刷手段と、原稿読込手段による原稿の読込が開始されたことに応答して、原稿読込手段による原稿の読込終了までに要する時間と、印刷手段による画像データの印刷終了までに要する時間とを予測し、両者が所定の条件を満たすまで、印刷手段による画像データの印刷の開始を遅延させるための印刷開始遅延手段とを含む。
【0010】
原稿読込手段は、原稿の読取開始を指示する信号に応答して、原稿を読込んでページ毎の画像データを出力する。原稿記憶手段は、原稿読込手段から出力された画像データを記憶する。印刷手段は、原稿記憶手段に記憶された画像データを所定の順序で読出して印刷する。印刷開始遅延手段は、原稿読込手段による原稿の読込が開始されたことに応答して、原稿読込手段による原稿の読込終了までに要する時間と、印刷手段による画像データの印刷終了までに要する時間とを予測し、両者が所定の条件を満たすまで、印刷手段による画像データの印刷の開始を遅延させる。
【0011】
この画像形成装置では、原稿読込手段による原稿の読込を開始後に、原稿の読込終了までに要する時間と、読込んだ原稿の印刷終了までに要する時間とを予測し、両者が所定の条件を満たすまで印刷の開始を遅延させる。例えば、原稿読込に時間がかかる場合などには、印刷の開始を遅らせ、先に原稿読込を行なって原稿読込と印字とがほぼ同時に終了するように制御することで原稿読込と印刷処理との間に生じていた時間の無駄を少なくすることができる。その結果、様々な印刷処理が行なえる画像形成装置において、画像形成部の稼働率の向上を実現できるような画像形成装置を提供することができる。
【0012】
好ましくは、原稿読取手段は、複数通りの読込設定にしたがって原稿の読取が可能である。印刷手段は、複数通りの印刷設定にしたがって画像データの印刷が可能である。画像形成装置は、原稿読込手段で所定量の原稿を読取るために要する時間を、読込設定ごとに記憶するための読込時間記憶手段と、印刷手段で所定量の原稿を印刷するために要する時間を、印刷設定ごとに記憶するための印刷時間記憶手段と、利用者からの原稿の読込設定及び印刷設定に関する入力を受付け、記憶するための設定入力手段とをさらに含む。印刷開始遅延手段は、設定入力手段により記憶された読込設定と、読込時間記憶手段に記憶された読込にかかる時間とに基づいて、原稿の読込の終了までにかかる時間を予測するための読込時間予測手段と、設定入力手段により記憶された印刷設定と、印刷時間記憶手段に記憶された画像データの印刷にかかる時間とに基づいて、印刷手段による画像データの印刷にかかる時間を予測するための印刷時間予測手段と、読込時間予測手段により予測された時間が印刷時間予測時間により予測された時間以下となるまで、印刷手段による画像データの印刷の開始を遅延させるための手段とを含む。
【0013】
読込時間記憶手段は、原稿読込手段で所定量の原稿を読取るために要する時間を、読込設定ごとに記憶する。印刷時間記憶手段は、印刷手段で所定量の原稿を印刷するために要する時間を、印刷設定ごとに記憶する。設定入力手段は、利用者からの原稿の読込設定及び印刷設定に関する入力を受付け、記憶する。読込時間予測手段は、設定入力手段により記憶された読込設定と、読込時間記憶手段に記憶された読込にかかる時間とに基づいて、原稿の読込の終了までにかかる時間を予測する。印刷時間予測手段は、設定入力手段により記憶された印刷設定と、印刷時間記憶手段に記憶された画像データの印刷にかかる時間とに基づいて、印刷手段による画像データの印刷にかかる時間を予測する。遅延させるための手段は、読込時間予測手段により予測された時間が印刷時間予測時間により予測された時間以下となるまで、印刷手段による画像データの印刷の開始を遅延させる。
【0014】
画像形成装置では、複数通りの読込設定にしたがった原稿の読取と、複数通りの印刷設定にしたがった画像データの印刷が可能である。利用者は、複数通りの読込設定と複数通りの印刷設定とを設定できる。画像形成装置は、利用者によって設定された読込設定と印刷設定とに基づいて、それぞれ原稿の読込終了にかかる時間と画像データの印刷にかかる時間とを予測し、原稿の読込終了にかかる時間が画像データの印刷にかかる時間以下となるまで印刷の開始を遅らせる。その結果、利用者の入力した設定に合った時間が予測され、様々な印刷処理が行なえる画像形成装置において、画像形成部の稼働率の向上が実現できる。
【0015】
好ましくは、画像形成装置は、利用者による、原稿の枚数の入力を受付けるための原稿枚数入力手段と、原稿読込手段で読込まれた原稿の枚数を実時間で計測するための読取原稿計測手段とをさらに含む。読込時間予測手段は、原稿読込手段により原稿が1ページ読取られるたびに、設定入力手段により記憶された読込設定と、原稿枚数入力手段を介して入力された原稿枚数と、読取原稿計測手段により計測された読込済の原稿の枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測するための手段を含む。
【0016】
原稿枚数入力手段は、原稿の枚数の入力を受付ける。読取原稿計測手段は、原稿読込手段で読込まれた原稿の枚数を実時間で計測する。再予測するための手段は、原稿読込手段により原稿が1ページ読取られるたびに、設定入力手段により記憶された読込設定と、原稿枚数入力手段を介して入力された原稿枚数と、読取原稿計測手段により計測された読込済の原稿の枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測する。
【0017】
この画像形成装置では、原稿が1ページ読取られるたびに、記憶された読込設定と、原稿枚数と、計測された読込済の原稿の枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測する。その結果、より確かな原稿の読込終了までに要する時間を再予測することができ、画像形成部の稼働率の向上につなげることができる。
【0018】
好ましくは、画像形成装置は、原稿読込手段に載置された未読込みの原稿の概略枚数を予測するための、原稿読込手段に設けられた原稿枚数センサをさらに含む。読込時間予測手段は、原稿読込手段により原稿が1ページ読取られるたびに、設定入力手段により記憶された読込設定と、原稿枚数センサにより予測された未読込みの原稿枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測するための手段を含む。
