説明

画像形成装置

【課題】手動による除去が困難なジャムの発生を防止しながら、自動排紙動作を行い、ユーザビリティを向上すること。
【解決手段】エンジン制御部202がシート材のジャムが発生したと判断した際に、センサ入力部206からの情報に基づきジャムの種類を判定するジャム種判定部302と、ジャム種判定部302により判定したジャムの種類の情報を記憶するジャム種記憶部303と、センサ入力部206からの情報に基づきジャムが発生した際のシート材の位置を判定するジャム位置判定部301とを備え、エンジン制御部202は、ジャムが発生した際に、ジャム位置判定部301により判定されたシート材の位置とジャム種記憶部303に記憶されたジャムの種類の情報とに応じて、自動排紙動作を行うか行わないかを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真複写機でシート材を加工して搬送する画像形成装置に関するものであり、シート材のジャムが発生した際の、シート材の自動排出動作の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機等においてシート材(用紙)の状態、機器の状態、機器の周辺環境に起因して、シート材の給紙から排紙までの間の経路上で、シート材の紙詰まり(以下、ジャムという)が発生することがある。一旦ジャムが発生すると、ジャムが発生した位置を検知した後に、ユーザが直接複写機等のドアを開けてジャムになったシート材を除去し、その後正常動作に復帰するようになっていた。このように、従来の場合には、ジャムが発生すると、必ずユーザが直接ジャムとなったシート材を除去しなければならず、その過程ではトナーでユーザの手が汚れてしまうこともあった。
【0003】
そこで、公知技術として、ジャムの種類によっては、ユーザがジャムになったシート材を手動で除去しなくても自動排紙動作できるように制御する技術がある。また、特許文献1では、ある特定のジャムが発生した回数をカウントして、その回数がある閾値を超えるまでは自動排紙動作を行い、その後はユーザにより手動でジャムになったシート材の除去を行う発明も開示されている。このように、自動排紙動作をするかどうかの判断をすることで、ユーザの手間をできる限り少なくすることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第02820626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、あるジャムが発生した際に、常に自動排紙動作を行うと、場合によってはジャムになったシート材の除去が難しくなってしまう場合がある。図4にその例を示す。先行紙(先に給紙されたシート材)のシート材S1が、搬送不良等の要因で図4に示すような位置で止まってしまったとすると、後続紙(後から給紙されたシート材)のシート材S2は図4に示すような位置に存在する。複写機等では、排紙センサ115でシート材S1の先端を所定時間内に検知できない場合に、ジャムが発生したと判断する。このように、実際にジャムと決定するために、所定時間を要する。そのため、後続紙のシート材S2はジャムと決定するまでの所定時間分だけ搬送される可能性があり、シート材S2の長さによっては先行紙のシート材S1の後端にシート材S2の先端がぶつかってしまうこともある。このような場合、図5に示すようにシート材S2は先端に例えば不規則な折り目がついてしまうことになる。
【0006】
所定時間後にジャムで停止した際に、ユーザは見えやすい位置で止まっているシート材S1のみを除去することが考えられる。ユーザがシート材S1のみを除去してドアを閉めると、複写機等は機内に残っているシート材の有無を再評価して、自動排紙動作をするかどうかを判断する。シート材S2は、図5に示すようにプレフィードセンサ104によって検知され、用紙ありと判断され、定着器120にも転写ローラ108にも噛んでないシート材と判断されて自動排紙対象紙となる。しかし、シート材S2の先端は例えば不規則な折り目がついた状態であるため、シート材S2に対して自動排紙動作を行うと、図6に示すようにシート材S2に蛇腹状の折り目が形成されジャムとなる(以下、蛇腹状のジャムという)可能性がある。このように一度蛇腹状のジャムになってしまうと、ユーザがこのシート材S2を取り除くことが困難になってしまい、ユーザビリティが低下するおそれがある。
【0007】
