説明

画像形成装置

【課題】スペースを必要とせずに装置内に取り込む空気の流量を調整することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙Pに画像を形成するレーザプリンタ1(画像形成装置)は、外部と内部とを連通する隙間Sを有する本体筐体2と、本体筐体2内の空気を外部に排出する排気ファン7と、本体筐体2内で隙間Sに近接して設けられ、回転することで本体筐体2内に供給される空気の流量を調整する流量調整ローラ10とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、装置本体内に設けられたスキャナユニットや熱定着器(定着装置)などを冷却するために、外部の空気を装置本体内に取り込む冷却ファンが設けられた電子写真方式の画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−44274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような画像形成装置では、装置本体内の空気を外部に排出する排気ファンを設けることで、空気の流れを積極的に形成することができるので、より効率的な冷却を実現することができる。
【0005】
ところで、画像形成装置では、装置本体内の温度が上昇する画像形成時には外部の空気を積極的に取り込んで冷却効率を向上させ、定着装置のウォームアップ時などには外部の冷えた空気の流入を減らして速やかに目標温度に到達させたいというような、装置内に供給される空気の流量の調整が望まれることがあった。
【0006】
これを解決する1つの手段として、冷却ファンの回転を制御することで装置内に供給される空気の流量を調整する方法が考えられる。しかしながら、ファンは、空気が流入する方向に延びる回転軸から軸方向外側に向かって複数の羽が延びる面状の構成を有するので、取り付けるためのスペースが必要となり、画像形成装置が大型化するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、スペースを必要とせずに装置内に取り込む空気の流量を調整することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、外部と内部とを連通する開口を有する装置本体と、前記装置本体内の空気を外部に排出するファンと、前記装置本体内で前記開口に近接して設けられ、回転することで前記装置本体内に供給される空気の流量を調整する流量調整ローラと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このように構成された画像形成装置によれば、装置本体内で開口に近接して設けられ、回転駆動する流量調整ローラを備えるので、装置内に取り込む空気の流量を調整することができる。また、流量調整ローラ(ローラ)は、軸方向に延びるに線状の構成を有するものなので、面状の構成を有するファンと比較して、スペースを必要とせずに設置することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像形成装置によれば、装置本体内で開口に近接して設けられ、回転駆動する流量調整ローラを備えるので、スペースを必要とせずに装置内に取り込む空気の流量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの断面図である。
【図2】本体筐体の隙間に対する流量調整ローラの配置を示す斜視図である。
【図3】流量調整ローラの配置を示す拡大図である。
【図4】流量調整ローラの回転方向と本体筐体内に取り込まれる空気の流量の関係を示す説明図であり、流量を増加させる図(a)と、流量を減少させる図(b)である。
【図5】制御装置が第1温度センサの出力値に基づいて流量調整ローラを制御するときのフローチャートである。
【図6】制御装置が第2温度センサの出力値に基づいて流量調整ローラを制御するときのフローチャートである。
【図7】変形例に係る制御装置が第2温度センサの出力値に基づいて流量調整ローラを制御するときのフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の連動機構を示す断面図である。
【図9】開口の変形例を示す斜視図(a)と、流量調整路ローラの変形例を示す斜視図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
<レーザプリンタの全体構成>
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向はレーザプリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1は、装置本体の一例としての本体筐体2内に、給紙部3と、露光装置4と、プロセスカートリッジ5と、定着装置6と、ファンの一例としての排気ファン7と、制御装置8とを主に備えている。
【0014】
