説明

画像形成装置

【課題】ジャム発生を防止でき、且つ生産性を向上することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】給紙トレイ11a〜11eに積載された印刷用紙を給紙する給紙手段3と、印刷用紙に対して印刷を行う印刷手段5と、印刷手段5により印刷された印刷用紙を排紙する排紙手段7とを備え、先行する印刷用紙の排紙前に後続の印刷用紙を給紙可能とした画像形成装置1において、給紙手段3と印刷手段5と排紙手段7とは印刷用紙を搬送する搬送手段9が設けられた搬送路C1,C2によって連結され、印刷動作中に搬送路C1,C2間に存在する印刷用紙の最大枚数を入力する入力手段と、入力手段により入力された最大枚数に応じて給紙手段3による印刷用紙の給紙枚数を制御する給紙制御手段としての制御手段とを有した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷速度が高速な画像形成装置(以下「プリンタ」とする)において、複数ページで構成された原稿の印刷を行う場合に、プリンタの印刷速度を向上させるために、印字実行中の用紙がプリンタ内を搬送している間に、印字を行う次ページの用紙の先行給紙を行うプリンタが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、先行給紙が可能なプリンタにおいて、プリンタ内部で紙詰まりなど(以下、「ジャム」とする)を起こす可能性が高い用紙で印刷動作を行う場合に、先行給紙された用紙がプリンタ内に存在するときには、この先行給紙された用紙の印刷が完了し排紙された後、次の用紙をプリンタ内に給紙するように制御する印刷制御方法が開示されている。
【0004】
この印刷制御方法では、給紙される用紙のジャム発生率を算出してジャム発生率が高い用紙である場合にはプリンタ内に1枚づつ給紙することで、ジャムが発生したときにプリンタ内から取り出す用紙を1枚とすることができ、正常動作への復帰を早め、無駄にする用紙を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−326262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の印刷制御方法では、ジャム発生率が高いと判断された場合、プリンタ内に給紙される(プリンタ内で搬送される)印刷用紙が常に1枚となっていた。この場合、例えば、プリンタ内に2、3枚給紙したとしてもジャムが発生しにくい印刷用紙においても、ジャム発生率が高いと判断されたときには、プリンタ内に1枚づつ給紙することになる。このため、印刷動作が遅くなり、画像が印刷された印刷用紙の生産性が悪くなっていた。
【0007】
そこで、この発明は、ジャム発生を防止でき、且つ生産性を向上することができる画像形成装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、給紙トレイに積載された印刷用紙を給紙する給紙手段と、前記印刷用紙に対して印刷を行う印刷手段と、前記印刷手段により印刷された印刷用紙を排紙する排紙手段とを備え、先行する印刷用紙の排紙前に後続の印刷用紙を給紙可能な画像形成装置であって、前記給紙手段と前記印刷手段と前記排紙手段とは前記印刷用紙を搬送する搬送手段が設けられた搬送路によって連結され、印刷動作中に前記搬送路間に存在する印刷用紙の最大枚数を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された最大枚数に応じて前記給紙手段による前記印刷用紙の給紙枚数を制御する給紙制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置であって、前記給紙トレイに積載された前記印刷用紙の前記搬送路におけるジャム発生率を算出するジャム発生率算出手段を備え、前記給紙制御手段は前記給紙トレイに積載された印刷用紙を前記入力手段で入力された最大枚数にて所定枚数印刷を行っても前記ジャム発生率算出手段によりジャムの発生が算出されない場合は前記最大枚数を増加させることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置であって、前記給紙トレイに積載された前記印刷用紙の前記搬送路におけるジャム発生率を算出するジャム発生率算出手段と、前記ジャム発生率算出手段により算出されたジャム発生率が所定の値を上回った場合に、前記搬送手段の搬送速度を下げる制御を行う搬送速度制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