説明

画像形成装置

【課題】
交換されるプロセスカートリッジの現像ローラの搬送量が異なる場合でも、その現像ローラの搬送量に相当する相当量に応じたプロセスカートリッジの交換時期をユーザに知らせることができる。
【解決手段】
RAM12bには、トナー搬送量検出部11bの濃度検出部85で検出されたパッチの反射濃度に基づいて、ROM12aに記憶されたパッチの反射濃度に応じたプロセスカートリッジ7の交換時期が記憶されており、表示部13は、使用中のプロセスカートリッジ7がRAM12bに記憶された交換時期に達したことを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等の記録媒体にトナー等により文字や画像を形成する、プリンタ、FAX、複写機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体ドラム上に形成された静電潜像を、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジによりトナー像として可視化することを行っている。
【0003】
このプロセスカートリッジには、一般的に、トナーを収容するトナー収容部と、トナー収容部から供給されるトナーを担持する現像ローラと、現像ローラ上のトナー層の厚さを規制する層厚規制ブレードと、現像ローラに対向して配置され、静電潜像が形成される感光体ドラムとが備えられている。
【0004】
トナー収容部から供給されるトナーは、現像ローラ上に搬送され、層厚規制ブレードとの接触により帯電され、静電潜像が形成された感光体ドラム上に付着する。また感光体ドラム上に付着しなかったトナーは、現像ローラ上からトナー収容部に戻される。そしてそのトナーは、再び現像に供される。
【0005】
用紙に対する画像形成の割合が少ない(用紙に対する画像比率が低い)ケースが続く場合は、感光体ドラムに付着しなかったトナーが、何度も層厚規制ブレードや感光体ドラムと接触する。すると、トナーに外添されるシリカなどの外添剤がトナーの母粒子の中に埋もれてしまいトナーの帯電性が低下するといった問題が起こる。いわゆるトナー劣化が起こる。
【0006】
このようにして、プロセスカートリッジ内に劣化したトナーが多くなると、帯電性の低いトナーが感光体ドラム上の非露光領域に付着してしまうことがある。これは、印刷時の用紙に対してカブリとなり印字品質の低下につながる。
【0007】
一方、トナー劣化の起こりやすさは、図9に示すように、プロセスカートリッジの現像ローラ上にトナーが搬送される量(以下、現像ローラのトナー搬送量)によって異なる。図9は、印刷枚数とトナーの帯電量との関係を説明する図である。
【0008】
例えば、現像ローラのトナー搬送量が低い場合は、印刷枚数が増加しても、層厚規制ブレードと摩擦するトナー量が少ないので、トナー劣化が起こりにくい。つまり、図7において、傾きが小さい。逆に、現像ローラのトナー搬送量が高い場合は、印刷枚数が増加すると、層厚規制ブレードと摩擦するトナー量が多いので、トナー劣化が起こりやすい。つまり、図7において、傾きが大きい。このように、現像ローラのトナー搬送量によりトナー劣化の起こりやすさが異なる。
【0009】
そして、この現像ローラのトナー搬送量を決める大きな要因としては、現像ローラの表面粗さ(光沢度)やトナー収容部に収容されているトナーの帯電性が考えられる。例えば、トナーの帯電性が高く、現像ローラの表面が粗い現像ローラのトナー搬送量は、トナーの帯電性が低く、現像ローラの表面が平坦な現像ローラのトナー搬送量より多い。
【0010】
このように、交換されるプロセスカートリッジの現像ローラのトナー搬送量がばらつくことでトナー劣化の起こりやすさが変わるため、例えば特許文献1では、カブリが発生しない所定の印刷枚数を設定し、トナーの残量に関わらず設定された所定枚数に達したら、ユーザにプロセスカートリッジの交換を促していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
特開2007−199514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記の画像形成装置では、図9に示すように、所定枚数を印刷枚数Aと設定しているため、現像ローラのトナー搬送量が少ないプロセスカートリッジが装着された場合でも、印刷枚数Aに達するとユーザにプロセスカートリッジの交換を促すことになる。つまり、この印刷枚数Aに達したプロセスカートリッジは、カブリが発生しない印刷枚数Bまで印刷可能であるにも関わらず、交換を促していた。そのため、ユーザは使用しているプロセスカートリッジが未だ印字品質上使用可能状態に有るにも関わらず新たなプロセスカートリッジに交換せざるを得ず、単位印字枚数当たりの費用を高める一因であった。