本体筐体2の前側および後側には、それぞれ、下部を中心として本体筐体2に対して回動(開閉)可能に構成されたフロントカバー21とリヤカバー22が設けられている。図示は省略するが、フロントカバー21を開いたときにできる開口からはプロセスカートリッジ5を着脱することができ、リヤカバー22を開くことで本体筐体2内に詰まった用紙Pを容易に取り除くことができる。また、本体筐体2の上部は、本体筐体2から排出された用紙Pが載置される排紙トレイ23となっている。
【0015】
リヤカバー22の下端と本体筐体2との間には、本体筐体2の外部と内部とを連通する開口の一例としての隙間Sがあり、リヤカバー22の下端の本体筐体2内には、隙間Sに近接して流量調整ローラ10が設けられている。隙間Sは、後側から見て、左右方向に連続的に延びる矩形状をなしている(図2参照)。流量調整ローラ10の詳細については後述する。
【0016】
また、本体筐体2内には、第1温度検出手段の一例としての第1温度センサ81が設けられている。第1温度センサ81は、本体筐体2内の温度を検出する公知の温度センサであり、検出した温度のデータを制御装置8に出力する。本実施形態において、第1温度センサ81は、本体筐体2内の高温に弱い部品、具体的には、制御装置8の近傍に配置されている。
【0017】
給紙部3は、本体筐体2の下部に設けられ、記録シートの一例としての用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32と、用紙Pの搬送や分離、紙粉取りなどを行う各種のローラ33とを主に備えている。給紙部3では、給紙トレイ31内の用紙Pが、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、各種のローラ33によって1枚ずつプロセスカートリッジ5に向けて搬送(供給)される。
【0018】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45,46とを主に備えている。露光装置4では、レーザ発光部から出射された画像データに基づくレーザ光(一点鎖線参照)が、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44,45、レンズ43、反射鏡46の順に反射または通過して、感光体ドラム51の表面上に高速走査にて照射される。
【0019】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット5Aと、ドラムユニット5Aに対して着脱可能に装着される現像カートリッジ5Bとから構成されている。
【0020】
ドラムユニット5Aは、感光体ドラム51と、帯電器52と、転写ローラ53とを主に備え、現像カートリッジ5Bは、現像ローラ54と、供給ローラ55と、層厚規制ブレード56と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部57とを主に備えている。
【0021】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部57内のトナーが、供給ローラ55を介して現像ローラ54に供給され、現像ローラ54と層厚規制ブレード56との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ54上に担持される。
【0022】
現像ローラ54上に担持されたトナーは、現像ローラ54から感光体ドラム51上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム51上にトナー像が形成される。その後、用紙Pが感光体ドラム51と転写ローラ53との間を搬送されることで、感光体ドラム51上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0023】
定着装置6は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられ、加熱ローラ61と、加熱ローラ61との間で用紙Pを挟持する加圧ローラ62と、第2温度検出手段の一例としての第2温度センサ82とを主に備えている。第2温度センサ82は、定着装置6(具体的には加熱ローラ61)の温度を検出するサーミスタなどの公知の温度センサであり、検出した温度のデータを制御装置8に出力する。
【0024】
定着装置6では、トナー像が転写された用紙Pが加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を搬送されることで、用紙P上のトナー像(画像)が加熱定着される。トナー像が加熱定着された用紙Pは、排出ローラ24によって排紙トレイ23上に排出される。
【0025】
排気ファン7は、定着装置6の側面上部と対面するように本体筐体2の右側壁に設けられた公知のファンであり、公知の制御によって回転するように構成されている。この排気ファン7は、本体筐体2内の空気を外部に排出することで、例えば、定着装置6などで発生する熱や水蒸気、帯電器52で発生するオゾンなどを外部に排出している。
【0026】
なお、排気ファン7が本体筐体2内の空気を外部に排出することで、流量調整ローラ10の駆動の有無に拘わらず、本体筐体2にある隙間(隙間Sを含む)や本体筐体2に設けられた開口などから、外部の空気が本体筐体2内に取り込まれる。
