画像形成装置
【課題】電圧印加部材から移動体へトナーを吐き出すための電源と、その吐き出したトナーを該移動体から像担持体へ回収するための電源とを共通化しても、吐き出しトナーを良好に回収することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、共通の電源40により電圧印加部材32及び転写部材5aに第1の極性の電圧を第1の時間帯にわたり印加する動作と第2の極性の電圧を第2の時間帯にわたり印加する動作とを交互に繰り返す電圧印加部材清掃工程を行う際に、電源40が、第1の時間帯において電圧印加部材に接触していた移動体の領域が転写部に到達する前に印加電圧の極性を第2の極性から第1の極性に切り替えるとともに、第2の時間帯において電圧印加部材に接触していた移動体の領域が転写部に到達する前に印加電圧の極性を第1の極性から第2の極性に切り替える構成とする。
【解決手段】画像形成装置100は、共通の電源40により電圧印加部材32及び転写部材5aに第1の極性の電圧を第1の時間帯にわたり印加する動作と第2の極性の電圧を第2の時間帯にわたり印加する動作とを交互に繰り返す電圧印加部材清掃工程を行う際に、電源40が、第1の時間帯において電圧印加部材に接触していた移動体の領域が転写部に到達する前に印加電圧の極性を第2の極性から第1の極性に切り替えるとともに、第2の時間帯において電圧印加部材に接触していた移動体の領域が転写部に到達する前に印加電圧の極性を第1の極性から第2の極性に切り替える構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタ、複写機、ファクシミリなどの電子写真方式を利用する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置として、像担持体としての電子写真感光体(感光体)に形成したトナー像を中間転写体に1次転写した後に記録材に2次転写する中間転写方式の画像形成装置がある。又、中間転写方式の画像形成装置としては、例えば、複数の感光体にそれぞれ形成された複数色のトナー像を中間転写体に順次重ね合わせて1次転写した後に記録材に一括して2次転写する、タンデム型(又はインライン型)のものが知られている。中間転写方式の画像形成装置においては、2次転写工程後に中間転写体上に残留するトナー(2次転写残トナー)が発生する。そのため、中間転写方式の画像形成装置には、2次転写残トナーの除去、回収などの処理のための中間転写体クリーニング装置が設けられる。
【0003】
従来から中間転写体クリーニング装置として、2次転写残トナーを、トナーの正規の帯電極性とは逆極性に帯電させ、その直後の画像形成部の1次転写部において中間転写体から感光体に転写させた後、感光体のクリーニング装置により回収するものが知られている。この方法によれば、1次転写と同時に中間転写体をクリーニングすることが可能となる。又、この方法によれば、2次転写残トナーを回収するための専用のトナー収納機構を必要としないという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3267507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように2次転写残トナーを中間転写体から感光体へ転写させて回収する方法を採用する場合、2次転写残トナーを帯電させるトナー帯電部材としてのトナー帯電ローラなどを有する中間転写体クリーニング装置が設けられる。トナー帯電部材としてはブラシも用いられるが、ここではローラの場合を例にして説明する。
【0006】
画像形成動作中にトナー帯電ローラに付着した2次転写残トナーは、画像形成後の準備又は整理動作である後回転動作時などの所定のタイミングにおいて、中間転写体上に吐き出される(即ち、転移させられる)。このトナー帯電ローラから2次転写残トナーを吐き出す具体的な方法としては、トナー帯電ローラの略1周分の時間を半周期として、トナー帯電ローラに対する負極性の電圧印加と正極性の電圧印加とを交互に繰り返す方法が考えられる。ところで、画像形成装置の小型化及び低価格化のためには、画像形成装置に用いられる高圧電源回路を共通化することが有効である。
【0007】
しかしながら、高圧電源回路を共通化すると、場合によっては、中間転写体上からトナーを確実に回収することができない可能性がある。例えば、トナー帯電ローラから中間転写体上にトナーを吐き出すための電源と、中間転写体上に吐き出されたトナーを感光体に回収するための電源とを共通化する場合には、次のような課題がある。即ち、トナーを吐き出すためのバイアスの印加タイミングと、吐き出されたトナー(吐き出しトナー)を回収するためのバイアスの印加タイミングが一致せずに、吐き出しトナーを1次転写部において回収できなくなり、中間転写体上に残ってしまうことがある。
【0008】
従って、本発明の目的は、電圧印加部材から移動体へトナーを吐き出すための電源と、その吐き出したトナーを該移動体から像担持体へ回収するための電源とを共通化しても、吐き出しトナーを良好に回収することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、転写部において前記像担持体からトナー像が転写される移動体と、前記像担持体から前記移動体にトナー像を転写するために電圧が印加される転写部材と、前記移動体の移動方向において前記転写部よりも上流側の接触部で前記移動体に接触するとともに電圧が印加される電圧印加部材と、前記転写部材及び前記電圧印加部材に電圧を印加する共通の電源と、を有し、前記電源により前記電圧印加部材及び前記転写部材に正極性又は負極性である第1の極性の電圧を第1の時間帯にわたり印加する動作と、前記電源により前記電圧印加部材及び前記転写部材に前記第1の極性とは逆極極性である第2の極性の電圧を第2の時間帯にわたり印加する動作とを、前記移動体を移動させながら交互に繰り返すことで、前記接触部において前記電圧印加部材から前記移動体にトナーを転移させ、そのトナーを前記転写部において前記移動体から前記像担持体に転移させる電圧印加部材清掃工程を行う画像形成装置であって、前記電圧印加部材清掃工程において、前記電源は、前記第1の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部に到達する前に前記電圧印加部材及び前記転写部材に印加する電圧の極性を前記第2の極性から前記第1の極性に切り替えるとともに、前記第2の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部に到達する前に前記電圧印加部材及び前記転写部材に印加する電圧の極性を前記第1の極性から前記第2の極性に切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電圧印加部材から移動体へトナーを吐き出すための電源と、その吐き出したトナーを該移動体から像担持体へ回収するための電源とを共通化しても、吐き出しトナーを良好に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図2】吐き出し工程におけるトナー帯電ローラへの印加電圧の経時推移を示すグラフ図である。
【図3】吐き出し工程における各時間における中間転写ベルト上の吐き出しトナーの位置の推移の一例を説明するための説明図である。
【図4】1次転写部の位置関係の一例を説明するための説明図である。
【図5】1次転写部の位置関係の一例を説明するためのより詳細な説明図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図8】吐き出し工程における導電ブラシへの印加電圧の経時推移を示すグラフ図である。
【図9】吐き出し工程における各時間における中間転写ベルト上の吐き出しトナーの位置の推移の一例を説明するための説明図である。
【図10】1次転写部の位置関係を説明するための説明図である。
【図11】1次転写部の位置関係を説明するためのより詳細な説明図である。
【図12】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図13】吐き出し工程において1次転写ローラを離間させる場合の制御の一例を示すフローチャート図である。
【図14】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0013】
実施例1
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略断面を示す。本実施例では、画像形成装置100は、電子写真方式を利用してフルカラー画像を形成することのできる中間転写方式を採用したタンデム型のフルカラープリンタである。
【0014】
画像形成装置100は、複数の画像形成部として第1、第2、第3、第4の画像形成部1a、1b、1c、1dの4つの画像形成部を有する。第1、第2、第3、第4の画像形成部1a、1b、1c、1dは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する。又、第1、第2、第3、第4の画像形成部1a、1b、1c、1dは、一定の間隔をおいて一列に配置されている。
【0015】
本実施例では、第1、第2、第3、第4の画像形成部1a、1b、1c、1dの構成及び動作は共通する部分が多い。従って、以下、特に区別を要しない場合は、何れかの画像形成部のために設けられた要素であることを表すために図中の符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して、当該要素について総括的に説明する。
【0016】
画像形成部1には、像担持体としての円筒型の感光体、即ち、感光ドラム2が設置されている。感光ドラム2の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ3、現像手段としての現像装置4が配置されている。さらに、1次転写部材としての1次転写ローラ5、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6が配置されている。帯電ローラ3と現像装置4との間の図中上方には、露光手段としての露光装置7が設置されている。各現像装置4a、4b、4c、4dには、それぞれ現像剤としてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーが収納されている。
【0017】
第1〜第4の画像形成部1a〜1dの各感光ドラム2a〜2dに対向するように、中間転写体としての無端状のベルト、即ち、中間転写ベルト20が設置されている。中間転写ベルト20は、移動体である。中間転写ベルト20は、支持部材としての駆動ローラ21、テンションローラ22及び2次転写対向ローラ23に掛け渡されている。中間転写ベルト20は、駆動ローラ21が図示矢印R2方向(反時計方向)に回転駆動されることで、図示矢印R3方向(反時計方向)に回転(周回移動)する。各1次転写ローラ5a〜5dは、中間転写ベルト20の内周面側に設置されており、中間転写ベルト20を介して各感光体ドラム2a〜2dに当接し、中間転写ベルト20と各感光ドラム2a〜2dとが接触する1次転写部N1a〜N1dを形成する。中間転写ベルト20の外周面側には、2次転写対向ローラ23に対向して2次転写部材としての2次転写ローラ24が設置されている。2次転写ローラ24は、中間転写ベルト20を介して2次転写対向ローラ23に当接し、中間転写ベルト20と2次転写ローラ24とが接触する2次転写部N2を形成する。
【0018】
本実施例では、感光ドラム2は、負帯電性の有機感光体ドラムであり、アルミニウム製のドラム基体上に感光層を有する。感光ドラム2は、駆動装置(図示せず)によって図示矢印R1方向(時計方向)に所定の周速度(本実施例では100mm/秒)で回転駆動される。本実施例では、感光ドラム2の周速度は、画像形成装置100のプロセススピードに相当する。
【0019】
帯電ローラ3は、感光ドラム2に所定の圧接力で接触している。帯電ローラ3は、帯電電圧印加手段としての帯電バイアス電源(図示せず)によって、所定の帯電バイアスが印加されて、感光ドラム2の表面を所定の電位に均一に帯電させる。本実施例では、感光ドラム2は、帯電ローラ3により負極性に帯電させられる。
【0020】
露光装置7は、本実施例ではレーザスキャナ装置である。露光装置7では、ホストコンピュータ(図示せず)から入力された画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザ光がレーザ出力部から出力され、このレーザ光が反射ミラーを介して感光ドラム2の表面に導かれて、感光ドラム2を露光する。これにより、帯電ローラ3で帯電された感光ドラム2の表面に、画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。
【0021】
現像装置4は、接触現像方式を採用している。又、本実施例では、現像装置4が静電潜像の現像に用いるトナーの正規の帯電極性は負極性である。現像装置4は、現像剤担持体としての現像ローラを有する。現像ローラ上に薄層状に担持されたトナーは、現像ローラが駆動装置(図示せず)により回転駆動されることにより、感光ドラム2との対向部(現像部)に搬送される。感光ドラム2上に形成された静電潜像は、現像部においてトナーによりトナー像として現像される。このとき、現像ローラには、現像電圧印加手段としての現像バイアス電源(図示せず)により所定の現像バイアスが印加される。尚、本実施例では、フルカラー画像形成モード(第1〜第4の画像形成部の全てを用いて画像形成するモード)では、第1〜第4の画像形成部1a〜1dの全てにおいて現像装置4の現像ローラと感光ドラム2とが当接する。一方、モノカラー画像形成モード(第1〜第4の画像形成部のうちいずれか1つで画像形成するモード)では、画像を形成する画像形成部以外の画像形成部において現像装置4の現像ローラと感光ドラム2とは離間される。これは、現像ローラとトナーの劣化、消耗を抑制するためである。
【0022】
ドラムクリーニング装置6は、感光ドラム2に当接するクリーニング部材としての弾性体で形成された板状部材であるクリーニングブレードと、トナー収納容器とを有する。そして、感光ドラム2の表面に付着しているトナーをクリーニングブレードによって感光ドラム2の表面から掻き取って除去し、トナー収納容器内に回収する。
【0023】
中間転写ベルト20としては、PVdF(弗化ビニリデン樹脂)、ETFE(四弗化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネートなどの樹脂で形成された無端状のベルトを用いることができる。或いは、中間転写ベルト20としては、EPDMなどのゴム基層の上に、ウレタンゴムにPTFEなど弗素樹脂を分散したものなどを被覆したものから成る無端状のベルトを用いることができる。
【0024】
1次転写ローラ5は、スポンジゴムなどの弾性部材で構成されており、中間転写ベルト20に従動して回転する。各1次転写ローラ5a〜5dには、電圧印加手段としての電源(高圧電源回路)40が接続されている。そして、各1次転写ローラ5a〜5dには、この1つの電源40から1次転写バイアスが印加される。
【0025】
2次転写ローラ24には、2次転写電圧印加手段としての2次転写バイアス電源(図示せず)が接続されている。2次転写ローラ24には、2次転写バイアス電源から2次転写バイアスが印加される。
【0026】
中間転写ベルト20の外周面側の2次転写対向ローラ23の近傍には、中間転写体クリーニング手段たる中間転写体クリーニング装置としてのベルトクリーニング装置30が設置されている。ベルトクリーニング装置30の構成及び動作の詳細については後述する。
【0027】
又、2次転写部N2よりも記録材Pの搬送方向下流側には、定着手段として、定着ローラ12Aと加圧ローラ12Bを有する定着装置12が設置されている。又、2次転写部N2よりも記録材Pの搬送方向上流側には、所定のタイミングで記録材Pを2次転写部N2に送り込むためのレジストローラ13が設置されている。
【0028】
画像形成動作開始信号が発せられると、所定のプロセススピードで回転駆動される各感光ドラム2a〜2dは、各帯電ローラ3a〜3d、各露光装置7a〜7d、各現像装置4a〜4dによって、トナー像が形成される。
【0029】
各感光ドラム2a〜2d上に形成されたトナー像は、各1次転写部N1a〜N1dにおいて、各1次転写ローラ5a〜5dの作用により、回転している中間転写ベルト20上に1次転写される。このとき、各1次転写ローラ5a〜5dには、電源40により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスが印加される。
【0030】
中間転写ベルト20上に1次転写されたトナー像は、中間転写ベルト20上に保持されたまま移動する。中間転写ベルト20は、図示矢印R3方向に所定の周速度(本実施例では100mm/秒)で回転駆動される。即ち、本実施例では、中間転写ベルト20は、その表面の移動速度Sが、画像形成装置100のプロセススピードに相当する感光ドラム2の周速度と等しくなるように回転駆動される。
【0031】
又、中間転写ベルト20上のトナー像の先端が2次転写部N2に移動するタイミングに合わせて、レジストローラ13により記録材Pが2次転写部N2に搬送される。そして、2次転写部N2において、中間転写ベルト20上のトナー像は、2次転写ローラ24の作用により一括して記録材Pに2次転写される。このとき、2次転写ローラ24には、2次転写バイアス電源により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の2次転写バイアスが印加される。
【0032】
その後、トナー像が表面に転写された記録材Pは、定着装置12に搬送される。そして、記録材Pは、定着装置12内に設置された定着ローラ12Aと加圧ローラ12Bとの間の定着部で加熱、加圧されて、その表面にトナー像が熱(溶融)定着された後、画像形成装置100の外部に排出される。こうして、記録材Pにフルカラー画像が形成される。
【0033】
1次転写工程後に感光ドラム2上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、ドラムクリーニング装置6によって除去されて回収される。又、2次転写工程後に中間転写ベルト20上に残留したトナー(2次転写残トナー)は、詳しくは後述するようにして、ベルトクリーニング装置30を用いて除去されて回収される。
【0034】
ベルトクリーニング装置30は、電圧印加部材として、2次転写残トナーを帯電させるトナー帯電部材としてのトナー帯電ローラ32を有する。トナー帯電ローラ32は、中間転写ベルト20の移動方向において、2次転写部N2よりも下流側、且つ、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aよりも上流側の電圧印加部N3において中間転写ベルト20に接触するように配置されている。そして、トナー帯電ローラ32は、2次転写残トナーをトナーの正規の帯電極性とは逆極性に帯電させる役割を持っている。
【0035】
トナー帯電ローラ32としては、外径6mmのニッケルメッキ鋼棒上に、EPDMゴムにカーボンが分散されたソリッドの弾性体を肉厚4mmで被覆したものを用いた。即ち、本実施例では、トナー帯電ローラ32の半径Rは7mmである。又、本実施例では、トナー帯電ローラ32の電気抵抗値は、500V印加時において5.0×107Ωである。
【0036】
トナー帯電ローラ32には、電圧印加手段としての電源(高圧電源回路)40が接続されている。この電源40は、各1次転写ローラ5a〜5dに1次転写バイアスを印加するものと共通とされている。印加対象である1次転写ローラ5a〜5dとトナー帯電部材32には、電源40により同時に電圧が印加される。トナー帯電ローラ32に印加する電圧は、トナー帯電ローラ32の材料や画像形成装置100が使用される環境(温度、湿度)などによって異なる。例えば、温度23℃、湿度50%のNN環境下においては、画像形成動作中にトナー帯電ローラ32には+800Vの電圧が印加される。
【0037】
トナー帯電ローラ32に正極性の電圧を印加することで、中間転写ベルト20上の2次転写残トナーを一様に正極性に帯電させることができる。中間転写ベルト20上の正極性に帯電した2次転写残トナーは、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aへと進み、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aの作用により、中間転写ベルト20から第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに転写される。このとき、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aには、正極性の1次転写バイアスが印加される。その後、感光ドラム2aに転写されたトナーは、第1の画像形成部1aにおいてドラムクリーニング装置6aにより回収される。通常、2次転写残トナーの中間転写ベルト20から感光ドラム2aへの転写は、感光ドラム2aから中間転写ベルト20へのトナー像の1次転写と同時に行われる。
