説明

画像形成装置

【課題】帯電ワイヤの清掃検知に係る電気的構成を簡易化できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、帯電ワイヤ29aの第1端T1および第2端T2間において移動されることにより帯電ワイヤ29aを清掃処理する清掃部材91と、清掃部材91が、第1端T1から第2端T2へ移動されたときに、帯電ワイヤ29aと電気的に導通状態とされる被導通部材29bと、清掃部材91が第2端T2へ移動された際に、帯電ワイヤ29aを被導通部材29bと導通状態にさせる導通手段93とを備える。帯電電圧を帯電ワイヤ29aに印加する印加手段によって帯電ワイヤ29aに第1電圧を印加し、第1電圧の検出結果に基づいて、帯電ワイヤ29aの清掃処理が行われたかどうかが判断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、詳しくは、その帯電器の帯電ワイヤの清掃判断に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置における帯電ワイヤの清掃を判断する技術として、例えば、特許文献1には、清掃部材が帯電ワイヤの長手方向に移動されて、帯電ワイヤの端部に達したことを検知して、帯電ワイヤの有効領域が清掃されたと判断する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−017851公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、文献1に開示された方法では、清掃部材が帯電ワイヤの有効領域に渡って移動されたことを確実に検知できるものの、その検知にマイクロスイッチが使用されている。そのため、清掃部材の移動を電気的に検出するためには、マイクロスイッチから検出回路に至るまでの新たな電気配線等の電気的構成が必要とされる。それは、製造コストの増加につながることとなる。
本発明は、帯電ワイヤの清掃検知に係る電気的構成を簡易化できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る画像形成装置は、感光体と、第1端および第2端を有する帯電ワイヤを含み、前記感光体を帯電する帯電器とを備え、帯電された前記感光体上に現像剤像を形成することにより被記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、前記第1端および第2端間において移動されることにより前記帯電ワイヤを清掃処理する清掃部材と、前記清掃部材が、該清掃部材が初期設置される前記第1端から前記第2端へ移動されたときに、前記帯電ワイヤと電気的に導通状態とされる被導通部材と、前記第2端側に設けられる導通手段であって、前記清掃部材が前記第2端へ移動された際に、前記帯電ワイヤを前記被導通部材と導通状態にさせる導通手段と、前記帯電ワイヤに第1電圧を印加する印加手段と、前記第1電圧、および/または、該第1電圧の前記帯電ワイヤへの印加によって前記被導通部材に生じる第2電圧を検出する検出手段と、前記第1電圧および/または前記第2電圧の検出結果に基づいて、前記帯電ワイヤの清掃処理が行われたかどうかを判断する判断手段とを備える。
【0005】
本構成によれば、導通手段は、清掃部材が、帯電ワイヤの清掃にともなって帯電ワイヤの第1端から第2端へ移動された際に、帯電ワイヤを被導通部材と導通状態にさせる。その際に、判断手段は、検出手段によって検出される第1電圧および/または第2電圧の結果に基づいて帯電ワイヤが清掃されたかどうかを判断する。例えば、被導通部材を帯電器のグリッドによって構成した場合、帯電ワイヤとグリッドとが導通され、第1電圧と第2電圧とが等しくなるため、それを検出することによって、帯電ワイヤの清掃処理が行われたと判断することができる。その際、第1電圧および被導通部材(グリッド)の電圧を検出する電気的な検出手段は、元来、画像形成装置に備えられている構成である。そのため、何ら電気的構成を新たに追加することなく、帯電ワイヤの清掃処理が行われたかどうかを判断することができる。すなわち、帯電ワイヤの清掃検知に係る電気的構成を簡易化できる。
【0006】
第2の発明は、第1の発明の画像形成装置において、前記印加手段は、前記帯電ワイヤに、前記第1電圧として帯電電圧を印加し、前記帯電器は、前記被導通部材としてグリッドを含み、前記検出手段は、前記帯電電圧を検出するとともに、前記グリッドに印加されるグリッド電圧を前記第2電圧として検出し、前記判断手段は、前記帯電電圧が前記グリッド電圧とほぼ等しい場合、前記帯電ワイヤが清掃されたと判断する。
【0007】
本構成によれば、清掃処理時に帯電ワイヤとグリッドとを導通させることによって、帯電電圧がグリッド電圧まで低下する。すなわち、帯電電圧がグリッド電圧までしか上昇しない。その検出によって、帯電ワイヤの清掃処理が行われたことを、確実に判断できる。その際、何ら電気的構成を新たに追加する必要なく、既存の構成を利用できるため、検出コスト的に有利である。