【0013】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ユーザがプロセスカートリッジの適正な交換時期を認識することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、感光体ドラムに形成された静電潜像を現像剤により現像する現像ローラを有するプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置であって、プロセスカートリッジが前記画像形成装置に装着されたとき、現像ローラによって現像剤が搬送される搬送量に相当する相当量を検出する検出手段と、現像ローラの搬送量に相当する相当量に応じたプロセスカートリッジの交換時期を記憶する第1記憶部と、前記検出手段により検出された相当量に基づいて、前記第1記憶部に記憶された現像ローラの搬送量に相当する相当量に応じたプロセスカートリッジの交換時期を記憶する第2記憶部と、使用中のプロセスカートリッジが前記第2記憶部に記憶された交換時期に達したことを報知する報知手段と、を有することを特徴としている。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記検出手段は、感光体ドラムに付着する現像剤の量が飽和する最大現像バイアス値を印加する現像バイアス印加手段と、前記現像バイアス印加手段により最大現像バイアス値を印加して、現像剤による濃度検知用パッチを形成するパッチ形成手段と、前記パッチ形成手段により形成されたパッチの濃度を検出する濃度検出手段と、
を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、第2記憶部は、検出手段により検出された相当量に基づいて、第1記憶部に記憶された現像ローラの搬送量に相当する相当量に応じたプロセスカートリッジの交換時期を記憶するとともに、報知手段は、ユーザに使用中のプロセスカートリッジが第2記憶部に記憶された交換時期に達したことを報知することになるので、交換されるプロセスカートリッジの現像ローラの搬送量が異なる場合でも、その現像ローラの搬送量に相当する相当量に応じたプロセスカートリッジの交換時期をユーザに知らせることができる。これにより、ユーザはプロセスカートリッジの適正な交換時期を認識することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、検出手段は、現像ローラに最大現像バイアス値を印加してパッチを形成し、そのパッチの濃度を検出する濃度検出部を有しているので、パッチの濃度を検出することで現像剤搬送量を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】レーザプリンタの概略構成を示す側断面図
【図2】ユニット本体を取り外した状態のレーザプリンタを示す側断面図
【図3】制御装置の構成を示すブロック図
【図4】パッチの反射濃度と現像バイアス値の関係を説明する説明図
【図5】現像ローラのトナー搬送量が異なるプロセスカートリッジにおける、パッチの反射濃度と現像バイアス値との関係を説明する説明図
【図6】新品のプロセスカートリッジが装着された際に、装着されたプロセスカートリッジの印刷可能枚数を決定する処理手順を示すフローチャート
【図7】レーザプリンタが画像形成処理に伴って表示部にプロセスカートリッジの交換時期を表示するまでを示すフローチャート
【図8】パッチの反射濃度と印刷可能枚数の関係を説明する説明図
【図9】印刷枚数とトナーの帯電量との関係を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔レーザプリンタの全体構成〕
図1は、本実施形態の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1の概略構成を示す側断面図である。
【0020】
