説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置本体内に熱が篭りにくい画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体10の上方に設けられ原稿画像を読み取る画像読取部12と、この画像読取部12と画像形成装置本体10との間に区画形成された記録シートPの排紙空間Yと、画像形成装置本体10内に設けられ記録シートPに記録画像を形成する作像部11と、画像形成装置本体10の上部に設けられ、この画像形成装置本体10内の空間と排紙空間とを区画するカバー部材とを備えた画像形成装置100において、画像形成装置本体10内の空気を排気する為の排気孔26をカバー部材25に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置、又はそれらの機能を複合した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
この画像形成装置は、本体筐体と、原稿画像を読み取る画像読取部と、記録画像を形成する作像ユニット、書き込みユニット、転写ユニット、トナー補給ユニットなどの発熱する各ユニットを有した作像部とを備えている。この画像読取部は本体筐体の上方に設けられており、この画像読取部と作像部との間に、作像部にて記録画像の形成された記録シートが排出される排紙空間が区画されている。前記作像部の各ユニットは、本体筐体内部において積層配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置は、各ユニットがその本体筐体内に積層配置された状態で設けられているので本体筐体内に熱が篭り易く、この熱よって各ユニットに不具合が生じる虞がある。
【0005】
例えば、トナーは熱で固化するため、トナー補給ユニットのトナーボトル内のトナーが本体筐体内に篭った熱に拠り固化して、トナーが作像ユニットに供給されないなどの問題が生じる。このように、熱によって本体筐体内の各ユニットが意図しない過熱状態となると画像形成装置の正常な動作に支障をきたす虞があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、画像形成装置本体内に熱が篭りにくい画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の画像形成装置は、画像形成装置本体の上方に設けられ原稿画像を読み取る画像読取部と、この画像読取部と前記画像形成装置本体との間に区画形成された記録シートの排紙空間と、前記画像形成装置本体内に設けられ前記記録シートに記録画像を形成する作像部と、前記画像形成装置本体の上部に設けられ、この画像形成装置本体内の空間と前記排紙空間とを区画するカバー部材とを備えた画像形成装置において、
前記画像形成装置本体内の空気を排気する為の排気孔を前記カバー部材に設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記排紙空間に排出された記録シートを受ける前記カバー部材の受面以外の露出部分に前記排気孔が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の画像形成装置は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記受面より高い位置となる膨出部を前記カバー部材の露出部分に形成し、この膨出部に前記排気孔が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の画像形成装置は、請求項1〜3何れか1つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置装置本体の外壁に吸気孔を形成し、この吸気孔から外気を吸気する吸気ファンを設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の画像形成装置は、請求項1乃至請求項4いずれか1つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置本体の内部空間の空気を前記排気孔から排気する排気ファンを設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の画像形成装置は、請求項1乃至請求項5いずれか1つに記載の画像形成装置において、前記作像部は、出力画像を作像する作像ユニットと、この作像ユニットにトナーを供給するトナー補給ユニットを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像形成装置本体内の空気を排気する為の排気孔を画像形成装置本体のカバー部材に設けたので、画像形成装置本体内の高温の空気を排出でき、画像形成装置本体内に熱が篭りにくいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置の垂直断面の概略図である。
