説明

画像形成装置

【課題】定着装置が高温状態のまま気流形成ファンが停止した後も、合流管路内の定着装置の近くでの過剰な温度上昇を回避できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】合流管路8から鉛直方向に分岐管路9に沿って構成された分岐管ダクト3d、3eが自然対流を形成して二重管構造の合流管ダクト4内の温度上昇した空気を開口部2d、2eを通じて筐体外に排気する。合流管ダクト4の吸気口4gを通じて外気が合流管ダクト4に流れ込んで内側の合流管路8を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のクリーニング装置で回収された転写残トナーを合流管路に合流させて回収する画像形成装置、詳しくは定着装置の近傍を通過する合流管路の空冷構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の感光体にそれぞれ配置したクリーニング装置で回収された転写残トナーを合流管路に合流させ、スクリュー搬送機構により水平方向に搬送して共通の廃トナー容器に回収する画像形成装置が実用化されている。
【0003】
そして、スクリュー搬送機構を用いてトナーを搬送すると発熱を伴うので、スクリュー搬送機構や合流管路の管壁に軟化したトナーが堆積して正常な搬送に支障をきたす場合がある。このため、従来から、スクリュー搬送機構を備えたトナー搬送管路には、空冷で強制冷却を行う気流形成ファンを用いた冷却機構が配置されている。
【0004】
特許文献1には、内側にスクリュー搬送機構を設けたトナー回収管路の全長に渡って外側を囲んで空冷用ダクトを設け、空冷用ダクトの一端に配置した気流形成ファンでトナー回収管路を強制冷却する構成が示される。
【0005】
特許文献2には、複数の現像装置にそれぞれトナーを供給するトナー供給管路を全長に渡って二重管構造とし、共通の気流形成ファンから排気して外側管路に気流を形成することによりトナー供給管路を強制冷却する構成が示される。
【0006】
特許文献3には、筐体内の背面側空間に配置された合流管路に沿って筐体外に両端が接続された合流管ダクトを設け、合流管ダクトの一端に配置した気流形成ファンで合流管路の全長を強制冷却する構成が示される。
【0007】
【特許文献1】特開平5−313545号公報
【特許文献2】特開2005−316190号公報
【特許文献3】特開平9−212053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、画像形成装置の処理の高速化に伴って定着装置の発熱量が増加する一方、画像形成装置の小型化に伴って、合流管路と定着装置との間に断熱障壁や十分な距離を確保することが困難になっている。このため、合流管路の管壁に接するトナーに対して定着装置からの熱の影響が大きくなり、定着装置に近い合流管路内でトナーが軟化して管壁に堆積する問題が深刻になっている。
【0009】
そこで、筐体内の背面側空間に配置された合流管路の外側を囲んで、特許文献1に示されるように、筐体外に両端が接続された合流管ダクトを設けることが提案されている。そして、合流管ダクトの一端に、特許文献3に示されるように、気流形成ファンを配置して合流管路の管壁を外側から強制冷却することが提案されている。
【0010】
しかし、この場合、画像形成が終了した後も、定着装置が十分に冷却するまで気流形成ファンを停止できない。停電やジャム処理に伴って気流形成ファンが停止すると、強制空冷が途絶えた合流管路内では、定着装置の近くで温度が急上昇して管壁へ付着したトナーが溶融して堆積してしまう。その後固化したトナーでスクリュー搬送機構がロックする場合もある。
【0011】
本発明は、定着装置が高温状態のまま気流形成ファンが停止した後も、定着装置40から熱影響を受ける範囲の合流管路内における過剰な温度上昇を回避できる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像形成装置は、複数の感光体からそれぞれ転写残トナーを除去する複数のクリーニング装置と、前記複数の感光体で形成されたトナー像を転写された記録材を加熱して定着させる定着装置と、前記複数のクリーニング装置で回収された転写残トナーを合流させて搬送する合流管路とを備え、前記合流管路が前記定着装置の熱影響を受ける距離範囲に配置されたものである。