画像形成装置
【課題】 部品点数の増加を抑制しつつ、第1搬送経路及び第2搬送経路のうちいずれの搬送経路を用紙が通過したか否かに加えて、リアカバーの開閉状態も検出可能とする技術を提供する。
【解決手段】 切替フラッパ25が第1搬送経路L1を閉塞しているか否かを検出するフラッパセンサ29を設け、リアカバー26が開かれたときに、第1搬送経路L1が開放された状態となるように切替フラッパ25を変位させるようにする。これにより、フラッパセンサ29は、切替フラッパ25が第1搬送経路L1を閉塞しているか否かを検出することができる。そして、リアカバー26が開かれたときに、第1搬送経路L1が開放された状態となるように切替フラッパ25が変位するので、フラッパセンサ29が、第1搬送経路L1が開放された状態を長時間に渡って検出した場合には、リアカバー26が開いているものと判断することが可能となる。
【解決手段】 切替フラッパ25が第1搬送経路L1を閉塞しているか否かを検出するフラッパセンサ29を設け、リアカバー26が開かれたときに、第1搬送経路L1が開放された状態となるように切替フラッパ25を変位させるようにする。これにより、フラッパセンサ29は、切替フラッパ25が第1搬送経路L1を閉塞しているか否かを検出することができる。そして、リアカバー26が開かれたときに、第1搬送経路L1が開放された状態となるように切替フラッパ25が変位するので、フラッパセンサ29が、第1搬送経路L1が開放された状態を長時間に渡って検出した場合には、リアカバー26が開いているものと判断することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等の記録シートの表裏両面に画像を形成することが可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙の両面に画像形成可能な画像形成装置では、表面に画像が形成された用紙の搬送方向を反転機構にて反転させた後、その搬送方向が反転した用紙を、再び、画像形成部の入口側に導くことにより裏面に画像を形成している。
【0003】
このため、上記の画像形成装置では、画像形成部の出口側から反転機構に至る第1搬送経路、及び反転機構にて搬送方向が反転された用紙を画像形成部の入口側に導くための第2搬送経路が設けられている。
【0004】
このため、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、揺動可能な略T字状のセンサアクチュエータを第1搬送経路と第2搬送経路との分岐部に配設して、1つのセンサアクチュエータにていずれの搬送経路を用紙が通過したか否かを検出可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−58439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、搬送経路途中で詰まった用紙を除去するために、通常、筐体には、第2搬送経路の一部を開放するための開口部が設けられているとともに、この開口部を開閉するカバーが筐体に揺動可能に組み付けられている。
【0007】
このため、いずれの搬送経路を用紙が通過したか否かに加えて、カバーの開閉状態も検出可能とすることが望まれているが、両者の検知を行うにはセンサやセンサアクチュエータ等の部品点数が増加する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記点に鑑み、部品点数の増加を抑制しつつ、第1搬送経路及び第2搬送経路のうちいずれの搬送経路を記録シートが通過したか否かに加えて、カバーの開閉状態も検出可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、記録シートの表裏両面に画像を形成することが可能な画像形成装置であって、記録シートに画像を形成する画像形成部(2)と、画像形成部(2)から排出された記録シートの搬送方向を反転させる反転機構(21A)と、画像形成部(2)の出口側から反転機構(21A)に至る第1搬送経路(L1)と反転機構(21A)にて搬送方向が反転された記録シートを画像形成部(2)の入口側に導くための第2搬送経路(L2)との分岐部(24)に設けられ、いずれか一方の搬送経路を選択的に閉塞するための切替フラッパ(25)と、画像形成部(2)、反転機構(21A)及び切替フラッパ(25)を収納するとともに、第2搬送経路(L2)の少なくとも一部を開放するための開口部(3A)が形成された筐体(3)と、筐体(3)に対して変位可能に組み付けられ、開口部(3A)を開閉するためのカバー(26)と、切替フラッパ(25)が第1搬送経路(L1)及び第2搬送経路(L2)のうちいずれか一方の搬送経路を閉塞しているか否かを検出するフラッパセンサ(29)と、カバー(26)が開かれたときに、一方の搬送経路が開放された状態となるように切替フラッパ(25)を変位させるフラッパ変位機構(31、32)と、フラッパセンサ(29)の検出結果に基づいて、記録シートが一方の搬送経路を通過しているか否か、及びカバー(26)が開かれているか否かを判断する判断手段(33)とを備えることを特徴とする。
【0010】
これにより、請求項1に記載の発明では、フラッパセンサ(29)は、切替フラッパ(25)が第1搬送経路(L1)及び第2搬送経路(L2)のうちいずれか一方の搬送経路を閉塞しているか否かを検出することができ、かつ、カバー(26)が開かれたときに、その一方の搬送経路が開放された状態となるように切替フラッパ(25)が変位する。
【0011】
このため、カバー(26)が閉じられているときには、フラッパセンサ(29)の検出値に基づいていずれの搬送経路を記録シートが通過したか否かを検出することができ、一方、フラッパセンサ(29)が、その一方の搬送経路が開放された状態を長時間に渡って検出した場合には、カバー(26)が開いているものと判断することが可能である。
【0012】
つまり、例えば、フラッパセンサ(29)は第1搬送経路(L1)が閉塞されているか否かを検出する場合において、第1搬送経路(L1)が閉塞されていることを検出した場合には、カバー(26)が閉じられた状態で記録シートが第2搬送経路を通過したと判断することが可能である。
【0013】
また、第1搬送経路(L1)が閉塞された状態から解放された状態を検出した後、比較的に短時間後に第1搬送経路(L1)が閉塞されたことが検出された場合には、記録シートが第1搬送経路を通過したと判断することが可能である。
【0014】
さらに、第1搬送経路(L1)が閉塞された状態から解放された状態を検出した後、その状態が比較的に長時間に亘って検出された場合には、カバー(26)が開かれたものと判断することが可能である。
【0015】
このように、請求項1に記載の発明では、記録シートの搬送経路を切り替える切替フラッパ(25)を利用して部品点数の増加を抑制しつつ、いずれの搬送経路を記録シートが通過したか否かに加えて、カバー(26)の開閉状態も検出することができる。
【0016】
なお、請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載の発明のごとく、カバー(26)が閉じられている場合であって記録シートが一方の搬送経路を通過するとき以外の場合は、切替フラッパ(25)は一方の搬送経路を閉塞するように構成することが望ましい。
【0017】
ところで、フラッパセンサ(29)は、通常、配線を必要とするので、請求項3に記載の発明のごとく、フラッパセンサ(29)を切替フラッパ(25)を挟んでカバー(26)と反対側に配設すれば、配設の取り回しを容易なものとすることができる。
【0018】
因みに、フラッパセンサ(29)をカバー(26)に設けると、配線が長くなって複雑になるとともに、カバー(26)を開閉する際の振動等によりフラッパセンサ(29)が損傷するおそれがあるが、請求項3に記載の発明では、フラッパセンサ(29)をカバー(26)に設けていないので、上記のような不具合は発生しない。
【0019】
請求項4に記載の発明では、第1搬送経路(L1)のうち分岐部(24)より搬送方向上流側の搬送経路、又は第1搬送経路(L1)より搬送方向上流の搬送経路であって第1搬送経路(L1)に至る搬送経路には、記録シートが通過したか否かを検出するシートセンサ(30)が設けられており、さらに、判断手段(33)は、フラッパセンサ(29)及びシートセンサ(30)の検出結果に基づいて、第1搬送経路(L1)に記録シートが詰まっているか又はカバー(26)が開かれているかを判断することを特徴とする。
【0020】
これにより、請求項4に記載の発明では、シートセンサ(30)により記録シートの通過が検出されなかった状態で、フラッパセンサ(29)が当該一方の搬送経路が開放された状態を検出した場合には、カバー(26)が開いているものと判断することができる。
【0021】
一方、シートセンサ(30)により記録シートの通過が検出された状態で、フラッパセンサ(29)が当該一方の搬送経路が開放された状態を検出した場合には、記録シートが当該一方の搬送経路に詰まったもの判断することができる。
【0022】
このように請求項4に記載の発明では、カバー(26)が開かれた状態と記録シートが詰まった状態とを区別して判断することが可能となる。
なお、通常、第1搬送経路(L1)のうち分岐部(24)より搬送方向上流側の搬送経路、又は第1搬送経路(L1)より搬送方向上流の搬送経路であって第1搬送経路(L1)に至る搬送経路には、記録シートが通過したか否かを検出するセンサが設けられているので、この既存のセンサをシートセンサとして利用すれば、部品点数の増加を招くことなく、上記のような判断が可能となる。
【0023】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の中央断面を示す模式図である。
【図2】リアカバー26が閉塞ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を示す図であって、第2搬送経路L2が閉じられた状態を示す図である。
【図3】リアカバー26が閉塞ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を示す図であって、第1搬送経路L1が閉じられた状態を示す図である。
【図4】リアカバー26が開放ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を示す図である。
【図5】リアカバー26が開放ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を示す斜視図である。
【図6】リアカバー26が閉塞ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を、装置本体側から見た斜視図である。
【図7】図6からコロホルダを取り外した状態を示す図である。
【図8】リアカバー26が閉塞ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を、後方側から見た斜視図である。
【図9】図8のA部拡大図である。
【図10】図8のB部拡大図である。
【図11】開閉途中のリアカバー26における、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を示す図である。
【図12】開閉途中のリアカバー26における、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を上面側から見た斜視示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る画像形成装置の電気系のブロック図である。
【図14】本発明の実施形態に係る画像形成装置のジャム検出制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施形態は、本発明に係る画像形成装置を電子写真方式の画像形成装置(レーザプリンタ)に適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
1.画像形成装置の概要(図1参照)
1.1.画像形成部