【図1A】図1の画像形成装置の画像読取部を不図示にした状態の外観斜視図である。
【図2】図1の画像形成装置のADFを取り外した状態の外観斜視図である。
【図3】図2の画像形成装置の画像読取部、レフトカバーおよびフロントカバーを取り除いた状態を示す図である。
【図4】図2の画像形成装置の画像読取部を取り外した状態を示し、排紙空間に記録シートが排紙された状態を示す斜視図である。
【図5】図3の画像形成装置の画像形成装置本体の内部空間とそこに配設されたトナー補給ユニットを示す図である。
【図6】図3の画像形成装置本体の内部空間とそこに配設された転写ユニットを示す図である。
【図7】図3の画像形成装置本体の内部空間とそこに配設された作像ユニットを示す図である。
【図8】図3の画像形成装置本体の内部空間とそこに配設された書込ユニットを示す図である。
【図9】図3の画像形成装置本体の内部空間とそこに配設された給紙ユニットを示す図である。
【図10】図3の画像形成装置本体の内部空間とそこに配設された駆動ユニットを示す図である。
【図11】図3の画像形成装置本体の内部空間とそこに配設された駆動ユニットを示す図である。
【図12】図5の左方から見た画像形成装置の側面図である。
【図13】図12のQ−Q線に沿う部分断面図である。
【図14】(a)画像形成装置の右側面図である。(b)(a)のT−T線に沿う部分断面図であり、図3のフロントカバーMF1内部を示す図である。
【図15】画像形成装置の左方から見た側面図であり、排紙している状態を示す図である。
【図16】図15の記録シートがカバー部材の第1凸部に覆った状態を示す図である。
【図17】図16の記録シートが排気孔からの排気により上方へ吹き上げられた状態を示す図である。
【図18】図17の記録シートが排紙トレイ部の受面に載置された状態を示す図である。
【図19】(a)実施例の他の例の画像形成装置の右側面図である。(b)(a)のU−U線に沿う部分断面図であり、フロントカバー内部を示す図である。(c)実施例の他の例の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、画像形成装置の実施例を図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0016】
図1A〜図11において右下は画像形成装置の前方、左上が後方、左下が左方、右上が右方を示している。
【0017】
本実施例の画像形成装置100は、複写機とプリンタとファクシミリの機能を備えた複合機として構成されている。
画像形成装置100は、図1に示すように、不図示の操作部と、画像形成を行う画像形成装置本体10と、この画像形成装置本体10の上部に設けられた原稿画像を読み取る画像読取部12(一部不図示)等を有している。
【0018】
この画像読取部12と前記画像形成装置本体10との間に記録シートPの排紙空間Yが区画形成されている。
<画像形成装置本体>
画像形成装置本体10は、図1〜図12に示すように、筐体部10Aと、筐体部10A内に設けられ記録シートPに記録画像を形成する作像部11と、筐体部10Aの上部に設けられ、この画像形成装置本体10内の空間HTと排紙空間Yとを区画するカバー部材25とを有している。画像読取部12は、支持体10Bおよび支持体10Cを介して画像形成装置本体10に支持されている。
【0019】
筐体部10Aの前面45には、開閉自在のフロントカバーMF2が設けられており、このフロントカバーMF2の下方位置には給紙カセット19A〜19Dが筐体部10A内に出し入れ可能に設けられている。
筐体部10Aの左側面46には、レフトカバーMLが設けられており、このレフトカバーMLには吸気孔29,29が左右一対形成されている。吸気孔29,29の位置に対応するレフトカバーMLの内側には吸気ファン27,27が設けられている(図3参照)。
