説明

画像形成装置

【課題】最適な搬送順序を判断して記録紙の搬送を行うことで記録紙のカール防止、低減と生産性向上が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像データに基づいて画像を記録するための記録紙を搬送する第1の搬送手段により搬送された記録紙に画像を転写する画像転写手段と、画像転写手段により画像を転写された記録紙を加熱及び加圧力にて定着する定着手段により画像を定着された記録紙を排出部または記録紙の表裏を反転させる用紙反転手段に搬送するかを判断して搬送を制御する搬送制御手段と、搬送制御手段により制御された搬送先に記録紙を搬送する第2の搬送手段と、画像データ情報を取得して記憶するデータ記憶手段に記憶された画像データ情報に基づいて画像毎に記録紙へ転写された場合のカール量を推定するカール量推定手段とを備え、搬送制御手段はカール量推定手段により推定されたカール量に基づいて記録紙の搬送先と搬送順序とを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙のカールを防止、低減する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターや複写機などの画像形成装置においては、感光ドラムに形成された静電潜像にトナーを付着させ、最終的にそれを記録紙へ転写し、そして、記録紙は画像形成装置に備えられた定着装置に搬送され、定着装置においてトナーを溶融させることにより記録紙にトナーを定着させるように構成されている。
【0003】
一般的に電子写真方式の画像形成装置に備えられた定着装置は、記録紙の転写された面に向かって加熱ローラが配置され、その逆側の面に向かって加圧ローラが配置されている。加熱ローラは、ヒーターを内部に有し、加圧ローラは、記録紙を加熱ローラに対して圧接させることで、圧力と加熱によって記録紙上のトナーを融解させ、記録紙へ固着させる。
【0004】
しかしながら、加熱ローラ及び加圧ローラはそれぞれ記録紙の片方だけの面に対して加熱及び圧力を加えるため記録紙がカールしてしまい、品質を大きく損ねる場合があった。
【0005】
これについては、一般的に以下のような理由が知られている。第一の理由として、トナーの収縮が挙げられる。記録紙へ転写されたトナーが融解することにより収縮し、特にトナー表面と、トナーと記録紙の境界面との記録紙の各々収縮率の差や加熱差などにより、収縮量が異なるためにカールが発生してしまう場合がある。特にトナーがより多く全面的に転写された場合カールの度合いは大きくなる傾向にある。
【0006】
第二の理由として、含水分量の蒸発が挙げられる。記録紙の含水分量が加熱によって蒸発し、特に加熱された面側の方が多く蒸発するために、加熱された面と逆側の面で収縮差が生まれてカールしてしまう。また特に装置が設置された環境の湿度が高い場合や、気温が低い場合などにカールが大きくなる傾向がある。さらに記録紙の厚さが厚くなるにしたがって加熱された面と逆側の面の含水分量の差が顕著になるためにカールがより深刻となる場合がある。
【0007】
第三の理由として、記録紙への圧力が挙げられる。例えば搬送路が直線ではない場合、搬送上を進む上で圧力が記録紙にかかりカールしてしまう場合がある。これは搬送路曲度や記録紙の紙質などによるものである。
【0008】
このような問題に対して例えば以下のような解決策が提案されている。例えば特許文献1においては、表面硬度が固いカール矯正ローラと表面硬度が柔らかい加圧ローラを配置し、そのニップを記録紙が通過する際にカールする方向とは逆の方向へ圧力を加えるという発明が開示されている。しかし、表面硬度の差を極度に設けると、加圧ローラ側に矯正ローラのニップの痕が残ってしまい、搬送不良や異音が発生する場合がある。この方法により高いカール矯正効果を望んだ場合には、上記のような問題が発生してしまう場合がある。また、上記のような圧力加減機構を設置した場合には、その圧力加減機構分のコストがかかるという問題があった。
【0009】
また特許文献2においては、画像密度によってカールの度合いを推測し、それに基づいて加熱ローラと加圧ローラの周速度差を変更しカールする方向とは逆の方向へ圧力をかけるという発明が開示されている。しかしながら加熱ローラと加圧ローラの周速度差を出すことはモータやクラッチが専用で必要になり低廉化には好ましくない。また周速度を大きくした場合にはローラ対するストレスが強くなり部品耐久性が問題となる場合もある。
【0010】
また特許文献3においては、一時的に記録紙を貯留する貯留トレイを配置し、定着器を通した記録紙を貯留トレイ排紙し徐々に冷却するという発明が開示されている。しかし、貯留トレイを配置する空間と、その貯留トレイそのものを設置する必要があるという問題があった。
【0011】