置であって、前記搬送手段に設けられ、前記印刷用紙を前記搬送路に対して吸引させる吸引部と、前記給紙トレイに積載された前記印刷用紙の前記搬送路におけるジャム発生率を算出するジャム発生率算出手段と、前記ジャム発生率算出手段により算出されたジャム発生率が所定の値を上回った場合に、前記吸引部の吸引力を高める制御を行う吸引力制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ジャム発生を防止でき、且つ生産性を向上することができる画像形成装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における制御手段及び入力手段を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における入力手段のジャム防止制御を設定する設定画面を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における入力手段の最大枚数を設定する設定画面を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の印刷動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における制御手段の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図6を用いて本発明の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
【0015】
本実施の形態に係る画像形成装置1は、給紙トレイ11a〜11eに積載された印刷用紙を給紙する給紙手段3と、印刷用紙に対して印刷を行う印刷手段5と、印刷手段5により印刷された印刷用紙を排紙する排紙手段7とを備え、先行する印刷用紙の排紙前に後続の印刷用紙を給紙可能としている。そして、給紙手段3と印刷手段5と排紙手段7とは印刷用紙を搬送する搬送手段9が設けられた搬送路C1,C2によって連結され、印刷動作中に搬送路C1,C2間に存在する印刷用紙の最大枚数を入力する入力手段15と、入力手段15により入力された最大枚数に応じて給紙手段3による印刷用紙の給紙枚数を制御する給紙制御手段としての給紙制御部55を含む制御手段13とを有する。
【0016】
また、給紙トレイ11a〜11eに積載された印刷用紙の搬送路C1,C2におけるジャム発生率を算出するジャム発生率算出手段としてのジャム発生率算出部47を備え、給紙制御部55を含む制御手段13は給紙トレイ11a〜11eに積載された印刷用紙を入力手段15で入力された最大枚数にて所定枚数印刷を行ってもジャム発生率算出部47によりジャムの発生が算出されない場合は最大枚数を増加させる。
【0017】
さらに、制御手段13は、ジャム発生率算出部47により算出されたジャム発生率が所定の値を上回った場合に、搬送手段9の搬送速度を下げる制御を行う搬送速度制御手段としての搬送制御部55を備えている。
【0018】
また、搬送手段9には印刷用紙を搬送路C1,C2に対して吸引させる吸引部67が設けられ、制御手段13の搬送制御部55は、ジャム発生率算出部47により算出されたジャム発生率が所定の値を上回った場合に、吸引部67の吸引力を高める制御を行う吸引力制御手段となっている。
【0019】
図1に示すように、給紙手段3は、給紙台11aや複数の給紙トレイ11b〜11eなどの印刷用紙を積載する複数の給紙トレイを備えている。給紙台11aは、本体側面の外部に露出して設けられている。複数の給紙トレイ11b〜11eは、本体内部に開閉可能で架台式に設けられている。各給紙トレイには、積載された印刷用紙の最上部に位置する印刷用紙と当接し、最上部に位置する印刷用紙から1枚づつ給紙するピックアップローラ17a〜17eが設けられている。このピックアップローラ17a〜17eは、制御手段13の制御により駆動するモータなどのアクチュエータ(不図示)で回転駆動され、給紙搬送路(各給紙トレイとレジスト部19との間に設けられている搬送路)C1に沿って印刷用紙を搬送しレジスト部19に供給する。なお、印刷用紙は、パルプから製造される紙だけでなく、フィルム状の合成樹脂等であって絵や文字などを印字・印刷などして形成することができるものを含むものとする。
【0020】
