説明

画像形成装置

【課題】受熱部を被冷却部に当接させることによる弊害を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体と2、像担持体2に現像剤を供給する現像剤担持体40を有する現像ユニット4と、現像ユニット4を像担持体2に対して位置決めする位置決め手段と、現像ユニット4に当接可能に配設された受熱部61を有する冷却装置とを備えた画像形成装置である。受熱部61と現像ユニット4との当接方向を、像担持体2と現像剤担持体40との対向方向に対して略直交するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、装置内に設けられた装置やユニットなどによる輻射熱によって、装置内雰囲気の温度上昇が起こることが一般に知られている。例えば、記録用紙に画像を定着させる定着装置として、熱定着タイプのものを使用している場合、その定着装置の熱によって装置内の空気が暖められる。また、現像ユニットには、現像剤を攪拌する現像剤攪拌部材や、現像剤担持体に担持させる現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材等が配設されているが、これらの部材と現像剤との摺接による摩擦熱や、現像剤同士の摺接による摩擦熱によっても、装置内の空気が暖められる。
【0003】
装置内雰囲気の温度が上昇すると、トナーの帯電量が低下してトナー付着量が増加し、所定の画像濃度が得られなくなる場合がある。また、装置内雰囲気の温度上昇によってトナーが溶融すると、溶融したトナーが現像剤規制部材や現像剤担持体又は像担持体などに固着し、画像にスジ状の濃度ムラが生じる場合もある。近年、画像定着時の消費エネルギーを少なくするために、溶融温度の低いトナーを用いられることがあるが、特に、このような溶融温度の低いトナーを使用した場合は、トナーが溶融しやすくなるため、上記トナーの固着による濃度ムラが生じやすくなる。
【0004】
また、上記画像形成装置には、一般的に、像担持体としての感光体や中間転写ベルトに残留するトナーを除去するためにクリーニングユニットが設けられている。このクリーニングユニットは像担持体の表面に当接するクリーニングブレードを有し、像担持体が回転することによりその表面上の残留トナーがクリーニングブレードによって掻き取られるようになっている。その後、掻き取られたトナーは、クリーニングユニットに設けられた搬送スクリューなどによってユニット外の回収部へと搬送される。
【0005】
しかしながら、上記廃トナーの搬送動作に伴う発熱や、定着装置の熱などによって、クリーニングユニット内の温度が上昇すると、ユニット内でトナーが溶融して固着することがある。そして、トナーが固着して凝集するとトナー搬送性が低下する虞がある。
【0006】
上記装置内の温度上昇による弊害を抑制するには、現像ユニットやクリーニングユニットの過度の温度上昇を抑制することが必要となる。そのため、従来から、現像ユニット等を冷却するための冷却装置を備えた画像形成装置が提案されている(例えば、下記特許文献1及び2参照)。また、その冷却装置としては、空冷式と液冷式のものがある。
【0007】
空冷式の冷却装置は、例えば、空冷ファンを有し、空冷ファンによって取り込んだ外気を、現像ユニットの周辺に形成した送風ダクト(風路)に送り込むことによって、現像ユニットの温度が過度に上昇しないようにしている(特許文献1参照)。しかしながら、近年における装置の小型化の要請から、空冷ファンや送風ダクトを配設する空間的余裕がなくなってきており、それらの設置スペースの確保が困難となってきている。また、空冷により周辺に気流が発生すると、トナー等の粉塵が発生し、機内及び機外を汚してしまうなどの不具合が生じる。
【0008】
一方、液冷式の冷却装置は、例えば、現像ユニットに当接すると共に内部に冷却液を通す冷却流路を形成した受熱部と、冷却液の熱を放熱するための放熱部と、受熱部と放熱部との間で冷却液を循環させる循環パイプ(流路)と、冷却液を送り出すポンプ等を有する(特許文献2参照)。ポンプによって冷却液を循環させることにより、受熱部から現像ユニットの熱を奪って冷却されるようになっている。また、受熱部を現像ユニットに圧接させる加圧レバー等を備えることより、受熱部と現像ユニットとの当接面積(受熱面積)を大きくして、冷却効率を向上させることが可能である。このような液冷式の冷却装置は、空冷式の冷却装置よりも、効率良く冷却することができる。しかも、液冷式の循環パイプは、空冷式の送風ダクトよりも設置スペースが小さくてすむため、コンパクト化によって現像ユニットの周辺空間が少ない画像形成装置にも配設することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、トナーとキャリアを含む2成分現像剤を用いた現像ユニットを使用している場合、図21に示すように、像担持体としての感光体100と、現像ユニット200が有する現像剤担持体としての現像ローラ210は、一定の間隔、すなわち現像ギャップGを隔てて配設されている。この現像ギャップGは、高画質を形成する上において極めて重要であるため、従来から現像ギャップGの管理には、大変な注意が払われている。従って、感光体100に対する現像ユニット200(又は現像ローラ210)の位置決めは精度良く行わなければならない。
【0010】
しかしながら、図21に示すように、現像ユニット200を冷却するための受熱部300を、図の矢印に示す方向に当接又は圧接した場合、受熱部300の当接力によって現像ユニット200は感光体100に接近する方向の力を受ける。その結果、現像ギャップGが変化して所定の画質を維持できなくなる虞がある。
【0011】
また、像担持体をクリーニングするクリーニングユニットを冷却するために、上記受熱部を当該ユニットに当接又は圧接させた場合、その当接又は圧接によって像担持体に対するクリーニングブレードの接触圧や接触角度が変化すると、クリーニング性が低下したり、クリーニング機能が発揮できなくなったりする虞がある。例えば、クリーニングブレードの接触圧が小さくなると、像担持体上のトナー等が十分に掻き取れない状態となるので、形成される画像が汚れたり、繰り返し使用すると粉塵が詰まって装置が停止したりする虞がある。また、逆に接触圧が大きくなると、クリーニングブレードの捲れが生じ、クリーニングブレードや像担持体(中間転写ベルト)などの破損を引き起こす虞がある。
【0012】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、受熱部を被冷却部に当接させることによる弊害を防止することができる画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、像担持体と、当該像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体を有する現像ユニットと、当該現像ユニットを前記像担持体に対して位置決めする位置決め手段と、前記現像ユニットに当接可能に配設された受熱部を有する冷却装置とを備えた画像形成装置において、前記受熱部と前記現像ユニットとの当接方向を、前記像担持体と前記現像剤担持体との対向方向に対して略直交するように構成したものである。
【0014】
本発明は、受熱部と現像ユニットの当接方向と、像担持体と現像剤担持体の対向方向を、互いに略直交するように構成したことにより、現像ユニットが受熱部との当接によって主として受ける力の方向を、上記対向方向に対して略直交する方向に作用させることができる。これにより、現像ユニットが受熱部との当接によって変位しても、像担持体と現像剤担持体との対向方向の位置関係がそれの影響を受けにくくなる。従って、像担持体と現像剤担持体との対向方向の位置関係を高精度に維持することができるので、高画質の画像形成が可能となる。また、本発明は、上記当接方向と上記対向方向を略直交にするだけでよいので、現像ユニットの位置を高精度に維持するための複雑な機構などは必要ない。このため、構造を簡素化することができると共に装置の小型化も図れる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記受熱部を前記現像ユニットに加圧する加圧手段を備えたものである。
【0016】
加圧手段によって受熱部を現像ユニットに加圧することによって、受熱部の現像ユニットに対する当接面積を大きく確保することができ、冷却効果が向上する。このように、受熱部を現像ユニットに加圧する場合は、現像ユニットは受熱部からの押圧力を受けて変位しやすくなるが、上記のように、受熱部と現像ユニットの当接方向と、像担持体と現像剤担持体の対向方向を、互いに略直交するように構成したことにより、像担持体と現像剤担持体との対向方向の位置関係を高精度に維持することができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記現像ユニットを複数備え、前記冷却装置は各現像ユニットに当接可能な1つの前記受熱部を有するものである。
【0018】
