説明

画像形成装置

【課題】
装置の印刷エンジン部に障害が発生し、印刷が実行不能となった場合において、確実に節電効果を得ることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】
印刷実行にかかる障害の発生を検出する障害検出部と、障害検出部による障害の発生の検出結果に基づいて装置の電源断を実行させるか否かを判断する判断部と、判断部が装置の電源断を実行させると判断した場合に障害の障害内容を出力する出力部と、判断部が装置の電源断を実行させると判断した場合に電源断を実行する電源制御部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は省電力機能を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装置の印刷エンジン部に障害が発生して印刷が実行不能となった場合に、節電モードに移行する画像形成装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−12848号公報
【0004】
特許文献1記載の画像形成装置は、印刷エンジン部に発生した障害が除去され、印刷が実行可能となると、節電モードから自動的に復帰して印刷動作を再開する。また、特許文献1記載の画像形成装置は、印刷が実行不能となった時点から一定時間経過後に節電モードに移行することや、さらに発生した障害の種類に応じて節電モードに移行するまでの待機時間を変更することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の画像形成装置では、印刷エンジン部に発生した障害が除去され、節電モードからの復旧が可能か否かを確認するために、装置自体に度々確認処理を実行させなければならず、装置全体の制御を司る制御部における節電効果は全く期待できないものであった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、装置の印刷エンジン部に障害が発生し、印刷が実行不能となった場合において、確実に節電効果を得ることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像形成装置は、印刷実行にかかる障害の発生を検出する障害検出部と、障害検出部による障害の発生の検出結果に基づいて装置の電源断を実行させるか否かを判断する判断部と、判断部が装置の電源断を実行させると判断した場合に障害の障害内容を出力する出力部と、判断部が装置の電源断を実行させると判断した場合に電源断を実行する電源制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像形成装置は、印刷実行にかかる障害の発生を検出する障害検出部と、障害検出部による障害の発生の検出結果に基づいて装置の電源断を実行させるか否かを判断する判断部と、判断部が装置の電源断を実行させると判断した場合に電源断の情報を出力する出力部と、判断部が装置の電源断を実行させると判断した場合に電源断を実行する電源制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置によれば、装置の印刷エンジン部に障害が発生し、印刷が実行不能となった場合において、確実に節電効果を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨に逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかる画像形成装置としてのプリンタ1の概略構成を説明する機能ブロック図である。プリンタ1は、図示せぬ外部装置から入力された印刷データに基づく画像を記録媒体としての用紙に印刷することができる画像形成装置である。プリンタ1は、装置内部のファームウエア制御を行う制御部2と、障害の発生を検知する障害検知部3と、種々の情報を記憶する記憶部4と、用紙に対して印刷を行う印刷部5と、図示せぬ外部装置との通信を行う通信部6と、各部に電力を供給する電源7と、AC電源9からの電力の供給のオン/オフを切替える電源スイッチ8と、プリンタ1のステータスを表示する出力部としての表示部10とを備える。
【0012】
制御部2は、ファームウェア制御の中心として機能するCPU(Central Processing Unit)12と、障害検知部3から通知された障害情報に基づいて電源断を実行させるか否かを判断する判断部13と、電源スイッチ8を制御することで電源断を実行する電源制御部14と、通信部6を介して図示せぬ外部装置から受信した印刷データを編集・展開して処理し、処理した印刷データを印刷部5に送る画像制御部15とを備える。
【0013】
障害検知部3は、例えば、図示せぬ用紙トレイに収容された用紙の給紙状況を確認する給紙センサ、用紙搬送経路の用紙搬送状態を確認する搬送センサ、印刷部5が備える図示せぬトナーカートリッジ内に収容されたトナーの状態を確認するトナーセンサ等の各センサ類16を備え、各センサ類16が検知した情報からプリンタ1で発生した、例えば、トナー切れ、用紙切れ、用紙詰まり等の障害の発生を検知し、当該障害情報を判断部13に通知する。
【0014】