このレーザプリンタは、図1に示すように、本体筐体2を備え、本体筐体2内において、用紙を画像形成部4へ供給する給紙部3と、給紙された用紙に画像を形成する画像形成部4と、画像が形成された用紙を排紙する排紙部5と、レーザプリンタの動作を制御する制御装置10(図3参照)と、をさらに備えている。
【0021】
なお、以下の説明において、特に断りがない限り図1に示した上下方向を上下、図1における右側を前、左側を後、紙面の奥側を右、紙面の手前側を左として、各方向を示す。ここでの方向は、レーザプリンタ1の手前に立った者から見た方向を基準として規定してある。
【0022】
本体筐体2には、図1に示すように、開口を開閉可能なカバー21が設けられている。
【0023】
このカバー21は、その下端部に設けられたカバー軸(図示せず)に回動自在に支持されている。カバー21を閉じると(閉状態)、図1に示すように、カバー21によって開口22が閉鎖される。またカバー21を開けると(開状態)、図2に示すように、開口22が開放される。ユーザは、この開口22から後述する各色のプロセスカートリッジ7が装着されたユニット本体61を着脱させることができる。
【0024】
(1)給紙部
給紙部3は、本体筐体2内の下方において、用紙を収納する給紙トレイ31と、給紙ローラ32、給紙パット33、およびレジストローラ34を備えている。
【0025】
このように構成された給紙部3では、給紙トレイ31から用紙が一枚ずつ分離されて画像形成部4へ送られる。
【0026】
(2)画像形成部
画像形成部4は、露光部41と、プロセス部6と、転写部8と、定着部9を備えている。
【0027】
(2−1)露光部
露光部41は、本体筐体2内の上部に設けられ、レーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡(図示せず)を備えている。
【0028】
このように構成された露光部41では、所定の画像データに基づいてレーザ光源から発光されるレーザ光が、ポリゴンミラーで左右方向に高速で走査され、レンズおよび反射鏡を通過または反射した後、感光体ドラム62に照射される。
【0029】
(2−2)プロセス部
プロセス部6は、露光部41の下方であって、給紙部3の上方に配置されている。プロセス部6は、ユニット本体61と、ユニット本体61に装着された各色のトナーが入ったプロセスカートリッジ7とを備えている。
【0030】
ユニット本体61は、前側から後側に並べて配置され、各色のプロセスカートリッジ7に対応する4つのドラムサブユニットを有している。
【0031】
各ドラムサブユニットは、感光体ドラム62、スコロトロン型帯電器63および後述する新品検知部の検知部材(図示せず)などを備えている。
【0032】
プロセスカートリッジ7は、カートリッジフレーム71を備え、カートリッジフレーム71に回転可能に支持される現像ローラ72と、トナーを現像ローラ72に供給する供給ローラ73と、現像ローラ72上のトナーの厚さを規制する層厚規制ブレード74と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容部75とを備えている。
【0033】
現像ローラ72は、金属製のローラ軸と、ローラ軸を導電性のゴム材料で被覆する被覆部とを有している。被覆部は、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなる表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。
【0034】
供給ローラ73は、金属性のローラ軸と、ローラ軸を導電性の発泡材料で被覆する被覆部とを有している。
【0035】
層厚規制ブレード74は、現像ローラ72の近傍に配置されている。層厚規制ブレード74は、上端がカートリッジフレーム71に固定される金属製の板バネ部材と、板バネ部材の下端部に設けられ、板バネ部材の弾性力によって現像ローラ72の表面を押圧する押圧部とを備えている。
【0036】
トナー収容部75には、現像剤として、電気絶縁性を有する正帯電の非磁性1成分のトナーが充填されている。また、トナー収容部75には、トナー収容部75内のトナーを攪拌するためのアジテータ76が設けられている。
【0037】
このように構成されたプロセス部6では、感光体ドラム62の表面が帯電器63により一様に帯電され、帯電された感光体ドラム62の表面がレーザ光の走査によって露光され、露光された部分の電位が下がることにより、感光体ドラム62の表面に静電潜像が形成される。
【0038】