1つの受熱部を各現像ユニットに当接させる構成は、各現像ユニットに対して受熱部を1つずつ当接させる構成に比べて、構造を簡素化することができると共に、部品点数の削減を図ることができる。また、この場合、装置全体の剛性、特に画像形成部の剛性が向上するため、画像形成能力の安定化を図ることができ信頼性が向上する。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段を備え、当該潜像形成手段と前記現像ユニットの両方に前記受熱部を当接可能に構成したものである。
【0020】
受熱部を現像ユニット以外に潜像形成手段にも当接させることにより、現像ユニットと併せて潜像形成手段も冷却することができる。これにより、色ずれ等の画像不良をより効果的に抑制することができ、高画質な画像形成が可能となる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記現像ユニットを上下方向に複数並設し、各現像ユニットに対する前記冷却装置の冷却能力を、上側に配設した前記現像ユニットほど高くなるように構成したものである。
【0022】
画像形成装置内で暖められた空気は、装置内の上部へ溜まる。従って、複数の現像ユニットを上下方向に並設した場合は、上側に配設した現像ユニットほど温度上昇しやすくなる。そのため、上側に配設した現像ユニットほど、受熱部の冷却効果を高くすることによって、各現像ユニットをその配設位置によらずより均一な温度に冷却することができ、高画質の画像形成を安定して行うことが可能となる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記現像ユニットを複数備えると共に、熱によって記録媒体に画像を定着させる定着装置を備え、各現像ユニットに対する前記冷却装置の冷却能力を、前記定着装置に近い位置に配設した前記現像ユニットほど高くなるように構成したものである。
【0024】
定着装置に近い現像ユニットほど温度が高くなりやすい傾向にある。そのため、定着装置に近い位置に配設した現像ユニットほど、受熱部の冷却効果を高くすることによって、各現像ユニットをその配設位置によらずより均一な温度に冷却することができ、高画質の画像形成を安定して行うことが可能となる。
【0025】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記像担持体と前記現像ユニットをそれぞれ複数備えると共に、各像担持体から転写された画像を記録媒体に転写する中間転写回転体と、熱によって記録媒体に画像を定着させる定着装置と、定着後の記録媒体を両面印刷のために再び前記中間転写回転体へ搬送する両面印刷用搬送装置を備え、各現像ユニットに対する前記冷却装置の冷却能力を、前記中間転写回転体の記録媒体への転写位置を始点として回転方向の上流側に配設された前記現像ユニットほど高くなるように構成したものがある。
【0026】
両面印刷を行う場合、定着装置で加熱された記録媒体が、再び中間転写回転体の画像転写位置へ搬送され、そこで中間転写回転体に接触するため、中間転写回転体が温度上昇する。そして、その中間転写回転体の温度上昇部が、中間転写回転体の回転に伴って、現像ユニットに接近することにより、現像ユニットが温度上昇する。このとき、中間転写体の温度上昇部が接近する順番が早い現像ユニットほど温度上昇しやすい。言い換えれば、中間転写回転体の記録媒体への転写位置を始点として回転方向の上流側に配設された現像ユニットほど、温度上昇が顕著となる。そのため、前記回転方向の上流側に配設された現像ユニットほど、受熱部の冷却効果を高くすることによって、各現像ユニットをその配設位置によらずより均一な温度に冷却することができ、高画質の画像形成を安定して行うことが可能となる。
【0027】
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記冷却装置は、前記受熱部と、冷却液を冷却する冷却部と、前記冷却液を搬送するための流路と、当該流路を介して前記冷却部から前記受熱部へ冷却液を搬送する冷却液搬送手段とを備えたものである。
【0028】
上記のような液冷式の冷却装置は、空冷式の冷却装置よりも設置スペースを小さくすることができる利点がある。このため、小型化のために内部が高密度化した画像形成装置には、液冷式の冷却装置が好適である。また、一般に、水の定積熱容量は空気の3000倍以上である。このため、液冷式の冷却装置は少ない流量で大きな熱量を移送することができ、空冷式の冷却装置に比べて効率の良い冷却が可能である。
【0029】
請求項9の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記現像ユニットと前記冷却装置を一体的に画像形成装置本体に対して着脱可能に構成したものである。
【0030】
現像ユニットと冷却装置を一体的に着脱可能に構成したことにより、現像ユニットと冷却装置のメンテナンス等が容易となる。また、着脱時に、冷却装置を構成する部品同士を分離する必要がないので、分離箇所からの冷却液漏れの虞もなく、信頼性が向上する。
【0031】
請求項10の発明は、請求項8又は9に記載の画像形成装置において、前記現像ユニットを複数備え、温度上昇しやすい前記現像ユニットから順に、前記受熱部に前記冷却液を搬送するように構成したものである。
【0032】
温度が高くなりやすい現像ユニットから順に、受熱部に冷却液を搬送することにより、温度が高くなりやすい現像ユニットほど、受熱部による冷却効果を高めることができる。これにより、各現像ユニットをより均一な温度に冷却することができ、高画質の画像形成を安定して行うことができる。
【0033】
請求項11の発明は、請求項8から10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記現像ユニットを複数備え、温度上昇しやすい前記現像ユニットほど、前記受熱部との当接面積を大きくするように構成したものである。
【0034】
温度上昇しやすい現像ユニットほど、受熱部との当接面積を大きくすることにより、受熱部による冷却効果を高めることができる。これにより、各現像ユニットをより均一な温度に冷却することができ、高画質の画像形成を安定して行うことができる。
【0035】
請求項12の発明は、請求項8から11のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記現像ユニットを複数備え、温度上昇しやすい前記現像ユニットほど、前記受熱部に搬送する前記冷却液の単位時間当たりの流量を多くするように構成したものである。
【0036】
温度上昇しやすい現像ユニットほど、受熱部に搬送する冷却液の単位時間当たりの流量を多くすることにより、受熱部による冷却効果を高めることができる。これにより、各現像ユニットをより均一な温度に冷却することができ、高画質の画像形成を安定して行うことができる。
【0037】
請求項13の発明は、請求項8から12のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記現像ユニットを複数備えると共に、各現像ユニットに対応させて前記冷却部を1つずつ配設し、温度上昇しやすい前記現像ユニットほど、対応した前記冷却部の冷却効果を高くなるように構成したものである。
【0038】
温度上昇しやすい現像ユニットほど、対応した冷却部の冷却効果を高くなるように構成したことにより、各現像ユニットをより均一な温度に冷却することができ、高画質の画像形成を安定して行うことができる。
【0039】
請求項14の発明は、請求項13に記載の画像形成装置において、前記冷却部は、前記冷却液を放熱させるラジエータを備え、温度上昇しやすい前記現像ユニットほど、対応した前記ラジエータのサイズを大きくしたものである。
【0040】
温度上昇しやすい前記現像ユニットほど、対応したラジエータのサイズを大きくしたことにより、ラジエータの放熱量を多くすることができる。これにより、各現像ユニットをより均一な温度に冷却することができ、高画質の画像形成を安定して行うことができる。
【0041】
請求項15の発明は、請求項13又は14に記載の画像形成装置において、前記冷却部は、前記冷却液を放熱させるラジエータと、当該ラジエータに送風する冷却ファンとを備え、温度上昇しやすい前記現像ユニットほど、対応した前記冷却ファンの風量を多くするように構成したものである。
【0042】
温度上昇しやすい現像ユニットほど、対応した冷却ファンの風量を多くすることにより、ラジエータの放熱量を多くすることができる。これにより、各現像ユニットをより均一な温度に冷却することができ、高画質の画像形成を安定して行うことができる。
【0043】
請求項16の発明は、像担持体と、当該像担持体に当接してクリーニングするクリーニング部材を有するクリーニングユニットと、当該クリーニングユニットを前記像担持体に対して位置決めする位置決め手段と、前記クリーニングユニットに当接可能に配設された受熱部を有する冷却装置とを備えた画像形成装置において、前記受熱部と前記クリーニングユニットとの当接方向を、前記像担持体と前記クリーニング部材との当接方向に対して略直交するように構成したものである。
【0044】