記憶部4は、プリンタ1において保存されるべき設定値であるパラメータ17や、通信部6を介して受信した印刷データを印刷ジョブ18,19として実際に印刷が実行されるまで記憶する不揮発性記憶装置である。この記憶部4には、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気媒体等を使用することができる。
【0015】
印刷部5は、例えば、電子写真方式の印刷エンジンであり、画像制御部15により処理された印刷データに基づく画像を用紙に印刷する。
【0016】
通信部6は、例えば、ネットワークやUSB(Universal Serial Bus)等を介して外部装置と通信を行い、受信した印刷データを画像制御部15に送るインタフェースである。
【0017】
表示部10は、電力の供給が断たれたとしても、表示内容が消えない記憶性表示装置であり、例えば、電気泳動方式、又は電子粉流体方式の表示装置を使用することができる。通常状態では、表示部10はプリンタ1のステータスを表示するオペレータパネルとして機能する。ここで、プリンタ1のステータスとは、プリンタ1が印刷を実行可能か否かを示すオンライン・オフライン情報、例えば、トナー等の各消耗品の残量、印刷中の印刷ジョブの状態等のプリンタ1の内部情報を知るための情報である。そして、表示部10は判断部13から電源断を実行させる旨の通知を受けると、後述する障害情報及び障害復旧方法を表示し、この表示を終えたら、表示完了通知を判断部13を介して電源制御部14に通知する。なお、障害情報及び障害復旧方法は、表示部10が記憶性表示装置を使用しているため、電力の供給が断たれても、表示部10に表示されたままである。ここで、表示部10に表示される障害情報及び障害復旧方法は、通常状態におけるプリンタ1のステータス表示と比べて見づらくなるため、文字の表示サイズを大きくするなどして、ユーザに見やすくなるように表示される。
【0018】
判断部13は、障害検知部3から通知された障害情報を解析し、電源断を実行させるか否かを判断する。判断部13は、通知された障害がプリンタ1自己で復旧することができない障害で、かつ、印刷の続行が不可能である場合に電源断を実行させると判断した場合、その旨を表示部10及び電源制御部14に通知する。例えば、用紙搬送経路内で用紙が詰まり、プリンタ1自己で復旧することができないような障害が発生した場合、ユーザが用紙搬送経路内から用紙を除去することでしかプリンタ1をこの障害から復旧させることができない。したがって、ユーザにより用紙搬送経路内から用紙が除去され、プリンタ1が正常に動作するまでの間は電力が浪費されることになるため、このような状態の場合、判断部13は電源断を実行させると判断する。
【0019】
電源制御部14は、判断部13からの電源断通知及び判断部13を介して表示部10からの表示完了通知を受付けると、電源7をオフとし、電源スイッチ8をオフ状態とする。ここで、電源スイッチ8のオフ状態とは、ユーザによって電源スイッチ8がオフにされた場合と同様な状態であり、電源スイッチ8がオフ状態となった後にユーザが電源スイッチ8をオンにすることにより電源を投入することができる。
【0020】
画像制御部15は、通信部6を介して受信した印刷データを必要に応じて編集・展開することにより処理し、処理した印刷データを印刷部5に送る。また、画像制御部15は、障害発生時にまだ印刷が行われていない印刷データを印刷ジョブとして記憶部4に記憶させる。そして、画像制御部15は、プリンタ1が障害から復旧した時や、プリンタ1の起動時に記憶部4に記憶された印刷ジョブを読出し、必要に応じて編集・展開することにより処理し、処理した印刷データを印刷部5に送る。
【0021】
図2は、表示部10が表示する障害情報及び障害復旧方法の表示例を示したものである。図2において、障害情報は「イエロートナーが無くなりました。」であり、障害復旧方法は「トナーカートリッジを交換して下さい。」である。表示部10の表示サイズ・解像度が十分でない場合は、さらに簡略なメッセージとして、例えば、障害情報として「イエロートナー無し」、障害復旧方法として「トナーカートリッジ交換」と、表示メッセージを短縮して表示してもよい。また、予め、このような短い表示メッセージを電源断後表示用に用意しておいてもよい。
【0022】
表1は、障害情報、障害復旧方法、及び電源断有無の管理用テーブルの一例を示したものである。表1において、「No.」は、制御部2が障害情報を管理するための管理番号である。また、障害情報、障害復旧方法は、障害が発生した場合に表示部10が表示する表示メッセージである。「電源断」は、発生した障害に応じて、判断部13が電源断を実行させるか否かを予め定めたものである。図2で説明したように、例えば、No.1の障害が発生した場合、表示部10は、障害情報として「イエロートナーが無くなりました。」、障害復旧方法として「トナーカートリッジを交換して下さい。」と表示するとともに、判断部13は電源断を実行させると判断する。
【0023】
【表1】

【0024】
次に、プリンタ1の電源断にかかる処理動作について図3のフローチャートを使用して説明する。
【0025】
ステップS101において、障害検知部3は、各センサ類16が検知した情報からプリンタ1で発生した障害を特定する。例えば、障害検知部3は、トナーセンサが図示せぬトナーカートリッジ内のトナーを感知できなかった場合、障害検知部3はトナー無しエラーとして障害を特定する。
【0026】