【0038】
画像形成を続けることにより、トナー帯電ローラ32の表面には少しずつトナーが付着する。その結果、トナー帯電ローラ32による2次転写残トナーの帯電処理を安定して行うことができなくなり、2次転写残トナーのクリーニング性能が低下してしまう。そこで、所定のタイミングで、トナー帯電ローラ32に付着しているトナーを中間転写ベルト20に吐き出し(即ち、転移させ)、トナー帯電ローラ32に付着したトナーを清掃する電圧印加部材清掃工程としての吐き出し工程を行う。これにより、トナー帯電ローラ32を用いた2次転写残トナーのクリーニング性能の低下を抑制する。
【0039】
吐き出し工程では、トナー帯電ローラ32に、トナーの正規の帯電極性である負極性の直流電圧Vn1と、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の直流電圧Vp1とを交互に繰り返し印加する。トナー帯電ローラ32に負極性の直流電圧Vn1を印加すると、トナー帯電ローラ32に付着していた負極性に帯電したトナーが吐き出される。一方、トナー帯電ローラ32に正極性の直流電圧Vp1を印加すると、トナー帯電ローラ32に付着していた正極性に帯電したトナーが吐き出される。本実施例では、Vn1=−800V、Vp1=+800Vである。
【0040】
トナー帯電ローラ32から中間転写ベルト20上に吐き出されたトナーは、詳しくは後述するように、1次転写部N1において中間転写ベルト20から感光ドラム2に転写されて、ドラムクリーニング装置6によって回収される。
【0041】
吐き出し工程は、画像形成後の準備又は整理動作である後回転動作時など、記録材Pに転写して出力するための画像の形成をしていないタイミング(非画像形成時)で行う。又、本実施例では、吐き出し工程において、吐き出しトナーは、第1の画像形成部1aのドラムクリーニング装置6aのトナー収納容器に回収される。
【0042】
次に、吐き出し工程においてトナー帯電ローラ32に印加する電圧(以下「吐き出し電圧」ともいう。)の極性の切り替えタイミングと、中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの位置との関係について説明する。
【0043】
図2は、吐き出し工程における吐き出し電圧の経時推移を示す。トナー帯電ローラ32には通常の画像形成時に正極性の電圧が印加されているので、トナー吐き出し工程が開始されて初めてトナー帯電ローラ32に印加される電圧の極性が正極性から負極性に切り替えられるタイミングを時間0秒の基準時点とする。本実施例では、時間0秒、2T秒、4T秒のタイミングで、吐き出し電圧は、正極性の電圧Vp1から負極性の電圧Vn1に切り替わる。又、時間T秒、3T秒、5T秒のタイミングで、吐き出し電圧は、負極性の電圧Vn1から正極性の電圧Vp1に切り替わる。つまり、吐き出し工程においてトナー帯電ローラ32に印加される電圧は、T秒毎にVn1とVp1との間で交互に切り替えられる。
【0044】
本実施例では、1つの電源40を共通して用いているため、吐き出し工程では、1次転写ローラ5a〜5dにも、上記吐き出し電圧と同じタイミングで正極性の電圧と負極性の電圧とが交互に切り替えられて印加される。
【0045】
図3は、吐き出し工程の各時間における中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの位置の経時推移を示す。時間0秒のタイミングでは、トナー帯電ローラ32の位置において、負極性のトナーが、トナー帯電ローラ32から中間転写ベルト20へ、今まさに移動する、という状態にある。時間0秒からT秒の間において、トナー帯電ローラ32から、吐き出された負極性の吐き出しトナーが、S[mm/秒]×(T−0)[秒](=S×T[mm])の長さで中間転写ベルト20上に転写される。そして、時間T秒のタイミングでは、トナー帯電ローラ32上の正極性の吐き出しトナーが、トナー帯電ローラ32から中間転写ベルト20へ、今まさに移動する、という状態にある。時間T秒から2T秒の間において、トナー帯電ローラ32から、正極性の吐き出しトナーが、長さS[mm/秒]×(2T−T)[秒](=S×T[mm])で中間転写ベルト20上に転写される。
【0046】
尚、トナー帯電ローラ32には通常の画像形成時に正極性の電圧が印加されているので、トナー帯電ローラ32の表面には、主に負極性のトナーが付着している。時間T秒から2T秒の間においてトナー帯電ローラ32から吐き出される正極性のトナーは、主に、トナー帯電ローラ32に正極性の電圧を印加しているときに放電電流が発生することによって負極性のトナーの帯電極性が正極性に反転させられたものである。従って、このような正極性に帯電した吐き出しトナーの量は、負極性に帯電した吐き出しトナーの量と比べると少ない。
【0047】
続いて、時間2T秒から3T秒の間、3T秒から4T秒の間、4T秒から5T秒の間、5T秒から6T秒の間においても、同様の動作の繰り返しにより、吐き出しトナーの移動と、トナー帯電ローラ32から中間転写ベルト20への吐き出しトナーの転移が行われる。
【0048】
次に、吐き出しトナーを良好に回収することができる1次転写部の位置関係について説明する。尚、本実施例では、電圧印加部N3の位置は、トナー帯電ローラ32と中間転写ベルト20とが接触する領域の中間転写ベルト20の移動方向中央の位置で代表する。又、本実施例では、1次転写部N1の位置は、1次転写部N1における感光ドラム2と中間転写ベルト20とが接触する領域の中間転写ベルト20の移動方向中央の位置で説明する。
【0049】
図4は、図3と同様の図に、第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに吐き出しトナーを回収することが可能となる1次転写部N1aの位置関係を示したものである。図4において、時間2T秒のタイミングにおける中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナーの先端位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、電圧印加部N3の位置を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×2T[mm]の位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。
【0050】
時間2T秒から3T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、トナー帯電ローラ32と共通の電源40により負極性の電圧が印加されている。又、中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナー(時間0秒からT秒の間に吐き出されたもの)の長さはS×T[mm]である。従って、ちょうど時間2T秒から3T秒の間の1次転写ローラ5aへの負極性の電圧の印加時間において、その負極性の吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収することが可能である。時間3T秒から4T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、トナー帯電ローラ32と共通の電源40により正極性の電圧が印加されている。又、中間転写ベルト20上の正極性の吐き出しトナー(時間T秒から2T秒の間に吐き出されたもの)の長さはS×T[mm]である。従って、ちょうど時間3T秒から4T秒の間の1次転写ローラ5aへの正極性の電圧の印加時間において、その正極性の吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収することが可能である。その後、時間4T秒、6T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到達した負極性の吐き出しトナーや、時間5T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到達した正極性の吐き出しトナーについても、同様に感光ドラム2aに回収可能である。
【0051】
次に、図4において、時間4T秒のタイミングにおける中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナーの先端位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、トナー帯電ローラ32の位置を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×4T[mm]の位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。図4から分かるように、この場合にも、上述のS×2T[mm]の位置に1次転写部N1aがある場合と同様に、第1の画像形成部1aの感光ドラム2aへの吐き出しトナーの回収が可能である。
【0052】
以上のことから、吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収するためには、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aの位置は、次の関係を満たすことが好ましいことが分かる。
(1)負極性の吐き出しトナーの先端が1次転写部N1aに到達する際に、1次転写ローラ5aに負極性の電圧が印加されており、逆に正極性の吐き出しトナーの先端が1次転写部N1aに到達する際に、1次転写ローラ5aに正極性の電圧が印加されていること。
(2)1次転写ローラ5aに印加されている負極性の電圧が正極性の電圧へ切り替え始められる前に、負極性の吐き出しトナーの後端が1次転写部N1aを抜けきっていること。又、逆に1次転写ローラ5aに印加されている正極性の電圧が負極性の電圧へ切り替え始められる前に、正極性の吐き出しトナーの後端が1次転写部N1aを抜けきっていること。
【0053】
つまり、次のことが分かる。電圧印加部N3から第1の画像形成部1aの1次転写部N1aまでの中間転写ベルト20の移動距離をL[mm]とする。又、吐き出し工程における吐き出し電圧の極性の切り替えの半周期、即ち、正極性又は負極性の吐き出し電圧を印加している時間帯の長さ(以下「単位吐き出し時間」ともいう。)をT[秒]とする。又、中間転写ベルト20の移動速度をS[mm/秒]とする。このとき、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおける感光ドラム2aへの吐き出しトナーの良好な回収を可能とするためには、次の関係、
L≒S×(2×n×T) (ただしnは自然数) ・・・(1)
を満たすことが好ましい。即ち、次の関係、
T≒L/(S×2×n) (ただしnは自然数) ・・・(2)
を満たすことが好ましい。
【0054】
この場合、トナー帯電部材32に負極性の吐き出し電圧が印加されているときに電圧印加部N3を通過した中間転写ベルト20の領域が第1の画像形成部1aの1次転写部N1aを抜けきってから(ほぼ同時に)、吐き出し電圧の極性は正極性に切り替えられる。同様に、トナー帯電部材32に正極性の吐き出し電圧が印加されているときに電圧印加部N3を通過した中間転写ベルト20の領域が第1の画像形成部1aの1次転写部N1aを抜けきってから(ほぼ同時に)、吐き出し電圧の極性は負極性に切り替えられる。
【0055】
ここで、吐き出し電圧の極性の切り替えの周期2T[秒](単位吐き出し時間T[秒]の2倍)は、電圧印加部N3から1次転写部N1aまでの中間転写ベルト20の移動距離L[mm]を中間転写ベルト20の移動速度S[mm/秒]で割ったものである。そして、中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナーの領域1つと、正極性の吐き出しトナーの領域1つとで、吐き出し動作の1セット(吐き出し電圧の極性の切り替えの1周期分)の吐き出しトナーと考える。この場合、自然数nは、電圧印加部N3から1次転写部N1aまでの中間転写ベルト20の移動距離L[mm]の間にnセット分の吐き出しトナーが吐き出されることを意味する。
【0056】
尚、電圧印加部N3で中間転写ベルト20上に吐き出された負極性及び正極性の吐き出しトナーをいずれも第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに良好に回収するためには、2T<L/Sの関係を満たすことが必要である。
【0057】
本実施例では、トナー帯電ローラ32からの吐き出しトナーを第1の画像形成部1aのドラムクリーニング装置6aに回収しており、電圧印加部N3から1次転写部N1aまでの中間転写ベルト20の移動距離Lは100mmとなっている。上述のとおり、中間転写ベルト20の移動速度Sは100mm/秒である。そのため、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおける感光ドラム2aへの吐き出しトナーの回収を可能とするためには、単位吐き出し時間T[秒]が0.5/n[秒]と略等しいことが好ましい。本実施例では、T=0.5秒とした。
【0058】
ところで、本実施例では、単位吐き出し時間T=0.5秒間に吐き出された中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの長さは、S×T=50mmである。一方、トナー帯電ローラ32の半径Rは7mmであり、その1周の長さ(2×π×R)は約44mmである。このように、本実施例では、S×T>2×π×R(即ち、T>2πR/S)の関係となっている。そのため、単位吐き出し時間Tの間に吐き出された中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの長さ50mmのうち、上記トナー帯電ローラ32の1周の長さに対応する約44mmは吐き出しトナーの量が多く、残り6mmはそれよりも吐き出しトナーの量が少なくなる。
【0059】
図5は、単位吐き出し時間Tの間に吐き出された中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの長さがトナー帯電ローラ32の1周の長さよりも長い場合における、図4と同様の図をより詳細に示したものである。上述のとおり、吐き出しトナーの量は、吐き出し工程において吐き出し電圧の印加を開始した後、トナー帯電ローラ32の回転が2周目、3周目と周を重ねる毎に少なくなっていく。そのため、実使用上問題ない場合には、所望により、吐き出し電圧の極性を切り替えた後に、トナー帯電ローラ32の2周目からの吐き出しトナーの回収をしないことを許容することができる。これにより、第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに吐き出しトナーを回収することが可能な1次転写部N1aの位置の範囲を更に広くすることができる。図5から分かるように、この場合、次の関係を満たせばよい。
S×2×n×T≦L≦S×(2n+1)×T−2πR ・・・(3)
(ただしnは自然数)
【0060】
即ち、ある決まった距離L[mm]の下では、単位吐き出し時間T[秒]が、次の関係、
L/(S×2×n)≧T≧(L+2πR)/(S×(2n+1)) ・・・(4)
(ただしnは自然数)
を満たす場合に、吐き出しトナーを許容し得る程度に十分に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aへ回収することが可能である。
【0061】
本実施例では、トナー帯電ローラ32及び1次転写ローラ5a〜5dに電圧を印加する電源40の出力は、画像形成装置100の動作を統括的に制御する制御部50の制御手段としてのCPU51が制御する。CPU51は、制御部50が備える記憶手段としてのメモリ52に記憶されているプログラム、データに従って、電源40の電圧出力値、出力電圧の極性の切り替えなどを制御する。
【0062】
以上、本実施例では、画像形成装置100は、少なくとも吐き出しトナーを回収する第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5a及びトナー帯電ローラ32に電圧を印加する共通の電源40を有する。又、画像形成装置100は、トナー帯電ローラ32からトナーを吐き出す吐き出し工程を行う。吐き出し工程では、トナー帯電ローラ32と中間転写ベルト20との接触部(電圧印加部)N3においてトナー帯電ローラ32から中間転写ベルト20にトナーを転移させ、そのトナーを1次転写部N1aにおいて中間転写ベルト20から感光ドラム2aに転移させる。吐き出し工程では、電源40によりトナー帯電ローラ32及び1次転写ローラ5aに正極性又は負極性である第1の極性の電圧を第1の時間帯にわたり印加する動作を行う。又、吐き出し工程では、電源40によりトナー帯電ローラ32及び1次転写ローラ5aに第1の極性とは逆極極性である第2の極性の電圧を第2の時間帯にわたり印加する動作を行う。吐き出し工程では、これらの動作を、中間転写ベルト20を移動させながら交互に繰り返す。そして、吐き出し工程において、電源40は、第1の時間帯においてトナー帯電ローラ32に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aに到達する前に印加する電圧の極性を第2の極性から第1の極性に切り替える。又、吐き出し工程において、電源40は、第2の時間帯においてトナー帯電ローラ32に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aに到達する前に印加する電圧の極性を第1の極性から第2の極性に切り替える。
【0063】
好ましくは、吐き出し工程において、電源40は、第1の時間帯においてトナー帯電ローラ32に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aを通過するまで両ローラ32、5aに第1の極性の電圧を印加し続ける。又、好ましくは、吐き出し工程において、電源40は、第2の時間帯においてトナー帯電ローラ32に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aを通過するまで両ローラ32、5aに第2の極性の電圧を印加し続ける。これにより、トナー帯電ローラ32からの吐き出しトナーを所定の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに良好に回収し、吐き出しトナーに起因するクリーニング不良画像や記録材Pの裏汚れの発生を抑制することができる。
【0064】
実施例2
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。図6は、本実施例の画像形成装置100の概略断面を示す。本実施例の画像形成装置の基本構成及び動作は実施例1のものと同じであり、ベルトクリーニング装置30の構成及び動作が異なる。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0065】
本実施例では、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置30は、電圧印加部材たるトナー帯電部材として、導電ブラシ(第1のトナー帯電部材)31とトナー帯電ローラ(第2のトナー帯電部材)32とを有する。吐き出し工程では、導電ブラシ31から中間転写ベルト20にトナーが吐き出される。又、導電ブラシ31と、吐き出しトナーを回収する第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aとで、電源40が共通化されている。以下、詳しく説明する。
【0066】
ベルトクリーニング装置30は、2次転写残トナーの一部を回収、保持する第1のトナー帯電部材としての導電ブラシ31と、2次転写残トナーを帯電させる第2のトナー帯電部材としてのトナー帯電ローラ32とを有する。
【0067】
導電ブラシ31は、中間転写ベルト20の移動方向において、2次転写部N2よりも下流側、且つ、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aよりも上流側の第1の電圧印加部N3において中間転写ベルト20に接触するように配置されている。導電ブラシ31は、中間転写ベルト20の移動方向において位置が固定されており、中間転写ベルト20に接触してこれを摺擦する。