しかし、このような特殊な状況ばかりを考慮して、自動排紙動作を行わないようにすると、ユーザがジャムの度に手動でシート材を除去しなければならない。また、特許文献1のように、ある特定のジャムが発生した回数をカウントした結果に応じて自動排紙動作する場合とユーザが手動でジャムを除去する場合を切り分ける方法では、このような問題は解決できない。
【0008】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、手動による除去が困難なジャムになることを防止しながら、自動排紙動作を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0010】
(1)シート材の位置を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づきシート材のジャムが発生したか否かを判断する制御手段と、を備え、前記制御手段は、ジャムが発生したと判断した際に、画像形成装置内のシート材を画像形成装置外に排紙する自動排紙動作を行うことが可能な画像形成装置であって、前記制御手段がシート材のジャムが発生したと判断した際に、前記検知手段による検知結果に基づき前記ジャムの種類を判定する種類判定手段と、前記種類判定手段により判定した前記ジャムの種類の情報を記憶する記憶手段と、前記検知手段の検知結果に基づき前記ジャムが発生した際のシート材の位置を判定する位置判定手段と、を備え、前記制御手段は、前記ジャムが発生した際に、前記位置判定手段により判定されたシート材の位置と前記記憶手段に記憶された前記ジャムの種類の情報とに応じて、前記自動排紙動作を行うか否かを判断することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、手動による除去が困難なジャムの発生を防止しながら自動排紙動作を行うことができ、ユーザビリティが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1〜3に係る画像形成装置の概要を示す図
【図2】実施例1〜3に係る制御系の構成を示すブロック図
【図3】実施例1〜3に係るエンジン制御を示すブロック図
【図4】先行紙の搬送が停止してしまった場合の先行紙と後続紙の位置関係を示す図
【図5】先行紙の排紙遅延ジャムが確定した際の先行紙と後続紙の位置関係を示す図
【図6】図5の状態から後続紙に対して自動排紙動作を行った場合の後続紙を示す図
【図7】先行紙が排紙遅延ジャムで停止した際の先行紙と後続紙の位置関係を示す図
【図8】先行紙が排紙滞留ジャムで停止した際の先行紙と後続紙の位置関係を示す図
【図9】実施例1に係る制御処理を示すフローチャート
【図10】給紙遅延ジャムが発生したときの様子を示す図
【図11】再給紙遅延ジャムが発生したときの様子を示す図
【図12】プレフィードセンサに先端が到達していない給紙遅延ジャムを示す図
【図13】実施例2に係る制御処理を示すフローチャート
【図14】実施例3に係る電源オン時のイニシャル動作を行うかどうかの判断を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。ここでは一例として電子写真方式のレーザビームプリンタに適用した形態を示すが、本発明は、複写機・レーザファクシミリなどの画像形成装置やインクジェット方式の画像形成装置などにも適用することができる。また、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0014】
[画像形成装置の構成]
図1〜図9を参照して、実施例1に係る画像形成装置について説明する。まず、図1を用いて画像形成装置の全体構成について説明を行う。図1は、本実施例の画像形成装置であるレーザビームプリンタ100の概略構成断面図である。レーザビームプリンタ100(以下、単にプリンタ100とする)は画像を形成するための感光ドラム111を備えている。感光ドラム111のまわりには、現像ローラ109と、帯電ローラ110と、転写ローラ108が順次配置されている。現像ローラ109は、感光ドラム111上に露光によって形成された静電潜像をトナーにより現像する。帯電ローラ110は、感光ドラム111に電荷を帯電する。転写ローラ108は、現像によって得られたトナー像をシート材に転写する。感光ドラム111、現像ローラ109、帯電ローラ110は一体となってトナーカートリッジ112を構成する。
【0015】
