説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成で設置状態の安定化を図ることができるとともに、低背設計及び省スペース化を実現することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】装置本体2の上面に開口する開口部2aを開閉する原稿読取装置3と、該原稿読取装置3に開閉可能に支持された原稿押さえ4を備えた画像形成装置1において、前記原稿読取装置3の前記装置本体2に対する開閉をロックする第1のロック機構と、前記原稿押さえ4の原稿読取装置3に対する開閉をロックする第2のロック機構を前記画像読取装置3の筐体5内に配置する。そして、第1ロック機構による原稿読取装置3の開閉ロックを解除して該原稿読取装置3を開くと、第2のロック機構によって原稿押さえ4の開閉をロックするよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体上面に開口する開口部を開閉する原稿読取装置と、該原稿読取装置に開閉可能に支持された原稿押さえを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真方式によって用紙に画像を形成する複写機やプリンタ或いは複合機(MFP)等の画像形成装置には、図17に示すように、不図示のドラムユニットやトナーカートリッジ等の交換のための開口部102aを装置本体102の上面に形成し、この開口部102aを原稿読取装置103によって開閉する構成を採用したものがある。
【0003】
ところで、原稿読取装置103には、原稿を上方から押圧してこれを読取面に固定するための原稿押さえ104が開閉可能に支持されて設けられている。このため、ドラムユニットやトナーカートリッジ等の交換の際に図示のように原稿押さえ104を開いたまま原稿読取装置103を開くと、原稿押さえ104が装置本体102から大きく出っ張り、画像形成装置101全体の重心が移動するために該画像形成装置101の設置状態が不安定になってしまう。特に、原稿押さえ104に自動原稿搬送装置(ADF)が付設されている場合には、原稿押さえ104全体の重量が大きくなるために画像形成装置101の設置状態が更に不安定になる。
【0004】
上記問題を解決するため、特許文献1には、装置本体の上面を覆う開閉可能な上カバー部材と、該上カバー部材の上方にこれとの間に空間を設けて配置された原稿読取装置を備え、原稿読取装置のプラテンカバーと上カバー部材が共に同一方向に開放される画像形成装置において、プラテンカバーが開放されると上カバー部材の開放を阻止するロック機構を設ける構成が提案されている。
【0005】
又、特許文献2には、装置本体に対して開閉可能な原稿読取部と、該原稿読取部の開閉方向と同じ方向に開閉可能な原稿押圧部を備えた画像形成装置において、原稿読取部の開き動作に連動して原稿押圧部を閉じ方向に移動させる移動機構を設ける構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−086628号公報
【特許文献2】特開2008−209626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1において提案された構成では、ロック機構が全て装置外部に配置されているため、装置の全高が高くなり、低背設計及び省スペースに関して不利を免れないという問題がある。
【0008】
又、特許文献2において提案された構成では、複雑な移動機構を要するために部品点数が多くなって構造が複雑化するという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、簡単な構成で設置状態の安定化を図ることができるとともに、低背設計及び省スペース化を実現することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、装置本体上面に開口する開口部を開閉する原稿読取装置と、該原稿読取装置に開閉可能に支持された原稿押さえを備えた画像形成装置において、前記原稿読取装置の前記装置本体に対する開閉をロックする第1のロック機構と、前記原稿押さえの前記原稿読取装置に対する開閉をロックする第2のロック機構を前記原稿読取装置の筐体内に配置したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記原稿読取装置を前記装置本体に対して閉じた状態で前記原稿押さえを前記原稿読取装置に対して開くと、前記第1のロック機構による前記原稿読取装置の開閉ロックが維持され、前記原稿読取装置に対して前記原稿押さえを閉じた状態で前記原稿読取装置を開くと、前記第2のロック機構による前記原稿押さえの開閉ロックが維持されるよう構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記第1のロック機構は、操作レバーによって回動するレバー軸と、該レバー軸と共に回動して装置本体側の係合部に選択的に係合するフックを備え、前記原稿押さえの開閉動作に連動して前記操作レバーに係合部材を係脱させることによって、原稿押さえが閉じられた状態では前記操作レバーの回動操作を許容して第1のロック機構による原稿読取装置の開閉ロックを解除可能とし、原稿押さえが開かれると前記操作レバーの回動操作を禁止して第1のロック機構による原稿読取装置の開閉ロックを維持するよう構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記第2のロック機構は、前記原稿押さえ側に設けられた原稿押さえロック部材と、前記原稿読取装置側に回動可能に設けられて前記原稿押さえロック部材に係脱されるフックを備え、前記原稿読取装置の開閉動作に連動して前記フックを回動させてこれを前記原稿押さえロック部材に係脱させることによって、原稿読取装置が閉じられた状態では原稿押さえの開閉を許容し、原稿読取装置が開かれると原稿押さえの開閉をロックするよう構成したことを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記フックを前記原稿押さえロック部材に係合する方向に付勢する付勢手段を金属スプリングで構成し、該金属スプリングによって2つ以上の板金部材のアース取りを行うようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、前記装置本体の上面に形成された開口部を開閉する上カバーを設け、該上カバーが前記原稿読取装置の開閉動作に連動して開閉するよう構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、原稿読取装置の装置本体に対する開閉をロックする第1のロック機構と、原稿押さえの原稿読取装置に対する開閉をロックする第2のロック機構を原稿読取装置の筐体内に配置したため、原稿読取装置の高さを低く抑えて画像形成装置の全高も低く抑えることができ、構造を単純化して低背設計と省スペース化が可能となるとともに、第1及び第2のロック機構の可動部等に作業者が触れることがなく、これらを覆うカバーも不要となって部品点数が削減される。
【0017】
又、ドラムユニットやトナーカートリッジの交換等のメンテナンスに際して第1のロック機構による原稿読取装置の開閉ロックを解除して該原稿読取装置を開けると、第2のロック機構によって原稿押えの開閉をロックするようにすれば、原稿読取装置と原稿押さえが一体として開かれるため、原稿押さえが装置本体から大きく出っ張ることがなく、画像形成装置の重心の移動が小さく抑えられて該画像形成装置の設置状態の安定化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の原稿読取装置を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】原稿読取装置の斜視図である。
【図4】原稿読取装置の内部構造を示す斜視図である。
【図5】図4のA部拡大詳細図である。
【図6】金属スプシングの斜視図である。
【図7】第1及び第2のロック機構を構成するレバー軸とリンクロッドの斜視図である。
【図8】第1のロック機構のレバー軸の斜視図である。
【図9】第1のロック機構のリンクロッドの斜視図である。
【図10】(a),(b)は第1のロック機構の操作レバーの斜視図である。
【図11】第1のロック機構における操作レバーへのレバー軸とリンクロッドの連結構造を示す図である。
【図12】(a),(b)は第1のロック機構におけるフックの装置本体側の係合段部への係脱と操作レバーのリンクロッドによる回動ロック/アンロックを説明する図である。
【図13】第1のロック機構におけるリンクロッドと原稿押さえロック部材との係合状態を示す図である。
【図14】第2のロック機構の斜視図である。
【図15】(a),(b)は第2のロック機構におけるフックの原稿押さえロック部材との係脱(ロック/アンロック)を説明する図である。
【図16】(a)〜(c)は画像形成装置における原稿読取装置及び原稿押さえの開閉状態を示す図である。