【0068】
本実施例では、導電ブラシ31は、材質がナイロンであり、繊度は7デシテックス、パイル長さは5mm、電気抵抗値は1.0×106Ωに設定されている。又、本実施例では、中間転写ベルト20の移動方向における導電ブラシ31の幅(導電ブラシ31と中間転写ベルト20との接触部(第1の電圧印加部N3)の幅)Bは5mmに設定されている。
【0069】
導電ブラシ31には、電圧印加手段として、各1次転写ローラ5a〜5dに1次転写バイアスを印加するものと共通の電源40が接続されており、この電源40から、所定の直流電圧が印加される。導電ブラシ31に印加する電圧は、導電ブラシ31の材料や画像形成装置100が使用される環境(温度、湿度)などによって異なる。例えば、温度23℃、湿度50%のNN環境下においては、画像形成動作中に導電ブラシ31には+800Vの電圧が印加される。
【0070】
一般的に、2次転写残トナーは、負極に帯電したものと、殆ど帯電していないものと、正極に帯電したものとが、混在した状態になっている。導電ブラシ31に正極性の電圧を印加することで、帯電極性が混在した状態の2次転写残トナーのうち、主に負極性に帯電したトナーが導電ブラシ31に回収される。導電ブラシ31には、正極性に帯電したトナーも少量ながら物理的に回収される。導電ブラシ31によって、導電ブラシ31に回収されることなく導電ブラシ31を通過したトナーの中には、負極性のトナーはほとんど存在しない。
【0071】
トナー帯電ローラ32は、中間転写ベルト20の移動方向において、導電ブラシ31よりも下流側、且つ、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aよりも上流側の第2の電圧印加部N4において中間転写ベルト20に接触するように配置されている。そして、トナー帯電ローラ32は、導電ブラシ31にて回収されなかった2次転写残トナーをトナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の所望の電荷量に帯電させる役割を持っている。
【0072】
本実施例では、トナー帯電ローラ32には、電圧印加手段としてのトナー帯電電源42が接続されており、このトナー帯電電源42から、所定の直流電圧が印加される。トナー帯電ローラ32に印加する電圧は、トナー帯電ローラ32の材料や画像形成装置100が使用される環境(温度、湿度)などによって異なる。例えば、温度23℃、湿度50%のNN環境下においては、画像形成動作中にトナー帯電ローラ32には+800Vの電圧が印加される。
【0073】
トナー帯電ローラ32に正極性の電圧を印加することで、中間転写ベルト20上のトナーを一様に正極性に帯電させることができる。中間転写ベルト20上の正極性に帯電したトナーは、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aへと進み、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aの作用により、中間転写ベルト20から第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに転写される。このとき、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aには、正極性の1次転写バイアスが印加される。その後、第1の画像形成部1aにおいて、感光ドラム2aに転写されたトナーは、ドラムクリーニング装置6aにより回収される。
【0074】
導電ブラシ31において回収、保持されたトナーは、画像形成枚数が増加するにつれて蓄積していく。回収したトナーの量が所定の量に達してしまうと、それ以上のトナーの回収、保持ができなくなり、2次転写残トナーのクリーニング性能が低下する。
【0075】
そこで、所定のタイミングで、導電ブラシ31が保持しているトナーを中間転写ベルト20に吐き出し(即ち、転移させ)、電電ブラシ31に蓄積したトナーの量を減少させる電圧印加部材清掃工程としての吐き出し工程を行う。
【0076】
吐き出し工程では、導電ブラシ31に、トナーの正規の帯電極性である負極性の直流電圧Vn2と、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の直流電圧Vp2とを交互に印加する。導電ブラシ31に負極性の直流電圧Vn2を印加すると、導電ブラシ31に保持されていた負極性に帯電したトナーが吐き出される。導電ブラシ31に正極性の直流電圧Vp2を印加すると、導電ブラシ31に保持されていた正極性に帯電したトナーが吐き出される。このように導電ブラシ31に印加する電圧の極性の切り替えを繰り返し行うことで、導電ブラシ31に蓄積したトナーは減少し、導電ブラシ31は再度トナーの回収、保持が良好に行えるようになる。本実施例では、Vn2=−800V、Vp2=+800Vである。
【0077】
吐き出し工程において導電ブラシ31から中間転写ベルト20上に転移した吐き出しトナーは、中間転写ベルト20と共に移動して、トナー帯電ローラ32に到達する。その際に、導電ブラシ31からの吐き出しトナーがトナー帯電ローラ32に付着して、トナー帯電ローラ32の表面が汚れるのを抑制するため、吐き出しトナーの極性と同極性の電圧をトナー帯電ローラ32に印加する。
【0078】
即ち、吐き出し工程において、導電ブラシ31からの吐き出しトナーのトナー帯電ローラ32への到達タイミングに合わせて、トナー帯電ローラ32には、トナー帯電電源42から、負極性の直流電圧Vn3と正極性の直流電圧Vp3とが交互に印加される。本実施例では、Vn3=−800V、Vp3=+800Vである。これにより、導電ブラシ31からの吐き出しトナーがトナー帯電ローラ32に付着して、トナー帯電ローラ32の表面が汚れるのを抑制することができる。
【0079】
尚、トナー帯電ローラ32は、導電ブラシ31からの吐き出しトナーが付着して、その表面が汚れるのを防止するために、中間転写ベルト20から離間させることで物理的に退避させても良い。図7は、トナー帯電ローラ32が中間転写ベルト20から離間した際の様子を示す。
【0080】
吐き出し工程は、実施例1と同様に、画像形成後の準備又は整理動作である後回転動作時など、記録材Pに転写して出力するための画像の形成をしていないタイミング(非画像形成時)で行う。又、本実施例では、吐き出し工程では、第1の画像形成部1aのドラムクリーニング装置6aのトナー収納容器に、吐き出しトナーを回収する。
【0081】
次に、吐き出し工程において導電ブラシ31に印加する電圧(吐き出し電圧)の極性の切り替えタイミングと、中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの位置との関係について説明する。図8は、吐き出し工程における吐き出し電圧の経時推移を示す。図8で説明するように、吐き出し電圧の経時推移は、実施例1と同様である。
【0082】
図9は、吐き出し工程の各時間における中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの位置の経時推移を示す。時間0秒のタイミングでは、導電ブラシ31の位置において、負極性の吐き出しトナーが中間転写ベルト20上へ転移する。時間0秒からT秒の間では、時間0秒のタイミングで吐き出された負極性の吐き出しトナーが、中間転写ベルト20上に保持されてS[mm/秒]×(T−0)[秒](=S×T[mm])の距離を移動している。時間T秒のタイミングでは、導電ブラシ31の位置において、新たに正極性の吐き出しトナーが中間転写ベルト20上へ転移する。ここで、上述のように、導電ブラシ31に保持されているトナーには、正極性に帯電したトナーも存在する。そのため、負極性に帯電した吐き出しトナーの量と比べると少ないものの、やはり正極性に帯電したトナーも吐き出される。時間T秒から2T秒の間では、時間T秒のタイミングで吐き出された正極性の吐き出しトナーが、中間転写ベルト20上に保持されてS[mm/秒]×(2T−T)[秒](=S×T[mm])の距離を移動している。時間2T秒のタイミングでは、導電ブラシ31の位置において、新たに負極性の吐き出しトナーが中間転写ベルト20上へ転移する。
【0083】
続いて、時間3T秒、4T秒及び5T秒のタイミング、並びに、時間2T秒から3T秒の間、3T秒から4T秒の間、4T秒から5T秒の間においても、上述と同様の動作が繰り返される。これにより、吐き出しトナーの移動と、導電ブラシ31から中間転写ベルト20への吐き出しトナーの転移が行われる。尚、前述のように、吐き出し電圧の極性の切り替えタイミングである、時間0秒、T秒、2T秒、3T秒、4T秒、5T秒のタイミングに導電ブラシ31から多くのトナーが中間転写ベルト20に吐き出される。しかし、当該切り替えタイミングの後の時間0秒からT秒、時間T秒から2T秒、時間2T秒から3T秒、時間3T秒から4T秒、時間4T秒から5T秒の間の吐き出し電圧の印加中にも若干のトナーが吐き出される。
【0084】
次に、吐き出しトナーを良好に回収することができる1次転写部の位置関係について説明する。尚、本実施例では、第1の電圧印加部N3の位置は、導電ブラシ31と中間転写ベルト20とが接触する領域の中間転写ベルト20の移動方向下流側端部の位置で代表する。本実施例では、1次転写部N1の位置は、1次転写部N1における感光ドラム2と中間転写ベルト20とが接触する領域の中間転写ベルト20の移動方向中央の位置で代表する。
【0085】
図10は、図9と同様の図に、第1の画像形成部1aの感光ドラム1aに吐き出しトナーを回収することが可能となる1次転写部N1aの位置関係を示したものである。
【0086】
図10において、時間2T秒のタイミングにおける中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナーの先端位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、第1の電圧印加部N3の位置(下流側端部の位置)を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×2T[mm]の位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。時間2T秒から3T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、導電ブラシ31と共通の電源40により負極性の電圧が印加されている。又、中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナー(時間0秒のタイミング、及び時間0秒からT秒の間に吐き出されたもの)の長さはS×T[mm]である。従って、ちょうど時間2T秒から3T秒の間の1次転写ローラ5aへの負極性の電圧の印加時間において、その負極性の吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収することが可能である。時間3T秒から4T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、導電ブラシ31と共通の電源40により正極性の電圧が印加されている。又、中間転写ベルト20上の正極性の吐き出しトナー(時間T秒のタイミング、及び時間T秒から2T秒の間に吐き出されたもの)の長さはS×T[mm]である。従って、ちょうど時間3T秒から4T秒の間の1次転写ローラ5aへの正極性の電圧の印加時間において、その正極性の吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収することが可能である。
【0087】
その後、時間4T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到達した負極性の吐き出しトナーや、時間5T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到達した正極性の吐き出しトナーについても、同様に感光ドラム2aに回収可能である。
【0088】
本実施例においても、実施例1と同様に、吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収するためには、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aの位置は、次の関係を満たすことが好ましいことが分かる。
(1)負極性の吐き出しトナーの先端が1次転写部N1aに到達する際に、1次転写ローラ5aに負極性の電圧が印加されており、逆に正極性の吐き出しトナーの先端が1次転写部N1aに到達する際に、1次転写ローラ5aに正極性の電圧が印加されていること。
(2)1次転写ローラ5aに印加されている負極性の電圧が正極性の電圧へ切り替え始められる前に、負極性の吐き出しトナーの後端が1次転写部N1aを抜けきっていること。又、逆に1次転写ローラ5aに印加されている正極性の電圧が負極性の電圧へ切り替え始められる前に、正極性の吐き出しトナーの後端が1次転写部N1aを抜けきっていること。
【0089】
よって、実施例1と同様に、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおける感光ドラム2aへの吐き出しトナーの良好な回収を可能とするためには、次の関係、
L≒S×(2×n×T) (ただしnは自然数) ・・・(5)
を満たすことが好ましい。即ち、次の関係、
T≒L/(S×2×n) (ただしnは自然数) ・・・(6)
を満たすことが好ましい。
【0090】
尚、第1の電圧印加部N3で中間転写ベルト20上に吐き出された負極性及び正極性の吐き出しトナーをいずれも第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに良好に回収するためには、2T<L/Sの関係を満たすことが必要である。
【0091】
前述のとおり、より詳細な吐き出しトナーの状態として、導電ブラシ31は吐き出し電圧の極性の切り替えのタイミングに多くトナーを吐き出しており、吐き出し電圧の極性の切り替え後の吐き出し電圧の印加中においても、若干のトナーを吐き出している。
【0092】
ところで、本実施例では、単位吐き出し時間T[秒]の間に吐き出された中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの長さS×T[mm]と、導電ブラシ31の幅B[mm]との関係は、S×T>B(即ち、T>B/S)の関係となっている。そして、吐き出し電圧の極性の切り替えタイミングに多くのトナーが中間転写ベルト20に吐き出され、吐き出し電圧の極性の切り替え後の定常電流による吐き出しトナーの量は少ない。従って、実使用上問題ない場合には、所望により、吐き出し電圧の極性の切り替え後の定常電流による吐き出しトナーの回収をしないことを許容することができる。これにより、第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに吐き出しトナーを回収することが可能な1次転写部N1aの位置の範囲を更に広くすることができる。
【0093】
図11は、図10と同様の図において、吐き出し工程における各時間における中間転写ベルト20上の吐き出しトナーのより詳細な状態を示したものである。
【0094】
図11において、時間2T秒のタイミングにおける中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナーの先端位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、第1の電圧印加部N3の位置(下流側端部の位置)を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×2T[mm]の位置に吐き出しトナーを回収する1次転写部N1aがある場合について考える。
【0095】
時間2T秒から3T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、導電ブラシ31と共通の電源40により負極性の電圧が印加されている。そのため、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおけるこの負極性の吐き出しトナーの回収は可能である。その後、時間4T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到着した負極性の吐き出しトナーや、5T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到達した正極性の吐き出しトナーについても、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて回収可能である。次に、図11において、時間3T秒のタイミングにおける先頭の負極性の吐き出しトナーの領域のうち、ほぼ導電ブラシ31の幅(中間転写ベルト20の搬送方向における幅)で吐き出された領域の後端位置に、1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、第1の電圧印加部N3の位置(下流側端部の位置)を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×3T−B[mm]の位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。時間2T秒から3T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、導電性ブラシ31と共通の電源40により負極性の電圧が印加されている。そのため、ちょうど時間3Tのタイミングに、導電ブラシ31の幅分の負極性の吐き出しトナーの後端部分の吐き出しトナーを回収しきった状態である。従って、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて、中間転写ベルト20上の吐き出しトナーのうちトナーの量の多い部分を回収することは可能である。
【0096】
その後、時間4T秒のタイミングにトナーの量が多い部分の後端部分が第1の画像形成部1aの1次転写部N1aを抜けきった正極性の吐き出しトナーについても、同様に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて回収可能である。又、時間5T秒のタイミングにトナーの量の多い部分の後端部分が第1の画像形成部1aの1次転写部N1aを抜けきった負極性の吐き出しトナーについても、同様に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて回収可能である。
【0097】
つまり、次の関係、
S×2T≦L≦S×3T−B
を満たす場合には、少なくとも導電ブラシ31の幅に対応するトナーの量の多い吐き出しトナーの部分は、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに回収することが可能である。即ち、少なくとも導電ブラシ31の幅に対応する部分の負極性の吐き出しトナーが1次転写部N1aを通過する時に、1次転写部N1aには負極性の電圧が印加されている。又、少なくとも導電ブラシ31の幅に対応する部分の正極性の吐き出しトナーが1次転写部N1aを通過する時に、1次転写部N1aには正極性の電圧が印加されている。そのため、これらのトナーを第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに回収することが可能である。
【0098】
次に、図11において、時間5T秒のタイミングにおける先頭の負極性の吐き出しトナーの領域のうち、ほぼ導電ブラシ31の幅(中間転写ベルト20の搬送方向における幅)で吐き出された領域の後端位置に、1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、第1の電圧印加部N3の位置(下流側端部の位置)を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×5T−B[mm]の位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。
【0099】
図11から分かるように、この場合、次の関係、
S×4T≦L≦S×5T−B
を満たす場合にも、少なくとも導電ブラシ31の幅に対応するトナーの量の多い吐き出しトナーの部分は、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに回収することが可能である。
【0100】
以上より、次の関係を満たす場合に、少なくとも導電ブラシ31の幅に対応するトナーの量の多い吐き出しトナーの部分を、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに回収することが可能であることが分かる。