レジスト部19は、給紙手段3から給紙された印刷用紙の搬送をたとえば一時停止させ、印刷用紙の斜行を修正して印刷手段5に印刷用紙を送り出すために設けられている。このレジスト部19は、お互いが対向して接触している一対のレジストローラ21を備えている。このレジストローラ21は、少なくとも一方のローラが制御手段13の制御により駆動するモータなどのアクチュエータ(不図示)で回転駆動され、レジストローラ21の間に印刷用紙を挟み込み、印刷用紙を搬送路C2に沿って印刷手段5に送り出す。
【0021】
印刷手段5は、搬送部23と画像形成部25とを備えている。搬送部23は、搬送路C2に沿って印刷用紙をレジスト部19から離れる方向に搬送する。この搬送部23は、搬送ベルト27を備えている。搬送ベルト27は、環状に形成され、両端がローラに固定されると共に下方の中央部にローラが設けられている。これらのローラのうち、どのローラでもよいが例えば両端を固定するどちらか一方のローラは、制御手段13の制御により駆動するモータなどのアクチュエータ(不図示)で駆動される。この搬送部23に搬送された印刷用紙は、画像形成部25によって画像が形成される。
【0022】
画像形成部25は、搬送部23の上方に設けられ、シアン、ブラック、マジェンダ、イエローなどの各インクジェットヘッド29を備えている。なお、各インクジェットヘッド29は、フルラインタイプのヘッドになっているが、印刷用紙の紙面に直交する方向に制御手段13の制御によって適宜移動して画像形成するシリアルタイプのヘッドになっていてもよいし、他の方式を採用してあってもよい。この画像形成部25で画像が形成された印刷用紙は、搬送路C1を介して分岐部31に搬送される。
【0023】
分岐部31は、印刷手段5と排紙手段7との間の搬送路C1上に設けられている。この分岐部31は、制御手段13の制御により上下方向に駆動され、印刷手段5と分岐部31との間の搬送路C2で反転された片面(裏面)に画像が形成された印刷用紙が搬送され、印刷用紙の片面のみに画像を形成させる場合には排紙手段7側に印刷用紙を分岐させ、印刷用紙の両面に画像を形成させる場合には反転部33側に印刷用紙を分岐させる。
【0024】
反転部33は、制御手段13の制御により正逆両方向に駆動するモータなどのアクチュエータ(不図示)で回転駆動される一対のローラ35を有し、分岐部31で分岐して搬送された表面に画像が形成された印刷用紙を一度正回転によって搬送方向に引き込み、次に逆回転によって印刷用紙をレジスト部19に送り出す。これにより、印刷用紙は裏面に画像が形成されていない状態で印刷手段5に搬送され、印刷手段5で両面に印刷される。なお、反転部33は、印刷手段5と分岐部31との間の搬送路C2上に設けてもよい。この場合、印刷用紙は分岐部31に到達する前に画像が形成された面と形成されていない面とが反転されているので、分岐部31とレジスト部19との間の搬送路で印刷用紙が反転されて画像が形成されていない面が表面となり、分岐部31とレジスト部19との間に反転部を設ける必要はない。
【0025】
排紙手段7は、制御手段13の制御により駆動するモータなどのアクチュエータ(不図示)で回転駆動される一対のローラ37と、本体側面の外部に露出して設けられた排紙台39とを備えている。この排紙手段7は、分岐部31で分岐して搬送された片面に画像が形成された印刷用紙、もしくは両面に画像が形成された印刷用紙が排紙台39に1枚づつ積載される。なお、片面に画像が形成された印刷用紙は、画像が形成された面を下向きとして排紙台39に順次積載される。
【0026】
これらの給紙手段3と印刷手段5と排紙手段7とは、搬送路C1,C2によって連結されている。この搬送路C1,C2には、ピックアップローラ17a〜17e、レジストローラ21、搬送部23及び複数のローラなどからなる搬送手段9が設けられ、先行する印刷用紙の排紙前に後続の印刷用紙を給紙可能となっており、搬送路C1,C2内に複数の印刷用紙を搬送可能にしている。この搬送手段9には、印刷用紙を搬送路C1,C2に対して吸引させる吸引部が設けられ、印刷用紙の搬送時に印刷用紙が搬送路C1,C2から浮き上がることを防止している。なお、吸引部は、吸引ファンを利用して印刷用紙を搬送路C1,C2に引き付ける構造、静電力などによって印刷用紙と搬送路C1,C2とを静電吸着させる構造など、印刷用紙を搬送路C1,C2に対して吸引できるものであればどのような構造であってもよい。
【0027】
このような搬送路C1,C2や各手段には、センサ(不図示)が複数個配置され、印刷用紙のジャムを検出できるようになっている。各センサは、例えば、印刷用紙の有無、もしくは印刷用紙の先端を検出する。このセンサを搬送路C1,C2や各手段に適当な間隔で配置することにより、センサが印刷用紙を検出しない場合に、ジャムが発生したと判断することができる。また、センサを適当な間隔で複数個配置することにより、どの箇所でジャムが発生したかを特定することができる。これらのセンサが検出したジャムや印刷用紙の搬送状況は、制御手段13に送信される。