【0027】
制御装置8は、本体筐体2内の適宜な位置に配置され、図示しないCPU、RAM、ROM、入出力回路などを備えて構成されている。この制御装置8は、レーザプリンタ1の動作を制御するとともに、本実施形態では、さらに、ROMに記憶されたプログラムやデータ、各温度センサ81,82からの出力などに基づいて、流量調整ローラ10の駆動および回転方向を制御する。制御装置8による流量調整ローラ10の制御の詳細については後述する。
【0028】
<流量調整ローラ>
次に、流量調整ローラ10の構成や配置などについて詳細に説明する。
流量調整ローラ10は、回転することで隙間Sから本体筐体2内に供給される空気の流量を調整するローラである。この流量調整ローラ10は、軸方向において、細長い円筒状に形成されている。
【0029】
流量調整ローラ10を回転させるための構成は、広く公知の構成を採用することができる。例えば、感光体ドラム51などを回転させる図示しないメインモータとは別に、流量調整ローラ10を回転させるための図示しないモータを設け、このモータで直接またはギヤなどを介して流量調整ローラ10を回転させることができる。この場合、制御装置8は、モータのON・OFFと回転方向を制御することで、流量調整ローラ10の駆動および回転方向を制御することができる。
【0030】
図2に示すように、流量調整ローラ10は、軸方向が、隙間Sが延びる方向(左右方向)に対して平行となるように配置されている。言い換えると、流量調整ローラ10は、その回転軸10Aが隙間Sが延びる方向に沿って配置されている。また、図3に示すように、流量調整ローラ10は、隙間Sの対向する上縁部S1および下縁部S2のうち、上縁部S1から空気流入方向(矢印方向)に延びる仮想的な面PLに対し、下縁部S2がある側とは反対側、すなわち、上側から接するように配置されている。
【0031】
図4(a)に示すように、流量調整ローラ10が図4の反時計回り方向、詳細には、流量調整ローラ10の下部が隙間Sから流入する空気の流れにならって回転すると、流量調整ローラ10の表面が空気を本体筐体2内に引き込むことになるので、本体筐体2内に取り込む空気の流量を増加させることができる。
【0032】
また、図4(b)に示すように、流量調整ローラ10が図4の時計回り方向、詳細には、流量調整ローラ10の下部が隙間Sから流入する空気の流れに逆らって回転すると、流量調整ローラ10の表面が空気の抵抗となることで空気が本体筐体2内に入りにくくなるので、本体筐体2内に取り込む空気の流量を減少させることができる。
【0033】
なお、以下の説明においては、流量調整ローラ10を隙間Sから流入する空気の流れにならって回転させる場合(図4(a)の場合)を順回転、流量調整ローラ10を隙間Sから流入する空気の流れに逆らって回転させる場合(図4(b)の場合)を逆回転という。
【0034】
隙間Sから供給された空気は、本体筐体2に構成された流路、例えば、本体筐体2と各構成部品の間などを通って、最終的に排気ファン7から排出される。本実施形態では、特に、定着装置6(加熱ローラ61)で発生した熱を効率的に排出(外部の空気で冷却)できるように、定着装置6が隙間S(流量調整ローラ10)と排気ファン7とを結ぶ流路上に配置されている。
【0035】
<制御装置による流量調整ローラの制御>
次に、制御装置8による流量調整ローラ10の制御について説明する。
本実施形態では、制御装置8は、本体筐体2内の温度と定着装置6の温度、具体的には、第1温度センサ81と第2温度センサ82の出力値に基づいて流量調整ローラ10を制御している。
【0036】
(第1温度センサの出力値に基づく制御)
まず、第1温度センサ81の出力値に基づいて流量調整ローラ10を制御する場合について説明する。
制御装置8は、図5に示す処理を連続的に実行している。具体的に、制御装置8は、第1温度センサ81によって検出された温度T1(出力値)が、第1の所定値TA以上か否か判定する(ステップS101)。
【0037】
第1温度センサ81によって検出された温度T1が第1の所定値TA以上の場合(ステップS101,Yes)には、制御装置8は、流量調整ローラ10を順回転(図4(a)参照)させる(ステップS102)。なお、前回の処理のときに、流量調整ローラ10を順回転させていた場合には、流量調整ローラ10の順回転を続けることとなる。
【0038】
これにより、本体筐体2内に取り込む外部の冷たい空気の流量を増加させることができるので、本体筐体2内の温度を迅速に下げることができる。なお、「冷たい」とは、本体筐体2内の温度より低いことをいう。
【0039】
一方、第1温度センサ81によって検出された温度T1が第1の所定値TA未満の場合(ステップS101,No)には、制御装置8は、流量調整ローラ10を駆動しない(ステップS103)。なお、前回の処理のときに、流量調整ローラ10を順回転させていた場合には、流量調整ローラ10の駆動を停止することとなる。
【0040】
以上のような処理を繰り返すことで、本体筐体2内の温度を適温まで迅速に下げることができるので、制御装置8などの高温に弱い部品やトナーなどの長寿命化を図ることができ、結果としてレーザプリンタ1の長寿命化を図ることができる。