【0019】
原稿枚数センサは、原稿読込手段に載置された未読込みの原稿の概略枚数を予測する。再予測するための手段は、原稿読込手段により原稿が1ページ読取られるたびに、設定入力手段により記憶された読込設定と、原稿枚数センサにより予測された未読込みの原稿枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測する。
【0020】
原稿枚数の入力がない場合は、原稿枚数センサを用いて載置された未読込みの原稿の概略枚数を予測する。画像形成装置では、原稿が1ページ読取られるたびに、記憶された読込設定と、原稿枚数センサにより予測された未読込みの原稿枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測する。その結果、原稿枚数の入力がない場合でも、原稿の読込終了までに要する時間を再予測することができ、画像形成部の稼働率の向上につなげることができる。
【0021】
好ましくは、画像形成装置は、原稿読込手段に設けられ、原稿読込手段に載置された未読込みの原稿の厚さが所定の値となったことに応答して検出信号を出力する原稿センサをさらに含む。読込時間予測手段は、検出信号に応答して、未読込の原稿枚数を予測するための未読込原稿枚数予測手段と、原稿読込手段により原稿が1ページ読取られるたびに、設定入力手段により記憶された読込設定と、原稿枚数予測手段により予測された未読込みの原稿枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測するための手段とを含む。
【0022】
原稿センサは、原稿読込手段に載置された未読込みの原稿の厚さが所定の値となったことに応答して検出信号を出力する。未読込原稿枚数予測手段は、検出信号に応答して、未読込の原稿枚数を予測する。再予測するための手段は、原稿読込手段により原稿が1ページ読取られるたびに、設定入力手段により記憶された読込設定と、原稿枚数予測手段により予測された未読込みの原稿枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測する。
【0023】
原稿枚数の入力がない場合は、載置された未読込みの原稿の厚さが所定の値となったときに検出信号を出力する原稿センサを用いる。画像形成装置では、原稿センサからの検出信号に応答して未読込の原稿枚数を予測し、原稿が1ページ読取られるたびに、記憶された読込設定と、予測された未読込の原稿枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測する。その結果、原稿枚数の入力がない場合でも、原稿の読込終了までに要する時間を再予測することができ、画像形成部の稼働率の向上につなげることができる。
【0024】
好ましくは、画像形成装置は、印刷手段により印刷すべき画像データを外部から受信するための外部データ受信手段と、外部データ受信手段が画像データを受信したことに応答して、印刷手段が他の画像データを印刷中か否かを判定するための判定手段と、判定手段の判定結果に基づいて、外部データ受信手段が受信した画像データの印刷開始時期を決定するための手段とをさらに含む。
【0025】
外部データ受信手段は、印刷手段により印刷すべき画像データを外部から受信する。判定手段は、外部データ受信手段が画像データを受信したことに応答して、印刷手段が他の画像データを印刷中か否かを判定する。決定するための手段は、判定手段の判定結果に基づいて、外部データ受信手段が受信した画像データの印刷開始時期を決定する。
【0026】
画像形成装置は、印刷手段により印刷すべき画像データを外部から受信し、印刷手段が他の画像データを印刷中か否かを判定し、印刷開始時期を決定する。印刷手段が印刷開始遅延手段により印刷の開始が遅れている場合は、その間に外部から受信した画像データを印刷することができる。その結果、画像形成部の稼働率の向上につなげることができる。
【0027】
好ましくは、画像形成装置は、外部データ受信手段が受信した画像データを印刷手段が印刷しているときに、印刷開始遅延手段による印刷開始の遅延が終了したことに応答して、外部データ受信手段が受信した画像データの印刷が終了するまで画像データ記憶手段に記憶された画像データの印刷をさらに遅延させるための手段をさらに含む。
【0028】
外部から受信した画像データを印刷している時に、印刷開始の遅延が終了した時は、受信した画像データの印刷が終了するまで画像データ記憶手段に記憶された画像データの印刷をさらに遅延させる。画像データ記憶手段に記憶された画像データの印刷は外部から受信した画像データの印刷後に続いて行なわれるため、印刷手段での空き時間は生じることはない。その結果、画像形成部の稼働率の向上につなげることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、この画像形成装置によると、原稿読込手段による原稿の読込が開始後に、原稿の読込終了までに要する時間と、読込んだ原稿の印刷終了までに要する時間とを予測し、両者が所定の条件を満たすまで印刷の開始を遅延させる。その結果、原稿読込と印刷処理に生じていた時間の無駄を少なくすることができ、様々な印刷処理が行なえる画像形成装置において、画像形成部の稼働率の向上を実現できるような画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下の説明及び図面においては、同一部品には同じ参照符号および名称を付してある。それらの機能も同様である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0031】
以下に述べる実施の形態では、コピー動作における原稿読取及び印字動作にかかる時間と原稿枚数とを考慮し、印字開始のタイミングを変更する。
【0032】
図12は、本発明におけるコピー処理にかかる時間と画像形成装置の使用状況の関係とを表す図である。図12を参照して、Sn(n=1〜8)はn枚目の原稿を読込む時間、Cn(n=1〜8)はn枚目の原稿の印字処理にかかる時間、Pm(m=1〜5)は受信したプリントジョブにおいてm枚目の印字処理にかかる時間を示している。
【0033】