そして、前記距離範囲に位置する前記合流管路と前記定着装置との間に空気層を形成するように筐体外に連通して配置された合流管ダクトと、前記合流管路の管壁を強制冷却するように前記合流管ダクトに気流を形成する気流形成ファンと、前記気流形成ファンの停止時に、前記空気層から上方へ向かう自然対流が形成されるように、一端が前記合流管ダクトに接続されて他端が前記空気層よりも高い位置で筐体外に接続された対流形成ダクトとを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置では、気流形成ファンの停止時に、筐体外への接続部から合流管ダクトへ流れ込んで、合流管路と定着装置との間の空気層から上方へ向かう自然対流が対流形成ダクトにより形成される。このため、気流形成ファンによる強制冷却が停止した際に、定着装置40から熱影響を受ける範囲の合流管路と定着装置との間の空気層が停滞せず、定着装置からの熱が空気層を介して合流管路の管壁を温度上昇させることが少ない。
【0014】
従って、定着装置が加熱状態で気流形成ファンが停止した後も、定着装置の近くを通過して定着装置40から熱影響を受ける範囲の合流管路内の過剰な温度上昇を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は、合流管ダクトの気流形成ファンが停止した際に、合流管ダクトから対流形成ダクトへ抜ける自然対流が形成される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0016】
従って、中間転写ベルトを用いる画像形成装置に限らず、記録材搬送ベルトに担持された記録材へトナー像を順次転写して重ね合わせる画像形成装置でも実施できる。フルカラー画像形成装置のみならず、モノクロ画像形成装置でも実施できる。
【0017】
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0018】
なお、特許文献1〜3に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。説明中、特許請求の範囲で用いた構成名に括弧を付して示した参照記号は、発明の理解を助けるための例示であって、実施形態中の該当する構成の組み合わせに発明を限定する趣旨のものではない。
【0019】
<画像形成装置>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図である。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト31に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部を配置したフルカラープリンタである。
【0021】
イエローの画像形成部では、感光ドラム11dにイエロートナー像が形成されて、一次転写部Tdで中間転写ベルト31に一次転写される。マゼンタの画像形成部では、感光ドラム11cにマゼンタトナー像が形成されて、一次転写部Tcで中間転写ベルト31のイエロートナー像に重ねて一次転写される。シアン、ブラックの画像形成部では、それぞれ感光ドラム11b、11aにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて、同様に一次転写部Tb、Taで中間転写ベルト31のトナー像に位置を重ねて順次一次転写される。
【0022】
中間転写ベルト31に担持された四色のトナー像は、二次転写部Teへ搬送され、中間転写ベルト31に重ねて二次転写部Teを挟持搬送される記録材102へ一括二次転写される。二次転写部Teでトナー像を二次転写された記録材102は、定着装置40で加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に、排出ローラ45を通じて外部へ排出される。
【0023】
記録材カセット21aからピックアップローラ22aによって引き出された記録材102は、分離ローラ23を用いて1枚ずつに分離されて、レジストローラ25で待機する。そして、記録材102は、中間転写ベルト31のトナー像にタイミングを合わせて、レジストローラ25によって二次転写部Teへ送り出される。