なお、図1において、114はレーザ、113は感光ドラム111にレーザを照射するためにレーザを反射するミラーである。
【0016】
図2に示すように、プリンタコントローラ201から印字情報を受けたエンジン制御部202は、用紙搬送制御部203にシート材の搬送指示を行う。シート材は給紙ローラ102(又は152、162)によって給紙トレイから給紙を開始され、中間ローラ103(又は153、163)、プレフィードセンサ104を経て、搬送路140に搬送される。次に中間ローラ103によって搬送されたシート材は、トップセンサ(TOPセンサ)106と紙幅センサ107を経て感光ドラム111へ搬送される。トップセンサ106は、センサの検知時に搬送されているシート材の長さを計時し始め、紙幅センサ107はシート材の幅の検知を行う。シート材は感光ドラム111と転写ローラ108の間(転写ニップ部)を通過する際にトナー像が転写される。トナーが転写されたシート材は、定着器120を通過する。定着器120では加熱されたヒータ119、ヒータ119の温度を検知するサーミスタ118、熱を加える定着フィルム117とシート材に圧力をかける加圧ローラ116から構成されている。シート材は、定着フィルム117と加圧ローラ116の間(定着ニップ部)を通過することでトナーがシート材に定着される。115は定着後のシート材を検知する排紙センサである。トナーが定着されたシート材は搬送ローラ121を経て、搬送路141に搬送される。
【0017】
片面印刷の場合は排紙ローラ123によって排紙され、両面印刷の場合は両面印刷モータが逆回転をはじめ、搬送路141中にあるシート材は第2面に印字するため逆転した搬送ローラ121と、両面搬送ローラ131によって両面搬送路142に搬送される。シート材は搬送ローラ133を経て再び搬送路140へ搬送され、感光ドラム111、転写ローラ108によって第2面にトナー像が転写される。トナー像を担持したシート材は定着器120によってトナー像が定着され、排紙ローラ123によって排紙される。なお、本実施例のプリンタ100は3つの給紙トレイを備える構成を例としている。また、105は搬送ローラ、132は再給紙センサ、122はフェイスアップ(FU)トレイ、130は両面ユニットである。
【0018】
[制御系の構成]
図2は図1に示す各部を制御する制御系の構成を示すブロック図である。図2において、プリンタコントローラ201はホストコンピュータ等の外部装置からの画像コードをプリンタによる印字に必要なビットデータに展開するとともに、プリンタエンジンの内部情報を通信等によって読み取り、それを表示する。エンジン制御部202は、ROM、RAM内蔵のワンチップマイクロコンピュータを有し、同様にマイクロコンピュータを有するプリンタコントローラ201とシリアル通信によって情報を送受する。エンジン制御部202は、プリンタエンジンの各部をプリンタコントローラ201の指示に従って動作するように制御するとともに、プリンタコントローラ201にプリンタ内部情報を報知する。
【0019】
203はシート材を給紙するための給紙ローラ102の駆動や、シート材を搬送するための搬送ローラ105の回転、停止の搬送制御をエンジン制御部202の指示に従って行う用紙搬送制御部である。204は帯電、現像、転写の各高圧電源の出力制御をエンジン制御部202の指示に基づき行う高圧制御部である。205はスキャナモータの駆動/停止、レーザ114の点滅をエンジン制御部202の指示に従って行う光学系制御部である。206は紙有無センサ、トップセンサ106、紙幅センサ107、排紙センサ115からの情報をエンジン制御部202に伝達するセンサ入力部である。207は定着器120の温度をエンジン制御部202の指定した温度に調節する定着温度制御部である。208はエンジン制御部202の指示に従い、両面ユニット130の制御を行う両面ユニット制御部である。
【0020】
[エンジン制御部の構成と制御]
続いて、具体的に本実施例を説明する。図3は本実施例におけるエンジン制御の構成を示すブロック図である。図4は先行紙(先に給紙されたシート材)の搬送が停止した場合の先行紙であるシート材S1と後続紙(後から給紙されたシート材)であるシート材S2の位置関係を示す図である。
【0021】