S×2×n×T≦L≦S×(2×n+1)T−B ・・・(7)
(ただしnは自然数)
【0101】
即ち、ある決まった距離L[mm]の下では、単位吐き出し時間Tが、次の関係、
L/(S×2×n)≧T≧(L+B)/(S×(2n+1)) ・・・(8)
(ただしnは自然数)
を満たす場合に、吐き出しトナーを許容し得る程度に十分に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aへ回収することが可能である。
【0102】
本実施例では、導電ブラシ31からの吐き出しトナーを第1の画像形成部1aのドラムクリーニング装置6aに回収しており、第1の電圧印加部N3(下流側端部)から1次転写部N1aまでの中間転写ベルト20の移動距離Lは100mmとなっている。上述のとおり、中間転写ベルト20の移動速度Sは100mm/秒、中間転写ベルト20の移動方向における導電ブラシ31の幅(中間転写ベルト20と導電ブラシ31との接触部(第1の電圧印加部N3)の幅)Bは5mmである。そのため、上記式(8)より、次の関係、
0.5/n≧T≧1.05/(2n+1)
(ただしnは自然数)
を満たせばよい。
【0103】
ここで、本発明の効果を最大限に得るためには、吐き出し電圧の極性の切り替え後の吐き出しトナーも回収できる条件とすることがより好ましい。
【0104】
具体的には、上記式(6)より、単位吐き出し時間Tとしては、
L/(S×2×n)
により近い時間を選択することが好ましい。
【0105】
本実施例の画像形成装置100の制御態様は、実施例1と同様であるが、本実施例では、制御部50のCPU51は、導電ブラシ31及び1次転写ローラ5a〜5dに電圧を印加する電源40の出力を制御する。又、本実施例では、制御部50のCPU51は、トナー帯電ローラ32に電圧を印加するトナー帯電電源42の出力の制御も行う。更に、吐き出し工程においてトナー帯電ローラ32を中間転写ベルト20から離間させる構成を採る場合には、制御部50のCPU51は、当該離間機構の動作の制御も行う。
【0106】
以上、本実施例では、吐き出し工程において、電源40は、第1の時間帯において導電ブラシ31に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aに到達する前に印加する電圧の極性を第2の極性から第1の極性に切り替える。又、吐き出し工程において、電源40は、第2の時間帯において導電ブラシ31に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aに到達する前に印加する電圧の極性を第1の極性から第2の極性に切り替える。
【0107】
好ましくは、吐き出し工程において、電源40は、第1の時間帯において導電ブラシ31に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aを通過するまで第1の極性の電圧を印加し続ける。又、好ましくは、吐き出し工程において、電源40は、第2の時間帯において導電ブラシ31に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aを通過するまで第2の極性の電圧を印加し続ける。
【0108】
これにより、導電ブラシ31からの吐き出しトナーを所定の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに良好に回収し、吐き出しトナーに起因するクリーニング不良画像や記録材Pの裏汚れの発生を抑制することができる。
【0109】
実施例3
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本構成及び動作は実施例2のものと同じであり、吐き出しトナーの回収先の画像形成部を選択できる点が異なる。従って、実施例2のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0110】
本実施例では、導電ブラシ31からの吐き出しトナーを任意の画像形成部1a〜1dにおいて回収できるようにする。これにより、本実施例では、特定の画像形成部のドラムクリーニング装置のトナー収納容器に吐き出しトナーが多く回収されることを抑制することができる。
【0111】
そこで、本実施例では、各画像形成部1のドラムクリーニング装置6のトナー収納容器内のトナー量を監視し、よりトナー量の少ない画像形成部1において吐き出しトナーを選択的に回収する。これにより、特定の画像形成部1のドラムクリーニング装置6のトナー収納容器(又はトナー収納容器が一体とされたカートリッジ)の交換頻度が上昇するのを抑制することができる。以下、更に詳しく説明する。
【0112】
次に、導電ブラシ31から吐き出したトナーを任意の画像形成部1において選択的に回収する方法について説明する。
【0113】
本実施例では、吐き出しトナーを回収させたくない画像形成部1の1次転写ローラ5を中間転写ベルト20から離間させる。即ち、中間転写ベルト20の移動方向において吐き出しトナーを回収する画像形成部1よりも上流側に位置する画像形成部1の1次転写ローラ5を中間転写ベルト20から離間させる。これによって、その離間した1次転写ローラ5によって当該画像形成部1の感光ドラム2に向けて押圧されていた中間転写ベルト20がその感光ドラム2から離間する。
【0114】
具体的には、例えば、1次転写ローラ5の回転軸方向両端部の軸受け部材を、カム、ソレノイドなどの適当な移動手段によって移動させることができる。これにより、1次転写ローラ5を中間転写ベルト20に当接する位置と離間した位置との間で択一的に移動させることができる。本実施例では、第1〜第3の画像形成部1a〜1cの1次転写部5a〜5dを中間転写ベルト20から離間させることができるようになっている。
【0115】
図12は、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aが中間転写ベルト20から離間した際の様子を示す。第1の画像形成部1において、1次転写ローラ5aが中間転写ベルト20から離間するのに伴って、中間転写ベルト20も感光ドラム2aから離間し、中間転写ベルト20から感光ドラム2aにトナーを転写することはできなくなる。これによって、吐き出しトナーが第1の画像形成部1aにおいて回収されないようにすることができる。
【0116】
第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aのみが中間転写ベルト20から離間していると、吐き出しトナーは第1の画像形成部1aにおいて回収されることなく、中間転写ベルト20上に担持されたまま搬送される。そして、中間転写ベルト20の移動方向において第1の画像形成部1aより下流側にある第2の画像形成部1bにおいて回収される。同様にして、第1、第2の画像形成部1a、1bの1次転写ローラ5a、5bが中間転写ベルト20から離間していると、吐き出しトナーは第2の画像形成部1bよりも下流側にある第3の画像形成部1cにおいて回収される。又、第1、第2、第3の画像形成部1a、1b、1cの1次転写ローラ5a、5b、5cが中間転写ベルト20から離間していると、吐き出しトナーは第3の画像形成部1cよりも下流側にある第4の画像形成部1dにおいて回収される。第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aを中間転写ベルト20から離間させなければ、吐き出しトナーは第1の画像形成部1aにおいて回収される。
【0117】
このようにして、吐き出したトナーを任意の画像形成部1のベルトクリーニング装置6のトナー収納容器に選択的に回収することができる。このとき、吐き出しトナーを許容し得る程度に十分に回収するためには、実施例2と同様に、吐き出しトナーを回収したい任意の画像形成部1について、式(7)又は(8)の関係を満たす必要がある。尚、吐き出しトナーをより良好に回収するためには、実施例2と同様に、吐き出しトナーを回収したい任意の画像形成部1について、式(5)又は(6)の関係を満たすことが好ましい。本実施例は、式(5)、(6)、(7)、(8)中のL[mm]は、第1の電圧印加部N3(下流側端部)から吐き出しトナーを回収する画像形成部1の1次転写部N1までの中間転写ベルト20の移動距離である。
【0118】
本実施例では、実施例2と同様に、中間転写ベルト20の移動方向における導電ブラシ31の幅Bは5mmであり、中間転写ベルト20の移動速度Sは100mm/秒である。そして、本実施例では、単位吐き出し時間Tは0.45秒である。従って、式(7)より、次の各関係が成立する。
90×n≦L≦45×(2n+1)−5(nは自然数)
90≦L≦130(n=1のとき)
180≦L≦220(n=2のとき)
270≦L≦310(n=3のとき)
360≦L≦400(n=4のとき)
【0119】
本実施例では、第1の画像形成部1aについてL=100mmである。又、第2の画像形成部1bについてL=190mmである。又、第3の画像形成部1cについてL=280mmである。又、第4の画像形成部1dについてL=370mmである。従って、いずれの画像形成部1a〜1dについても、距離L[mm]は式(7)を満たしている。そのため、いずれの画像形成部1a〜1dにおいても吐き出しトナーを回収することが可能である。
【0120】
本実施例の画像形成装置100の制御態様は、実施例2と同様であり、説明を省略する。
【0121】
図13は、吐き出し工程における1次転写ローラ5を離間させる動作の制御のフローの一例を示す。CPU51は、吐き出し工程を開始すると、第1〜第4の画像形成部1a〜1dのドラムクリーニング装置6a〜6dのトナー収納容器内のトナー量を検知する(S101)。トナー収納容器内のトナー量は、トナー収納容器内のトナー量を検出することのできる任意のトナー量検出手段を用いて検知することができる。例えば、光学式、静電容量検知式、圧電式のトナー量検出手段が斯界にて周知である。CPU51は、読み込んだ各トナー収納容器内のトナー量を比較して、第4の画像形成部1dのトナー収納容器内のトナー量が最少であるか判断する(S102)。CPU51は、第4の画像形成部1dが最少であると判断した場合は、第4の画像形成部1dにおいて吐き出しトナーを回収することを決定し、第1〜第3の画像形成部1a〜1cの1次転写ローラ5a〜5cを離間させる(S103)。同様に、CPU51は、第3の画像形成部1cが最少であると判断した場合は(S104)、第3の画像形成部1cにおいて吐き出しトナーを回収することを決定し、第1、第2の画像形成部1a、1bの1次転写ローラ5a、5bを離間させる(S105)。同様に、CPU51は、第2の画像形成部1bが最少であると判断した場合は(S106)、第2の画像形成部1bにおいて吐き出しトナーを回収することを決定し、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aを離間させる(S105)。そして、CPU41は、第2〜第4の画像形成部1b〜1dのトナー収納容器内のトナー量がいずれも最少でない場合、第1の画像形成部1aで吐き出しトナーを回収することを決定する(S108)。この場合、第1〜第3の画像形成部1a〜1cのいずれにおいても1次転写ローラ5a〜5cの離間動作は行わない。
【0122】
以上、本実施例では、実施例1、2と同様の効果を奏し得ると共に、吐き出しトナーを任意の画像形成部1において回収できることによって、特定の画像形成部1のトナー収納容器のみトナーの回収量が多くなることを抑制することができる。
【0123】
実施例4
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。実施例1〜3では、本発明をタンデム型の画像形成装置に適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所謂、4サイクル型の画像形成装置にも適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0124】
図14は、本実施例の画像形成装置の概略断面を示す。本実施例の画像形成装置は、電子写真方式を利用してフルカラー画像を形成することのできる中間転写方式を採用した4サイクル型のフルカラープリンタである。
【0125】
尚、実施例1〜3の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する構成や機能を有する要素には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0126】
本実施例の画像形成装置100は、単一の画像形成部1を有し、この画像形成部1には、感光ドラム2、帯電ローラ3、回転現像装置4、1次転写ローラ5、ドラムクリーニング装置6が設けられている。回転現像装置4は、回転可能な支持体(回転体)に装着された第1、第2、第3、第4の現像装置4a、4b、4c、4dを有する。各現像装置4a、4b、4c、4dは、それぞれ現像剤としてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを収容している。そして、支持体が図示矢印R4方向に回転することで、現像に用いるいずれかの現像装置4a〜4dを、感光ドラム1と対向する現像位置に配置させることができるようになっている。
【0127】
例えば、フルカラー画像の形成時には、先ず、感光ドラム1上にイエローの画像情報に応じた静電潜像が形成され、この静電潜像は第1の現像装置1aを用いて現像される。感光ドラム1上に形成されたイエローのトナー像は、1次転写部N1において中間転写ベルト20に転写される。その後、同様にして、感光ドラム1上にマゼンタ、シアン、ブラックの画像情報に応じた静電潜像が形成される毎に、各静電潜像はそれぞれ第2、第3、第4の現像装置4b、4c、4dを用いて現像される。又、感光ドラム1上にマゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が形成される毎に、各トナー像は1次転写部N1において、中間転写ベルト20に既に転写されているトナー像に重ね合わせて転写される。中間転写ベルト20は、トナー像が1次転写される毎に、次の色のトナー像の1次転写のために1周する。そして、中間転写ベルト20上に4色のトナー像が1次転写されると、そのトナー像は、次いで2次転写部N2において記録材Pに一括して2次転写される。
【0128】
2次転写後に中間転写ベルト20上に残った2次転写残トナーは、ベルトクリーニング装置30によってクリーニングされる。ベルトクリーニング装置30の構成及び動作は実質的に実施例2と同じである。但し、本実施例では、中間転写ベルト20に1次転写されたトナー像が第1、第2の電圧印加部N3、N4を通過する際には、導電ブラシ31、トナー帯電ローラ32は、中間転写ベルト20から離間される。導電ブラシ31、トナー帯電ローラ32は、実施例2においてトナー帯電ローラ32を離間させる場合と同様の離間機構により、中間転写ベルト20から離間させることができる。本実施例では、実施例2と同様に、クリーニング装置30内の導電ブラシ31には、1次転写ローラ5と共通の電源40が接続されており、所定の直流電圧が印加されるようになっている。
【0129】
本実施例の画像形成装置100においても、吐き出しトナーを許容し得る程度に十分に回収するためには、実施例2と同様に、式(7)又は(8)の関係を満たす必要がある。尚、吐き出しトナーをより良好に回収するためには、実施例2と同様に、式(5)又は(6)の関係を満たすことが好ましい。本実施例は、式(5)、(6)、(7)、(8)中のL[mm]は、第1の電圧印加部N3(下流側端部)から単一の画像形成部1の1次転写部N1までの中間転写ベルト20の移動距離である。
【0130】
本実施例では、第1の電圧印加部N3(下流側端部)から1次転写部N1までの中間転写ベルト20の移動距離Lは100mmである。又、本実施例では、実施例2と同様に、中間転写ベルト20の移動速度Sは100mm/秒であり、中間転写ベルト20の移動方向における導電ブラシ31の幅Bは5mmである。そして、本実施例では、単位吐き出し時間Tは0.5秒である。従って、本実施例の画像形成装置100は、式(8)、更には式(6)の関係を満たすため、吐き出しトナーを1次転写部N1において感光ドラム2に良好に回収することが可能である。
【0131】
尚、本実施例では、ベルトクリーニング装置30が実施例2と同様に導電ブラシ31とトナー帯電ローラ32を有する場合を例に説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ベルトクリーニング装置30は、実施例1と同様にトナー帯電ローラ32のみを有するものであってもよい。この場合、吐き出しトナーを許容し得る程度に十分に回収するためには、実施例1と同様に、式(1)又は(2)の関係を満たす必要がある。又、この場合、吐き出しトナーをより良好に回収するためには、実施例1と同様に、式(3)又は(4)の関係を満たすことが好ましい。
【0132】
以上のように、本発明は4サイクル型の画像形成装置にも適用することができ、タンデム型の画像形成装置の場合と同様の効果を奏し得る。
【符号の説明】
【0133】
1 画像形成部
2 感光ドラム(像担持体)
5 1次転写ローラ、転写ローラ
6 ドラムクリーニング装置
11 吸着ローラ(電圧印加部材)
20 中間転写ベルト(移動体)
30 ベルトクリーニング装置
31 導電ブラシ(電圧印加部材)
32 トナー帯電ローラ(電圧印加部材)
40 共通の電源
P 記録材
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタ、複写機、ファクシミリなどの電子写真方式を利用する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置として、像担持体としての電子写真感光体(感光体)に形成したトナー像を中間転写体に1次転写した後に記録材に2次転写する中間転写方式の画像形成装置がある。又、中間転写方式の画像形成装置としては、例えば、複数の感光体にそれぞれ形成された複数色のトナー像を中間転写体に順次重ね合わせて1次転写した後に記録材に一括して2次転写する、タンデム型(又はインライン型)のものが知られている。中間転写方式の画像形成装置においては、2次転写工程後に中間転写体上に残留するトナー(2次転写残トナー)が発生する。そのため、中間転写方式の画像形成装置には、2次転写残トナーの除去、回収などの処理のための中間転写体クリーニング装置が設けられる。
【0003】
従来から中間転写体クリーニング装置として、2次転写残トナーを、トナーの正規の帯電極性とは逆極性に帯電させ、その直後の画像形成部の1次転写部において中間転写体から感光体に転写させた後、感光体のクリーニング装置により回収するものが知られている。この方法によれば、1次転写と同時に中間転写体をクリーニングすることが可能となる。又、この方法によれば、2次転写残トナーを回収するための専用のトナー収納機構を必要としないという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3267507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように2次転写残トナーを中間転写体から感光体へ転写させて回収する方法を採用する場合、2次転写残トナーを帯電させるトナー帯電部材としてのトナー帯電ローラなどを有する中間転写体クリーニング装置が設けられる。トナー帯電部材としてはブラシも用いられるが、ここではローラの場合を例にして説明する。
【0006】
画像形成動作中にトナー帯電ローラに付着した2次転写残トナーは、画像形成後の準備又は整理動作である後回転動作時などの所定のタイミングにおいて、中間転写体上に吐き出される(即ち、転移させられる)。このトナー帯電ローラから2次転写残トナーを吐き出す具体的な方法としては、トナー帯電ローラの略1周分の時間を半周期として、トナー帯電ローラに対する負極性の電圧印加と正極性の電圧印加とを交互に繰り返す方法が考えられる。ところで、画像形成装置の小型化及び低価格化のためには、画像形成装置に用いられる高圧電源回路を共通化することが有効である。
【0007】
しかしながら、高圧電源回路を共通化すると、場合によっては、中間転写体上からトナーを確実に回収することができない可能性がある。例えば、トナー帯電ローラから中間転写体上にトナーを吐き出すための電源と、中間転写体上に吐き出されたトナーを感光体に回収するための電源とを共通化する場合には、次のような課題がある。即ち、トナーを吐き出すためのバイアスの印加タイミングと、吐き出されたトナー(吐き出しトナー)を回収するためのバイアスの印加タイミングが一致せずに、吐き出しトナーを1次転写部において回収できなくなり、中間転写体上に残ってしまうことがある。