【0024】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部は、付設された現像装置14d、14c、14b、14aで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、ブラックの画像形成部について説明し、他の画像形成部については、説明中の符号末尾のaを、b、c、dに読み替えて説明されるものとする。
【0025】
ブラックの画像形成部は、所定のプロセススピードで矢印方向に回転する感光ドラム11a(感光体)の周囲に、帯電装置12a、露光装置13a、現像装置14a、転写ブレード35aを配置している。
【0026】
帯電装置12aは、感光ドラム11a(感光体)にコロナ放電に伴う荷電粒子を照射して、感光ドラム11aの表面を一様な負極性の電位に帯電させる。
【0027】
露光装置13aは、画像データを展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを多面体ミラーで走査して、帯電した感光ドラム11aの表面に画像の静電像を書き込む。
【0028】
現像装置14aは、負極性に帯電したトナーを現像スリーブに担持させて感光ドラム11aを摺擦し、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を現像スリーブに印加して、感光ドラム11aの静電像を反転現像する。
【0029】
転写ブレード35aは、中間転写ベルト31を介して感光ドラム11aに圧接して中間転写ベルト31と感光ドラム11aとの間に一次転写部Taを形成する。転写ブレード35aに正極性の直流電圧を印加することにより、負極性に帯電して感光ドラム11aに担持されたトナー像が中間転写ベルト31に一次転写される。
【0030】
二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31を介して対向ローラ34に圧接して中間転写ベルト31と二次転写ローラ36との間に二次転写部Teを形成する。二次転写部Teは、中間転写ベルト31のトナー像に重ね合わせて記録材102を挟持搬送する。負極性に帯電して中間転写ベルト31に担持されたトナー像は、二次転写ローラ36に正極性の電圧を印加することにより、記録材102へ二次転写される。
【0031】
中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31を、駆動ローラ32、テンションローラ33、及び対向ローラ34に掛け渡して支持している。中間転写ベルト31は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)などからなる。駆動ローラ32は、金属ローラの表面に、ウレタンまたはクロロプレンからなる数mm厚のゴムがコーティングされてスリップが防止され、パルスモータ(図示せず)によって回転駆動される。テンションローラ33は、中間転写ベルト31に適当な張力を与える構成となっている。
【0032】
<定着装置>
定着ユニット40は、内部にハロゲンヒーターなどの熱源を備えた定着ローラ41aと、定着ローラ41aに加圧する加圧ローラ41bとからなるローラ対を有し、ローラ対のニップ部に記録材102を導く搬送ガイド43を備える。なお、ここでは、定着ローラ41aにのみに熱源を備えた構成であるが、熱源をさらに加圧ローラ41bに備えることも可能である。
【0033】
内排紙ローラ44及び外排紙ローラ45は、定着ユニット40のローラ対から排出された定着済みの記録材102をさらに装置外部に導き出す。排紙搬送パスローラ49は、定着された記録材102を装置上部の排紙トレイに排出する場合に使用する。
【0034】
制御部110は、画像形成装置100の各ユニット内の機構の動作を制御するための制御基板や、モータドライブ基板などからなる。
【0035】
<クリーニング装置>
感光ドラム11a、11b、11c、11dの一次転写部Ta、Tb、Tc、Tdの下流には、クリーニング装置15a、15b、15c、15dが配置される。クリーニング装置15aは、感光ドラム1aにクリーニングブレードを摺擦して、一次転写部Taを通過した感光ドラム1aの表面に付着した転写残トナー、紙粉、外添剤等の廃棄粒子(廃トナー)を除去して回収する。
【0036】
中間転写ベルト31の二次転写部Teの下流には、中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのベルトクリーニング装置50が設けられている。
【0037】
<合流管路、分岐管路>
図2は回収トナー搬送装置の構成の説明図、図3は合流管ダクト及び分岐管ダクト(対流形成ダクト)の断面図である。
