説明

画像形成装置

【課題】表面に凹凸が形成された記録媒体に対してもトナー像を良好に転写する。
【解決手段】中間転写体16に一次転写されたトナー像は、中間転写体16に対するトナーの付着力よりも、トナー間の付着力の方が小さい。また、二次転写位置でトナー像をエンボス紙に二次転写する静電気力は、中間転写体16に対するトナーの付着力より小さくても、トナー間の付着力よりも大きい。また、層厚補正プログラム4が実行されることにより、主走査方向に孤立した画像の領域は、透明トナー層の層厚がベタ画像の領域の透明トナーの層厚よりも厚くなっている。主走査方向に孤立した画像を形成する透明トナー層の層厚が、ベタ画像を形成する透明トナーの層厚よりも厚くなっているため、有色トナーは良好に転写される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、画像部を除く非画像領域を透明トナーで覆うことにより、粘着性の中間転写体を用いる場合の、非画像部のかぶりトナーの転写を防止する画像形成装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−214871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、表面に凹凸が形成された記録媒体に対しても画像の中抜けを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、1つ以上の像保持体と、この像保持体を帯電させる帯電手段と、画像形成信号に基づいて、前記帯電手段が帯電させた像保持体に対し、透明画像及び1色以上の有色画像に対応する静電潜像をそれぞれ書き込む光書込手段と、この光書込手段が書込んだ透明画像に対応する静電潜像を透明トナーで現像する第1の現像手段と、前記光書込手段が書込んだ1色以上の有色画像に対応する静電潜像を1色以上の有色トナーで現像する第2の現像手段と、前記第1の現像手段が現像した透明トナー像上に前記第2の現像手段が現像した有色トナー像が重なるようにトナー像を中間転写部材に一次転写する一次転写手段と、この一次転写手段が前記中間転写部材に一次転写したトナー像を、記録媒体に二次転写する二次転写手段と、前記画像形成信号取得手段が取得した画像形成信号に基づいて、主走査方向に連続する長さが予め定められた長さ以下である有色トナー像に重ねられる透明トナー像の層厚が、主走査方向に連続する長さが予め定められた長さよりも長い有色トナー像に重ねられる透明トナー像の層厚よりも厚くなるように前記光書込手段を制御する制御手段と、を有する画像形成装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記制御手段は、前記画像形成信号に基づいて、主走査方向に連続する長さが予め定められた長さ以下である有色トナー像の層厚が、主走査方向に連続する長さが予め定められた長さよりも長い有色トナー像の層厚以下になるように前記光書込手段を制御する請求項1記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る本発明によれば、表面に凹凸が形成された記録媒体に対しても透明トナー像の透明トナーの層厚を調整しない場合に比べて、画像の中抜けを抑制することができる。
【0008】
請求項2に係る本発明によれば、透明トナー像の層厚が厚くされた領域においても、有色トナーが飛び散ることを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概要を示す側面図である。
【図2】制御部の構成の概要を示すブロック図である。
【図3】透明トナー層及び有色トナー層の層厚を補正するために制御部が実行する層厚補正プログラムの構成を示すプログラム構成図である。
【図4】制御部が層厚補正プログラムを実行する場合に行う処理(S10)を示すフローチャートである。
【図5】エンボス紙に形成された凹部と、二次転写時に有色トナー像の中抜けが発生しやすい領域との位置関係を示す模式図である。
【図6】トナーをエンボス紙凹部に二次転写する模式図である。
【図7】主走査方向に孤立した画像に対する透明トナーの量(層厚に相当)と、表面に凹凸が形成されたエンボス紙に二次転写された有色画像に生じる中抜けの程度(グレード)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概要を示す側面図である。
図1に示すように、画像形成装置10は、画像読取ユニット12、ユーザインターフェイス(UI)装置13、画像形成ユニット14、中間転写体16、用紙トレイ17、記録媒体搬送路18、定着器19及び制御部20を有する。
【0011】