【0041】
(第2温度センサの出力値に基づく制御)
次に、第2温度センサ82の出力値に基づいて流量調整ローラ10を制御する場合について説明する。
制御装置8は、図6に示す処理を連続的に実行している。具体的に、制御装置8は、第2温度センサ82によって検出された温度T2(出力値)が、第2の所定値TB以上か否か判定する(ステップS201)。
【0042】
第2温度センサ82によって検出された温度T2が第2の所定値TB以上の場合(ステップS201,Yes)には、制御装置8は、流量調整ローラ10を順回転(図4(a)参照)させる(ステップS202)。これにより、本体筐体2内に取り込む外部の冷たい空気の流量を増加させることができるので、定着装置6の温度を迅速に下げることができる。
【0043】
一方、第2温度センサ82によって検出された温度T2が第2の所定値TB未満の場合(ステップS201,No)には、制御装置8は、流量調整ローラ10を逆回転(図4(b)参照)させる(ステップS203)。これにより、本体筐体2内に取り込まれる外部の冷たい空気の流量を減少させることができるので、定着装置6(加熱ローラ61)の温度を目標温度まで迅速に上昇させることができる。
【0044】
以上のような処理を繰り返すことで、結果として定着装置6(加熱ローラ61)の温度を所望の温度に維持することができるので、例えば、レーザプリンタ1が画像形成を開始するまでの待ち時間を短くすることができる。
【0045】
なお、第2の所定値TBは、レーザプリンタ1の動作モードなどによって異なる定着装置6(加熱ローラ61)の目標温度に応じて、複数設定してもよい。また、レーザプリンタ1の動作モードに応じて、図6に示す処理を選択的に実行するように制御してもよい(すなわち、動作モードによっては図6に示す処理を実行しない場合があってもよい)。
【0046】
以上のように、本実施形態のレーザプリンタ1によれば、本体筐体2内で隙間Sに近接して設けられ、回転駆動する流量調整ローラ10を備えるので、前記したように流量調整ローラ10の駆動や回転方向を制御することで、本体筐体2内に取り込む空気の流量を調整することができる。
【0047】
また、流量調整ローラ10は、軸方向に延びるに線状の構成を有するので、面状の構成を有するファンと比較して、スペースを必要とせずに設置することができる。そのため、流量調整ローラの軸方向の長さやローラ部分の径を適宜変更することで、ファンが設置できないようなスペースにも設けることが可能となる。
【0048】
さらに、流量調整ローラ10がリヤカバー22の下端と本体筐体2との間の隙間Sに設けられているので、流量調整ローラ10を設けるための開口を新たに設ける必要がないため、部品としての本体筐体2を共通化することができ、コスト削減を図ることができる。
【0049】
本実施形態では、流量調整ローラ10が、軸方向が隙間Sが延びる方向に対して平行となるように配置されているので、ファンを設ける場合と比較して、設置スペースをより小さくすることができる。また、流量調整ローラ10が隙間Sに沿って配置されることで、空気を本体筐体2内に効率良く取り込むことができる。
【0050】
本実施形態では、流量調整ローラ10は、隙間Sの上縁部S1から空気流入方向に延びる面PLに対し、下縁部S2がある側とは反対側から接するように配置されているので、流量調整ローラ10が隙間Sから本体筐体2内に供給される空気の進路を塞ぐことがないため、空気を本体筐体2内に良好に取り込むことができる。
【0051】
なお、本実施形態では、第1温度センサ81の出力値に基づく制御において、第1温度センサ81によって検出された温度T1が第1の所定値TA未満の場合に流量調整ローラ10の駆動を停止する(駆動しない)ようにしたが、これに限定されるものではない。具体的には、第2温度センサ82の出力値に基づく制御の場合と同様に、第1温度センサ81によって検出された温度T1が第1の所定値TA未満の場合には流量調整ローラ10を逆回転させるようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、第2の所定値TBを1つの値とした例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、所定値を、上限値(第3の所定値TC)と下限値(第4の所定値TD)とからなる所定の範囲としてもよい。
【0053】
具体的に、制御装置8は、図7に示す処理を連続的に実行するように構成してもよい。この場合、制御装置8は、まず、第2温度センサ82によって検出された温度T2(出力値)が、第4の所定値TD(下限値)以上か否か判定する(ステップS301)。
【0054】
温度T2が第4の所定値TD未満の場合(ステップS301,No)には、制御装置8は、流量調整ローラ10を逆回転させる(ステップS302)。これにより、本体筐体2内に取り込まれる外部の冷たい空気の流量を減少させることができるので、定着装置6(加熱ローラ61)の温度を目標温度まで迅速に上昇させることができる。その結果、例えば、レーザプリンタ1の電源を入れた後、画像形成を開始するまでの待ち時間を短くすることができる。