また特許文献4においては、記録紙へトナーを転写し、定着部を通過させた後、反転部を使用して再度定着部を通過させ、その際反転部を通過させた記録紙には画像を転写させないという発明が開示されている。しかしながら、記録紙を反転させ、二度定着器を通過させることで、記録紙両面に加熱と加圧が施されカールが軽減されることは広く知られているが、片面印刷の時に全ての記録紙に対してこの手段を用いた場合、片面印刷であるにもかかわらず反転部を使用するため生産性を大幅に損ねるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、最適な搬送順序を判断して記録紙の搬送を行うことで記録紙のカール防止、低減と生産性向上が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、画像データに基づいて画像を記録するための記録紙を搬送する第1の搬送手段と、第1の搬送手段により搬送された記録紙に画像を転写する画像転写手段と、画像転写手段により画像を転写された記録紙を加熱及び加圧力にて定着する定着手段と、定着手段により画像を定着された記録紙を排出部または記録紙の表裏を反転させる用紙反転手段に搬送するかを制御する搬送制御手段と、搬送制御手段により制御された搬送先に記録紙を搬送する第2の搬送手段と、画像データ情報を取得して記憶するデータ記憶手段と、データ記憶手段に記憶された画像データ情報に基づいて画像毎に記録紙へ転写された場合のカール量を推定するカール量推定手段と、を備え、搬送制御手段は、カール量推定手段により推定されたカール量に基づいて記録紙の搬送先と搬送順序とを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、最適な搬送順序を判断して記録紙の搬送を行うことで記録紙のカールを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る動作のフローチャートを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る動作を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る動作のタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る説明を簡略化するために以下に述べる条件とする。まずホストコンピュータとの通信に必要とする時間と、ホストコンピュータから画像情報が送信され、装置のRAM23に格納されるまでの時間は考慮しないものとする。これは昨今の通信I/F(LANローカルエリアネットワークやUSBユニバーサルシリアルバスなど)の性能向上はめざましく通信に必要とする時間は装置が印字動作する時間と比べ非常に少ないため、事実上ほとんど問題とならないためである。またさらに簡略化するために、後述の実施形態の印刷動作はブラック(Bk)色の一色のみとする。多色の場合は色毎のトナー画像を生成するのみなので特に変化は無いと考えられる。また白紙画像のデータ量は考慮しないこととする。それは一般的に次のいずれかが当てはまるためである。画像処理部27では白紙画像出力モードを持っており、RAM23に白紙画像が格納されていなくとも白紙画像を出力できる。もしくは、RAM23に白紙画像を生成したとしても、白紙画像は極めて単純な画像であるため画像圧縮をした場合、極めて小さい画像サイズとなるため事実上ほぼ無視できるからである。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。図1に示すように、転写ベルト5に沿って各色のAIOカートリッジ(6Bk、6M、6C、6Y)が並べられた構成を備えるものであり、所謂、タンデムタイプといわれるものである。転写ベルト5は図1でいうと反時計回りに回転し、回転方向の上流側から順に、複数のAIOカートリッジ(電子写真プロセス部)6Bk、6M、6C、6Yが配列されている。これら複数のAIOカートリッジ6Bk、6M、6C、6Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。AIOカートリッジ6Bkはブラックの画像を、AIOカートリッジ6Mはマゼンタの画像を、AIOカートリッジ6Cはシアンの画像を、AIOカートリッジ6Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。
【0018】
以下の説明では、AIOカートリッジ6Bkについて具体的に説明するが、他のAIOカートリッジ6M、6C、6Yは、AIOカートリッジ6Bkと同様であるので、その画像形成部6M、6C、6Yの各構成要素については、画像形成装置6Bkの各構成要素に付したBkに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0019】