画像形成装置10は、上部に画像読取ユニット12、UI装置13及び制御部20が配設され、画像形成信号(画像データ)を取得可能にされている。画像読取ユニット12は、原稿30に形成された画像を読み取って、制御部20に対して出力する。UI装置13は、例えばタッチパネルからなり、例えば画像形成装置10に対する動作モードの作業者による設定を受け入れ可能にされている。例えば、画像形成装置10は、表面に凹凸が形成されたエンボス紙などに画像を形成するエンボス紙印刷モードと、エンボス紙以外の記録媒体に画像を形成する通常印刷モードとを設定可能にされている。制御部20は、画像読取ユニット12から入力された画像データ、又は、LANなどのネットワーク回線を介して入力された画像データに対して、後述するトナー像(トナー層)の層厚補正などの画像処理を施し、画像形成ユニット14に対して出力する。
画像読取ユニット12の下方には、カラー画像を構成する有色画像と透明画像を形成するように、複数の画像形成ユニット14が配設されている。本例では、粒径5.8μm、形状係数120〜140に調整された乳化重合法によるトナーを用いており、透明画像に対応する透明トナー(クリアトナー:L)と、有色画像に対応するイエロートナー(Y)、マゼンタトナー(M)、シアントナー(C)及び黒トナー(K)の各有色トナーをそれぞれ収容する画像形成ユニット14L、14Y、14M、14C、14Kが、中間転写体16に沿って一定の間隔を空けて水平に配列されている。なお、透明トナーは、有色の顔料を含まない点を除いて、有色トナーと同様に構成されている。中間転写体16は、例えば中間転写ベルトであり図中矢印Aの方向に回転する。画像形成ユニット14L、14Y、14M、14C、14Kは、制御部20を介して入力された画像データに基づいて各トナー像を順次形成する。形成された各トナー像は、重ね合わせられるタイミングで中間転写体16に転写(一次転写)される。つまり、中間転写体16に対して透明トナー像が転写され、転写された透明トナー像に重ねて有色トナー像が一次転写される。ここで、前記形状係数は、ルーゼックス画像解析装置(ニコレ社製、LUZEXIII)を用い、100個のトナーに対して、トナーの周囲長(ML)及び投影面積(A)を測定し、[(ML)/A]×(1/4π)×100を計算し、平均値をとったものとし、球形を100、歪度が増すほど大きな値をとるように定義されている。
【0012】
記録媒体搬送路18は、中間転写体16の下方に配設されている。用紙トレイ17から供給された例えば表面に凹凸が形成されたエンボス紙などの記録媒体32は、この記録媒体搬送路18上を搬送され、中間転写体16上に重ねて転写された各トナー像が一括して転写(二次転写)され、転写されたトナー像が定着器19によって定着され、矢印Bに沿って外部に排出される。
【0013】
次に、画像形成装置10の各構成についてより詳細に説明する。
図1に示すように、画像読取ユニット12は、原稿30を載せるプラテンガラス124と、この原稿30をプラテンガラス124上に押圧するプラテンカバー122と、プラテンガラス124上に載置された原稿30の画像を読み取る画像読取装置130とを有する。この画像読取装置130は、プラテンガラス124上に載置された原稿30を光源132によって照明し、原稿30からの反射光像を、フルレートミラー134、第1のハーフレートミラー135、第2のハーフレートミラー136及び結像レンズ137からなる縮小光学系を介して、CCD等からなる画像読取素子138上に走査露光して、この画像読取素子138によって原稿30の色材反射光像を予め定められたドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るように構成されている。
【0014】
制御部20は、画像読取ユニット12により読み取られた画像データ(画像形成信号)を取得して、予め定められた画像処理を施す。なお、画像読取ユニット12により読み取られた原稿30の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の画像データ(原稿反射率データ)であり、制御部20による画像処理によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(各8bit)の4色の画像データ(原稿色材階調データ)に変換される。また、制御部20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の少なくともいずれかの画像データに応じて形成される有色画像に重なる透明画像を形成するように、透明トナー(クリアトナー)を用いて形成する透明画像に対応する画像データを生成する。
【0015】
透明画像を形成する画像形成ユニット14Lと、有色画像を形成する画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kとは、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置され、形成する画像の色が異なる他は、ほぼ同様に構成されている。そこで、以下、画像形成ユニット14Lについて説明する。なお、各画像形成ユニット14の構成は、L、Y、M、C又はKを付すことにより区別する。