【0038】
図1を参照して図2に示すように、画像形成装置100では、感光ドラム1aから記録材へ転写し切れないで感光ドラム1a上や中間転写ベルト31上に残留するトナーが廃トナーとして排出される。廃トナーを画像形成装置100の筐体内部の背面側空間に設置された回収容器6へと回収する必要があるため、廃トナーを回収容器6まで搬送するスクリュー搬送機構8bを合流管路8に設けている。
【0039】
クリーニング装置15a、15b、15c、15d及びベルトクリーニング装置50によって回収された廃トナーは、背面側空間の合流管路8へ合流させて水平方向へ搬送される。合流管路8を通じて搬送された廃トナーは、落下部5を通じて回収容器6へ落下回収される。
【0040】
図3に示すように、クリーニング装置15a、15b、15c、15dによって回収された廃トナーは、背面側空間のトナー排出口15e、15f、15g、15hを通じて対応する分岐管路9a、9b、9c、9dへ落下する。ベルトクリーニング装置50によって回収された廃トナーは、トナー排出口50aを通じて分岐管路9eへ落下する。対応する分岐管路9a、9b、9c、9d、9eへ落下した廃トナーは、落下部5まで、合流管路4内のスクリュー搬送機構4bによって水平に搬送されて落下部5から回収容器6へ落下する。
【0041】
スクリュー搬送機構4bは、合流管ダクト4内に配置された駆動モータ4aに駆動されて一方向に回転する。しかし、落下部5の手前側と奥側とではスクリューの羽根のねじり方向を逆向きにしてあるので、合流管ダクト4内の廃トナーは、落下部5へ向かって掻き寄せられる。これにより、廃トナーは、左右方向から落下部5に搬送されて回収容器6に落下回収される。
【0042】
そして、従来の画像形成装置では、以下のような問題が発生していた。
(1)搬送スクリュー機構4bと廃トナーの攪拌摩擦によって、廃トナー自体の温度が高くなる。
(2)画像形成装置100を小型化すると、合流管路8が高温の定着装置40から熱影響を受ける距離範囲に配置されるため、定着装置40の熱の影響を受け易くなる。
(3)これらにより、定着装置40の近くを通る合流管路8内で廃トナーが熱で溶け、搬送スクリュー機構4bを固着させて、廃トナーの正常な搬送ができなくなる。
【0043】
これらの問題を防止するためには、定着装置40から熱影響を受ける距離範囲の合流管路8の管壁や廃トナー自体を冷却する必要がある。そこで、画像形成装置100では、合流管路8及び分岐管路9a、9b、9c、9d、9eの全長をそれぞれ二重管構造にしている。
【0044】
合流管路8は、外側が合流管ダクト4で全周を囲まれて二重管を構成しており、熱影響を受ける距離範囲の合流管路8と合流管ダクト4との間に、定着装置40からの熱を遮断するための空気層が形成されている。合流管路8は、画像形成装置100の背面側の空間に配置されて、定着装置40の近傍に配置されて強制空冷された二重管構造の内側で、廃トナーを水平方向に搬送する。
【0045】
気流形成ファン7は、その作動中、合流管ダクト4内の空気を矢印R1のように筐体外へ排気する。これにより、合流管ダクト4の両端の吸気口4f、4gから矢印R2、R3のように流れ込んだ空気は、合流管ダクト4内で気流を形成して合流管路8の外壁面を強制空冷した後、気流形成ファン7を通じて筐体外へ直接排気される。
【0046】
そして、吸気口4f、4gを画像形成装置100の左右側面に配置して合流管ダクト8を直線的に配置したので、流路抵抗が小さく、気流形成ファン7の容量が小さくても十分な流量のダクト内気流を確保できる。
【0047】
また、分岐管路9a、9b、9c、9d、9eは、それぞれ分岐管ダクト3a、3b、3c、3dに外周を覆われて二重管構造を形成する。分岐管ダクト3a、3b、3c、3dを流れる空気は、分岐管路9a、9b、9c、9d、9eの外壁を強制空冷して、分岐管路9a、9b、9c、9d、9eを落下する廃トナーの温度を低下させる。その後、筐体外へ直接排気される。
【0048】
クリーニング装置15aで回収された廃トナーは、クリーニング装置15a内のスクリュー搬送機構によって背面側へ搬送される過程でかなり温度上昇する。このため、分岐管路9a、9b、9c、9d、9eは、除熱した廃トナーを合流管路8に落下させて合流させる。
【0049】
また、分岐管路9a、9b、9c、9d、9eと分岐管ダクト3a、3b、3c、3d、3eとを二重管構造とすることで、分岐管路9a、9b、9c、9d、9eの全体を均一に効率的に冷却できる。