吸気ファン27,27の回転により、外気が筐体部10A内の空間HTの転写ユニット16周辺に送り込まれるようになっている。
【0020】
一方、支持体10B内は、図1に示すように中空となっており、筐体部10A内と連通している。支持体10B内には、排紙ローラ14,14と排紙路13が設けられており、出力画像が定着された記録シートPが排紙ローラ14,14により後述のカバー部材25の排紙口47を介して排紙空間Yに排紙されようになっている。
また、支持体10Bの前面にはフロントカバーML1が設けられており、フロントカバーML1の内側には後述の吸気ファン31が設けられている。他方、支持体10C内も図1に示すように中空となっており、筐体部10A内と連通している。
<画像読取部>
画像読取部12は、自動原稿送り装置ADFと、この下部に設けられたスキャン台12Aを有している。
【0021】
スキャン台12Aは、内部に光源12aと、第1乃至第3のミラー12b,12c,12dと、結像レンズ12eと、光電変換素子の一例であるCCD12fとを有し、これらがスキャン台12Aに配置され、その上部にコンタクトガラスCが固定されている。
操作部(不図示)のプリントスタートキーが押下されると、自動原稿送り装置ADFの原稿台にセットされた原稿がコンタクトガラスC上に自動的に送り込まれて前記スキャン台12Aの上に載置される。コンタクトガラスC上に載置された原稿を図1に符号Dで示す。
【0022】
一方、光源12a及び第1ミラー12bと、第2及び第3ミラー12c,12dが図1の右方に移動し、光源12aからの光によって原稿Dが照明され、その反射光は第1乃至第3ミラー12b,12c,12dで反射し、結像レンズ12eを通ってCCD12fに至る。このようにして原稿画像がCCD12fに結像され、これが光電変換される。
<カバー部材>
カバー部材25は、図2〜図15に示すように、筐体部10A上壁を構成する閉塞壁部(外壁)25bと、閉塞壁部25bの右端部に連続形成されると共に支持体10Bの内壁を形成する内壁部25aとを有している。
前記排紙空間Yは、画像形成装置100の前側と左側の部分とが開放され、側方から排紙空間Y内にオペレータが手を差し入れることができるようになっている。
【0023】
(閉塞壁部)
カバー部材25の閉塞壁部25bは、排紙トレイ部44と排紙トレイ部44の後側に一体形成された第1凸部(膨出部)41を有している。第1凸部41は筐体状に膨出しており、平坦な上壁48を有している。第1凸部41は、画像形成装置100の支持体10Bの内壁部25aから筐体部10Aの左端近傍まで左右方向に延びている。
【0024】
第1凸部41の上壁48は、排紙トレイ部44より高位置に位置しており、この上壁48には複数の排気孔26,・・・(図13参照)が等間隔に形成されている。これらの排気孔26,・・・を介して筐体部10Aの空間HTと排紙空間Y、すなわち、筐体部10Aの内と外が連通している。
排紙トレイ部44の中央には左右方向にのびる筐体状の第2凸部(膨出部)42が形成されている。
【0025】
第2凸部42の左側部分の上面35が平坦に形成され、右側部分の上面が右に行くほど高さが低くなる傾斜面36となっている。
また、排紙トレイ部44は、第2凸部42の両側(前後)に形成された平面部40,43と、この平面部40の右に連続形成され且つ傾斜面36と同方向に傾斜した傾斜面39と、この傾斜面39の右に連続形成された平坦部38と、平面部43の右に連続形成され且つ傾斜面36と面一となって傾斜した傾斜面37とを有している。
そして、傾斜面36,37と平坦部38とが排紙された記録シートPの受面Rとなっており、排紙された記録シートPがスタックされる。
【0026】
傾斜面36,37により排紙された記録シートPが受面Rにスタックされた際にくずれて不揃いとならないようになっている。
この第2凸部42の上壁35とその両側の平坦部40、43とに、複数の排気孔26,・・・が等間隔に形成されている。上述した排気孔26,・・・の上方は、画像読取部12により覆われており異物が入らないように安全性が保たれている。
(支持体の内側壁)
一方、支持体10Bの内壁部25aにおいて、排紙トレイ部44の記録シートPをスタックする部分よりやや上位置の部分には、前記排紙トレイ部44に排紙するための排紙口47が設けられている。
【0027】
この排紙口47は前記第1凸部41の上壁48と略同一の高さ位置となっており、この排紙口47は第1凸部41の上壁48に排紙されないように図12に示すように画像形成装置100の前後方向で(図において左右方向で)位置をずらして設けられている。