画像形成ユニット14Lは、制御部20を介して入力された画像データに応じてレーザ光を走査する光書込装置140Lと、この光書込装置140Lにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成装置150Lとを有する。
【0016】
光書込装置140Lは、半導体レーザ142Lを透明画像に対応する画像データに応じて変調して、この半導体レーザ142Lからレーザ光LB(L)を画像データに応じて出射する。この半導体レーザ142Lから出射されたレーザ光LB(L)は、第1の反射ミラー143L及び第2の反射ミラー144Lを介して回転多面鏡146Lに照射され、この回転多面鏡146Lよって偏向走査され、第2の反射ミラー144L、第3の反射ミラー148L及び第4の反射ミラー149Lを介して、像形成装置150Lの像保持体152L上に照射される。
像形成装置150Lは、矢印Aの方向に沿って予め定められた回転速度で回転する像担持体としての像保持体152Lと、この像保持体152Lの表面を一様に帯電する帯電手段としての一次帯電用のスコロトロン154Lと、像保持体154L上に形成された静電潜像を現像する現像器156Lと、クリーニング装置158Lとから構成されている。像保持体152Lは、スコロトロン154Lにより一様に帯電され、光書込装置140Lにより照射されたレーザ光LB(L)により静電潜像を形成される。像保持体152Lに形成された静電潜像は、現像器156Lにより透明トナーで現像され、中間転写体16に転写される。なお、トナー像の転写工程の後に像保持体152Lに付着している残留トナー及び紙粉等は、クリーニング装置158Lによって除去される。
他の画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kも、上記と同様に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の各トナー像を形成し、形成された各トナー像を中間転写体16に転写する。
【0017】
中間転写体16は、ドライブロール164と、第1のアイドルロール165と、ステアリングロール166と、第2のアイドルロール167と、バックアップロール168と、第3のアイドルロール169との間に一定のテンションで掛け回されており、駆動モータ(不図示)によってドライブロール164が回転駆動されることにより、矢印Aの方向に予め定められた速度で循環駆動される。この中間転写体16は、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等によって接続することにより無端ベルト状に形成されたものであり、全体としての厚さが100μm、ヤング率が3400MPa、表面硬度が35mN/μm、表面粗さRzが1.5μm、印加電圧500V時の表面抵抗率が12.8LogΩ/□、体積抵抗率が12.6LogΩ・cmに調整されている。
また、中間転写体16には、各画像形成ユニット14L、14Y、14M、14C、14Kに対向する位置にそれぞれ、直径が28mm、軸方向の長が328mm、アスカーC硬度計による硬度が30°、1KV印加時の抵抗が7.7LogΩに調整されたカーボン導電材分散の半導電EPDM、SBR、NBR混合材から成る一次転写ロール162L、162Y、162M、162C、162Kが配設され、像保持体152L、152Y、152M、152C、152K上に形成された各トナー像は、これらの一次転写ロール162により中間転写体16上に重ねて転写される。なお、中間転写体16に付着した残留トナーは、二次転写位置の下流に設けられたベルト用クリーニング装置189のクリーニングブレード又はブラシにより除去される。なお、本実施例では、プロセススピード352mm/sec、一次転写荷重13.5gf/cm、一次転写電流37μAに設定されている。
【0018】
記録媒体搬送路18には、用紙トレイ17から記録媒体32を取り出す給紙ローラ181と、記録媒体搬送用の第1のローラ対182、第2のローラ対183及び第3のローラ対184と、記録媒体32を既定のタイミングで二次転写位置に搬送するレジストロール185とが配設される。
また、記録媒体搬送路18上の二次転写位置には、直径が28mm、軸方向の長さが320mm、アスカーC硬度計による硬度が70°、1.5KV印加時の抵抗が7.5LogΩ/□に調整されたカーボン導電材分散の半導電EPDM、NBR混合材から成るバックアップロール168に圧接する直径が28mm、軸方向の長が350mm、アスカーC硬度計による硬度が25°、100V印加時の抵抗が8LogΩに調整されたフッ素コート、イオン導電ゴム、カーボン分散発泡ウレタンから成る二次転写ロール186が配設されており、中間転写体16上に重ねて転写された各トナー像は、この二次転写ロール186による圧接力及び静電気力で記録媒体32上に二次転写される。トナー像が転写された記録媒体32は、第1の搬送ベルト187及び第2の搬送ベルト188によって定着器19へと搬送される。