【0028】
図2に示すように、制御手段13は、CPU、メモリなどから構成される制御条件判断部41と、メカ制御部43とを備えている。制御条件判断部41は、トレイ情報記憶部45と、ジャム発生率算出部47と、プリンタ内用紙枚数管理部49と、搬送条件管理部51とを備えている。トレイ情報記憶部45は、給紙トレイ11a〜11eに積載された印刷用紙のサイズや紙質などの情報を取得して記憶する。なお、この印刷用紙の情報は、後述する入力手段15で入力された情報であってもよいし、各給紙トレイにセンサなどを設けて得られる情報であってもよい。ジャム発生率算出部47は、各給紙トレイに積載された印刷用紙の画像形成装置1内でのジャム発生をカウントし、すべての印刷用紙それぞれのジャム発生率を算出する。プリンタ内用紙枚数管理部49は、画像形成装置1内に何枚の印刷用紙が搬送されている(存在している)のかを管理する。搬送条件管理部51は、印刷用紙の搬送速度、吸引部の吸引力など印刷用紙の搬送状況を管理する。この制御条件判断部41で得られた情報から、メカ制御部43で各手段の作動が制御される。
【0029】
メカ制御部43は、給紙制御部53と、搬送制御部55とを備えている。給紙制御部53は、給紙手段3に設けられた給紙センサ57、給紙クラッチ59、給紙モータ61などの作動を制御し、制御条件判断部41で得られた情報に基づき、各給紙トレイから給紙される印刷用紙の給紙タイミングを制御する。搬送制御部55は、搬送手段9に設けられた搬送センサ63、搬送モータ65、吸引部67などの作動を制御し、制御条件判断部41で得られた情報に基づき、印刷用紙の搬送速度、吸引部の吸引力など印刷用紙の搬送を制御する。このような制御手段13の制御は、入力手段15で入力された情報に基づいている。
【0030】
入力手段15は、本体の表面に設けられた本体パネル69や画像形成装置1に通信線などを介して接続されたユーザのPCの画面に表示される設定画面を備え、印刷を実行するユーザが制御手段13にジャム防止制御を行わせるかどうかを入力する。図3に示すように、設定画面には、各給紙トレイに積載された印刷用紙に対してジャム防止制御を有効にするか、もしくは無効にするかが表示される。例えば、ジャムを発生し易い(ジャム発生率が高い)印刷用紙が給紙台11aと給紙トレイ11dに積載されている場合には、給紙台11aと給紙トレイ11dから給紙される印刷用紙に対して制御手段13でジャム防止制御を行うように、給紙台11aと給紙トレイ11dにおいて「有効」を選択する。ジャムを発生しにくい(ジャム発生率が低い)印刷用紙が給紙トレイ11bと給紙トレイ11cに積載されている場合には、給紙トレイ11bと給紙トレイ11cから給紙される印刷用紙に対して制御手段13で通常の制御を行うように、給紙トレイ11bと給紙トレイ11cにおいて「無効」を選択する。この入力手段15からの設定に従い、制御手段13は各給紙トレイから給紙される印刷用紙に対してジャム防止制御を行うかどうかを判断する。なお、入力手段15でジャム防止制御の有効・無効の制御がどちらも選択されている場合でも、画像形成装置1内でジャムが発生したときには、制御手段13のジャム発生率算出部47でカウントされ、ジャムを発生した印刷用紙が積載された給紙トレイに対してジャム発生率を算出する。
【0031】
また、図4に示すように、入力手段15は、画像形成装置1内に搬送させる印刷用紙の最大枚数をユーザに入力させる設定画面を備えている。この設定画面は、ジャム防止制御の設定画面で「有効」を選択した給紙トレイから印刷用紙を給紙する場合に、本体の表面に設けられた本体パネル69や画像形成装置1に通信線などを介して接続されたユーザのPCの画面に表示される。例えば、給紙台11aがジャム防止制御の設定画面で「有効」に設定されているとき、給紙台11aから画像形成装置1内に給紙させる最大枚数を5枚と入力したとする。この入力手段15からの設定に従い、制御手段13は給紙台11aから印刷用紙が給紙されるとき、各手段の作動を制御して画像形成装置1内に搬送される印刷用紙を5枚以内となるように制御する。
【0032】
このように制御手段13は、入力手段15で入力された設定に従ってジャム防止制御を行っているが、設定された最大枚数で複数回搬送を行ってもジャムが発生しなかった場合、自動的に最大枚数を増加させる。例えば、最大枚数が5枚と設定された給紙トレイから印刷用紙が給紙される場合、画像形成装置1内に搬送される最大枚数が5枚を超えないように給紙トレイから印刷用紙が給紙されるが、複数回(例えば、1000回)給紙動作を繰り返しても印刷用紙がジャムを発生しなければ、制御手段13は5枚以内であればジャムを発生しないと判断し、最大枚数を自動的に1枚増加させ、最大枚数を6枚とする。なお、最大枚数は、予め決められた所定の枚数まで増加するものとする。