これにより、第1凸部41の排気孔26からの排気で正常に排紙している記録シートPが吹上げられないようになっている。
<作像部>
一方、図示した作像部11は、筐体部10A内部に設けられており、像担持体としての中間転写ベルト16aを有する転写ユニット16、中間転写ベルト16aに作像する作像ユニット17と、この作像において静電潜像を形成する書込ユニット18と、出力用の記録シートPを二次転写装置20と中間転写ベルト16a間へ給紙する給紙ユニット19と、作像ユニット17へトナーを供給するトナー補給ユニット21と、各ユニットを駆動させる駆動ユニット23(図11参照)と、中間転写ベルト16aに作像された画像を中継する二次転写装置20等とを有している。
作像部11を構成する各ユニットは積層された状態で筐体部10A内に配設されている。
【0028】
(転写ユニット)
転写ユニット16は、筐体部10A内に回転自在に支持された複数の支持ローラ16b,16c,16dと、これら支持ローラ16b,16c,16dに掛け渡された中間転写ベルト16a等とを有している。
この中間転写ベルト16aは、所定温度以上となると膨張する熱影響部材である。この中間転写ベルト16aは、何れか1つの支持ローラ(例えば支持ローラ16b)が回転駆動することにより図1において反時計回り方向に走行する。
【0029】
(作像ユニット)
作像ユニット17は、転写ユニット16の各支持ローラ16c,16d間に位置する中間転写ベルト16aの下方に配置されており、所謂タンデム作像装置である。
作像ユニット17は、中間転写ベルト16aの走行方向に並列配置したイエロー画像形成手段17Y、シアン画像形成手段17C、マゼンタ画像形成手段17M、ブラック画像形成手段17Kを有している。
この各画像形成手段17Y〜17Kは、転写ユニット16の中間転写ベルト16aに面接触した感光体ドラム17Aと、この感光体ドラム17Aに帯電させる熱影響部材としての帯電装置(不図示)と、感光体ドラム17Aに接して書込ユニット18によって形成された感光体ドラム17Aの静電潜像をトナー像とする現像装置等とを有している。
【0030】
(書込ユニット)
書込ユニット18は、各感光体ドラム17Aの表面に静電潜像を形成する露光装置であり、作像ユニット17の下方に配置されている。
この書込ユニット18は、レーザ書き込みユニット(不図示)を有しており、前記画像読取部12で読み取られた画像情報に対応して光変調されたレーザ光を前記レーザ書き込みユニットから出射し、このレーザ光の照射により感光体ドラム17A表面が露光される。この露光により感光体ドラム17A上に静電潜像が形成される。
【0031】
(二次転写装置)
二次転写装置20は転写ユニット16と隣り合う位置に配設されている。二次転写装置20は支持ローラ20a,20b,20c間に掛け渡された無端ベルト20dを有しており、無端ベルト20dは中間転写ベルト16aに対してして支持ローラ20aにより押圧状態で配置されていて、中間転写ベルト16a上に1次転写された画像を記録シートP上に2次転写するように構成されている。
(給紙ユニット)
一方、給紙ユニット19の給紙カセット19A〜19Dには、例えば転写紙又は樹脂シートなどから成る記録シートPがそれぞれ収容され、いずれかの給紙カセット19A〜19D内の最上位記録シートPが矢印E方向に送り出され、この記録シートPが、無端ベルト20dと、二次転写ローラ20eとの間を通るとき、二次転写装置20の無端ベルト20d上の重ね合せトナー像が記録シートPに一括して転写される。トナー像転写後の無端ベルト20d表面に付着する転写残トナーは、クリーニング装置22によって除去される。
(定着装置)
二次転写装置20の上方には、すなわち、画像形成装置本体10の筺体部10Aの支持体10Bのやや下方には、前記記録シートP上に2次転写された画像を記録シートPに定着させる定着装置24が配設されている。
【0032】
この定着装置24は発熱部材である定着ローラ24a及びこれに圧接された無端ベルト(不図示)を有しており、前記記録シートP上に転写されたトナー像を熱と圧力の作用よって定着させる。
二次転写装置20及び定着装置24の下方には記録シートPの両面に画像形成を行う際に用いられるシート反転装置(不図示)が配設されている。
二次転写装置20で出力画像が定着された記録シートPは排紙ローラ14,14により排紙空間Yへ排紙される。