一方、トナー収容部75のトナーが供給ローラ73により現像ローラ72上に供給され、供給ローラ73と現像ローラ72との間で摩擦帯電される。そして、現像ローラ72上に供給されたトナーは、現像ローラ72の回転に伴って、層厚規制ブレード74と現像ローラ72との間に進入し、さらに摩擦帯電されつつ、一定の厚さの薄層として現像ローラ72上に担持される。
【0039】
そして、プロセスカートリッジ7から供給されたトナーが、感光体ドラム62の露光された部分に保持されることにより、感光体ドラム62の表面にトナー像が形成される。
【0040】
(2−3)転写部
転写部8は、給紙部3の上方であって、プロセス部6の下方に配置されている。転写部8は、駆動ローラ81、従動ローラ82、用紙を定着部9へ搬送する搬送ベルト83および転写ローラ84を備えている。
【0041】
駆動ローラ81及び従動ローラ82は、離間して平行に配置され、これらの間に無端状の搬送ベルト83が張り渡されている。搬送ベルト83は、その外側の面が各感光体ドラム62に接している。また、搬送ベルト83の内側には、各感光体ドラム62との間で搬送ベルト83を狭持する4つの転写ローラ84が配置されている。この転写ローラ84には、各感光体ドラム62上のトナー像を用紙に転写するために、転写バイアスが印加される。
【0042】
このように構成された転写部8では、画像形成時に搬送ベルト83により搬送されてきた用紙が、感光体ドラム62と搬送ベルト83の内側に配置される転写ローラ84との間を搬送される。そして、感光体ドラム62上に狭持されたトナー像が用紙に転写される。
【0043】
(2−4)定着部
定着部9は、プロセスカートリッジ7に対して後側に配置され、熱源により加熱される加熱ローラ91および加熱ローラ91に圧接する加圧ローラ92を備えている。
【0044】
このように構成された定着部9では、用紙が加熱ローラ91と加圧ローラ92との間を通過することにより、用紙上のトナー像が用紙に熱定着される。
【0045】
(3)排紙部
排紙部5は、定着部9を通過した用紙を搬送するための排紙ローラ51と、排紙ローラ51より搬送された用紙を蓄積する排紙トレイ52とを備えている。
【0046】
このように構成された排紙部5では、定着部9でトナー像が定着された用紙が、排紙ローラ51によって搬送されて排紙トレイ52上に排紙される。
【0047】
〔電気的構成〕
次に、制御装置10の構成について、図3を用いて説明をする。
【0048】
制御装置10は、制御部11と、記憶部12とを有している。
【0049】
制御部11は、画像形成部4と、ユーザにプロセスカートリッジ7の交換時期であることを表示する報知手段の一例としての表示部13と、ユニット本体61の着脱を検知する着脱検知部14と、ユニット本体61に装着されたプロセスカートリッジ7が新品(未使用)であるかを検知する新品検知部15とが電気的に接続されている。また制御部11は、CUP11aと、検出手段の一例としてのトナー搬送量検出部11bと、現像ローラ72に印加する現像バイアスを制御する現像バイアス印加手段の一例としての現像バイアス制御部11cと、搬送ベルト上にパッチを形成するパッチ形成手段の一例としてのパッチ形成部11dと、パッチの濃度を検出するための濃度検出手段の一例としての濃度検出部85と、を有している。
【0050】
着脱検知部14は、発光部と受光部とを備える光センサ(図示せず)により構成されている。発光部および受光部は、本体筐体2内に設けられ、ユニット本体61を介して互いに対向するように配置されている。着脱検知部14は、光センサのON、OFFにより、ユニット本体61が本体筐体2に着脱されたかどうかを検知する。
【0051】
新品検知部15は、後述する記憶部に記憶された累積印刷枚数をリセットするか否かの判断をするため、ユニット本体61に装着されたプロセスカートリッジ7が新品か否かを検知している。
【0052】
本体筐体2の側壁には、新品検知部15の一部を構成する新品検知センサ(図示せず)が設けられている。この新品検知センサは、光センサを有している。
【0053】