種類判定手段であるジャム種判定部302は、センサ入力部206から、トップセンサ106がシート材S1の先端を検知してから所定時間後に、排紙センサ115でシート材S1の先端を検知できないという情報を伝達された場合には、排紙遅延ジャムと判定する。また、連続印字中では図4に示すように後続紙であるシート材S2はすでに給紙を開始しており、実際に所定時間後にシート材S1のジャムを判定した際には、図5に示すような位置関係になる。前述した通り、この状態で画像形成装置外にシート材を自動で排紙する自動排紙動作をしてしまうと、図6のようにジャムとなったシート材S2(以降、ジャム紙ともいう)を除去するのが困難になるおそれがある。
【0022】
そこでまず、ジャム種判定部302が排紙遅延ジャムと判定した際に、ジャム種記憶部303にジャムの種類を記憶する。具体的には「排紙遅延ジャムが発生した」ことを示す情報を、例えばCPUの揮発性メモリであるRAMに記憶する。また、定着器120の定着ニップ部に搬送されているシート材S1があるので、ユーザにジャム紙を除去するように促す。このとき、ユーザはプリンタ100のドアを開けてシート材S1を除去し、シート材S2の存在に気づかずドアを閉める可能性がある。そこで、後続紙であるシート材S2の先端が、除去された先行紙であるシート材S1の後端にぶつかった可能性があるかどうかを判断するため、ジャム位置判定部301は、プレフィードセンサ104の位置にシート材S2が搬送されているかどうかを判定する。すなわち、シート材S1が除去されても、プレフィードセンサ104がシート材S2を検知している場合には、後続紙であるシート材S2が、シート材S1のジャムを確定するまでの所定時間中にも搬送されてしまったと判断する。このため、シート材S2は、その先端に例えば不規則な折り目が形成されている可能性がある(図5参照)。この場合、このまま自動排紙動作を行うと、シート材S2は、蛇腹状の折り目が形成されジャムとなる(以降、蛇腹状のジャムともいう)(図6参照)可能性がある。このような場合には、エンジン制御部202は、ユーザがドアを閉めても自動排紙動作や次のプリントに備えた初期動作(以降、イニシャル動作とする)を行わずに、ジャムとなったシート材S2が存在することをユーザに通知する。
【0023】
その後ユーザがシート材S2を除去して始めて、エンジン制御部202はイニシャル動作を行う。また、ユーザが最初にドアを開けた時点で、シート材S1、S2ともに除去した場合も、エンジン制御部202はイニシャル動作を行う。
【0024】
また、排紙遅延ジャムが発生した際に図7に示すような位置で止まった場合に、ユーザがシート材S1のみを除去してドアを閉めた場合には、ジャム位置判定部301はプレフィードセンサ104にシート材S2がないと判断する。この場合図6のような蛇腹状のジャムが発生する可能性はないので、エンジン制御部202はイニシャル動作を行う。
【0025】
また、図8に示すような排紙センサ115でシート材S1の後端を検知できないような排紙滞留ジャムが発生した場合に、ユーザが先行紙のシート材S1を除去したケースを考える。ジャム種判定部302は、排紙滞留ジャムが発生したと判定した時点で、ジャム種記憶部303にジャムの種類が排紙滞留ジャムであると記憶する。図8に示すように、排紙滞留ジャムでは、シート材S1の後端とシート材S2の先端がぶつかるという状況が発生しない。ジャム位置判定部301は、プレフィードセンサ104にシート材S2があると判定する。しかし、ジャム種記憶部303に記憶されているジャムの種類が排紙滞留ジャムであるので、エンジン制御部202は、このジャムのケースではユーザがドアを閉めた際に自動排紙動作を行いイニシャル動作を行う。
【0026】
[ジャム除去処理後の自動排紙動作の制御]
本実施例の処理について、図9を用いて説明する。図9はジャムが発生してから、ユーザがジャム処理を行った後にイニシャル動作を行うかどうかを判断する制御をフローチャートで示したものである。なお、ユーザが行うジャム処理とは、搬送路上で紙詰まりとなったシート材を、ユーザが手動で搬送路から取り除く処理である。
【0027】
プリント中にジャムが発生すると(ステップ901、以降「S901」のように記す)、ジャム種判定部302は、発生したジャムの種類(ジャム種)を判定する(S902)。ジャム種判定部302による判定後、判定したジャム種をジャム種記憶部303(例えばCPUのRAM)に記憶する(S903)。エンジン制御部202は、ジャムが発生したことをユーザに通知する(S904)。エンジン制御部202がジャムの発生をユーザに通知した後に、ユーザによるジャム処理が行われる(S905)。なお、ユーザがドアを開閉したことを不図示のドア開閉検知センサ等の検知手段が検知したという情報が、センサ入力部206からエンジン制御部202に送られることで、エンジン制御部202はユーザによるジャム処理の状況を判断する。