【0008】
第3の発明は、第1の発明の画像形成装置において、前記帯電器は、前記被導通部材としてグリッドを含み、前記検出手段は、前記導通手段と前記グリッドとの間で発生した放電による放電電圧を、前記第2電圧として検出する放電検知手段を含み、前記判断手段は、前記第1電圧が前記帯電ワイヤに印加された際に、前記放電検知手段によって前記放電電圧が検出された場合、前記帯電ワイヤの清掃処理がなされたと判断する。
【0009】
本構成によれば、導通手段が清掃部材によって導通位置まで移動されていない場合であっても、帯電ワイヤの清掃処理が行われたかどうかを判断できる。しかも、放電検知手段は、元来、画像形成装置に備えられている構成であるため、その際、何ら電気的構成を新たに追加する必要なく、既存の構成を利用できる。そのため、検出コスト的に有利である。
【0010】
第4発明は、第1の発明の画像形成装置において、前記被導通部材は、グランドに接続された抵抗器、またはグランドに接続された接地線であり、前記印加手段は、前記帯電ワイヤに、前記第1電圧として帯電電圧を印加し、前記検出手段は、前記帯電電圧を検出し、前記判断手段は、検出された前記帯電電圧に応じて、該帯電電圧を所定値に制御する帯電制御信号を生成し、前記被導通部材が前記抵抗器である場合であって検出された前記帯電電圧が所定値以下となる場合、または前記被導通部材が前記接地線である場合であって前記帯電制御信号が最大となる場合、前記帯電ワイヤの清掃処理がなされたと判断する。
【0011】
本構成によれば、清掃処理時に、帯電ワイヤと、接地された負荷抵抗とを、あるいは接地線とを導通させることにより、簡易な電気的構成の追加によって帯電ワイヤの清掃が行われたかを好適に判断できる。
【0012】
第5発明は、第2〜第4のいずれかの発明の画像形成装置において、前記感光体を駆動する駆動手段と、前記感光体の駆動に連動して前記導通部材を前記非導通位置に戻す結合機構とをさらに備える。
【0013】
本構成によれば、感光体の駆動と連動させて、導通部材を非導通位置に戻すことができる。すなわち、画像形成処理の開始と連動させて、帯電ワイヤを被導通部材から分離させて、帯電器を通常動作させることができる。
【0014】
第6発明は、第5の発明の画像形成装置において、前記駆動手段は、前記判断手段による判断処理後に、前記感光体を駆動する。
本構成によれば、導通部材が非導通位置に戻された状態において判断処理が行われることを防止し、誤判断を避けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置によれば、帯電ワイヤの清掃検知に係る電気的構成を簡易化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<実施形態>
本発明に係る画像形成装置の一実施形態を、図1〜図7を参照しつつ説明する。ここでは、画像形成装置としてレーザプリンタが例示される。なお、画像形成装置は、レーザプリンタに限られず、例えば、LEDプリンタ、ファクシミリ装置、あるいはコピー機能及びスキャナ機能等を備えた複合機であってもよい。
【0017】
1.レーザプリンタの全体構成
図1は、レーザプリンタの概略的な要部側断面図である。図1において、レーザプリンタ(以下、単に「プリンタ」と記す)1は、本体フレーム2内に、用紙(「被記録媒体」の一例)3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5等を備えている。
【0018】
(1)フィーダ部
フィーダ部4は、本体フレーム2内の底部に設けられ、給紙トレイ6、給紙トレイ6の一端側(以下、一端側(図1で紙面右側)を前側、その反対側(図1で紙面左側)を後側とする)端部の上方に設けられる給紙ローラ8、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられるレジストローラ12等を含む。
【0019】
給紙トレイ6の最上位にある用紙3は、給紙ローラ8の回転によって1枚毎に給紙される。給紙された用紙3は、レジストローラ12に送られる。レジストローラ12は、用紙3をレジスト後に、画像形成位置に送る。なお、画像形成位置は、感光体ドラム(「感光体」の一例)27と転写ローラ30との接触位置とされる。
【0020】
(2)画像形成部
画像形成部5は、スキャナ部16、プロセスカートリッジ17および定着部18を含む。
スキャナ部16は、本体フレーム2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず)、ポリゴンミラー、反射鏡等を含む。レーザ発光部から発光される、画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー、反射鏡等を介して、感光体ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