図12の例では、従来技術で「C1A」で示すタイミングで印字開始していたものを、図12のC1で示す時間に印字開始のタイミングを変更させた。原稿読取に要する時間をできるだけ同じ時間帯で実行させることで画像形成部の空き時間を作る。図12の例では、画像形成部にt1の空き時間を作ることができた。この空き時間の間に他のプリントジョブを受信した場合には、受信したプリントジョブを先に実行する。
【0034】
―構成―
図1は、本実施の形態に係るデジタル複合機30を含む、画像処理システム20の構成を示す図である。図1を参照して、画像処理システム20は、デジタル複合機30を含む。デジタル複合機30はローカルネットワーク40、及び電話回線網44に接続されている。ローカルネットワーク40には外部コンピュータ32が接続される。電話回線網44には外部のファクシミリ装置38が接続されている。ローカルネットワーク40にはさらに、ゲートウェイ(図示せず)及びインターネット42を介して外部コンピュータ34、及びインターネットファクシミリ装置36(以下ファクシミリ装置36という)が接続されている。
【0035】
本実施の形態に関するデジタル複合機30は、コピーモード、プリンタモード、及び電話回線網44を用いたファクシミリ送信と、インターネットを介して画像データを送信するインターネットファクシミリ送信との双方を実行可能なイメージ送信モードを実行可能である。
【0036】
図2は、本実施の形態に係るデジタル複合機30の構成を示すブロック図である。図2を参照して、デジタル複合機30は、CPU(Central Processing Unit)で構成されデジタル複合機30の全体の制御を行なうための制御部50と、制御部50に接続されたバス74と、いずれもバス74に接続された、不揮発性のメモリなどからなる制御プログラムを記憶するための制御用メモリ78、読込及び印字動作に関わる設定情報を記憶するための設定情報記憶部56、原稿画像を読取るための画像読取部52、原稿を自動で搬送し画像読取部52によって原稿画像を読取らせるための自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)76、自動原稿搬送装置上に設置され読取原稿の残量を把握するための原稿残量検出センサ58、記録紙に画像データを出力するための画像形成部54、画像読取部52で読取った画像データから送信ファクシミリ用画像データを作成するための画像処理部62、操作者からの入力指示を受付けるための操作パネル60、読取った画像データを符号化し、受信した符号化データを元の画像データに復号化するための符号化復号化部66、並びに符号化された状態の画像データ及び画像読取部52で読取ったデータを記憶するための画像蓄積部64とを含む。
【0037】
デジタル複合機30はさらに、LANに接続するためのLANインターフェイス72と、電話回線網と接続され回線の制御を行なうための網制御部68と、電話回線網と接続しファクシミリ通信を行なうためのファクシミリモデム70とを含む。
【0038】
画像読取部52と、画像形成部54と、設定情報記憶部56と、原稿残量検出センサ58と、操作パネル60と、画像処理部62と、画像蓄積部64と、符号化復号化部66と、網制御部68と、ファクシミリモデム70と、LANインターフェイス72と、自動原稿搬送装置76と、制御用メモリ78とは、バス74を介して接続されており、全体の制御は制御部50が所定のプログラムを実行することによって行なわれる。
【0039】
画像読取部52で読取った原稿画像は、画像データとして画像蓄積部64に記憶される。画像形成部54で記録紙に画像データを出力するときには、画像蓄積部64から画像データを読出し記録紙に出力する。
【0040】
原稿残量検出センサ58は、自動原稿搬送装置76上の原稿載置台上に設けられるセンサスイッチである。使われる原稿の用紙種類によっても異なるが、原稿載置台上に読取原稿が一定枚数以上ある時、センサスイッチの出力はオンとなる。読取原稿が一定枚数未満になった時は、センサスイッチの出力はオフになる。
【0041】
図3は、デジタル複合機30の画像読取部52、自動原稿搬送装置76、及び原稿残量検出センサ58で構成される、原稿読取装置120の断面図である。図3を参照して、原稿読取装置120は、デジタル複合機30の上部に設けられる。原稿読取装置120は、自動原稿搬送装置(以下「ADF」と呼ぶ)76と、主走査部122とを含む。ADF76と主走査部122とはヒンジ(図示せず)によって連結されており、ADF76はヒンジによって主走査部122に対して開閉可能となっている。主走査部122は、筐体124と、透明なガラス板からなる、原稿を載置するためのプラテン板126と、筐体124内に収容される第1画像読取部138とを含む。
【0042】
原稿残量検出センサ58は、原稿載置台128上に配置される。原稿残量検出センサ58のセンサ出力は、デジタル複合機30の制御部50に送られる。
【0043】
主走査部122は、ユーザが原稿をプラテン板126上に載置して原稿の読取を行なう原稿固定方式による画像読取と、ADF76によって自動的に原稿を搬送しながら読取りを行なう原稿移動方式との両読取方式に対応している。
【0044】
以下、両読取方式の動作について説明しながら、原稿読取装置120についての構成を説明する。
【0045】
第1画像読取部138は、原稿に光を照射するための光源140と、原稿画像を読取るためのCCD(Charge Coupled Device)150と、原稿の反射光をCCD150へ導くための第1ミラー142、第2ミラー144、及び第3ミラー146と、CCD150に反射光を結像させるためのレンズ148とを含む。第1画像読取部138はさらに、光源140と第1ミラー142とを保持するための光源ユニット152と、第2ミラー144と第3ミラー146とを保持するためのミラーユニット154とを含む。
【0046】
原稿固定方式によって原稿を読取る場合、光源ユニット152と、ミラーユニット154とは、原稿固定方式に対応したホームポジションにそれぞれ移動する。その後、光源ユニット152は原稿に対して光を照射しながら一定の速度で副走査方向(紙面に対して左右方向)に移動して原稿の画像を走査し、それと同時にミラーユニット154は、光源ユニット152の移動速度の1/2の移動速度で、同じく副走査方向に移動する。