【0028】
ユーザによるジャム処理が終了しドアが閉められたことを検知したら、エンジン制御部202は、画像形成装置内であるプリンタ100内(以下、機内とする)にシート材が残っているかをセンサ入力部206の情報から判断する(S906)。ここで、エンジン制御部202は、機内にシート材が残っていないと判断した場合は、イニシャル動作を開始する(S911)。また、エンジン制御部202は、機内にシート材が残っていると判断した場合は、ジャム位置判定部301により定着器120の周辺にシート材が残っていないかを排紙センサ115により判断する(S907)。S907でエンジン制御部202は、定着器120の周辺にシート材が残っていると判断した場合はS904の処理に戻って、ユーザによるジャム処理を行う。なお、排紙センサ115でシート材の先端を検知してから所定時間後に排紙センサ115でシート材の後端を検知できない場合等に、ジャム位置判定部301は、シート材が定着器120周辺に残っていると判定する。
【0029】
エンジン制御部202は、S907で定着器120周辺にシート材が残っていないと判断した場合は、ジャム位置判定部301によりプレフィードセンサ104にシート材があるかどうかを判定する(S908)。ジャム位置判定部301によりプレフィードセンサ104にシート材が残っていないと判定した場合は(図7)、エンジン制御部202は自動排紙動作を行う(S910)。ジャム位置判定部301によりプレフィードセンサ104にシート材が残っていると判定した場合は、エンジン制御部202は、ジャム種記憶部303に記憶されたジャム種が排紙遅延ジャムかどうかを判断する(S909)。記憶されたジャム種が排紙遅延ジャムでなかった場合は(図8)、エンジン制御部202は自動排紙動作を行い(S910)、イニシャル動作を行う(S911)。S909でエンジン制御部202は排紙遅延ジャムであると判断した場合には(図5)、S904の処理に戻り、ユーザによるジャム処理を行う。
【0030】
エンジン制御部202は、S911でイニシャル動作を開始して、S912でジャム種記憶部303に記憶されたジャム種情報(例えば、「排紙遅延ジャム」や「排紙滞留ジャム」等の情報)を消去する。このジャム種記憶部303が例えばCPUのRAMである場合は、記憶されたジャム情報は、プリンタ100の電源を切るかもしくはイニシャル動作を行わない限りは消去されない。
【0031】
このように、本実施例では排紙遅延ジャムが発生した際に、プレフィードセンサ104による検知結果を用いて自動排紙動作をするか否かを判断する。本実施例によれば、ユーザが除去しがたいジャムとなるのを防止しながら、自動排紙動作を行うことが可能となり、ユーザビリティが向上する。
【実施例2】
【0032】
実施例1では、連続プリント中に発生したジャムについて自動排紙動作を行うか否かを判断する構成を説明した。実施例2では、連続プリント中だけではなく、1枚プリントについて説明する。本実施例に係るプリンタ100の構成、制御系の構成、エンジン制御部の構成は、実施例1で説明した図1〜図3と同じ構成であり説明を省略し、以下同じ符号を用いて説明する。
【0033】
[1枚プリントで発生するジャム]
プレフィードセンサ104とトップセンサ106の間の搬送路140付近は機械的な構成が複雑であり、ユーザによるジャム処理も容易ではなく、また、前述した蛇腹状のジャムを引き起こしやすい。そのため、実施例1で示した後続紙の先端が先行紙の後端にぶつかることのみを考慮するのではなく、この区間のジャムに関しては注意を払う必要がある。
【0034】
シート材が搬送路140付近で止まり、蛇腹状のジャムが発生する可能性が高い場合として、次のようなジャムが考えられる。例えば、図10に示すようにトップセンサ106が所定時間経ってもシート材の先端を検知できないような給紙遅延ジャムが発生した場合が考えられる。また、図11に示すように両面ユニット130内から再給紙される際にトップセンサ106が所定時間経ってもシート材の先端を検知できないような再給紙遅延ジャムが発生した場合が考えられる。しかし、トップセンサ106が所定時間経過してもシート材の先端を検知できない給紙遅延ジャムすべてを、自動排紙動作を行わないジャムとしてしまうとユーザビリティが低下するおそれがある。そこで、図12に示すようにプレフィードセンサ104がシート材の先端を検知しない、すなわちプレフィードセンサ104までシート材が到達していない給紙遅延ジャムに関しては、手動で除去するジャムとせずに自動排紙対象紙とする。これにより、ユーザビリティを低下させずに除去しがたいジャムとなるのを防止する。
