説明

画像形成装置

【課題】 現像剤中の劣化したトナーを減らすことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 現像器が、像保持体に隣り合った、像保持体とは電位差を有する、表面に現像剤を保持して回転することで現像剤を、像保持体に面した現像領域へと搬送する現像ロールと、現像ロールに隣接し、収容した現像剤を撹拌しつつ回転軸に沿った第1方向に搬送する第1収容部と、第1収容部に隣接し、現像剤を撹拌して第1方向とは逆の第2方向に搬送する第2収容部と、第1方向への搬送における現像ロールよりも上流側および下流側のそれぞれで第1収容部から現像剤を得て搬送した後、第1収容部に戻す複数の搬送体と、複数の搬送体それぞれに隣り合った、搬送体との間に電位差を有して搬送中の現像剤から帯電トナーを吸着する複数の吸着体とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に組み込まれる現像装置には、収容槽内を現像ロールに隣接した第1収容室と、この第1収容室に隣接した第2収容室とに仕切って、これら第1収容室および第2収容室の相互間で現像剤を撹拌しながら移動させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−204105号公報 (第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、現像剤中の劣化したトナーを減らすことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る画像形成装置は、
表面に像が形成されてこの像を保持する像保持体と、
上記像保持体の表面を帯電させる帯電器と、
上記帯電器により帯電された上記像保持体の表面を露光することでこの表面に静電的な潜像を形成する露光器と、
上記像保持体表面に形成された潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する、このトナーを含んだ現像剤を内部に収容した現像器とを備え、
上記現像器が、
上記像保持体に隣り合った、この像保持体とは電位差を有する、表面に上記現像剤を保持して回転することでこの現像剤を、上記像保持体に面した現像領域へと搬送する現像ロールと、
上記現像ロールに隣接しこの現像ロールの回転軸に沿って延びた、内部に上記現像剤を収容してこの現像剤を上記現像ロールに供給する、収容した現像剤を撹拌しつつこの回転軸に沿った第1方向に搬送する第1収容部と、
上記第1収容部に隣接しこの第1収容部に並んで延びた、両端に、この第1収容部との間で現像剤が移動する移動口が設けられた、内部に上記現像剤を収容しトナーが供給されてこの現像剤とこのトナーを撹拌して混合しつつ上記第1方向とは逆の第2方向に搬送する第2収容部と、
上記第1方向への搬送における上記現像ロールよりも上流側および下流側のそれぞれで上記第1収容部から現像剤を得、この現像剤を表面に保持して搬送した後、この第1収容部に戻す複数の搬送体とを備えたものであり、
上記複数の搬送体それぞれに隣り合った、この搬送体との間に上記電位差とは異なる電位差を有する、その電位差で、この複数の搬送体それぞれによって搬送中の現像剤から上記トナーを吸着する複数の吸着体を備えたことを特徴とする。
【0005】
請求項2に係る画像形成装置は、
上記吸着体が、上記像保持体と一体のものであることを特徴とする。
【0006】
請求項3に係る画像形成装置は、
上記吸着体が、上記像保持体と一体のものであり、
上記吸着体の表面を帯電させる、上記帯電器と一体あるいは別の吸着体帯電器を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項4に係る画像形成装置は、
上記吸着体が、上記像保持体と一体のものであり、
上記吸着体の表面を上記帯電器による帯電電位とは異なる帯電電位に帯電させる吸着体帯電器を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項5に係る画像形成装置は、
上記吸着体が、上記像保持体とは別の部材であって、表面の電位がこの像保持体の表面電位とは独立なものであることを特徴とする。
【0009】
請求項6に係る画像形成装置は、
上記吸着体が、上記像保持体とは別の部材であり、
上記吸着体の表面を帯電させる、上記帯電器と一体あるいは別の吸着体帯電器を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項7に係る画像形成装置は、
上記吸着体の表面を帯電させる、上記帯電器と一体あるいは別の吸着体帯電器と、
上記吸着体の、上記吸着体帯電器によって帯電された表面に露光光を照射してこの表面の帯電電位を変更する吸着体露光器とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項8に係る画像形成装置は、
上記吸着体が、上記搬送体との間に、上記現像ロールと上記像保持体との間の電界の向きと同じ向きの電界を生じさせる電位差であって、この現像ロールとこの像保持体との間の電位差よりも大きい電位差を有するものであることを特徴とする。
【0012】
請求項9に係る画像形成装置は、
上記吸着体が、上記搬送体との間に、上記現像ロールと上記像保持体との間の電界の向きと同じ向きの電界を生じさせる電位差であって、この現像ロールとこの像保持体との間の電位差よりも小さい電位差を有するものであることを特徴とする。
【0013】
請求項10に係る画像形成装置は、
上記吸着体が、上記搬送体との間に、上記現像ロールと上記像保持体との間の電界の向きとは逆向きの電界を生じさせる電位差を有するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る画像形成装置によれば、現像剤中の劣化したトナーを減らすことができる。
【0015】
請求項2に係る画像形成装置によれば、現像剤中の劣化したトナーを簡易な構成で減らすことができる。
【0016】
請求項3に係る画像形成装置によれば、本構成を有しない場合と比べて、劣化したトナーを除去できる電位が作りやすくなる。
【0017】
請求項4に係る画像形成装置によれば、劣化したトナーを除去できる電位を確実に得ることができる。
【0018】
請求項5に係る画像形成装置によれば、本構成を有しない場合と比べて、劣化トナーを除去する際に使用できる電位の自由度を上げることができる。
【0019】
請求項6に係る画像形成装置によれば、本構成を有しない場合と比べて、劣化したトナーを除去できる電位が作りやすくなる。
【0020】
請求項7に係る画像形成装置によれば、本構成を有しない場合と比べて、劣化したトナーを除去できる電位制御の自由度と精度とを上げることができる。
【0021】
請求項8に係る画像形成装置によれば、現像剤中の劣化トナーのうちの過帯電トナーを抜くことができる。
【0022】
請求項9に係る画像形成装置によれば、現像剤中の劣化トナーのうちの低帯電トナーを抜くことができる。
【0023】
請求項10に係る画像形成装置によれば、現像剤中の劣化トナーのうちの逆極トナーを抜くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の画像形成装置の実施形態について説明する。
【0025】
図1は、プリンタの概略構成図である。
【0026】
図1に示すプリンタ1は、感光体ロール10と、この感光体ロール10の表面に電荷を付与する帯電ロール11と、外部から送信されてきた画像信号に基づいたレーザ露光光を生成し感光体に向けて照射するレーザ露光器12と、トナーを含む現像剤を収容する現像器13と、記録用紙を収容する用紙カセット16と、用紙カセット16から記録用紙を引き出して搬送する用紙搬送装置17と、感光体ロール10の表面に保持されたトナー像を、矢印B方向に搬送されてきた記録用紙上に転写する転写ロール14と、記録用紙上のトナー像を加熱および加圧することで記録用紙上にトナー像を定着させる定着器15と、感光体ロール10の表面をクリーニングするクリーニング装置20と、外部から送信されてきた画像データを受信し加工してレーザ露光器12に送信する露光制御部100とを有している。現像器13は、感光体ロール10に対向して回転しながら、現像剤を感光体ロール10との間の領域に搬送する現像ロール133と、現像器13の内部にトナーを供給するトナー供給部130とを有している。また、この現像器13は、現像器13が収容する現像剤中のトナー濃度を一定に保つための不図示のトナー濃度センサおよび濃度制御部を有している。不図示の濃度制御部は、トナー濃度センサにより検出された結果に応じてトナー供給部130に対してトナーの供給指示を出す。また、現像器13に収容されている現像剤には、トナーの他に、このトナーとの摩擦によりトナーを摩擦帯電させる電荷付与粒子であり磁性粒子でもある磁性キャリアが含まれている。
【0027】
ここで、このプリンタ1における画像形成動作の流れを簡単に説明する。
【0028】
図1に示すプリンタ1では、矢印A方向に回転する感光体ロール10の表面に帯電ロール11により電荷が付与され、電荷が付与された感光体ロール10の表面に、外部から送信されてきた画像信号に基づいたレーザ露光光がレーザ露光器12から照射されることでこの表面には静電的な潜像が形成される。現像器13に収容されている現像剤は、メカニズムについては後述するが、現像ロール133の表面に供給され、現像ロール133と感光体ロール10との間の領域に運ばれ、運ばれた現像剤中のトナーにより、感光体ロール10の表面の静電的な潜像が現像される。この現像により得られたトナー像が、矢印B方向に搬送されてきた記録用紙上に転写ロール14により転写される。その後、トナー像を加熱および加圧する定着器15により記録用紙上のトナー像が溶融されて記録用紙上に定着される。尚、感光体ロール10の、トナー像の転写を終えた部分に残留する残留物は、矢印Aの向きの回転おける転写ロール14よりも下流側で帯電ロール11よりも上流側、かつ感光体ロール10の回転中心に沿った全幅にわたって先端が接触したクリーニング部材21により除去される。除去された残留物は残留物収容箱22に収容される。このプリンタ1が本発明の画像形成装置の第1実施形態である。感光体ロール10が本発明にいう像保持体の一例に相当し、帯電ロール11が本発明にいう帯電器と吸着体帯電器とを兼ねたものの一例に相当する。また、このレーザ露光器12が、本発明にいう露光器と吸着体露光器とを兼ねたものの一例に相当し、現像器13が、本発明にいう現像器の一例に相当する。また、このプリンタ1は、単色画像専用機であるが、本発明は、カラー画像機に適用されてもよい。
【0029】
本実施形態のプリンタ1では、定着器15での発熱を抑えるため、低温での定着が可能な低温定着トナーが採用されている。この低温定着トナーの詳細については後述する。
【0030】
図2は、図1に示す現像器の、レーザ露光器側からの透視図である。
【0031】
図2には、現像ロール133と、現像剤を収容する現像剤収容槽132と、現像剤を撹拌して搬送するための撹拌搬送部材131とを備えた現像器13が示されている。
【0032】
現像剤収容槽132は、内部が、現像ロール133に並行して延びた壁1321によって、現像ロール133と隣り合った第1収容室132aとこの第1収容室132aと隣り合った第2収容室132bとに分けられている。これら第1収容室132aおよび第2収容室132bそれぞれには、撹拌搬送部材131が1つずつ配備されており、これら撹拌搬送部材131は、具体的には、螺旋状のフィンが棒の周囲に備えられた構造を有している。第1収容室132aおよび第2収容室132bそれぞれに配備された撹拌搬送部材131が互いに逆向きに回転することで、現像剤収容槽132に収容されている現像剤は撹拌されながら壁1321の周囲を現像剤収容槽内に示される矢印の向きに循環する。現像剤収容槽132の内部では、撹拌搬送部材131によってトナーと磁性キャリアとが撹拌されることでトナーがマイナス帯電し、磁性キャリアはプラス帯電する。このため、マイナス帯電したトナーは磁性キャリアに静電的に付着する。これにより、現像剤収容槽132の内部では、トナーと磁性キャリアが渾然一体となっている。
【0033】
また、図2には、トナー供給部130からの新しいトナーを受け入れるためのトナー供給口132cが示されている。
【0034】
ここで、画像密度の低い画像形成が長く続き、新たなトナーの供給があまり行われない状況下では、現像器内部のトナーは、磁性キャリアとの撹拌が増加する。これにより、トナー表面に付着している外添剤は埋没あるいは離脱する傾向が高まるため、本来であれば狭い範囲のトナーの帯電量分布は拡大し易くなる。特に、上述した低温定着トナーの場合には、その傾向が顕著である。そのような、現像器内のトナーの帯電量分布の拡大を放置したならば、拡大した帯電量分布のうちの高帯電側に位置する過帯電トナーが有する電荷は、その後の高画像密度の画像形成の開始により現像器に大量に供給された新たなトナーへ急速に移動する。その結果、現像器内部には、新たに供給されてきたトナーに電荷が奪われた上に磁性キャリアとの摩擦による帯電性能の劣化のために帯電量の上昇が鈍い低帯電トナーと、新たに供給されたトナーに電荷が奪われたことで帯電極性が逆転してしまった所謂逆極トナーとが発生することとなる。現像器内部のこれらトナーのうちの低帯電のトナーは、帯電量が不足しているために磁性キャリアとの静電的な結びつきが弱く、磁性キャリアから離れると静電的な潜像に付着せずに現像器の外に飛散し装置内を汚染する。また、現像器内部のこれらトナーのうちの逆極トナーは、感光体ロール10の表面に形成された静電的な潜像が形成された部分以外の部分である背景領域に付着し画質を低下させる。
【0035】
そこで、本実施形態のプリンタ1では、詳しいメカニズムの説明は後に譲るが、これら低帯電トナーおよび逆極トナーを発生させる原因である過帯電トナーに加え、発生してしまった低帯電トナーおよび逆極トナーも現像剤収容槽132から除去する。以下、話を図2に戻して説明を続ける。
【0036】
図2には、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最上流の位置に、現像ロール133と同軸に設けられた上流側搬送ロール135が示されている。この上流側搬送ロール135は、現像ロール133とは別の部材ではあり付与される電位も現像ロール133とは異なっているものの、現像ロール133と同径、同材料、および同構造のものである。
【0037】