【0047】
光源ユニット152から照射され原稿から反射した光は、光源ユニット152に設けられた第1ミラー142で反射したのち、ミラーユニット154の第2ミラー144及び第3ミラー146によって180°光路変換され、第3ミラー146から反射された光はレンズ148を介してCCD150に結像し、電気的な画像データに変換される。
【0048】
また、原稿移動方式によって原稿画像を読取る場合、光源ユニット152とミラーユニット154とは、図3に示される位置に静止する。そして、ADF76によって静止位置上部を通過するように搬送される原稿に対して光源140から光を照射して画像を走査し、原稿の表面側から反射された光は、原稿固定方式と同様に第1ミラー142によって反射された後、ミラーユニット154内の第2ミラー144及び第3ミラー146によって180°光路変換され、レンズ148を介してCCD150に結像し、電気的な画像データに変換される。
【0049】
ADF76は、原稿載置台128と、原稿載置台128に載置された原稿を1枚ずつ内部に呼込むための呼込ローラ130と、呼込まれた原稿を原稿搬送路に従って搬送するための複数対ある搬送ローラ132と、給紙タイミングを調整するためのレジストローラ134と、画像読取を終えた原稿を排紙トレイ188へ排出するための排紙ローラ136とを含む。ADFはさらに、ADFの下面に主走査部122のプラテン板126上に載置された読取原稿を押さえるための押さえ板182と、第2画像読取部160とを含む。
【0050】
第2画像読取部160は、原稿に光を照射するための光源162と、原稿画像を読取るためのCCD174と、原稿の反射光を反射させCCD174へ導くための第1ミラー164、第2ミラー166、第3ミラー168、及び第4ミラー170と、CCD174に反射光を結像させるためのレンズ172とを含む。また、第2画像読取部160は、1つの装置をなすようにユニット化されており、読取窓190を形成するユニット用筐体180に収容されている。ユニット化された第2画像読取部160は略U字状に弧を描くADFの原稿搬送路内に収まるように配置されている。押さえ板182は、第2画像読取部160の光源162に対峙する部分が開放可能な筐体186となっている。
【0051】
なお、第2画像読取部160において、光源162、レンズ172及び、CCD174は、第1画像読取部138を構成する光源140、レンズ148、CCD150と同一のものである。
【0052】
原稿読取装置120において、ユーザから両面読取の要求がなされた際、ADF76を用いた原稿移動方式では、第1画像読取部138は搬送されてきた原稿の表面側の画像を読取り、第2画像読取部160は搬送されてきた原稿の裏面側の画像を読取る。具体的には、第1画像読取部138によって原稿の表面側の画像が読取られた後、その原稿は原稿搬送路に沿って排紙トレイ188へ向けて搬送される間に、第2画像読取部160の光源162の下部を通過する。この際に、第2画像読取部160の光源162は原稿の裏面側へ光を照射し、原稿の裏面側から反射された光はガラスなどの透明部材で形成された読取窓190を通過し、第1ミラー164、第2ミラー166、第3ミラー168、及び第4ミラー170によって順次光路変更された後、レンズ172を介してCCD174に結像し、電気的な画像データに変換される。
【0053】
本実施の形態では原稿読取装置120は、ADF76によって自動的に原稿を搬送しながら読取りを行なう原稿移動方式で用いられる。
【0054】
図4は、操作パネル60を表す図である。操作パネル60は、各種ハードウェアキーからなる操作部90と、液晶ディスプレイ及びタッチパネルにより構成される表示部92とを含む。操作部90は、数値入力のためのテンキー94と、入力した設定値をクリアするためのクリアキー96と、入力した各種設定を全解除するための全解除キー98と、コピー開始、及び送信開始等の指示を入力するスタートキー100と、デジタル複合機30をプリンタモードに切替えるプリンタキー102と、イメージ送信モードに切替えるイメージモードキー104と、コピーモードに切替えるコピーモードキー106と、ユーザ設定モードに切替えるユーザ設定キー108とを含む。
【0055】
以下、デジタル複合機30での、コピーモードにおける動作についての説明を行なう。
【0056】
図5は、デジタル複合機30の表示部92に表示されるコピーモードにおける初期画面200を表す図である。図5を参照して、初期画面200は、両面コピーの設定を行なうための両面コピーボタン202と、カラーモードを選択するためのカラーモード選択ボタン204と、印刷用紙の設定を行なうための用紙選択ボタン206と、読取原稿についての設定を行なうための読取原稿設定ボタン208とを含む。
【0057】
初期画面200では、両面コピーに関する設定、モノクロ及びカラー印刷の設定、出力する用紙の設定、及び読取原稿に関する設定を行なう。読取原稿に関する設定では、原稿読取装置120にセットする読取原稿の枚数を入力する。
【0058】
図6は、初期画面200で両面コピーボタン202が押された時に表示される両面コピーモード設定画面220である。図6を参照して、両面コピーモード設定画面220は、コピーモード選択ボタン222と、選択したコピーモードを設定するためのOKボタン224とを含む。
【0059】
両面コピーモード設定画面220では、両面コピー及び片面コピーの設定ができる。コピーモードに関してはコピーモード選択ボタン222で、片面原稿読込→片面印刷、片面原稿読込→両面印刷、両面原稿読込→両面印刷、及び両面原稿読込→片面印刷のうちのいずれかを選択し、OKボタン224で設定する。OKボタン224が押された後、画面は初期画面200に戻る。
【0060】
以下、コピー動作における原稿読取及び印字動作にかかる時間と原稿枚数とを考慮し、印字開始のタイミングを変更させるプログラムについて説明する。
【0061】
図7は、制御部50で実行されるプログラムで、デジタル複合機30の印刷設定から印刷開始のタイミングを調整するプログラムの制御構造をフローチャート形式で表す図である。このプログラムは、ADF76の原稿載置台128上に読取原稿が置かれた時に起動する。
【0062】