本発明では、受熱部とクリーニングユニットとの当接方向を、像担持体とクリーニング部材との当接方向に対して略直交するように構成したことにより、クリーニングユニットが受熱部との当接によって主として受ける力の方向を、上記クリーニング部材の当接方向に対して略直交する方向に作用させることができる。これにより、クリーニングユニットが受熱部との当接によって変位しても、像担持体とクリーニング部材との当接方向の位置関係がそれの影響を受けにくくなる。従って、像担持体とクリーニング部材との当接方向の位置関係を高精度に維持することができるので、クリーニング性を良好に維持することが可能となる。また、本発明は、上記受熱部の当接方向と上記クリーニング部材の当接方向を略直交にするだけでよいので、クリーニングユニットの位置を高精度に維持するための複雑な機構などは必要ない。このため、構造を簡素化することができると共に装置の小型化も図れる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、簡単な構成により、像担持体と被冷却部(現像ユニット又はクリーニングユニット)との対向方向又は当接方向の位置関係を高精度に維持することができるので、装置の小型化を図りつつ高画質の画像形成を実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例1に係る中間転写タンデム方式のカラー画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】画像形成ユニットの手前側斜視図である。
【図3】画像形成ユニットの奥側斜視図である。
【図4】現像ローラの両端に金属ローラを設けた構成を示す概略構成図である。
【図5】冷却装置の概略平面図である。
【図6】受熱部の概略図である。
【図7】本発明の実施例2に係る冷却装置の概略図である。
【図8】本発明の実施例3に係る冷却装置の概略図である。
【図9】本発明の実施例4に係る冷却装置の概略図である。
【図10】本発明の実施例5に係る画像形成装置の一部を示す概略図である。
【図11】本発明の実施例6に係る画像形成装置の一部を示す概略図である。
【図12】上記実施例6の変形例を示す概略図である。
【図13】本発明の実施例7に係る画像形成装置の一部を示す概略図である。
【図14】上記実施例7の変形例を示す概略図である。
【図15】本発明の実施例8に係る構成を概念化して示した図である。
【図16】図1に示す複数の画像形成ユニットのうち、1つの画像形成ユニットを示した図である。
【図17】受熱部と現像ユニットの当接方向を説明するための図であって、(a)は受熱部と現像ユニットの当接状態の一例を示し、(b)は前記当接状態の他の例を示す。
【図18】図10に示す複数の画像形成ユニットのうち、1つの画像形成ユニットを示した図である。
【図19】本発明の実施例9に係る画像形成装置の一部を示す概略図である。
【図20】直接転写タンデム方式のカラー画像形成装置を示す図である。
【図21】従来の画像形成装置における受熱部と現像ユニットの当接状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0047】
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置の概略図である。
図1に示す画像形成装置は、カラー画像形成装置であり、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色の画像を形成する4つの画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを並設した画像形成部1を備えている。各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、像担持体としてのドラム状の感光体2Y,2M,2C,2Kと、帯電手段としての帯電ユニット3Y,3M,3C,3Kと、現像手段としての2成分現像方式の現像ユニット4Y,4M,4C,4Kと、クリーニング手段としてのドラムクリーニングユニット5Y,5M,5C,5K等を、図示しない枠体に一体的に収容している。これら画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成され、一度に消耗部品を交換できるようになっている。また、画像形成装置の上部には、原稿を読み取る読取装置7が配設されている。
【0048】
上記画像形成部1の上方には、潜像形成手段としての露光ユニット6が配設されている。この露光ユニット6から発されたレーザ光は、各感光体2Y,2M,2C,2Kに照射されるようになっている。画像形成部1の下方には、転写ユニット8が配設されている。転写ユニット8は、中間転写回転体としての中間転写ベルト9と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11Y,11M,11C,11K等を有する。中間転写ベルト9は複数のローラに掛け渡され、それらローラのうちの1つが駆動ローラとして回転駆動することによって、中間転写ベルト9は図の矢印の方向に周回走行(回転)するように構成されている。4つの一次転写ローラ11Y,11M,11C,11Kは、上記感光体2Y,2M,2C,2Kに対向する位置で中間転写ベルト9の内周面に接触している。これら一次転写ローラ11Y,11M,11C,11Kの中間転写ベルト9への接触によって、中間転写ベルト9は各感光体2Y,2M,2C,2Kと接触し、その接触部において一次転写ニップを形成している。
【0049】
転写ユニット2の下方には二次転写手段としての二次転写装置14が配設されている。二次転写装置14は、図示しない電源によって電圧が印加される二次転写ローラ12を有し、その二次転写ローラ12は、中間転写ベルト9を掛け渡したローラの1つである対向ローラ13に対向した位置で中間転写ベルト9の外周面に接触している。この二次転写ローラ12と中間転写ベルト9が接触する接触部において二次転写ニップが形成されている。
【0050】
二次転写装置14の図の右方には、記録用紙を収容した図示しない給紙カセットから記録用紙を1枚ずつ二次転写装置14へ給紙する給紙ユニット17が配設されている。また、二次転写装置14の図の左方には、記録媒体としての記録用紙に画像を定着するための定着装置15が配設されている。この定着装置15と二次転写装置14との間には記録用紙を定着装置15へ搬送するための搬送ベルト16が配設してある。また、定着装置15の図の左方には、定着装置15を通過した記録用紙を機外又は両面印刷用搬送装置18へ搬送する排紙ユニット19が配設されている。
【0051】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。なお、以下の説明において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の識別を表す添え字Y,M,C,Kは便宜的に省略する。
【0052】
まず、図示しない原稿台又はコンタクトガラス等に原稿をセットし、読取装置7によって原稿の画像情報を読み取る。この原稿の読み取りに並行して、各感光体2が図示しない駆動装置によって図の反時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電ユニット3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光ユニット6からレーザ光がそれぞれ照射されて、各感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像ユニット4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として可視像化される。
【0053】
中間転写ベルト9を張架する駆動ローラが回転駆動することにより、中間転写ベルトは図の矢印で示す方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト9上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト9はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。
【0054】
給紙ユニット17によって送り出された記録用紙は、一対のレジストローラ20によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12と中間転写ベルト9との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12に、中間転写ベルト9上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、二次転写ニップに転写電界が形成される。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト9上のトナー画像が記録用紙上に一括して転写される。トナー画像が転写された記録用紙は定着装置15へと搬送され、記録用紙が定着装置15を通過する際に熱と圧力が加えられてトナー画像が熔融されて定着される。トナー画像が定着された記録用紙は、排紙ユニット19によって機外へと排出される。
【0055】
また、両面印刷を行う場合は、記録用紙を機外へ排出せずに、記録用紙を排紙ユニット19から両面印刷用搬送装置18へと搬送する。記録用紙は両面印刷用搬送装置18を通過する間に表裏反転され再び二次転写ニップへと案内される。そして、上記と同様にして、記録用紙の裏面に画像の転写と定着を行った後、記録用紙を機外へと排出する。