また、図2には、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最下流の位置に、現像ロール133と同軸に設けられた下流側搬送ロール134が示されている。この下流側搬送ロール134も、現像ロール133とは別の部材ではあり付与される電位も現像ロール133とは異なっているものの、現像ロール133と同径、同材料、および同構造のものである。この現像ロール133が、本発明にいう現像ロールの一例に相当する。また、これら上流側搬送ロール135および下流側搬送ロール134は、本発明にいう搬送体の一例に相当する。
【0038】
また、図2には、上流側搬送ロール135が、感光体ロール10の図2における右側の端部(以下、この右側の端部を第1端部10bと称す。)に対向して備えられ、下流側搬送ロール135が、感光体ロール10の図2における左側の端部(以下、この左側の端部を第2端部10cと称す。)に対向して備えられている様子が示されている。これら第1端部10bおよび第2端部10cは、本発明にいう吸着体の一例に相当する。
【0039】
さらに、図2には、感光体ロール10を構成する第1端部10b、第2端部10cの端部、および、第1端部10bと第2端部10cとの間の、現像ロール133と対向する部分(以下、この部分を央部10aと称す。)が点線で区分されて示されている。
【0040】
また、図2には、レーザ露光器12の側から見た場合の、記録用紙が通過する範囲Y、および、記録用紙が通過する方向Xが示されている。図2に示される点線で挟まれた、記録用紙が通過する範囲Yは感光体ロール10の主部10aと対応しているため、感光体ロール10の端部10bの表面および吸着ロール40の表面を記録用紙が通過することはない。
【0041】
図3は、現像器等の断面図である。
【0042】
図3のパート(a)には、図2に示される現像器等のA−A断面を矢印方向に見た状態が示されており、図3のパート(b)には、図2に示される現像器等のB−B断面を矢印方向に見た状態が示されている。
【0043】
図3(a)に示される現像ロール133および図3(b)に示される下流側搬送ロール134は、双方共に、矢印C方向に回転する円筒部材1331と、この円筒部材1331の内部にこの円筒部材1331とは独立に固定された永久磁石ロール1332とを有している。この永久磁石ロール1332は、円筒部材1331の周回方向に複数の磁極が配列されたもので、現像剤の吸着および解放を規定する磁力分布を有している。
【0044】
円筒部材1331の周面は、一部が現像剤収容槽132の内部に入り込み、その他は現像剤収容槽132の外に存在している。したがって、円筒部材1331が回転すると、円筒部材1331の周面各部は現像剤収容槽132の内部を通過する。そして、円筒部材1331の内部に備えられた永久磁石ロール1332の磁力分布により、現像剤収容槽132の内部を通過中の周面部分に現像剤が供給される。円筒部材1331は、この供給された現像剤を、感光体ロール10との間に形成された領域へ搬送する。
【0045】
尚、図3(a)には、トナー像を保持する感光体ロール10の央部10aの表面を帯電するための帯電ロール11と、この央部10aの表面に形成されたトナー像を記録用紙に転写するための転写ロール14とが示されている。一方、図3(b)には、第2端部10cの表面を帯電する帯電ロール11は示されているものの、この第2端部10cの表面にはトナー像は形成されず記録用紙へのトナー像の転写が行われないため転写ロール14は示されていない。また、上流側搬送ロール135の断面、および、この上流側搬送ロール135と対向する、感光体ロール10の第1端部10bの断面は、図3(b)と同じであるので図示および説明は省略されている。
【0046】
図4は、第1実施形態のプリンタ1における、レーザー露光器からのレーザー露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【0047】
図4には、レーザー露光器12からのレーザー露光光の照射範囲が感光体ロール10の央部10aおよび第1端部10bにとどまり、第2端部10cには及んでいない様子が示されている。
【0048】
また、図4には、感光体ロール10の各部、現像ロール133、上流側搬送ロール135、および下流側搬送ロール134がそれぞれ有する電位が記載されている。
【0049】
図4に示される感光体ロール10の央部10aは、帯電ロール11による帯電により電位は−720Vとされるものの、レーザ露光器12からのレーザ露光光の照射により形成された潜像部分の電位は−300Vとなる一方、レーザ露光光が非照射の部分の電位は−720Vを維持する。
【0050】
また、図4に示される感光体ロール10の第1端部10bは、帯電ロール11による帯電により電位が−720Vとされた後、レーザ露光光の強度制御により、第1端部10bの央部寄りの半分(以下、この央部寄りの半分を央部側端部101bと称す。)の電位が−650Vとなり、残りの半分(以下、この残りの半分を非央部側端部102bと称す。)の電位が−250Vとなる。また、図4に示される現像ロール133の電位は、不図示の電源により−600Vとされる。また、下流側搬送ロール134の電位は、不図示の電源により−1500Vとされ、上流側搬送ロール135の電位は、不図示の電源により−500Vとされる。
【0051】
以上の電位関係により、このプリンタ1では、現像ロール133に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10との間に形成された領域に搬送された現像剤中のトナーは、前述したように現像剤収容槽132内でマイナス極性に帯電されていることから、感光体ロール10の央部10aの潜像部分との間に発生する、この潜像部分(電位は−300V)から現像ロール133(電位は−600V)へ向かう向きの電界(電位差は300V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って潜像側に飛翔し、潜像はトナー現像される。その後、磁性キャリアは、現像ロール133の円筒部材1331の表面に磁力により吸着された状態で残り、現像剤収容槽132へと回収される。
【0052】
また、このプリンタ1では、以下のようにして劣化トナーが除去される。
【0053】
下流側搬送ロール134に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第2端部10cとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの過帯電トナーは、第2端部10cとの間に発生する、この第2端部10c(電位は−720V)から下流側搬送ロール134(電位は−1500V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界よりも強い電界(電位差は780V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って第2端部10cに吸着される。その後、第2端部10cに吸着された過帯電トナーは、転写器ロール14が存在しないために転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第2端部10cから除去され、残留物収容箱22に収容される。この様に、劣化トナーのうちの過帯電トナーが除去されることで低帯電トナーや逆極トナーの発生原因が減少する。また、この過帯電トナーの除去が、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最下流という、新たなトナーが供給される位置の直前で行われているので、低帯電トナーや逆極トナーの発生が効果的に抑制される。
【0054】
一方、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この第1端部10bのうちの央部側端部101bとの間に発生する、この上流側搬送ロール135(電位は−500V)から央部側端部101b(電位は−620V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像ロール133との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って央部側端部101bに吸着される。また、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、この第1端部10bのうちの非央部側端部102bとの間に発生する、非央部側端部102b(電位は−250V)から上流側搬送ロール135(電位は−500V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は250V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って非央部側端部102bに吸着される。第1端部10bに同時に吸着されたこれら低帯電トナーおよび逆極トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第1端部10bから同時に除去され、残留物収容箱22に収容される。この様に、低帯電トナーおよび逆極トナーは、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最上流で感光体ロール10の第1端部10bに吸着されて現像剤収容槽132から除去される。このため、上述した過帯電トナーの除去にもかかわらず低帯電トナーや逆極トナーが発生したとしても、低帯電トナーの現像器外部への飛散や逆極トナーの背景への付着が抑制される。つまり、過帯電トナーの除去と、低帯電トナーおよび逆極トナーの除去とは相乗効果を発揮する。このため、本実施形態のように劣化し易い低温定着トナーが採用された場合であっても、低帯電トナーや逆極トナーの発生が十分に抑制される。また、これら低帯電トナーおよび逆極トナーが同時に除去されることから、低帯電トナーの現像器外部への飛散と、逆極トナーの背景への付着との双方が常時抑制されている。また、これら低帯電トナーや逆極トナーの除去が、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最上流という、現像ロール133と感光体ロール10との協働によるトナー像の形成の直前の位置で行われていることで、トナー像の濃度低下や背景にトナーが載ることによる画質の低下が抑制されている。
【0055】
次に、本発明の画像形成装置の第2実施形態について説明する。
【0056】
第2実施形態と第1実施形態との相違点は、レーザ露光光の照射範囲と、感光体ロール10の第1端部10bおよび上流側搬送ロール135の電位とにあり、その他の構成および作用は同じであるので、以下、この相違点についてのみ説明する。
【0057】
図5は、第2実施形態のプリンタにおける、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【0058】
図5には、レザー露光器12によるレーザー露光光の照射範囲が、感光体ロール10の主部10aに限られている様子が示されている。このため、感光体ロール10の第1端部10bの電位は、帯電ロール11による帯電により付与された−720Vを維持する。
【0059】
また、図5には、上流側搬送ロール135に−1000Vの電位を付与する第1電源141と−500Vの電位を付与する第2電源142との間で上流側搬送ロール135へ付与する電位の変更が自在の切換スイッチ138が示されている。
【0060】
以上の電位関係により、上流側搬送ロール135に第2電源142が繋がれた場合には、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この第1端部10bとの間に発生する、上流側搬送ロール135(電位は−500V)から第1端部10b(電位は−720V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像ロール133との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って第1端部10bに吸着される。第1端部10bに吸着された逆極トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第1端部10bから除去され、残留物収容箱22に収容される。
【0061】
一方、上流側搬送ロール135に第1電源141が繋がれた場合には、磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、この第1端部10bとの間に発生する、この第1端部10b(電位は−720V)から上流側搬送ロール135(電位は−1000V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は280V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って第1端部10bに吸着される。第1端部10bに吸着された低帯電トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第1端部10bから除去され、残留物収容箱22に収容される。つまり、切換スイッチ138により、低帯電トナーの除去と逆極トナーの除去とが選択的に切り換えられている。尚、トナー像の形成および過帯電トナーの吸着は、既に説明してあるので省略する。
【0062】
次に、本発明の画像形成装置の第3実施形態について説明する。
【0063】
図6は、現像器の、レーザー露光器側からの透視図である。尚、以下に説明する実施形態についての図面において示される部材で図2に示される部材と同じ種類の部材には、図2において付されている符号と同じ符号が付されている。
【0064】
図6には、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最上流の位置に現像ロール133と同軸に設けられている上流側搬送ロール135が、感光体ロール10と同軸に設けられた上流側吸着ロール30に対向している様子が示されている。
【0065】
また、図6には、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最下流の位置であって、新たなトナーが供給されるトナー供給口132cの直前の位置に現像ロール133と同軸に設けられた下流側搬送ロール134が、下流側吸着ロール40に対向している様子が示されている。これら上流側吸着ロール30および下流側吸着ロール40は、双方共に感光体ロール10と同径であるものの、材料は感光体ロール10とは異なるアルミの円筒状の部材であり、印加される電圧も感光体ロール10とは異なっている。これら上流側吸着ロール30および下流側吸着ロール40は、本発明にいう吸着体の一例に相当する。
【0066】