図7を参照して、このプログラムは、読取原稿がセットされたことを検出するステップS802と、ステップS802に続き、コピーモードの初期画面200で印刷設定の入力を受付けるステップS804と、ステップS804に続き、スタートキー100が押されたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS806と、ステップS806でスタートキー100が押されていないと判定された場合(NOの場合)に実行され、プリントジョブの受信確認を行なうステップS808とを含む。
【0063】
ステップS806でスタートキー100が押されると、画像読取部52に原稿読込開始指示を発行する。画像読取部52はADF76に動作開始信号を出し、ADF76を用いながら原稿読取を行ない、読取った原稿画像を画像蓄積部64に保存する。
【0064】
図8は、ステップS808で実行される、プリントジョブの受信確認を行なうサブルーチンの制御構造をフローチャート形式で表す図である。
【0065】
図8を参照して、このプログラムは、外部からプリントジョブを受付けたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS702と、ステップS702でプリントジョブを受付けたと判定された場合(YESの場合)に実行され、受付けたジョブの印字を実行するステップS704と、ステップS704に続き、該ジョブの印字が完了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS706とを含む。ステップS702でプリントジョブを受付けていないと判定された場合(NOの場合)、このプログラムを終了する。ステップS706で、該ジョブの印字が完了していないと判定された場合(NOの場合)、制御はステップS704に進み、印字を続行する。ステップS706で印字が完了したと判定された場合(YESの場合)、このプログラムを終了する。
【0066】
図7を参照して、このプログラムはさらに、ステップS806でスタートキー100が押されたと判定された場合(YESの場合)に実行され、コピーモードにおける読取済みの原稿枚数を表す変数Xに0を代入するステップS810と、ステップS810に続き、ステップS804で両面原稿の読取が設定されたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS812と、ステップS812で両面原稿の読取が設定されていないと判定された場合(NOの場合)に実行され、原稿1枚当たりの読取時間を表す変数Aに、片面原稿の読取にかかる時間a1を代入するステップS814と、ステップS814に続き、ステップS804で両面印字が設定されたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS818と、ステップS818で両面印字が設定されていないと判定された場合(NOの場合)に実行され、記録紙1枚当たりの印字時間を表す変数Bに、片面印刷にかかる時間b1を代入するステップS820と、ステップS820に続き、ステップS804で読取原稿枚数が入力されているか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS824とを含む。ステップS824で、読取原稿枚数が入力されていると判定された場合(YESの場合)は、制御は第1の原稿読取動作に進む。ステップS824で読取原稿枚数が入力されていないと判定された場合(NOの場合)、制御は第2の原稿読取動作に進む。このプログラムはさらに、ステップS812で両面原稿の読取が設定されたと判定された場合(YESの場合)に実行され、変数Aに両面原稿の読取にかかる時間a2を代入するステップS816と、ステップS818で両面印字が設定されたと判定された場合(YESの場合)に実行され、変数Bに両面印刷にかかる時間b2を代入するステップS822とを含む。ステップS816実行後、制御はステップS818に進む。ステップS822実行後、制御はステップS824に進む。
【0067】
自動原稿搬送装置を用いて原稿読取を行なう場合、要する時間に関しては一般的に「a2>a1」となる。また、画像形成部における印字に要する時間に関しても一般的に「b2>b1」となる。
【0068】
図9は、ステップS824で読取原稿枚数が入力されていると判定された時に実行される、第1の原稿読取動作のためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で表す図である。図9を参照して、このプログラムは、残りの読取原稿枚数を表す変数YにステップS804で入力された読取原稿枚数Zを代入するステップS902と、ステップS902に続き、原稿1ページ分の読込が完了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS904と、ステップS904で原稿1ページ分の読込が完了したと判定された場合(YESの場合)に実行され、変数XにX+1を代入するステップS906と、ステップS906に続き、変数YにY−1を代入するステップS908と、ステップS908に続き、変数X、Y、A、及びBの値を用いて「Y*A<(X+Y)*B」の関係式を満たすか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS910と、ステップS904で原稿1ページ分の読込が完了していないと判定された場合(NOの場合)、又はステップS910で関係式を満たしていないと判定された場合(NOの場合)に実行され、プリントジョブの受信確認を行なうステップS912とを含む。ステップS912実行後、制御はステップS904に進む。
【0069】
ステップS912では、図8に示したプリントジョブの受信確認を行なうサブルーチンが実行される。
【0070】
ステップS910は、残り原稿の読込時間と全ページの印字時間の比較を行ない、残り原稿の読込時間「(Y*A)」が全ページの印字時間「(X+Y)*B」より短いか否かを判定している。
【0071】