【0055】
一方、温度T2が第4の所定値TD以上の場合(ステップS301,Yes)には、制御装置8は、温度T2(出力値)が、第3の所定値TC(上限値)以上か否か判定する(ステップS303)。
【0056】
温度T2が第3の所定値TC以上の場合(ステップS303,Yes)には、制御装置8は、流量調整ローラ10を順回転させる(ステップS304)。これにより、本体筐体2内に取り込む外部の冷たい空気の流量を増加させることができるので、定着装置6の温度を迅速に下げることができる。その結果、定着装置6や本体筐体2内の高温状態を迅速に解消できるので、レーザプリンタ1の長寿命化を図ることができる。
【0057】
また、温度T2が第3の所定値TC未満(温度T2が第4の所定値TD以上、第3の所定値TC未満)の場合(ステップS303,No)には、制御装置8は、流量調整ローラ10を駆動しない(前回処理時に流量調整ローラ10を回転させていた場合には、駆動を停止する)(ステップS305)。
【0058】
なお、本発明は、第3の所定値TCおよび第4の所定値TDのいずれか(一方の値)だけが設定された構成としてもよい。具体的には、温度T2が第3の所定値TC以上の場合は流量調整ローラ10を順回転させ、温度T2が第3の所定値TC未満の場合は流量調整ローラ10の駆動を停止させるだけの構成、すなわち、図7のステップS303から始まる構成としてもよい。また、温度T2が第4の所定値TD以上の場合は流量調整ローラ10の駆動を停止させ、温度T2が第4の所定値TD未満の場合は流量調整ローラ10を逆回転させるだけの構成、すなわち、図7のステップS301でYesの場合にステップS305に進む構成としてもよい。
【0059】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、制御装置8によって流量調整ローラ10の駆動を制御するのではなく、流量調整ローラ10の駆動を加熱ローラ61の駆動に連動させたものである。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0060】
図8に示すように、流量調整ローラ10の駆動を加熱ローラ61の駆動に連動させるための連動機構9は、駆動入力手段の一例としての入力ギヤ91と、駆動伝達手段の一例としての加熱ローラギヤ92、ベルト93、中間ギヤ94および流量調整ローラギヤ95とから主に構成されている。
【0061】
入力ギヤ91は、本体筐体2の内部に設けられ、メインモータMから直接または他のギヤなどを介して間接的に伝達されてくる回転駆動力を加熱ローラ61(加熱ローラギヤ92)に入力するギヤである。
【0062】
加熱ローラギヤ92、ベルト93、中間ギヤ94および流量調整ローラギヤ95は、入力ギヤ91から流量調整ローラ10(流量調整ローラギヤ95)に回転駆動力を伝達する部材である。
【0063】
加熱ローラギヤ92は、加熱ローラ61の左端部に固定され、加熱ローラ61と一体に回転する環状のギヤであり、入力ギヤ91と噛み合うギヤ部92Aと、ギヤ部92Aから左側に向けて突出するように形成されたプーリ部92Bとから構成されている。
ベルト93は、加熱ローラギヤ92のプーリ部92Bと中間ギヤ94のプーリ部94Aとの間に張設されており、加熱ローラギヤ92の回転駆動力を中間ギヤ94に伝達する。
【0064】
中間ギヤ94は、本体筐体2の内部に設けられたギヤであり、ベルト93が張設されるプーリ部94Aと、プーリ部94Aの右側でプーリ部94Aと一体に形成されたギヤ部94Bとから構成されている。
流量調整ローラギヤ95は、流量調整ローラ10の回転軸10Aの左端に固定され、流量調整ローラ10と一体に回転するギヤであり、中間ギヤ94のギヤ部94Bと噛み合っている。
【0065】
このように構成された連動機構9では、加熱ローラギヤ92と流量調整ローラギヤ95とが、ベルト93および中間ギヤ94で連結されているので、メインモータMの回転駆動力が入力ギヤ91から加熱ローラギヤ92に入力されると、加熱ローラ61の回転に連動して流量調整ローラ10を回転させることができる。この連動機構9では、加熱ローラ61が図8の時計回り方向に回転すると流量調整ローラ10が順回転する。
【0066】
定着装置6(加熱ローラ61)の温度が上昇する加熱定着時などには、加熱ローラ61が図8の時計回り方向に回転している。これに連動して流量調整ローラ10が順回転することで、本体筐体2内に取り込む外部の冷たい空気の流量を増加させることができるので、定着装置6の温度を最適な温度に保つことができる。
【0067】