画像形成装置1の画像形成部2は、図1に示すように、箱状に形成された筐体3内に収納されており、この画像形成部2により用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に画像が形成される。
【0026】
また、本実施形態に係る画像形成部2は、4つのプロセスカートリッジ4K、4Y、4M、4C、露光器5及び定着器6等から構成されているとともに、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色の現像剤(トナー)に対応した4つのプロセスカートリッジ4K、4Y、4M、4Cによって形成された4種類の現像剤像を、用紙上で重ね合わせることにより用紙にカラー画像を形成するダイレクトタンデム方式のものである。
【0027】
そして、給紙トレイ7に載置されている用紙は、ピックアップローラ7A、分離ローラ7B及び分離パッド7C等からなるフィーダ部により1枚ずつ分離して拾い上げられた後、一対のレジストローラ8にて斜行が矯正された後、転写ベルト9に搬送される。その後、現像剤像が用紙に転写され、その用紙に転写された現像剤像が定着器6にて加熱されて用紙に定着する。
【0028】
因みに、各プロセスカートリッジ4K〜4Cには、現像剤像が担持される感光ドラム4A、及び感光ドラム4Aを帯電させる帯電器4B等が収納されており、一方、転写ベルト9を挟んで感光ドラム4Aと対向する位置それぞれには、各感光ドラム4Aに担持された現像剤像を転写させる転写ローラ4Dが配設されている。
【0029】
1.2.両面印刷機構(図1〜図3参照)
両面印刷機構とは、用紙の表裏両面に画像を形成(印刷)するための機構である。
すなわち、画像形成部2にて画像形成が終了した用紙は、図1に示すように、第1搬送ローラ20A及び第2搬送ローラ21Aにより筐体3の上面側に設定された排紙口22まで搬送されていき、画像形成が完了した用紙は排紙口22から排紙されて排紙トレイ10に載置されていく。
【0030】
なお、本実施形態では、画像形成部2の出口部(定着器6の出口部)2Aから排紙口22に至る用紙搬送経路(以下、この用紙搬送経路を第1搬送経路L1という。)は、画像形成部2の出口部2Aから上方側に略180度屈曲するようなU字状に構成されている。そして、第1搬送ローラ20Aは画像形成部2の出口部2A近傍に設けられ、第2搬送ローラ21Aは排紙口22近傍に設けられている。
【0031】
因みに、ピンチローラ(コロ)20Bは、用紙を第1搬送ローラ20Aに押し付けながら用紙の搬送と共に従動回転するローラであり、ピンチローラ(コロ)21Bは、用紙を第2搬送ローラ21Aに押し付けながら用紙の搬送と共に従動回転するローラである。
【0032】
また、一対の中間ローラ23は、第1搬送経路L1において、第1搬送ローラ20Aと第2搬送ローラ21Aとの間に配設されて定着器6から排出された用紙の曲がり癖(カール)を矯正するためのものである。
【0033】
また、第2搬送ローラ21Aは、画像形成部2から排出された用紙をそのまま排紙トレイ10に排出させる向きに回転(以下、この向きの回転を正転という。)する場合と、画像形成部2から排出された用紙の搬送方向を反転させる向きに回転(以下、この向きの回転を逆転という。)する場合とが可能であり、本実施形態では、第2搬送ローラ21Aにより反転機構が構成されている。
【0034】
そして、第2搬送ローラ21Aは、片面印刷を行う場合には、表面への画像形成が終了して画像形成部2から排出された用紙をそのまま排紙トレイ10に排出させ、一方、両面印刷を行う場合、つまり裏面側にも画像を形成する場合には、表面への画像形成が終了した用紙の搬送後端側が第2搬送ローラ21A近傍に到達した時に、その搬送方向を反転させて用紙を第2搬送経路L2に向けて搬送する。
【0035】
ここで、第2搬送経路L2とは、第2搬送ローラ21Aにより搬送方向が反転された用紙を画像形成部2の入口部2B側に導くための用紙搬送経路であり、この第2搬送経路L2は、第1搬送経路L1と第2搬送経路L2との分岐部24から下方側に延びる第1鉛直経路部L21、この第1鉛直経路部L21の下端側から給紙トレイ7の下側を略水平方向に延びる水平経路部L22、及び水平経路部L22の出口側とレジストローラ8(画像形成部2の入口部2B)と結ぶ第2鉛直経路部L23を有して構成されている。
【0036】
ところで、分岐部24から排紙口22までの用紙搬送経路においては、第1搬送経路L1と第2搬送経路L2とが共通化されているため、第2搬送ローラ21Aにより搬送方向が反転された用紙の搬送方向先端側が、第2搬送経路L2(第1鉛直経路部L21)に搬送されず、第1搬送ローラ20Aの出口部2A側に搬送されてしまうおそれがある。
【0037】
そこで、本実施形態では、第1搬送経路L1及び第2搬送経路L2のうちいずれか一方の搬送経路を選択的に閉塞する切替フラッパ25を分岐部24に設けている。なお、切替フラッパ25の構造等の詳細は後述する。
【0038】
そして、切替フラッパ25は、用紙が画像形成部2から排出されるときには、図2に示すように、第1搬送経路L1を開くとともに第2搬送経路L2を閉塞し、一方、第2搬送ローラ21Aにて搬送方向が反転された用紙を第1鉛直経路部L21に導くときには、図3に示すように、第1搬送経路L1を閉塞するとともに第2搬送経路L2を開く。
【0039】
2.切替フラッパ周囲の構造(図1〜図12参照)
筐体3内には、図1に示すように、画像形成部2、第1搬送ローラ20A、第2搬送ローラ21A及び切替フラッパ25等が収納されているが、この筐体3の後方側には、第2搬送経路L2の一部を開放するための開口部3Aが設けられており、この開口部3Aの下端側は、水平経路部L22の入口部L24以下まで開口している。
【0040】
なお、水平経路部L22の入口部L24とは、第1鉛直経路部L21の下端側のうち、リアカバー26と対向して第1鉛直経路部L21を構成する部材であって装置本体側に設けられた部材(本実施形態では、後述するシュートフレーム27)の下端部(図1の二点鎖線で示した部分)をいう。
【0041】
また、開口部3Aはリアカバー26により閉塞されており、このリアカバー26は、開口部3Aを閉じた閉塞ポジション(図2等に示す状態)と開口部3Aを開放する開放ポジション(図4等に示す状態)との間で揺動可能に構成されている。そして、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときには、図1〜図3に示すように、リアカバー26により第2搬送経路L2の一部(第1鉛直経路部L21)の用紙搬送面が構成される。
【0042】
また、リアカバー26は、図5に示すように、C字状のヒンジ部26Aを介して装置本体の一部をなすシュートフレーム27の下端部に組み付けられており、ヒンジ部26Aの回転軸26B(リアカバー26の揺動中心)は、図1に示すように、水平経路部L22の入口部L24側より下方側に設定されている。
【0043】
なお、シュートフレーム27は、画像形成部2等が組み付けられる本体フレーム(図示せず。)に固定された部材であって、閉塞ポジション時にリアカバー26と所定の隙間を有して対向することにより、リアカバー26と共に第1鉛直経路部L21(第2搬送経路L2)の用紙搬送面を構成するものである。
【0044】
因みに、本実施形態では、本体フレームや筐体3等により装置本体が構成されており、本実施形態に係る本体フレームは、画像形成装置1の幅方向(左右方向)両端に設けられた板状のサイドフレーム及び幅方向に延びて両側のサイドフレームを連結するビームフレーム等から構成されている。
【0045】
また、シュートフレーム27の上部幅方向(左右方向)両端側には、図6に示すように、第1搬送ローラ20Aの回転軸20Cを支持する軸フレーム27Aが一体形成され、本体フレーム(サイドフレーム)には、ピンチローラ20Bを保持するコロホルダ28が組み付けられている。
【0046】
なお、複数個の第1搬送ローラ20Aは、回転軸20Cにより一体的に回転するのに対して、各ピンチローラ20Bは、個々に独立して従動回転することができるとともに、その回転軸がバネ等の弾性手段(図示せず。)により変位可能に弾性支持されている。
【0047】
また、コロホルダ28には、切替フラッパ25が第1搬送経路L1及び第2搬送経路L2のうちいずれの搬送経路を閉塞しているか否かを検出するフラッパセンサ29が組み付けられている。
【0048】
そして、フラッパセンサ29は、例えば、第1搬送経路L1が切替フラッパ25により閉じられているときには、図3に示すように、切替フラッパ25の先端に接触した状態(以下、ON状態という。)となり、逆に、第1搬送経路L1が切替フラッパ25により閉じられていないとき、つまり第1搬送経路L1が開放されているときには、図2及び図4に示すように、切替フラッパ25と離間した状態(以下、OFF状態という。)となる。
【0049】
また、第1搬送経路L1のうち分岐部24より搬送方向上流側の搬送経路であって、定着器6と第1搬送ローラ20Aとの間には、図1に示すように、この搬送経路を用紙が通過したか否か、つまり定着器6から用紙が排出されたか否か検出する用紙センサ30が設けられている。
【0050】
そして、用紙センサ30は、用紙センサ30が設けられている部位に用紙が存在するとき(用紙が通過している間)は、その旨の信号(例えば、ON信号)を出力し、一方、用紙が存在しない場合には、その旨の信号(例えば、OFF信号)を出力する。
【0051】
3.切替フラッパの詳細
3.1.切替フラッパ等の構造
切替フラッパ25は、図7に示すように、ひれ状に形成された複数個のフィン状体25Aを用紙搬送方向に直交する幅方向に並べたものであり、これらのフィン状体25Aは、図8に示すように、円弧状断面を有して幅方向に延びる帯状のフラッパ本体部25Bと共に樹脂にて一体成形されている。
【0052】
そして、フラッパ本体部25Bの長手方両端側は、図9及び図10に示すように、揺動アームをなすホルダアーム31に揺動可能に連結され、このホルダアーム31は、シュートフレーム27に揺動可能に組み付けられている。
【0053】
すなわち、ホルダアーム31は、図7に示すように、幅方向に延びる帯状のホルダ本体部31A、ホルダ本体部31Aの長手方向両端側に設けられて幅方向と直交する方向(紙面上下方向)に延びるアーム部31B、及びホルダ本体部31Aの長手方向両端側にてホルダアーム31を揺動可能に支持する揺動軸部31C等から構成されている。
【0054】
そして、揺動軸部31Cはシュートフレーム27に回転可能に組み付けられ、かつ、アーム部31Bの先端部が切替フラッパ25(フラッパ本体部25B)に対して揺動可能に連結されているので、切替フラッパ25とホルダアーム31とは、リアカバー26が閉塞ポジションから開放ポジションに揺動すると、これに連動して図4及び図11に示すように、その連結部31Dにて「く」の字状に折れ曲がるように揺動変位する。
【0055】
つまり、閉塞ポジションにおいては、図3に示すように、揺動軸部31C及び連結部31Dは、鉛直方向に沿って並ぶように、連結部31Dが切替フラッパ25の下端側に位置するとともに、揺動軸部31Cがホルダアーム31の下端側に位置することとなる。そして、リアカバー26が開かれると、連結部31Dは、リアカバー26の揺動と連動して揺動軸部31Cを中心として回転するように下方側に変位する。
【0056】
因みに、揺動軸部31Cは、第2搬送経路L2を搬送される用紙と干渉することがないように、第2搬送経路L2を挟んでリアカバー26と反対側、又は幅方向において第2搬送経路L2からずれた位置に設定されている。
【0057】
また、ホルダアーム31の幅方向両端側に設定された連結部31Dのうち少なくとも一端側に設定された連結部(本実施形態では、右端側)には、バネ32(図10参照)が設けられており、このバネ32は、切替フラッパ25の先端部25Cを下方側に変位させる向きの弾性力を切替フラッパ25に作用させる。
【0058】
そして、本実施形態に係るバネ32は、図10に示すように、捻りコイルバネ又は「く」の字状の屈曲した板状(棒状)のバネであり、その一端側が切替フラッパ25に係止され、他端側がホルダアーム31に係止され、かつ、その屈曲部(捻り部)が連結部31Dに配置されているので、切替フラッパ25及びホルダアーム31は、常に、両者のなす角θ(図4又は図11参照)が小さくなる向きの弾性力をバネ32から受ける。