具体的には、本体筐体2にユニット本体61が装着される前は、新品検知センサはONの状態である。そして、新品のプロセスカートリッジ7を有するユニット本体61が本体筐体2に装着されると、プロセスカートリッジ7に設けられた駆動ギア(図示せず)が、新品のプロセスカートリッジ7に対応したドラムサブユニットの側壁に設けられた検知部材を回動させ、検知部材が光センサの光を遮断する。また、新品でないプロセスカートリッジ7に設けられた駆動ギアは、検知部材を回動させないため、光センサはONの状態である。このように新品検知部15は、光センサのON,OFFによりユニット本体61に装着されたプロセスカートリッジ7が新品か否かを判断する。
【0054】
現像バイアス制御部11cは、用紙に画像を形成するときには、後述する最大現像バイアス値よりも低い現像バイアス値を印加し、トナー搬送量を検出するときには、最大現像バイアス値を印加するように制御する。
【0055】
パッチ形成部11dは、トナー像の濃度を検出して、用紙に適正な濃度を印字する画像形成条件に補正する際や色ずれを検出してその色ずれを補正する際に使用されるパッチを形成するとともに、トナー搬送量の検出に使用されるパッチも形成する。
【0056】
濃度検出部85は、図1に示すように、従動ローラ82に対して搬送ベルト83を挟んで対向する位置(従動ローラの斜め下方の位置)に配置されている。濃度検出部85は、パッチ形成部11dにより形成されたパッチの反射濃度を検出するための濃度センサを有している。濃度センサは、半導体レーザなどの発光素子と、発光素子から出射され、パッチの表面または搬送ベルトの表面で反射されたレーザ光を受光する受光素子とを有している。濃度検出部85は、パッチが濃度センサに対向する位置に搬送されると、濃度センサからパッチでの反射光量を得る。そして濃度検出部85は、この反射光量に基づいて、パッチの反射濃度を得る。
【0057】
トナー搬送量検出部11bは、現像バイアス制御部11cにより現像ローラ72に後述する最大現像バイアス値を印加したときに、パッチ形成部11dによりパッチを形成し、そのパッチの反射濃度(相当量)を濃度検出部85の濃度センサにより検知することにより、プロセスカートリッジ7に設けられた現像ローラ72のトナー搬送量を検出する。
【0058】
記憶部12は、第1記憶部の一例としてのROM12aおよび第2記憶部の一例としてのRAM12bを有している。
【0059】
ROM12aには、レーザプリンタ1を制御するための各種制御プログラムや各種設定、初期値等が記憶されている。例えば、ROM12aには、後述するパッチの反射濃度に応じたプロセスカートリッジ7の印刷可能枚数(交換時期)を示すテーブル(図8参照)や現像ローラ72に現像バイアス値を変化させ印加しても感光体ドラム62に付着するトナーの量が飽和する最大現像バイアス値などが記憶されている。
【0060】
RAM12bは、読み出された各種制御プログラムを一時的に記憶する作業領域として、あるいは画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。例えば、RAM12bには、装着されたプロセスカートリッジ7のトナー搬送量検出部11bにより検出されたパッチの反射濃度に応じた印刷可能枚数や、新品のプロセスカートリッジ7を装着後の印刷枚数の累積値である累積印刷枚数などが記憶されている。この累積印刷枚数は、新品のプロセスカートリッジ7が装着された場合にリセットされる。
【0061】
CUP11aは、ROM12aから読み出された制御プログラムに従って、その処理結果をRAM12bに記憶させながら、制御部11を介してレーザプリンタ1の各構成要素を制御する。
【0062】
〔トナー搬送量の求め方〕
次に、トナー搬送量の求め方を、図4を用いて説明をする。
【0063】
図4は、パッチの反射濃度と現像バイアス値の関係を説明する図である。
【0064】
パッチの反射濃度は、現像バイアス値に依存している。
【0065】
しかし、現像バイアス値がV1以上になると、パッチの反射濃度は現像バイアス値に依存しなくなる。これは、現像バイアス値がV1以上のとき、感光体ドラム62上の静電潜像に対応した現像ローラ72上のトナーが、全て感光体ドラム62上に付着したため、現像バイアス値をV1以上増加させても、現像ローラ72上のトナーが感光体ドラム62の静電潜像に付着する量が変わらないためである。
【0066】
つまり、感光体ドラム62に付着するトナー量が飽和する現像バイアス値V1でパッチを形成し、そのパッチの反射濃度を検出することで、装着されたプロセスカートリッジの現像ローラ72のトナー搬送量がわかる。
【0067】