【0021】
プロセスカートリッジ17は、スキャナ部16の下方に設けられ、ドラムユニット51と、ドラムユニット51に収容される現像カートリッジ28とを含む。プロセスカートリッジ17は、レーザプリンタ1に対して着脱自在に収容されている。さらに、現像カートリッジ28は、ドラムユニット51に対して着脱自在に収容されており、例えば、現像ローラ31、供給ローラ33、およびトナーホッパ34等を含む。
【0022】
トナーホッパ34内には、トナー(現像剤)が充填されている。トナーホッパ34の後方位置には、供給ローラ33が設けられており、また、この供給ローラ33に対向して、現像ローラ31が設けられている。現像時に、現像ローラ31には所定の現像バイアス電圧が印加される。トナーホッパ34から放出されるトナーは、供給ローラ33の回転により、現像ローラ31に供給される。
【0023】
ドラムユニット51は、感光体ドラム27、スコロトロン型帯電器29、および転写ローラ30等を備えている。感光体ドラム27は、現像ローラ31と対向配置され、筒状のドラム本体と、そのドラム本体の軸心に、接地された金属製のドラム軸27aとを含む。ドラム本体の表面には、正帯電性の感光層が形成されている。また、感光体ドラム27の上方には、レーザビームの通路として露光窓が設けられている。
【0024】
帯電器29は、感光体ドラム27の上方に、感光体ドラム27に接触しないように所定間隔を隔てて対向配置されている。帯電器29は、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとを含み、帯電ワイヤ29aからの放電によって、グリッド29bを介して感光体ドラム27の表面を一様に例えば、正極性(例えば、約700V)に帯電させる。帯電ワイヤ29aには所定の帯電電圧CHG(例えば、5kV〜8kV)が印加される。
【0025】
感光体ドラム27の表面は、感光体ドラム27の回転に伴って、まず、帯電器29により一様に正帯電される。その後、帯電表面は、スキャナ部16からのレーザビームの高速走査により露光され、画像データに基づく静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31の表面上に担持されかつ正極性に帯電されているトナーが、感光体ドラム27の表面上の静電潜像に供給され、静電潜像が現像される。
【0026】
転写ローラ30は、金属製のローラ軸30aを有し、感光体ドラム27の下方において、感光体ドラム27に対向配置される。ローラ軸30aには、例えば導電性のゴム材料からなるローラが被覆されている。
【0027】
転写ローラ30のローラ軸30aには、図5に示されるようなバイアス印加回路60が接続されている。そして、転写位置において現像ローラ31に担持されたトナー像を用紙3に転写するための転写動作時には、転写ローラ30のローラ軸30aに、バイアス印加回路60から、例えば−6kVの転写バイアス電圧(高電圧)Vtpが印加される。
【0028】
定着部18は、図1に示すように、プロセスカートリッジ17の後方下流側に設けられる。定着部18では、用紙3上に転写されたトナーが熱定着され、その後、用紙3は、排紙トレイ46上に排紙される。
【0029】
2.帯電ワイヤの清掃機構
次に、図2A〜図4Bを参照して、帯電ワイヤ29aの清掃処理に関連する構成を説明する。
【0030】
図2Aは、清掃部材91が帯電ワイヤ29aの第1端T1であるホームポジションに初期設置されている場合が示される。帯電ワイヤ29aは、プロセスカートリッジ17またはドラムユニット51がレーザプリンタ1から取り外された状態において、清掃部材91がガイド部材92に沿って帯電ワイヤ29aの第1端T1と第2端T2との間においてユーザの手で移動されることにより清掃処理される。帯電ワイヤ29aは、ドラムユニット51がレーザプリンタ1に装着されている状態において、高圧電源回路62に電気的に接続可能にされる(図5参照)。
【0031】
帯電ワイヤ29aの第1端T1とは反対側の第2端T2には、清掃部材91が帯電ワイヤ29aの第2端T2へ移動された際に、帯電ワイヤ29aをグリッド(「被導通部材」の一例)29bと導通状態にさせる導通部材(「導通手段」の一例)93が設けられている。導通部材93は、導体部93aと絶縁部93bとを含む。導体部93aは、所定の接続部材によって、帯電ワイヤ29aと常に電気的に接続状態にある。
【0032】
図2Bは、清掃部材91が導通部材93に当接した状態を示す。このとき、導通部材93の導体部93aはグリッド29bに接続されていない。すなわち、導通部材93は、帯電ワイヤ29aをグリッド29bと非導通状態にさせる非導通位置に位置する。
【0033】