【0035】
[ジャム除去処理後の自動排紙動作の制御]
本実施例の処理について、図13で説明する。図13はジャムが発生してからユーザがジャム処理を行った後に、イニシャル動作を行うかどうかを判断する制御をフローチャートで示したものである。図13は実施例1で説明した図9の処理に対してさらに処理を追加したものである。同じ処理には同じステップ番号を付している。
【0036】
プリント中にジャムが発生すると(S901)、ジャム種判定部302はジャム種を判定する(S902)。ジャム種判定部302は、S902の判定後、ジャム種をジャム種記憶部303(例えばCPUのRAM)に記憶する(S903)。エンジン制御部202は、ジャムが発生したことをユーザに通知する(S904)。エンジン制御部202による通知の後に、ユーザによる手動のジャム処理を行う(S905)。なお、ジャム処理の状況は実施例1で説明したようにユーザのドア開閉によってエンジン制御部202が判断する。
【0037】
ユーザによるジャム処理が終了しプリンタ100のドアが閉められたら、エンジン制御部202は、機内にシート材が残っているかどうかをセンサ入力部206の情報から判断する(S906)。エンジン制御部202は機内にシート材が残っていないと判断した場合は、イニシャル動作を開始する(S911)。エンジン制御部202は、機内にシート材が残っていると判断した場合は、定着器120の周辺にシート材が残っていないかどうかを判断し(S907)、残っていると判断した場合はS904の処理に戻り、ユーザによるジャム処理を行う。
【0038】
エンジン制御部202は、定着器120周辺にシート材が残っていないと判断した場合は、プレフィードセンサ104にシート材があるかどうかをジャム位置判定部301によって判定する(S908)。S908でジャム位置判定部301がシート材は残っていないと判定した場合は、エンジン制御部202は自動排紙動作を行う(S910)。
【0039】
ジャム位置判定部301によりプレフィードセンサ104にシート材が残っていると判定した場合は、エンジン制御部202はジャム種記憶部303に記憶されたジャム種が排紙遅延ジャムかどうか判断する(S909)。エンジン制御部202は排紙遅延ジャムと判断した場合には、S904の処理に戻って、ユーザによるジャム処理を行う。S909でエンジン制御部202は排紙遅延ジャムでないと判断した場合は、ジャム種記憶部303に記憶されたジャム種が給紙遅延ジャムかどうかを判断する(S1301)。S1301でエンジン制御部202は給紙遅延ジャムと判断した場合には(図10)、S904の処理に戻ってユーザによるジャム処理を行う。S1301でエンジン制御部202は給紙遅延ジャムでないと判断した場合は、ジャム種記憶部303に記憶されたジャム種が再給紙遅延ジャムかどうかを判断する(S1302)。S1302でエンジン制御部202は再給紙遅延ジャムと判断した場合には(図11)、S904の処理に戻ってユーザによるジャム処理を行う。S1302でエンジン制御部202は再給紙遅延ジャムでないと判断した場合には(図12)、自動排紙動作を行い(S910)、イニシャル動作を行う(S911)。
【0040】
また、エンジン制御部202はS911でイニシャル動作を開始すると、ジャム種記憶部303に記憶されていたジャム種情報を消去する(S912)。このジャム種情報は実施例1同様、ジャム種記憶部303が例えばCPUのRAMであると、プリンタ100の電源を切るかもしくはイニシャル動作を行わない限りは消去されない。
【0041】
このように本実施例では、排紙遅延ジャムが発生した場合だけではなく、1枚プリントでも給紙遅延ジャムや再給紙遅延ジャムが発生した際にプレフィードセンサ104を用いて自動排紙動作をするか否かを判断する構成とする。本実施例によれば、ユーザが除去しがたいジャムとなるのを防止しながら、自動排紙動作を行うことが可能となり、ユーザビリティが向上する。
【実施例3】
【0042】
