説明

画像形成装置

【課題】省スペース、低コストで安定してシートを反転させることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像が形成されたシートを排出するシート排出通路306と、シート排出通路306から分岐し、トナー像が片面に定着されたシートを反転させて画像形成部に向かわせる再搬送通路302との反転ポイント301と、空気を吸い込んでプロセスカートリッジに吹き付けるファン10との間に、ファン10により吸い込まれてプロセスカートリッジに吹き付けられた空気を反転ポイント301に向かわせる風路を設ける。そして、シートを反転させる際、反転ポイント301を通過するシートを風路からの空気により再搬送通路302の方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に画像が形成されたシートを反転させて再度、画像形成部に搬送するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複写機、レーザープリンタ、LEDプリンタ、ファクミリ、ワードプロセッサ及びこれらの複合機等の画像形成装置においては、電子写真画像形成方式を用いてシートに画像を形成するものがある。さらに、このような画像形成装置においては、画像形成部によりシートの片面(第1面)に画像を形成した後、シートを画像形成部に再度搬送し、シートの反対側の面(第2面)に画像を形成するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0003】
このような従来の画像形成装置では、シートを再度画像形成部に搬送するための再搬送通路を有する再搬送部を備えている。そして、シートの両面に画像を形成する場合は、まずシートを画像形成部に搬送してトナー像をシートの片面に形成し、この後、定着部によりシートを加熱及び加圧することによりトナー像をシート上に定着させる。次に、片面に画像が形成されたシートを、再搬送部に搬送し、この後、シートを再度、再搬送通路を経て画像形成部に搬送し、シートの反対側の面に画像を形成する。
【0004】
図8は、このような従来の画像形成装置の排紙部及び再搬送部の構成を示す図であり、排紙部900は、正逆転可能な排紙ローラ901と排紙コロ902とにより構成される排紙ローラ対903を備えている。そして、シートSの両面に画像を形成する場合は、排紙ローラ901を、片面に画像が形成されたシートSの後端が排紙ローラ対903を抜け切る前に逆回転させることにより、シートSをスイッチバックさせて再搬送通路302に搬送する。
【0005】
なお、図8において、306はシートSを、定着部800を経て排紙ローラ対903に搬送するシート排出通路、302は片面に画像が形成されたシートSを再度画像形成部に搬送するための再搬送通路である。
【0006】
307はシート排出通路306を通過しているシートSの後端を再搬送通路302に導入する導入口であり、301は導入口307のシート搬送方向上流側端に位置する反転ポイントである。そして、シートの両面に画像を形成する際、シート排出通路306を通過してきたシートSの後端が、反転ポイント301を通過した後、排紙ローラ901を逆回転させるようにしている。
【0007】
ところで、このように排紙ローラ901を逆回転させる際、シートSの後端が反転ポイント301を通過していない場合には、シートSがシート排出通路306を逆流する。そこで、このようなシートSの逆流を防ぐため、従来は、例えば、定着部800によるシート搬送方向と、排紙ローラ対903によるシート搬送方向が異なるようにしている。そして、このように定着部800と排紙ローラ対903のシート搬送方向が異なることにより、反転時、シートSの後端はシート自身の剛性により反転ポイント301を超えて反転搬送路側へ移動する。
【0008】
なお、シートSの逆流を防ぐため、別途、ファンを設け、ファンからの空気によりシートの後端を反転搬送路の方向に移動させるように構成したものもある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−155146号公報
【特許文献2】特開平7−257802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、このような従来の画像形成装置において、このようにシート自身の剛性によりシートの後端が反転ポイントを超えるように構成した場合でも、シートの種類や環境の影響によりシートが逆流する場合がある。例えば、反転するシートは定着後のシートであるため、シートの種類によっては、シートにシート搬送方向に沿って下向きのカールが発生する場合がある。
【0011】
そして、このように下向きのカールが発生した場合、シートがシート自身の剛性により反転搬送路側へ移動した場合でも、シートの後端が反転ポイントを越えない場合がある。そして、この状態で排紙ローラ901を逆回転させると、反転の際には先端となるシートの後端が反転ポイント301で引っかかり、シートのダメージやジャムが発生する。
【0012】
このため、従来はシート排出通路306、再搬送通路302の形状、反転ポイント301の位置設定等を十分な余裕を持って行ってきた。しかし、近年の画像形成装置の小型化の要求に伴い、定着部と排紙ローラ対との間隔を短くする必要があり、この結果、反転に関する余裕が少なくなり、様々なシートの種類に対応することが困難になってきた。