そして、障害検知部3は、特定した障害を障害情報として判断部13に通知する。障害検知部3は、表1に示された「No.」を判断部13に通知する。ここで、例えば、判断部13に通知された「No.」が1であった場合、判断部13はプリンタ1に発生した障害をイエロートナー無しと認識する(ステップS102)。
【0027】
次に、判断部13は、障害検知部3から通知された障害情報に基づいて電源断を実行させるか否かを判断する。判断部13は、通知された障害がプリンタ1自己で復旧することができない障害で、かつ、印刷の続行が不可能である場合に電源断を実行させると判断した場合、その旨を表示部10及び電源制御部14に通知する(ステップS103 Yes)。判断部13による電源断の判断基準は、表1で説明したように、予め定められている。なお、表1において、予め定められている判断基準は、別途ユーザによりオペレータパネルを介して変更可能としてもよい。
【0028】
判断部13により電源断の通知を受けた表示部10は、障害情報及び障害復旧方法を表示する(ステップS104)。そして、障害情報及び障害復旧方法の表示が終了すると、表示部10は表示完了通知を判断部13を介して電源制御部14に通知する。
【0029】
電源制御部14は、判断部13からの電源断を実行する旨の通知、及び表示部10からの表示完了通知が揃った段階で、電源断を実行することができる。なお、障害発生時にまだ印刷が行われていない印刷データがあった場合、画像制御部15は、当該印刷データを印刷ジョブとして記憶部4に記憶させる。また、同様に障害発生時に通信部6を介して印刷データを受信中の場合には、画像制御部15は当該印刷データを印刷ジョブとして記憶部4に記憶させる(ステップS105)。
【0030】
ステップS105において、電源断の準備が完了すると、電源制御部14は、電源7をオフとし、電源スイッチ8をオフ状態とすることで電源断を実行し(ステップS106)、電源断にかかる処理動作は終了する。なお、電源制御部14により電源断が実行されると、以後、ユーザが電源スイッチ8をオンとするまでは、プリンタ1の電源は投入されないことになる。
【0031】
一方、判断部13が電源断を実行させないと判断した場合(ステップS103 No)、プリンタ1は、自己で復旧可能な障害であれば復旧作業を行い、電源断にかかる処理動作は終了する。
【0032】
次に、図3のフローチャートの処理動作に基づき電源断したプリンタ1の起動時にかかる処理動作について図4を使用して説明する。
【0033】
まず、ステップS111において、ユーザにより電源スイッチ8が押されると、AC電源9より電源が投入され、プリンタ1は初期動作を開始する。具体的には、制御部2は、記憶部4に記憶されている各種パラメータを読み込み、プリンタ1の再設定を行う。ここで設定されるパラメータの例としては、デフォルト設定でのコピー枚数、デフォルト設定での両面印刷の有無等の印刷設定に関する値、デフォルト設定におけるカラー調整パラメータ、プリンタ1のIPアドレスやプリンタ1が利用できる通信プロトコル等のネットワークに関するパラメータである。
【0034】
次に、障害検知部3はプリンタ1起動後に障害が残っているか否かを確認する。ここで、プリンタ1に障害が残っていなければ(ステップS112 No)、プリンタ1は印刷ジョブにかかる印刷データの印刷等の通常の処理を実行する。
【0035】
一方、プリンタ1起動後に障害が残っている場合(ステップS112 Yes)、障害検知部3は、判断部13に障害情報を通知する(ステップS102)。ステップS102以降にかかる処理については、図3のフローチャートで説明した電源断にかかる処理動作と同一である。
【0036】
以上のように、第1の実施形態によれば、プリンタにおいて自己で復旧不可能な障害が発生した場合に、電源断を実行することにより、確実に節電効果を得ることができる。また、電源断を実行した場合、プリンタは電源オフ状態となっているため、プリンタを復旧させる場合にユーザは安全に作業を行うことができる。さらに、プリンタを利用するユーザは、プリンタの電源が投入されていないことを事前に把握することができるため、プリンタに対して無駄な印刷データを送信することなく、プリンタの復旧動作を行うことができる。さらにまた、障害が発生し、電源断を実行しているプリンタの表示部には、プリンタに発生している障害情報と障害復旧方法が表示されているため、ユーザは簡単にプリンタの復旧動作を行うことができる。
【0037】
[第2の実施形態]
第2の実施形態にかかるプリンタ30の要部構成は、第1の実施形態にかかるプリンタ1と略同一である。したがって、第2の実施形態にかかるプリンタ30の説明においては、第1の実施形態にかかるプリンタ1と同一な箇所には同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について説明する。
【0038】
図5は、第2の実施形態にかかるプリンタ30の概略構成を説明する機能ブロック図である。プリンタ30は、装置内部のファームウエア制御を行う制御部20と、障害の発生を検知する障害検知部3と、種々の情報を記憶する記憶部31と、用紙に対して印刷を行う印刷部5と、図示せぬ外部装置との通信を行う通信部21と、各部に電力を供給する電源7と、AC電源9からの電力の供給のオン/オフを切替える電源スイッチ8と、プリンタ1のステータスを表示する出力部としての表示部32とを備える。