本実施形態では、本体筐体2内に新品のプロセスカートリッジ7が装着されると、画像形成部4は各色に対応した感光体ドラム62にパッチの静電潜像を形成する。そして、現像バイアス制御部11cは、感光体ドラム62に付着するトナー量が飽和する現像バイアス値を各色の現像ローラ72に印加する。そして、パッチ形成部11dは、各色のトナーによりパッチのトナー像を搬送ベルト83上に形成する。そして、濃度検出部85は、その各色のパッチの濃度を検出する。制御部11は、このパッチの濃度の検出結果により、新品のプロセスカートリッジ7の現像ローラ72のトナー搬送量を求めている。
【0068】
〔最大現像バイアス値の求め方〕
次に、本実施形態の最大現像バイアス値の求め方について、図5を用いて説明をする。
【0069】
プロセスカートリッジ7を製造するときには、トナーの帯電性と現像ローラ72の表面粗さが、所定の規格値内のものを使って製造する。このときのパッチの反射濃度と現像バイアス値との関係は、図5のようになる。A1は、トナーの帯電性が最大で、現像ローラ72の表面粗さが最小の場合、A2は、トナーの帯電性が最小で、現像ローラ72の表面粗さが最小の場合、A3は、トナーの帯電性が最大で、現像ローラ72の表面粗さが最大の場合、A4は、トナーの帯電性が最小で、現像ローラ72の表面粗さが最大の場合である。
【0070】
このように、パッチの反射濃度が飽和するときの現像バイアス値は、プロセスカートリッジ7のトナーの帯電性と現像ローラ72の表面粗さにより異なる。
【0071】
しかし、現像ローラ72に現像バイアス値V4以上のバイアスが印加されると、どのプロセスカートリッジ7が装着されても、パッチの反射濃度が一定となる。つまり、現像バイアス値V4以上のバイアスが現像ローラ72に印加されると、トナーの帯電性と現像ローラ72の表面粗さが規格値内で異なるどのプロセスカートリッジ7においても、感光体ドラム62上の静電潜像に対応した現像ローラ72上のトナーが、全て感光体ドラム62上に付着する。
【0072】
本実施形態では、この現像バイアス値V4を最大現像バイアス値と決め、予め記憶部12のROM12aにその値を記憶する。
【0073】
このように、現像バイアス値V4以上のバイアス値を印加したときのパッチの反射濃度を見ることにより、交換されるプロセスカートリッジ7の現像ローラ72のトナー搬送量を求めることができる。
【0074】
〔制御部の動作〕
図6は、新品のプロセスカートリッジ7が装着された際に、装着されたプロセスカートリッジ7の印刷可能枚数を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【0075】
新品のプロセスカートリッジ7が装着されると、ステップS101(以下、単にS101と称す。他のステップも同様)において、現像バイアス制御部11cは、新品のプロセスカートリッジ7内の現像ローラ72に最大現像バイアス値V4を印加する。
【0076】
次に、S102において、パッチ形成部11dは、搬送ベルト83の所定の位置にトナーによるパッチを形成するための画像形成動作を行う。
【0077】
そして、S103において、濃度検出部85は、パッチが濃度検出部85の検出位置に到達すると、そのパッチの反射濃度を検出する。
【0078】
次に、S104において、制御部11は、濃度検出部85が反射濃度1.45以上を検出したかを判断する。S104において、例えば、図5に示すA1のように、濃度検出部85が反射濃度1.45以上の値を検出すると(S104、Yes)、S105において、記憶部12のRAM12bには、ROM12aに記憶された図8の説明図に基づいて、反射濃度1.45以上の値に応じたプロセスカートリッジ7の印刷可能枚数3500枚が記憶される。
【0079】
一方、S104において、濃度検出部85が反射濃度1.45以上の値を検出しない場合(S104、No)、S106において、制御部11は、濃度検出部85が反射濃度1.3以上1.45未満の値を検出したかを判断する。S106において、例えば図5に示すA2、A3のように、濃度検出部85が反射濃度1.3以上1.45未満の値を検出すると(S106、Yes)、S107において、記憶部12のRAM12bには、ROM12aに記憶された図8の説明図に基づいて、反射濃度1.3以上1.45未満の値に応じたプロセスカートリッジ7の印刷可能枚数4000枚が記憶される。
【0080】