【0050】
そして、これらの管路及びダクトを位置をずらせて別々に配置する場合に比較して、画像形成装置100の背面側に配置される配管(管路)の間隔を大きく確保できるため、部品配置、組み立て作業、配線においても都合が良い。
【0051】
画像形成装置100の起動〜画像形成〜停止までの間、気流形成ファン7が作動する。気流形成ファン7が作動していると、分岐管ダクト3a、3b、3c、3d、3eの上端の開口2a、2b、2c、2d、2eからも、矢印R4のように筐体外の空気が流れ込んで下方へ流れる。そして、合流管ダクト4に合流して水平方向に流れた後、気流形成ファン7を通じて筐体外へ排気される。気流形成ファン7の吐き出し口には、騒音防止及び筐体外へのほこりの吐き出しを防止するためにフィルタを配置している。
【0052】
しかし、このように構成しても以下のような問題が発生する可能性がある。
(1)合流管ダクト4の長手方向の端部に気流形成ファン7を配置して合流管路8の全体を冷却しようとする場合、合流管路8の長手方向で冷却効果の差が発生して冷却効率が悪い。
(2)長手方向の端部に気流形成ファン7を配置した合流管路8に複数の分岐管路8を接続すると末端の分岐管路8の冷却効率が悪くなる。
(3)本体稼動時は気流形成ファン7による強制空冷が奏功していても、停電やユーザーが誤って電源を落とした時には強制空冷が機能しなくなる。
(4)強制空冷が機能しなくなると、稼動中に発生した定着装置40の余熱や摩擦熱が合流管ダクト4内外にこもり、合流管路8内に伝播する。
(5)その結果、合流管路8の内面に廃トナーが溶融固着して、スクリュー搬送機構4bをロックさせ、廃トナー搬送ができなくなる。
【0053】
そこで、本実施例では、気流形成ファン7が停止した場合には、自然対流による冷却が機能するように、対流形成ダクトを配置して二重管構造に組み合わせた。
【0054】
対流形成ダクトは、合流管ダクト4に接続する一端から始まって下方へ後戻りしないで単調に上昇して他端が筐体外に直接排気することが望ましい。一端から他端まで等しい断面積を保って垂直に配置されることはさらに好ましい。
【0055】
対流形成ダクトの途中には、電源OFF時に周囲より温度の高い部分の余熱を利用した発熱源を配置してもよい。発熱源による上昇気流が対流形成ダクトに形成されるので、配置しない場合よりも対流形成ダクトを通じて合流管ダクトから排気される空気量を増大できるからである。垂直に上昇する対流形成ダクトに沿って発熱源が連続的に配置される場合、発熱源の各部分が形成する自然対流の差圧を直列に加算できるので都合が良い。
【0056】
そして、そのような発熱源としてクリーニング装置からトナーを排出して合流管路に合流させる分岐管を用いることができる。この場合、クリーニング装置から合流管路へ転写残トナーを導く分岐管路の外側を囲んで、クリーニング装置の転写残トナー排出口よりも高い位置で筐体外に他端が接続された二重管構造が好ましい。転写残トナーの持つわずかな熱量を効率的に利用して対流形成ダクト内の自然対流の流量を効率的に加算できるからである。
【0057】
<合流管ダクト、対流形成ダクト>
図4は気流形成ファン停止時の自然対流による冷却の説明図である。
【0058】
図4に示すように、定着装置40が高温状態のまま気流形成ファン7が停止すると、定着装置40からの輻射熱で合流管ダクト2の外側面は、1分以内に80℃近くまで温度上昇する可能性がある。しかし、画像形成装置100の場合、合流管ダクト2内で加熱された空気は、自然対流を形成して、合流管ダクト4から分岐管ダクト3a、3b、3c、3d、3e(対流形成ダクト)へ流れ込む。そして、それぞれの上端の開口2a、2b、2c、2d、2eを通じて矢印R5のように筐体外へ流れ出す。これに伴って、合流管ダクト4の定着装置40側の吸気口4gからは、矢印R2のように空気が流れ込んで、合流管路8と合流管ダクト4との間に滞留した空気を押し流す。
【0059】
このため、定着装置40の近傍に位置して高温に加熱された合流管ダクト4内では、空気層の温度上昇が緩和され、合流管ダクト2内の空気層を通じた合流管路3の管壁の温度上昇がほとんど発生しない。フィルタが配置されて流路抵抗が高い上に停止した気流形成ファン7が邪魔になるため、気流形成ファン7を通じては、合流管ダクト8内への空気の流れ込みを確保できない。しかし、定着装置40に近い側で大きな開口面積を持たせた吸気口4gを通じて十分な空気の流入量を確保できる。