【0039】
制御部20は、ファームウェア制御の中心として機能するCPU(Central Processing Unit)12と、障害検知部3から通知された障害情報に基づいて電源断を実行させるか否かを判断する判断部22と、電源スイッチ8を制御することで電源断を実行する電源制御部25と、通信部21を介して図示せぬ外部装置から受信した印刷データを編集・展開して処理し、処理した印刷データを印刷部5に送る画像制御部15と、電源断を実行した旨、及び発生した障害情報を管理者に対して通知する通知部23とを備える。
【0040】
通信部21は、ネットワークを介して外部装置との通信を行い、受信した印刷データを画像制御部15に送るとともに、通知部23からのE−mailを管理者のE−mailアドレス24に対して送信するインタフェースである。なお、本実施形態においては、外部装置との通信をネットワークに限定したが、通知部23からE−mail送信するネットワーク通信部と、外部装置としてのクライアントコンピュータからUSB接続で印刷データを受信し、画像制御部15に送るホストインタフェース部として通信部の機能を分ける形態としてもよい。
【0041】
判断部22は、障害検知部3から通知された障害情報を解析し、電源断を実行させるか否かを判断する。判断部22は、通知された障害がプリンタ1自己で復旧することができない障害で、かつ、印刷の続行が不可能である場合に電源断を実行させると判断した場合、その旨を通知部23、電源制御部25、及び表示部32に通知する。
【0042】
通知部23は、判断部22により電源断を実行させる旨の通知を受けた場合において、予め登録された管理者に対してプリンタ30が電源断する旨のE−mailを作成する。通知部23により作成されたE−mailは通信部21を介して管理者のE−mailアドレス24に送信される。また、通知部23は管理者のE−mailアドレス24宛へのE−mail送信が終了すると、通知完了通知を判断部22を介して電源制御部25に通知する。
【0043】
電源制御部25は、判断部22からの電源断通知、判断部22を介して表示部32からの表示完了通知、及び通知部23からの通知完了通知を受付けると、電源7をオフとし、電源スイッチ8をオフ状態とする。ここで、電源スイッチ8のオフ状態とは、ユーザによって電源スイッチ8がオフにされた場合と同様な状態であり、電源スイッチ8がオフ状態となった後にユーザが電源スイッチ8をオンにすることにより電源を投入することができる。
【0044】
記憶部31は、プリンタ30において保存されるべき設定値であるパラメータ17や、通信部21を介して受信した印刷データにかかる印刷ジョブ18、障害が発生した場合に、障害情報の通知先である管理者のE−mailアドレス24等を記憶する不揮発性記憶装置である。この記憶部31には、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気媒体等を使用することができる。なお、管理者のE−mailアドレス24は、プリンタ30のオペレータパネルである表示部32を介して予め設定しておく。
【0045】
表示部32は、電力の供給が断たれたとしても、表示内容が消えない記憶性表示装置と、管理者のE−mailアドレス24の入力を受付けるユーザインタフェースを備えたオペレータパネルである。表示部32は判断部22から電源断を実行させる旨の通知を受けると、障害情報及び障害復旧方法を表示し、この表示を終えたら、表示完了通知を判断部22を介して電源制御部14に通知する。
【0046】
図6は、通知部23が作成し、通信部21を介して管理者のE−mailアドレス24に送信されるを説明する図である。なお、本実施形態においては、一人の管理者に対して電源断通知メールを送信する形態としているが、これに限定されず、複数人の管理者を登録し、登録された管理者全員に電源断通知メールを送信する形態としてもよい。また、図6においては、障害が発生し、電源断通知メールを受信する管理者のE−mailアドレス24を「kanrisya@kaisya.co.jp」、当該メールの送信元のE−mailアドレスを「printer30@kaisya.co.jp」としている。そして、メール本文には、プリンタ30が電源断を実行した旨、プリンタ30が電源断を実行することにいたった障害情報、及び障害復旧方法が記述される。なお、障害検知部3が複数の障害の発生を検知した場合には、発生した複数の障害情報を並べて表示し、一度の作業で復旧させることを促す内容としてもよい。
【0047】
次に、プリンタ30の電源断にかかる処理動作について図7のフローチャートを使用して説明する。なお、ここでの説明においては、第1の実施形態のプリンタ1の電源断にかかる処理動作で説明した図3のフローチャートと異なる箇所についてのみ説明する。
【0048】
ステップS121において、判断部22は、障害検知部3から通知された障害情報に基づいて電源断を実行させるか否かを判断する。判断部22は、通知された障害がプリンタ30自己で復旧することができない障害で、かつ、印刷の続行が不可能である場合に電源断を実行させると判断した場合、その旨を通知部23、電源制御部25、及び表示部32に通知する(ステップS121 Yes)。
【0049】