【0008】
従って、本発明の目的は、電圧印加部材から移動体へトナーを吐き出すための電源と、その吐き出したトナーを該移動体から像担持体へ回収するための電源とを共通化しても、吐き出しトナーを良好に回収することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、転写部において前記像担持体からトナー像が転写される移動体と、前記像担持体から前記移動体にトナー像を転写するために電圧が印加される転写部材と、前記移動体の移動方向において前記転写部よりも上流側の接触部で前記移動体に接触するとともに電圧が印加される電圧印加部材と、前記転写部材及び前記電圧印加部材に電圧を印加する共通の電源と、を有し、前記電源により前記電圧印加部材及び前記転写部材に正極性又は負極性である第1の極性の電圧を第1の時間帯にわたり印加する動作と、前記電源により前記電圧印加部材及び前記転写部材に前記第1の極性とは逆極極性である第2の極性の電圧を第2の時間帯にわたり印加する動作とを、前記移動体を移動させながら交互に繰り返すことで、前記接触部において前記電圧印加部材から前記移動体にトナーを転移させ、そのトナーを前記転写部において前記移動体から前記像担持体に転移させる電圧印加部材清掃工程を行う画像形成装置であって、前記電圧印加部材清掃工程において、前記電源は、前記第1の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部に到達する前に前記電圧印加部材及び前記転写部材に印加する電圧の極性を前記第2の極性から前記第1の極性に切り替えるとともに、前記第2の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部に到達する前に前記電圧印加部材及び前記転写部材に印加する電圧の極性を前記第1の極性から前記第2の極性に切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電圧印加部材から移動体へトナーを吐き出すための電源と、その吐き出したトナーを該移動体から像担持体へ回収するための電源とを共通化しても、吐き出しトナーを良好に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図2】吐き出し工程におけるトナー帯電ローラへの印加電圧の経時推移を示すグラフ図である。
【図3】吐き出し工程における各時間における中間転写ベルト上の吐き出しトナーの位置の推移の一例を説明するための説明図である。
【図4】1次転写部の位置関係の一例を説明するための説明図である。
【図5】1次転写部の位置関係の一例を説明するためのより詳細な説明図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図8】吐き出し工程における導電ブラシへの印加電圧の経時推移を示すグラフ図である。
【図9】吐き出し工程における各時間における中間転写ベルト上の吐き出しトナーの位置の推移の一例を説明するための説明図である。
【図10】1次転写部の位置関係を説明するための説明図である。
【図11】1次転写部の位置関係を説明するためのより詳細な説明図である。
【図12】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図13】吐き出し工程において1次転写ローラを離間させる場合の制御の一例を示すフローチャート図である。
【図14】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0013】
実施例1
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略断面を示す。本実施例では、画像形成装置100は、電子写真方式を利用してフルカラー画像を形成することのできる中間転写方式を採用したタンデム型のフルカラープリンタである。
【0014】
画像形成装置100は、複数の画像形成部として第1、第2、第3、第4の画像形成部1a、1b、1c、1dの4つの画像形成部を有する。第1、第2、第3、第4の画像形成部1a、1b、1c、1dは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する。又、第1、第2、第3、第4の画像形成部1a、1b、1c、1dは、一定の間隔をおいて一列に配置されている。
【0015】
本実施例では、第1、第2、第3、第4の画像形成部1a、1b、1c、1dの構成及び動作は共通する部分が多い。従って、以下、特に区別を要しない場合は、何れかの画像形成部のために設けられた要素であることを表すために図中の符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して、当該要素について総括的に説明する。
【0016】
画像形成部1には、像担持体としての円筒型の感光体、即ち、感光ドラム2が設置されている。感光ドラム2の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ3、現像手段としての現像装置4が配置されている。さらに、1次転写部材としての1次転写ローラ5、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6が配置されている。帯電ローラ3と現像装置4との間の図中上方には、露光手段としての露光装置7が設置されている。各現像装置4a、4b、4c、4dには、それぞれ現像剤としてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーが収納されている。
【0017】
第1〜第4の画像形成部1a〜1dの各感光ドラム2a〜2dに対向するように、中間転写体としての無端状のベルト、即ち、中間転写ベルト20が設置されている。中間転写ベルト20は、移動体である。中間転写ベルト20は、支持部材としての駆動ローラ21、テンションローラ22及び2次転写対向ローラ23に掛け渡されている。中間転写ベルト20は、駆動ローラ21が図示矢印R2方向(反時計方向)に回転駆動されることで、図示矢印R3方向(反時計方向)に回転(周回移動)する。各1次転写ローラ5a〜5dは、中間転写ベルト20の内周面側に設置されており、中間転写ベルト20を介して各感光体ドラム2a〜2dに当接し、中間転写ベルト20と各感光ドラム2a〜2dとが接触する1次転写部N1a〜N1dを形成する。中間転写ベルト20の外周面側には、2次転写対向ローラ23に対向して2次転写部材としての2次転写ローラ24が設置されている。2次転写ローラ24は、中間転写ベルト20を介して2次転写対向ローラ23に当接し、中間転写ベルト20と2次転写ローラ24とが接触する2次転写部N2を形成する。
【0018】
本実施例では、感光ドラム2は、負帯電性の有機感光体ドラムであり、アルミニウム製のドラム基体上に感光層を有する。感光ドラム2は、駆動装置(図示せず)によって図示矢印R1方向(時計方向)に所定の周速度(本実施例では100mm/秒)で回転駆動される。本実施例では、感光ドラム2の周速度は、画像形成装置100のプロセススピードに相当する。
【0019】
帯電ローラ3は、感光ドラム2に所定の圧接力で接触している。帯電ローラ3は、帯電電圧印加手段としての帯電バイアス電源(図示せず)によって、所定の帯電バイアスが印加されて、感光ドラム2の表面を所定の電位に均一に帯電させる。本実施例では、感光ドラム2は、帯電ローラ3により負極性に帯電させられる。
【0020】
露光装置7は、本実施例ではレーザスキャナ装置である。露光装置7では、ホストコンピュータ(図示せず)から入力された画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザ光がレーザ出力部から出力され、このレーザ光が反射ミラーを介して感光ドラム2の表面に導かれて、感光ドラム2を露光する。これにより、帯電ローラ3で帯電された感光ドラム2の表面に、画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。
【0021】
現像装置4は、接触現像方式を採用している。又、本実施例では、現像装置4が静電潜像の現像に用いるトナーの正規の帯電極性は負極性である。現像装置4は、現像剤担持体としての現像ローラを有する。現像ローラ上に薄層状に担持されたトナーは、現像ローラが駆動装置(図示せず)により回転駆動されることにより、感光ドラム2との対向部(現像部)に搬送される。感光ドラム2上に形成された静電潜像は、現像部においてトナーによりトナー像として現像される。このとき、現像ローラには、現像電圧印加手段としての現像バイアス電源(図示せず)により所定の現像バイアスが印加される。尚、本実施例では、フルカラー画像形成モード(第1〜第4の画像形成部の全てを用いて画像形成するモード)では、第1〜第4の画像形成部1a〜1dの全てにおいて現像装置4の現像ローラと感光ドラム2とが当接する。一方、モノカラー画像形成モード(第1〜第4の画像形成部のうちいずれか1つで画像形成するモード)では、画像を形成する画像形成部以外の画像形成部において現像装置4の現像ローラと感光ドラム2とは離間される。これは、現像ローラとトナーの劣化、消耗を抑制するためである。
【0022】
ドラムクリーニング装置6は、感光ドラム2に当接するクリーニング部材としての弾性体で形成された板状部材であるクリーニングブレードと、トナー収納容器とを有する。そして、感光ドラム2の表面に付着しているトナーをクリーニングブレードによって感光ドラム2の表面から掻き取って除去し、トナー収納容器内に回収する。
【0023】
中間転写ベルト20としては、PVdF(弗化ビニリデン樹脂)、ETFE(四弗化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネートなどの樹脂で形成された無端状のベルトを用いることができる。或いは、中間転写ベルト20としては、EPDMなどのゴム基層の上に、ウレタンゴムにPTFEなど弗素樹脂を分散したものなどを被覆したものから成る無端状のベルトを用いることができる。
【0024】
1次転写ローラ5は、スポンジゴムなどの弾性部材で構成されており、中間転写ベルト20に従動して回転する。各1次転写ローラ5a〜5dには、電圧印加手段としての電源(高圧電源回路)40が接続されている。そして、各1次転写ローラ5a〜5dには、この1つの電源40から1次転写バイアスが印加される。
【0025】
2次転写ローラ24には、2次転写電圧印加手段としての2次転写バイアス電源(図示せず)が接続されている。2次転写ローラ24には、2次転写バイアス電源から2次転写バイアスが印加される。
【0026】
中間転写ベルト20の外周面側の2次転写対向ローラ23の近傍には、中間転写体クリーニング手段たる中間転写体クリーニング装置としてのベルトクリーニング装置30が設置されている。ベルトクリーニング装置30の構成及び動作の詳細については後述する。
【0027】
又、2次転写部N2よりも記録材Pの搬送方向下流側には、定着手段として、定着ローラ12Aと加圧ローラ12Bを有する定着装置12が設置されている。又、2次転写部N2よりも記録材Pの搬送方向上流側には、所定のタイミングで記録材Pを2次転写部N2に送り込むためのレジストローラ13が設置されている。
【0028】
画像形成動作開始信号が発せられると、所定のプロセススピードで回転駆動される各感光ドラム2a〜2dは、各帯電ローラ3a〜3d、各露光装置7a〜7d、各現像装置4a〜4dによって、トナー像が形成される。
【0029】
各感光ドラム2a〜2d上に形成されたトナー像は、各1次転写部N1a〜N1dにおいて、各1次転写ローラ5a〜5dの作用により、回転している中間転写ベルト20上に1次転写される。このとき、各1次転写ローラ5a〜5dには、電源40により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスが印加される。
【0030】
中間転写ベルト20上に1次転写されたトナー像は、中間転写ベルト20上に保持されたまま移動する。中間転写ベルト20は、図示矢印R3方向に所定の周速度(本実施例では100mm/秒)で回転駆動される。即ち、本実施例では、中間転写ベルト20は、その表面の移動速度Sが、画像形成装置100のプロセススピードに相当する感光ドラム2の周速度と等しくなるように回転駆動される。
【0031】
又、中間転写ベルト20上のトナー像の先端が2次転写部N2に移動するタイミングに合わせて、レジストローラ13により記録材Pが2次転写部N2に搬送される。そして、2次転写部N2において、中間転写ベルト20上のトナー像は、2次転写ローラ24の作用により一括して記録材Pに2次転写される。このとき、2次転写ローラ24には、2次転写バイアス電源により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の2次転写バイアスが印加される。
【0032】
その後、トナー像が表面に転写された記録材Pは、定着装置12に搬送される。そして、記録材Pは、定着装置12内に設置された定着ローラ12Aと加圧ローラ12Bとの間の定着部で加熱、加圧されて、その表面にトナー像が熱(溶融)定着された後、画像形成装置100の外部に排出される。こうして、記録材Pにフルカラー画像が形成される。
【0033】
1次転写工程後に感光ドラム2上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、ドラムクリーニング装置6によって除去されて回収される。又、2次転写工程後に中間転写ベルト20上に残留したトナー(2次転写残トナー)は、詳しくは後述するようにして、ベルトクリーニング装置30を用いて除去されて回収される。
【0034】
ベルトクリーニング装置30は、電圧印加部材として、2次転写残トナーを帯電させるトナー帯電部材としてのトナー帯電ローラ32を有する。トナー帯電ローラ32は、中間転写ベルト20の移動方向において、2次転写部N2よりも下流側、且つ、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aよりも上流側の電圧印加部N3において中間転写ベルト20に接触するように配置されている。そして、トナー帯電ローラ32は、2次転写残トナーをトナーの正規の帯電極性とは逆極性に帯電させる役割を持っている。
【0035】
トナー帯電ローラ32としては、外径6mmのニッケルメッキ鋼棒上に、EPDMゴムにカーボンが分散されたソリッドの弾性体を肉厚4mmで被覆したものを用いた。即ち、本実施例では、トナー帯電ローラ32の半径Rは7mmである。又、本実施例では、トナー帯電ローラ32の電気抵抗値は、500V印加時において5.0×107Ωである。
【0036】
トナー帯電ローラ32には、電圧印加手段としての電源(高圧電源回路)40が接続されている。この電源40は、各1次転写ローラ5a〜5dに1次転写バイアスを印加するものと共通とされている。印加対象である1次転写ローラ5a〜5dとトナー帯電部材32には、電源40により同時に電圧が印加される。トナー帯電ローラ32に印加する電圧は、トナー帯電ローラ32の材料や画像形成装置100が使用される環境(温度、湿度)などによって異なる。例えば、温度23℃、湿度50%のNN環境下においては、画像形成動作中にトナー帯電ローラ32には+800Vの電圧が印加される。
【0037】
トナー帯電ローラ32に正極性の電圧を印加することで、中間転写ベルト20上の2次転写残トナーを一様に正極性に帯電させることができる。中間転写ベルト20上の正極性に帯電した2次転写残トナーは、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aへと進み、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aの作用により、中間転写ベルト20から第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに転写される。このとき、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aには、正極性の1次転写バイアスが印加される。その後、感光ドラム2aに転写されたトナーは、第1の画像形成部1aにおいてドラムクリーニング装置6aにより回収される。通常、2次転写残トナーの中間転写ベルト20から感光ドラム2aへの転写は、感光ドラム2aから中間転写ベルト20へのトナー像の1次転写と同時に行われる。
【0038】
画像形成を続けることにより、トナー帯電ローラ32の表面には少しずつトナーが付着する。その結果、トナー帯電ローラ32による2次転写残トナーの帯電処理を安定して行うことができなくなり、2次転写残トナーのクリーニング性能が低下してしまう。そこで、所定のタイミングで、トナー帯電ローラ32に付着しているトナーを中間転写ベルト20に吐き出し(即ち、転移させ)、トナー帯電ローラ32に付着したトナーを清掃する電圧印加部材清掃工程としての吐き出し工程を行う。これにより、トナー帯電ローラ32を用いた2次転写残トナーのクリーニング性能の低下を抑制する。
【0039】
吐き出し工程では、トナー帯電ローラ32に、トナーの正規の帯電極性である負極性の直流電圧Vn1と、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の直流電圧Vp1とを交互に繰り返し印加する。トナー帯電ローラ32に負極性の直流電圧Vn1を印加すると、トナー帯電ローラ32に付着していた負極性に帯電したトナーが吐き出される。一方、トナー帯電ローラ32に正極性の直流電圧Vp1を印加すると、トナー帯電ローラ32に付着していた正極性に帯電したトナーが吐き出される。本実施例では、Vn1=−800V、Vp1=+800Vである。
【0040】
トナー帯電ローラ32から中間転写ベルト20上に吐き出されたトナーは、詳しくは後述するように、1次転写部N1において中間転写ベルト20から感光ドラム2に転写されて、ドラムクリーニング装置6によって回収される。
【0041】
吐き出し工程は、画像形成後の準備又は整理動作である後回転動作時など、記録材Pに転写して出力するための画像の形成をしていないタイミング(非画像形成時)で行う。又、本実施例では、吐き出し工程において、吐き出しトナーは、第1の画像形成部1aのドラムクリーニング装置6aのトナー収納容器に回収される。
【0042】
次に、吐き出し工程においてトナー帯電ローラ32に印加する電圧(以下「吐き出し電圧」ともいう。)の極性の切り替えタイミングと、中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの位置との関係について説明する。
【0043】
図2は、吐き出し工程における吐き出し電圧の経時推移を示す。トナー帯電ローラ32には通常の画像形成時に正極性の電圧が印加されているので、トナー吐き出し工程が開始されて初めてトナー帯電ローラ32に印加される電圧の極性が正極性から負極性に切り替えられるタイミングを時間0秒の基準時点とする。本実施例では、時間0秒、2T秒、4T秒のタイミングで、吐き出し電圧は、正極性の電圧Vp1から負極性の電圧Vn1に切り替わる。又、時間T秒、3T秒、5T秒のタイミングで、吐き出し電圧は、負極性の電圧Vn1から正極性の電圧Vp1に切り替わる。つまり、吐き出し工程においてトナー帯電ローラ32に印加される電圧は、T秒毎にVn1とVp1との間で交互に切り替えられる。
【0044】
本実施例では、1つの電源40を共通して用いているため、吐き出し工程では、1次転写ローラ5a〜5dにも、上記吐き出し電圧と同じタイミングで正極性の電圧と負極性の電圧とが交互に切り替えられて印加される。
【0045】
図3は、吐き出し工程の各時間における中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの位置の経時推移を示す。時間0秒のタイミングでは、トナー帯電ローラ32の位置において、負極性のトナーが、トナー帯電ローラ32から中間転写ベルト20へ、今まさに移動する、という状態にある。時間0秒からT秒の間において、トナー帯電ローラ32から、吐き出された負極性の吐き出しトナーが、S[mm/秒]×(T−0)[秒](=S×T[mm])の長さで中間転写ベルト20上に転写される。そして、時間T秒のタイミングでは、トナー帯電ローラ32上の正極性の吐き出しトナーが、トナー帯電ローラ32から中間転写ベルト20へ、今まさに移動する、という状態にある。時間T秒から2T秒の間において、トナー帯電ローラ32から、正極性の吐き出しトナーが、長さS[mm/秒]×(2T−T)[秒](=S×T[mm])で中間転写ベルト20上に転写される。
【0046】