【0060】
また、直線的で流路抵抗が低い合流管ダクト4に分岐管ダクト3a、3b、3c、3dを並列に接続したので、自然対流に係る流路抵抗が小さくなっている。このため、自然対流の小さな差圧でも合流管ダクト8内の加熱された空気は、遅滞なく分岐管ダクト3a、3b、3c、3dを上昇して開口2a、2b、2c、2d、2eから筐体外へ排出される。これらにより、自然対流の小さな差圧でも必要な空気流量を確保して、定着装置40に近い合流管路8を十分に冷却できる。
【0061】
<本体稼動時>
図1を参照して図2に示すように、画像形成装置100の本体稼動時は、気流形成ファン7に通電されて、矢印R1で示すように合流管ダクト4内の空気が排気される。
【0062】
このとき、矢印R4で示すように、開口部2a、2b、2c、2dから外気が吸気され、分岐管路(9a、9b、9c、9d:図3)と合流管路4とが強制冷却された後に気流形成ファン7によって排気されるエアフローが形成される。よって、定着装置40の近くを搬送される廃トナーの冷却と断熱とが可能となる。
【0063】
すなわち、画像形成装置100は、本体稼動時は、制御部110が気流形成ファン7を作動させて、定着装置40によって加熱された合流管ダクト4の内側の空気層の空気を強制排出する。これにより、画像形成装置100の筐体外に連通した吸気口4gから合流管ダクト4内に吸気した外気が、合流管路8内をスクリュー搬送機構4bで搬送される廃トナーを冷却して断熱する。このため、合流管路8の内壁面における廃トナー固着を防止できる。
【0064】
また、定着装置40と落下部5との間に気流形成ファン7を接続したことにより、吸気口4gから気流形成ファン7までの冷却経路を、吸気口4fから気流形成ファン7までの冷却経路よりも短縮可能となっている。このため、本体稼動時は、吸気口4gから吸気された外気が短い経路を大きな流量で流れて排気ファン7により排気され、定着装置40の熱が効率的に運び去られる。このため、冷却効率の向上が図れる。
【0065】
<本体停止時>
図1を参照して図4に示すように、装置本体稼動後の停止時のみならず、本体稼動中に起きた意図しない電源オフ時には、気流形成ファン7が停止してしまう。
【0066】
このため、合流管ダクト4内の空気は、スクリュー搬送機構(4b:図3)と排トナーの摩擦による昇温や定着装置40の余熱により暖められる。
【0067】
このとき、下方の合流管ダクト4の方から上方に伸びた分岐管ダクト3a、3b、3c、3d、3eの方へ自然対流が発生する。
【0068】
このため、合流管ダクト4内には、矢印R2で示すように吸気口4gを通じて外気が吸入され、合流管路8の外壁と分岐管炉9a、9b、9c、9d、9eとを冷却するエアフローが形成される。自然対流の小さな差圧で駆動されるエアフローは、トナー排出口15e、15f、15g、15hよりも高く配置した開口部2a、2b、2c、2d、2eを通じて筐体外へ排出される。これにより、分岐管路9a、9b、9c、9d、9eに沿って流れて装置本体外に排気されるエアフローが形成され、分岐管路9a、9b、9c、9d、9e内の廃トナーの冷却と断熱が可能となる。
【0069】
すなわち、画像形成装置100への通電が断たれた時は、定着装置40が加熱状態のまま気流形成ファン7が停止する。このとき、廃トナーの落下路に沿って配置された分岐管ダクト3a、3b、3c、3d、3eが、合流管路4から鉛直方向に伸びた煙突状の形態をなすため、分岐管ダクト3a、3b、3c、3d、3e内には空気の自然対流が発生する。これにより、下方にある合流管ダクト4の吸気口4f、4gから冷えている外気を吸入し、合流管路4内の暖まった空気を上方の開口部2a、2b、2c、2d、2eから筐体外へ排出することが可能となる。このため、合流管路8内を冷却して廃トナー固着を防止できる。
【0070】
また、停止時は、吸気口4gから流入した外気が短い経路で速やかに開口部2d、2eから排気されるので、定着装置40の熱が合流管路8内全体に伝播する時間を最小限に抑えられる。このため、冷却効率の向上が図れる。
【0071】
以上のことから、本実施例によれば、廃トナー搬送路の冷却路を短くするとともに、分岐管路の冷却効率も向上させる。本体稼動時は、合流管路8と合流管ダクト8の間の空気層を気流形成ファン7により排出する。これにより、筐体外に連通した吸気口4gから合流管ダクト4内に吸気した外気で合流管路8内の廃トナーの冷却と断熱とを行って、合流管路8内の廃トナー固着を防止する。