さらに、図6には、レーザー露光器側から見た場合の記録用紙の搬送方向が矢印Xで示され、また、感光体ロール10の幅と、記録用紙が通過する範囲Yとが対応している様子が示されている。このため、上流側吸着ロール30および下流側吸着ロール40の表面を記録用紙が通過することはない。尚、以下に説明する実施形態において、感光体ロール10と同軸の上流側吸着ロール30および下流側吸着ロール40が備えられている場合には、クリーニング装置20のクリーニング部材21は、これら感光体ロール10のみならず、上流側吸着ロール30および下流側吸着ロール40の回転中心に沿った全幅にわたって先端がこれらの表面に接触しているものとする。
【0067】
図7は、第3実施形態のプリンタにおける、レーザ露光光の照射および各部の電位を示す図である。
【0068】
図7には、レーザ露光器12からのレーザ露光光の照射範囲が感光体ロール10に留まり、上流側吸着ロール30および下流側吸着ロール40には及んでいない様子が示されている。
【0069】
また、図7には、上流側搬送ロール135に200Vの電位を付与する第3電源143と−100Vの電位を付与する第4電源144との間で上流側搬送ロール135へ付与する電位の変更が自在の切換スイッチ138が示されている。
【0070】
また、図7に示される感光体ロール10、上流側吸着ロール30、下流側吸着ロール40、現像ロール133、上流側搬送ロール135、および下流側搬送ロール134には、それぞれが有する電位が記載されている。感光体ロール10は、帯電ロール11による帯電により電位は−720Vとされるものの、レーザ露光器12からのレーザ露光光の照射により形成された潜像部分の電位は−300Vとなる一方、レーザ露光光が非照射の部分の電位は−720Vが維持される。また、上流側吸着ロール30および下流側吸着ロール40は電位0Vが維持される。また、現像ロール133の電位は不図示の帯電装置により−600Vとされ、下流側搬送ロール134の電位は不図示の電源により−400Vとされている。
【0071】
以上の電位関係により、上流側搬送ロール135に第3電源143が繋がれた場合には、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、上流側吸着ロール30との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この上流側吸着ロール30との間に発生する、上流側搬送ロール135(電位は200V)から上流側吸着ロール30(電位は0V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って上流側吸着ロール30に吸着される。その後、上流側吸着ロール30に吸着された逆極トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって上流側吸着ロール30から除去され、残留物収容箱22に収容される。また、上流側搬送ロール135に第4電源144が繋がれた場合には、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、上流側吸着ロール30との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、この上流側吸着ロール30との間に発生する、この上流側吸着ロール30(電位は0V)から上流側搬送ロール135(電位は−100V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は100V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って上流側吸着ロール30に吸着される。その後、上流側吸着ロール30に吸着された低帯電トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって上流側吸着ロール30から除去され、残留物収容箱22に収容される。
【0072】
一方、下流側搬送ロール134に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、下流側吸着ロール40との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの過帯電トナーは、下流側吸着ロール40との間に発生する、この下流側吸着ロール40(電位は0V)から下流側搬送ロール134(電位は−400V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界よりも強い電界(電位差は400V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って下流側吸着ロール40に吸着される。その後、下流側吸着ロール40に吸着された過帯電トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって下流側吸着ロール40から除去され、残留物収容箱22に収容される。つまり、切換スイッチ138により、低帯電トナーの除去と逆極トナーの除去とが選択的に切り換えられている。また、本実施形態では、これら劣化トナーの除去を行う際に選択できる電位の自由度が上がる。
【0073】
次に、本発明の画像形成装置の第4実施形態について説明する。
【0074】
第4実施形態と第3実施形態との相違点は、上流側吸着ロール30、上流側搬送ロール135、下流側吸着ロール40、および下流側搬送ロール134それぞれの電位にあり、その他の構成および作用は同じであるので、以下では、この相違点について説明する。
【0075】
図8は、第4実施形態のプリンタにおける、レーザ露光光の照射および各部の電位を示す図である。
【0076】
図8には、上流側吸着ロール30に−200Vの電位を付与する第5電源145と100Vの電位を付与する第6電源146との間で上流側吸着ロール30へ付与する電位の変更が自在の切換スイッチ138が示されている。
【0077】
図8に示される上流側搬送ロール135の電位および下流側搬送ロール134の電位は双方共に0Vとされ、また、下流側吸着ロール40の電位は、不図示の電源により400Vとされている。
【0078】
以上の電位関係により、上流側吸着ロール30に第5電源145が繋がれた場合には、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、上流側吸着ロール30との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この上流側吸着ロール30との間に発生する、上流側搬送ロール135(電位は0V)から上流側吸着ロール30(電位は−200V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って上流側吸着ロール30に吸着される。その後、上流側吸着ロール30に吸着された逆極トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって上流側吸着ロール30から除去され、残留物収容箱22に収容される。また、上流側吸着ロール30に第6電源146が繋がれた場合には、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、上流側吸着ロール30との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、この上流側吸着ロール30との間に発生する、この上流側吸着ロール30(電位は100V)から上流側搬送ロール135(電位は0V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は100V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って上流側吸着ロール30に吸着される。上流側吸着ロール30に吸着された低帯電トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって上流側吸着ロール30から除去され、残留物収容箱22に収容される。
【0079】
一方、下流側搬送ロール134に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、下流側吸着ロール40との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの過帯電トナーは、下流側吸着ロール40との間に発生する、この下流側吸着ロール40(電位は400V)から下流側搬送ロール134(電位は0V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差は300V)よりも強い電界(電位差は400V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って下流側吸着ロール40に吸着される。下流側吸着ロール40に吸着された低帯電トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって下流側吸着ロール40から除去され、残留物収容箱22に収容される。この実施形態でも、切換スイッチ138により、低帯電トナーの除去と逆極トナーの除去とが選択的に切り換えられる。尚、トナー像の形成については、既に説明してあるので省略する。
【0080】
次に、本発明の画像形成装置の第5実施形態について説明する。
【0081】
第5実施形態と第4実施形態との間の相違点は、第4実施形態では別の部材であった現像ロール133と上流側搬送ロール135と下流側搬送ロール134とが第5実施形態では一体化されている点と、上流側吸着ロール30および下流側吸着ロール40の電位とにあり、その他の構成および作用は同じであるので、以下、この相違点についてのみ説明する。
【0082】
図9は、第5実施形態のプリンタにおける、レーザ露光光の照射および各部の電位を示す図である。
【0083】
図9には、第4実施形態のプリンタでは別の部材であった現像ロール133と上流側搬送ロール135と下流側搬送ロール134とが一体化した現像剤保持ロール233が示されている。この現像剤保持ロール233の電位は、不図示の電源により−600Vとなっている。
【0084】
また、図9には、上流側吸着ロール30に−800Vの電位を付与する第9電源149と−500Vの電位を付与する第8電源148との間で上流側吸着ロール30へ付与する電位の変更が自在の切換スイッチ138が示されている。
【0085】
図9に示される感光体ロール10、上流側吸着ロール30、下流側吸着ロール40、および現像剤保持ロール233には、それぞれが有する電位が記載されている。下流側吸着ロール40の電位は、下流側吸着ロール40に繋がれている不図示の電源により−200Vとなっている。
【0086】
以上の電位関係により、上流側吸着ロール30に第9電源149が繋がれた場合には、現像剤保持ロール233に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、上流側吸着ロール30との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この上流側吸着ロール30との間に発生する、現像剤保持ロール233(電位は−600V)から上流側吸着ロール30(電位は−800V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って上流側吸着ロール30に吸着される。上流側吸着ロール30に吸着された逆極トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって上流側吸着ロール30から除去され、残留物収容箱22に収容される。また、上流側吸着ロール30に第8電源148が繋がれた場合には、現像剤保持ロール233に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、上流側吸着ロール30との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、この上流側吸着ロール30との間に発生する、この上流側吸着ロール30(電位は−500V)から現像剤保持ロール233(電位は−600V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は100V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って上流側吸着ロール30に吸着される。上流側吸着ロール30に吸着された低帯電トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって上流側吸着ロール30から除去され、残留物収容箱22に収容される。
【0087】
一方、現像剤保持ロール233に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、下流側吸着ロール40との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの過帯電トナーは、下流側吸着ロール40との間に発生する、この下流側吸着ロール40(電位は−200V)から現像剤保持ロール233(電位は−600V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界(電位差は300V)よりも強い電界(電位差は400V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って下流側吸着ロール40に吸着される。その後、下流側吸着ロール40に吸着された過帯電トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって下流側吸着ロール40から除去され、残留物収容箱22に収容される。この実施形態では、現像ロール133と上流側搬送ロール135と下流側搬送ロール134とが現像剤保持ロール233に一体化されていることで電気的制御が単純化されていると共に部品点数も削減されている。
【0088】
次に、本発明の画像形成装置の第6実施形態について説明する。
【0089】
図10は、現像器の、レーザ露光器側からの透視図である。
【0090】
図10には、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最上流の位置に、現像ロール133と同軸に設けられた上流側搬送ロール135が、感光体ロール10の一方の端部(以下、この端部を第1端部10bと称す。)に対向して示されている。
【0091】