尚、トナー帯電ローラ32には通常の画像形成時に正極性の電圧が印加されているので、トナー帯電ローラ32の表面には、主に負極性のトナーが付着している。時間T秒から2T秒の間においてトナー帯電ローラ32から吐き出される正極性のトナーは、主に、トナー帯電ローラ32に正極性の電圧を印加しているときに放電電流が発生することによって負極性のトナーの帯電極性が正極性に反転させられたものである。従って、このような正極性に帯電した吐き出しトナーの量は、負極性に帯電した吐き出しトナーの量と比べると少ない。
【0047】
続いて、時間2T秒から3T秒の間、3T秒から4T秒の間、4T秒から5T秒の間、5T秒から6T秒の間においても、同様の動作の繰り返しにより、吐き出しトナーの移動と、トナー帯電ローラ32から中間転写ベルト20への吐き出しトナーの転移が行われる。
【0048】
次に、吐き出しトナーを良好に回収することができる1次転写部の位置関係について説明する。尚、本実施例では、電圧印加部N3の位置は、トナー帯電ローラ32と中間転写ベルト20とが接触する領域の中間転写ベルト20の移動方向中央の位置で代表する。又、本実施例では、1次転写部N1の位置は、1次転写部N1における感光ドラム2と中間転写ベルト20とが接触する領域の中間転写ベルト20の移動方向中央の位置で説明する。
【0049】
図4は、図3と同様の図に、第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに吐き出しトナーを回収することが可能となる1次転写部N1aの位置関係を示したものである。図4において、時間2T秒のタイミングにおける中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナーの先端位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、電圧印加部N3の位置を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×2T[mm]の位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。
【0050】
時間2T秒から3T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、トナー帯電ローラ32と共通の電源40により負極性の電圧が印加されている。又、中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナー(時間0秒からT秒の間に吐き出されたもの)の長さはS×T[mm]である。従って、ちょうど時間2T秒から3T秒の間の1次転写ローラ5aへの負極性の電圧の印加時間において、その負極性の吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収することが可能である。時間3T秒から4T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、トナー帯電ローラ32と共通の電源40により正極性の電圧が印加されている。又、中間転写ベルト20上の正極性の吐き出しトナー(時間T秒から2T秒の間に吐き出されたもの)の長さはS×T[mm]である。従って、ちょうど時間3T秒から4T秒の間の1次転写ローラ5aへの正極性の電圧の印加時間において、その正極性の吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収することが可能である。その後、時間4T秒、6T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到達した負極性の吐き出しトナーや、時間5T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到達した正極性の吐き出しトナーについても、同様に感光ドラム2aに回収可能である。
【0051】
次に、図4において、時間4T秒のタイミングにおける中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナーの先端位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、トナー帯電ローラ32の位置を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×4T[mm]の位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。図4から分かるように、この場合にも、上述のS×2T[mm]の位置に1次転写部N1aがある場合と同様に、第1の画像形成部1aの感光ドラム2aへの吐き出しトナーの回収が可能である。
【0052】
以上のことから、吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収するためには、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aの位置は、次の関係を満たすことが好ましいことが分かる。
(1)負極性の吐き出しトナーの先端が1次転写部N1aに到達する際に、1次転写ローラ5aに負極性の電圧が印加されており、逆に正極性の吐き出しトナーの先端が1次転写部N1aに到達する際に、1次転写ローラ5aに正極性の電圧が印加されていること。
(2)1次転写ローラ5aに印加されている負極性の電圧が正極性の電圧へ切り替え始められる前に、負極性の吐き出しトナーの後端が1次転写部N1aを抜けきっていること。又、逆に1次転写ローラ5aに印加されている正極性の電圧が負極性の電圧へ切り替え始められる前に、正極性の吐き出しトナーの後端が1次転写部N1aを抜けきっていること。
【0053】
つまり、次のことが分かる。電圧印加部N3から第1の画像形成部1aの1次転写部N1aまでの中間転写ベルト20の移動距離をL[mm]とする。又、吐き出し工程における吐き出し電圧の極性の切り替えの半周期、即ち、正極性又は負極性の吐き出し電圧を印加している時間帯の長さ(以下「単位吐き出し時間」ともいう。)をT[秒]とする。又、中間転写ベルト20の移動速度をS[mm/秒]とする。このとき、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおける感光ドラム2aへの吐き出しトナーの良好な回収を可能とするためには、次の関係、
L≒S×(2×n×T) (ただしnは自然数) ・・・(1)
を満たすことが好ましい。即ち、次の関係、
T≒L/(S×2×n) (ただしnは自然数) ・・・(2)
を満たすことが好ましい。
【0054】
この場合、トナー帯電部材32に負極性の吐き出し電圧が印加されているときに電圧印加部N3を通過した中間転写ベルト20の領域が第1の画像形成部1aの1次転写部N1aを抜けきってから(ほぼ同時に)、吐き出し電圧の極性は正極性に切り替えられる。同様に、トナー帯電部材32に正極性の吐き出し電圧が印加されているときに電圧印加部N3を通過した中間転写ベルト20の領域が第1の画像形成部1aの1次転写部N1aを抜けきってから(ほぼ同時に)、吐き出し電圧の極性は負極性に切り替えられる。
【0055】
ここで、吐き出し電圧の極性の切り替えの周期2T[秒](単位吐き出し時間T[秒]の2倍)は、電圧印加部N3から1次転写部N1aまでの中間転写ベルト20の移動距離L[mm]を中間転写ベルト20の移動速度S[mm/秒]で割ったものである。そして、中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナーの領域1つと、正極性の吐き出しトナーの領域1つとで、吐き出し動作の1セット(吐き出し電圧の極性の切り替えの1周期分)の吐き出しトナーと考える。この場合、自然数nは、電圧印加部N3から1次転写部N1aまでの中間転写ベルト20の移動距離L[mm]の間にnセット分の吐き出しトナーが吐き出されることを意味する。
【0056】
尚、電圧印加部N3で中間転写ベルト20上に吐き出された負極性及び正極性の吐き出しトナーをいずれも第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに良好に回収するためには、2T<L/Sの関係を満たすことが必要である。
【0057】
本実施例では、トナー帯電ローラ32からの吐き出しトナーを第1の画像形成部1aのドラムクリーニング装置6aに回収しており、電圧印加部N3から1次転写部N1aまでの中間転写ベルト20の移動距離Lは100mmとなっている。上述のとおり、中間転写ベルト20の移動速度Sは100mm/秒である。そのため、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおける感光ドラム2aへの吐き出しトナーの回収を可能とするためには、単位吐き出し時間T[秒]が0.5/n[秒]と略等しいことが好ましい。本実施例では、T=0.5秒とした。
【0058】
ところで、本実施例では、単位吐き出し時間T=0.5秒間に吐き出された中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの長さは、S×T=50mmである。一方、トナー帯電ローラ32の半径Rは7mmであり、その1周の長さ(2×π×R)は約44mmである。このように、本実施例では、S×T>2×π×R(即ち、T>2πR/S)の関係となっている。そのため、単位吐き出し時間Tの間に吐き出された中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの長さ50mmのうち、上記トナー帯電ローラ32の1周の長さに対応する約44mmは吐き出しトナーの量が多く、残り6mmはそれよりも吐き出しトナーの量が少なくなる。
【0059】
図5は、単位吐き出し時間Tの間に吐き出された中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの長さがトナー帯電ローラ32の1周の長さよりも長い場合における、図4と同様の図をより詳細に示したものである。上述のとおり、吐き出しトナーの量は、吐き出し工程において吐き出し電圧の印加を開始した後、トナー帯電ローラ32の回転が2周目、3周目と周を重ねる毎に少なくなっていく。そのため、実使用上問題ない場合には、所望により、吐き出し電圧の極性を切り替えた後に、トナー帯電ローラ32の2周目からの吐き出しトナーの回収をしないことを許容することができる。これにより、第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに吐き出しトナーを回収することが可能な1次転写部N1aの位置の範囲を更に広くすることができる。図5から分かるように、この場合、次の関係を満たせばよい。
S×2×n×T≦L≦S×(2n+1)×T−2πR ・・・(3)
(ただしnは自然数)
【0060】
即ち、ある決まった距離L[mm]の下では、単位吐き出し時間T[秒]が、次の関係、
L/(S×2×n)≧T≧(L+2πR)/(S×(2n+1)) ・・・(4)
(ただしnは自然数)
を満たす場合に、吐き出しトナーを許容し得る程度に十分に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aへ回収することが可能である。
【0061】
本実施例では、トナー帯電ローラ32及び1次転写ローラ5a〜5dに電圧を印加する電源40の出力は、画像形成装置100の動作を統括的に制御する制御部50の制御手段としてのCPU51が制御する。CPU51は、制御部50が備える記憶手段としてのメモリ52に記憶されているプログラム、データに従って、電源40の電圧出力値、出力電圧の極性の切り替えなどを制御する。
【0062】
以上、本実施例では、画像形成装置100は、少なくとも吐き出しトナーを回収する第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5a及びトナー帯電ローラ32に電圧を印加する共通の電源40を有する。又、画像形成装置100は、トナー帯電ローラ32からトナーを吐き出す吐き出し工程を行う。吐き出し工程では、トナー帯電ローラ32と中間転写ベルト20との接触部(電圧印加部)N3においてトナー帯電ローラ32から中間転写ベルト20にトナーを転移させ、そのトナーを1次転写部N1aにおいて中間転写ベルト20から感光ドラム2aに転移させる。吐き出し工程では、電源40によりトナー帯電ローラ32及び1次転写ローラ5aに正極性又は負極性である第1の極性の電圧を第1の時間帯にわたり印加する動作を行う。又、吐き出し工程では、電源40によりトナー帯電ローラ32及び1次転写ローラ5aに第1の極性とは逆極極性である第2の極性の電圧を第2の時間帯にわたり印加する動作を行う。吐き出し工程では、これらの動作を、中間転写ベルト20を移動させながら交互に繰り返す。そして、吐き出し工程において、電源40は、第1の時間帯においてトナー帯電ローラ32に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aに到達する前に印加する電圧の極性を第2の極性から第1の極性に切り替える。又、吐き出し工程において、電源40は、第2の時間帯においてトナー帯電ローラ32に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aに到達する前に印加する電圧の極性を第1の極性から第2の極性に切り替える。
【0063】
好ましくは、吐き出し工程において、電源40は、第1の時間帯においてトナー帯電ローラ32に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aを通過するまで両ローラ32、5aに第1の極性の電圧を印加し続ける。又、好ましくは、吐き出し工程において、電源40は、第2の時間帯においてトナー帯電ローラ32に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aを通過するまで両ローラ32、5aに第2の極性の電圧を印加し続ける。これにより、トナー帯電ローラ32からの吐き出しトナーを所定の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに良好に回収し、吐き出しトナーに起因するクリーニング不良画像や記録材Pの裏汚れの発生を抑制することができる。
【0064】
実施例2
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。図6は、本実施例の画像形成装置100の概略断面を示す。本実施例の画像形成装置の基本構成及び動作は実施例1のものと同じであり、ベルトクリーニング装置30の構成及び動作が異なる。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0065】
本実施例では、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置30は、電圧印加部材たるトナー帯電部材として、導電ブラシ(第1のトナー帯電部材)31とトナー帯電ローラ(第2のトナー帯電部材)32とを有する。吐き出し工程では、導電ブラシ31から中間転写ベルト20にトナーが吐き出される。又、導電ブラシ31と、吐き出しトナーを回収する第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aとで、電源40が共通化されている。以下、詳しく説明する。
【0066】
ベルトクリーニング装置30は、2次転写残トナーの一部を回収、保持する第1のトナー帯電部材としての導電ブラシ31と、2次転写残トナーを帯電させる第2のトナー帯電部材としてのトナー帯電ローラ32とを有する。
【0067】
導電ブラシ31は、中間転写ベルト20の移動方向において、2次転写部N2よりも下流側、且つ、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aよりも上流側の第1の電圧印加部N3において中間転写ベルト20に接触するように配置されている。導電ブラシ31は、中間転写ベルト20の移動方向において位置が固定されており、中間転写ベルト20に接触してこれを摺擦する。
【0068】
本実施例では、導電ブラシ31は、材質がナイロンであり、繊度は7デシテックス、パイル長さは5mm、電気抵抗値は1.0×106Ωに設定されている。又、本実施例では、中間転写ベルト20の移動方向における導電ブラシ31の幅(導電ブラシ31と中間転写ベルト20との接触部(第1の電圧印加部N3)の幅)Bは5mmに設定されている。
【0069】
導電ブラシ31には、電圧印加手段として、各1次転写ローラ5a〜5dに1次転写バイアスを印加するものと共通の電源40が接続されており、この電源40から、所定の直流電圧が印加される。導電ブラシ31に印加する電圧は、導電ブラシ31の材料や画像形成装置100が使用される環境(温度、湿度)などによって異なる。例えば、温度23℃、湿度50%のNN環境下においては、画像形成動作中に導電ブラシ31には+800Vの電圧が印加される。
【0070】
一般的に、2次転写残トナーは、負極に帯電したものと、殆ど帯電していないものと、正極に帯電したものとが、混在した状態になっている。導電ブラシ31に正極性の電圧を印加することで、帯電極性が混在した状態の2次転写残トナーのうち、主に負極性に帯電したトナーが導電ブラシ31に回収される。導電ブラシ31には、正極性に帯電したトナーも少量ながら物理的に回収される。導電ブラシ31によって、導電ブラシ31に回収されることなく導電ブラシ31を通過したトナーの中には、負極性のトナーはほとんど存在しない。
【0071】
トナー帯電ローラ32は、中間転写ベルト20の移動方向において、導電ブラシ31よりも下流側、且つ、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aよりも上流側の第2の電圧印加部N4において中間転写ベルト20に接触するように配置されている。そして、トナー帯電ローラ32は、導電ブラシ31にて回収されなかった2次転写残トナーをトナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の所望の電荷量に帯電させる役割を持っている。
【0072】
本実施例では、トナー帯電ローラ32には、電圧印加手段としてのトナー帯電電源42が接続されており、このトナー帯電電源42から、所定の直流電圧が印加される。トナー帯電ローラ32に印加する電圧は、トナー帯電ローラ32の材料や画像形成装置100が使用される環境(温度、湿度)などによって異なる。例えば、温度23℃、湿度50%のNN環境下においては、画像形成動作中にトナー帯電ローラ32には+800Vの電圧が印加される。
【0073】
トナー帯電ローラ32に正極性の電圧を印加することで、中間転写ベルト20上のトナーを一様に正極性に帯電させることができる。中間転写ベルト20上の正極性に帯電したトナーは、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aへと進み、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aの作用により、中間転写ベルト20から第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに転写される。このとき、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aには、正極性の1次転写バイアスが印加される。その後、第1の画像形成部1aにおいて、感光ドラム2aに転写されたトナーは、ドラムクリーニング装置6aにより回収される。
【0074】
導電ブラシ31において回収、保持されたトナーは、画像形成枚数が増加するにつれて蓄積していく。回収したトナーの量が所定の量に達してしまうと、それ以上のトナーの回収、保持ができなくなり、2次転写残トナーのクリーニング性能が低下する。
【0075】
そこで、所定のタイミングで、導電ブラシ31が保持しているトナーを中間転写ベルト20に吐き出し(即ち、転移させ)、電電ブラシ31に蓄積したトナーの量を減少させる電圧印加部材清掃工程としての吐き出し工程を行う。
【0076】
吐き出し工程では、導電ブラシ31に、トナーの正規の帯電極性である負極性の直流電圧Vn2と、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の直流電圧Vp2とを交互に印加する。導電ブラシ31に負極性の直流電圧Vn2を印加すると、導電ブラシ31に保持されていた負極性に帯電したトナーが吐き出される。導電ブラシ31に正極性の直流電圧Vp2を印加すると、導電ブラシ31に保持されていた正極性に帯電したトナーが吐き出される。このように導電ブラシ31に印加する電圧の極性の切り替えを繰り返し行うことで、導電ブラシ31に蓄積したトナーは減少し、導電ブラシ31は再度トナーの回収、保持が良好に行えるようになる。本実施例では、Vn2=−800V、Vp2=+800Vである。