転写ベルト5は、回転駆動される2次転写駆動ローラ7と転写ベルトテンションローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。この2次転写駆動ローラ7は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、2次転写駆動ローラ7と、転写ベルトテンションローラ8とが、転写ベルト5を移動させる駆動手段として機能する。
【0020】
画像形成部6Bkは、感光体としての感光体9Bk、この感光体9Bkの周囲に配置された帯電器10Bk、露光器11、現像器12Bk、クリーナーブレード13Bk、等から構成されている。露光器11は、各AIOカートリッジ6Bk、6M、6C、6Yが形成する画像色に対応する露光光であるレーザ光14Bk、14M、14C、14Yを照射するように構成されている。
【0021】
画像形成に際し、感光体9Bkの外周面は、暗中にて帯電器10Bkにより一様に帯電された後、露光器11からのブラック画像に対応したレーザ光14Bkにより露光され、静電潜像を形成される。現像器12Bkは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体9Bk上にブラックのトナー画像が形成される。
【0022】
このトナー画像は、感光体9Bkと転写ベルト5とが接する位置(一次転写位置)で、一次転写ローラ15Bkの働きにより転写ベルト5上に転写される。この転写により、転写ベルト5上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体9Bkは、外周面に残留した不要なトナーをクリーナーブレード13Bkにより払拭された後、次の画像形成のために待機する。
【0023】
以上のようにして、AIOカートリッジ6Bkでブラックのトナー画像を転写された転写ベルト5は、転写ベルト5によって次のAIOカートリッジ6Mに搬送される。AIOカートリッジ6Mでは、AIOカートリッジ6Bkでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体9M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が転写ベルト5上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0024】
転写ベルト5は、さらに次のAIOカートリッジ6C、6Yに搬送され、同様の動作により、感光体9C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体9Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、転写ベルト上に重畳されて転写される。こうして、転写ベルト5上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された転写ベルト5は、二次転写ローラ16の位置まで搬送される。
【0025】
なお画像形成に際して、ブラックのみのモノクロ印刷の場合は一次転写ローラ15M、一次転写ローラC、一次転写ローラYは、それぞれ感光体9M、感光体9C、感光体9Yから離間された位置に退避し、前述の画像形成プロセスをブラックの場合のみ行なう。
【0026】
画像形成時の用紙搬送動作に際して、給紙トレイ1に収納された用紙4は、最も上のものから給紙ローラ2を反時計回りに回転駆動することにより順に送り出され、レジストローラ3位置にて待機する。レジストローラ3の駆動開始は、前記の転写ベルト5により搬送されたトナー画像と二次転写ローラ16上で、トナー画像と用紙4の位置が重なり合うようなタイミングで行なわれる。(以下特に断らない限り、この二次転写位置を転写部、転写位置と呼ぶ)この時レジストローラ3は反時計方向に回転駆動することで用紙4を送り出す。
【0027】
レジストローラ3にて送り出された用紙4は、二次転写ローラ16にて転写ベルト5上のトナー画像を用紙4に転写した後、定着器20にてトナー画像を熱および圧力にて定着し、反時計回りに回転駆動された排紙ローラ18にて画像形成装置の外部に排紙される。(以下この排紙動作を標準排紙と呼ぶ)
【0028】
両面印刷を行なう場合は、用紙4が排紙ローラ18を通過する手前で、排紙ローラ18を時計回りに回転駆動し、用紙4を両面搬送経路に排紙する。(以下この排紙動作を両面排紙と呼ぶ)両面搬送経路に搬送された用紙4は両面ローラ19を経由し、再びレジストローラ3まで搬送される。レジストローラ3に到達した用紙4は再びレジストローラ3から再給紙され、二次転写ローラ16にて先ほどと逆側の用紙面にトナー画像を転写後、定着器20にてトナー画像を熱および圧力にて定着し、反時計回りに回転駆動された排紙ローラ18にて画像形成装置の外部に排紙することも可能である。
【0029】