【0013】
なお、導入口に切換部材を設け、この切換部材の切換によりシートを反転搬送路へ導入するようにした場合には、このようなシートの引っかかりは発生しないが、切換部材を設けた場合、切換部材用のスペースが余分に必要となると共にコストが高くなる。
【0014】
また、別途、ファンを設け、ファンからの空気によりシートを反転搬送路の方向に移動させるように構成した場合には、ファンのスペースが余分に必要となると共にコストが高くなる。
【0015】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、省スペース、低コストで安定してシートを反転させることのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、画像形成部にて形成されてシート上に転写されたトナー像を定着部により定着させてシートに画像を形成し、シートの両面に画像を形成する際には、片面に画像が形成されたシートを反転させて再度、前記画像形成部に搬送する画像形成装置において、画像が形成されたシートを排出するシート排出通路と、前記シート排出通路から分岐し、片面に画像が形成されたシートを反転させて前記画像形成部に向かわせる再搬送通路と、前記画像形成部に着脱自在に設けられたプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジに空気を吹き付けて前記プロセスカートリッジを冷却するファンと、前記ファンと、前記シート排出通路及び前記再搬送通路の分岐点の間に設けられ、前記ファンにより前記プロセスカートリッジに吹き付けられた空気を前記分岐点に向かわせる風路と、を備え、前記分岐点を通過するシートを前記風路からの空気により前記再搬送通路の方向に移動させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シート排出通路と再搬送通路との分岐点を通過するシートをプロセスカートリッジに吹き付けられた空気によって再搬送通路の方向に移動させることにより、省スペース、低コストで安定してシートを反転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例である電子写真方式のプリンタの断面斜視図。
【図2】上記プリンタの概略構成を示す図。
【図3】上記プリンタの排紙部及び再搬送部の構成を示す図。
【図4】上記プリンタに設けられたファンから吹き込まれた空気の流れを説明する図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタに設けられたファンから吹き込まれた空気の流れを説明する図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図。
【図7】上記プリンタに設けられたファンから吹き込まれた空気の流れを説明する図。
【図8】従来の画像形成装置の排紙部及び再搬送部の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例である電子写真方式のプリンタの断面斜視図、図2はその概略構成を示す図である。
【0021】
図1及び図2において、1は電子写真方式のプリンタ、1Aはプリンタ本体、5はプリンタ本体1Aに設けられ、電子写真方式により画像形成を行う画像形成部、4は画像形成部5にシートSを給送するシート給送部である。また、55はレーザ光を発射及び走査するスキャナユニット、8はヒータユニット801とヒータユニット801に対して対向した加圧ローラ802とからなるヒータユニット対803を備えた定着部である。
【0022】
9は定着後、シートSを排紙積載部14に排出するための排紙部であり、この排紙部9は、正逆転可能な排紙ローラ901と排紙コロ902とにより構成される排紙ローラ対903を備えている。3は、片面に画像が形成されたシートを画像形成部5に再度搬送するための再搬送部である。この再搬送部3は、画像が形成されたシートSを反転させて再度、画像形成部5に搬送する再搬送通路302を備えている。
【0023】
画像形成部5はトナー像を形成する感光体ドラム601、現像器6a等を備え、プリンタ本体1Aに着脱自在に装着されるプロセスカートリッジ6、感光体ドラム601に形成されたトナー像をシートSに転写する転写ローラ7a等を備えている。
【0024】
シート給送部4は、プリンタ本体1Aに設けられ、中板403aを備えたシート積載台403に収納されたシートSを給送するシート給送部材である半月状の給紙ローラ402と、給紙ローラ402に圧接する分離パッド401を備えている。なお、305は給紙ローラ402から給送されたシートS、あるいは再搬送通路302を通過したシートSを搬送するシート搬送路であり、306は画像が形成されたシートを排出するシート排出通路、である。そして、再搬送通路302は、このシート排出通路306から分岐している。
【0025】
次に、このような構成のプリンタ1における画像形成動作について説明する。
【0026】
シートSがシート積載台403上にセットされた後、不図示のコンピュータやイメージリーダ等からプリント開始命令が入力されると、給紙ローラ402、搬送ローラ対408、感光体ドラム601等が駆動される。
【0027】