また、図10には、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最下流であって、新たなトナーが供給されるトナー供給口132cの直前の位置に、現像ロール133と同軸に設けられた下流側搬送ロール134が、感光体ロール10のもう一方の端部(以下、この端部を第2端部10cと称す。)に対向して示されている。これら上流側搬送ロール135および下流側搬送ロール134は、現像ロール133とは別の部材であり印加される電圧も現像ロール133とは異なっているものの、現像ロール133と同径、同材料、および同構造のものである。
【0092】
図10に示される感光体ロール10は、上流側搬送ロール135が対向する第1端部10b、下流側搬送ロール134が対向する第2端部10c、および、これら第1端部10bと第2端部10bとの間の部分(以下、この間の部分を央部10aと称す。)とからなり、央部10aのみ帯電ロール11により帯電される。
【0093】
さらに、図10には、感光体ロール10を構成する第1端部10b、第2端部10cの端部、および、央部10aが点線で区分されて示されており、点線で挟まれた央部10aは、レーザ露光器側から見た場合の記録用紙が矢印X方向に通過する範囲Yと対応する。このため、感光体ロール10の第1端部10bの表面および第2端部10cの表面を記録用紙が通過することはない。
【0094】
図11は、第6実施形態のプリンタにおける、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【0095】
図11には、レーザ露光器12からのレーザ露光光の照射範囲が感光体ロール10の央部10aのみに留まっている様子が示されている。
【0096】
また、図11には、上流側搬送ロール135に200Vの電位を付与する第3電源143と、−100Vの電位を付与する第4電源144との間で上流側搬送ロール135へ付与する電位の変更が自在の切換スイッチ138が示されている。
【0097】
さらに、図11に示される感光体ロール10、現像ロール133、上流側搬送ロール135、および下流側搬送ロール134には、それぞれが有する電位が記載されている。感光体ロール10の央部10aは、帯電ロール11による帯電により電位は−720Vとされるもののレーザ露光器12からのレーザ露光光の照射により形成された潜像部分の電位は−300Vとなる一方、レーザ露光光が非照射の部分の電位は−720Vを維持する。また、第1端部10bおよび第2端部10は、双方共に電位0Vを維持する。また、下流側搬送ロール134の電位は、不図示の電源により−400Vとなっている。
【0098】
以上の電位関係により、上流側搬送ロール135に第3電源143が繋がれた場合には、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この第1端部10bとの間に発生する、上流側搬送ロール135(電位は200V)から感光体ロール10の第1端部10b(電位は0V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像ロール133との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って感光体ロール10の第1端部10bに吸着される。その後、第1端部10bに吸着された逆極トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第1端部10bから除去され、残留物収容箱22に収容される。また、上流側搬送ロール135に第4電源144が繋がれた場合には、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、この上流側吸着ロール30との間に発生する、この上流側吸着ロール30(電位は0V)から上流側搬送ロール135(電位は−100V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は100V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って感光体ロール10の第1端部10bに吸着される。その後、第1端部10bに吸着された低帯電トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第1端部10bから除去され、残留物収容箱22に収容される。
【0099】
一方、下流側搬送ロール134に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第2端部10cとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの過帯電トナーは、感光体ロール10の第2端部10cとの間に発生する、この感光体ロール10の第2端部10c(電位は0V)から下流側搬送ロール134(電位は−400V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差は300V)よりも強い電界(電位差は400V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って感光体ロール10の第2端部10cに吸着される。その後、第2端部10cに吸着された過帯電トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第2端部10cから除去され、残留物収容箱22に収容される。この実施形態では、切換スイッチ138により、低帯電トナーの除去と逆極トナーの除去とが選択的に切り換えられている。尚、トナー像の形成については、既に説明してあるので省略する。
【0100】
次に、本発明の画像形成装置の第7実施形態について説明する。
【0101】
図12は、現像器の、レーザ露光器側からの透視図である。
【0102】
図12には、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最上流の位置に、現像ロール133と同軸に設けられた上流側搬送ロール135が、感光体ロール10の第1端部10bに対向して備えられている。
【0103】
また、図12には、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最下流であって、新たなトナーが供給されるトナー供給口132cの直前の位置に、現像ロール133と同軸に設けられた下流側搬送ロール134が、感光体ロール10の第2端部10cと対向している様子が示されている。これら上流側搬送ロール135および下流側搬送ロール134は、現像ロール133とは別の部材であり印加される電圧も現像ロール133とは異なっているものの、現像ロール133と同径、同材料、および同構造のものである。
【0104】
さらに、図12には、感光体ロール10の第1端部10bに対向する第1副帯電ロール50と、感光体ロール10の第2端部10bに対向する第2副帯電ロール60と、感光体ロール10の央部10aに対向する帯電ロール11とが示されている。これら第1副帯電ロール50および第2副帯電ロール60が、本発明にいう吸着体帯電器の一例に相当する。
【0105】
また、図12には、感光体ロール10を構成する、央部10a、第1端部10b、および第2端部10cの端部が点線で区分されて示されており、点線で挟まれた央部10aは、レーザ露光器側から見た場合の記録用紙が矢印X方向に通過する範囲Yと対応する。つまり、感光体ロール10の第1端部10bの表面および第2端部10cの表面を記録用紙が通過することはない。
【0106】
図13は、第7実施形態のプリンタの、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【0107】
図13には、レーザ露光器12からのレーザ露光光の照射範囲が感光体ロール10の央部10aおよび第1端部10bにとどまり、第2端部10cには及んでいない様子が示されている。
【0108】
また、図13に示される感光体ロール10、現像ロール133、上流側搬送ロール135、および下流側搬送ロール134には、それぞれが有する電位が記載されている。感光体ロール10の央部10aは、帯電ロール11による帯電により電位は−720Vとされるものの、レーザ露光器12からのレーザ露光光の照射により形成された潜像部分の電位は−300Vとなる一方、レーザ露光光が非照射の部分の電位は−720Vを維持する。また、第1端部10bは、第1副帯電ロール50により−800Vに帯電された後、レーザ露光光の照射強度の制御により、央部側端部101bの電位が−620Vとなる一方、非央部側端部102bの電位は−250Vとなる。第2端部10cは、第2副帯電ロール60により−800Vに帯電され、それを維持する。また、現像ロール133の電位は、不図示の電源により−600Vとされ、下流側搬送ロール134の電位は、不図示の電源により−1200Vとされ、上流側搬送ロール135の電位は、不図示の電源により−500Vとされている。
【0109】
以上の電位関係により、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この第1端部10bの央部側端部101bとの間に発生する、この上流側搬送ロール135(電位は−500V)から央部側端部101b(電位は−620V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像ロール133との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って央部側端部101bに吸着される。また、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、この第1端部10bの非央部側端部102bとの間に発生する、非央部側端部102b(電位は−250V)から上流側搬送ロール135(電位は−500V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は250V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って非央部側端部102bに吸着される。第1端部10bに同時に吸着された、これら逆極トナーおよび低帯電トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第1端部10bから同時に除去され、残留物収容箱22に収容される。この様に、低帯電トナーおよび逆極トナーは、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最上流で感光体ロール10の第1端部10bに吸着されて現像剤収容槽132から除去される。
【0110】
一方、下流側搬送ロール134に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第2端部10cとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの過帯電トナーは、第2端部10cとの間に発生する、この第2端部10c(電位は−800V)から下流側搬送ロール134(電位は−1200V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界よりも強い電界(電位差は400V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って第2端部10cに吸着される。第2端部10cに吸着された過帯電トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第2端部10cから除去され、残留物収容箱22に収容される。この様に、劣化トナーのうちの過帯電トナーが除去されることで低帯電トナーや逆極トナーの発生原因が減少する。また、この過帯電トナーの除去が、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最下流という、新たなトナーが供給される位置の直前で行われているので、低帯電トナーや逆極トナーの発生が効果的に抑制される。また、本実施形態では、これら第1副帯電ロール50および第2副帯電ロール60により、劣化したトナーを除去できる電位が確実に得られる。
【0111】
次に、本発明の画像形成装置の第8実施形態について説明する。
【0112】
第8実施形態と第7実施形態との間の相違点は、レーザ露光光の照射範囲と、感光体ロール10の第1端部10bおよび上流側搬送ロール135の電位とにあり、その他の構成および作用は同じであるので、以下、この相違点についてのみ説明する。
【0113】
図14は、第8実施形態のプリンタにおける、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【0114】
図14には、レザー露光器12によるレーザー露光光の照射範囲が、感光体ロール10の主部10aに限られている様子が示されている。このため、感光体ロール10の第1端部10bの電位は、第1副帯電ロール50による帯電により付与された−800Vを維持する。
【0115】
また、図14には、上流側搬送ロール135に−1000Vの電位を付与する第1電源141と−650Vの電位を付与する第10電源150との間で上流側搬送ロール135へ付与する電位の変更が自在の切換スイッチ138が示されている。
【0116】
以上の電位関係により、上流側搬送ロール135に第10電源150が繋がれた場合には、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この第1端部10bとの間に発生する、上流側搬送ロール135(電位は−650V)から第1端部10b(電位は−800V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像ロール133との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って第1端部10bに吸着される。第1端部10bに吸着された逆極トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第1端部10bから除去され、残留物収容箱22に収容される。また、上流側搬送ロール135に第1電源141が繋がれた場合には、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、この第1端部10bとの間に発生する、この第1端部10b(電位は−800V)から上流側搬送ロール135(電位は−1000V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は200V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って第1端部10bに吸着される。その後、第1端部10bに吸着された低帯電トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第1端部10bから除去され、残留物収容箱22に収容される。つまり、切換スイッチ138により、低帯電トナーの除去と逆極トナーの除去とが選択的に切り換えられている。尚、感光体ロール10の第2端部10cにおける過帯電トナーの吸着およびトナー像の形成については既に説明してあるので省略する。