【図17】従来の画像形成装置における原稿読取装置と原稿押さえを開いた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明に係る画像形成装置の斜視図、図2は同画像形成装置の原稿読取装置を開いた状態を示す斜視図、図3は原稿読取装置の斜視図、図4は同原稿読取装置の内部構造を示す斜視図、図5は図4のA部拡大詳細図、図6は金属スプリングの斜視図、図7は第1及び第2のロック機構を構成するレバー軸とリンクロッドの斜視図、図8はレバー軸の斜視図、図9はリンクロッドの斜視図、図10(a),(b)は操作レバーの斜視図、図11は操作レバーへのレバー軸とリンクロッドの連結構造を示す図、図12(a),(b)は第1のロック機構におけるフックの装置本体側の係合段部への係脱と操作レバーのリンクロッドによる回動ロック/アンロックを説明する図、図13は第1のロック機構におけるリンクロッドと原稿押さえロック部材との係合状態を示す図、図14は第2のロック機構の斜視図、図15(a),(b)は第2のロック機構におけるフックの原稿押さえロック部材との係脱(ロック/アンロック)を説明する図、図16(a)〜(c)は画像形成装置における原稿読取装置及び原稿押さえの開閉状態を示す図である。
【0021】
図1及び図2に示す画像形成装置1は、複写機能とプリンタ機能及びファクシミリ機能を兼備した複合機(MFP)であって、その装置本体2の上部には原稿を光学的に読み取るための原稿読取装置3が開閉可能に設けられており、この原稿読取装置3には原稿押さえ4が開閉可能に設けられている。ここで、図3に示すように、原稿読取装置3の矩形ボックス状の筐体5の上面には透明なプラテンガラス6が嵌め込まれており、筐体5の前部には操作部7が配置されている。前記原稿押さえ4は、原稿読取装置3のプラテンガラス6上に載置された原稿を押さえるものであって、これには複数枚の原稿をプラテンガラス6へと順次送り込むための自動原稿搬送装置(ADF)8が付設されている。
【0022】
又、装置本体2には、感光ドラム、帯電器、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置等の各種プロセス機器の他、現像装置にトナーを補給するトナーカートリッジ等が内蔵されている。そして、装置本体2の前面には手差しトレイ9が開閉可能に設けられており、その下方の装置本体2の底部には給紙カセット10が手前側に引き出し可能に設けられている。
【0023】
ところで、本画像形成装置1においては、前記感光ドラムや帯電器はドラムユニットとして前記トナーカートリッジと同様に装置本体2に対して着脱可能に構成されており、装置本体2の上部には図2に示すようにドラムユニットやトナーカートリッジを出し入れするための開口部2aが形成されており、原稿読取装置2が図1に示すように閉じているときには、開口部2aは排紙トレイを兼ねる上カバー11によって閉じられている。
【0024】
前記原稿読取装置3は装置本体2の上部奥側を中心として回動して開閉され、前記原稿押さえ4は原稿読取装置3の上面奥側を中心として回動して開閉されるが、図2に示すように原稿読取装置3と原稿押さえ4が一体的に開かれると、この動作に連動して上カバー11も回動して装置本体2の上面の開口部2aを開くよう構成されている。尚、上カバー11は、原稿読取装置3と原稿押さえ4を図1に示すように閉じると、この動作に連動して回動して装置本体2の開口部2aを閉じるよう構成されている。
【0025】
而して、本実施の形態に係る画像形成装置1には、原稿読取装置3の装置本体2に対する開閉をロックする第1のロック機構と、原稿押さえ4の原稿読取装置3に対する開閉をロックする第2のロック機構が設けられているが、これらの第1及び第2のロック機構は、図3及び図4に示す原稿読取装置3の筐体5内に組み込まれている。
【0026】
ここで、先ず、第1のロック機構の構成について説明する。
【0027】
第1のロック機構は、図7に示すように互いに直角を成すレバー軸12とリンクロッド13を備えており、レバー軸12は原稿読取装置3の筐体5内の手前側内面に沿って配され、リンクロッド13は筐体5内の右側内面に沿って配されている。そして、レバー軸12の右端部には操作レバー14が連結されており、同レバー軸12の操作レバー14の内側と左端部には軸直角方向に延びるフック15がそれぞれ形成されている。又、図8に示すように、レバー軸12の右端にはアーム16が軸直角方向に形成されており、このアーム16の端部にはピン17がレバー軸12と平行に突設されている。
【0028】