【0056】
なお、トナー画像が転写された後の各感光体2の表面に付着する残留トナーは、各ドラムクリーニングユニット5によって感光体2の表面から除去され、次いで、その表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0057】
以上の説明は、記録用紙にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの画像形成ユニット10のいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの画像形成ユニット10を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0058】
図2は、上記各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの1つの手前側斜視図であり、図3は、その画像形成ユニットの奥側斜視図である。なお、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは同様の構成となっているので、図2及び図3において、各色の識別を表す添え字Y,M,C,Kは便宜的に省略している。
【0059】
図2に示すように、感光体2は、感光層が塗工された感光管21と、手前側フランジ22と、奥側フランジ23とで構成されている。感光体2の手前側フランジ22と奥側フランジ23とが、画像形成ユニット10の枠体30に回転可能に支持されている。詳しくは、感光体2の支持軸であるドラム軸24が、位置決め手段としての前位置決め板31と奥位置決め板32のそれぞれに設けた軸受に回転可能に嵌合している。これにより、感光体2が位置決めされる。また、感光体2のドラム軸24の一端には、感光体2を回転駆動させる感光体モータ25が取り付けられている。
【0060】
現像ユニット4は、画像形成ユニット10の枠体30に仮位置決めされた後、前位置決め板31と奥位置決め板32によって位置決めされている。現像ユニット4は、現像剤担持体としての現像ローラ40を有しており、現像ローラ40の図示しないローラ軸が、各位置決め板31,32に設けた軸受に回転可能に嵌合している。また、各位置決め板31,32には、それぞれ長孔より成る従基準孔が形成され、これら従基準孔には、現像ユニット4の両端部に固定された従基準ピン33が嵌合している。このように、従基準ピン33が従基準孔に嵌合することによって、現像ユニット4の現像ローラ40の中心軸線回りの回転が規制される。
【0061】
各位置決め板31,32によって現像ローラ40と感光体2とが支持された状態では、現像ローラ40と感光体2との間に一定の現像ギャップが保持されている。この現像ギャップを所定の間隔で維持することにより、感光体2に高品質なトナー画像を現像することができる。
【0062】
また、図4に示すように、現像ローラ40の両端に金属ローラ41,42を設け、これら金属ローラ41,42を感光体2のフランジ22,23に当接させて、現像ローラ40と感光体2とが所定の現像ギャップを介して位置決めされるように構成してもよい。
【0063】
なお、上記各位置決め板31,32は、コスト低減及び軽量化の観点から樹脂で形成することが好ましいが、金属を適用してもよい。
【0064】
ところで、近年、画像形成装置の小型化の要請から、装置内が高密度化しつつある。本発明に係る画像形成装置においても小型化が図られており、装置内が高密度化している。そのため、図1に示すように、定着装置15を転写ユニット8の下方へもぐり込ませて配設しており、中間転写ベルト9が定着装置15に対して近接した構成となっている。
【0065】
このように、中間転写ベルト9が定着装置15に対して近接して配設されると、定着装置15の熱によって中間転写ベルト9に変形が生じ、色ずれ等の画像不良が発生する虞がある。また、このような画像不良は、画像形成装置の高速化に伴って装置内の発熱量が増大すると、顕著となる傾向にある。また、両面印刷を行った場合は、定着装置15で加熱された記録用紙が、再び中間転写ベルト9の二次転写位置へ搬送され、そこで中間転写ベルト9に接触するため、さらに中間転写ベルト9が温度上昇し、画像形成を良好に行うにはより厳しい条件となる。また、中間転写ベルト9を介して感光体2や現像ユニット4にも熱が伝達されるため、感光体2や現像ユニット4の温度上昇も招く。これらの温度上昇によって、トナーの帯電量低下に伴う画像濃度異常や、溶融したトナーが感光体や現像ローラ等に固着することによる画像の濃度ムラ等が発生しやすくなる。
【0066】
そこで、図1に示すように、定着装置15と中間転写ベルト9との間に断熱装置50を配設している。断熱装置50は、主として、受熱部材としての受熱板51と、伝熱手段(熱輸送手段)としてのヒートパイプ52と、放熱部材としての放熱板53と、ダクト54及び図示しない排気ファンによって構成されている。受熱板51は、熱を吸収しやすい材料によって形成されており、発熱源である定着装置15とその熱の影響から保護したい保護対象部である転写ユニット8との間に配設されている。ヒートパイプ52の一端部(下端部)は受熱板51の下面に付設され、他端部は放熱板53に付設されている。放熱板53は、熱を放出しやすい材料によって形成されており、ダクト54内に配設されている。本実施例では、ダクト54は画像形成装置の前面から背面に渡って延設されている。ダクト54の装置前面側の端部には空気流入口が設けられ、装置背面側の端部には排気口が設けられている。また、その排気口には図示しない排気ファンが設けてある。
【0067】
以上のように構成された断熱装置50は、定着装置15からの熱を受熱板51で受け、その熱がヒートパイプ52によって放熱板53まで伝達される。そして、放熱板53から熱が放出され、放出された熱は図示しない排気ファンよって機外に排出される。なお、排気ファンを設けず、自然冷却とすることも可能である。このように、定着装置15から発された熱を転写ユニット8の手前で受熱板51によって吸収し、その熱を機外に排出することによって、定着装置15の熱による転写ユニット8の温度上昇を抑制するようにしている。また、転写ユニット8の温度上昇が抑制されることによって、感光体2や現像ユニット4の温度上昇も抑制される。これにより、中間転写ベルト9の変形による画像の位置ずれや、トナーの帯電量低下に伴う画像濃度異常、トナーの固着による画像の濃度ムラ等の不具合を未然に防止している。
【0068】
また、各現像ユニット4は、現像ユニット4内に収容された現像剤(トナー)を攪拌搬送する現像剤攪拌搬送部材や、現像剤を現像領域に搬送する前に現像ローラ上に担持されている現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材を有している(図示省略)。現像剤攪拌搬送部材によって現像剤を攪拌搬送した際、又は現像剤規制部材によって現像剤の層厚を規制した際に、現像剤攪拌搬送部材又は現像剤規制部材と現像剤との摺接による摩擦熱や、現像剤同士の摺接による摩擦熱によって、現像ユニット4内の温度が上昇する。現像ユニット4内の温度が上昇すると、トナーの帯電量低下に伴う画像濃度異常や、トナーが現像ローラや現像剤規制部材等に固着することによる濃度ムラ等が発生する虞がある。特に、画像定着時の消費エネルギーの低減の目的で溶融温度の低いトナーを用いた場合は、トナーが溶融しやすいため、上記トナーの固着が生じやすくなる。また、印刷スピードを高速化した場合は、現像ユニット4が高温になりやすいため、上記のような画像不良が生じやすくなる。
【0069】
そのため、本発明に係る画像形成装置は、各現像ユニット4を冷却する冷却装置を備えている。
【0070】
図5は、上記冷却装置の概略平面図である。ここでは、冷却装置として液冷式の冷却装置を用いている。
図5に示すように、冷却装置60は、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの下側に配設された4つの受熱部61Y,61M,61C,61Kと、3つの冷却部62と、冷却ポンプ64と、リザーブタンク65と、これらを連結する流路としての循環パイプ63とを備えている。
【0071】
上記冷却部62は、冷却液を冷却する冷却手段である。各冷却部62は、放熱手段としてのラジエータ66及び冷却ファン67等を有する。ラジエータ66は、熱伝導率が高いアルミニウム等で構成された収容部を有する。この収容部内に冷却液を収容することにより、冷却液を放熱させて冷却するようになっている。冷却ファン67は、ラジエータ66に送風することによって、ラジエータ66の放熱効果を高めるためのものである。また、この実施例では、3つのラジエータ66と、4つの受熱部61Y,61M,61C,61Kと、冷却ポンプ64と、リザーブタンク65とが、循環パイプ63によって直列に連結されている。
【0072】
冷却部62は1又は2つでもよいし、4つ以上であっても構わない。冷却部62を複数備えることで、各冷却部62の冷却効果が比較的低くても、十分な冷却効果を発揮することが可能である。複数の冷却部62によって冷却する場合は、1つの冷却部62によって冷却する場合に比べて、1つ当たりの放熱面積を小さくすることができ、結果的に小型化を図ることが可能となる。また、この実施例では、冷却部62ごとに冷却ファン67を設けているが、1つの冷却ファン67によって各ラジエータ66に外気を供給するように構成してもよい。