【0033】
(駆動ユニット)
駆動ユニット23(図10,図11参照)は、不図示のギア機構を有し、このギア機構を介して作像ユニット17の感光体ドラム17A、帯電装置の帯電部材(帯電ローラや帯電ブラシ),クリーニング装置22の各部材(クリーニングローラやクリーニングブラシ)などの被駆動部材を駆動する。
【0034】
(トナー補給ユニット)
トナー補給ユニット21は、例えば特許文献2に示すトナー補給装置であり、トナー搬送手段を有し、イエロー,シアン,マゼンダ,ブラックの各色のトナーボトル21Y,21C,21M,21K(図1参照)を保持している。
トナー補給ユニット21は、前記トナー搬送手段によって作像ユニット17の現像装置にトナーを搬送して補給する。
上述のように作像部11は、記録シートPにトナー像より成る記録画像を形成し、トナー像が形成される像担持体を少なくとも具備するものである。
<吸気ファン31>
吸気ファン31(図14参照)は定着装置24の定着ローラ24aの近傍に位置しており、吸気ファン31を覆うフロントカバーMF1の裏面には、図14に示すように、複数のリブ32a,32v,32hが設けられている。
このうちリブ32aは、吸気ファン31を囲むとともに下方へ拡開するように形成されている。また、フロントカバーMF1の下部にリブ32A(以下、取込壁32Aとする。)が設けられている。取込壁32Aには複数のスリット33Aが左右方向で(図14において)等間隔に形成されている。
【0035】
また、フロントカバーMF2は上壁32Bを有しており、この上壁32Bと取込壁32AとによりフロントカバーMF1,2間に隙間Sが形成されている(図14(a)参照)。
吸気ファン31が回転すると、上記隙間Sおよび取込壁32Aのスリット33Aを介して外気が筐体部10Aの内部に取り込まれる。隙間Sは、フロントカバーMF1とフロンントカバーMF2との間に形成されており、隙間Sの離間距離が狭く設定されていることにより、外気を吸気する部分とは認識されにくく、意匠性が損なわれない。
<排気ファン34>
図3に示すように、カバー部材25の第1凸部41の上壁48裏面には、送風方向が上側となるように排気ファン34が固定されている。この排気ファン34により、第1凸部41の上壁48の排気孔26を介して筐体部10A内の空気を排紙空間Yに排気できるようになっている。
【0036】
排気ファン34は、画像形成装置100の左右方向に対して、カバー部材25の排紙口47から排紙トレイ部44に排紙された記録シートPの先端部近傍となるように配置されている。また、排気ファン34の取付位置は、トナー補給ユニット21の近傍となっている。
また、排気ファン34は、排紙トレイ部44より高位置に設けられているので、排気ファン34の送風により排紙空間Yの上部に滞留する熱気を排紙空間Yの外へ送風しやすいものとなっている。
上述した画像形成装置100をファクシミリ又はプリンタとして使用することもでき、このときの動作はそれ自体周知の技術から明らかであるため、その説明は省略する。
以下、本実施例の画像形成装置の作用・効果を説明する。
画像形成装置100を駆動させると筐体部10A内の各ユニットが駆動して発熱し各ユニット周辺の空気が加熱され温度上昇していく。筐体部10A内では各ユニットが積層されているので、最下層のユニット(給紙ユニット19)から上層のユニットへと熱が移動し、上層にいくほど高温となる。つまり、筐体部10A内の上層のユニットは過熱状態となりやすい。
【0037】
本実施例では、筐体部10Aの上壁を構成するカバー部材25の閉塞壁部25bに筐体部10A内と外を連通させる排気孔26を設けたので、筐体部10A内の上層に移動した高温の空気はこの排気孔26を介して熱による自然対流により排紙空間Yへ排気され筐体部10A内の熱はこの排気とともに排熱される。
このため、各ユニット(トナー補給ユニット21、転写ユニット16、作像ユニット17、書込ユニット18、二次転写装置20、給紙ユニット19、定着装置24)が冷却され過熱状態となることがない。このため、例えば筐体部10A内の各プラスチック部品の熱劣化が防止される。
また、トナー補給ユニット21では、その周囲が過熱状態とならないため、トナー補給ユニット21のトナーが固化することが防止できる。これにより、例えば作像ユニット17の現像装置へのトナー供給などの動作において、正常な動作に支障をきたす虞がない。