定着器19は、トナー像が転写された記録媒体32に対して熱と圧力とを加えることにより、トナー像を記録媒体32に定着させる。
【0019】
制御部20は、例えば図2に示すように、CPU200、メモリ202、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置204及びデータの送受信を行う通信インタフェース(IF)206が制御バス208を介して相互に接続されることにより構成され、画像形成装置10を構成する各部を制御する。
【0020】
CPU200は、メモリ202または記憶装置204に格納されたプログラムに応じて予め定められた処理を実行し、制御部20の動作を制御する。また、プログラムをメモリ202や記憶装置204から提供するのではなく、当該プログラムをCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。この記録媒体は磁気ディスク、半導体メモリまたはその他の記録媒体であってもよい。
【0021】
通信IF206は、ネットワークを介して例えばPC(パーソナルコンピュータ)などと画像形成装置10とを接続する通信インターフェイスである。例えば、通信IF206は、PCが送信するページ記述言語(Page Description Language:PDL)などの画像形成信号を受信(取得)し、CPU200に対して出力する。CPU200は、PDLを受信すると、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の各色の有色画像と、有色画像の少なくともいずれかに重ねられる透明画像(透明トナーを用いて形成する画像)とを例えばメモリ202上に展開(形成)し、像保持体152L、152Y、152M、152C、152K上に静電潜像がそれぞれ形成されるように、画像形成ユニット14L、14Y、14M、14C、14Kを構成する各部を制御するようにされている。
【0022】
次に、画像形成装置10がUI装置13を介してエンボス紙印刷モードを設定された場合に制御部20が実行する層厚補正プログラム4について説明する。なお、制御部20は、エンボス紙印刷モードが設定された場合に層厚補正プログラム4を実行し、通常印刷モードが設定された場合には層厚補正プログラム4を実行しないようにされている。
図3は、透明トナー層及び有色トナー層の層厚を補正するために制御部20が実行する層厚補正プログラム4の構成を示すプログラム構成図である。
図3に示すように、層厚補正プログラム4は、画像形成信号取得部400、画像展開部402、主走査方向長判定部404、層厚補正部406及び光書込制御部408から構成される。
【0023】
画像形成信号取得部400は、例えば通信IF206を介して画像形成信号を取得し、画像展開部402に対して出力する。
【0024】
画像展開部402は、画像形成信号取得部400から画像形成信号を受け入れると、画像形成信号をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の有色画像に対応する画像データと、透明トナーを用いて形成する透明画像に対応する画像データとに展開し、主走査方向長判定部404に対して出力する。
【0025】
主走査方向長判定部404は、有色画像及び透明画像に対応する画像データの主走査方向に連続する長さ(主走査方向長)が予め定められたの長さ(基準長)以下であるか否かを判定し、主走査方向長が基準長以下である画像データを層厚補正部406に対して出力し、主走査方向長が基準長よりも長い画像データを光書込制御部408に対して出力する。主走査方向長が基準長以下である画像データには、例えば主走査方向長が基準長以下である文字の一部、直線の一部及びその他の主走査方向に孤立した画像に対応する画像データが含まれる。
このように、主走査方向長判定部404は、有色画像及び透明画像に対応する画像データからトナー層の層厚補正の対象となる画像データを抽出する。
【0026】
層厚補正部406は、主走査方向長判定部404から受け入れた主走査方向長が基準長以下である透明画像に対応する画像データに対し、中間転写体16に一次転写される透明トナー層の層厚が厚くなるように補正を行い、補正結果を光書込制御部408に対して出力する。また、層厚補正部406は、主走査方向長判定部404から受け入れた主走査方向長が基準長以下である有色画像に対応する画像データに対し、中間転写体16に一次転写される有色トナー層の層厚が薄くなるように補正を行い、補正結果を光書込制御部408に対して出力する。トナー層の層厚の補正は、スクリーンを変更することにより行われてもよい。
なお、層厚補正部406は、トナー層の総層厚を制限するようにされており、有色トナー層が例えば1色のみである場合のように薄い場合には、有色トナー層の層厚の補正量を0とするようにされてもよい。
【0027】
光書込制御部408は、有色画像及び透明画像に対応する画像データを主走査方向長判定部404から受け入れ、補正された有色画像及び透明画像に対応する画像データを層厚補正部406から受け入れて、受け入れた各画像データに応じて光書込装置140L、140Y、140M、140C、104Kを制御する。