【0117】
次に、本発明の画像形成装置の第9実施形態について説明する。
【0118】
第9実施形態と第8実施形態との間の相違点は、第8実施形態では別の部材であった現像ロール133と上流側搬送ロール135と下流側搬送ロール134とが、第9実施形態では一体化されている点と、これに伴う、感光体ロール10の第1端部10bおよび第2端部10cの電位とにあり、その他の構成および作用は同じであるので、以下、この相違点についてのみ説明する。
【0119】
図15は、第9実施形態のプリンタにおける、レーザ露光光の照射および各部の電位を示す図である。
【0120】
図15には、レーザ露光器によるレーザ露光光の照射が感光体ロール10の全体に行われ、第8実施形態のプリンタでは別の部材であった現像ロール133と上流側搬送ロール135と下流側搬送ロール134とが一体化した現像剤保持ロール233が示されている。
【0121】
図15に示される感光体ロール10の各部および現像剤保持ロール233には、それぞれが有する電位が記載されている。図15に示される感光体ロール10の第1端部10bは、第1副帯電ロール50による帯電により電位が−800Vとされた後、レーザ露光光の強度制御により、第1端部10bの央部側端部101bの電位はそのまま維持されるものの非央部側端部102bの電位が−500Vとなっている。また、図15に示される感光体ロール10の第2端部10cの電位は、第2副帯電ロール60により−800Vにされるものの、レーザ露光光の照射により−200Vとなっている。さらに、図15に示される現像剤保持ロール233の電位は、不図示の電源により−600Vとなっている。
【0122】
以上の電位関係により、現像剤保持ロール233に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この第1端部10bのうちの央部側端部101bとの間に発生する、この現像剤保持ロール233(電位は−600V)から央部側端部101b(電位は−800V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って央部側端部101bに吸着される。また、現像剤保持ロール233に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第1端部10bとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、この第1端部10bのうちの非央部側端部102bとの間に発生する、この非央部側端部102b(電位は−500V)から現像剤保持ロール233(電位は−600V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は100V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って非央部側端部102bに吸着される。その後、第1端部10bに同時に吸着された逆極トナーおよび低帯電トナーは、転写はされないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって第1端部10aから同時に除去され、残留物収容箱22に収容される。
【0123】
一方、現像剤保持ロール233に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の第2端部10cとの間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの過帯電トナーは、この第2端部10cとの間に発生する、この第2端部10c(電位は−200V)から現像剤保持ロール233(電位は−600V)へ向かう、感光体ロール10の央部10aの潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界よりも強い電界(電位差は400V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って感光体ロール10の第2端部10cに吸着される。その後、第2端部10cに吸着された過帯電トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって下流側吸着ロール40から除去され、残留物収容箱22に収容される。この実施形態では、逆極トナーおよび低帯電トナーが同時に除去されると共に、現像ロール133と上流側搬送ロール135と下流側搬送ロール134とが一体化した現像剤保持ロール233により部品点数が削減されている。尚、トナー像の形成については、既に説明してあるので省略する。
【0124】
次に、本発明の画像形成装置の第10実施形態について説明する。
【0125】
図16は、現像器の、レーザ露光器側からの透視図である。
【0126】
図16には、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最上流の位置に現像ロール133と同軸に設けられている上流側搬送ロール135が、感光体ロール10と同軸に設けられた上流側感光体ロール300に対向している様子が示されている。
【0127】
また、図16には、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最下流の位置であって、新たなトナーが供給されるトナー供給口132cの直前の位置に現像ロール133と同軸に設けられた下流側搬送ロール134が、下流側感光体ロール400に対向している様子が示されている。
【0128】
さらに、図16には、上流側感光体ロール300に対向する第1副帯電ロール50と、下流側感光体ロール400に対向する第2副帯電ロール60とが示されている。図16に示される上流側感光体ロール300および下流側感光体ロール400は、双方共に感光体ロール10とは別の部材であり付与さえる電位も感光体ロール10とは異なっているものの、感光体ロール10と同径、同材料、および同構造のものである。尚、図16に示される点線で挟まれた感光体ロール10の幅は、レーザ露光器側から見た場合の記録用紙が矢印X方向に通過する範囲Yと対応しており、つまり、上流側感光体ロール300および下流側感光体ロール400の表面を記録用紙が通過することはない。
【0129】
図17は、第10実施形態のプリンタにおける、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【0130】
図17には、レーザ露光器12からのレーザ露光光の照射範囲が感光体ロール10にとどまり、上流側感光体ロール300および下流側感光体ロール400には及んでいない様子が示されている。
【0131】
また、図17に示される感光体ロール10、上流側感光体ロール300、下流側感光体ロール400、現像ロール133、上流側搬送ロール135、および下流側搬送ロール134には、それぞれが有する電位が記載されている。感光体ロール10は、帯電ロール11による帯電により電位は−720Vとされるものの、レーザー露光器12からのレーザー露光光の照射により形成された潜像部分の電位は−300Vとなる一方、レーザー露光光が非照射の部分の電位は−720Vを維持する。また、上流側感光体ロール300は、第1副帯電ロール50により−800Vに帯電された後、レーザ露光光の照射強度の制御により、感光体ロール寄りの半分(以下、この感光体ロール寄りの半分を感光体ロール側端部301と称す。)の電位が−620Vとなり、残りの半分(以下、この残りの半分を非感光体ロール側端部302と称す。)の電位が−250Vとなる。また、現像ロール133の電位は不図示の電源により−600Vとなり、下流側搬送ロール134の電位は不図示の電源により−1200Vとなり、上流側搬送ロール135の電位は不図示の電源により−500Vとなっている。
【0132】
以上の電位関係により、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、上流側感光体ロール300との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この上流側感光体ロール300の感光体ロール側端部301との間に発生する、この上流側搬送ロール135(電位は−500V)から感光体ロール側端部301(電位は−620V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って感光体ロール側端部301に吸着される。また、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、感光体ロール10の上流側感光体ロール300との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、この上流側感光体ロール300の非感光体ロール側端部302との間に発生する、非感光体ロール側端部302(電位は−250V)から上流側搬送ロール135(電位は−500V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は250V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って非感光体ロール側端部302に吸着される。上流側吸着ロール300に吸着された逆極トナーおよび低帯電トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって上流側感光体ロール300から除去され、残留物収容箱22に収容される。この様に、低帯電トナーおよび逆極トナーは、現像剤収容槽132の第1収容室132aにおける現像剤の搬送方向の最上流で感光体ロール10の第1端部10bに吸着されて現像剤収容槽132から除去される。
【0133】
一方、下流側搬送ロール134に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、下流側感光体ロール400との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの過帯電トナーは、下流側感光体ロール400との間に発生する、この下流側感光体ロール400(電位は−800V)から下流側搬送ロール134(電位は−1200V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差は300V)よりも強い電界(電位差は400V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って下流側感光体ロール400に吸着される。その後、下流側感光体ロール400に吸着された過帯電トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって下流側感光体ロール400から除去され、残留物収容箱22に収容される。この様に、劣化トナーのうちの過帯電トナーが除去されることで低帯電トナーや逆極トナーの発生原因が減少する。また、本実施形態では、これらの劣化トナーを除去する電位が作りやすい。
【0134】
次に、本発明の画像形成装置の第11実施形態について説明する。
【0135】
第11実施形態と第10実施形態との間の相違点は、レーザ露光光の照射範囲と、上流側感光体ロール300および上流側搬送ロール135の電位とにあり、その他の構成および作用は同じであるので、以下、この相違点についてのみ説明する。
【0136】
図18は、第11実施形態のプリンタにおける、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【0137】
図18には、レザー露光器12によるレーザー露光光の照射範囲が、感光体ロール10に限られている様子が示されている。このため、上流側感光体ロール300の電位は、第1副帯電ロール50による帯電により付与された−800Vを維持し、下流側感光体ロール400の電位は、第2副帯電ロール60による帯電により付与された−800Vを維持する。
【0138】
また、図18には、上流側搬送ロール135に−1000Vの電位を付与する第1電源141と−650Vの電位を付与する第10電源150との間で上流側搬送ロール135へ付与する電位の変更が自在の切換スイッチ138が示されている。
【0139】
以上の電位関係により、上流側搬送ロール135に第10電源150が繋がれた場合には、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、上流側感光体ロール300との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この上流側感光体ロール300との間に発生する、上流側搬送ロール135(電位は−650V)から上流側感光体ロール300(電位は−800V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って上流側感光体ロール300に吸着される。上流側感光体ロール300に吸着された逆極トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって上流側感光体ロール300から除去され、残留物収容箱22に収容される。また、上流側搬送ロール135に第1電源141が繋がれた場合には、上流側搬送ロール135に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、上流側感光体ロール300との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、この上流側感光体ロール300との間に発生する、この上流側感光体ロール300(電位は−800V)から上流側搬送ロール135(電位は−1000V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像ロール133との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像ロール133との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は200V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って上流側感光体ロール300に吸着される。上流側感光体ロール300に吸着された低帯電トナーは、その後、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって上流側感光体ロール300から除去され、残留物収容箱22に収容される。つまり、切換スイッチ138により、低帯電トナーの除去と逆極トナーの除去とが選択的に切り換えられている。尚、感光体ロール10の下流側感光体ロール400における過帯電トナーの吸着およびトナー像の形成については既に説明してあるので省略する。