また、S106において、例えば、図5に示すA4のように、濃度検出部85が反射濃度1.3以上1.45未満の値を検出しない場合(S106、No)、S108において、記憶部12のRAM12bには、ROM12aに記憶された図8の説明図に基づいて、反射濃度1.3未満の値に応じたプロセスカートリッジ7の印刷可能枚数4500枚が記憶される。このように制御部11は、新品のプロセスカートリッジ7が装着された際に、装着されたプロセスカートリッジ7の印刷可能枚数を決定する。
【0081】
図7は、レーザプリンタ1が画像形成処理に伴って表示部13にプロセスカートリッジの交換時期を表示するまでを示すフローチャートである。
【0082】
RAM12bには、レーザプリンタ1の電源がオフになる前に記憶されていた印刷可能枚数Xや累積印刷可能枚数Aが記憶されている。
【0083】
レーザプリンタ1の電源がオンになると、S201において、着脱検知部14は、本体筐体2にユニット本体61の着脱があったかを判断する。
【0084】
そして、S201において、ユニット本体61の着脱がない場合(S201、NO)、S203へ移行し、レーザプリンタ1に送られてきた画像データに基づいて、画像形成動作が開始される。
【0085】
そして、用紙に画像が形成されると、S204において、制御部11は、RAM12bに今まで印刷してきた枚数である累積印刷枚数Aを記憶させる。
【0086】
次に、S205において、制御部11は、累積印刷枚数Aが印刷可能枚数X以上であるかを判断する。
【0087】
S205において、累積印刷枚数Aが印刷可能枚数X以上の場合(S205、Yes)、制御部11は、表示部13にユーザにプロセスカートリッジ7の交換を促すような表示をする。
【0088】
また、S205において、累積印刷枚数Aが印刷可能枚数X未満の場合(S205、No)、S201へ移行する。
【0089】
一方、S201において、ユニット本体61の着脱があった場合(S201、Yes)、S202において、新品検知部15は、ユニット本体61に装着されているプロセスカートリッジ7が新品であるかを判断する。
【0090】
そして、新品のプロセスカートリッジ7が装着された場合(S202、Yes)、S207において、制御部11は、RAM12bに記憶されている累積印刷枚数Aをリセットする。
【0091】
次に、S208において、制御部11は、装着されたプロセスカートリッジ7における印刷可能枚数Xを決定する処理(上述した図6に示す処理)を行う。そして、S203に移行し、レーザプリンタ1に送られてきた画像データに基づいて、画像形成動作が開始される。そして、用紙に画像が形成されると、S204において、制御部11は、RAM12bに印刷してきた累積印刷枚数Aを記憶させ、S205において、累積印刷枚数Aが印刷可能枚数X以上であるかを判断し、累積印刷枚数Aが印刷可能枚数X以上の場合に、表示部13に交換を促す表示をする。
【0092】
以上のように構成されたレーザプリンタの効果について説明をする。
【0093】
RAM12bには、トナー搬送量検出部11bの濃度検出部85で検出されたパッチの反射濃度に基づいて、ROM12aに記憶されたパッチの反射濃度に応じたプロセスカートリッジ7の交換時期(印刷可能枚数)が記憶されており、表示部13には、使用中のプロセスカートリッジ7がRAM12bに記憶されたその交換時期に達したことが表示されるので、使用されるプロセスカートリッジ7の現像ローラ72のトナー搬送量が異なる場合でも、その現像ローラ72のトナー搬送量に応じたプロセスカートリッジ7の交換時期をユーザに知らせることができる。これにより、ユーザに適正なプロセスカートリッジ7の交換時期を知らせることができる。
【0094】
また、トナー搬送量検出部11bは、現像バイアス制御部11cが現像ローラ72に最大現像バイアス値V4を印加し、パッチ形成部11dがその最大現像バイアス値V4でパッチを形成し、濃度検出部85がそのパッチの反射濃度を検出する構成を有している。このようにトナー搬送量検出部11bは、パッチの反射濃度を検出することで現像ローラ72のトナー搬送量を検出することができる。
【0095】
また、濃度検出部85は、画像形成条件の補正に使用されるパッチとトナー搬送量の検出に使用されるパッチの両方を検出するので、現像ローラ72が複数あるレーザプリンタの場合、各現像ローラ72にトナー搬送量検出部を設けなくてもトナー搬送量を検出することができる。これにより、レーザプリンタの小型化やコストを低減することができる。