【0028】
したがって、光書込装置140Lは、主走査方向長が基準長以下である透明画像に対応する画像データに対し、中間転写体16に一次転写される透明トナー層の層厚が厚くなるように補正された静電潜像と、例えば通信IF206を介して取得した画像形成信号に応じた透明画像に対応する静電潜像とを、制御部20の制御によって像保持体152L上に形成する。
また、光書込装置104Y、140M、140C、104Kは、主走査方向長が基準長以下である有色画像に対応する画像データに対し、中間転写体16に一次転写される有色トナー層の層厚が薄くなるように補正された静電潜像と、例えば通信IF206を介して取得した画像形成信号に応じた有色画像に対応する静電潜像とを、制御部20の制御によって像保持体152Y、152M、152C、152K上にそれぞれ形成する。
【0029】
図4は、制御部20が層厚補正プログラム4を実行する場合に行う処理(S10)を示すフローチャートである。
図4に示すように、ステップ100(S100)において、制御部20は、画像形成信号を取得する。
【0030】
ステップ102(S102)において、制御部20は、有色画像及び透明画像に対応する画像データの主走査方向長が基準長以下であるか否かを判定し、主走査方向長が基準値以下である場合にはS104の処理に進み、その他の場合はS106の処理に進む。
【0031】
ステップ104(S104)において、制御部20は、透明画像に対応する主走査方向長が基準長以下である画像データに対し、透明トナーの層厚を厚くする(透明トナーの量を多くする)補正を行う。
【0032】
ステップ106(S106)において、制御部20は、有色画像に対応する主走査方向長が基準長以下である画像データに対し、有色トナーの層厚を薄くする(有色トナーの量を少なくする)補正を行う。
【0033】
ステップ108(S108)において、制御部20は、補正した画像データを含む透明画像に対応する静電潜像を像保持体152L上に形成し、補正した画像データを含む有色画像に対応する静電潜像を像保持体152Y、152M、152C、152K上にそれぞれ形成するように、光書込装置140L、140Y、140M、140C、104Kを制御し、光書込み(露光)を開始する。
【0034】
次に、制御部20が実行する層厚補正プログラム4の作用について説明する。
図5は、エンボス紙に形成された凹部と、二次転写時に有色トナー像の中抜けが発生しやすい領域との位置関係を示す模式図である。
図6は、トナーをエンボス紙凹部に二次転写する模式図である。
例えば文字を示す有色トナー像は、一次転写ロール162の軸方向(主走査方向)に連続する長さが短い部分がエンボス紙などの表面に凹凸を形成された記録媒体に二次転写されると、図5(A)にも例示するように主走査方向に連続する長さが短い部分とエンボス紙の凹部とが重なることにより、主走査方向に連続する長さが短い部分の主走査方向両端側に挟まれる領域の濃度が低くなるいわゆる中抜けが発生しやすくなる。また、図5(B)に例示するように、図5(A)に示した文字と同じ文字を示す有色トナー像であっても、画像形成方向が変えられることにより、主走査方向に連続する長さが短い部分が変えられると、中抜けが発生する位置が変わってしまう。
【0035】
図6にも示すように、有色トナー像(有色トナー層)は、透明トナー像(透明トナー層:L)に重なるように中間転写体16に一次転写される。エンボス紙の凹部に相当する位置に中間転写体16に一次転写された主走査方向に孤立したトナー像は、二次転写位置でトナー像をエンボス紙の凹部に二次転写する静電気力が凸部よりも小さく、トナー間の付着力とこの静電気力との大小関係により、転写できるか中間転写体上に残留するかが決まる。
【0036】
また、層厚補正プログラム4が実行されることにより、主走査方向に孤立した画像の領域は、透明トナー層の層厚がベタ画像の領域の透明トナーの層厚よりも厚くなっている。例えば、主走査方向に孤立した画像の領域には透明トナーが5.5g/m転写され、ベタ画像の領域には透明トナーが3.5g/m転写される。
【0037】
一般には、トナー層の総層厚が厚いほど一次転写時の圧接力が大きくなり、二次転写時にトナーが中間転写体16に残留しやすくなる。前述のように、トナー間の付着力と静電気力の大小関係によっては、トナー間で分断が発生する。図6(A)に示した比較例のように、主走査方向の長さが予め決められた長さよりも長い有色トナー像に重ねる透明トナー(ベタ画像の領域に重ねられる透明トナー)と同じ層厚の透明トナー層を主走査方向に孤立した画像の領域に形成した場合、主走査方向に孤立した多くの有色トナーはエンボス紙の凹部で中間転写体に残留し、中抜けとなる。一方、図6(B)に示した実施例のように、透明トナー量を多くし、透明トナーの層厚を厚くした場合、中間転写体に残留するトナーの大半が透明トナーとなり、有色トナーをエンボス紙凹部に転写することが可能となる。