他方、図9に示すように、前記リンクロッド13の手前側の前端にはアーム18が軸直角方向に形成されており、このアーム18の下端部にはピン19が左方に向かって直角に突設されている。リンクロッド13の後端部には水平なカム部材20が軸直角方向に一体に形成されている。そして、カム部材20には縦リブ状のカム21が一体に立設されており、このカム21の先端には斜面状のカム面21aが形成されている。
【0029】
ところで、図10に示すように、前記操作レバー14の上端部の左右には軸14a,14bが一体に形成されており、該操作レバー14は、図1〜図4に示すように、画像読取装置3の前面右端部の操作部7の横に形成された凹部に配置され、その上端部の左右に形成された前記軸14a,14bによって筐体5に揺動可能に支持されており、その回動中心は図9に示すようにレバー軸12の軸中心に一致している。
【0030】
又、図10(a)に示すように、操作レバー14の左端面には円筒状のボス14Aが一体に形成されており、図11に示すように、このボス14Aにはレバー軸12の右端のアーム16に突設されたピン17が嵌合されている。従って、操作レバー14を軸14a,14bを中心として回動操作すると、そのボス14Aに嵌合するピン17を備えるアーム16が回動するため、レバー軸12及びこれに形成された左右一対のフック15が一体に回動し、図12に示すようにフック15が装置本体2に形成された段凹状の係合部14bに係脱して画像読取装置3の開閉がロック/アンロックされる。
【0031】
更に、図10(b)及び図12に示すように、操作レバー14の右端面には後方(図12の右方)に向かって開口するコの字状の係合凹部14Bが形成されており、この係合凹部14Bにリンクロッド13の前端のアーム18に突設された前記ピン19が図11及び図12に示すように係脱することによって操作レバー14の回動操作がロック/アンロックされる。尚、後述するが、操作レバー14の係合凹部14Bへのピン19の係脱は、原稿押さえ4の開閉動作に連動するリンクロッド13の前後方向の軸移動によってなされる。
【0032】
次に、原稿押さえ4の原稿読取装置3に対する開閉をロックする第2のロック機構の構成について説明する。
【0033】
原稿読取装置3の筐体5内の後部側には、図7に示すようにリンクロッド13に沿うロック部材22が軸23を中心として回動可能に配置されており、このロック部材22の後端にはフック24が垂直に立設されている。又、ロック部材22の前端には左方に向かって直角に延びる押圧アーム25が設けられており、この押圧アーム25には装置本体2の上面右側に垂直に突設された突起2c(図2及び図15(a)参照)が選択的に当接する。
【0034】
又、図4、図13及び図15に示すように、原稿押さえ4の右側部後端からは矩形プレート状の原稿押さえロック部材26が垂直下方に向かって突設されており、この原稿押さえロック部材26には矩形の係合孔26aが形成されるとともに、後端面の下部には斜めにカットされた係合面26bが形成されている。
【0035】
次に、原稿読取装置3と原稿押え4の開閉動作と第1及び第2のロック機構の作用との関係について説明する。
【0036】
図1及び図16(a)に示すように原稿読取装置3と原稿押さえ4が共に閉じていて画像形成動作が可能な状態では、原稿押さえ4に設けられた原稿押さえロック部材26の係合面26bが図13に示すようにリンクロッド13の後端に立設されたカム21のカム面21aに係合してリンクロッド13を後方にスライドさせている。
【0037】
而して、原稿押さえロック部材26が不図示のスプリングの付勢力に抗してリンクロッド13を後方へスライドさせた状態では、該リンクロッド13の前端のアーム18に突設されたピン19が図12(b)に示すように操作レバー14の係合凹部14Bから外れて両者の係合が解除されているため、操作レバー14の回動ロックは解除状態にある。
【0038】
ところで、操作レバー14は、不図示のスプリングによって軸14a,14bを中心として図12の反時計方向に付勢されており、これを操作しない状態では、レバー軸12に設けられた左右一対のフック15は図12(a)に示すように(但し、図12(a)は後述のように原稿押さえ4が開かれて操作レバー14の回動がロックされている状態を示す)装置本体2の係合部2bに係合している。従って、この状態では、第1のロック機構によって原稿読取装置3の回動がロックされて該原稿読取装置3を開くことができない。
【0039】