【0072】
そして、装置本体稼動時のみならず、本体稼動中に起きた意図しない電源オフ時でも合流管路8内のトナー固着を無くして、スクリュー搬送機構8bが破損するのを防止する。装置本体への通電が断たれた時は、廃トナーが落下する分岐管路9d、9eに沿って構成された分岐管ダクト3d、3eが合流管路8から鉛直方向に煙突状の形態をなすため、空気の自然対流が発生する。これにより、合流管路4の吸気口4gから冷えている外気を吸入して合流管路4内の暖まった空気を上方の開口部2d、2eから筐体外へ排出できる。このため、合流管路8を冷却して内部の廃トナー固着を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】回収トナー搬送装置の構成の説明図である。
【図3】合流管ダクト及び分岐管ダクトの断面図である。
【図4】気流形成ファン停止時の自然対流による冷却の説明図である。
【符号の説明】
【0074】
2a、2b、2c、2d、2e 開口
3a、3b、3c、3d、3e 分岐管ダクト
4 合流管ダクト
4a 駆動モータ
4b スクリュー搬送機構
4f、4g 吸気口
5 落下部
6 回収容器
7 気流形成ファン
8 合流管路
9a、9b、9c、9d 分岐管路
11a、11b、11c、11d 感光ドラム
12a、12b、12c、12d 帯電装置
13a、13b、13c、13d 露光装置
14a、14b、14c、14d 現像装置
15a、15b、15c、15d クリーニング装置
31 中間転写ベルト
40 定着装置
50 ベルトクリーニング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光体からそれぞれ転写残トナーを除去する複数のクリーニング装置と、前記複数の感光体で形成されたトナー像を転写された記録材を加熱して定着させる定着装置と、前記複数のクリーニング装置で回収された転写残トナーを合流させて搬送する合流管路と、を備え、前記合流管路が前記定着装置の熱影響を受ける距離範囲に配置された画像形成装置において、
前記距離範囲に位置する前記合流管路と前記定着装置との間に空気層を形成するように筐体外に連通して配置された合流管ダクトと、
前記合流管路の管壁を強制冷却するように前記合流管ダクトに気流を形成する気流形成ファンと、
前記気流形成ファンの停止時に、前記空気層から上方へ向かう自然対流が形成されるように、一端が前記合流管ダクトに接続されて他端が前記空気層よりも高い位置で筐体外に接続された対流形成ダクトと、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記対流形成ダクトは、前記クリーニング装置から前記合流管路へ転写残トナーを導く分岐管路の外側を囲んで、前記クリーニング装置の転写残トナー排出口よりも高い位置で筐体外に一端が接続された二重管構造であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記合流管路は、筐体内の背面側空間に水平方向に配置されて、内側に転写残トナーを搬送するスクリュー搬送機構を有し、
前記合流管路の外側を囲んで前記合流管ダクトを形成する二重管構造を、前記合流管路の全長に渡って配置するとともに、前記合流管ダクトの両端が筐体外に接続されていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記分岐管路の外側を囲んで前記対流形成ダクトを形成する二重管構造を、前記複数のクリーニング装置に対応して前記合流管路に接続されたすべての前記分岐管路に配置したことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記気流形成ファンは、前記距離範囲に位置する前記合流管路と前記定着装置との間の前記空気層から筐体外へ自然対流を直接排気するように配置されていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−91750(P2010−91750A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261098(P2008−261098)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】