【0077】
吐き出し工程において導電ブラシ31から中間転写ベルト20上に転移した吐き出しトナーは、中間転写ベルト20と共に移動して、トナー帯電ローラ32に到達する。その際に、導電ブラシ31からの吐き出しトナーがトナー帯電ローラ32に付着して、トナー帯電ローラ32の表面が汚れるのを抑制するため、吐き出しトナーの極性と同極性の電圧をトナー帯電ローラ32に印加する。
【0078】
即ち、吐き出し工程において、導電ブラシ31からの吐き出しトナーのトナー帯電ローラ32への到達タイミングに合わせて、トナー帯電ローラ32には、トナー帯電電源42から、負極性の直流電圧Vn3と正極性の直流電圧Vp3とが交互に印加される。本実施例では、Vn3=−800V、Vp3=+800Vである。これにより、導電ブラシ31からの吐き出しトナーがトナー帯電ローラ32に付着して、トナー帯電ローラ32の表面が汚れるのを抑制することができる。
【0079】
尚、トナー帯電ローラ32は、導電ブラシ31からの吐き出しトナーが付着して、その表面が汚れるのを防止するために、中間転写ベルト20から離間させることで物理的に退避させても良い。図7は、トナー帯電ローラ32が中間転写ベルト20から離間した際の様子を示す。
【0080】
吐き出し工程は、実施例1と同様に、画像形成後の準備又は整理動作である後回転動作時など、記録材Pに転写して出力するための画像の形成をしていないタイミング(非画像形成時)で行う。又、本実施例では、吐き出し工程では、第1の画像形成部1aのドラムクリーニング装置6aのトナー収納容器に、吐き出しトナーを回収する。
【0081】
次に、吐き出し工程において導電ブラシ31に印加する電圧(吐き出し電圧)の極性の切り替えタイミングと、中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの位置との関係について説明する。図8は、吐き出し工程における吐き出し電圧の経時推移を示す。図8で説明するように、吐き出し電圧の経時推移は、実施例1と同様である。
【0082】
図9は、吐き出し工程の各時間における中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの位置の経時推移を示す。時間0秒のタイミングでは、導電ブラシ31の位置において、負極性の吐き出しトナーが中間転写ベルト20上へ転移する。時間0秒からT秒の間では、時間0秒のタイミングで吐き出された負極性の吐き出しトナーが、中間転写ベルト20上に保持されてS[mm/秒]×(T−0)[秒](=S×T[mm])の距離を移動している。時間T秒のタイミングでは、導電ブラシ31の位置において、新たに正極性の吐き出しトナーが中間転写ベルト20上へ転移する。ここで、上述のように、導電ブラシ31に保持されているトナーには、正極性に帯電したトナーも存在する。そのため、負極性に帯電した吐き出しトナーの量と比べると少ないものの、やはり正極性に帯電したトナーも吐き出される。時間T秒から2T秒の間では、時間T秒のタイミングで吐き出された正極性の吐き出しトナーが、中間転写ベルト20上に保持されてS[mm/秒]×(2T−T)[秒](=S×T[mm])の距離を移動している。時間2T秒のタイミングでは、導電ブラシ31の位置において、新たに負極性の吐き出しトナーが中間転写ベルト20上へ転移する。
【0083】
続いて、時間3T秒、4T秒及び5T秒のタイミング、並びに、時間2T秒から3T秒の間、3T秒から4T秒の間、4T秒から5T秒の間においても、上述と同様の動作が繰り返される。これにより、吐き出しトナーの移動と、導電ブラシ31から中間転写ベルト20への吐き出しトナーの転移が行われる。尚、前述のように、吐き出し電圧の極性の切り替えタイミングである、時間0秒、T秒、2T秒、3T秒、4T秒、5T秒のタイミングに導電ブラシ31から多くのトナーが中間転写ベルト20に吐き出される。しかし、当該切り替えタイミングの後の時間0秒からT秒、時間T秒から2T秒、時間2T秒から3T秒、時間3T秒から4T秒、時間4T秒から5T秒の間の吐き出し電圧の印加中にも若干のトナーが吐き出される。
【0084】
次に、吐き出しトナーを良好に回収することができる1次転写部の位置関係について説明する。尚、本実施例では、第1の電圧印加部N3の位置は、導電ブラシ31と中間転写ベルト20とが接触する領域の中間転写ベルト20の移動方向下流側端部の位置で代表する。本実施例では、1次転写部N1の位置は、1次転写部N1における感光ドラム2と中間転写ベルト20とが接触する領域の中間転写ベルト20の移動方向中央の位置で代表する。
【0085】
図10は、図9と同様の図に、第1の画像形成部1aの感光ドラム1aに吐き出しトナーを回収することが可能となる1次転写部N1aの位置関係を示したものである。
【0086】
図10において、時間2T秒のタイミングにおける中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナーの先端位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、第1の電圧印加部N3の位置(下流側端部の位置)を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×2T[mm]の位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。時間2T秒から3T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、導電ブラシ31と共通の電源40により負極性の電圧が印加されている。又、中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナー(時間0秒のタイミング、及び時間0秒からT秒の間に吐き出されたもの)の長さはS×T[mm]である。従って、ちょうど時間2T秒から3T秒の間の1次転写ローラ5aへの負極性の電圧の印加時間において、その負極性の吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収することが可能である。時間3T秒から4T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、導電ブラシ31と共通の電源40により正極性の電圧が印加されている。又、中間転写ベルト20上の正極性の吐き出しトナー(時間T秒のタイミング、及び時間T秒から2T秒の間に吐き出されたもの)の長さはS×T[mm]である。従って、ちょうど時間3T秒から4T秒の間の1次転写ローラ5aへの正極性の電圧の印加時間において、その正極性の吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収することが可能である。
【0087】
その後、時間4T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到達した負極性の吐き出しトナーや、時間5T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到達した正極性の吐き出しトナーについても、同様に感光ドラム2aに回収可能である。
【0088】
本実施例においても、実施例1と同様に、吐き出しトナーを第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに回収するためには、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aの位置は、次の関係を満たすことが好ましいことが分かる。
(1)負極性の吐き出しトナーの先端が1次転写部N1aに到達する際に、1次転写ローラ5aに負極性の電圧が印加されており、逆に正極性の吐き出しトナーの先端が1次転写部N1aに到達する際に、1次転写ローラ5aに正極性の電圧が印加されていること。
(2)1次転写ローラ5aに印加されている負極性の電圧が正極性の電圧へ切り替え始められる前に、負極性の吐き出しトナーの後端が1次転写部N1aを抜けきっていること。又、逆に1次転写ローラ5aに印加されている正極性の電圧が負極性の電圧へ切り替え始められる前に、正極性の吐き出しトナーの後端が1次転写部N1aを抜けきっていること。
【0089】
よって、実施例1と同様に、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおける感光ドラム2aへの吐き出しトナーの良好な回収を可能とするためには、次の関係、
L≒S×(2×n×T) (ただしnは自然数) ・・・(5)
を満たすことが好ましい。即ち、次の関係、
T≒L/(S×2×n) (ただしnは自然数) ・・・(6)
を満たすことが好ましい。
【0090】
尚、第1の電圧印加部N3で中間転写ベルト20上に吐き出された負極性及び正極性の吐き出しトナーをいずれも第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに良好に回収するためには、2T<L/Sの関係を満たすことが必要である。
【0091】
前述のとおり、より詳細な吐き出しトナーの状態として、導電ブラシ31は吐き出し電圧の極性の切り替えのタイミングに多くトナーを吐き出しており、吐き出し電圧の極性の切り替え後の吐き出し電圧の印加中においても、若干のトナーを吐き出している。
【0092】
ところで、本実施例では、単位吐き出し時間T[秒]の間に吐き出された中間転写ベルト20上の吐き出しトナーの長さS×T[mm]と、導電ブラシ31の幅B[mm]との関係は、S×T>B(即ち、T>B/S)の関係となっている。そして、吐き出し電圧の極性の切り替えタイミングに多くのトナーが中間転写ベルト20に吐き出され、吐き出し電圧の極性の切り替え後の定常電流による吐き出しトナーの量は少ない。従って、実使用上問題ない場合には、所望により、吐き出し電圧の極性の切り替え後の定常電流による吐き出しトナーの回収をしないことを許容することができる。これにより、第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに吐き出しトナーを回収することが可能な1次転写部N1aの位置の範囲を更に広くすることができる。
【0093】
図11は、図10と同様の図において、吐き出し工程における各時間における中間転写ベルト20上の吐き出しトナーのより詳細な状態を示したものである。
【0094】
図11において、時間2T秒のタイミングにおける中間転写ベルト20上の負極性の吐き出しトナーの先端位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、第1の電圧印加部N3の位置(下流側端部の位置)を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×2T[mm]の位置に吐き出しトナーを回収する1次転写部N1aがある場合について考える。
【0095】
時間2T秒から3T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、導電ブラシ31と共通の電源40により負極性の電圧が印加されている。そのため、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおけるこの負極性の吐き出しトナーの回収は可能である。その後、時間4T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到着した負極性の吐き出しトナーや、5T秒のタイミングに1次転写部N1aへ先端が到達した正極性の吐き出しトナーについても、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて回収可能である。次に、図11において、時間3T秒のタイミングにおける先頭の負極性の吐き出しトナーの領域のうち、ほぼ導電ブラシ31の幅(中間転写ベルト20の搬送方向における幅)で吐き出された領域の後端位置に、1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、第1の電圧印加部N3の位置(下流側端部の位置)を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×3T−B[mm]の位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。時間2T秒から3T秒の間は、1次転写部N1aの1次転写ローラ5aには、導電性ブラシ31と共通の電源40により負極性の電圧が印加されている。そのため、ちょうど時間3Tのタイミングに、導電ブラシ31の幅分の負極性の吐き出しトナーの後端部分の吐き出しトナーを回収しきった状態である。従って、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて、中間転写ベルト20上の吐き出しトナーのうちトナーの量の多い部分を回収することは可能である。
【0096】
その後、時間4T秒のタイミングにトナーの量が多い部分の後端部分が第1の画像形成部1aの1次転写部N1aを抜けきった正極性の吐き出しトナーについても、同様に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて回収可能である。又、時間5T秒のタイミングにトナーの量の多い部分の後端部分が第1の画像形成部1aの1次転写部N1aを抜けきった負極性の吐き出しトナーについても、同様に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて回収可能である。
【0097】
つまり、次の関係、
S×2T≦L≦S×3T−B
を満たす場合には、少なくとも導電ブラシ31の幅に対応するトナーの量の多い吐き出しトナーの部分は、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに回収することが可能である。即ち、少なくとも導電ブラシ31の幅に対応する部分の負極性の吐き出しトナーが1次転写部N1aを通過する時に、1次転写部N1aには負極性の電圧が印加されている。又、少なくとも導電ブラシ31の幅に対応する部分の正極性の吐き出しトナーが1次転写部N1aを通過する時に、1次転写部N1aには正極性の電圧が印加されている。そのため、これらのトナーを第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに回収することが可能である。
【0098】
次に、図11において、時間5T秒のタイミングにおける先頭の負極性の吐き出しトナーの領域のうち、ほぼ導電ブラシ31の幅(中間転写ベルト20の搬送方向における幅)で吐き出された領域の後端位置に、1次転写部N1aがある場合について考える。即ち、第1の電圧印加部N3の位置(下流側端部の位置)を基準位置(0mm)として、中間転写ベルト20の移動方向にS×5T−B[mm]の位置に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aがある場合について考える。
【0099】
図11から分かるように、この場合、次の関係、
S×4T≦L≦S×5T−B
を満たす場合にも、少なくとも導電ブラシ31の幅に対応するトナーの量の多い吐き出しトナーの部分は、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに回収することが可能である。
【0100】
以上より、次の関係を満たす場合に、少なくとも導電ブラシ31の幅に対応するトナーの量の多い吐き出しトナーの部分を、第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに回収することが可能であることが分かる。
S×2×n×T≦L≦S×(2×n+1)T−B ・・・(7)
(ただしnは自然数)
【0101】
即ち、ある決まった距離L[mm]の下では、単位吐き出し時間Tが、次の関係、
L/(S×2×n)≧T≧(L+B)/(S×(2n+1)) ・・・(8)
(ただしnは自然数)
を満たす場合に、吐き出しトナーを許容し得る程度に十分に第1の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aへ回収することが可能である。
【0102】
本実施例では、導電ブラシ31からの吐き出しトナーを第1の画像形成部1aのドラムクリーニング装置6aに回収しており、第1の電圧印加部N3(下流側端部)から1次転写部N1aまでの中間転写ベルト20の移動距離Lは100mmとなっている。上述のとおり、中間転写ベルト20の移動速度Sは100mm/秒、中間転写ベルト20の移動方向における導電ブラシ31の幅(中間転写ベルト20と導電ブラシ31との接触部(第1の電圧印加部N3)の幅)Bは5mmである。そのため、上記式(8)より、次の関係、
0.5/n≧T≧1.05/(2n+1)
(ただしnは自然数)
を満たせばよい。
【0103】
ここで、本発明の効果を最大限に得るためには、吐き出し電圧の極性の切り替え後の吐き出しトナーも回収できる条件とすることがより好ましい。
【0104】
具体的には、上記式(6)より、単位吐き出し時間Tとしては、
L/(S×2×n)
により近い時間を選択することが好ましい。
【0105】
本実施例の画像形成装置100の制御態様は、実施例1と同様であるが、本実施例では、制御部50のCPU51は、導電ブラシ31及び1次転写ローラ5a〜5dに電圧を印加する電源40の出力を制御する。又、本実施例では、制御部50のCPU51は、トナー帯電ローラ32に電圧を印加するトナー帯電電源42の出力の制御も行う。更に、吐き出し工程においてトナー帯電ローラ32を中間転写ベルト20から離間させる構成を採る場合には、制御部50のCPU51は、当該離間機構の動作の制御も行う。
【0106】
以上、本実施例では、吐き出し工程において、電源40は、第1の時間帯において導電ブラシ31に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aに到達する前に印加する電圧の極性を第2の極性から第1の極性に切り替える。又、吐き出し工程において、電源40は、第2の時間帯において導電ブラシ31に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aに到達する前に印加する電圧の極性を第1の極性から第2の極性に切り替える。
【0107】
好ましくは、吐き出し工程において、電源40は、第1の時間帯において導電ブラシ31に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aを通過するまで第1の極性の電圧を印加し続ける。又、好ましくは、吐き出し工程において、電源40は、第2の時間帯において導電ブラシ31に接触していた中間転写ベルト20の領域が1次転写部N1aを通過するまで第2の極性の電圧を印加し続ける。
【0108】
これにより、導電ブラシ31からの吐き出しトナーを所定の画像形成部1aの1次転写部N1aにおいて感光ドラム2aに良好に回収し、吐き出しトナーに起因するクリーニング不良画像や記録材Pの裏汚れの発生を抑制することができる。
【0109】
実施例3
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本構成及び動作は実施例2のものと同じであり、吐き出しトナーの回収先の画像形成部を選択できる点が異なる。従って、実施例2のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0110】
本実施例では、導電ブラシ31からの吐き出しトナーを任意の画像形成部1a〜1dにおいて回収できるようにする。これにより、本実施例では、特定の画像形成部のドラムクリーニング装置のトナー収納容器に吐き出しトナーが多く回収されることを抑制することができる。
【0111】
そこで、本実施例では、各画像形成部1のドラムクリーニング装置6のトナー収納容器内のトナー量を監視し、よりトナー量の少ない画像形成部1において吐き出しトナーを選択的に回収する。これにより、特定の画像形成部1のドラムクリーニング装置6のトナー収納容器(又はトナー収納容器が一体とされたカートリッジ)の交換頻度が上昇するのを抑制することができる。以下、更に詳しく説明する。
【0112】
次に、導電ブラシ31から吐き出したトナーを任意の画像形成部1において選択的に回収する方法について説明する。
【0113】
本実施例では、吐き出しトナーを回収させたくない画像形成部1の1次転写ローラ5を中間転写ベルト20から離間させる。即ち、中間転写ベルト20の移動方向において吐き出しトナーを回収する画像形成部1よりも上流側に位置する画像形成部1の1次転写ローラ5を中間転写ベルト20から離間させる。これによって、その離間した1次転写ローラ5によって当該画像形成部1の感光ドラム2に向けて押圧されていた中間転写ベルト20がその感光ドラム2から離間する。