図2Cは、さらに清掃部材91が帯電ワイヤ29aの第2端T2側に移動された状態を示す。このとき、清掃部材91のスライドに伴って導通部材93がスライドされ、導通部材93の導体部93aがグリッド29bと電気的に接続される。すなわち、導通部材93は、帯電ワイヤ29aをグリッド29bと導通状態にさせる導通位置に位置する。その結果、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとが、導通部材93の導体部93aを介して、電気的に接続される。この場合、帯電ワイヤ29aの清掃処理が行われたと判断される。一方、清掃部材91が帯電ワイヤ29aの第2端側に達する途中において、清掃部材の移動が中断されたままである場合、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとが電気的に接続されないため、帯電ワイヤ29aの清掃処理が行われたと判断されない。
【0034】
図2Dは、清掃部材91が帯電ワイヤ29aの第2端T2側から第1端T1側へ戻される途中の状態、すなわち、復路の清掃処理状態を示す。このとき、導通部材93は、図2Cと同一の状態に維持される。すなわち、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとが、導通部材93の導体部93aを介して電気的に接続された状態に維持される。
【0035】
図2Eは、清掃部材91が帯電ワイヤ29aの第2端T2側から第1端T1側に戻された状態、すなわち、清掃処理の終了状態を示す。このときも、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとが、導通部材93の導体部93aを介して電気的に接続された状態に維持される。尚、清掃処理によって、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとが、導通部材93の導体部93aを介して電気的に接続された状態に維持された場合、清掃処理後のドラムユニット51がレーザプリンタ1に装着された時点においても、この状態が維持される。
【0036】
また、図3〜図4Bに示されるように、導通部材93を導通位置から非導通位置に戻す結合機構100が設けられている。結合機構100は、図2C〜図2Eに示されるように、清掃部材91によって導通位置にスライドされた導通部材93を、感光体ドラム27の駆動に連動して非導通位置に戻す。なお、結合機構100は、ドラムユニット51がレーザプリンタ1に装着された状態において、導通部材93を非導通位置に戻す構成となっている。
【0037】
図3は、結合機構100と導通部材93との関係を説明する図である。感光体ドラム27は、モータ(「駆動手段」の一例)Mによって回転駆動される。モータMの回転制御は、CPU61からの駆動制御信号Sdvに基づいて、モータ駆動回路85によって行われる。
【0038】
結合機構100は、例えば、図4Aおよび図4Bに例示するように、導通部材93が導通位置に移動された際に、導通部材93をロックするロック機構100Aと、感光体ドラム27の回転駆動に応じてロック機構100Aのロックを解除し、導通部材93を非導通位置に戻すロック解除機構100Bとを含む。図4Aは、導通部材93が導通位置に移動された際にロック機構100Aによってロックされた状態を示す。一方、図4Bは、導通部材93が、感光体ドラム27の駆動に連動してロック解除機構100Bによってロック解除された状態を示す。
【0039】
ロック機構100Aは、導通部材93の絶縁部93bに形成された係止突起102、係止回転体103、およびバネ105を含む。係止回転体103は、係止突起102と係合する切り欠き部103a、回転軸103bおよび突起端部103cを含む。導通部材93のスライドに伴って、導通部材93の係止突起102が係止回転体103の切り欠き部103aに係止されることによって、導通部材93は導通位置において、ロックされる。
【0040】
一方、ロック解除機構100Bは、回転体101およびバネ104を含む。回転体101は、その回転に伴って係止回転体103の突起端部103cと当接する突起部101Aと、感光体ドラム27に接続され感光体ドラム27の回転に連動して回転する回転軸101Bとを含む。そのため、感光体ドラム27の駆動(回転)に連動して、回転体101の突起部101Aが係止回転体103の突起端部103cに当接すると、係止回転体103の回転に伴って、導通部材93の係止突起102と係止回転体103の切り欠き部103aとの係止が解除される。このとき、バネ104の復元力によって、導通部材93が導通位置から非導通位置に戻される。すなわち、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとの電気的接続が解除される。そのため、画像形成処理の開始と連動させて、帯電ワイヤ29aをグリッド29bから分離させて、帯電器29を通常動作させることができる。