【0059】
また、リアカバー26のうち切替フラッパ25に対応する部位には、図11に示すように、切替フラッパ25のうち連結部31Dを挟んでその先端部25Cと反対側に設定された第1被押圧部25Dを押圧するための第1押圧部26Cが設けられている。
【0060】
そして、この第1押圧部26Cは、リアカバー26が開放ポジションから閉塞ポジション側に揺動するときには、第1被押圧部25Dに接触して第1被押圧部25Dを画像形成部2(装置本体)側に押圧し、リアカバー26が閉塞ポジションとなったときには、図2及び図3に示すように、第1被押圧部25Dの可動範囲から外れた箇所に位置するように設定されている。
【0061】
また、リアカバー26のうちホルダアーム31に対応する部位には、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときに、リアカバー26側から画像形成部2(装置本体)側にホルダアーム31を押圧する第2押圧部26Dが設けられており、この第2押圧部26Dは、ホルダアーム31の揺動軸部31C側に設定された第2被押圧部31Eを押圧する。
【0062】
つまり、リアカバー26は、開放ポジションから閉塞ポジション側に揺動する際には第1押圧部26Cにて切替フラッパ25に設定された第1被押圧部25Dを画像形成部2側に押圧し、完全に閉塞ポジションとなったときには、第2押圧部26Dにてホルダアーム31を画像形成部2側に押圧する。
【0063】
このため、閉塞ポジション時においては、ホルダアーム31は、シュートフレーム27(装置本体)と第2押圧部26Dとにより挟まれて揺動不可な状態となるのに対して、切替フラッパ25は、第1押圧部26Cが第1被押圧部25Dの可動範囲から外れた箇所に位置するため揺動可能な状態となる。
【0064】
また、シュートフレーム27(軸フレーム27A)には、図9〜図12(特に、図11)に示すように、切替フラッパ25の先端部25Cが所定方向に変位するように、先端部25Cの変位を規制する摺動案内面27B(図9及び図10の斜線部分)が設けられており、この摺動案内面27Bは、リアカバー26と反対側、つまり画像形成部2(装置本体)側から切替フラッパ25の先端部25Cに摺動可能に接触して先端部25Cの変位を案内規制する規制手段をなすものである。
【0065】
3.2.切替フラッパの作動
前述したように、バネ32は切替フラッパ25とホルダアーム31とのなす角θが小さくなる向きの弾性力を切替フラッパ25及びホルダアーム31に作用させる。そして、閉塞ポジション時においては、図3に示すように、連結部31D及び揺動軸部31Cは鉛直方向に沿うように並び、かつ、連結部31Dは切替フラッパ25の下端側に位置し、揺動軸部31Cはホルダアーム31の下端側に位置しているとともに、ホルダアーム31は揺動不可となる。
【0066】
このため、本実施形態では、切替フラッパ25の先端部25Cは、バネ32の弾性力及び自身に作用する重力(以下、これらの力を総称して揺動力M2という。)により、連結部31Dを中心として、画像形成部2(装置本体)側、つまりリアカバー26から離間する向き(左向き)に回転しようとする。
【0067】
このため、本実施形態では、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときには、切替フラッパ25は、バネ32により画像形成部2の出口部2A、つまり第1搬送経路L1を閉塞して用紙を第2搬送経路L2に案内可能な状態(図3に示す状態)となる。
【0068】
そして、画像形成部2から用紙が排紙されると、用紙の搬送方向先端側が切替フラッパ25に接触するので、切替フラッパ25は、その搬送力により押し上げられて画像形成部2(装置本体)から離間する向き、つまりリアカバー26側(右向き)に回転し、第2搬送経路L2を閉塞した状態(図2に示す状態)となる。
【0069】
ところで、リアカバー26と反対側(画像形成部2側)に摺動案内面27Bが設けられ、かつ、切替フラッパ25の先端部25Cは、前述したように、揺動力M2により画像形成部2側(左向き)に回転しようとするので、図4に示すように、先端部25Cは揺動力M2により摺動案内面27Bに押し付けられる。
【0070】
このため、リアカバー26が開かれ、第2押圧部26Dがホルダアーム31から離間してホルダアーム31が揺動可能な状態となると、図11に示すように、切替フラッパ25の先端部25Cは、揺動力M2により摺動案内面27B側に押圧されて摺動案内面27Bに接触しながら変位するので、先端部25Cの変位は、摺動案内面27Bに沿った方向D1に規制される。
【0071】
一方、ホルダアーム31の揺動中心(揺動軸部31C)はシュートフレーム27(装置本体)に対して不動であり、かつ、揺動力M2は切替フラッパ25及びホルダアーム31間のなす角θを小さくする向きの力を切替フラッパ25及びホルダアーム31に作用させるので、リアカバー26が開かれると、切替フラッパ25の先端部25Cが摺動案内面27Bに沿って下方側に変位しながら連結部31Dが画像形成部2側からリアカバー26側(図11の左側から右側)に変位する。
【0072】
つまり、本実施形態では、リアカバー26が開かれると、連結部31Dはリアカバー26側、つまり画像形成部2から離間する向き(図11の右側)に変位するのに対して、切替フラッパ25は画像形成部2側(図11の左側)に変位しようとするので、切替フラッパ25の先端部25Cは、リアカバー26の開作動と連動して連結部31Dの変位方向(図1の左右方向)と交差する方向(方向D1)に変位する。
【0073】
このため、リアカバー26が開放ポジションとなると、図5に示すように、第2搬送経路L2及び画像形成部2の出口部2A(第1搬送ローラ20Aの出口)が開放された状態となるので、第1鉛直経路部L21(第2搬送経路L2)に詰まった用紙を容易に除去することができるとともに、画像形成が終了した用紙を第1搬送ローラ20Aの出口から直接的に排紙すること(以下、この排紙をストレート排紙という。)が可能となる。
【0074】
また、リアカバー26が開放ポジションとなると、切替フラッパ25の先端部25Cが画像形成部2の出口部2Aより下方側まで退避するので、切替フラッパ25をストレート排紙された用紙を載置するための載置部25Eとして機能する。
【0075】
なお、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときは、揺動力M2により切替フラッパ25が画像形成部2側に位置して第1搬送経路L1が閉塞されているので、フラッパセンサ29はON状態となる(図3参照)。一方、リアカバー26が開かれると、切替フラッパ25の先端部25Cが下方側に変位するので、実質的に第1搬送経路L1が開放された状態となり、フラッパセンサ29はOFF状態となる(図4参照)。
【0076】
つまり、本実施形態では、バネ32及びホルダアーム31は、リアカバー26が開かれたときに、第1搬送経路L1が開放された状態となるように切替フラッパ25を変位させるフラッパ変位機構として機能する。
【0077】
4.フラッパセンサ及び用紙センサの作動(図13及び図14参照)
フラッパセンサ29及び用紙センサ30の出力信号は、図13に示すように、制御部33に入力されており、制御部33は、これらセンサ29、30の出力信号及びROM等の不揮発性記憶手段(図示せず。)に記憶されているプログラムに従って、画像形成部2や筐体3の前面側に設けられた表示部(表示パネル)34等の作動を制御する。因みに、制御部33は、CPU、ROM及びRAM等からなる周知のマイクロコンピュータにて構成されたものである。
【0078】
また、制御部33は、フラッパセンサ29及び用紙センサ30の出力信号に基づいて、以下の制御を実行する。すなわち、画像形成装置1の電源スイッチ(図示せず。)が投入されると、図14に示す制御(以下、この制御をジャム検出制御という。)を実行するためのプログラムがCPU(制御部33)に読み込まれ、CPU(制御部33)は電源スイッチが遮断されるまでジャム検出制御を実行する。
【0079】
そして、ジャム検出制御が起動されると、先ず、画像形成装置1に対して印刷指令がユーザによりされたか否かが判定され(S10)、印刷指令がされていないと判定された場合には(S10)、再びS10が実行される。
【0080】
一方、印刷指令がされたと判定された場合には(S10:YES)、フラッパセンサ29がOFF状態であるか否か、つまり第1搬送経路L1が開放され第2搬送経路L2が閉塞されているか否かが判定され(S20)、フラッパセンサ29がOFF状態であると判定された場合には(S20:YES)、フラッパセンサ29がOFF状態である判定したタイミング(時刻)が、画像形成部2に用紙を給紙した時から所定範囲のタイミング(時刻)であるか否かが判定される(S30)。
【0081】
ここで、画像形成部2に用紙を給紙した時から所定範囲のタイミングであるとは、用紙が正常に搬送された場合において、画像形成部2に用紙を給紙した時を基準として、用紙の搬送方向先端がフラッパセンサ29に接触する時刻から用紙の搬送方向後端がフラッパセンサ29から離間する時刻までに、フラッパセンサ29のOFF状態を判定したことをいう。
【0082】
そして、フラッパセンサ29がOFF状態である判定したタイミングが所定範囲のタイミングであると判定された場合には(S30:YES)、用紙が第1搬送経路L1を正常に通過したものと制御部33に認識された後(S40)、再びS10が実行される。
【0083】
一方、フラッパセンサ29がOFF状態である判定したタイミングが所定範囲のタイミングでないと判定された場合には(S30:NO)、用紙センサ30が用紙の存在を検出したか否かが判定される(S50)。
【0084】
そして、用紙センサ30が用紙の存在を検出したと判定された場合には(S50:YES)、画像形成部2の出口部2Aで用紙が詰まっているものと制御部33に認識され、その旨が表示部34に表示された後(S70)、再びS10が実行される。
【0085】
一方、用紙センサ30が用紙の存在を検出していないと判定された場合には(S50:NO)、リアカバー26が開かれているものと制御部33に認識され、その旨が表示部34に表示された後(S60)、再びS10が実行される。
【0086】
また、S20にてフラッパセンサ29がOFF状態でないと判定された場合には(S20:NO)、画像形成部2に用紙を給紙した時から所定時間が経過したか否か、つまり給紙開始後、用紙の搬送方向先端がフラッパセンサ29に接触する時刻になったか否か判定される(S80)。
【0087】
そして、給紙後、所定時間が経過していないと判定された場合には(S80:NO)、再びS20が実行され、一方、所定時間が経過したと判定された場合には(S80:YES)、画像形成部2にて用紙が詰まったものと制御部33に認識され、その旨が表示部34に表示された後(S60)、再びS10が実行される。
【0088】
5.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、前述したように、リアカバー26が閉塞ポジションから開放ポジションに揺動変位すると、ホルダアーム31及び切替フラッパ25は、両者のなす角θが変化しながら連結部31Dを中心に回転しながらリアカバー26から離れるように退避していく。
【0089】
したがって、リアカバー26が開かれると、リアカバー26と切替フラッパ25とにより挟持された用紙が開放されるので、切替フラッパや詰まった用紙に無理な力が作用してしまうことがなく、切替フラッパ25等の損傷を抑制できる。
【0090】
延いては、ユーザが詰まった用紙を除去(ジャム処理)等する際に、無理なくリアカバー26を開くことができるので、ジャム処理等を容易にすることができ、画像形成装置の利便性を向上することができる。
【0091】
また、本実施形態では、切替フラッパ25の先端部25Cが所定方向に変位するように、先端部25Cの変位を規制する摺動案内面27Bを備えているので、リアカバー26を開閉する際に、切替フラッパ25を安定して変位させることができる、リアカバー26を開閉する際の開閉操作性を良好なものとすることができる。