【0140】
次に、本発明の画像形成装置の第12実施形態について説明する。
【0141】
第12実施形態と第11実施形態との間の相違点は、第11実施形態では別の部材であった現像ロール133と上流側搬送ロール135と下流側搬送ロール134とが、第12実施形態では一体化されている点と、これに伴う、上流側感光体ロール300および下流側感光体ロール400の電位とにあり、その他の構成および作用は同じであるので、以下、この相違点について説明する。
【0142】
図19は、第12実施形態のプリンタにおける、レーザ露光光の照射および各部の電位を示す図である。
【0143】
図19には、レーザ露光器12によるレーザ露光光の照射が感光体ロール10、上流側感光体ロール300、および下流側感光体ロール400に行われ、第11実施形態のプリンタでは別の部材であった現像ロール133と上流側搬送ロール135と下流側搬送ロール134とが一体化した現像剤保持ロール233が示されている。
【0144】
図19に示される感光体ロール10、上流側感光体ロール300、下流側感光体ロール400、および現像剤保持ロール233には、それぞれが有する電位が記載されている。図19に示される上流側感光体ロール300は、第1副帯電ロール50による帯電により電位が−800Vとされた後、レーザ露光光の強度制御により、感光体ロール側端部301の電位はそのまま維持されるものの非感光体ロール側端部302の電位が−500Vとなっている。また、図19に示される下流側感光体ロール400の電位は、第2副帯電ロール60により−800Vにされるものの、レーザ露光光の照射により−200Vとなっている。さらに、図19に示される現像剤保持ロール233の電位は、不図示の電源により−600Vとなっている。
【0145】
以上の電位関係により、現像剤保持ロール233に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、上流側感光体ロール300との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの逆極トナーは、この感光体ロール側端部301との間に発生する、この現像剤保持ロール233(電位は−600V)から感光体ロール側端部301(電位は−800V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界と逆向きの電界により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って感光体ロール側端部301に吸着される。また、現像剤保持ロール233に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、上流側感光体ロール300との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの低帯電トナーは、非感光体ロール側端部302との間に発生する、この非感光体ロール側端部302(電位は−500V)から現像剤保持ロール233(電位は−600V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界(電位差300V)よりも弱い電界(電位差は100V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って非感光体ロール側端部302に吸着される。上流側感光体ロール300に同時に吸着された逆極トナーおよび低帯電トナーは、転写はなされないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって上流側感光体ロール300から同時に除去され、残留物収容箱22に収容される。
【0146】
一方、現像剤保持ロール233に保持された磁性キャリアに静電的に付着し、下流側感光体ロール400との間に形成された領域に搬送されたトナーのうちの過帯電トナーは、この下流側感光体ロール400との間に発生する、この下流側感光体ロール400(電位は−200V)から現像剤保持ロール233(電位は−600V)へ向かう、感光体ロール10の潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界と同じ向きでありながら潜像部分と現像剤保持ロール233との間の電界(電位差は300V)よりも強い電界(電位差は400V)により、磁性キャリアとの間の静電引力に打ち勝って下流側感光体ロール400に吸着される。その後、下流側感光体ロール400に吸着された過帯電トナーは、転写は行われないままクリーニング装置20のクリーニング部材21によって下流側感光体ロール400から除去され、残留物収容箱22に収容される。この実施形態では、逆極トナーおよび低帯電トナーが同時に除去されると共に、現像ロール133と上流側搬送ロール135と下流側搬送ロール134とが一体化した現像剤保持ロール233により部品点数が削減されている。尚、トナー像の形成については、既に説明してあるので省略する。
【0147】
なお、上述した説明では、画像形成装置の実施形態としてプリンタの例を示したが、本発明にいう画像形成装置はプリンタに限られず、例えば、複写機やファクシミリであってもよい。
【0148】
また、上述した実施形態では、本発明にいう像保持体としてロール状の感光体の例を示したが、本発明にいう像保持体はこれに限られず、例えばベルト状の部材であってもよい。
【0149】
また、上述した実施形態では、本発明にいう帯電器として、帯電ロールの例を示したが、本発明にいう帯電器はこれに限られず、例えば、帯電ロールに換えてコロトロンやスコロトロンといったコロナ放電器を有するものであってもよい。また、本発明にいう露光器としてレーザ露光器の例を示したが、本発明にいう露光器はこれに限られず、例えば、レーザ露光器に換えて複数の発光ダイオードからなるアレイを有するものであってもよい。
【0150】
また、上述した実施形態では、本発明にいう搬送体の例としてロール状の外形を有する例を示したが、本発明にいう搬送体はロール状のものに限られず、例えばベルト状のものであってもよい。
【0151】
また、上述した実施形態では、本発明にいう吸着体の例としてロール状の外形を有する例を示したが、本発明にいう吸着体はロール状のものに限られず、例えばベルト状のものであってもよい。
【0152】
また、上述した実施形態では、本発明にいう搬送体および吸着体に付与される電位として、特定の電位の値を例示したが、本発明にいう電位は例示した値に限られず、例示とは異なる値であってもよく、あるいは、環境条件やトナーの状態に応じて変化するものであってもよい。
【0153】
また、実施形態では、本発明にいう像保持体表面の潜像に付着させるトナーとして、低温定着トナーを用いた例を説明したが、本発明にいうトナーは低温定着トナーに限られず、従来公知のトナーであってもよい。
【0154】
ここで、上述した低温定着トナーの製造方法について説明する。
【0155】
以下では、図1のプリンタ1で採用されているトナーの製造方法、およびそのトナーを有する二成分現像剤の製造方法について説明する。ここでは、一例として40℃における損失弾性率が約4×10[Pa]、トナー中の結晶性ポリエステル樹脂の比率が5%、トナーの形状係数が約115のトナーの製造方法について説明する。
−結晶性ポリエステル樹脂−
ここで、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査結量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。なお、ここで、静電荷現像用トナーに用いられる『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、DSC曲線が明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークが発生し、その後前記DSC曲線のベースラインに戻ることを意味する。
【0156】
結晶性ポリエステル樹脂としては、具体的には、適度な融解温度を有し炭素数6以上のアルキル基を有する脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。炭素数6以上のアルキル基を有するポリエステル樹脂は、多価カルボン酸または多価アルコールに炭素数6以上のアルキル基を有する重合性単量体を用いることで得ることができ、例えば、ドデセニルコハク酸などを用いることができるが、これに限るものではない。
樹脂の製造に用いる多価カルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタルレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ダイマー酸、トリマー酸、水添ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和脂肪族及び脂環族ジカルボン酸等を、また多価カルボン酸としては他にトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸等を用いることができる。
【0157】
樹脂の製造に用いる多価アルコール類としては脂肪族多価アルコール類、脂環族多価アルコール類、芳香族多価アルコール類等を例示できる。脂肪族多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジメチロールヘプタン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるラクトン系ポリエステルポリオール等の脂肪族ジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエルスリトール等のトリオール及びテトラオール類等を例示できる。
【0158】
脂環族多価アルコール類としては1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ダイマージオール、水添ダイマージオール等を例示できる。
【0159】
芳香族多価アルコール類としてはパラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0160】
樹脂末端の極性基を封鎖し、トナー帯電特性の環境安定性を改善する目的において単官能単量体がポリエステル樹脂に導入される場合がある。単官能単量体としては、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、ターシャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリル酸、及びこれらの低級アルキルエステル、等のモノカルボン酸類、あるいは脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環族アルコール等のモノアルコールを用いることができる。
【0161】
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けて製造する。
【0162】
結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させても良い。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させると良い。
【0163】
結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、一般的なものを用いることができる。
【0164】
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度としては、好ましくは50〜100℃であり、より好ましくは60〜100℃である。前記融解温度が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる場合がある一方、100℃より高いと従来のトナーに比べて十分な低温定着が得られない場合がある。
【0165】
また、結晶性ポリエステル樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、ここでは、最大のピークをもって融解温度とする。
【0166】
更に、樹脂融解温度の測定には、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7を用いることができる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融解温度を用い樹脂のガラス転移温度の測定も同様に測定することができる。
【0167】
このトナーに使用される結晶性ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が8,000〜35,000であり、好ましくが10,000〜25,000である。重量平均分子量が8,000未満では、非結晶性ポリエステル樹脂や離型剤との相溶が進行し、可塑を発生させる場合がある。また、35,000を超えるとトナー溶融時の粘度が上昇し、定着性や画像光沢性を損なうことがある。ここで、樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−9120、東ソー製カラム「TSKgel SuperHM−M」(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。後述する非結晶性ポリエステル樹脂の測定でも同様に測定した。
【0168】
このトナーは、結晶性ポリエステル樹脂のASTM D3418−8に準拠して測定される融解温度(mp)が50〜100℃が好ましく用いられる。融解温度が50℃未満では、トナーの熱保管性が低下し、100℃を超えるとトナー定着時の画像光沢度が低下する。
【0169】
結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)を5〜50mgKOH/gに制御する。該酸価が5mgKOH/g未満では、結晶性ポリエステル樹脂粒子同士が凝集体を形成し、離型剤との構造体の形成が困難となるばかりでなく、結晶性ポリエステル樹脂粒子がトナー中に独立に存在、或いは大きく成長しトナー表面に露出することがあり、トナーの流動性、帯電性の観点から好ましくない。また、該酸価が50mgKOH/gを超えるとトナー中への内包が困難となる場合がある。