【0041】
なお、結合機構の構成は、図3、図4Aおよび図4Bに示したものに限られない。要は、結合機構は、感光体ドラム27の駆動に連動して導通部材93を非導通位置に戻す構成を有すものであればよい。
【0042】
3.高電圧印加回路
次に、図5を参照して、高電圧印加回路60について説明する。図5は、帯電器29に対して帯電電圧CHGを印加する高電圧印加回路60の要部構成のブロック図である。
【0043】
高電圧印加回路60は、CPU(「制御手段」、「判断手段」および「設定手段」の一例)61と、帯電電圧CHGを生成し出力する帯電電圧印加回路(「印加手段」の一例)62とを備えている。帯電電圧印加回路62は、帯電器29の帯電ワイヤ29aに接続される接続ライン90に接続されている。なお、CPU61は、高電圧印加回路60の制御の他に、画像形成に係るプリンタ1の各部の制御も行う。
【0044】
また、高電圧印加回路60は、接続ライン90に流れる帯電電流値Icgに応じた検出信号S4を出力する出力検出回路(「検出手段」の一例)84を含む。ここで、出力検出回路84は、例えば2つの分圧抵抗84aおよび分圧抵抗84bによって構成される。出力検出回路84は、その分圧比に応じて、グリッド電圧GRIDを検出する。なお、高電圧印加回路60は、その他の高電圧、例えば転写バイアス電圧等を生成するための回路を含むが、その図示は省略されている。
【0045】
帯電電圧印加回路62は、CPU61のPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御によって定電流制御される。また、CPU61にはメモリ100が接続されている。このメモリ100には、高電圧印加回路60を制御するプログラム等が格納されている。
【0046】
帯電電圧印加回路62は、高電圧(負電圧)発生回路であり、PWM信号平滑回路70、トランスドライブ回路71、昇圧・平滑整流回路72、および出力電圧検出回路(「検出手段」の一例)73を含む。
【0047】
PWM信号平滑回路70は、CPU61のPWMポート61aからのPWM信号S1を平滑し、平滑されたPWM信号S1をトランスドライブ回路71に提供する。トランスドライブ回路71は、平滑されたPWM信号S1に基づき、昇圧・平滑整流回路72の1次側巻線75bに発振電流を流す。
【0048】
昇圧・平滑整流回路72は、トランス75、ダイオード76、平滑コンデンサ77等を備えている。トランス75は、2次側巻線75a,1次側巻線75b及び補助巻線75cを備えている。2次側巻線75aの一端は、ダイオード76を介して接続ライン90に接続されている。一方、2次側巻線75aの他端は、グランドに接続されている。また、平滑コンデンサ77及び抵抗78がそれぞれ2次側巻線75aに並列に接続されている。
【0049】
このような構成により、1次側巻線75bの電圧は、昇圧・平滑整流回路72において昇圧及び整流され、高電圧印加回路60に接続された帯電器29の帯電ワイヤ29aに帯電電圧CHGとして印加される。
【0050】
出力電圧検出回路73は、昇圧・平滑整流回路72のトランス75の補助巻線75cと、CPU61とに接続されている。出力電圧検出回路73は、帯電電圧印加回路62による帯電動作時において、補助巻線75cの間で発生する出力電圧Vdを検出して、その検出信号S2をCPU61のA/Dポート61bに供給する。CPU61は、検出信号S2に基づいて帯電電圧CHGを検出し、検出された帯電電圧CHGが目標電圧範囲となるようにPWM信号S1のデューティ比を制御する。
【0051】
その際、さらに、CPU61は、帯電電流値Icgに応じた検出信号S4に基づき、帯電電流値Icgが帯電目標電流値になるようにPWM信号S1のデューティ比を適宜変更する。
【0052】
また、放電検知回路81がコンデンサ82を介して帯電器29のグリッド29bに接続されている。放電検知回路81は、帯電器29の帯電ワイヤ29aとグリッド29bとの間で発生する放電を、グリッド電圧GRIDに含まれる交流成分によって検出する。
【0053】
4.帯電ワイヤの清掃判断制御
次に、図6および図7を参照して、本発明に係る、帯電ワイヤ29aの清掃判断制御について説明する。図6は、帯電ワイヤ29aの清掃判断制御に係る各処理を示すフローチャートである。図7は、図6のフローチャートにおける「帯電電圧(CHG)制御」ルーチンを示すフローチャートである。各処理は、各処理は、所定のプログラムにしたがって、CPU61によって実行される。
【0054】
処理は、プリンタ1の電源がONされるか、プリンタ1のトップカバーが閉められた場合に、清掃処理を行うべきエラー情報がプリンタ1内の不揮発性メモリ等の記憶手段に記憶されていればスタートする。なお、清掃処理を行うべきエラー情報を記憶する処理は、通常の印字制御モードにおいて帯電電圧CHGが所定値以上となったことが検知された場合や、通常のコロナ放電ではない異常放電が検知された場合に、帯電ワイヤ29aが汚れているとして、プリンタ1の表示装置(図示せず)に「ワイヤをクリーニングしてください」等の表示を行う処理とともに行われる。