定着ローラ21には分離爪(図示せず)が装着されており、分離爪が記録紙と定着ローラとの間に入り込むことによって、記録紙が定着ローラに巻きつくのを防いでいる。
【0030】
図2は、本実施形態の画像形成装置の概略電気系統図である。CPU28は、本実施形態の画像形成装置全体を制御する中央演算処理ユニットである。フラッシュROM22は、CPU28で実行される命令コードを記憶する書き換え可能なROMである。RAM23は、ソフト制御に必要なデータおよび画像情報を一時記憶することができる記憶装置である。
【0031】
通信制御部26は外部のホストコンピュータ(図示せず)と相互に通信が可能であり、ホストコンピュータからの印刷要求および画像データを受信、RAM23上に展開することができる。またCPU28は通信制御部26を通じてホストコンピュータへユーザへの操作指示の表示を行うことが出来る。書き込み制御部24はRAM上に展開されている画像データを書き込み信号に変換することが出来、露光器11に対して書き込み信号を送信して、各色の画像に対応した静電潜像を感光体9上に作成することができる。また書き込み制御部は最初色の静電潜像生成終了後(図1の構成ではBk色静電潜像生成終了後)、次の出力画像を設定しておけば適切な休止期間をおいて次の画像出力を開始するしくみとなっている。画像処理部27はRAM上に展開された画像に対してCMYK分離や画像の回転、圧縮伸長などの画像処理をすることが出来、また白紙画像(全ての画素が白である画像)を作り出すこともできる。本文では最初色の静電潜像生成開始をKFgate信号のアサートと表現しており、最初色の静電潜像生成終了をKFgate信号のネゲートと表現している。
【0032】
モータドライバ25はCPU28の指示にしたがって各色感光体9、各色現像器12、転写ベルトテンションローラ8、ニ次転写駆動ローラ7、二次転写ローラ16、給紙ローラ2、両面ローラ19、排紙ローラ18に繋がる各モータ(図示せず)を自在に回転、停止できるだけでなく、カム形状の機構(図示せず)により各色感光体9と転写ベルト5を接触、離間を自在に変更できる。
【0033】
図3は本発明の実施形態の係るCPU28が実行する命令をフローチャート化したものである。
【0034】
ここで図中の記号を以下のように定める。Dは両面搬送経路に滞留可能な記録紙の数+1を意味する定数である。dは両面搬送経路に滞留させている記録紙の数を意味する変数である。QはRAM23上に存在する画像をキューイングするキュー(FIFO)である。
【0035】
最初に、各種変数やフラグを初期化(ステップS2)する。次にホストコンピュータから送信される印刷要求の受信を待ち(ステップS3)、受信しない場合(ステップS3、NO)は、判断を繰り返す。受信した場合(ステップS3、YES)は、次の2つの条件を満たすか判断(ステップS4)する。1つは、次の画像を受信して、RAM23に格納ができるかどうか判断する。つまりRAM23の空き容量が画像1ページ分の情報量を満たすどうかと同値である。本実施形態では画像1ページ分の情報量はあらかじめ判明しているものとしている。例えばホストコンピュータは非圧縮で画像情報を送信する場合などである。仮に圧縮画像をホストコンピュータから受信する場合は最悪圧縮率を想定し、それ以上のRAM23の空きを判断することや、あらかじめ画像サイズをホストコンピュータに照会するなどの方法で判断することができる。2つ目は、両面搬送経路に記録紙を滞留させることができるかどうか判断する。つまりd<Dを満たすかどうかと同値である。
【0036】
2つの条件を満たした場合(ステップS4、YES)は、ホストコンピュータに画像転送要求を送信(ステップS5)し、ホストコンピュータに画像転送要求の返信内容(画像の情報)を判断する(ステップS6)。画像が受信できない場合(ステップS6、NO)はジョブの終了と判断し、ジョブエンドフラグをON(ステップS20)にする。ステップS20はステップS6においてホストコンピュータへの画像転送要求に対して次画像なしの返信があった場合に実行するステップである。
【0037】
画像が受信できる場合(ステップS6、YES)は、画像(これを画像nとする)を受信して画像をRAM23に格納し、受信した画像を転写した場合許容できるカールかどうか判断(ステップS7)する。予想されるカール量が許容できる場合(ステップS7、YES)は、画像キューQに画像nをエンキューする。ここでカール量の判定方法は様々であり、装置の構成や画像の印字率、気温、湿度、紙質、用紙長などにも左右されるが実験等により一定条件のもと予想することは容易である。経験上、画像の印字率が最も強く影響することが知られているので、画像情報を受信した時点で十分正確に判断することができる。カール量の判定方法は、例えば参考文献5などに開示されている。どの程度までのカール量まで許容できるかは装置の構成や目標とする印刷品質による。本実施形態ではある一定の値を用いている。