【0073】
上記冷却ポンプ64は、冷却液を循環パイプ63を介して各受熱部61Y,61M,61C,61Kと各冷却部62との間で循環させる冷却液搬送手段である。この場合、冷却液は冷却ポンプ64によって図の矢印の方向に循環される。また、上記リザーブタンク65は、余剰の冷却液を貯留するためのタンクである。
【0074】
熱輸送媒体としての冷却液は、水を主成分としている。ここでは、冷却液に、凍結温度を下げるためのプロピレングリコールやエチレングリコールなどを添加したり、金属製の部品の錆を防止するための防錆剤(例えば、リン酸塩系物質:リン酸カリ塩、無機カリ塩等)を添加したりして使用している。
【0075】
図6は、上記受熱部61の概略図である。なお、各受熱部61Y,61M,61C,61Kはそれぞれ同様に構成されているため、図6において、各色の識別を表す添え字Y,M,C,Kは便宜的に省略している。
【0076】
図6に示すように、受熱部61は、冷却液を通すための管路68と、その管路68を収容したケース69を有している。管路68及びケース69は、熱伝導性の高い部材によって形成されている。例えば、熱伝導率が400[W/mK]程度の銅、あるいは熱伝導率が200[W/mK]程度のアルミニウムを、管路68及びケース69の材料として適用可能である。また、熱伝導率のより高い銀や金等の材料を管路68及びケース69に適用してもよい。管路68はケース69内でU字状に屈曲しており、ケース69の一端部から管路68の両端部68a,68bが突出している。突出した両端部68a,68bには、それぞれ循環パイプ63が接続されている。
【0077】
図1に示すように、各受熱部61Y,61M,61C,61Kは、各色の現像ユニット4Y,4M,4C,4Kの下面に当接して配設されている。さらに、各受熱部61Y,61M,61C,61Kは、図示しないバネ等の加圧手段によって、各色の現像ユニット4Y,4M,4C,4Kに加圧されている。これにより、受熱部61Y,61M,61C,61Kを現像ユニット4Y,4M,4C,4Kに圧接(密着)させることができ、これらの当接面積(受熱面積)を大きくして、冷却効果を向上させている。
【0078】
また、受熱部61Y,61M,61C,61Kを現像ユニット4Y,4M,4C,4Kに圧接させる場合は、循環パイプ63を、ゴムチューブや樹脂チューブなどの柔軟性や可撓性を有する部材で構成することが好ましい。循環パイプ63を柔軟性や可撓性を有する部材で構成することにより、圧接時の受熱部61Y,61M,61C,61Kの変位に追随して循環パイプ63が変形することができる。このため、受熱部61Y,61M,61C,61Kから循環パイプ63が外れてしまうなどの不具合を防止することができる。ただし、循環パイプ63の全体をゴムチューブなどで構成しなくてもよい。循環パイプ63の一部を金属製の配管で構成した方が、水分透過性を極力抑えることができる点で好ましい。
【0079】
以下、上記冷却装置60の動作について説明する。
ラジエータ66で冷却された冷却液を、冷却ポンプ64によって各受熱部61Y,61M,61C,61Kへ順次送る。冷却液は各受熱部61Y,61M,61C,61Kを通過する間に各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kから熱を吸収し、再び、ラジエータ66へと戻される。そして、ラジエータ66で冷却液を放熱させて冷却する。冷却ファン67によってラジエータ66に送風することにより、ラジエータ66の放熱効果を高めることができる。また、所望する放熱量に応じて、冷却ファン67の駆動・停止を切換可能に構成してもよい。あるいは、放熱量に応じて、冷却ファン67の回転速度を調整可能に構成してもよい。このように冷却液を循環させて各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kを冷却することにより、画像濃度異常や濃度ムラ等の不具合の発生を抑制することができる。
【0080】
また、液冷式の冷却装置は、空冷式の冷却装置よりも設置スペースを小さくすることができる利点がある。このため、本実施例のような内部が高密度化した画像形成装置には、液冷式の冷却装置が好適である。また、一般に、水の定積熱容量は空気の3000倍以上である。このため、液冷式の冷却装置は少ない流量で大きな熱量を移送することができ、空冷式の冷却装置に比べて効率の良い冷却が可能である。
【0081】
上述したように、両面印刷を行うと、定着装置15で加熱された記録用紙が、二次転写部で中間転写ベルト9を暖めるため、その後の中間転写ベルト9の回転に伴って、感光体2Y,2M,2C,2Kや現像ユニット4Y,4M,4C,4Kも温度上昇する。このとき、中間転写ベルト9の暖められた箇所は、感光体2Y、感光体2M、感光体2C、感光体2Kの順に(図1の左側の感光体から順に)接触するので、接触する順番が早い感光体、及びその感光体に対向する現像ユニットほど温度上昇が高くなりやすい。そのため、温度上昇が高くなりやすい現像ユニットほど、各受熱部61Y,61M,61C,61Kによる冷却効果を高くすることが望ましい。言い換えれば、各現像ユニットに対する冷却能力を、中間転写ベルト9の記録用紙への転写位置(二次転写位置)を始点として回転方向の上流側に配設された現像ユニットほど高くなるように構成することが望ましい。
【0082】
そこで、本実施例では、温度が高くなりやすい現像ユニットに当接した受熱部から順に(図5において61Y、61M、61C、61Kの順に)冷却液を送るようにしている。このように冷却液を送ることによって、温度上昇しやすい現像ユニットほど、冷却液が冷えた状態で受熱部に送られるようになり、受熱部の冷却効果を高くすることができる。これにより、各現像ユニットをその配設位置によらずより均一な温度に冷却することができ、高画質の画像形成を安定して行うことができる。また、温度が高くなりやすい現像ユニットほど、受熱部の受熱面積を大きくすることによっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0083】
また、定着装置15の近くに配設された現像ユニットほど、温度が高くなりやすい傾向にある。そのため、定着装置15に近い現像ユニットほど、受熱部の冷却効果を高くするようにしてもよい。
【実施例2】
【0084】
図7は、本発明の実施例2に係る冷却装置の概略図である。
上記本発明の実施例1では、各受熱部61Y,61M,61C,61Kを直列に連結していたが、図7に示す実施例2のように、各受熱部61Y,61M,61C,61Kを並列に連結してもよい。また、この場合、上記と同様に、温度が高くなりやすい現像ユニットほど、受熱部の受熱面積を大きくすることによって、各現像ユニットをその配設位置によらずより均一な温度に冷却することが可能である。
【実施例3】
【0085】
図8は、本発明の実施例3に係る冷却装置の概略図である。
図8に示すように、本発明の実施例3では、複数の冷却部62と複数の受熱部61Y,61M,61C,61Kが交互に直列に連結されている。すなわち、各冷却部62によって冷却された冷却液は、対応した受熱部61Y,61M,61C,61Kに冷却液を供給するまでにそれ以外の受熱部61には冷却液を供給しないようになっている。また、複数の冷却部62を、図7に示す並列に連結した各受熱部61Y,61M,61C,61Kに対応させて配設してもよい。これらの場合、冷却部62ごとに、ラジエータ66のサイズ(放熱量)を異ならせたり、ラジエータ66に送風する冷却ファン67の風量を異ならせたりすることによって、各現像ユニットに対する冷却効果に差をもたせることが可能である。従って、温度が高くなりやすい現像ユニットに対応して配設された冷却部62ほど、その冷却効果を高めることによって、各現像ユニットをその配設位置によらずより均一な温度に冷却することが可能である。また、この実施例において、上記と同様に、温度が高くなりやすい現像ユニットほど、受熱部の受熱面積を大きくすることによっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0086】
図9は、本発明の実施例4に係る冷却装置の概略図である。
図9に示すように、本発明の実施例4では、2つの現像ユニット4Y,4Mを冷却する第1の冷却装置60aと、別の2つの現像ユニット4C,4Kを冷却する第2の冷却装置60bを設けている。この場合、2つの冷却装置60a,60bの循環パイプ63は独立しているので、それぞれの冷却液の単位時間当たりの流量(流速)を異ならせることができる。例えば、図の左側2つの現像ユニット4Y,4Mの方が、図の右側2つの現像ユニット4C,4Kよりも温度上昇しやすい場合は、第1の冷却装置60aの流量又は流速を第2の冷却装置60bの流量又は流速よりも多く又は速くすることによって、各現像ユニットをより均一な温度に冷却することができる。さらに、各受熱部61Y,61M,61C,61Kごとに、冷却液の流量又は流速を異ならせることが可能であれば、温度が高くなりやすい現像ユニットに配設した受熱部ほど、流量を多くする、又は流速を速くすることによって、各現像ユニットをより均一な温度に冷却することが可能である。また、各冷却装置60a,60bにおいて、ラジエータ66のサイズ(放熱量)を異ならせたり、ラジエータ66に送風する冷却ファン67の風量を異ならせたりすることによっても、冷却効果に差をもたせることが可能である。また、温度が高くなりやすい現像ユニットほど、受熱部の受熱面積を大きくしてもよい。