なお、本実施形態では、加熱ローラ61に回転駆動力を入力する構成を例示したが、これに限定されず、加圧ローラ62に回転駆動力を入力する構成としてもよい。具体的には、加圧ローラ62と一体に回転する図示しない加圧ローラギヤと入力ギヤ91とを噛み合わせ、加圧ローラギヤからギヤやベルトなどを介して流量調整ローラギヤ95に回転駆動力を伝達する構成としてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、流量調整ローラ10の駆動を加熱ローラ61の駆動に連動させた例を示したが、これに限定されず、例えば、流量調整ローラ10の駆動を排気ファン7の駆動に連動させるようにしてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、駆動伝達手段をギヤとベルトを組み合わせて構成した例を示したが、これに限定されず、例えば、ベルトの代わりにチェーンを採用してもよいし、ギヤだけから構成してもよい。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0071】
前記実施形態では、流量調整ローラ10が隙間Sの上縁部S1から空気流入方向に延びる面PLに対し、下縁部S2がある側とは反対側から接するように配置されている例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、隙間Sから供給される空気の進路を塞ぐことがなければ、流量調整ローラ10の下端が図3の面PLよりも下側に配置されていてもよい。また、回転により空気の流量を調整可能であれば、流量調整ローラ10の下端が図3の面PLよりも上側に配置されていてもよい。
【0072】
前記実施形態では、隙間S(開口)の上縁部S1側だけに流量調整ローラ10が配置されている例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、開口の下縁部側に流量調整ローラを配置してもよいし、上縁部と下縁部の両方に流量調整ローラを配置してもよい。
【0073】
前記実施形態では、流量調整ローラ10の駆動と回転方向を制御することで、取り込む空気の流量を調整する構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、流量調整ローラの回転速度を制御するようにしてもよい。具体的には、流量をより増加させたい場合に順回転の回転速度を速くするように制御し、流量をより減少させたい場合に逆回転の回転速度を速くするように制御してもよい。
【0074】
前記実施形態では、流量調整ローラ10をリヤカバー22の下端と本体筐体2との間の隙間Sに設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、フロントカバー21の下端と給紙トレイ31との間の隙間に設けてもよいし、フロントカバー21の上部と本体筐体2との間の隙間に設けてもよい。また、給紙トレイ31と本体筐体2との間の隙間に設けてもよい。
【0075】
前記実施形態では、特に説明していないが、本発明では、流量調整ローラ(ローラ部分)の表面を適宜加工してもよい。例えば、流量調整ローラの表面に穴や溝、凹みなどを設けて、流量調整ローラの表面が粗くなるように加工してもよい。また、穴や溝、凹みなどを設ける代わりに、流量調整ローラのローラ部分をスポンジなどから形成してもよい。さらに、流量調整ローラの表面に径方向外側に向かって延びる羽や短い毛などを設けてもよい。
【0076】
前記実施形態では、開口の一例としてレーザプリンタ1にある隙間を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、流量調整ローラを設けるために意図的に形成した開口部、具体的には、フロントカバー21やリヤカバー22に設けた開口部や、本体筐体2の側面に設けた開口部などを採用してもよい。
【0077】
前記実施形態では、1つの隙間S(開口)に流量調整ローラ10を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複数の開口にそれぞれ流量調整ローラを設けてもよい。
【0078】
前記実施形態では、隙間S(開口)が一方向(左右方向)に連続的に延びる形状(平面視矩形状)をなしている例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9(a)に示すように、開口が一方向に断続的に延びる形状、具体的には、複数の矩形開口SAが一方向に並ぶように形成されていてもよい。
【0079】
この場合においても、流量調整ローラ10は、軸方向が開口が延びる方向に対して平行となるように、回転軸10Aが矩形開口SAが並ぶ方向に沿って配置されることが望ましい。なお、開口を断続的に形成した場合には、図9(b)に示すように、矩形開口SAに対応する部分にローラ部11Bを設けた流量調整ローラ11を採用してもよい。
【0080】
前記実施形態では、排気ファン7を定着装置6と対面するように設けた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、排気ファン7を帯電器52と対面するように設けてもよい。これによれば、帯電器52で発生するオゾンを効率的に排出することができる。
【0081】
前記実施形態では、流量調整ローラ10の駆動を制御したり、加熱ローラ61の駆動に連動させたりする例について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、流量調整ローラを常時順回転させる構成としてもよい。また、流量調整ローラの回転方向を制御する場合についても、例えば、通常は順回転させ、定着装置の温度を上昇するときだけ逆回転させるようにしてもよい。