又、原稿読取装置3と原稿押さえ4が共に閉じていて画像形成動作が可能な状態では、図15(a)に示すように装置本体2の上面に突設された突起2cが第2のロック機構を構成するロック部材22の押圧アーム25に当接してロック部材22全体を軸23を中心として図示矢印方向に回動させるため、該ロック部材22のフック24が原稿押さえロック部材26の係合孔26aから外れて第2のロック機構による原稿押さえ4の回動ロックが解除されている。従って、画像形成に際してユーザーは、図16(b)に示すように原稿押さえ4を自由に開いて原稿を原稿読取装置3のプラテンガラス6(図3参照)上に載置することができる。尚、ロック部材22は、金属スプリング(捩りコイルバネ)27によって軸23を中心として図15の反時計方向(フック24が原稿押さえロック部材26の係合孔26aに係合する方向)に常時付勢されている。
【0040】
ここで、金属製スプリング27は、図5に示すように、画像読取装置3の板金部材3Aの端部に垂直に立設された縦壁3aのリブ状突起3bに巻装され、その一端27aは金属シャフト28に係止され、他端27bはロック部材22のフック24の近くに係止されている。従って、金属スプリング27は、板金部材3Aと金属シャフト28に接触してこれらのアース取りを行っている。
【0041】
而して、原稿読取装置3の回動がロックされている状態で上記のように原稿押さえ4を開くと、図13に示す状態(原稿押さえロック部材26がカム21に当接してリンクロッド13を後方へとスライドさせている状態)が解除されるため、リンクロッド13は不図示のスプリングの付勢力によって前方へとスライドする。すると、該リンクロッド13のアーム18に突設されたピン19が図12(a)に示すように操作レバー14の係合凹部14Bに係合するため、操作レバー14を回動操作することができず、画像読取装置3を開くことができない。このため、原稿押さえ4を開いている状態で操作レバー14が操作されて原稿読取装置3が開くという不具合が発生することがない。
【0042】
ところで、前述のように原稿読取装置3と原稿押さえ4が共に閉じていて画像形成装置1による画像形成動作が可能な状態では操作レバー14の回動ロックは解除され、該操作レバー14を自由に回動操作することができる。従って、例えばドラムユニットやトナーカートリッジ等の交換のためにユーザーが操作レバー14を手前側に引いてこれを揺動させると、レバー軸12も同方向に回動し、これに設けられた左右一対のフック15が図12(b)に示すように同方向に回動して装置本体2の係合部2bとの係合が解除されるため、図2及び図16(c)に示すように原稿読取装置3と原稿押さえ4と共に開くことができる。このように原稿読取装置3と原稿押さえ4を開くと、その動作に連動して前述のように上カバー11も回動して装置本体2の開口部2aを図2に示すように開くため、ユーザーは、開放された開口部2aを介してドラムユニットやトナーカートリッジを装置本体に対して出し入れしてこれらを新しいものと作業性良く容易に交換することができる。
【0043】
そして、上述のように原稿読取装置3と原稿押さえ4と共に開くと、第2のロック機構を構成するロック部材22の押圧アーム25が装置本体2の上面に突設された突起2cから離脱するため、図15(b)に示すように、ロック部材22は不図示のスプリングの付勢力によって軸23を中心として図示矢印方向に回動し、これによってフック24が原稿押さえロック部材26の係合孔26aに係合する。このため、原稿押さえ4の原稿読取装置3に対する回動がロックされ、画像読取装置3を開いたときには原稿押さえ4を原稿読取装置3に対して開くことができず、図2及び図16(c)に示すように両者は装置本体2に対して常に一体として開閉される。
【0044】
上述のように本発明に係る画像形成装置1においては、ドラムユニットやトナーカートリッジの交換等のメンテナンスに際して第1のロック機構による原稿読取装置3の開閉ロックを解除して該原稿読取装置3を開けると、第2のロック機構によって原稿押え4の開閉がロックされ、原稿読取装置3と原稿押さえ4が一体に開かれるため、図16(c)に示すように原稿押さえ4が装置本体2から大きく出っ張ることがなく、画像形成装置1の重心の移動が小さく抑えられて該画像形成装置1の設置状態の安定化が図られる。
【0045】
又、本発明に係る画像形成装置においては、原稿読取装置3の装置本体2に対する開閉をロックする第1のロック機構と、原稿押さえ4の原稿読取装置3に対する開閉をロックする第2のロック機構を画像読取装置3の筐体5内に配置したため、原稿読取装置3の高さを低く抑えて画像形成装置1の全高も低く抑えることができ、構造を単純化して低背設計と省スペース化が可能となるとともに、第1及び第2のロック機構の可動部等に作業者が触れることがなく、これらを覆うカバーも不要となって部品点数が削減されるという効果も得られる。