【0114】
具体的には、例えば、1次転写ローラ5の回転軸方向両端部の軸受け部材を、カム、ソレノイドなどの適当な移動手段によって移動させることができる。これにより、1次転写ローラ5を中間転写ベルト20に当接する位置と離間した位置との間で択一的に移動させることができる。本実施例では、第1〜第3の画像形成部1a〜1cの1次転写部5a〜5dを中間転写ベルト20から離間させることができるようになっている。
【0115】
図12は、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aが中間転写ベルト20から離間した際の様子を示す。第1の画像形成部1において、1次転写ローラ5aが中間転写ベルト20から離間するのに伴って、中間転写ベルト20も感光ドラム2aから離間し、中間転写ベルト20から感光ドラム2aにトナーを転写することはできなくなる。これによって、吐き出しトナーが第1の画像形成部1aにおいて回収されないようにすることができる。
【0116】
第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aのみが中間転写ベルト20から離間していると、吐き出しトナーは第1の画像形成部1aにおいて回収されることなく、中間転写ベルト20上に担持されたまま搬送される。そして、中間転写ベルト20の移動方向において第1の画像形成部1aより下流側にある第2の画像形成部1bにおいて回収される。同様にして、第1、第2の画像形成部1a、1bの1次転写ローラ5a、5bが中間転写ベルト20から離間していると、吐き出しトナーは第2の画像形成部1bよりも下流側にある第3の画像形成部1cにおいて回収される。又、第1、第2、第3の画像形成部1a、1b、1cの1次転写ローラ5a、5b、5cが中間転写ベルト20から離間していると、吐き出しトナーは第3の画像形成部1cよりも下流側にある第4の画像形成部1dにおいて回収される。第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aを中間転写ベルト20から離間させなければ、吐き出しトナーは第1の画像形成部1aにおいて回収される。
【0117】
このようにして、吐き出したトナーを任意の画像形成部1のベルトクリーニング装置6のトナー収納容器に選択的に回収することができる。このとき、吐き出しトナーを許容し得る程度に十分に回収するためには、実施例2と同様に、吐き出しトナーを回収したい任意の画像形成部1について、式(7)又は(8)の関係を満たす必要がある。尚、吐き出しトナーをより良好に回収するためには、実施例2と同様に、吐き出しトナーを回収したい任意の画像形成部1について、式(5)又は(6)の関係を満たすことが好ましい。本実施例は、式(5)、(6)、(7)、(8)中のL[mm]は、第1の電圧印加部N3(下流側端部)から吐き出しトナーを回収する画像形成部1の1次転写部N1までの中間転写ベルト20の移動距離である。
【0118】
本実施例では、実施例2と同様に、中間転写ベルト20の移動方向における導電ブラシ31の幅Bは5mmであり、中間転写ベルト20の移動速度Sは100mm/秒である。そして、本実施例では、単位吐き出し時間Tは0.45秒である。従って、式(7)より、次の各関係が成立する。
90×n≦L≦45×(2n+1)−5(nは自然数)
90≦L≦130(n=1のとき)
180≦L≦220(n=2のとき)
270≦L≦310(n=3のとき)
360≦L≦400(n=4のとき)
【0119】
本実施例では、第1の画像形成部1aについてL=100mmである。又、第2の画像形成部1bについてL=190mmである。又、第3の画像形成部1cについてL=280mmである。又、第4の画像形成部1dについてL=370mmである。従って、いずれの画像形成部1a〜1dについても、距離L[mm]は式(7)を満たしている。そのため、いずれの画像形成部1a〜1dにおいても吐き出しトナーを回収することが可能である。
【0120】
本実施例の画像形成装置100の制御態様は、実施例2と同様であり、説明を省略する。
【0121】
図13は、吐き出し工程における1次転写ローラ5を離間させる動作の制御のフローの一例を示す。CPU51は、吐き出し工程を開始すると、第1〜第4の画像形成部1a〜1dのドラムクリーニング装置6a〜6dのトナー収納容器内のトナー量を検知する(S101)。トナー収納容器内のトナー量は、トナー収納容器内のトナー量を検出することのできる任意のトナー量検出手段を用いて検知することができる。例えば、光学式、静電容量検知式、圧電式のトナー量検出手段が斯界にて周知である。CPU51は、読み込んだ各トナー収納容器内のトナー量を比較して、第4の画像形成部1dのトナー収納容器内のトナー量が最少であるか判断する(S102)。CPU51は、第4の画像形成部1dが最少であると判断した場合は、第4の画像形成部1dにおいて吐き出しトナーを回収することを決定し、第1〜第3の画像形成部1a〜1cの1次転写ローラ5a〜5cを離間させる(S103)。同様に、CPU51は、第3の画像形成部1cが最少であると判断した場合は(S104)、第3の画像形成部1cにおいて吐き出しトナーを回収することを決定し、第1、第2の画像形成部1a、1bの1次転写ローラ5a、5bを離間させる(S105)。同様に、CPU51は、第2の画像形成部1bが最少であると判断した場合は(S106)、第2の画像形成部1bにおいて吐き出しトナーを回収することを決定し、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aを離間させる(S105)。そして、CPU41は、第2〜第4の画像形成部1b〜1dのトナー収納容器内のトナー量がいずれも最少でない場合、第1の画像形成部1aで吐き出しトナーを回収することを決定する(S108)。この場合、第1〜第3の画像形成部1a〜1cのいずれにおいても1次転写ローラ5a〜5cの離間動作は行わない。
【0122】
以上、本実施例では、実施例1、2と同様の効果を奏し得ると共に、吐き出しトナーを任意の画像形成部1において回収できることによって、特定の画像形成部1のトナー収納容器のみトナーの回収量が多くなることを抑制することができる。
【0123】
実施例4
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。実施例1〜3では、本発明をタンデム型の画像形成装置に適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所謂、4サイクル型の画像形成装置にも適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0124】
図14は、本実施例の画像形成装置の概略断面を示す。本実施例の画像形成装置は、電子写真方式を利用してフルカラー画像を形成することのできる中間転写方式を採用した4サイクル型のフルカラープリンタである。
【0125】
尚、実施例1〜3の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する構成や機能を有する要素には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0126】
本実施例の画像形成装置100は、単一の画像形成部1を有し、この画像形成部1には、感光ドラム2、帯電ローラ3、回転現像装置4、1次転写ローラ5、ドラムクリーニング装置6が設けられている。回転現像装置4は、回転可能な支持体(回転体)に装着された第1、第2、第3、第4の現像装置4a、4b、4c、4dを有する。各現像装置4a、4b、4c、4dは、それぞれ現像剤としてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを収容している。そして、支持体が図示矢印R4方向に回転することで、現像に用いるいずれかの現像装置4a〜4dを、感光ドラム1と対向する現像位置に配置させることができるようになっている。
【0127】
例えば、フルカラー画像の形成時には、先ず、感光ドラム1上にイエローの画像情報に応じた静電潜像が形成され、この静電潜像は第1の現像装置1aを用いて現像される。感光ドラム1上に形成されたイエローのトナー像は、1次転写部N1において中間転写ベルト20に転写される。その後、同様にして、感光ドラム1上にマゼンタ、シアン、ブラックの画像情報に応じた静電潜像が形成される毎に、各静電潜像はそれぞれ第2、第3、第4の現像装置4b、4c、4dを用いて現像される。又、感光ドラム1上にマゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が形成される毎に、各トナー像は1次転写部N1において、中間転写ベルト20に既に転写されているトナー像に重ね合わせて転写される。中間転写ベルト20は、トナー像が1次転写される毎に、次の色のトナー像の1次転写のために1周する。そして、中間転写ベルト20上に4色のトナー像が1次転写されると、そのトナー像は、次いで2次転写部N2において記録材Pに一括して2次転写される。
【0128】
2次転写後に中間転写ベルト20上に残った2次転写残トナーは、ベルトクリーニング装置30によってクリーニングされる。ベルトクリーニング装置30の構成及び動作は実質的に実施例2と同じである。但し、本実施例では、中間転写ベルト20に1次転写されたトナー像が第1、第2の電圧印加部N3、N4を通過する際には、導電ブラシ31、トナー帯電ローラ32は、中間転写ベルト20から離間される。導電ブラシ31、トナー帯電ローラ32は、実施例2においてトナー帯電ローラ32を離間させる場合と同様の離間機構により、中間転写ベルト20から離間させることができる。本実施例では、実施例2と同様に、クリーニング装置30内の導電ブラシ31には、1次転写ローラ5と共通の電源40が接続されており、所定の直流電圧が印加されるようになっている。
【0129】
本実施例の画像形成装置100においても、吐き出しトナーを許容し得る程度に十分に回収するためには、実施例2と同様に、式(7)又は(8)の関係を満たす必要がある。尚、吐き出しトナーをより良好に回収するためには、実施例2と同様に、式(5)又は(6)の関係を満たすことが好ましい。本実施例は、式(5)、(6)、(7)、(8)中のL[mm]は、第1の電圧印加部N3(下流側端部)から単一の画像形成部1の1次転写部N1までの中間転写ベルト20の移動距離である。
【0130】
本実施例では、第1の電圧印加部N3(下流側端部)から1次転写部N1までの中間転写ベルト20の移動距離Lは100mmである。又、本実施例では、実施例2と同様に、中間転写ベルト20の移動速度Sは100mm/秒であり、中間転写ベルト20の移動方向における導電ブラシ31の幅Bは5mmである。そして、本実施例では、単位吐き出し時間Tは0.5秒である。従って、本実施例の画像形成装置100は、式(8)、更には式(6)の関係を満たすため、吐き出しトナーを1次転写部N1において感光ドラム2に良好に回収することが可能である。
【0131】
尚、本実施例では、ベルトクリーニング装置30が実施例2と同様に導電ブラシ31とトナー帯電ローラ32を有する場合を例に説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ベルトクリーニング装置30は、実施例1と同様にトナー帯電ローラ32のみを有するものであってもよい。この場合、吐き出しトナーを許容し得る程度に十分に回収するためには、実施例1と同様に、式(1)又は(2)の関係を満たす必要がある。又、この場合、吐き出しトナーをより良好に回収するためには、実施例1と同様に、式(3)又は(4)の関係を満たすことが好ましい。
【0132】
以上のように、本発明は4サイクル型の画像形成装置にも適用することができ、タンデム型の画像形成装置の場合と同様の効果を奏し得る。
【符号の説明】
【0133】
1 画像形成部
2 感光ドラム(像担持体)
5 1次転写ローラ、転写ローラ
6 ドラムクリーニング装置
11 吸着ローラ(電圧印加部材)
20 中間転写ベルト(移動体)
30 ベルトクリーニング装置
31 導電ブラシ(電圧印加部材)
32 トナー帯電ローラ(電圧印加部材)
40 共通の電源
P 記録材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、転写部において前記像担持体からトナー像が転写される移動体と、前記像担持体から前記移動体にトナー像を転写するために電圧が印加される転写部材と、前記移動体の移動方向において前記転写部よりも上流側の接触部で前記移動体に接触するとともに電圧が印加される電圧印加部材と、前記転写部材及び前記電圧印加部材に電圧を印加する共通の電源と、を有し、
前記電源により前記電圧印加部材及び前記転写部材に正極性又は負極性である第1の極性の電圧を第1の時間帯にわたり印加する動作と、前記電源により前記電圧印加部材及び前記転写部材に前記第1の極性とは逆極極性である第2の極性の電圧を第2の時間帯にわたり印加する動作とを、前記移動体を移動させながら交互に繰り返すことで、前記接触部において前記電圧印加部材から前記移動体にトナーを転移させ、そのトナーを前記転写部において前記移動体から前記像担持体に転移させる電圧印加部材清掃工程を行う画像形成装置であって、
前記電圧印加部材清掃工程において、前記電源は、前記第1の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部に到達する前に前記電圧印加部材及び前記転写部材に印加する電圧の極性を前記第2の極性から前記第1の極性に切り替えるとともに、前記第2の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部に到達する前に前記電圧印加部材及び前記転写部材に印加する電圧の極性を前記第1の極性から前記第2の極性に切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電圧印加部材清掃工程において、前記電源は、前記第1の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部を通過するまで前記電圧印加部材及び前記転写部材に前記第1の極性の電圧を印加し続け、前記第2の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部を通過するまで前記電圧印加部材及び前記転写部材に前記第2の極性の電圧を印加し続けることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電圧印加部材は前記移動体に接触しながら回転するローラであり、該ローラの半径をR[mm]、前記接触部から前記転写部までの前記移動体の移動距離をL[mm]、前記第1、第2の時間帯の長さをそれぞれT[秒]、前記移動体の移動速度をS[mm/秒]としたとき、次の関係、
T>2πR/S、及び
L/(S×2×n)≧T≧(L+2πR)/(S×(2n+1)) (ただしnは自然数)
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電圧印加部材は前記移動体を摺擦するブラシであり、前記移動体の移動方向における前記ブラシと前記移動体との前記接触部の幅をB[mm]、前記接触部の前記移動方向の下流側端部から前記転写部までの前記移動体の移動距離をL[mm]、前記第1、第2の時間帯の長さをそれぞれT[秒]、前記移動体の移動速度をS[mm/秒]としたとき、次の関係、
T>B/S、及び
L/(S×2×n)≧T≧(L+B)/(S×(2n+1)) (ただしnは自然数)
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
次の関係、
T≒L/(S×2×n) (ただしnは自然数)
を満たすことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記移動体は前記像担持体から1次転写されたトナー像を記録材に2次転写するために担持する中間転写体であり、前記電圧印加部材は前記2次転写後に前記中間転写体に残留したトナーを帯電させるトナー帯電部材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、転写部において前記像担持体からトナー像が転写される移動体と、前記像担持体から前記移動体にトナー像を転写するために電圧が印加される転写部材と、前記移動体の移動方向において前記転写部よりも上流側の接触部で前記移動体に接触するとともに電圧が印加される電圧印加部材と、前記転写部材及び前記電圧印加部材に電圧を印加する共通の電源と、を有し、
前記電源により前記電圧印加部材及び前記転写部材に正極性又は負極性である第1の極性の電圧を第1の時間帯にわたり印加する動作と、前記電源により前記電圧印加部材及び前記転写部材に前記第1の極性とは逆極極性である第2の極性の電圧を第2の時間帯にわたり印加する動作とを、前記移動体を移動させながら交互に繰り返すことで、前記接触部において前記電圧印加部材から前記移動体にトナーを転移させ、そのトナーを前記転写部において前記移動体から前記像担持体に転移させる電圧印加部材清掃工程を行う画像形成装置であって、
前記電圧印加部材清掃工程において、前記電源は、前記第1の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部に到達する前に前記電圧印加部材及び前記転写部材に印加する電圧の極性を前記第2の極性から前記第1の極性に切り替えるとともに、前記第2の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部に到達する前に前記電圧印加部材及び前記転写部材に印加する電圧の極性を前記第1の極性から前記第2の極性に切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電圧印加部材清掃工程において、前記電源は、前記第1の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部を通過するまで前記電圧印加部材及び前記転写部材に前記第1の極性の電圧を印加し続け、前記第2の時間帯において前記電圧印加部材に接触していた前記移動体の領域が前記転写部を通過するまで前記電圧印加部材及び前記転写部材に前記第2の極性の電圧を印加し続けることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電圧印加部材は前記移動体に接触しながら回転するローラであり、該ローラの半径をR[mm]、前記接触部から前記転写部までの前記移動体の移動距離をL[mm]、前記第1、第2の時間帯の長さをそれぞれT[秒]、前記移動体の移動速度をS[mm/秒]としたとき、次の関係、
T>2πR/S、及び
L/(S×2×n)≧T≧(L+2πR)/(S×(2n+1)) (ただしnは自然数)
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電圧印加部材は前記移動体を摺擦するブラシであり、前記移動体の移動方向における前記ブラシと前記移動体との前記接触部の幅をB[mm]、前記接触部の前記移動方向の下流側端部から前記転写部までの前記移動体の移動距離をL[mm]、前記第1、第2の時間帯の長さをそれぞれT[秒]、前記移動体の移動速度をS[mm/秒]としたとき、次の関係、
T>B/S、及び
L/(S×2×n)≧T≧(L+B)/(S×(2n+1)) (ただしnは自然数)
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
次の関係、
T≒L/(S×2×n) (ただしnは自然数)
を満たすことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記移動体は前記像担持体から1次転写されたトナー像を記録材に2次転写するために担持する中間転写体であり、前記電圧印加部材は前記2次転写後に前記中間転写体に残留したトナーを帯電させるトナー帯電部材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−158676(P2011−158676A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19801(P2010−19801)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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