【0055】
図6のステップS110において、CPU61は、まず、グリッド電圧GRIDの目標電圧として、例えば700Vに設定する。そして、帯電電圧印加回路62を制御して、帯電電圧CHG(例えば、5kV〜8kV)を帯電ワイヤ29aに印加させる。次いでステップS120において、CPU61は、「帯電電圧(CHG)制御」ルーチンを実行する。
【0056】
図7に示される「帯電電圧(CHG)制御」ルーチンのステップS121において、CPU61は、検出信号S2によって帯電電圧CHGを読み込む。ステップS122において、CPU61は、帯電電圧CHGが目標下限値より小さいかどうか判定する。帯電電圧CHGが目標下限値より小さいと判定した場合には、帯電電圧CHGを上昇させるために、ステップS123において、帯電制御電圧を所定量ΔV増加させる。すなわち、帯電電圧CHGを上昇させるようにPWM信号S1のデューティ比を変更する。そして、ステップS126において、帯電電圧CHGが安定するように、所定時間例えば、1ms待機して、図6のステップS130に戻る。
【0057】
一方、ステップS122において、帯電電圧CHGが目標下限値より小さくないと判定した場合には、ステップS124において、CPU61は、帯電電圧CHGが目標上限値より大きいかどうか判定する。帯電電圧CHGが目標上限値より大きいと判定した場合には、帯電電圧CHGを下降させるために、ステップS125において、帯電制御電圧を所定量ΔV減少させる。すなわち、帯電電圧CHGを下降させるようにPWM信号S1のデューティ比を変更する。そして、ステップS126において、所定時間例えば、1ms待機して、図6のステップS130に戻る。
【0058】
一方、ステップS124において、帯電電圧CHGが目標上限値より大きくないと判定した場合には、帯電電圧CHGが所定の目標範囲にあるため、帯電制御電圧を変更せず、ステップS126に移行し、図6のステップS130に戻る。
【0059】
図6のステップS130において、CPU61は、帯電電圧CHGの印加開始から所定時間、例えば200ms経過したかどうか判定する。所定時間が経過していないと判定した場合には、ステップS120に戻り、「帯電電圧制御」ルーチンを繰返す。一方、所定時間が経過したと判定した場合には、ステップS140において、帯電電圧CHGが700V前後であるかどうか、例えば、650〜750Vの範囲にあるかどうか判定する。
【0060】
帯電電圧CHGが700V前後であると判定した場合、CPU61は、ステップS152において帯電電圧CHGの印加を停止し、ステップS153において記憶手段に記憶されているエラー情報をクリアする。ステップS154において、モータ駆動回路85を制御して、感光体ドラム27を回転させる。すなわち、帯電電圧CHGが、設定したグリッド電圧GRIDである700V前後であることは、清掃部材91が帯電ワイヤ29aの第2端T2側に移動されたために、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとが電気的に接続されたことを意味する。すなわち、ここでは、帯電電圧CHGが設定したグリッド電圧GRIDとほぼ等しいことによって、帯電ワイヤ29aの清掃処理が行われことが判断される。
【0061】
そして、ステップS154において、CPU61は感光体ドラム27を回転させるため、導通部材93が導通位置から非導通位置に戻される。すなわち、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとの接続は解除される。この場合、CPU61は、帯電ワイヤ29aの清掃処理の判断後に感光体ドラム27を駆動する。そのため、導通部材93が非導通位置に戻された状態において、清掃処理の判断が行われることを防止し、誤判断を避けることができる。
【0062】
次いで、ステップS156において、所定時間、例えば、0.5sの間待機し、CPU61は、通常の印字制御モードに戻る。
【0063】
一方、ステップS140において、帯電電圧CHGが700V前後でないと判定した場合には、すなわち、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとが電気的に接続されていないと判定した場合には、ステップS150に移行する。ステップS150において、CPU61は、放電検出回路81の検出信号S3に基づいて、放電が検知されたかどうか判定する。
【0064】