【0033】
これに対して、設定された最大枚数でジャムの発生が多い(ジャム発生率が高い)場合、制御手段13は、画像形成装置1内に搬送される印刷用紙の搬送速度を現在の搬送速度よりも下げるように搬送手段9の作動を制御する。もしくは、搬送手段9に設けられた吸引部の吸引力を高める制御を行う。なお、搬送速度と吸引力の制御は、同時に行ってもよいし、ジャムの発生を防止することができればどちらか一方のみの制御であってもよい。このような制御手段13の制御により、印刷用紙が搬送中に搬送路C1,C2から浮き上がるなどのジャムを抑制することができ、ジャム発生率を低下させることができる。なお、このような制御を行ってもジャム発生率が低下しない場合には、ユーザに警告などを表示して最大枚数を減少させるようにしてもよいし、制御手段13が自動的に最大枚数を減少させてもよい。
【0034】
ここで、画像形成装置1の印刷動作について図5のフローチャートを用いて説明する。
【0035】
まず、本体パネル69やユーザのPCの画面で印刷する印刷用紙の総枚数を入力し(S1)、画像が形成される印刷用紙が積載された給紙トレイを選択する(S2)。このとき、制御手段13は、選択された給紙トレイが入力手段15でジャム防止制御を有効・無効のどちらに設定されているかを判断する(S3)。無効である場合には、制御手段13は各手段を通常の制御で作動させる(S4)。
【0036】
有効である場合には、本体パネル69やユーザのPCの画面に対して、例えば「ジャム防止制御が有効です。プリンタ内で処理する最大枚数を設定してください。」などの報知を表示させ、入力手段15でユーザに最大枚数を入力させる(S5)。
【0037】
次に、制御手段13は、画像形成装置1内に搬送される印刷用紙の最大枚数が入力されたか否かを判断し(S6)、入力されている場合には選択された給紙トレイから画像形成装置1内に給紙を開始させる(S7)。給紙が開始されたら、給紙された印刷用紙が設定された最大枚数に達したか否かを判断し(S8)、最大枚数に達している場合には給紙トレイからの印刷用紙の給紙を待機させる(S9)。
【0038】
そして、画像が形成された印刷用紙が排紙手段7に排紙されたか否かを判断し(S10)、排紙された場合には次の印刷用紙を給紙トレイから給紙させ、給紙した印刷用紙の枚数が入力された総枚数に達したか否かを判断する(S11)。総枚数に達した場合には、給紙トレイからの印刷用紙の給紙を停止させ、画像形成装置1内に搬送された印刷用紙に画像が形成されて排紙手段7から排紙されたら、各手段の作動を停止させて印刷を完了する(S12)。
【0039】
ここで、制御手段13による画像形成装置1内に搬送させる印刷用紙の最大枚数の制御について図6フローチャートを用いて説明する。
【0040】
まず、本体パネル69やユーザのPCの画面(入力手段15)でユーザが画像形成装置1内に搬送させる印刷用紙の最大枚数を入力する(S13)。このとき、制御手段13は、入力手段15で入力された最大枚数を確定する(S14)。次に、制御手段13は、各手段の作動を制御しながら印刷動作を開始させ、給紙トレイから給紙される印刷用紙の枚数をカウントする(S15)。次に、制御手段13は、設定された最大枚数の印刷用紙を複数回給紙しても、印刷用紙が画像形成装置1内でジャムを発生しなかったか否かを判断する(S16)。
【0041】
印刷用紙が画像形成装置1内でジャムを発生しなかった場合には、制御手段13は最大枚数を自動的に1枚増加させ(S17)、増加された最大枚数を確定する(S14)。
【0042】
印刷用紙が画像形成装置1内でジャムを発生した場合には、制御手段13は各手段の作動を制御して印刷用紙の搬送速度を下げる及び搬送吸引力を高め、印刷用紙のジャム発生率を低下させる制御を行う(S18)。
【0043】
このような画像形成装置1では、制御手段13が給紙トレイ11a〜11eに積載された印刷用紙の搬送路C1,C2におけるジャムを発生するジャム発生率によって、各手段の作動を制御するので、ジャム発生率が高い印刷用紙が給紙される場合には各手段の作動を制御して印刷用紙がジャムを発生することを防止することができる。
【0044】