実施例1、実施例2では、プリント中に発生したジャムについて自動排紙動作を行うか否かを判断する構成を説明した。実施例3では、ジャム発生後に電源を切った(OFFした)場合について説明する。本実施例で使用するプリンタ100の構成、各部を制御する制御系の構成、エンジン制御の構成については、図1〜図3と同様であるため説明を省略し、以下同じ符号を用いて説明する。
【0043】
[ジャム処理後に電源を切ってしまった場合]
実施例1、2ではジャム発生後にユーザがジャム処理を行うときにプリンタ100の電源を切ってしまうと、ジャム種記憶部303であるCPUのRAMの情報も消去される。例えば、実施例2のように給紙遅延ジャムが発生し、プレフィードセンサ104にシート材が残っている状態で電源を切ってしまった場合を考える(図10参照)。プリンタ100の電源を入れた(ONした)時に、エンジン制御部202によるイニシャル動作を行うかどうかチェックする際に図14のような処理を考える。
【0044】
ユーザがプリンタ100の電源を入れると、エンジン制御部202は、最初にS1401で機内にシート材が残っていないかどうかを確認する。図10に示す給紙遅延ジャムの場合、S1401でエンジン制御部202はシート材が残っていると判断し、S1402で定着器120周辺にシート材が残っていないかどうかを判断する。
【0045】
図10の場合、エンジン制御部202は、S1402でシート材は定着器120周辺に残っていないと判断し、S1403でプレフィードセンサ104に残っていると判断する。ユーザがジャム処理時にプリンタ100の電源を一度切っているので、S1404、S1405、S1406の判断に用いるジャム種記憶部303に記憶されているジャム情報がない。その結果、エンジン制御部202はS1409で自動排紙動作を行ってしまい、図6に示すようなユーザが除去しがたい蛇腹状のジャムになってしまう可能性がある。
【0046】
そこで、本実施例ではジャム種記憶部303にCPUのRAMではなく、不揮発性メモリであるNVRAM(不揮発性ランダムアクセスメモリ)を用い、ジャム種判定部302がジャム種をジャム種記憶部303としてのNVRAMに記憶する。これにより、ユーザがジャム処理の際にプリンタ100の電源を切った場合でも、エンジン制御部202はNVRAMに記憶された情報を用いてS1404〜S1406の判断を行うことができる。
【0047】
[電源を入れた後の自動排紙動作の制御]
本実施例の処理について、図14を用いて説明する。図14はユーザがプリンタ100の電源を入れたときにエンジン制御部202がイニシャル動作を行うかどうかを判断する制御を示すフローチャートである。
【0048】
ユーザがプリンタ100の電源を入れると、エンジン制御部202は、機内にシート材が残っているかどうかをセンサ入力部206の情報から判断する(S1401)。S1401でエンジン制御部202は、機内にシート材が残っていないと判断した場合はイニシャル動作を開始する(S1411)。S1401でエンジン制御部202は、機内にシート材が残っていると判断した場合は、定着器120の周辺にシート材が残っていないかを確認する(S1402)。S1402でエンジン制御部202は、シート材が残っていると判断した場合は、ジャムであることをユーザに通知し(S1407)、ユーザによるジャム処理を行う(S1408)。S1408のジャム処理後、エンジン制御部202は、機内にシート材がないと判断した場合はイニシャル動作を開始する(S1411)。なお、ユーザによるジャム処理の状況は、実施例1で説明したユーザのドア開閉によって判断する。
【0049】
S1410でエンジン制御部202は、S1408のジャム処理後機内にシート材があると判断した場合は、S1402の処理に戻る。
【0050】
S1402でエンジン制御部202は、定着器120周辺にシート材が残っていないと判断した場合は、プレフィードセンサ104にシート材が残っていないか判断する(S1403)。S1403でエンジン制御部202は、プレフィードセンサ104にシート材が残っていないと判断した場合は、自動排紙動作を行い(S1409)、S1410で機内にシート材がないと判断した場合はイニシャル動作を開始する(S1411)。S1410でエンジン制御部202は、機内にシート材があると判断した場合は、S1402の処理に戻る。
【0051】