【0092】
ところで、リアカバー26を閉じる際に、仮に、リアカバー26にてホルダアーム31を閉方向(画像形成部2側)に押圧すると、ホルダアーム31及び切替フラッパ25が摺動案内面27Bに押圧されながら閉塞ポジション時の状態に戻ることとなるので、切替フラッパ25の先端部25Cと摺動案内面27Bとの接触面圧が大きくなり、摺動抵抗が大きくなってしまい、リアカバー26を閉じる際の操作力が大きくなってしまうおそれがある。
【0093】
これに対して、本実施形態では、切替フラッパ25のうち連結部31Dを挟んでその先端部25Cと反対側に第1被押圧部25Dが設けられているので、リアカバー26が開放ポジションから閉塞ポジション側に揺動する際に、図11に示すように、先端部25Cが摺動案内面27Bから離間するような向きのモーメントM1が切替フラッパ25に作用するとともに、画像形成部2(装置本体)側に向かう向きの力F1が連結部31Dに作用する。
【0094】
したがって、本実施形態では、先端部25Cと摺動案内面27Bとの接触面圧が過度に大きくなることを抑制して摺動抵抗を小さくすることができるので、リアカバー26を閉じる際の操作力が過度に大きくなってしまうことを防止できる。
【0095】
また、本実施形態では、バネ32は、前述したように、切替フラッパ25を画像形成部2側に変位させる向きの弾性力を作用させるので、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときには、切替フラッパ25は、バネ32により画像形成部2の出口部2A、つまり第1搬送経路L1を閉塞して用紙を第2搬送経路L2に案内可能な状態となる。
【0096】
また、本実施形態では、前述したように、リアカバー26が開かれると、切替フラッパ25の先端部25Cは、画像形成部2の出口部2Aからずれるように退避し、画像形成部2の出口部2A側を開放することができるので、リアカバー26を開くことにより、画像形成が終了した用紙をストレート排紙することができる。
【0097】
また、本実施形態では、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときには、第2押圧部26Dにより第2被押圧部31Eが押圧され、第2押圧部26Dは、第1被押圧部25Dの可動範囲から外れた箇所に設定されているので、切替フラッパ25を適切に作動させつつ、切替フラッパ25の作動が第2押圧部26Dにより妨げられてしまうことを防止できる。
【0098】
また、本実施形態では、リアカバー26が開放ポジションとなったときには、切替フラッパ25がストレート排紙された用紙の載置部25Eとして機能するので、ストレート排紙された用紙が散在してしまうことを抑制できる。
【0099】
また、本実施形態では、リアカバー26の揺動中心26Bが、水平経路部L22の入口部L24側より下方側に設定されているので、第2搬送経路L2を搬送される用紙の搬送方向先端側が水平経路部L22に到達している状態で用紙が詰まった場合であっても、リアカバー26を開くことにより、その詰まった用紙を容易に除去することができる。
【0100】
また、本実施形態では、フラッパセンサ29は、切替フラッパ25が第1搬送経路L1及び第2搬送経路L2のうちいずれか一方の搬送経路(本実施形態では、第1搬送経路L1)が閉塞されているか否かを検出することができ、かつ、リアカバー26が開かれたときに、その一方の搬送経路(第1搬送経路L1)が開放された状態となるように切替フラッパ25が変位する(図3及び図5等参照)。
【0101】
このため、リアカバー26が閉じられているときには、フラッパセンサ29の検出値に基づいて、いずれの搬送経路を用紙が通過したか否かを検出することができ、一方、フラッパセンサ29が、その一方の搬送経路(第1搬送経路L1)が開放された状態を長時間に渡って検出した場合には、リアカバー26が開いているものと判断することが可能である。
【0102】
つまり、第1搬送経路L1が閉塞されていることを検出した場合には、リアカバー26が閉じられた状態で用紙が第2搬送経路を通過したと判断することが可能である。一方、第1搬送経路L1が閉塞された状態から解放された状態を検出した後、比較的に短時間後に第1搬送経路L1が閉塞されたことが検出された場合には、用紙が第1搬送経路を通過したと判断することが可能である(S40)。
【0103】
このように、本実施形態では、用紙の搬送経路を切り替える切替フラッパ25を利用して部品点数の増加を抑制しつつ、いずれの搬送経路を用紙が通過したか否かに加えて、リアカバー26の開閉状態も検出することができる。
【0104】
ところで、フラッパセンサ29は、通常、配線を必要とするので、本実施形態のごとく、切替フラッパ25を挟んでリアカバー26と反対側、つまり装置本体側にフラッパセンサ29を配設すれば、配設の取り回しを容易なものとすることができる。
【0105】
因みに、フラッパセンサ29をリアカバー26に設けると、配線が長くなって複雑になるとともに、リアカバー26を開閉する際の振動等によりフラッパセンサ29が損傷するおそれがあるが、本実施形態では、フラッパセンサ29をリアカバー26に設けていないので、上記のような不具合は発生しない。
【0106】
また、本実施形態では、用紙センサ30により用紙の通過が検出されなかった状態で、フラッパセンサ29が第1搬送経路L1の開状態を検出した場合には、リアカバー26が開いているものと判断し、用紙センサ30により用紙の通過が検出された状態で、フラッパセンサ29が第1搬送経路L1の開放状態を検出した場合には、用紙が第1搬送経路L1(画像形成部2の出口部2A)に詰まったもの判断するので、リアカバー26が開かれた状態と用紙が詰まった状態とを確実に区別して判断することが可能となる。
【0107】
また、用紙センサ30は、通常、必ず設けられているので、本実施形態では、部品点数の増加を招くことなく、リアカバー26が開かれた状態と用紙が詰まった状態とを確実に区別して判断することができる。
【0108】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、連結部31Dを切替フラッパ25の下端側に設定し、かつ、揺動軸部31Cをホルダアーム31の下端側に設定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、連結部31Dを切替フラッパ25の下端側に設定し、かつ、揺動軸部31Cをホルダアーム31の上端側に設定してもよい。
【0109】
なお、上記のような構成とすると、リアカバー26が開かれたとき、切替フラッパ25とホルダアーム31とのなす角θが大きくなるようにバネ32を設定する必要がある。
また、上述の実施形態では、バネ32を捻りバネにて構成するとともに、一端側を切替フラッパ25に係止し、他端側をホルダアーム31に係止したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、コイルバネ(つるまきバネ)にてバネ32を構成するとともに、その一端側を切替フラッパ25に固定し、他端側をシュートフレーム27等に固定することより、揺動力M2を切替フラッパ25に作用させる、又はバネ32を廃止して重力のみで揺動力M2を切替フラッパ25に作用させてもよい。
【0110】
また、上述の実施形態では、揺動力M2により切替フラッパ25の先端部25Cが常に摺動案内面27Bに押し付けられていたので、先端部25Cが所定方向に変位するように先端部25Cの変位を規制する規制手段として摺動案内面27Bを採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば先端部25Cにピンを設け、このピンが変位可能に填り込む溝や長穴をシュートフレーム27に設けることにより、規制手段を構成してもよい。
【0111】
また、上述の実施形態では、切替フラッパ25に第1被押圧部25Dを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1被押圧部25Dを廃止し、第2被押圧部31Eのみをリアカバー26にて押圧する構成としてもよい。
【0112】
また、上述の実施形態では、用紙センサ30とフラッパセンサ29を用いて、リアカバー26が開かれた状態と用紙が詰まった状態とを区別したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、用紙センサ30を廃止し、第1搬送経路L1が閉塞された状態から解放された状態を検出した後、その状態が比較的に長時間に亘って検出された場合には、リアカバー26が開かれたものと判断することも可能である。
【0113】
また、上述の実施形態では、用紙センサ30として、定着器6の出口側に設けられた既存のセンサを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば画像形成部2又は画像形成部2より搬送方向上流の搬送経路に設けられた既存の用紙センサを用いてもよい。
【0114】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0115】
1…画像形成装置、2…画像形成部、3…筐体、4A…感光ドラム、
4K〜4C…プロセスカートリッジ、5…露光器、6…定着器、7…給紙トレイ、
7A…ピックアップローラ、8…レジストローラ、9…転写ベルト、
10…排紙トレイ、20A…第1搬送ローラ、20B…ピンチローラ、
20C…回転軸、21A…第2搬送ローラ、22…排出口、23…中間ローラ、
24…分岐部、25…切替フラッパ、25A…フィン状体、
25B…フラッパ本体部、25D…第1被押圧部、25E…載置部、
26…リアカバー、26A…ヒンジ部、26B…回転軸、26B…揺動中心、
26C…第1押圧部、26D…第2押圧部、27…シュートフレーム、
27A…軸フレーム、27B…摺動案内面、28…コロホルダ、
29…フラッパセンサ、30…用紙センサ、31…ホルダアーム、
31A…ホルダ本体部、31B…アーム部、31C…揺動軸部、31D…連結部、
31E…第2被押圧部、32…バネ、33…制御部、34…表示部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等の記録シートの表裏両面に画像を形成することが可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙の両面に画像形成可能な画像形成装置では、表面に画像が形成された用紙の搬送方向を反転機構にて反転させた後、その搬送方向が反転した用紙を、再び、画像形成部の入口側に導くことにより裏面に画像を形成している。
【0003】
このため、上記の画像形成装置では、画像形成部の出口側から反転機構に至る第1搬送経路、及び反転機構にて搬送方向が反転された用紙を画像形成部の入口側に導くための第2搬送経路が設けられている。
【0004】
このため、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、揺動可能な略T字状のセンサアクチュエータを第1搬送経路と第2搬送経路との分岐部に配設して、1つのセンサアクチュエータにていずれの搬送経路を用紙が通過したか否かを検出可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−58439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、搬送経路途中で詰まった用紙を除去するために、通常、筐体には、第2搬送経路の一部を開放するための開口部が設けられているとともに、この開口部を開閉するカバーが筐体に揺動可能に組み付けられている。
【0007】