【0046】
尚、以上は本発明を複合機(MFP)に対して適用した形態について説明したが、本発明は、単体としての複写機やプリンタ、ファクシミリ等の他の任意の画像形成装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 画像形成装置
2 装置本体
2a 装置本体の開口部
2b 装置本体の係合部
2c 装置本体の突起
3 原稿読取装置
3A 原稿読取装置の板金部材
3a 板金部材の縦壁
3b 板金部材のリブ状突起
4 原稿押さえ
5 原稿読取装置の筐体
6 プラテンガラス
7 原稿読取装置の操作部
8 自動原稿搬送装置(ADF)
9 手差しトレイ
10 給紙カセット
11 上カバー
12 レバー軸
13 リンクロッド
14 操作レバー
14A 操作レバーのボス
14B 操作レバーの係合凹部
14a,14b 操作レバーの軸
15 レバー軸のフック
16 レバー軸のアーム
17 レバー軸のピン
18 リンクロッドのアーム
19 リンクロッドのピン(係合部材)
20 カム部材
21 カム
21a カムのカム面
22 ロック部材
23 ロック部材の軸
24 ロック部材のフック
25 ロック部材の押圧アーム
26 原稿押さえロック部材
26a 原稿押さえロック部材の係合孔
26b 原稿押さえロック部材の係合面
27 金属スプリング(付勢手段)
27a 金属スプリングの端部
28 金属シャフト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体上面に開口する開口部を開閉する原稿読取装置と、該原稿読取装置に開閉可能に支持された原稿押さえを備えた画像形成装置において、
前記原稿読取装置の前記装置本体に対する開閉をロックする第1のロック機構と、前記原稿押さえの前記原稿読取装置に対する開閉をロックする第2のロック機構を前記原稿読取装置の筐体内に配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記原稿読取装置を前記装置本体に対して閉じた状態で前記原稿押さえを前記原稿読取装置に対して開くと、前記第1のロック機構による前記原稿読取装置の開閉ロックが維持され、前記原稿読取装置に対して前記原稿押さえを閉じた状態で前記原稿読取装置を開くと、前記第2のロック機構による前記原稿押さえの開閉ロックが維持されるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1のロック機構は、操作レバーによって回動するレバー軸と、該レバー軸と共に回動して装置本体側の係合部に選択的に係合するフックを備え、前記原稿押さえの開閉動作に連動して前記操作レバーに係合部材を係脱させることによって、原稿押さえが閉じられた状態では前記操作レバーの回動操作を許容して第1のロック機構による原稿読取装置の開閉ロックを解除可能とし、原稿押さえが開かれると前記操作レバーの回動操作を禁止して第1のロック機構による原稿読取装置の開閉ロックを維持するよう構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2のロック機構は、前記原稿押さえ側に設けられた原稿押さえロック部材と、前記原稿読取装置側に回動可能に設けられて前記原稿押さえロック部材に係脱されるフックを備え、前記原稿読取装置の開閉動作に連動して前記フックを回動させてこれを前記原稿押さえロック部材に係脱させることによって、原稿読取装置が閉じられた状態では原稿押さえの開閉を許容し、原稿読取装置が開かれると原稿押さえの開閉をロックするよう構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記フックを前記原稿押さえロック部材に係合する方向に付勢する付勢手段を金属スプリングで構成し、該金属スプリングによって2つ以上の板金部材のアース取りを行うようにしたことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装置本体の上面に形成された開口部を開閉する上カバーを設け、該上カバーが前記原稿読取装置の開閉動作に連動して開閉するよう構成したことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−227495(P2011−227495A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77009(P2011−77009)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】