【0087】
以上、本発明の実施例2〜4に係る冷却装置について説明したが、上記説明した構成以外は実施例1と同様の構成となっているので説明を省略する。なお、図7〜図9において、図5と同一の符号は同じ部材又は装置を示す。
【実施例5】
【0088】
図10は、本発明の実施例5に係る画像形成装置の一部を示す概略図である。
上記図1に示す実施例では、4つの画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは横方向(図の左右方向)に並んで配設されているが、図10に示す実施例5では、4つの画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kが縦方向(図の上下方向)に並んで配設されている。この画像形成装置においても、各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kを冷却するための受熱部61Y,61M,61C,61Kを設けている。この場合、各受熱部61Y,61M,61C,61Kは、対応する現像ユニット4Y,4M,4C,4Kの図の右端面に当接して配設されている。
【0089】
また、図10に示す画像形成装置は、図1に示す画像形成装置と同様に、感光体2Y,2M,2C,2Kと、帯電ユニット3Y,3M,3C,3Kと、現像ユニット4Y,4M,4C,4K等を有する画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kと、露光ユニット6と、中間転写ベルト9を有する転写ユニット8と、二次転写ローラ12と、定着装置15等を備えている。なお、その他の構成や動作については、図1において説明した実施例と同様であるので説明を省略する。
【0090】
ところで、画像形成装置内で定着装置15等によって暖められた空気は、装置内の上部へ溜まる。従って、図10に示すように、複数の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kが縦方向に並んだ場合は、上側に配設した現像ユニットほど温度上昇しやすい。しかも、この場合、両面印刷を行うと、定着後の記録用紙から熱を受けた中間転写ベルト9が上側の感光体から順に接触するため、上側の現像ユニットにおいてさらに温度上昇しやすい条件となる。そのため、この実施例では、上側に配設した現像ユニットほど、受熱部の冷却効果を高くしている。これにより、各現像ユニットをその配設位置によらずより均一な温度に冷却することが可能である。なお、受熱部の冷却効果を高くする手法は、上記各実施例で挙げた手法を適宜選択して使用すればよい。
【実施例6】
【0091】
図11は、本発明の実施例6に係る画像形成装置の一部を示す概略図である。
図11に示す画像形成装置は、4つの現像ユニット4Y,4M,4C,4Kが横方向に並んで配設されている。上記各実施例では、4つの現像ユニットに対して受熱部を1つずつ当接させているが、実施例6では、各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kに対して1つの受熱部61を当接させている。言い換えれば、ここでは、各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kに当接する受熱部を一体的に構成している。また、この場合、受熱部61は、各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kの上面に当接するように配設されているため、受熱部61の所定の箇所には、露光ユニット6から感光体2Y,2M,2Cへ照射するレーザ光を通すための貫通孔70が形成されている。
【0092】
図12は、上記実施例6の変形例を示す概略図である。
この場合は、4つの現像ユニット4Y,4M,4C,4Kは、縦方向に並んで配設されているが、図11に示す実施例と同様に、各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kに対して1つの受熱部61を当接させている。また、受熱部61の所定の箇所には、露光ユニット6から感光体2Y,2M,2Cへ照射するレーザ光を通すための貫通孔70が形成されている。
【0093】
上記のように、各現像ユニットに当接する受熱部を一体的に構成した場合は、複数の受熱部を独立して配設した場合に比べて、構造を簡素化することができると共に、部品点数の削減を図ることができる。また、冷却液の流路の構成も単純化することができ、圧損が少なく効率良く冷却液を循環させることができるので冷却能力が向上する。また、受熱部を一体的に構成することにより、装置全体の剛性、特に画像形成部の剛性が向上するため、画像形成能力が安定化し、信頼性の向上に繋がる。
【実施例7】
【0094】
図13は、本発明の実施例7に係る画像形成装置の一部を示す概略図である。
図13に示す画像形成装置は、各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kを横方向に並べて配設したものである。この場合、受熱部61を、各現像ユニット4Y,4M,4C,4K以外に、露光ユニット6にも当接させている。なお、それ以外は、上記図11に示す実施例の構成と基本的に同様に構成されている。
【0095】
また、図14に、上記実施例7の変形例を示す。
図14に示す画像形成装置は、各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kを縦方向に並べて配設したものである。この場合も、受熱部61を、各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kと露光ユニット6に当接させている。なお、それ以外は、上記図12に示す実施例の構成と基本的に同様に構成されている。
【0096】
上記のように、受熱部を現像ユニット以外に露光ユニットにも当接させたことにより、現像ユニットと併せて露光ユニットも冷却することができる。これにより、色ずれ等の画像不良をより効果的に抑制することができ、高画質な画像形成が可能となる。また、図13及び14に示す実施例では、1つの受熱部を各現像ユニットと露光ユニットに当接させた構成となっているが、各現像ユニットに対して1つずつ当接させた複数の受熱部を露光ユニットにも当接させる構成とすることも可能である。
【実施例8】
【0097】
図15に、本発明の実施例8を示す。
本発明の実施例8は、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kと冷却装置60とを、一体的に画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。図15では、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kと冷却装置60とを、図の矢印の方向に取り出す様子を示している。また、図15において、符号6は露光ユニット、符号8は転写ユニットを示す。冷却装置60は、上記各実施例と同様に、受熱部61と、冷却ポンプ64と、リザーブタンク65と、ラジエータ66と、これらを連結する循環パイプ63と、冷却ファン67によって構成されている。なお、図15は本発明の実施例8に係る構成を概念化して示したものであり、画像形成部及び冷却装置の具体的な着脱機構などについては、図示及び説明を省略する。
【0098】
このような構成とすることにより、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kと冷却装置60のメンテナンス等が容易となる。また、着脱時に、各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kと受熱部61とを分離しなくてよいので、各現像ユニット4Y,4M,4C,4Kと受熱部61との間に熱伝導シートや熱伝導グリス等の熱伝導部材を介在させている場合は、これらの熱伝導部材の消耗を抑制することができる。このため、熱伝導部材を介在させることによる熱伝導効果の耐久性を長期化させることができる。さらに、着脱時に、冷却装置60を構成する部品同士を分離する必要がないので、分離箇所からの冷却液漏れの虞もなく、信頼性が向上する。
【0099】
図16は、図1に示す複数の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kのうち、1つの画像形成ユニットを示した図である。なお、図16において、各色の識別を表す添え字Y,M,C,Kは便宜的に省略している。
上述したように、現像ユニット4は感光体2に対して位置決めされており、この状態で現像ユニット4の現像ローラ40と感光体2との間には、現像ギャップGが保持されている。この現像ギャップGは、詳しくは、現像ローラ40の中心O40と感光体2の中心O2とを通る直線X上の最接近部の離間距離で設定される。
【0100】