このため、いずれの搬送経路を用紙が通過したか否かに加えて、カバーの開閉状態も検出可能とすることが望まれているが、両者の検知を行うにはセンサやセンサアクチュエータ等の部品点数が増加する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記点に鑑み、部品点数の増加を抑制しつつ、第1搬送経路及び第2搬送経路のうちいずれの搬送経路を記録シートが通過したか否かに加えて、カバーの開閉状態も検出可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、記録シートの表裏両面に画像を形成することが可能な画像形成装置であって、記録シートに画像を形成する画像形成部(2)と、画像形成部(2)から排出された記録シートの搬送方向を反転させる反転機構(21A)と、画像形成部(2)の出口側から反転機構(21A)に至る第1搬送経路(L1)と反転機構(21A)にて搬送方向が反転された記録シートを画像形成部(2)の入口側に導くための第2搬送経路(L2)との分岐部(24)に設けられ、いずれか一方の搬送経路を選択的に閉塞するための切替フラッパ(25)と、画像形成部(2)、反転機構(21A)及び切替フラッパ(25)を収納するとともに、第2搬送経路(L2)の少なくとも一部を開放するための開口部(3A)が形成された筐体(3)と、筐体(3)に対して変位可能に組み付けられ、開口部(3A)を開閉するためのカバー(26)と、切替フラッパ(25)が第1搬送経路(L1)及び第2搬送経路(L2)のうちいずれか一方の搬送経路を閉塞しているか否かを検出するフラッパセンサ(29)と、カバー(26)が開かれたときに、一方の搬送経路が開放された状態となるように切替フラッパ(25)を変位させるフラッパ変位機構(31、32)と、フラッパセンサ(29)の検出結果に基づいて、記録シートが一方の搬送経路を通過しているか否か、及びカバー(26)が開かれているか否かを判断する判断手段(33)とを備えることを特徴とする。
【0010】
これにより、請求項1に記載の発明では、フラッパセンサ(29)は、切替フラッパ(25)が第1搬送経路(L1)及び第2搬送経路(L2)のうちいずれか一方の搬送経路を閉塞しているか否かを検出することができ、かつ、カバー(26)が開かれたときに、その一方の搬送経路が開放された状態となるように切替フラッパ(25)が変位する。
【0011】
このため、カバー(26)が閉じられているときには、フラッパセンサ(29)の検出値に基づいていずれの搬送経路を記録シートが通過したか否かを検出することができ、一方、フラッパセンサ(29)が、その一方の搬送経路が開放された状態を長時間に渡って検出した場合には、カバー(26)が開いているものと判断することが可能である。
【0012】
つまり、例えば、フラッパセンサ(29)は第1搬送経路(L1)が閉塞されているか否かを検出する場合において、第1搬送経路(L1)が閉塞されていることを検出した場合には、カバー(26)が閉じられた状態で記録シートが第2搬送経路を通過したと判断することが可能である。
【0013】
また、第1搬送経路(L1)が閉塞された状態から解放された状態を検出した後、比較的に短時間後に第1搬送経路(L1)が閉塞されたことが検出された場合には、記録シートが第1搬送経路を通過したと判断することが可能である。
【0014】
さらに、第1搬送経路(L1)が閉塞された状態から解放された状態を検出した後、その状態が比較的に長時間に亘って検出された場合には、カバー(26)が開かれたものと判断することが可能である。
【0015】
このように、請求項1に記載の発明では、記録シートの搬送経路を切り替える切替フラッパ(25)を利用して部品点数の増加を抑制しつつ、いずれの搬送経路を記録シートが通過したか否かに加えて、カバー(26)の開閉状態も検出することができる。
【0016】
なお、請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載の発明のごとく、カバー(26)が閉じられている場合であって記録シートが一方の搬送経路を通過するとき以外の場合は、切替フラッパ(25)は一方の搬送経路を閉塞するように構成することが望ましい。
【0017】
ところで、フラッパセンサ(29)は、通常、配線を必要とするので、請求項3に記載の発明のごとく、フラッパセンサ(29)を切替フラッパ(25)を挟んでカバー(26)と反対側に配設すれば、配設の取り回しを容易なものとすることができる。
【0018】
因みに、フラッパセンサ(29)をカバー(26)に設けると、配線が長くなって複雑になるとともに、カバー(26)を開閉する際の振動等によりフラッパセンサ(29)が損傷するおそれがあるが、請求項3に記載の発明では、フラッパセンサ(29)をカバー(26)に設けていないので、上記のような不具合は発生しない。
【0019】
請求項4に記載の発明では、第1搬送経路(L1)のうち分岐部(24)より搬送方向上流側の搬送経路、又は第1搬送経路(L1)より搬送方向上流の搬送経路であって第1搬送経路(L1)に至る搬送経路には、記録シートが通過したか否かを検出するシートセンサ(30)が設けられており、さらに、判断手段(33)は、フラッパセンサ(29)及びシートセンサ(30)の検出結果に基づいて、第1搬送経路(L1)に記録シートが詰まっているか又はカバー(26)が開かれているかを判断することを特徴とする。
【0020】
これにより、請求項4に記載の発明では、シートセンサ(30)により記録シートの通過が検出されなかった状態で、フラッパセンサ(29)が当該一方の搬送経路が開放された状態を検出した場合には、カバー(26)が開いているものと判断することができる。
【0021】
一方、シートセンサ(30)により記録シートの通過が検出された状態で、フラッパセンサ(29)が当該一方の搬送経路が開放された状態を検出した場合には、記録シートが当該一方の搬送経路に詰まったもの判断することができる。
【0022】
このように請求項4に記載の発明では、カバー(26)が開かれた状態と記録シートが詰まった状態とを区別して判断することが可能となる。
なお、通常、第1搬送経路(L1)のうち分岐部(24)より搬送方向上流側の搬送経路、又は第1搬送経路(L1)より搬送方向上流の搬送経路であって第1搬送経路(L1)に至る搬送経路には、記録シートが通過したか否かを検出するセンサが設けられているので、この既存のセンサをシートセンサとして利用すれば、部品点数の増加を招くことなく、上記のような判断が可能となる。
【0023】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の中央断面を示す模式図である。
【図2】リアカバー26が閉塞ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を示す図であって、第2搬送経路L2が閉じられた状態を示す図である。
【図3】リアカバー26が閉塞ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を示す図であって、第1搬送経路L1が閉じられた状態を示す図である。
【図4】リアカバー26が開放ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を示す図である。
【図5】リアカバー26が開放ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を示す斜視図である。
【図6】リアカバー26が閉塞ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を、装置本体側から見た斜視図である。
【図7】図6からコロホルダを取り外した状態を示す図である。
【図8】リアカバー26が閉塞ポジションにある場合における、リアカバー26、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を、後方側から見た斜視図である。
【図9】図8のA部拡大図である。
【図10】図8のB部拡大図である。
【図11】開閉途中のリアカバー26における、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を示す図である。
【図12】開閉途中のリアカバー26における、切替フラッパ25及びホルダアーム31等の配置関係を上面側から見た斜視示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る画像形成装置の電気系のブロック図である。
【図14】本発明の実施形態に係る画像形成装置のジャム検出制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施形態は、本発明に係る画像形成装置を電子写真方式の画像形成装置(レーザプリンタ)に適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
1.画像形成装置の概要(図1参照)
1.1.画像形成部
画像形成装置1の画像形成部2は、図1に示すように、箱状に形成された筐体3内に収納されており、この画像形成部2により用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に画像が形成される。
【0026】
また、本実施形態に係る画像形成部2は、4つのプロセスカートリッジ4K、4Y、4M、4C、露光器5及び定着器6等から構成されているとともに、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色の現像剤(トナー)に対応した4つのプロセスカートリッジ4K、4Y、4M、4Cによって形成された4種類の現像剤像を、用紙上で重ね合わせることにより用紙にカラー画像を形成するダイレクトタンデム方式のものである。
【0027】
そして、給紙トレイ7に載置されている用紙は、ピックアップローラ7A、分離ローラ7B及び分離パッド7C等からなるフィーダ部により1枚ずつ分離して拾い上げられた後、一対のレジストローラ8にて斜行が矯正された後、転写ベルト9に搬送される。その後、現像剤像が用紙に転写され、その用紙に転写された現像剤像が定着器6にて加熱されて用紙に定着する。
【0028】
因みに、各プロセスカートリッジ4K〜4Cには、現像剤像が担持される感光ドラム4A、及び感光ドラム4Aを帯電させる帯電器4B等が収納されており、一方、転写ベルト9を挟んで感光ドラム4Aと対向する位置それぞれには、各感光ドラム4Aに担持された現像剤像を転写させる転写ローラ4Dが配設されている。
【0029】
1.2.両面印刷機構(図1〜図3参照)
両面印刷機構とは、用紙の表裏両面に画像を形成(印刷)するための機構である。
すなわち、画像形成部2にて画像形成が終了した用紙は、図1に示すように、第1搬送ローラ20A及び第2搬送ローラ21Aにより筐体3の上面側に設定された排紙口22まで搬送されていき、画像形成が完了した用紙は排紙口22から排紙されて排紙トレイ10に載置されていく。
【0030】
なお、本実施形態では、画像形成部2の出口部(定着器6の出口部)2Aから排紙口22に至る用紙搬送経路(以下、この用紙搬送経路を第1搬送経路L1という。)は、画像形成部2の出口部2Aから上方側に略180度屈曲するようなU字状に構成されている。そして、第1搬送ローラ20Aは画像形成部2の出口部2A近傍に設けられ、第2搬送ローラ21Aは排紙口22近傍に設けられている。
【0031】
因みに、ピンチローラ(コロ)20Bは、用紙を第1搬送ローラ20Aに押し付けながら用紙の搬送と共に従動回転するローラであり、ピンチローラ(コロ)21Bは、用紙を第2搬送ローラ21Aに押し付けながら用紙の搬送と共に従動回転するローラである。
【0032】
また、一対の中間ローラ23は、第1搬送経路L1において、第1搬送ローラ20Aと第2搬送ローラ21Aとの間に配設されて定着器6から排出された用紙の曲がり癖(カール)を矯正するためのものである。
【0033】
また、第2搬送ローラ21Aは、画像形成部2から排出された用紙をそのまま排紙トレイ10に排出させる向きに回転(以下、この向きの回転を正転という。)する場合と、画像形成部2から排出された用紙の搬送方向を反転させる向きに回転(以下、この向きの回転を逆転という。)する場合とが可能であり、本実施形態では、第2搬送ローラ21Aにより反転機構が構成されている。
【0034】