判断部22により電源断の通知を受けた通知部23は、予め登録された管理者のE−mailアドレス24に対して電源断通知メールを作成する。作成された電源断通知メールは、通信部21を介して管理者のE−mailアドレスに送信される。そして、通知部23は、電源断通知メールの送信が完了した旨の通知完了通知を電源制御部25に通知する(ステップS122)。
【0050】
電源制御部25は、判断部22からの電源断を実行する旨の通知、表示部32からの表示完了通知、及び通知部23からの通知完了通知が揃った段階で、電源断を実行することができる。なお、障害発生時にまだ印刷が行われていない印刷データがあった場合、画像制御部25は、当該印刷データを印刷ジョブとして記憶部31に記憶させる。また、同様に障害発生時に通信部21を介して印刷データを受信中の場合には、画像制御部15は当該印刷データを印刷ジョブとして記憶部4に記憶させる(ステップS123)。
【0051】
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、プリンタにおいて自己で復旧不可能な障害が発生した場合に、電源断を実行する旨を管理者に対して通知することにより、管理者がプリンタの電源断の確認に行く必要が無いので、システムのメンテナンスが容易になる。
【0052】
本発明は上記記述に限定されるものではなく、例えば、電源断を実行する前に、印刷データが存在している場合には、プリンタは一旦印刷データを不揮発性記憶装置に記憶させ、次回のプリンタ起動時において障害が発生していない場合に再度印刷を実行する形態としてもよい。また、障害検知部が障害を検知した場合、プリンタは最初に自己で障害からの復旧を試み、障害から復旧できない場合に、判断部に通知する形態としてもよい。さらに、発生する障害に応じて事前に電源断までの待機時間を予め設定しておき、判断部において電源断を実行させると判断された場合であっても、実際に電源断を実行するのは待機時間経過後としてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】プリンタの概略構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】表示部が表示する障害情報及び障害復旧方法の表示例である。
【図3】プリンタの電源断にかかる処理動作を説明する図である。
【図4】電源断したプリンタの起動時にかかる処理動作を説明する図である。
【図5】プリンタの概略構成を説明する機能ブロック図である。
【図6】電源断通知メールを説明する図である。
【図7】プリンタの電源断にかかる処理動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0054】
1 プリンタ
2 制御部
3 障害検知部
4 記憶部
5 印刷部
6 通信部
7 電源
8 電源スイッチ
9 AC電源
10 表示部
12 CPU
13 判断部
14 電源制御部
15 画像制御部
16 各センサ類
17 パラメータ
18 印刷ジョブ
19 印刷ジョブ
20 制御部
21 通信部
22 判断部
23 通知部
24 E−mailアドレス
25 電源制御部
30 プリンタ
31 記憶部
32 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷実行にかかる障害の発生を検出する障害検出部と、
前記障害検出部による前記障害の発生の検出結果に基づいて装置の電源断を実行させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記装置の電源断を実行させると判断した場合に前記障害の障害内容を出力する出力部と、
前記判断部が前記装置の電源断を実行させると判断した場合に電源断を実行する電源制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
印刷実行にかかる障害の発生を検出する障害検出部と、
前記障害検出部による前記障害の発生の検出結果に基づいて装置の電源断を実行させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記装置の電源断を実行させると判断した場合に電源断の情報を出力する出力部と、
前記判断部が前記装置の電源断を実行させると判断した場合に電源断を実行する電源制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記出力部は記憶性表示装置であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記出力部は前記障害内容と共に電源断の情報を外部に出力することを特徴とする請求項1又は請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記出力部は前記電源断を実行させると判断した場合に前記障害内容を出力するとともに、電源断の情報を出力することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−8742(P2010−8742A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168305(P2008−168305)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】