−非結晶ポリエステル樹脂−
非晶性ポリエステル樹脂としては、上記触媒を用い主として上述した多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
【0170】
非結晶性ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
【0171】
このトナーに用いられる非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、ASTM
D3418−8に準拠して求めた場合に50℃以上であることが好ましく、さらには55℃以上、またさらには60℃以上、65℃未満であることが好ましい。ガラス転移温度が50℃未満の場合には、取扱い中あるいは保存中に凝集する傾向がみられ、保管安定性に問題を生ずる場合がある。また、65℃以上の場合は、定着性を低下させる場合があり、好ましくない。
【0172】
また、このトナーに用いられる非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点は、60〜90℃の範囲であることが好ましい。樹脂の軟化温度を60℃未満に抑えたトナーにおいては、取扱い中あるいは保存中に凝集する傾向がみられ、特に長時間の保存において、流動性が大きく悪化する場合がある。軟化点が90℃を超える場合には定着性に支障をきたす場合がある。また定着ロールを高温に加熱する必要が生じるために、定着ロールの材質、ならびに複写される基材の材質が制限される。
【0173】
このトナーに使用される非晶性ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)
可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が20,000〜50,000であり、好ましくは25,000〜50,000である。重量平均分子量が25,000未満では、トナーの熱保管性が低下するばかりでなく、定着された画像の強度が低下する。また、50,000を超えると定着性が悪化し、画像光沢も低下する。
【0174】
非結晶性ポリエステル樹脂の酸価を10〜50mgKOH/gが好ましい。該酸価が10mgKOH/g未満では、トナー製造時の凝集体の粒度成長が早くなるため、出来上がるトナーの粒度分布が拡大するという不具合が生じる場合がある。また、該酸価が50mgKOH/gを超えると、結晶性ポリエステル樹脂、離型剤との酸価の差が大きくなるため、結晶性ポリエステル樹脂、離型剤との凝集だけが進む場合があり、定着性がトナー粒子間で変化してしまうという不具合がある。非結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
【0175】
このトナーは、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂の重量比率が5/95〜40/60であり、非晶性ポリエステル樹脂の割合が60%未満では、良好な定着特性は得られるものの、定着像中の相分離構造が不均一となり、定着画像の強度、特に引っかき強度が低下し、傷がつきやすくなるといった問題を呈することがある。一方、95%を超える場合では、結晶性ポリエステル樹脂由来のシャープメルト性が得られず、可塑が発生することがあり、良好な低温定着性を確保しつつ、耐トナーブロッキング性、画像保存性を保つことができなくなる場合がある。
【0176】
結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の作成については、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、調製することが可能である。
【0177】
また、その他の方法で作製した樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば樹脂をそれらの溶剤に解かして水中にイオン性の界面活性剤や高分子電解質と共にホモジナイザーなどの分散機により水中に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を作製することができる。また、樹脂に界面活性剤を加え、ホモジナイザーなどの分散機により水中にて乳化分散する方法や転相乳化法などにより、樹脂粒子分散液を調製してもよい。
【0178】
このようにして得られた樹脂粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700堀場製作所製)で測定することができる。
−離型剤−
このトナーに用いられる離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油ワックス、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等の高脂肪酸と高級アルコールとのエステルワックス類;ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、モノステアリン酸グリセリド、ジステアリン酸グリセリド、ペンタエリスリトールテトラベヘネート等の高級脂肪酸と単価又は多価低級アルコールとのエステルワックス類;ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド等の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステルワックス類;ソルビタンモノステアレート等のソルビタン高級脂肪酸エステルワックス類;コレステリルステアレート等のコレステロール高級脂肪酸エステルワックス類などを挙げることができる。本実施の形態において、これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、本実施の形態においては、これらの中で融解温度が40℃〜120℃の物が用いられるが、最近の省エネルギー対応としての低温定着性の要求に対応する為には、特に50℃〜100℃の物が好ましく、より好ましくは50〜80℃の物が用いられる。
【0179】
これらの離型剤の添加量としては、トナー全量に対して、0.5〜30重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜20重量%の範囲、さらに好ましくは5〜15重量%の範囲である。添加量が0.5重量%未満であると離型剤添加の効果がなく、30重量%を超えると、帯電性に影響が現れやすくなったり、現像器内部においてトナーが破壊されやすくなり、離型剤のキャリアへのスペント化が生じ、帯電が低下しやすくなる等の影響が現れる場合がある。
−着色剤−
着色剤は、通常トナー中に効果的な量、例えばトナーの約1〜約15重量%、望ましくは約3〜約10重量%存在する。このトナーの製法で使用する、着色剤としては特に限定されず、公知の着色剤を使用することができ、目的に応じて適宜選択することができる。顔料を1種単独で用いてもよいし、同系統の顔料を2種以上混合して用いてもよい。また異系統の顔料を2種以上混合して用いてもよい。前記着色剤としては、具体的には、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;ベンガラ、アニリンブラック、紺青、酸化チタン、磁性粉等の無機顔料;ファストイエロー、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン(3B、6B等)、パラブラウン等のアゾ顔料;銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料;フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料;等が挙げられる。
【0180】
また、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート、パラブラウンなどの種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジゴ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料;などが挙げられる。これらの着色剤に透明度を低下させない程度にカーボンブラック等の黒色顔料、染料を混合してもよい。また、分散染料、油溶性染料等も挙げられる。
【0181】
着色剤分散や前記離型剤分散液に於ける分散媒体は、水系が好ましく、水、純水、イオン交換水が用いられる。分散剤としては界面活性剤が用いられる。このトナーに用いられる着色剤分散液の作製は、例えばボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、ナノマイザー、マイクロフルイダイザー、アルティマイザー、ゴーリン等の高圧型分散機、などの公知の分散方法を用いて、記述したような粒径、含有量を満たすことができるのであれば、いかなる方法・条件により作製されるものであってもよい。
<その他の成分>
このトナーに用いられ得るその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、無機粒子、有機粒子、帯電制御剤、離型剤等の公知の各種添加剤等が挙げられる。
【0182】
上記無機粒子は、一般にトナーの流動性を向上させる目的で使用される。該無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の粒子が挙げられる。これらの中でも、シリカ粒子が好ましく、疎水化処理されたシリカ粒子が特に好ましい。
【0183】
無機粒子の平均1次粒子径(数平均粒子径)としては、1〜1000nmの範囲が好ましく、その添加量(外添)としては、トナー100重量部に対して、0.01〜20重量部の範囲が好ましい。
【0184】
有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性、時には帯電性を向上させる目的で使用される。前記有機粒子としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン−アクリル共重合体等の粒子が挙げられる。
【0185】
帯電制御剤は、一般に帯電性を向上させる目的で使用される。帯電制御剤としては、例えば、サリチル酸金属塩、含金属アゾ化合物、ニグロシンや4級アンモニウム塩等が挙げられる。
<トナーの特性>
このトナーの体積平均粒子径は、1〜12μmが好ましく、3〜9μmがより好ましく、3〜8μmがより好ましい。また、本実施の形態のトナーの数平均粒子径は、1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。粒子径が小さすぎると製造性が不安定になり、帯電性が不十分になり、現像性が低下することがあり、大きすぎると画像の解像性が低下する。
[現像剤]
次に、静電潜像現像用現像剤(以下「現像剤」ともいう)について説明する。
【0186】
現像剤は、上記のトナーを含有する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。この現像剤は、前記トナーを、単独で用いると一成分系の現像剤となり、また、トナーとキャリアとを組み合わせて用いると二成分系の現像剤となる。
【0187】
キャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアが挙げられる。
【0188】
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。該キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30〜200μm程度の範囲である。
【0189】
また、樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロぺニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー;などの単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、さらに、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。被覆樹脂の被覆量としては、前記核体粒子100重量部に対して0.1〜10重量部程度の範囲が好ましく、0.5〜3.0重量部の範囲がより好ましい。
【0190】
キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどを使用することができ、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。
【0191】
また、この現像剤においては、トナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
実施例
以下、実施例によりこのトナーをさらに具体的に説明する。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
(損失弾性率の測定方法)
損失弾性率の測定方法は角周波数が6.28rad/sec、歪量0.1%、40℃で測定したものである。
損失弾性率は、正弦波振動法により測定した動的粘弾性から求めており、動的粘弾性の測定にはレオメトリックサイエンティフィック社製ARES測定装置を用いた。動的粘弾性の測定は、錠剤に成形したトナーを、8mm径のパラレルプレートにセットし、ノーマルフォースを0とした後に6.28rad/secの振動周波数で正弦波振動を与えて実施した。測定は30℃から開始し、50℃まで継続した。測定時間インターバルは30秒
、昇温は1℃/minとし、歪量を0.1%にし、複素弾性率及び正接損失を求めた。
(トナーの形状係数)
形状係数は以下の式により求めた。
形状係数=((最大径/2)×π)×100/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。
また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。
この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。
この際、100個のトナー粒子を使用してこのトナーの形状係数を上記算出式にて測定したものである。
(粒度および粒度分布測定方法)
このトナーの粒度および粒度分布測定について述べる。測定する粒子が2μm以上の場合、測定装置としてはコールターマルチサイザーII型(ベックマンーコールター社製)を用い、電解液はISOTON―II(ベックマンーコールター社製)を使用した。