そして、第2搬送ローラ21Aは、片面印刷を行う場合には、表面への画像形成が終了して画像形成部2から排出された用紙をそのまま排紙トレイ10に排出させ、一方、両面印刷を行う場合、つまり裏面側にも画像を形成する場合には、表面への画像形成が終了した用紙の搬送後端側が第2搬送ローラ21A近傍に到達した時に、その搬送方向を反転させて用紙を第2搬送経路L2に向けて搬送する。
【0035】
ここで、第2搬送経路L2とは、第2搬送ローラ21Aにより搬送方向が反転された用紙を画像形成部2の入口部2B側に導くための用紙搬送経路であり、この第2搬送経路L2は、第1搬送経路L1と第2搬送経路L2との分岐部24から下方側に延びる第1鉛直経路部L21、この第1鉛直経路部L21の下端側から給紙トレイ7の下側を略水平方向に延びる水平経路部L22、及び水平経路部L22の出口側とレジストローラ8(画像形成部2の入口部2B)と結ぶ第2鉛直経路部L23を有して構成されている。
【0036】
ところで、分岐部24から排紙口22までの用紙搬送経路においては、第1搬送経路L1と第2搬送経路L2とが共通化されているため、第2搬送ローラ21Aにより搬送方向が反転された用紙の搬送方向先端側が、第2搬送経路L2(第1鉛直経路部L21)に搬送されず、第1搬送ローラ20Aの出口部2A側に搬送されてしまうおそれがある。
【0037】
そこで、本実施形態では、第1搬送経路L1及び第2搬送経路L2のうちいずれか一方の搬送経路を選択的に閉塞する切替フラッパ25を分岐部24に設けている。なお、切替フラッパ25の構造等の詳細は後述する。
【0038】
そして、切替フラッパ25は、用紙が画像形成部2から排出されるときには、図2に示すように、第1搬送経路L1を開くとともに第2搬送経路L2を閉塞し、一方、第2搬送ローラ21Aにて搬送方向が反転された用紙を第1鉛直経路部L21に導くときには、図3に示すように、第1搬送経路L1を閉塞するとともに第2搬送経路L2を開く。
【0039】
2.切替フラッパ周囲の構造(図1〜図12参照)
筐体3内には、図1に示すように、画像形成部2、第1搬送ローラ20A、第2搬送ローラ21A及び切替フラッパ25等が収納されているが、この筐体3の後方側には、第2搬送経路L2の一部を開放するための開口部3Aが設けられており、この開口部3Aの下端側は、水平経路部L22の入口部L24以下まで開口している。
【0040】
なお、水平経路部L22の入口部L24とは、第1鉛直経路部L21の下端側のうち、リアカバー26と対向して第1鉛直経路部L21を構成する部材であって装置本体側に設けられた部材(本実施形態では、後述するシュートフレーム27)の下端部(図1の二点鎖線で示した部分)をいう。
【0041】
また、開口部3Aはリアカバー26により閉塞されており、このリアカバー26は、開口部3Aを閉じた閉塞ポジション(図2等に示す状態)と開口部3Aを開放する開放ポジション(図4等に示す状態)との間で揺動可能に構成されている。そして、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときには、図1〜図3に示すように、リアカバー26により第2搬送経路L2の一部(第1鉛直経路部L21)の用紙搬送面が構成される。
【0042】
また、リアカバー26は、図5に示すように、C字状のヒンジ部26Aを介して装置本体の一部をなすシュートフレーム27の下端部に組み付けられており、ヒンジ部26Aの回転軸26B(リアカバー26の揺動中心)は、図1に示すように、水平経路部L22の入口部L24側より下方側に設定されている。
【0043】
なお、シュートフレーム27は、画像形成部2等が組み付けられる本体フレーム(図示せず。)に固定された部材であって、閉塞ポジション時にリアカバー26と所定の隙間を有して対向することにより、リアカバー26と共に第1鉛直経路部L21(第2搬送経路L2)の用紙搬送面を構成するものである。
【0044】
因みに、本実施形態では、本体フレームや筐体3等により装置本体が構成されており、本実施形態に係る本体フレームは、画像形成装置1の幅方向(左右方向)両端に設けられた板状のサイドフレーム及び幅方向に延びて両側のサイドフレームを連結するビームフレーム等から構成されている。
【0045】
また、シュートフレーム27の上部幅方向(左右方向)両端側には、図6に示すように、第1搬送ローラ20Aの回転軸20Cを支持する軸フレーム27Aが一体形成され、本体フレーム(サイドフレーム)には、ピンチローラ20Bを保持するコロホルダ28が組み付けられている。
【0046】
なお、複数個の第1搬送ローラ20Aは、回転軸20Cにより一体的に回転するのに対して、各ピンチローラ20Bは、個々に独立して従動回転することができるとともに、その回転軸がバネ等の弾性手段(図示せず。)により変位可能に弾性支持されている。
【0047】
また、コロホルダ28には、切替フラッパ25が第1搬送経路L1及び第2搬送経路L2のうちいずれの搬送経路を閉塞しているか否かを検出するフラッパセンサ29が組み付けられている。
【0048】
そして、フラッパセンサ29は、例えば、第1搬送経路L1が切替フラッパ25により閉じられているときには、図3に示すように、切替フラッパ25の先端に接触した状態(以下、ON状態という。)となり、逆に、第1搬送経路L1が切替フラッパ25により閉じられていないとき、つまり第1搬送経路L1が開放されているときには、図2及び図4に示すように、切替フラッパ25と離間した状態(以下、OFF状態という。)となる。
【0049】
また、第1搬送経路L1のうち分岐部24より搬送方向上流側の搬送経路であって、定着器6と第1搬送ローラ20Aとの間には、図1に示すように、この搬送経路を用紙が通過したか否か、つまり定着器6から用紙が排出されたか否か検出する用紙センサ30が設けられている。
【0050】
そして、用紙センサ30は、用紙センサ30が設けられている部位に用紙が存在するとき(用紙が通過している間)は、その旨の信号(例えば、ON信号)を出力し、一方、用紙が存在しない場合には、その旨の信号(例えば、OFF信号)を出力する。
【0051】
3.切替フラッパの詳細
3.1.切替フラッパ等の構造
切替フラッパ25は、図7に示すように、ひれ状に形成された複数個のフィン状体25Aを用紙搬送方向に直交する幅方向に並べたものであり、これらのフィン状体25Aは、図8に示すように、円弧状断面を有して幅方向に延びる帯状のフラッパ本体部25Bと共に樹脂にて一体成形されている。
【0052】
そして、フラッパ本体部25Bの長手方両端側は、図9及び図10に示すように、揺動アームをなすホルダアーム31に揺動可能に連結され、このホルダアーム31は、シュートフレーム27に揺動可能に組み付けられている。
【0053】
すなわち、ホルダアーム31は、図7に示すように、幅方向に延びる帯状のホルダ本体部31A、ホルダ本体部31Aの長手方向両端側に設けられて幅方向と直交する方向(紙面上下方向)に延びるアーム部31B、及びホルダ本体部31Aの長手方向両端側にてホルダアーム31を揺動可能に支持する揺動軸部31C等から構成されている。
【0054】
そして、揺動軸部31Cはシュートフレーム27に回転可能に組み付けられ、かつ、アーム部31Bの先端部が切替フラッパ25(フラッパ本体部25B)に対して揺動可能に連結されているので、切替フラッパ25とホルダアーム31とは、リアカバー26が閉塞ポジションから開放ポジションに揺動すると、これに連動して図4及び図11に示すように、その連結部31Dにて「く」の字状に折れ曲がるように揺動変位する。
【0055】
つまり、閉塞ポジションにおいては、図3に示すように、揺動軸部31C及び連結部31Dは、鉛直方向に沿って並ぶように、連結部31Dが切替フラッパ25の下端側に位置するとともに、揺動軸部31Cがホルダアーム31の下端側に位置することとなる。そして、リアカバー26が開かれると、連結部31Dは、リアカバー26の揺動と連動して揺動軸部31Cを中心として回転するように下方側に変位する。
【0056】
因みに、揺動軸部31Cは、第2搬送経路L2を搬送される用紙と干渉することがないように、第2搬送経路L2を挟んでリアカバー26と反対側、又は幅方向において第2搬送経路L2からずれた位置に設定されている。
【0057】
また、ホルダアーム31の幅方向両端側に設定された連結部31Dのうち少なくとも一端側に設定された連結部(本実施形態では、右端側)には、バネ32(図10参照)が設けられており、このバネ32は、切替フラッパ25の先端部25Cを下方側に変位させる向きの弾性力を切替フラッパ25に作用させる。
【0058】
そして、本実施形態に係るバネ32は、図10に示すように、捻りコイルバネ又は「く」の字状の屈曲した板状(棒状)のバネであり、その一端側が切替フラッパ25に係止され、他端側がホルダアーム31に係止され、かつ、その屈曲部(捻り部)が連結部31Dに配置されているので、切替フラッパ25及びホルダアーム31は、常に、両者のなす角θ(図4又は図11参照)が小さくなる向きの弾性力をバネ32から受ける。
【0059】
また、リアカバー26のうち切替フラッパ25に対応する部位には、図11に示すように、切替フラッパ25のうち連結部31Dを挟んでその先端部25Cと反対側に設定された第1被押圧部25Dを押圧するための第1押圧部26Cが設けられている。
【0060】
そして、この第1押圧部26Cは、リアカバー26が開放ポジションから閉塞ポジション側に揺動するときには、第1被押圧部25Dに接触して第1被押圧部25Dを画像形成部2(装置本体)側に押圧し、リアカバー26が閉塞ポジションとなったときには、図2及び図3に示すように、第1被押圧部25Dの可動範囲から外れた箇所に位置するように設定されている。
【0061】
また、リアカバー26のうちホルダアーム31に対応する部位には、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときに、リアカバー26側から画像形成部2(装置本体)側にホルダアーム31を押圧する第2押圧部26Dが設けられており、この第2押圧部26Dは、ホルダアーム31の揺動軸部31C側に設定された第2被押圧部31Eを押圧する。
【0062】
つまり、リアカバー26は、開放ポジションから閉塞ポジション側に揺動する際には第1押圧部26Cにて切替フラッパ25に設定された第1被押圧部25Dを画像形成部2側に押圧し、完全に閉塞ポジションとなったときには、第2押圧部26Dにてホルダアーム31を画像形成部2側に押圧する。
【0063】
このため、閉塞ポジション時においては、ホルダアーム31は、シュートフレーム27(装置本体)と第2押圧部26Dとにより挟まれて揺動不可な状態となるのに対して、切替フラッパ25は、第1押圧部26Cが第1被押圧部25Dの可動範囲から外れた箇所に位置するため揺動可能な状態となる。
【0064】
また、シュートフレーム27(軸フレーム27A)には、図9〜図12(特に、図11)に示すように、切替フラッパ25の先端部25Cが所定方向に変位するように、先端部25Cの変位を規制する摺動案内面27B(図9及び図10の斜線部分)が設けられており、この摺動案内面27Bは、リアカバー26と反対側、つまり画像形成部2(装置本体)側から切替フラッパ25の先端部25Cに摺動可能に接触して先端部25Cの変位を案内規制する規制手段をなすものである。
【0065】
3.2.切替フラッパの作動
前述したように、バネ32は切替フラッパ25とホルダアーム31とのなす角θが小さくなる向きの弾性力を切替フラッパ25及びホルダアーム31に作用させる。そして、閉塞ポジション時においては、図3に示すように、連結部31D及び揺動軸部31Cは鉛直方向に沿うように並び、かつ、連結部31Dは切替フラッパ25の下端側に位置し、揺動軸部31Cはホルダアーム31の下端側に位置しているとともに、ホルダアーム31は揺動不可となる。
【0066】
このため、本実施形態では、切替フラッパ25の先端部25Cは、バネ32の弾性力及び自身に作用する重力(以下、これらの力を総称して揺動力M2という。)により、連結部31Dを中心として、画像形成部2(装置本体)側、つまりリアカバー26から離間する向き(左向き)に回転しようとする。
【0067】