放電が検知された場合は、ステップS152に移行して、上記ステップS152〜S156の処理を行う。すなわち、ここでは、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとが電気的に接続されていない場合あっても、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとの間の放電が検知されたため、帯電ワイヤ29aの清掃処理がなされたと判断される。例えば、導通部材93が清掃部材91によって、図2Bに示される非導通位置から図2Cに示される導通位置までスライドされるときにそのスライド量が不足した場合、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとが電気的に接続されない。しかしながら、導通部材93の導体部93aとグリッド29bとの距離が、それらの間において放電の生じる距離まで短縮されている場合、帯電電圧CHGが帯電ワイヤ29aに印加されると、導通部材93の導体部93aとグリッド29bとの間において放電が生じる。そのため、その放電の検出によって、帯電ワイヤ29aの清掃処理がなされたと判断できる。
【0065】
一方、ステップS150において放電が検知されない場合は、CPU61は、ステップS160において帯電電圧CHGの印加を停止し、ステップS170において、放電に関するエラー表示および帯電ワイヤ29aの清掃通知を行い、清掃判断に係る処理を終了する。
【0066】
なお、帯電ワイヤ29aが清掃処理されたかどうかを判断するステップS140およびS150は、いずれか一方のみを行うようにしてもよい。
【0067】
5.実施形態の効果
帯電ワイヤ29aの清掃処理の検出が、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとを導通させ、帯電電圧CHG(第1電圧)がグリッド電圧GRID(第2電圧)まで低下することによって行われる。その際、帯電ワイヤ29aとグリッド29bとを機械的手段によって導通させた以降の清掃処理の検出処理において、既存の高電圧印加回路60が利用される。そのため、清掃処理の検出処理のために、何ら電気的構成を新たに追加する必要がない。すなわち、帯電ワイヤ29aの清掃検知に係る電気的構成を簡易化でき、清掃処理の検出に係るコストを抑制することができる。
【0068】
また、清掃部材91が導通部材93に当接した後において、導通部材93が清掃部材91によって導通位置まで移動されていない場合であっても、放電を検出することで帯電ワイヤ29aの清掃処理が行われたかどうかを判断できる。
【0069】
さらに、感光体ドラム27の駆動と連動させて、導通部材93を非導通位置に戻すことができる。すなわち、画像形成処理の開始と連動させて、帯電ワイヤ29aをグリッド(被導通部材)29bから分離させて、帯電器29を通常動作させることができる。
【0070】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0071】
(1)上記実施形態においては、導通部材93によって帯電ワイヤ29aと導通状態にされる被導通部材がグリッド29bである例を示したが、これに限られない。例えば、被導通部材がグランドに接続された接地線であってもよい。この場合の帯電ワイヤ29aの清掃判断制御に係る各処理が、図8のフローチャートに示される。図6のフローチャートとは、清掃判断に係る処理ステップのみが異なる。すなわち、図6のステップS140およびステップS150が、図8においてはステップS210に置き換えられている。
【0072】
CPU61は、図8のステップS210において、帯電制御電圧が最大値(MAX)かどうかを判定する。そして、帯電制御電圧が最大値である場合に、ステップS152に移行して通常モードに戻り、帯電制御電圧が最大値でない場合にステップS160に移行してエラー表示して、エラー制御に戻る。
【0073】
この場合、帯電ワイヤ29aの清掃処理によって帯電ワイヤ29aが接地線に接続される。そのため、帯電電圧CHGを帯電ワイヤ29aに印加させた場合、帯電電圧CHGがゼロVに近くなるまで低下する。このとき、CPU61は、帯電電圧CHGを最大限に上昇させるべく、帯電制御電圧を最大値(例えば、デューティ比を100%)に設定する。したがって、帯電制御電圧が最大値であるかどうかによって、帯電ワイヤ29aが清掃処理されたかどうかを判断できる。
【0074】
さらには、被導通部材を抵抗器としてもよい。この場合、検出された帯電電圧CHGが所定値以下となる場合に、帯電ワイヤ29aの清掃処理がなされたと判断する。抵抗器の抵抗値を所定の値に設定することにより、帯電ワイヤ29aが抵抗器に接続された場合に帯電電圧CHGが低下することによって、清掃処理がなされたと判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係るレーザプリンタの内部構成を示す側断面図
【図2A】清掃部材による帯電ワイヤの清掃状態を示す図
【図2B】清掃部材による帯電ワイヤの清掃状態を示す図