ここで、給紙ローラ402が矢印方向に回転すると、シートSが給紙ローラ402との摩擦により送り出される。また、給紙ローラ402が回転すると同時に、分離パッド401によって最上位のシートSが、次のシートと分離される。これにより、最上位のシートのみが搬送ローラ対408によって画像形成部5に搬送されていく。
【0028】
なお、搬送ローラ対408の中央近傍にはシートの先端を検知する不図示のトップセンサが設けられており、このトップセンサによりシートの位置を検知し、この検知に基づいてスキャナユニット55が感光体ドラム601にレーザ光を照射する。そして、このレーザ光の照射により、表面が一様に帯電された感光体ドラム601上には静電潜像が形成され、この静電潜像を現像器6aによりトナーを用いて現像して可視像化する。この後、この可視像化された感光体ドラム601上のトナー像は、シートSが感光体ドラム601と転写ローラ7aとによって構成される転写部7に搬送されると、転写部7においてシートS上に転写される。
【0029】
次に、トナー像が転写されたシートSは、定着部8に搬送され、定着部8のヒータユニット対803を通過する際、ヒータユニット801からの熱と加圧ローラ802からの圧力により、トナー像がシートS上に永久定着される。そして、片面に画像が形成されたシートSを排出する場合は、この後、トナー像が定着されたシートSを、排紙ローラ対903によりプリンタ本体外に排出し、プリンタ本体上面に設けられた排紙積載部14及び排紙トレイ904上に積載する。
【0030】
一方、シートの両面に画像を形成する場合は、排紙ローラ対903が片面に画像が形成されたシートを排出しきる前に、排紙ローラ対903の逆転により、シートSを再搬送部3に搬送する。この後、再搬送部3に搬送されたシートSを、再搬送通路302に設けられた両面搬送ローラ304により、給紙ローラ402と搬送ローラ対408との間に設けられた反転合流ポイント303に搬送する。
【0031】
この後、シートSは、反転合流ポイント303からシート排出通路306に進入し、2面目の画像形成がなされる。なお、2面目の画像形成がなされたシートSは、排紙部9からシート排出通路306を経てプリンタ本体外に排出され、排紙積載部14及び排紙トレイ904上に積載される。
【0032】
ところで、プロセスカートリッジ6の現像器6aには熱溶融性を有する粉状のトナーが充填されているが、プリンタ本体内部の温度が上昇すると、これに伴いトナーの流動性の悪化や、トナー自体の熱による溶融が発生する場合がある。そして、このようなトナーの流動性の悪化や、トナー自体の熱による溶融が発生すると、トナー固着、トナー漏れ等が発生する可能性がある。
【0033】
そこで、プリンタ本体内部には、図1に示すように、プロセスカートリッジ6を冷却するためのファン10が設けられている。なお、本実施の形態において、ファン10はプリンタ本体側面に設けられ、プリンタ本体内部へ空気(外気)を吹き込むように動作している。
【0034】
図3は、本プリンタ1の排紙部9及び再搬送部3の構成を示す図である。そして、シートの両面に画像を形成する際、シート排出通路306を通過してきたシートの後端が、導入口307のシート搬送方向上流側端に位置する反転ポイント301を通過した後、排紙ローラ901を逆回転させるようにしている。
【0035】
ところで、このように排紙ローラ901を逆回転させる際、シートの後端がシート排出通路306と再搬送通路302との分岐点である反転ポイント301を通過していない場合には、シートがシート排出通路306を逆流する。そこで、このようなシートの逆流を防ぐため、既述したように定着部8によるシート搬送方向と、排紙ローラ対903によるシート搬送方向が異なるようにしている。そして、このように定着部8と排紙ローラ対903とのシート搬送方向が異なることにより、反転ポイント301を通過した際、シート自身の剛性によりシートの後端が反転ポイント301を乗り越えて再搬送通路302に移動する。
【0036】
なお、図3において、806はヒータユニット801が外部から触れないようにするため定着部8に設けられた定着カバーである。804は反転ポイント301の上方に設けられ、反転ポイント301を乗り越えてきたシートの後端部と当接してシートの位置を規制する上ガイドである。そして、定着部8から搬送されたシートSは上ガイド804に当接した後、排紙ローラ対903の逆転により、上ガイド804に沿って再搬送通路302に案内される。
【0037】
なお、定着部8でのシート搬送速度に比べて排紙ローラ対903のシート搬送速度が遅い場合には、定着部8から搬送されるシートが弛むため、搬送されるシートの先端が詰まる状態になり、シートの挙動が安定しない。このため、一般的に、シート搬送の安定性を向上させるため、定着部8でのシート搬送速度に比べて排紙ローラ対903のシート搬送速度を速くしている。
【0038】
ここで、このように定着部8と排紙ローラ対903のシート搬送速度を設定した場合、排紙ローラ対903のシート搬送速度が速いため、排紙ローラ対903にシートが到達した後は、定着部8から排紙部9との間でシートは引っ張られる。しかし、このようにシートが引っ張られた場合でも、シートが搬送リブに接触することがないように反転ポイント301のシート搬送方向下流側には補助コロ805が設けられている。
【0039】