このプログラムはさらに、ステップS910で関係式を満たす(YES)と判定された場合に実行され、読込んだ原稿をステップS804で設定した印刷設定で印刷処理を行なうステップS914と、ステップS914に続き、読取った全原稿の印字が終了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS916とを含む。ステップS916で全原稿の印字が終了していないと判定された場合(NOの場合)、制御はステップS914に進み印刷処理を実行する。ステップS916で、全原稿の印字が終了したと判定された場合(YESの場合)、このプログラムは終了する。
【0072】
ステップS914では、画像蓄積部64に記憶された原稿画像を読出し、画像形成部54で印刷処理を行なう。
【0073】
図10は、ステップS824で読取原稿枚数が入力されていないと判定された時に実行される、第2の原稿読取動作のためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で表す図である。原稿枚数が入力されていない場合は、原稿残量検出センサ58の出力を用いる。原稿残量検出センサ58の出力がOFFになったときには、読取原稿の残り枚数がy1枚になったと設定する制御を行なっている。
【0074】
図10を参照して、このプログラムは、原稿1ページ分の読込が完了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1002と、原稿1ページ分の読込が完了したと判定された場合(YESの場合)に実行され、変数XにX+1を代入するステップS1004と、ステップS1004に続き、原稿残量検出センサ58の出力がONであるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1006と、ステップS1002で原稿1ページ分の読込が完了していないと判定された場合(NOの場合)、又はステップS1006で原稿残量検出センサ58の出力がONであると判定された場合(YESの場合)に実行され、プリントジョブの確認を行なうステップS1008とを含む。ステップS1008実行後、制御はステップS1002に戻る。
【0075】
ステップS1008では、図8に示したプリントジョブの受信確認を行なうサブルーチンが実行される。
【0076】
このプログラムはさらに、ステップS1006で、原稿残量検出センサ58の出力がONではないと判定された場合(NOの場合)に実行され、変数Yにあらかじめ設定しておいた読取原稿残り枚数y1を代入するステップS1010と、ステップS1010に続き、変数X、Y、A、及びBを用いて、「Y*A<(X+Y)*B」の関係式を満たすか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1012と、ステップS1012で関係式を満たさないと判定された場合(NOの場合)に実行され、プリントジョブの確認を行なうステップS1014と、ステップS1014に続き、原稿1ページ分の読込が完了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1016と、ステップS1016で、原稿1ページ分の読込が完了したと判定された場合(YESの場合)に実行され、変数XにX+1を代入するステップS1018と、ステップS1018に続き、変数YにY−1を代入するステップS1020とを含む。ステップS1016で原稿1ページ分の読込が完了していないと判定された場合(NOの場合)、制御はステップS1014に戻る。ステップS1020実行後、制御はステップS1012に進む。
【0077】
このプログラムはさらに、ステップS1012で関係式を満たすと判定された場合(YESの場合)に実行され、読込んだ原稿をステップS804で設定した印刷設定で印刷処理を行なうステップS1022と、ステップS1022に続き、読取った全原稿の印字が終了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1024とを含む。ステップS1024で全原稿の印字が終了していないと判定された場合(NOの場合)、制御はステップS1022に進み印刷処理を実行する。ステップS1024で、全原稿の印字が終了したと判定された場合(YESの場合)、このプログラムは終了する。
【0078】
ステップS1022では、画像蓄積部64に記憶された原稿画像を読出し、画像形成部54で印刷処理を行なう。
【0079】
―動作―
本実施の形態にかかるデジタル複合機30は、コピーモードにおける印刷開始のタイミング調整に関して以下のように動作をする。
【0080】
操作者は、デジタル複合機30の原稿載置台128上に読取原稿をセットする(ステップS802)。このとき、原稿残量検出センサはONの信号を出力する。デジタル複合機30は、両面印刷設定及び読取原稿枚数などの印刷設定の入力を受け、スタートキー100が押されるのを待つ(ステップS804、806)。その間デジタル複合機30はプリントジョブを受信したか否かを確認し(ステップS808)、受信した場合はプリントジョブを実行する(ステップS702、704、706)。
【0081】
デジタル複合機30は、スタートキー100が押されると、画像読取部52に原稿読込開始指示を発行する。画像読取部52はADF76に動作開始信号を出し、ADF76を用いながら原稿読取を行ない、読取った原稿を画像蓄積部64に保存する。
【0082】
また、デジタル複合機30は、スタートキー100が押されると読込済み原稿枚数を表す変数Xに0を代入する(ステップS810)。印刷設定において、片面原稿の読込が設定されている場合は1枚の原稿読込にかかる時間を表す変数Aに片面原稿の読取にかかる時間a1を代入する(ステップS812、814)。両面原稿の読込が設定されている場合には変数Aに両面原稿の読取にかかる時間a2を代入する(ステップS816)。また、印刷設定において片面印字の設定がされている時は、1枚の印字にかかる時間を表す変数Bに片面印刷にかかる時間b1を代入する(ステップS818、820)。両面印字の設定がされている時には変数Bに両面印刷にかかる時間b2を代入する(ステップS822)。
【0083】
デジタル複合機30は、変数X、A、及びBの値を設定後、印刷設定において読取原稿枚数が入力されているか否かを判定し、読取原稿枚数が入力されている場合は第1の原稿読取動作を、入力されていない場合は第2の原稿読取動作を実行する(ステップS824)。
【0084】