【0038】
したがって、中間転写体16に一次転写されたトナー像がエンボス紙に二次転写される場合、透明トナーが中間転写体16に残留しても、有色トナーは中間転写体16に残留することが抑止されエンボス紙に二次転写される。
【0039】
さらに、層厚補正プログラム4が実行されることにより、主走査方向に孤立した画像の領域は、有色トナーの層厚がベタ画像の領域の有色トナーの層厚以下にされ、トナー像の総層厚が制限されている。
【0040】
次に、層厚補正プログラム4による透明トナー層の補正量に対する有色画像の中抜けの程度(中抜けグレード)の評価結果について説明する。
図7は、主走査方向に孤立した幅1.5mmのレッド画像(Yトナーの量:4.0g/m、Mトナー量:4.5g/m)に対する透明トナーの量と、表面に凹凸が形成されたエンボス紙(レザック66、250gsm)に二次転写された有色画像に生じる中抜けの程度(グレード)との関係を示すグラフである。
なお、中抜けグレードは、中抜けの発生程度を目視によって数値化したものであり、凹部の有色画像の色が僅かに薄く目視では問題がないと判断される程度を1.0とし、凹部が僅かに白い程度を2.0とし、凹部が白い程度を3.0として、大きい値ほど中抜けの程度が大きい状態を示すものとする。
【0041】
図7に示すように、主走査方向に孤立した画像に対して透明トナーの量をベタ画像と同じ3.5g/mとすると中抜けグレードが3.0となるのに対し、主走査方向に孤立した画像に対して透明トナーの量を徐々に5.5g/mまで増加させると中抜けグレードが徐々に1.0まで改善された。
主走査方向に孤立した画像に対して透明トナーの量が5.5g/mにされると、上述したように二次転写時に透明トナー間で分断が発生して有色トナーがエンボス紙に転写されたものと考えられる。また、層厚補正プログラム4は、例えば上述したように主走査方向に孤立した画像に対して透明トナーの量を5.5g/mにするように設定されることが好ましい。
本実施例では、主走査方向に連続する長さで、予め決めた長さを1.5mmとした。
【符号の説明】
【0042】
10 画像形成装置
14L、14Y、14M、14C、14K 画像形成ユニット
140L、140Y、140M、140C、140K 光書込装置
150L、150Y、150M、150C、150K 像形成装置
152L、152Y、152M、152C、152K 像保持体
154L、154Y、154M、154C、154K スコロトロン
156L、156Y、156M、156C、156K 現像器
16 中間転写体
162L、162Y、162M、162C、162K 一次転写ロール
186 二次転写ロール
20 制御部
200 CPU
206 通信IF
4 層厚補正プログラム
400 画像形成信号取得部
402 画像展開部
404 主走査方向長判定部
406 層厚補正部
408 光書込制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の像保持体と、
この像保持体を帯電させる帯電手段と、
画像形成信号に基づいて、前記帯電手段が帯電させた像保持体に対し、透明画像及び1色以上の有色画像に対応する静電潜像をそれぞれ書き込む光書込手段と、
この光書込手段が書込んだ透明画像に対応する静電潜像を透明トナーで現像する第1の現像手段と、
前記光書込手段が書込んだ1色以上の有色画像に対応する静電潜像を1色以上の有色トナーで現像する第2の現像手段と、
前記第1の現像手段が現像した透明トナー像上に前記第2の現像手段が現像した有色トナー像が重なるようにトナー像を中間転写部材に一次転写する一次転写手段と、
この一次転写手段が前記中間転写部材に一次転写したトナー像を、記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記画像形成信号取得手段が取得した画像形成信号に基づいて、主走査方向に連続する長さが予め定められた長さ以下である有色トナー像に重ねられる透明トナー像の層厚が、主走査方向に連続する長さが予め定められた長さよりも長い有色トナー像に重ねられる透明トナー像の層厚よりも厚くなるように前記光書込手段を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記画像形成信号に基づいて、主走査方向に連続する長さが予め定められた長さ以下である有色トナー像の層厚が、主走査方向に連続する長さが予め定められた長さよりも長い有色トナー像の層厚以下になるように前記光書込手段を制御する
請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−224252(P2010−224252A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71851(P2009−71851)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】