【0192】
測定法としては分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを前記電解液100〜150ml中に添加した。
【0193】
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求めた。測定する粒子数は50000であった。
【0194】
またこのトナーの粒度は以下の方法により求めた。測定された粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、粒度の小さいほうから体積累積分布を描き、累積50%となる体積平均粒径をD50と定義する。用いたトナーの体積平均粒径は該D50である。
【0195】
なおキャリアの平均粒径は電子顕微鏡(FE―SEM)による写真を撮影し、100個の粒子について個々の最大径、最少径を測定し、その和を2で割ったものを個々の粒子の粒径とした。キャリアの平均粒径は個々の個々の粒子の粒径の平均である。なお樹脂被覆を行う前のコアについての平均粒径も同様の方法で測定した。
−結晶性ポリエステル樹脂の調整−
三口フラスコにデカン酸ジメチル100質量部、1,9−ノナンジオール75.0質量部、ジブチルすずオキサイド0.08質量部を窒素雰囲気下で、180℃、8時間反応させる。反応中、生成された水は系外へ除去した。その後、徐々に減圧しながら、230℃まで温度をあげて、7時間反応させた後、冷却し、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂1の重量平均分子量は、17000であった。
−非結晶性ポリエステル樹脂の作製−
三口フラスコにテレフタル酸ジメチル82質量部、イソフタル酸ジメチル82質量部、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物79質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物257質量部、ジブチルすずオキサイド0.23質量部を窒素雰囲気下で、180℃、3時間反応させる。反応中、生成された水は系外へ除去した。その後、徐々に減圧しながら、240℃まで温度をあげて、2時間反応させた後、冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂を得た。この非結晶性ポリエステル樹脂の重量分子量は、16500であった。
−結晶性ポリエステル/非結晶性ポリエステル混合樹脂分散液の作製−
三口フラスコに、上記の結晶性ポリエステル樹脂を5質量部、上記の非晶性ポリエステル樹脂を95質量部、メチルエチルケトン50質量部、イソプロピルアルコール15質量部を加えて攪拌させながら、60℃に加熱して、樹脂を溶解させた後、10%アンモニア水溶液25質量部を加える。さらにイオン交換水400質量部を徐々に加えて、転相乳化を行った後、脱溶媒した後、固形分濃度を25%に調整し、結晶性ポリエステル/非結晶性ポリエステル混合樹脂分散液を得た。
−離型剤分散液の調製−
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP9,融解温度77℃):60質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):4質量部
・イオン交換水:200質量部
以上の成分を混合した溶液を120℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径が250nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液を調製した。なお、この分散液の離型剤濃度が20質量%となるように水分量を調整した。
−着色剤分散液の調製−
・シアン顔料(銅フタロシアニンB15:3、大日精化社製):50質量部
・非イオン性界面活性剤ノニポール400(花王社製):5質量部
・イオン交換水:200質量部
以上の成分を混合溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散し、水分量を調整して、着色剤粒子分散液(1)を得た。
−トナー母粒子の製造−
・上記の結晶性ポリエステル/非結晶性ポリエステル混合樹脂分散液:720質量部
・上記の着色剤分散液:50質量部
・上記の離型剤分散液:70質量部
・カチオン界面活性剤・(花王(株)製:サニゾールB50):1.5質量部
以上の成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容し、0.1規定の硫酸を添加してpHを3.8に調整した後、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの濃度が10重量%の硝酸水溶液30質量部を添加した。
【0196】
その後にホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて30℃において分散した後、加熱用オイルバス中で40℃まで加熱した。得られたコア凝集粒子の体積平均粒径を測定すると、5.2μmであった。
【0197】
この凝集粒子分散液を40℃で30分間保持した後、このコア凝集粒子が形成された分散液中に、非結晶性ポリエステル樹脂分散液を緩やかに160質量部追加し1時間保持した。得られた付着樹脂凝集粒子の体積平均粒径は6.2μmであった。0.1規定の硝酸を添加してpHを7.0に調整した後、攪拌を継続しながら95℃まで加熱し、5時間保持した。
【0198】
その後、20℃/minの速度で20℃まで冷却し、これをろ過し、イオン交換水で洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることによりトナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子の体積平均粒径は6.1μmであった。
−キャリヤの製造−
・フェライト粒子(体積平均粒径:50μm):100質量部
・トルエン:14質量部
・スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:スチレン/メチルメタクリレート=90/10、重量平均分子量Mw=80000):2質量部
・カーボンブラック(R330:キャボット社製):0.2質量部
まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて、分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリヤを得た。
−現像剤の作製−
上記のトナー母粒子について、外添剤として市販のヒュームドシリカRX50(日本アエロジル製)をおのおののトナー母粒子100質量部に対して1.2質量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷像現像用トナーを得た。ついで、このトナー8質量部と上記キャリア100質量部とを混合して二成分現像剤を調整した。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】プリンタの概略構成図である。
【図2】図1に示す現像器の、レーザ露光器側からの透視図である。
【図3】現像器等の断面図である。
【図4】第1実施形態のプリンタ1における、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【図5】第2実施形態のプリンタにおける、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【図6】現像器の、レーザー露光器側からの透視図である。
【図7】第3実施形態のプリンタにおける、レーザ露光光の照射および各部の電位を示す図である。
【図8】第4実施形態のプリンタにおける、レーザ露光光の照射および各部の電位を示す図である。
【図9】第5実施形態のプリンタにおける、レーザ露光光の照射および各部の電位を示す図である。
【図10】現像器の、レーザ露光器側からの透視図である。
【図11】第6実施形態のプリンタにおける、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【図12】現像器の、レーザ露光器側からの透視図である。
【図13】第7実施形態のプリンタの、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【図14】第8実施形態のプリンタにおける、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【図15】第9実施形態のプリンタにおける、レーザ露光光の照射および各部の電位を示す図である。
【図16】現像器の、レーザ露光器側からの透視図である。
【図17】第10実施形態のプリンタにおける、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【図18】第11実施形態のプリンタにおける、レーザ露光器からのレーザ露光光の照射の様子および各部の電位を示す図である。
【図19】第12実施形態のプリンタにおける、レーザ露光光の照射および各部の電位を示す図である。
【符号の説明】
【0200】
1 プリンタ
10 感光体ロール
10a 央部
10b 第1端部
101b 央部側端部
102b 非央部側端部
10c 第2端部
11 帯電ロール
12 レーザ露光器
13 現像器
131 撹拌搬送部材
132 現像剤収容槽
133 現像ロール
134 下流側搬送ロール
135 上流側搬送ロール
138 切換スイッチ
14 転写ロール
20 クリーニング装置
21 クリーニング部材
22 残留物収容箱
233 現像剤保持ロール
30 上流側吸着ロール
300 上流側感光体ロール
301 感光体ロール側端部
302 非感光体ロール側端部
40 下流側吸着ロール
400 下流側感光体ロール
50 第1副帯電ロール
60 第2副帯電ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に像が形成されて該像を保持する像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電器と、
前記帯電器により帯電された前記像保持体の表面を露光することで該表面に静電的な潜像を形成する露光器と、
前記像保持体表面に形成された潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する、該トナーを含んだ現像剤を内部に収容した現像器とを備え、
前記現像器が、
前記像保持体に隣り合った、該像保持体とは電位差を有する、表面に前記現像剤を保持して回転することで該現像剤を、前記像保持体に面した現像領域へと搬送する現像ロールと、
前記現像ロールに隣接し該現像ロールの回転軸に沿って延びた、内部に前記現像剤を収容して該現像剤を前記現像ロールに供給する、収容した現像剤を撹拌しつつ該回転軸に沿った第1方向に搬送する第1収容部と、
前記第1収容部に隣接し該第1収容部に並んで延びた、両端に、該第1収容部との間で現像剤が移動する移動口が設けられた、内部に前記現像剤を収容しトナーが供給されて該現像剤と該トナーを撹拌して混合しつつ前記第1方向とは逆の第2方向に搬送する第2収容部と、
前記第1方向への搬送における前記現像ロールよりも上流側および下流側のそれぞれで前記第1収容部から現像剤を得、該現像剤を表面に保持して搬送した後、該第1収容部に戻す複数の搬送体とを備えたものであり、
前記複数の搬送体それぞれに隣り合った、該搬送体との間に前記電位差とは異なる電位差を有する、その電位差で、該複数の搬送体それぞれによって搬送中の現像剤から前記トナーを吸着する複数の吸着体を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記吸着体が、前記像保持体と一体のものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記吸着体が、前記像保持体と一体のものであり、
前記吸着体の表面を帯電させる、前記帯電器と一体あるいは別の吸着体帯電器を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吸着体が、前記像保持体と一体のものであり、
前記吸着体の表面を前記帯電器による帯電電位とは異なる帯電電位に帯電させる吸着体帯電器を備えたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吸着体が、前記像保持体とは別の部材であって、表面の電位が該像保持体の表面電位とは独立なものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記吸着体が、前記像保持体とは別の部材であり、
前記吸着体の表面を帯電させる、前記帯電器と一体あるいは別の吸着体帯電器を備えたことを特徴とする請求項1または5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記吸着体の表面を帯電させる、前記帯電器と一体あるいは別の吸着体帯電器と、
前記吸着体の、前記吸着体帯電器によって帯電された表面に露光光を照射して該表面の帯電電位を変更する吸着体露光器とを備えたことを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記吸着体が、前記搬送体との間に、前記現像ロールと前記像保持体との間の電界の向きと同じ向きの電界を生じさせる電位差であって、該現像ロールと該像保持体との間の電位差よりも大きい電位差を有するものであることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記吸着体が、前記搬送体との間に、前記現像ロールと前記像保持体との間の電界の向きと同じ向きの電界を生じさせる電位差であって、該現像ロールと該像保持体との間の電位差よりも小さい電位差を有するものであることを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記吸着体が、前記搬送体との間に、前記現像ロールと前記像保持体との間の電界の向きとは逆向きの電界を生じさせる電位差を有するものであることを特徴とする請求項1から9のうちいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−151978(P2010−151978A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328303(P2008−328303)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】