ところで、シートの種類によっては、定着部8での熱の影響により、シートのシート搬送方向中央部が感光体ドラム601から遠ざかる方向に湾曲し、シートにシート搬送方向に沿って下向きのカールが発生する場合がある。また、シート搬送速度は、シート上に描かれた画像の印字率(画像形成率)が高いほど遅くなる傾向がある。これらが重なると、シートの後端が反転ポイント301を乗り越えることができず、条件によっては再搬送時にシートの逆流や、反転ポイントでのシート引っかかり、ジャムが発生する可能性がある。
【0040】
そこで、本実施の形態においては、安定したシートの反転を行うことができるように、シートの後端が反転ポイント301を通過する際、シートの後端に対して反転ポイント301に向けて空気を吹き付けるようにしている。
【0041】
このため、本実施の形態においては、定着カバー806の反転ポイント301に臨む、例えば補助コロ805の近傍位置に風路孔807を、図4に示すようにシート搬送方向と直交する幅方向に複数設けている。また、この風路孔807は、図4において破線で示すように、ファン10からプロセスカートリッジ6に向けて吹き込まれ、プロセスカートリッジ6を冷やした後、プロセスカートリッジ6の上部を通った空気が流れ込むように形成されている。
【0042】
そして、このような風路孔807を設けることにより、風路孔807から送り込まれた空気を反転ポイント周辺に吹き込む風路が形成されるので、反転ポイント周辺は常にプリンタ本体下部から上に向かう矢印示す方向の風を受けることになる。
【0043】
これにより、反転ポイント301を通過した際、シートの後端は確実に反転ポイント301を乗り越えることができる。また、排紙ローラ901の逆回転により反転搬送される際も、反転ポイント301を通過するときにはシート先端(1面目の後端)は下方から風を受けるので先端が持ち上げられ、反転ポイント301で引っかかることなく再搬送通路302へスムーズに案内される。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態においては、プロセスカートリッジ6に吹き付けられた空気を風路孔807から、反転ポイント301を通過するシートに吹き付けるようにしている。これにより、定着部8からの熱によりシートにカールが発生した場合でも、安定してシートを再搬送通路302に搬送することができる。つまり、本実施の形態のように構成することにより、別途、ファンや切換部材を設けることなく、省スペース、低コストで安定してシートを再搬送通路302に搬送することができる。
【0045】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0046】
図5は、本実施の形態に係る画像形成装置の一例である電子写真方式のプリンタの排紙部及び再搬送部の構成を示す図である。なお、図5において、既述した図4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0047】
本実施の形態おいては、図5に示すように、風路孔807を定着カバー806の幅方向の両端部、例えばA4サイズのシートがシート排出通路306を通過する際、シートの両側端部に臨む位置に設けている。そして、このように風路孔807を定着カバー806の幅方向の両端部に設けることにより、風路孔807にファン10からの空気が吹き込む際、空気が絞られるため風路孔807を通過する際の空気の速度が上がる。
【0048】
この結果、シートの後端は反転ポイント301を、より確実に乗り越えることができる。また、反転搬送される際も、反転ポイント301を通過するときには、より確実に先端が持ち上げられるようになるので、シートSは反転ポイント301で引っかかることなく再搬送通路302へスムーズに案内され、反転時の安定性が増す。
【0049】
ところで、シートの種類によっては、シートのカールがシートの幅方向において発生する場合がある。このカールは、表裏の排出後の冷え方に差が出るほど大きくなり、またシートの種類による差が非常に大きい。そして、このような幅方向のカールが大きくなると、排紙積載部14において排出されたシートが整列できずに排紙積載性が悪化し、排紙積載部14から落下する場合がある。
【0050】
このように、シートの種類等によっては、定着後のシートSにファン10からの空気を当てると、シート表裏の冷え方に差ができ、カールが大きくなる可能性がある。つまり、カールによる不安定な反転を防止するためには強い吹き込みでシート後端を吹き上げる必要であるが、カールの向きによる排紙積載性の悪化を防ぐためには、シートの表裏の冷え方に差が出ないようにする必要がある。
【0051】
そこで、本実施の形態では、既述したように風路孔807を定着カバー806の両端部に設けている。これにより、シートSに風が当たる部分を少なくすることができるようになるので、シートの表裏の冷え方に差が出ないようにすることができ、この結果、幅方向のカールを少なくすることができ、シートの排紙積載性を向上させることができる。
【0052】
また、このように構成することにより、例えばプロセスカートリッジ6の温度をさらに下げるためファン10の風量を上げるようにしても、風路孔807は定着カバー806の両端部のみなので、排出後のシートのカールへの影響を少なくすることができる。
【0053】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0054】