このため、本実施形態では、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときには、切替フラッパ25は、バネ32により画像形成部2の出口部2A、つまり第1搬送経路L1を閉塞して用紙を第2搬送経路L2に案内可能な状態(図3に示す状態)となる。
【0068】
そして、画像形成部2から用紙が排紙されると、用紙の搬送方向先端側が切替フラッパ25に接触するので、切替フラッパ25は、その搬送力により押し上げられて画像形成部2(装置本体)から離間する向き、つまりリアカバー26側(右向き)に回転し、第2搬送経路L2を閉塞した状態(図2に示す状態)となる。
【0069】
ところで、リアカバー26と反対側(画像形成部2側)に摺動案内面27Bが設けられ、かつ、切替フラッパ25の先端部25Cは、前述したように、揺動力M2により画像形成部2側(左向き)に回転しようとするので、図4に示すように、先端部25Cは揺動力M2により摺動案内面27Bに押し付けられる。
【0070】
このため、リアカバー26が開かれ、第2押圧部26Dがホルダアーム31から離間してホルダアーム31が揺動可能な状態となると、図11に示すように、切替フラッパ25の先端部25Cは、揺動力M2により摺動案内面27B側に押圧されて摺動案内面27Bに接触しながら変位するので、先端部25Cの変位は、摺動案内面27Bに沿った方向D1に規制される。
【0071】
一方、ホルダアーム31の揺動中心(揺動軸部31C)はシュートフレーム27(装置本体)に対して不動であり、かつ、揺動力M2は切替フラッパ25及びホルダアーム31間のなす角θを小さくする向きの力を切替フラッパ25及びホルダアーム31に作用させるので、リアカバー26が開かれると、切替フラッパ25の先端部25Cが摺動案内面27Bに沿って下方側に変位しながら連結部31Dが画像形成部2側からリアカバー26側(図11の左側から右側)に変位する。
【0072】
つまり、本実施形態では、リアカバー26が開かれると、連結部31Dはリアカバー26側、つまり画像形成部2から離間する向き(図11の右側)に変位するのに対して、切替フラッパ25は画像形成部2側(図11の左側)に変位しようとするので、切替フラッパ25の先端部25Cは、リアカバー26の開作動と連動して連結部31Dの変位方向(図1の左右方向)と交差する方向(方向D1)に変位する。
【0073】
このため、リアカバー26が開放ポジションとなると、図5に示すように、第2搬送経路L2及び画像形成部2の出口部2A(第1搬送ローラ20Aの出口)が開放された状態となるので、第1鉛直経路部L21(第2搬送経路L2)に詰まった用紙を容易に除去することができるとともに、画像形成が終了した用紙を第1搬送ローラ20Aの出口から直接的に排紙すること(以下、この排紙をストレート排紙という。)が可能となる。
【0074】
また、リアカバー26が開放ポジションとなると、切替フラッパ25の先端部25Cが画像形成部2の出口部2Aより下方側まで退避するので、切替フラッパ25をストレート排紙された用紙を載置するための載置部25Eとして機能する。
【0075】
なお、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときは、揺動力M2により切替フラッパ25が画像形成部2側に位置して第1搬送経路L1が閉塞されているので、フラッパセンサ29はON状態となる(図3参照)。一方、リアカバー26が開かれると、切替フラッパ25の先端部25Cが下方側に変位するので、実質的に第1搬送経路L1が開放された状態となり、フラッパセンサ29はOFF状態となる(図4参照)。
【0076】
つまり、本実施形態では、バネ32及びホルダアーム31は、リアカバー26が開かれたときに、第1搬送経路L1が開放された状態となるように切替フラッパ25を変位させるフラッパ変位機構として機能する。
【0077】
4.フラッパセンサ及び用紙センサの作動(図13及び図14参照)
フラッパセンサ29及び用紙センサ30の出力信号は、図13に示すように、制御部33に入力されており、制御部33は、これらセンサ29、30の出力信号及びROM等の不揮発性記憶手段(図示せず。)に記憶されているプログラムに従って、画像形成部2や筐体3の前面側に設けられた表示部(表示パネル)34等の作動を制御する。因みに、制御部33は、CPU、ROM及びRAM等からなる周知のマイクロコンピュータにて構成されたものである。
【0078】
また、制御部33は、フラッパセンサ29及び用紙センサ30の出力信号に基づいて、以下の制御を実行する。すなわち、画像形成装置1の電源スイッチ(図示せず。)が投入されると、図14に示す制御(以下、この制御をジャム検出制御という。)を実行するためのプログラムがCPU(制御部33)に読み込まれ、CPU(制御部33)は電源スイッチが遮断されるまでジャム検出制御を実行する。
【0079】
そして、ジャム検出制御が起動されると、先ず、画像形成装置1に対して印刷指令がユーザによりされたか否かが判定され(S10)、印刷指令がされていないと判定された場合には(S10)、再びS10が実行される。
【0080】
一方、印刷指令がされたと判定された場合には(S10:YES)、フラッパセンサ29がOFF状態であるか否か、つまり第1搬送経路L1が開放され第2搬送経路L2が閉塞されているか否かが判定され(S20)、フラッパセンサ29がOFF状態であると判定された場合には(S20:YES)、フラッパセンサ29がOFF状態である判定したタイミング(時刻)が、画像形成部2に用紙を給紙した時から所定範囲のタイミング(時刻)であるか否かが判定される(S30)。
【0081】
ここで、画像形成部2に用紙を給紙した時から所定範囲のタイミングであるとは、用紙が正常に搬送された場合において、画像形成部2に用紙を給紙した時を基準として、用紙の搬送方向先端がフラッパセンサ29に接触する時刻から用紙の搬送方向後端がフラッパセンサ29から離間する時刻までに、フラッパセンサ29のOFF状態を判定したことをいう。
【0082】
そして、フラッパセンサ29がOFF状態である判定したタイミングが所定範囲のタイミングであると判定された場合には(S30:YES)、用紙が第1搬送経路L1を正常に通過したものと制御部33に認識された後(S40)、再びS10が実行される。
【0083】
一方、フラッパセンサ29がOFF状態である判定したタイミングが所定範囲のタイミングでないと判定された場合には(S30:NO)、用紙センサ30が用紙の存在を検出したか否かが判定される(S50)。
【0084】
そして、用紙センサ30が用紙の存在を検出したと判定された場合には(S50:YES)、画像形成部2の出口部2Aで用紙が詰まっているものと制御部33に認識され、その旨が表示部34に表示された後(S70)、再びS10が実行される。
【0085】
一方、用紙センサ30が用紙の存在を検出していないと判定された場合には(S50:NO)、リアカバー26が開かれているものと制御部33に認識され、その旨が表示部34に表示された後(S60)、再びS10が実行される。
【0086】
また、S20にてフラッパセンサ29がOFF状態でないと判定された場合には(S20:NO)、画像形成部2に用紙を給紙した時から所定時間が経過したか否か、つまり給紙開始後、用紙の搬送方向先端がフラッパセンサ29に接触する時刻になったか否か判定される(S80)。
【0087】
そして、給紙後、所定時間が経過していないと判定された場合には(S80:NO)、再びS20が実行され、一方、所定時間が経過したと判定された場合には(S80:YES)、画像形成部2にて用紙が詰まったものと制御部33に認識され、その旨が表示部34に表示された後(S60)、再びS10が実行される。
【0088】
5.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、前述したように、リアカバー26が閉塞ポジションから開放ポジションに揺動変位すると、ホルダアーム31及び切替フラッパ25は、両者のなす角θが変化しながら連結部31Dを中心に回転しながらリアカバー26から離れるように退避していく。
【0089】
したがって、リアカバー26が開かれると、リアカバー26と切替フラッパ25とにより挟持された用紙が開放されるので、切替フラッパや詰まった用紙に無理な力が作用してしまうことがなく、切替フラッパ25等の損傷を抑制できる。
【0090】
延いては、ユーザが詰まった用紙を除去(ジャム処理)等する際に、無理なくリアカバー26を開くことができるので、ジャム処理等を容易にすることができ、画像形成装置の利便性を向上することができる。
【0091】
また、本実施形態では、切替フラッパ25の先端部25Cが所定方向に変位するように、先端部25Cの変位を規制する摺動案内面27Bを備えているので、リアカバー26を開閉する際に、切替フラッパ25を安定して変位させることができる、リアカバー26を開閉する際の開閉操作性を良好なものとすることができる。
【0092】
ところで、リアカバー26を閉じる際に、仮に、リアカバー26にてホルダアーム31を閉方向(画像形成部2側)に押圧すると、ホルダアーム31及び切替フラッパ25が摺動案内面27Bに押圧されながら閉塞ポジション時の状態に戻ることとなるので、切替フラッパ25の先端部25Cと摺動案内面27Bとの接触面圧が大きくなり、摺動抵抗が大きくなってしまい、リアカバー26を閉じる際の操作力が大きくなってしまうおそれがある。
【0093】
これに対して、本実施形態では、切替フラッパ25のうち連結部31Dを挟んでその先端部25Cと反対側に第1被押圧部25Dが設けられているので、リアカバー26が開放ポジションから閉塞ポジション側に揺動する際に、図11に示すように、先端部25Cが摺動案内面27Bから離間するような向きのモーメントM1が切替フラッパ25に作用するとともに、画像形成部2(装置本体)側に向かう向きの力F1が連結部31Dに作用する。
【0094】
したがって、本実施形態では、先端部25Cと摺動案内面27Bとの接触面圧が過度に大きくなることを抑制して摺動抵抗を小さくすることができるので、リアカバー26を閉じる際の操作力が過度に大きくなってしまうことを防止できる。
【0095】
また、本実施形態では、バネ32は、前述したように、切替フラッパ25を画像形成部2側に変位させる向きの弾性力を作用させるので、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときには、切替フラッパ25は、バネ32により画像形成部2の出口部2A、つまり第1搬送経路L1を閉塞して用紙を第2搬送経路L2に案内可能な状態となる。
【0096】
また、本実施形態では、前述したように、リアカバー26が開かれると、切替フラッパ25の先端部25Cは、画像形成部2の出口部2Aからずれるように退避し、画像形成部2の出口部2A側を開放することができるので、リアカバー26を開くことにより、画像形成が終了した用紙をストレート排紙することができる。
【0097】
また、本実施形態では、リアカバー26が閉塞ポジションにあるときには、第2押圧部26Dにより第2被押圧部31Eが押圧され、第2押圧部26Dは、第1被押圧部25Dの可動範囲から外れた箇所に設定されているので、切替フラッパ25を適切に作動させつつ、切替フラッパ25の作動が第2押圧部26Dにより妨げられてしまうことを防止できる。
【0098】
また、本実施形態では、リアカバー26が開放ポジションとなったときには、切替フラッパ25がストレート排紙された用紙の載置部25Eとして機能するので、ストレート排紙された用紙が散在してしまうことを抑制できる。
【0099】
また、本実施形態では、リアカバー26の揺動中心26Bが、水平経路部L22の入口部L24側より下方側に設定されているので、第2搬送経路L2を搬送される用紙の搬送方向先端側が水平経路部L22に到達している状態で用紙が詰まった場合であっても、リアカバー26を開くことにより、その詰まった用紙を容易に除去することができる。
【0100】
また、本実施形態では、フラッパセンサ29は、切替フラッパ25が第1搬送経路L1及び第2搬送経路L2のうちいずれか一方の搬送経路(本実施形態では、第1搬送経路L1)が閉塞されているか否かを検出することができ、かつ、リアカバー26が開かれたときに、その一方の搬送経路(第1搬送経路L1)が開放された状態となるように切替フラッパ25が変位する(図3及び図5等参照)。