転写ユニット16では、その周囲が過熱状態とならないため、例えば中間転写ベルト16aが膨張して正常な転写がなされないという不具合が生じる虞がなく、正常な転写が確保される。
【0038】
作像ユニット17では、その周囲が過熱状態とならないため、例えば現像装置のトナーが上記熱に拠り凝固して現像ムラが生じて出力画像の品質が劣化してしまう虞がなく、正常な画像形成が確保される。
書込ユニット18では、その周囲が過熱状態とならないため、書き込みユニットの各部材の熱膨張を抑制することができる。例えば、熱膨張が生じると、書込ユニット18の各部材間での熱膨張率の差によって各部材間の位置ズレ等が生じるが、このような虞がなく正常な書き込みが確保される。
定着装置24では、その周囲が過熱状態とならないため、本来記録シートPに定着されるべきトナーが定着ローラ24aの表面にオフセットし、それ以降定着装置24へ送られる記録シートPに付着して汚してしまうという画像問題(ホットオフセット)が生じる虞がない。
【0039】
給紙ユニットで19は、その周囲が過熱状態とならないため、つまり温度上下動が抑制されるので、例えば、記録シートPに巻き癖が出にくいものとなる。この巻き癖による紙詰まりなどのリスクが低減される。
駆動ユニット23では、その周囲が過熱状態とならないため、例えば歯車の線膨張変化によって軸間距離が本来の位置から移動することがない。また、この熱膨張によって起こり得る歯車の磨耗を抑制できるので、動力の連動の効率が損なわれることがない。
また、前記吸気ファン27,27により、筐体部10A内へ外気を吸気して筐体部10Aの内部空間の各ユニットを冷却することができる。
【0040】
筐体部10A内に外気が吸気されると同量のエアーが筐体部10A内からカバー部材25の排気孔26を介して強制排気される。このため、熱による自然対流に加えて換気効率が高まり、各ユニットの冷却効率が高まる。
図15に示すように、例えば、記録シートPの排紙中に何らかの力が働いて排紙された記録シートPが、カバー部材25の第1凸部41上方へ移動した場合、排紙空間Yが画像読取部12のスキャン台12A下面(図1参照)と画像形成装置本体10の支持体10Bと支持体10Cに囲われているので、この記録シートPは排紙空間Yの外へ出てしまうことがない。
【0041】
そして、図16に示すように、記録シートPの一部が第1凸部41の上壁48の上へ移動した場合、排気ファン34によって、図17に示すように、第1凸部41の排気孔26から吹き出すエアーにより記録シートPの一部が下方から吹き上げられて、この記録シートPが排紙トレイ部44の受面R側へ移動する。そして、図18に示すように、排紙トレイ部44に受面Rに載置される。
このように、後方(図15〜図18において左側)へ移動した記録シートPにより排気孔26が記録シートPで覆われることがないので、排気孔26が塞がれて放熱効率が低下してしまうことがない。また、記録シートPの排紙位置がずれての不整いとなることが抑制される。
請求項2以降の画像形成装置の作用、効果を以下に説明する。
【0042】
請求項2の画像形成装置によれば、排紙された記録シートによって排気孔が覆われることがないので、確実に排気とともに放熱することができる。
【0043】
請求項3の画像形成装置によれば、カバー部材に形成された記録シート用の排紙トレイ部より高位置のカバー部材部分に排気孔が設けられているので、排気孔から吹き出すエアーによって排紙トレイ部に排紙された記録シートが不整列となることを防止することができる。
【0044】
請求項4の画像形成装置によれば、吸気ファンにより画像形成装置本体の内部に外部の冷たい空気を強制的に吸い入れることにより、画像形成装置本体の内部の冷却効果を高めることができる。
【0045】
請求項5の画像形成装置によれば、画像形成装置本体の内部の高温の空気を強制的に排出することにより、画像形成装置本体の内部の冷却効果を高めることができる。
【0046】
請求項6の画像形成装置によれば、トナー周辺の高温の空気を排気することによりトナーの固化を防ぐことができる。
【0047】
請求項7の画像形成装置によれば、転写ユニット、書込ユニット、給紙ユニットまたは駆動ユニット周辺の高温の空気を排出することにより、冷却効果を高めることができる。
図19に実施例の他の例を示す。この実施例の他の例では、前記フロントカバーMF2の上壁32BにフロントカバーMF1の取込壁32Aのスリット33Aと同じスリット33Bを形成し、吸気ファン31が設けられているフロントカバーMF1内の空間とこれより下方のフロントカバーMF2内の空間とを連通させる。