【0082】
前記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複写機や複合機などであってもよい。
前記実施形態では、記録シートとして、いわゆる普通紙やはがきなどの用紙Pを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 レーザプリンタ
2 本体筐体
6 定着装置
7 排気ファン
8 制御装置
10 流量調整ローラ
10A 回転軸
61 加熱ローラ
62 加圧ローラ
81 第1温度センサ
82 第2温度センサ
91 入力ギヤ
92 加熱ローラギヤ
93 ベルト
94 中間ギヤ
95 流量調整ローラギヤ
P 用紙
PL 面
S 隙間
S1 上縁部
S2 下縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、
外部と内部とを連通する開口を有する装置本体と、
前記装置本体内の空気を外部に排出するファンと、
前記装置本体内で前記開口に近接して設けられ、回転することで前記装置本体内に供給される空気の流量を調整する流量調整ローラと、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開口は、一方向に連続または断続的に延びる形状をなし、
前記流量調整ローラは、軸方向が前記開口が延びる方向に対して平行となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記流量調整ローラは、前記開口の対向する縁部の一方から空気が流入する方向に延びる面に対し、他方の縁部がある側とは反対側から接するように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記流量調整ローラの駆動および回転方向を制御する制御装置と、
前記装置本体内の温度を検出する第1温度検出手段と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1温度検出手段によって検出された温度が第1の所定値以上の場合は、前記流量調整ローラを前記開口から流入する空気の流れにならって回転させ、
前記第1温度検出手段によって検出された温度が第1の所定値未満の場合は、前記流量調整ローラの駆動を停止させ、または、前記流量調整ローラを前記開口から流入する空気の流れに逆らって回転させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記流量調整ローラの駆動および回転方向を制御する制御装置と、
記録シート上の画像を加熱定着する定着装置と、
前記定着装置の温度を検出する第2温度検出手段と、を備え、
前記制御装置は、
前記第2温度検出手段によって検出された温度が第2の所定値以上の場合は、前記流量調整ローラを前記開口から流入する空気の流れにならって回転させ、
前記第2温度検出手段によって検出された温度が第2の所定値未満の場合は、前記流量調整ローラを前記開口から流入する空気の流れに逆らって回転させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記流量調整ローラの駆動および回転方向を制御する制御装置と、
記録シート上の画像を加熱定着する定着装置と、
前記定着装置の温度を検出する第2温度検出手段と、を備え、
前記制御装置は、
前記第2温度検出手段によって検出された温度が第3の所定値以上の場合は、前記流量調整ローラを前記開口から流入する空気の流れにならって回転させ、
前記第2温度検出手段によって検出された温度が第3の所定値未満の場合は、前記流量調整ローラの駆動を停止させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記流量調整ローラの駆動および回転方向を制御する制御装置と、
記録シート上の画像を加熱定着する定着装置と、
前記定着装置の温度を検出する第2温度検出手段と、を備え、
前記制御装置は、
前記第2温度検出手段によって検出された温度が第4の所定値以上の場合は、前記流量調整ローラの駆動を停止させ、
前記第2温度検出手段によって検出された温度が第4の所定値未満の場合は、前記流量調整ローラを前記開口から流入する空気の流れに逆らって回転させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
記録シート上の画像を加熱ローラと加圧ローラとの間で加熱定着する定着装置と、
前記加熱ローラまたは前記加圧ローラに回転駆動力を入力する駆動入力手段と、
前記駆動入力手段から前記流量調整ローラに回転駆動力を伝達する駆動伝達手段と、を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−197696(P2010−197696A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42241(P2009−42241)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】