S1403でエンジン制御部202は、プレフィードセンサ104にシート材が残っていると判断した場合は、次の処理を行う。すなわち、エンジン制御部202は、ジャム種記憶部303であるNVRAMに記憶されたジャム種が排紙遅延ジャムか、給紙遅延ジャムか、再給紙遅延ジャムかを、S1404、S1405、S1406でそれぞれ判断する。S1404、S1405、S1406でエンジン制御部202は、記憶されたジャム種がそれぞれ排紙遅延ジャム、給紙遅延ジャム、再給紙遅延ジャムでないと判断した場合は、自動排紙動作を行う(S1409)。そして、S1410でエンジン制御部202は、機内にシート材がないと判断した場合はイニシャル動作を開始する(S1411)。S1410でエンジン制御部202は、機内にシート材があると判断した場合は、S1402の処理に戻る。
【0052】
S1404、S1405、S1406でエンジン制御部202は、記憶されたジャム種がそれぞれ排紙遅延ジャム、給紙遅延ジャム、再給紙遅延ジャムであると判断した場合は、次のような処理を行う。すなわち、エンジン制御部202は、ユーザにジャムを通知し(S1407)、ユーザによりジャム処理を行う(S1407)。S1408のユーザによるジャム処理後、エンジン制御部202は、機内にシート材がないと判断した場合は、イニシャル動作を開始する(S1411)。S1408のユーザによるジャム処理後、エンジン制御部202は機内にシート材があると判断した場合は、S1402の処理に戻る。
【0053】
また、エンジン制御部202は、S1411でイニシャル動作を開始すると、ジャム種記憶部303に記憶されていたジャム種情報をNVRAMから消去する(S1412)。なお、ジャム種判定部302がNVRAMにジャム種情報を記憶するタイミングは、実施例1、2と同様で、ジャム発生後にジャム種判定部302がジャム種を判定した後である。
【0054】
このように実施例3では、ジャム種記憶部303としてCPUのRAMでなくNVRAMを用いてジャム種を記憶する構成とした。これにより、ユーザがジャム処理時に画像形成装置の電源を切ったとしても、次に電源を入れたときにNVRAMの情報から自動排紙動作を行うか否かの判断を行うことができる。本実施例によれば、ユーザが除去しがたいジャムとなるのを防止しながら、自動排紙動作を行うことが可能となり、ユーザビリティが向上する。
【符号の説明】
【0055】
202 エンジン制御部
206 センサ入力部
301 ジャム位置判定部
302 ジャム種判定部
303 ジャム種記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材の位置を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づきシート材のジャムが発生したか否かを判断する制御手段と、を備え、前記制御手段は、ジャムが発生したと判断した際に、画像形成装置内のシート材を画像形成装置外に排紙する自動排紙動作を行うことが可能な画像形成装置であって、
前記制御手段がシート材のジャムが発生したと判断した際に、前記検知手段による検知結果に基づき前記ジャムの種類を判定する種類判定手段と、
前記種類判定手段により判定した前記ジャムの種類の情報を記憶する記憶手段と、
前記検知手段の検知結果に基づき前記ジャムが発生した際のシート材の位置を判定する位置判定手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記ジャムが発生した際に、前記位置判定手段により判定されたシート材の位置と前記記憶手段に記憶された前記ジャムの種類の情報とに応じて、前記自動排紙動作を行うか否かを判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記自動排紙動作を行わないと判断した場合は、ユーザにシート材を取り除くよう通知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記記憶手段は、揮発性メモリであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記記憶手段は、不揮発性メモリであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−276930(P2010−276930A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130535(P2009−130535)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】