また、給紙トレイに積載された印刷用紙の給紙手段3から排紙手段7までの搬送路C1,C2間に搬送させる最大枚数を制御手段13に入力させる入力手段15が設けられているので、入力手段15を介してユーザが任意に最大枚数を設定することができ、複数枚の印刷用紙を装置内に搬送させることができる。
【0045】
従って、画像形成装置1では、ジャム発生を防止でき、且つ生産性を向上することができる。
【0046】
また、制御手段13は、給紙トレイ11a〜11eに積載された印刷用紙が入力手段15で入力された最大枚数でジャムを発生しないとき、最大枚数を増加させるので、ジャムの発生を抑制しつつ、より生産性を向上することができる。なお、制御手段13が自動的に最大枚数を増加させる場合には、その旨をユーザに対して報知させる。さらには、最大枚数を増加させた以降においては、入力手段15で表示する最大枚数の設定画面で予め増加させた最大枚数を表示させるようにする。
【0047】
また、制御手段13は、給紙トレイ11a〜11eに積載された印刷用紙が入力手段15で入力された最大枚数でジャムの発生率が高いとき、搬送手段9の搬送速度を下げる制御、もしくは吸引部の吸引力を高める制御を行うので、印刷用紙が搬送中に搬送路C1,C2から浮き上がるなどのジャムを抑制することができ、ジャム発生率を低下させることができる。
【0048】
なお、本発明の実施の形態に係る画像形成装置では、入力手段でジャム防止制御の有効・無効を設定しているが、給紙トレイに印刷用紙の情報を取得するセンサなどを設け、ジャム発生率が高い印刷用紙が給紙トレイに積載された場合には制御手段が自動的にジャム防止制御を有効にするなど、ジャム防止制御の有効・無効を制御手段が自動的に行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…画像形成装置
3…給紙手段
5…印刷手段
7…排紙手段
9…搬送手段
C1,C2…搬送路
11a〜11e…給紙トレイ
13…制御手段
15…入力手段
47…ジャム発生率算出部(ジャム発生率算出手段)
53…給紙制御部(給紙制御手段)
55…搬送制御部(搬送速度制御手段、吸引力制御手段)
67…吸引部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙トレイに積載された印刷用紙を給紙する給紙手段と、前記印刷用紙に対して印刷を行う印刷手段と、前記印刷手段により印刷された印刷用紙を排紙する排紙手段とを備え、先行する印刷用紙の排紙前に後続の印刷用紙を給紙可能な画像形成装置であって、
前記給紙手段と前記印刷手段と前記排紙手段とは前記印刷用紙を搬送する搬送手段が設けられた搬送路によって連結され、印刷動作中に前記搬送路間に存在する印刷用紙の最大枚数を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された最大枚数に応じて前記給紙手段による前記印刷用紙の給紙枚数を制御する給紙制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記給紙トレイに積載された前記印刷用紙の前記搬送路におけるジャム発生率を算出するジャム発生率算出手段を備え、
前記給紙制御手段は前記給紙トレイに積載された印刷用紙を前記入力手段で入力された最大枚数にて所定枚数印刷を行っても前記ジャム発生率算出手段によりジャムの発生が算出されない場合は前記最大枚数を増加させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記給紙トレイに積載された前記印刷用紙の前記搬送路におけるジャム発生率を算出するジャム発生率算出手段と、
前記ジャム発生率算出手段により算出されたジャム発生率が所定の値を上回った場合に、前記搬送手段の搬送速度を下げる制御を行う搬送速度制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記搬送手段に設けられ、前記印刷用紙を前記搬送路に対して吸引させる吸引部と、
前記給紙トレイに積載された前記印刷用紙の前記搬送路におけるジャム発生率を算出するジャム発生率算出手段と、
前記ジャム発生率算出手段により算出されたジャム発生率が所定の値を上回った場合に、前記吸引部の吸引力を高める制御を行う吸引力制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−162729(P2010−162729A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5585(P2009−5585)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】