また、現像ユニット4の下端面には受熱部61が当接して配設されている。すなわち、受熱部61と現像ユニット4は図の上下方向に当接している。一方、感光体2と現像ユニット4の現像ローラ40は互いに図の左右方向に対向している。従って、受熱部61と現像ユニット4の当接方向と、感光体2と現像ローラ40の対向方向は、互いに略直交するように構成されている。
【0101】
ここで、感光体2と現像ユニット4の「対向方向」とは、詳しくは上述の現像ローラ40の中心O40と感光体2の中心O2とを通る直線Xの方向のことをいう。また、受熱部6
1と現像ユニット4の「当接方向」を、現像ユニット4が受熱部61との当接によって主として受ける力の方向と同方向と定義する。例えば、図17(a)に示すように、現像ユニット4と受熱部61との当接面が水平面状となっている場合は、現像ユニット4の当接面が受熱部61から受ける力f1は全て図の上方へ作用するため、それらの合力で示される主として受ける力F1は、やはり図の上方向となる。従って、この場合、上記「当接方向」は、主として受ける力F1と同方向である図の上方向となる。また、図17(b)に示すように、現像ユニット4と受熱部61との当接面が湾曲している場合は、現像ユニット4の当接面が受熱部61から受ける力f2は異なる方向となっているが、それらの合力で示される主として受ける力F2は、図の上方向となる。従って、この場合も、上記「当接方向」は、主として受ける力F1と同方向である図の上方向となる。なお、現像ユニット4と受熱部61との当接面を湾曲させた場合の方が、当接面を平面とした場合よりも当接面積(受熱面積)を大きく確保することができ、冷却効果を向上させることができる。
【0102】
一方、図21に示す従来例では、本発明と異なり、受熱部300と現像ユニット200の当接方向と、感光体100と現像ローラ210の対向方向が、略同方向に設定されている。この場合、現像ユニット200が受熱部300から受ける力の方向が、現像ギャップGの間隔方向と略同方向となるため、現像ギャップGが変化しやすい。従って、従来例は、現像ユニット200と受熱部300を当接させることにより、現像ギャップGが変化して、所定の画質を維持できなくなる虞がある。
【0103】
これに対し、本発明では、受熱部61と現像ユニット4の当接方向と、感光体2と現像ローラ40の対向方向を、互いに略直交するように構成したことにより、現像ユニット4が受熱部61との当接によって主として受ける力の方向を、上記対向方向に対して略直交する方向に作用するようにしている。これにより、現像ユニット4が受熱部61との当接によって変位しても、現像ギャップGがそれの影響を受けにくくなる。従って、本発明によれば、現像ユニット4と受熱部61とが当接することによる現像ギャップGの変化を抑制することができ、現像ギャップGを高精度に維持することが可能となるので、高画質の画像形成が可能となる。特に、本実施例のように、受熱部61を加圧手段によって現像ユニット4に圧接している場合は、現像ユニット4が受ける力が大きくなり、現像ユニット4がより変位しやすくなるため、本発明のような構成とすることによって、現像ギャップGの変動を抑制することが重要となる。また、本発明によれば、上記当接方向と上記対向方向を略直交にするだけでよいので、現像ユニット4の位置を高精度に維持するための複雑な機構などは必要ない。このため、構造を簡素化することができると共に装置の小型化も図れる。
【0104】
なお、図16に示す実施例では、受熱部61を現像ユニット4の下面に当接させているが、図11や図13に示す実施例のように、受熱部61を現像ユニット4の上面に当接させることによっても、受熱部61と現像ユニット4の当接方向と、感光体2と現像ローラ40の対向方向を、互いに略直交させることができる。また、図16において、複数の受熱部を有する場合を例に挙げて説明したが、図11や図13に示すような複数の受熱部を一体的に構成した場合も同様の作用・効果を奏する。
【0105】
また、図18は、図10に示す複数の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kのうち、1つの画像形成ユニットを示した図である。なお、図18において、各色の識別を表す添え字Y,M,C,Kは便宜的に省略している。
この場合、現像ユニット4の図の右端面に受熱部61が当接して配設されている。すなわち、受熱部61と現像ユニット4は図の左右方向に当接している。一方、感光体2と現像ユニット4は互いに図の上下方向に対向している。従って、この場合も、受熱部61と現像ユニット4の当接方向と、感光体2と現像ローラ40の対向方向は、互いに略直交するように構成されている。なお、上記と同様に、感光体2と現像ローラ40の「対向方向」とは、現像ローラ40の中心O40と感光体2の中心O2とを通る直線Xの方向のことをいう。また、受熱部61と現像ユニット4の「当接方向」を、現像ユニット4が受熱部61との当接によって主として受ける力の方向と同方向と定義する。
【0106】
このように、受熱部61と現像ユニット4の当接方向と、感光体2と現像ローラ40の対向方向を、互いに略直交するように構成したことにより、上記と同様に、現像ユニット4が受熱部61との当接によって変位しても、現像ギャップGがそれの影響を受けにくくすることができる。これにより、現像ギャップGの変動を抑制することができ、高精度な現像ギャップGの保持が可能となる。
【0107】
また、図18において、複数の受熱部を有する場合を例に挙げて説明したが、図12又は図14に示すような複数の受熱部を一体的に構成した場合も同様の作用・効果を奏する。
【実施例9】
【0108】
図19に、本発明の実施例9の構成を示す。
図19は、画像形成装置内に配設された中間転写ベルト9の表面をクリーニングするクリーニングユニット43の概略図である。このクリーニングユニット43は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード44及びクリーニングブラシ45と、フリッカー46と、搬送スクリュー47と、潤滑剤塗布手段としての塗布ブラシ48及び塗布ブレード49等を有している。
【0109】
中間転写ベルト9の走行方向の上流側から下流側(図の下方から上方)に向かって順に、クリーニングブラシ45、クリーニングブレード44、塗布ブラシ48、塗布ブレード49が中間転写ベルト9の表面に当接している。また、クリーニングユニット43は、図示しない位置決め手段によって中間転写ベルト9に対して位置決めされており、これにより、特にクリーニングブレード44は中間転写ベルト9に対して所定の接触圧及び接触角度で当接している。
【0110】
中間転写ベルト9を走行させると、その表面に付着した紙粉等がクリーニングブラシ45によって除去される。次いで、クリーニングブレード44によって中間転写ベルト9上の残留トナーが掻き取られる。そして、紙粉やトナーが除去された中間転写ベルト9の表面に、塗布ブラシ48によって潤滑剤が塗布され、その塗布された潤滑剤が塗布ブレード49によって中間転写ベルト9上に伸ばされる。また、上記クリーニングブラシ45に付着した紙粉等は、クリーニングブラシ45に接触するフリッカー46によって掻き出される。そして、その掻き出された紙粉や、上記クリーニングブレード44によって除去されたトナー等は、搬送スクリュー47によって搬送され、画像形成装置内の廃トナーと合流して集積される。
【0111】
また、本実施例では、搬送スクリュー47による廃トナーの搬送動作に伴う発熱や、図示しない定着装置の熱などによって、クリーニングユニット43内の温度が上昇して、ユニット内でトナーが溶融して固着するのを防止するため、冷却装置の受熱部61をクリーニングユニット43に取り付けている。この冷却装置は、上記各実施例と同様の液冷式の構成を適用可能であるので、詳しい説明は省略する。
【0112】
ここで、受熱部61のクリーニングユニット43に対する当接方向Aは、クリーニングブレード44の中間転写ベルト9に対する当接方向Bと略直交するように構成されている。このため、クリーニングユニット43が受熱部61との当接によって主として受ける力の方向(矢印Aの方向)を、クリーニングブレード44の当接方向(矢印Bの方向)に対して略直交する方向に作用させることができる。
【0113】
これにより、クリーニングユニット43が受熱部61との当接によって変位しても、中間転写ベルト9とクリーニングブレード44との当接方向(矢印Bの方向)の位置関係がそれの影響を受けにくくなる。従って、中間転写ベルト9とクリーニングブレード44との当接方向の位置関係を高精度に維持することができ、中間転写ベルト9に対するクリーニングブレード44の接触圧や接触角度が変化するのを防止できるので、クリーニング性を良好に維持することが可能となる。また、受熱部61の当接方向とクリーニングブレード44の当接方向を略直交にするだけで、クリーニング効果とユニットの冷却の両方を実現することができるので、クリーニングユニット43の位置を高精度に維持するための複雑な機構などは必要ない。このため、構造を簡素化することができると共に装置の小型化も図れる。
【0114】
なお、本実施例9では、像担持体としての中間転写ベルトをクリーニングするクリーニングユニットに本発明を適用した場合を例に説明したが、像担持体としての感光体をクリーニングするクリーニングユニットにも同様に本発明の構成を適用可能である。
【0115】