図6は、本実施の形態に係る画像形成装置の一例である電子写真方式のプリンタの概略構成を示す図である。なお、図6において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0055】
図6において、15はプロセスカートリッジ6に近接して設けられた風向変更部材であり、この風向変更部材15により、ファン10からの吹き込んだ空気の向きを変更する。一方、風向変更部材15と風路孔807との間に位置する外装部材の一例であるプロセスカートリッジ6は、図7に示すように、カートリッジドア17を備えており、このカートリッジドア17には風向変更用のフェンス部材11が設けられている。
【0056】
そして、このようにカートリッジドア17にフェンス部材11を設けることにより、ファン10によりプロセスカートリッジ6に吹き付けられた空気の向きは、図7に示すように風向変更部材15によりフェンス11へ向かう方向に設定される。ここで、本実施の形態において、フェンス部材11は定着カバー806の幅方向中央部を中心として両端部が定着カバー806の風路孔807に向かって傾斜するような形状を有している。
【0057】
これにより、プロセスカートリッジ6に吹き付けられた空気は、ファン10とフェンス部材11との間に配された風向変更部材15によりフェンス部材11の頂点へ向かう。この後、フェンス部材11の頂点へ向かった空気は、フェンス部材11に沿って幅方向に2分された状態で定着カバー806の両端部に設けられた風路孔807へと導かれる。
【0058】
ここで、風路孔807を定着カバー806の両端部に設けた場合、既述したように吹き込みを強くすることができるが、空気を絞った場合、損失が大きく、小型のファンを使用する場合には、カールによる反転の不安定さを解消するに至らない場合がある。
【0059】
そこで、本実施の形態においては、既述したように風路孔807とファン10との間に風向変更部材15とフェンス部材11を設けるようにしている。これにより、ファン10からの吹き込まれた空気の損失を減らして風路孔807に空気を吹き込むことができるようになり、弱い吹き込みでも反転の安定性を高めることができる。
【0060】
このように、風路孔807とファン10との間に風向変更部材15とフェンス部材11を設け、ファン10から吹き込まれる空気の損失を減らすことにより、弱い吹き込みでも反転の安定性を高めることができる。この結果、ファン10の回転数を落とすことができ、電力の小消費、低騒音が達成できる。また、ファン10からの吹き込みが弱くても反転の不安定さを解決できるため、ファン10の小型化が可能となり、コストアップ、省スペース化が可能となる。
【符号の説明】
【0061】
1 プリンタ
1A プリンタ本体
3 再搬送部
5 画像形成部
6 プロセスカートリッジ
9 排紙部
10 ファン
11 フェンス部材
15 風向変更部材
17 カートリッジドア
301 反転ポイント
302 再搬送通路
306 シート排出通路
806 定着カバー
807 風路孔
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部にて形成されてシート上に転写されたトナー像を定着部により定着させてシートに画像を形成し、シートの両面に画像を形成する際には、片面に画像が形成されたシートを反転させて再度、前記画像形成部に搬送する画像形成装置において、
画像が形成されたシートを排出するシート排出通路と、
前記シート排出通路から分岐し、片面に画像が形成されたシートを反転させて前記画像形成部に向かわせる再搬送通路と、
前記画像形成部に着脱自在に設けられたプロセスカートリッジと、
前記プロセスカートリッジに空気を吹き付けて前記プロセスカートリッジを冷却するファンと、
前記ファンと、前記シート排出通路及び前記再搬送通路の分岐点の間に設けられ、前記ファンにより前記プロセスカートリッジに吹き付けられた空気を前記分岐点に向かわせる風路と、を備え、
前記分岐点を通過するシートを前記風路からの空気により前記再搬送通路の方向に移動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート排出通路に設けられた前記風路の吹き出し部と前記プロセスカートリッジとの間に、前記定着部の定着カバーを設け、
前記定着カバーに、前記プロセスカートリッジに吹き付けられた空気を前記吹き出し部に向かわせる風路孔を形成することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着カバーのシート搬送方向と直交する幅方向の両側端部に前記風路孔を形成することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ファンにより吹き付けられた空気を前記風路孔に向かわせるように前記プロセスカートリッジに形成されたフェンス部材と、
前記フェンス部材と前記ファンとの間に設けられ、前記ファンにより吹き付けられた空気を前記フェンス部材に向かわせる風向変更部材と、を備えたことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−197966(P2010−197966A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45938(P2009−45938)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】