【図2C】清掃部材による帯電ワイヤの清掃状態を示す図
【図2D】清掃部材による帯電ワイヤの清掃状態を示す図
【図2E】清掃部材による帯電ワイヤの清掃状態を示す図
【図3】結合機構と導通部材との関係を説明する図
【図4A】結合機構のロック状態を示す図
【図4B】結合機構のロック開放状態を示す図
【図5】高電圧印加回路を示す概略的な構成図
【図6】帯電ワイヤの清掃判断制御の処理を示すフローチャート
【図7】図6における帯電電圧制御処理を示すフローチャート
【図8】別の、帯電ワイヤの清掃判断制御の処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0076】
1…レーザプリンタ(画像形成装置)
27…感光体ドラム(感光体)
29…帯電器
29a…帯電ワイヤ
29b…グリッド(被導通部材)
61…CPU(判断手段、設定手段、測定手段)
62…帯電電圧印加回路(出力手段)
73…出力電圧検出回路(検出手段)
81…放電検出回路(検出手段)
84…出力検出回路(検出手段)
91…清掃部材
93…導通部材(導通手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、第1端および第2端を有する帯電ワイヤを含み、前記感光体を帯電する帯電器とを備え、帯電された前記感光体上に現像剤像を形成することにより被記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記第1端および第2端間において移動されることにより前記帯電ワイヤを清掃処理する清掃部材と、
前記清掃部材が、該清掃部材が初期設置される前記第1端から前記第2端へ移動されたときに、前記帯電ワイヤと電気的に導通状態とされる被導通部材と、
前記第2端側に設けられる導通手段であって、前記清掃部材が前記第2端へ移動された際に、前記帯電ワイヤを前記被導通部材と導通状態にさせる導通手段と、
前記帯電ワイヤに第1電圧を印加する印加手段と、
前記第1電圧、および/または、該第1電圧の前記帯電ワイヤへの印加によって前記被導通部材に生じる第2電圧を検出する検出手段と、
前記第1電圧および/または前記第2電圧の検出結果に基づいて、前記帯電ワイヤの清掃処理が行われたかどうかを判断する判断手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記印加手段は、前記帯電ワイヤに、前記第1電圧として帯電電圧を印加し、
前記帯電器は、前記被導通部材としてグリッドを含み、
前記検出手段は、前記帯電電圧を検出するとともに、前記グリッドに印加されるグリッド電圧を前記第2電圧として検出し、
前記判断手段は、前記帯電電圧が前記グリッド電圧とほぼ等しい場合、前記帯電ワイヤが清掃されたと判断する。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記帯電器は、前記被導通部材としてグリッドを含み、
前記検出手段は、前記導通手段と前記グリッドとの間で発生した放電による放電電圧を、前記第2電圧として検出する放電検知手段を含み、
前記判断手段は、前記第1電圧が前記帯電ワイヤに印加された際に、前記放電検知手段によって前記放電電圧が検出された場合、前記帯電ワイヤの清掃処理がなされたと判断する。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記被導通部材は、グランドに接続された抵抗器、またはグランドに接続された接地線であり、
前記印加手段は、前記帯電ワイヤに、前記第1電圧として帯電電圧を印加し、
前記検出手段は、前記帯電電圧を検出し、
前記判断手段は、
検出された前記帯電電圧に応じて、該帯電電圧を所定値に制御する帯電制御信号を生成し、
前記被導通部材が前記抵抗器である場合であって検出された前記帯電電圧が所定値以下となる場合、または前記被導通部材が前記接地線である場合であって前記帯電制御信号が最大となる場合、前記帯電ワイヤの清掃処理がなれたと判断する。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記感光体を駆動する駆動手段と、
前記感光体の駆動に連動して前記導通部材を前記非導通位置に戻す結合機構とをさらに備える。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記駆動手段は、前記判断手段による判断処理後に、前記感光体を駆動する。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−156821(P2010−156821A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334797(P2008−334797)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】