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述の実施例では、受熱部61と現像ユニット4の当接方向と、感光体2と現像ローラ40の対向方向のうち、一方を上下方向(縦方向)とし、他方を左右方向(横方向)としているが、当接方向と対向方向が互いに略直交する方向であれば、特に方向は限定しない。例えば、当接方向と対向方向のうち、一方を前後方向とし、他方を左右方向としてもよい。
【0116】
また、上述の実施例では、現像ユニットと感光体とが位置決め板によって位置決めされ、現像ユニットが感光体と一体となった画像形成ユニットとして、画像形成装置本体に対して着脱される構成について説明したが、現像ユニットを単体で画像形成装置本体から着脱される構成であってもよい。この場合は、現像ユニットが画像形成装置本体に装着されることで、現像ユニットが画像形成装置本体に設けた位置決め手段によって位置決めされ、感光体と現像ローラとの間の現像ギャップが所定の間隔に保持される。このように、現像ユニットを単体で着脱可能な構成であっても、上記のように、受熱部と現像ユニットの当接方向と、感光体と現像ローラの対向方向を、互いに略直交するように構成したことによって、高精度な現像ギャップの保持が可能となる。
【0117】
また、本発明は、現像ローラと感光体との間に現像ギャップを形成して現像を行う2成分現像方式を採用した画像形成装置について説明したが、現像ローラを感光体に接触させて現像を行う1成分現像方式を採用した画像形成装置にも適用可能である。この1成分現像方式を採用した画像形成装置においても、従来例のように、受熱部と現像ユニットの当接方向と、感光体と現像ローラの対向方向(当接方向)を、略同方向に設定すると、現像ユニットに受熱部を当接又は圧接させることで、現像ローラと感光体との接触圧が高くなるなどの不具合を生じる。これに対し、本発明のように、受熱部と現像ユニットの当接方向と、感光体と現像ローラの対向方向(当接方向)を、略直交するように構成することによって、受熱部の当接による現像ローラと感光体との接触圧の上昇などを抑制することが可能である。
【0118】
また、本発明は、図1に示すような中間転写タンデム方式のカラー画像形成装置に限らない。例えば、図20に示すように、搬送手段としての搬送ベルト80によって搬送される記録用紙に、各感光体2Y,2M,2C,2Kに形成した画像を直接転写する直接転写タンデム方式のカラー画像形成装置にも適用できる。また、本発明を、カラー画像形成装置に限らず、画像形成ユニット(又は感光体)を1つのみ有するモノクロ画像形成装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0119】
2 感光体(像担持体)
4 現像ユニット
6 露光ユニット(潜像形成手段)
9 中間転写ベルト(中間転写回転体)
15 定着装置
18 両面印刷用搬送装置
31 前位置決め板(位置決め手段)
32 奥位置決め板(位置決め手段)
40 現像ローラ(現像剤担持体)
43 クリーニングユニット
44 クリーニングブレード(クリーニング部材)
60 冷却装置
61 受熱部
62 冷却部
63 循環パイプ(流路)
64 冷却ポンプ(冷却液搬送手段)
66 ラジエータ
67 冷却ファン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0120】
【特許文献1】特開平10−133550号公報
【特許文献2】特開2005−164927号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、当該像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体を有する現像ユニットと、当該現像ユニットを前記像担持体に対して位置決めする位置決め手段と、前記現像ユニットに当接可能に配設された受熱部を有する冷却装置とを備えた画像形成装置において、
前記受熱部と前記現像ユニットとの当接方向を、前記像担持体と前記現像剤担持体との対向方向に対して略直交するように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記受熱部を前記現像ユニットに加圧する加圧手段を備えた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像ユニットを複数備え、前記冷却装置は各現像ユニットに当接可能な1つの前記受熱部を有する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段を備え、当該潜像形成手段と前記現像ユニットの両方に前記受熱部を当接可能に構成した請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像ユニットを上下方向に複数並設し、各現像ユニットに対する前記冷却装置の冷却能力を、上側に配設した前記現像ユニットほど高くなるように構成した請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像ユニットを複数備えると共に、熱によって記録媒体に画像を定着させる定着装置を備え、各現像ユニットに対する前記冷却装置の冷却能力を、前記定着装置に近い位置に配設した前記現像ユニットほど高くなるように構成した請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体と前記現像ユニットをそれぞれ複数備えると共に、各像担持体から転写された画像を記録媒体に転写する中間転写回転体と、熱によって記録媒体に画像を定着させる定着装置と、定着後の記録媒体を両面印刷のために再び前記中間転写回転体へ搬送する両面印刷用搬送装置を備え、
各現像ユニットに対する前記冷却装置の冷却能力を、前記中間転写回転体の記録媒体への転写位置を始点として回転方向の上流側に配設された前記現像ユニットほど高くなるように構成した請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記冷却装置は、前記受熱部と、冷却液を冷却する冷却部と、前記冷却液を搬送するための流路と、当該流路を介して前記冷却部から前記受熱部へ冷却液を搬送する冷却液搬送手段とを備えた請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像ユニットと前記冷却装置を一体的に画像形成装置本体に対して着脱可能に構成した請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記現像ユニットを複数備え、温度上昇しやすい前記現像ユニットから順に、前記受熱部に前記冷却液を搬送するように構成した請求項8又は9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記現像ユニットを複数備え、温度上昇しやすい前記現像ユニットほど、前記受熱部との当接面積を大きくするように構成した請求項8から10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記現像ユニットを複数備え、温度上昇しやすい前記現像ユニットほど、前記受熱部に搬送する前記冷却液の単位時間当たりの流量を多くするように構成した請求項8から11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記現像ユニットを複数備えると共に、各現像ユニットに対応させて前記冷却部を1つずつ配設し、温度上昇しやすい前記現像ユニットほど、対応した前記冷却部の冷却効果を高くなるように構成した請求項8から12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記冷却部は、前記冷却液を放熱させるラジエータを備え、温度上昇しやすい前記現像ユニットほど、対応した前記ラジエータのサイズを大きくした請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記冷却部は、前記冷却液を放熱させるラジエータと、当該ラジエータに送風する冷却ファンとを備え、温度上昇しやすい前記現像ユニットほど、対応した前記冷却ファンの風量を多くするように構成した請求項13又は14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
像担持体と、当該像担持体に当接してクリーニングするクリーニング部材を有するクリーニングユニットと、当該クリーニングユニットを前記像担持体に対して位置決めする位置決め手段と、前記クリーニングユニットに当接可能に配設された受熱部を有する冷却装置とを備えた画像形成装置において、
前記受熱部と前記クリーニングユニットとの当接方向を、前記像担持体と前記クリーニング部材との当接方向に対して略直交するように構成したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−13669(P2011−13669A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124239(P2010−124239)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】