【0096】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、上記の実施形態に何ら制限をされることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0097】
本実施形態では、パッチ形成部11dは、搬送ベルト83上にパッチを形成する構成であったが、感光体ドラム、用紙、中間転写ベルトなどに転写しても、同様の効果を得ることができる。
【0098】
また、本実施形態では、トナー搬送量検出部11bは、パッチの反射濃度により現像ローラ72のトナー搬送量を検出していたが、現像ローラ72の近傍に、半導体レーザなどの発光素子と、発光素子から出射され、現像ローラ72の表面またはトナー層の表面で反射するレーザ光を受光する受光素子とを設けてもよい。この構成により、現像ローラ72のトナー搬送量をより正確に検出することができる。
【0099】
また、本実施形態では、ROM12aには、予め最大現像バイアス値が記憶されていたが、予め最大現像バイアス値を記憶しなくてもよい。具体的には、新品のプロセスカートリッジ7が装着されたときに、印刷時の現像バイアス値を現像ローラ72に印加してパッチを形成し、濃度検出部85によりパッチの反射濃度を検出し、パッチの反射濃度をRAM12bに記憶させる。そして、現像バイアスを現像ローラ72所定の間隔で印加し、それぞれのパッチの反射濃度を検出する。制御部11は、検出されたパッチの反射濃度とRAMに記憶された前回のパッチの反射濃度との差が所定値以下の場合に、最後にパッチを形成した現像バイアス値を最大現像バイアス値としてRAM12bに記憶させる。
【0100】
また、本実施形態では、プロセスカートリッジ7の交換時期を印刷可能枚数で設定していたが、トナー残量によりプロセスカートリッジ7の交換時期を設定してもよい。
【0101】
また、本実施形態では、プロセスカートリッジ7に現像ローラ72を有し、ユニット本体61に感光体ドラム62を有していたが、プロセスカートリッジ7に現像ローラ72と感光体ドラム62を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1・・・レーザプリンタ、2・・・本体筐体、21・・・カバー、3・・・給紙部、4・・・画像形成部、5・・・排紙部、6・・・プロセス部、7・・・プロセスカートリッジ、72・・・現像ローラ、74・・・層厚規制ブレード、8・・・転写部、85・・・濃度検出部、9・・定着部11・・・制御部、11b・・・トナー搬送量検出部、11c・・・現像バイアス制御部、11d・・・パッチ形成部、12・・・記憶部、12a・・・ROM、12b・・・RAM、13・・・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムに形成された静電潜像を現像剤により現像する現像ローラを有するプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置であって、
プロセスカートリッジが前記画像形成装置に装着されたとき、現像ローラによって現像剤が搬送される搬送量に相当する相当量を検出する検出手段と、
現像ローラの搬送量に相当する相当量に応じたプロセスカートリッジの交換時期を記憶する第1記憶部と、
前記検出手段により検出された相当量に基づいて、前記第1記憶部に記憶された現像ローラの搬送量に相当する相当量に応じたプロセスカートリッジの交換時期を記憶する第2記憶部と、
使用中のプロセスカートリッジが前記第2記憶部に記憶された交換時期に達したことを報知する報知手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検出手段は、
感光体ドラムに付着する現像剤の量が飽和する最大現像バイアス値を印加する現像バイアス印加手段と、
前記現像バイアス印加手段により最大現像バイアス値を印加して、現像剤による濃度検知用パッチを形成するパッチ形成手段と、
前記パッチ形成手段により形成されたパッチの濃度を検出する濃度検出手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−170004(P2011−170004A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32085(P2010−32085)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】