【0038】
画像nのカール量が許容できない場合(ステップS7、NO)は、画像nを転写するであろう記録紙が二回定着器20を通過させるように両面搬送経路に排紙させる。また両面搬送経路の滞留用紙の数が増えるため変数dを1増加させる(ステップS8)。この際画像nは第二面に転写するため、第一面に転写する画像(出力画像)は白紙画像に設定(ステップS9)する。無転写モードを持つ装置、構成である場合は無転写モードを用いてもよい。画像nは画像キューQにエンキューされ出力待ち画像の順序に並ぶ(ステップS10)。次にFgate信号がネゲートに変化するまで待つ(ステップS11)。これは次画像が出力可能となるまで待つステップである。
【0039】
ステップS4〜ステップS12は、この様にしてホストコンピュータから転送される画像を出来る限りRAM23に格納し、その間カール量が許容できない画像の数だけ両面搬送経路に記録紙を滞留させるステップ群である。
【0040】
次にステップ4で2つの条件を満たさない場合(ステップS4、NO)は、画像キューQが空かどうかを判断(ステップS13)し、空である場合(ステップS13、YES)は、ジョブを終了する(ステップS22)。空でない場合(ステップS13、NO)は、画像キューQから画像をデキューし、デキューされた画像を画像lとする(ステップS14)。
【0041】
画像lに裏面フラグがあるかどうかを判断(ステップS15)し、裏面フラグがない場合(ステップS15、NO)は、本体給紙トレイから標準排紙を行い、なおかつ出力画像は画像lを設定する(ステップS16)。ステップS4〜ステップS12で示すように、裏面フラグがない画像はカール量が許容値以内であるため記録紙が定着器20を二度通過する必要は無い。一方、裏面フラグがあった場合(ステップS15、YES)は、両面搬送経路から再給紙をし、標準排紙を行い、なおかつ出力画像は180度回転した画像lを設定する(ステップS17)。ステップS4〜ステップS12に示すように、裏面フラグがある画像はカール量が許容値以上であるため、すでに一度定着器20を通過している記録紙に転写する必要がある。したがって両面搬送経路に滞留させている記録紙を再給紙し、その再給紙した記録紙に対して画像の転写を行うことでカールを低減させる事が出来る。
【0042】
次にFgate信号がネゲートに変化するまで待つ(ステップS18)。これは次画像が出力可能となるまで待つステップである。そして出力済みの画像lを削除し(ステップS19)、RAM23の空き容量を増やす。次にジョブエンドフラグの状態を判断(ステップS21)し、ジョブエンドフラグがONになっている場合(ステップS21、YES)は、ステップS13〜ステップS19を実行する。ジョブエンドフラグがOFFの場合は、ステップS4から繰り返す。
【0043】
次に、具体的な説明をするために以下の条件で印刷要求があった場合の装置の動作を説明する。印刷要求としては片面3枚印刷である。3ページ目画像のみ高印字率のため、カール量は許容値以上とする。両面搬送経路に滞留可能な記録紙の数は1で、RAM23は2ページの画像情報の蓄積が可能である。
【0044】
図4は、上記の条件で図3のフローチャートを実行した場合において、画像形成装置とホストコンピュータとの通信のやりとり、及び画像形成装置の出力画像と給紙、排紙の動作を説明するものである。図4に示す様にして3ページ目画像は2度定着器20を通過している記録紙に出力される。
【0045】
図5は、図4に示した動作のタイミングチャートである。図で示すように、3ページ目が転写される記録紙の第一面(白紙画像の面)の給紙を2ページ目の画像が転写される記録紙の給紙より先行して行うため、3ページ目の画像が転写される記録紙が両面搬送経路上で搬送されている間に、2ページ目の画像が転写される記録紙の給紙、転写、排紙が行えるために画像形成装置の生産性が向上していることがわかる。
【0046】
また上記の実施形態によれば、画像毎にカール量を推定し、一定以上のカール量になると推定される特定の記録紙のみ二度両面中間搬送路を通過させるため、不必要に両面中間搬送路からの再給紙が無いため生産性が向上する。
【0047】
また上記の実施形態によれば、両面搬送路保持可能枚数に応じて給紙排紙順序を決定することで、装置の両面搬送路や記録紙の長さに応じて生産性の高い給紙排紙順序を決定することができる。
【0048】
また上記の実施形態によれば、画像情報記憶容量に応じて給紙排紙順序を決定することで、装置の画像情報記憶容量や画像情報量に応じて生産性の高い給紙排紙順序を決定することができる。
【0049】
また上記の実施形態によれば、記録紙の両面に対して加熱することで、両面の保水量がほぼ同等となるため記録紙のカールが軽減される。
【0050】