【0101】
このため、リアカバー26が閉じられているときには、フラッパセンサ29の検出値に基づいて、いずれの搬送経路を用紙が通過したか否かを検出することができ、一方、フラッパセンサ29が、その一方の搬送経路(第1搬送経路L1)が開放された状態を長時間に渡って検出した場合には、リアカバー26が開いているものと判断することが可能である。
【0102】
つまり、第1搬送経路L1が閉塞されていることを検出した場合には、リアカバー26が閉じられた状態で用紙が第2搬送経路を通過したと判断することが可能である。一方、第1搬送経路L1が閉塞された状態から解放された状態を検出した後、比較的に短時間後に第1搬送経路L1が閉塞されたことが検出された場合には、用紙が第1搬送経路を通過したと判断することが可能である(S40)。
【0103】
このように、本実施形態では、用紙の搬送経路を切り替える切替フラッパ25を利用して部品点数の増加を抑制しつつ、いずれの搬送経路を用紙が通過したか否かに加えて、リアカバー26の開閉状態も検出することができる。
【0104】
ところで、フラッパセンサ29は、通常、配線を必要とするので、本実施形態のごとく、切替フラッパ25を挟んでリアカバー26と反対側、つまり装置本体側にフラッパセンサ29を配設すれば、配設の取り回しを容易なものとすることができる。
【0105】
因みに、フラッパセンサ29をリアカバー26に設けると、配線が長くなって複雑になるとともに、リアカバー26を開閉する際の振動等によりフラッパセンサ29が損傷するおそれがあるが、本実施形態では、フラッパセンサ29をリアカバー26に設けていないので、上記のような不具合は発生しない。
【0106】
また、本実施形態では、用紙センサ30により用紙の通過が検出されなかった状態で、フラッパセンサ29が第1搬送経路L1の開状態を検出した場合には、リアカバー26が開いているものと判断し、用紙センサ30により用紙の通過が検出された状態で、フラッパセンサ29が第1搬送経路L1の開放状態を検出した場合には、用紙が第1搬送経路L1(画像形成部2の出口部2A)に詰まったもの判断するので、リアカバー26が開かれた状態と用紙が詰まった状態とを確実に区別して判断することが可能となる。
【0107】
また、用紙センサ30は、通常、必ず設けられているので、本実施形態では、部品点数の増加を招くことなく、リアカバー26が開かれた状態と用紙が詰まった状態とを確実に区別して判断することができる。
【0108】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、連結部31Dを切替フラッパ25の下端側に設定し、かつ、揺動軸部31Cをホルダアーム31の下端側に設定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、連結部31Dを切替フラッパ25の下端側に設定し、かつ、揺動軸部31Cをホルダアーム31の上端側に設定してもよい。
【0109】
なお、上記のような構成とすると、リアカバー26が開かれたとき、切替フラッパ25とホルダアーム31とのなす角θが大きくなるようにバネ32を設定する必要がある。
また、上述の実施形態では、バネ32を捻りバネにて構成するとともに、一端側を切替フラッパ25に係止し、他端側をホルダアーム31に係止したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、コイルバネ(つるまきバネ)にてバネ32を構成するとともに、その一端側を切替フラッパ25に固定し、他端側をシュートフレーム27等に固定することより、揺動力M2を切替フラッパ25に作用させる、又はバネ32を廃止して重力のみで揺動力M2を切替フラッパ25に作用させてもよい。
【0110】
また、上述の実施形態では、揺動力M2により切替フラッパ25の先端部25Cが常に摺動案内面27Bに押し付けられていたので、先端部25Cが所定方向に変位するように先端部25Cの変位を規制する規制手段として摺動案内面27Bを採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば先端部25Cにピンを設け、このピンが変位可能に填り込む溝や長穴をシュートフレーム27に設けることにより、規制手段を構成してもよい。
【0111】
また、上述の実施形態では、切替フラッパ25に第1被押圧部25Dを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1被押圧部25Dを廃止し、第2被押圧部31Eのみをリアカバー26にて押圧する構成としてもよい。
【0112】
また、上述の実施形態では、用紙センサ30とフラッパセンサ29を用いて、リアカバー26が開かれた状態と用紙が詰まった状態とを区別したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、用紙センサ30を廃止し、第1搬送経路L1が閉塞された状態から解放された状態を検出した後、その状態が比較的に長時間に亘って検出された場合には、リアカバー26が開かれたものと判断することも可能である。
【0113】
また、上述の実施形態では、用紙センサ30として、定着器6の出口側に設けられた既存のセンサを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば画像形成部2又は画像形成部2より搬送方向上流の搬送経路に設けられた既存の用紙センサを用いてもよい。
【0114】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0115】
1…画像形成装置、2…画像形成部、3…筐体、4A…感光ドラム、
4K〜4C…プロセスカートリッジ、5…露光器、6…定着器、7…給紙トレイ、
7A…ピックアップローラ、8…レジストローラ、9…転写ベルト、
10…排紙トレイ、20A…第1搬送ローラ、20B…ピンチローラ、
20C…回転軸、21A…第2搬送ローラ、22…排出口、23…中間ローラ、
24…分岐部、25…切替フラッパ、25A…フィン状体、
25B…フラッパ本体部、25D…第1被押圧部、25E…載置部、
26…リアカバー、26A…ヒンジ部、26B…回転軸、26B…揺動中心、
26C…第1押圧部、26D…第2押圧部、27…シュートフレーム、
27A…軸フレーム、27B…摺動案内面、28…コロホルダ、
29…フラッパセンサ、30…用紙センサ、31…ホルダアーム、
31A…ホルダ本体部、31B…アーム部、31C…揺動軸部、31D…連結部、
31E…第2被押圧部、32…バネ、33…制御部、34…表示部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートの表裏両面に画像を形成することが可能な画像形成装置であって、
記録シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部から排出された記録シートの搬送方向を反転させる反転機構と、
前記画像形成部の出口側から前記反転機構に至る第1搬送経路と前記反転機構にて搬送方向が反転された記録シートを前記画像形成部の入口側に導くための第2搬送経路との分岐部に設けられ、いずれか一方の搬送経路を選択的に閉塞するための切替フラッパと、
前記画像形成部、前記反転機構及び前記切替フラッパを収納するとともに、前記第2搬送経路の少なくとも一部を開放するための開口部が形成された筐体と、
前記筐体に対して変位可能に組み付けられ、前記開口部を開閉するためのカバーと、
前記切替フラッパが前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路のうちいずれか一方の搬送経路を閉塞しているか否かを検出するフラッパセンサと、
前記カバーが開かれたときに、前記一方の搬送経路が開放された状態となるように前記切替フラッパを変位させるフラッパ変位機構と、
前記フラッパセンサの検出結果に基づいて、記録シートが前記一方の搬送経路を通過しているか否か、及び前記カバーが開かれているか否かを判断する判断手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カバーが閉じられている場合であって記録シートが前記一方の搬送経路を通過するとき以外の場合は、前記切替フラッパは前記一方の搬送経路を閉塞していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記フラッパセンサは、前記切替フラッパを挟んで前記カバーと反対側に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1搬送経路のうち前記分岐部より搬送方向上流側の搬送経路、又は前記第1搬送経路より搬送方向上流の搬送経路であって前記第1搬送経路に至る搬送経路には、記録シートが通過したか否かを検出するシートセンサが設けられており、
さらに、前記判断手段は、前記フラッパセンサ及び前記シートセンサの検出結果に基づいて、前記第1搬送経路に記録シートが詰まっているか又は前記カバーが開かれているかを判断することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項1】
記録シートの表裏両面に画像を形成することが可能な画像形成装置であって、
記録シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部から排出された記録シートの搬送方向を反転させる反転機構と、
前記画像形成部の出口側から前記反転機構に至る第1搬送経路と前記反転機構にて搬送方向が反転された記録シートを前記画像形成部の入口側に導くための第2搬送経路との分岐部に設けられ、いずれか一方の搬送経路を選択的に閉塞するための切替フラッパと、
前記画像形成部、前記反転機構及び前記切替フラッパを収納するとともに、前記第2搬送経路の少なくとも一部を開放するための開口部が形成された筐体と、
前記筐体に対して変位可能に組み付けられ、前記開口部を開閉するためのカバーと、
前記切替フラッパが前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路のうちいずれか一方の搬送経路を閉塞しているか否かを検出するフラッパセンサと、
前記カバーが開かれたときに、前記一方の搬送経路が開放された状態となるように前記切替フラッパを変位させるフラッパ変位機構と、
前記フラッパセンサの検出結果に基づいて、記録シートが前記一方の搬送経路を通過しているか否か、及び前記カバーが開かれているか否かを判断する判断手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カバーが閉じられている場合であって記録シートが前記一方の搬送経路を通過するとき以外の場合は、前記切替フラッパは前記一方の搬送経路を閉塞していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記フラッパセンサは、前記切替フラッパを挟んで前記カバーと反対側に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1搬送経路のうち前記分岐部より搬送方向上流側の搬送経路、又は前記第1搬送経路より搬送方向上流の搬送経路であって前記第1搬送経路に至る搬送経路には、記録シートが通過したか否かを検出するシートセンサが設けられており、
さらに、前記判断手段は、前記フラッパセンサ及び前記シートセンサの検出結果に基づいて、前記第1搬送経路に記録シートが詰まっているか又は前記カバーが開かれているかを判断することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−230853(P2010−230853A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76791(P2009−76791)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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