【0048】
そして、このスリット33BをフロントカバーMF2のスリット33Aと上下方向で一致させ、フロントカバーMF2の側部32Cに別のスリット33Cを形成してエアーの流れを変える(図14、図19比較参照)。
吸気ファン31の回転により負圧が生じ、外気がフロントカバーMF2のスリット33CからフロントカバーMF2内に取り込まれる。そして、この取り込まれた外気は、スリット33B,33Aを介してフロントカバーMF1内に取り込まれ、筐体部10A内に取り込まれる。
【0049】
この他の例によれば、外気をこのフロントカバーMF1内に取り込む際に、フロントカバーMF1のスリット33AとフロントカバーMF2のスリット33Bが上下方向で一致しているので、煙突のようにエアーを導く煙突効果により外気がフロントカバーMF1内へ吸い込まれやすくなる。
さらに、図19(c)に上記の他の例の別例を示す。この別の例では、フロントカバーMF1とフロントカバーMF2の各スリット33A,33Bの各位置を本体筺体10に用いられるネジ等の部品が通過できない程度の隙間に設定し、各スリット33A,33Bの左右方向にずらして配置する。
【0050】
これの別の例によれば、何らかの理由に拠り前記部品が取り付け箇所から外れてもこの部品が取込壁32A,33Aに引っ掛かるので紛失しにくいものとなる。
以上、本発明に係る画像形成装置を上記実施形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0051】
HT 空間
MF1,2 フロントカバー
ML レフトカバー
P 記録シート
R 受面
S 隙間
Y 排紙空間
10 画像形成装置本体
10A 筺体部
10Aa 上壁
10B,10C 支持体
11 作像部
12 画像読取部
21 トナー補給ユニット
23 駆動ユニット
24 定着装置
25 カバー部材
25a 内壁部
25b 閉塞壁部
26 排気孔
27,31 吸気ファン
34 排気ファン
41,42 第1凸部,第2凸部
44 排紙トレイ部
47 排紙口
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2002−354173号公報
【特許文献2】特開2002−278237号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体の上方に設けられ原稿画像を読み取る画像読取部と、この画像読取部と前記画像形成装置本体との間に区画形成された記録シートの排紙空間と、前記画像形成装置本体内に設けられ前記記録シートに記録画像を形成する作像部と、前記画像形成装置本体の上部に設けられ、この画像形成装置本体内の空間と前記排紙空間とを区画するカバー部材とを備えた画像形成装置において、
前記画像形成装置本体内の空気を排気する為の排気孔を前記カバー部材に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記排紙空間に排出された記録シートを受ける前記カバー部材の受面以外の露出部分に前記排気孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受面より高い位置となる膨出部を前記カバー部材の露出部分に形成し、
この膨出部に前記排気孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置装置本体の外壁に吸気孔を形成し、この吸気口から外気を吸気する吸気ファンを設けたことを特徴とする請求項1〜3何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置本体の内部空間の空気を前記排気孔から排気する排気ファンを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記作像部は、出力画像を作像する作像ユニットと、この作像ユニットにトナーを供給するトナー補給ユニットを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−210809(P2010−210809A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55392(P2009−55392)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】