また上記の実施形態によれば、記録紙の両面に対して加圧することで、第一の搬送時と第二の搬送時でそれぞれ記録紙に対して逆方向に加圧するため、カールが低減される。
【0051】
また本発明の搬送制御手段は、第2の搬送手段に保持できる記録紙の枚数に基づいて搬送先と搬送順序とを制御するようにしても良い。
【0052】
また本発明の搬送制御手段は、データ記憶手段に記憶された画像データ情報に基づいて搬送先と搬送順序とを制御するようにしても良い。
【0053】
また本発明の搬送制御手段は、記録紙の第1の面を定着手段により加熱させた後に第2の搬送手段により用紙反転手段に搬送して記録紙の第2の面を定着手段により加熱させるようにしても良い。
【0054】
また本発明の搬送制御手段は、記録紙の第1の面を定着手段により加圧させた後に第2の搬送手段により用紙反転手段に搬送して記録紙の第2の面を定着手段により加圧させるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、画像形成装置などの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 本体給紙トレイ
2 給紙ローラ
3 レジストローラ
4 用紙
5 転写ベルト
6Bk、6M、6C、6Y AIOカートリッジ
7 2次転写駆動ローラ
8 転写ベルトテンションローラ
9Bk、9M、9C、9Y、 感光体
10Bk 帯電器
11 露光器
12Bk 現像器
13Bk クリーナーブレード
14Bk、14M、14C、14Y レーザ光
15M、15C、15Y 一次転写ローラ
16 二次転写ローラ
17 TMセンサ
18 排紙ローラ
19 両面ローラ
20 定着器
21 定着ローラ
22 フラッシュROM
23 RAM
24 書き込み制御部
25 モータドライバ
26 通信制御部
27 画像処理部
28 CPU
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開平6−3900号公報
【特許文献2】特許第4034117号公報
【特許文献3】特開2004−352423号公報
【特許文献4】特開平4−93970号公報
【特許文献5】特開2003−302798号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて画像を記録するための記録紙を搬送する第1の搬送手段と、
前記第1の搬送手段により搬送された前記記録紙に前記画像を転写する画像転写手段と、
前記画像転写手段により前記画像を転写された前記記録紙を加熱及び加圧力にて定着する定着手段と、
前記定着手段により前記画像を定着された前記記録紙を排出部または前記記録紙の表裏を反転させる用紙反転手段に搬送するかを判断して搬送を制御する搬送制御手段と、
前記搬送制御手段により制御された搬送先に前記記録紙を搬送する第2の搬送手段と、
前記画像データ情報を取得して記憶するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段に記憶された前記画像データ情報に基づいて前記画像毎に前記記録紙へ転写された場合のカール量を推定するカール量推定手段と、
を備え、
前記搬送制御手段は、前記カール量推定手段により推定されたカール量に基づいて前記記録紙の前記搬送先と搬送順序とを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送制御手段は、前記第2の搬送手段に保持できる前記記録紙の枚数に基づいて最短時間で処理できる前記搬送先と搬送順序とを制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送制御手段は、前記データ記憶手段に記憶された前記画像データ情報に基づいて最短時間で処理できる前記搬送先と搬送順序とを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送制御手段は、前記記録紙の第1の面を前記定着手段により加熱させた後に前記第2の搬送手段により前記用紙反転手段に搬送して前記記録紙の第2の面を前記定着手段により前記加熱させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送制御手段は、前記記録紙の第1の面を前記定着手段により加圧させた後に前記第2の搬送手段により前記用紙反転手段に搬送して前記記録紙の第2の面を前記定着手段により前記加圧させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−217654(P2010−217654A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65783(P2009−65783)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】