第1の原稿読取動作において、デジタル複合機30は、残りの読取原稿枚数を表す変数Yに印刷設定で入力された読取原稿枚数Zの値を代入する(ステップS902)。デジタル複合機30は、原稿1ページ分の読込が完了したかを判定し、1ページ分の読込が完了すると変数XにはX+1の値を、変数YにはY−1の値を代入する(ステップS904、906、908)。その後、残りの原稿読込にかかる時間と、全ページ印字時間との比較を行なう。具体的には変数A、B、X、及びYを用いて、「Y*A<(X+Y)*B」の関係式を満たすか、すなわち、残り原稿を読込む時間が全ページを印字する時間より短いか否かを判定する(ステップS910)。残り原稿を読込む時間が全ページを印字する時間より長いと判定された場合は、プリントジョブの受信を確認しながら原稿の読込を続ける(ステップS912)。1枚原稿を読込むごとに、変数XにはX+1を、変数YにはY−1を代入し、残りの原稿読込にかかる時間と全ページ印字時間との比較を行なう。残り原稿を読込む時間が全ページを印字する時間より短いと判定された場合、印刷処理を開始し、全原稿の読取及び印刷処理を実行する(ステップS914、916)。
【0085】
第2の原稿読取動作において、デジタル複合機30は、原稿1ページ分の読込が完了したかを判定し、1ページ分の読込が完了すると変数XにX+1を代入する(ステップS1002、1004)。その後、原稿残量検出センサの出力を確認し、ONであるならばプリントジョブの受信を確認しながら原稿読込を続ける(ステップS1006、1008)。原稿残量検出センサの出力がOFFになったら、変数Yに予め設定しておいた読取原稿の残り枚数y1を代入する(ステップS1010)。その後、残りの原稿読込にかかる時間と、全ページ印字時間との比較を行ない、変数A、B、X、及びYを用いて、「Y*A<(X+Y)*B」の関係式を満たすか、すなわち、残り原稿を読込む時間は全ページを印字する時間はより短いか否かを判定する(ステップS1012)。残り原稿を読込む時間が全ページを印字する時間より長いと判定された場合はプリントジョブの受信を確認しながら原稿の読込を続ける(ステップS1014、1016)。1枚原稿を読込むごとに、変数XにはX+1を、変数YにはY−1を代入して(ステップS1018、1020)、再び残りの原稿読込にかかる時間と全ページ印字時間との比較を行なう。残り原稿を読込む時間が全ページを印字する時間より短いと判定された場合、印刷処理を開始し、全原稿の読取及び印刷処理を実行する(ステップS1022、1024)。また、デジタル複合機30は、コピーモードの印刷処理を開始するまでは常にプリントジョブの受信を確認し、プリントジョブを受信した場合は先にプリントジョブを実行する。
【0086】
以上のように、本発明によるデジタル複合機30では、コピーモードにおいて、入力される印刷設定に基づいて1枚当たりの原稿読込にかかる時間と印字にかかる時間とを設定する。原稿読込処理を行ないながら、残りの原稿読込にかかる時間と全ページ印字する時間との比較を行なう。この間、常にプリントジョブの受付を可能とし、プリントジョブを受付けた場合には先にプリントジョブを実行する。残り原稿を読込む時間が全ページを印字する時間より短いと判定された場合にコピーモードの印刷処理を開始し、原稿の読込を行ないながら印刷処理を実行する。
【0087】
このように、プリントジョブの受信を監視しながら原稿読込を行ない、印刷設定に基づいた条件での読込にかかる時間と印字にかかる時間との比較を行なってコピーモードの印刷処理を開始するタイミングを調整する。例えば、両面原稿など原稿読込に時間がかかる印刷設定の場合、先に原稿読込だけを行ないコピーモードの印刷開始のタイミングを遅らせる。コピーモードの印刷処理が開始される前は、プリントジョブの実行が可能であるため、その間に受信するプリントジョブを実行することができ、画像形成部の無駄な空き時間を少なくすることができる。その結果、様々な印刷処理が行なえる画像形成装置において、画像形成部の稼働率の向上を実現できるような画像形成装置を提供することができる。
【0088】
また、受信したプリントジョブ実行に時間がかかり、印刷開始タイミング調整のための時間よりも長くかかる場合がある。その場合は、コピーモードの印刷処理はプリントジョブの終了後に引続いて行われる。この場合、コピーモードの印刷処理の開始自体は遅くなるが、画像形成部自体としては常に動いている状態であるので、結果としては稼働率を向上させることができる。
【0089】
印刷設定について、本実施の形態では両面コピーについてのみ考慮したが、読込時の画質、カラー原稿、用紙サイズなどを考慮してもよい。読込時に、高画質設定、カラー原稿読取、及び大きな用紙サイズを選択すると、1枚の原稿読込にかかる時間は長くなる。印字時も同様に画質、カラー原稿、用紙サイズなどを考慮してもよい。印字時に高画質設定、カラー印刷設定、大きな用紙サイズを選択すると1枚当たりの用紙の印字にかかる時間は長くなる。これら各種印刷設定にかかる時間は、予め画像形成装置内に記憶されている。設定された印刷設定と原稿枚数の関係式から本実施の形態と同様に印刷開始のタイミングを調整することで画像形成部の稼働率の向上を実現できるような画像形成装置を提供できる。
【0090】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施の形態に係るデジタル複合機30を含む、画像処理システム20の構成を示す図である。
【図2】本実施の形態に係るデジタル複合機30の構成を示すブロック図である。
【図3】デジタル複合機30の画像読取部52、自動原稿搬送装置76、及び原稿残量検出センサ58で構成される、原稿読取装置120の断面図である。
【図4】操作パネル60を表す図である。
【図5】デジタル複合機30の表示部92に表示されるコピーモードにおける初期画面200を表す図である。
【図6】初期画面200で両面コピーボタン202が押された時に表示される両面コピーモード設定画面220である。
【図7】制御部50で実行されるプログラムで、デジタル複合機30の印刷設定から印刷開始のタイミングを調整するプログラムの制御構造をフローチャート形式で表す図である。
【図8】プリントジョブの受信確認を行なうサブルーチンの制御構造をフローチャート形式で表す図である。
【図9】第1の原稿読取動作のためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で表す図である。
【図10】第2の原稿読取動作のためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で表す図である。
【図11】従来技術でのコピージョブとプリントジョブとを処理するときの動作順序の関係を表す図である。
【図12】本発明でのコピージョブとプリントジョブとを処理するときの動作順序の関係を表す図である。
【符号の説明】
【0092】
30 デジタル複合機
50 制御部
58 原稿残量検出センサ
76 自動原稿搬送装置
100 スタートキー
120 原稿読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の読取開始を指示する信号に応答して、原稿を読込んでページ毎の画像データを出力するための原稿読込手段と、
前記原稿読込手段から出力された画像データを記憶するための原稿記憶手段と、
前記原稿記憶手段に記憶された画像データを所定の順序で読出して印刷するための印刷手段と、
前記原稿読込手段による原稿の読込が開始されたことに応答して、前記原稿読込手段による前記原稿の読込終了までに要する時間と、前記印刷手段による前記画像データの印刷終了までに要する時間とを予測し、両者が所定の条件を満たすまで、前記印刷手段による前記画像データの印刷の開始を遅延させるための印刷開始遅延手段とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記原稿読取手段は、複数通りの読込設定にしたがって原稿の読取が可能であり、
前記印刷手段は、複数通りの印刷設定にしたがって画像データの印刷が可能であり、
前記原稿読込手段で所定量の原稿を読取るために要する時間を、前記読込設定ごとに記憶するための読込時間記憶手段と、
前記印刷手段で所定量の原稿を印刷するために要する時間を、前記印刷設定ごとに記憶するための印刷時間記憶手段と、
利用者からの原稿の読込設定及び印刷設定に関する入力を受付け、記憶するための設定入力手段とをさらに含み、
前記印刷開始遅延手段は、
前記設定入力手段により記憶された読込設定と、前記読込時間記憶手段に記憶された読込にかかる時間とに基づいて、前記原稿の読込の終了までにかかる時間を予測するための読込時間予測手段と、
前記設定入力手段により記憶された印刷設定と、前記印刷時間記憶手段に記憶された前記画像データの印刷にかかる時間とに基づいて、前記印刷手段による前記画像データの印刷にかかる時間を予測するための印刷時間予測手段と、
前記読込時間予測手段により予測された時間が前記印刷時間予測時間により予測された時間以下となるまで、前記印刷手段による前記画像データの印刷の開始を遅延させるための手段とを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
利用者による、原稿の枚数の入力を受付けるための原稿枚数入力手段と、
前記原稿読込手段で読込まれた原稿の枚数を実時間で計測するための読取原稿計測手段とをさらに含み、
前記読込時間予測手段は、前記原稿読込手段により原稿が1ページ読取られるたびに、前記設定入力手段により記憶された読込設定と、前記原稿枚数入力手段を介して入力された原稿枚数と、前記読取原稿計測手段により計測された読込済の原稿の枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測するための手段を含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記原稿読込手段に載置された未読込みの原稿の概略枚数を予測するための、前記原稿読込手段に設けられた原稿枚数センサをさらに含み、
前記読込時間予測手段は、前記原稿読込手段により原稿が1ページ読取られるたびに、前記設定入力手段により記憶された読込設定と、前記原稿枚数センサにより予測された未読込みの原稿枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測するための手段を含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記原稿読込手段に設けられ、前記原稿読込手段に載置された未読込みの原稿の厚さが所定の値となったことに応答して検出信号を出力する原稿センサをさらに含み、
前記読込時間予測手段は、
前記検出信号に応答して、未読込の原稿枚数を予測するための未読込原稿枚数予測手段と、
前記原稿読込手段により原稿が1ページ読取られるたびに、前記設定入力手段により記憶された読込設定と、前記原稿枚数予測手段により予測された未読込みの原稿枚数とに基づいて、未読込の原稿の読込終了までに要する時間を再予測するための手段とを含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷手段により印刷すべき画像データを外部から受信するための外部データ受信手段と、
前記外部データ受信手段が画像データを受信したことに応答して、前記印刷手段が他の画像データを印刷中か否かを判定するための判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記外部データ受信手段が受信した画像データの印刷開始時期を決定するための手段とをさらに含む、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記外部データ受信手段が受信した画像データを前記印刷手段が印刷しているときに、前記印刷開始遅延手段による印刷開始の遅延が終了したことに応答して、前記外部データ受信手段が受信した前記画像データの印刷が終了するまで前記画像データ記憶手段に記憶された画像データの印刷をさらに遅延させるための手段をさらに含む、請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−151972(P2010−151972A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328159(P2008−328159)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】