説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において帯電ブラシローラに付着した現像剤を効率よく除去し、帯電ブラシローラの帯電性能が低下することを防止する。
【解決手段】画像形成装置1は、感光体ドラム40と、帯電ブラシローラ5と、露光ヘッド42と、現像器43と、保持ローラ6と、保持ローラ用高圧電源77と備えている。帯電ブラシローラ5は、感光体ドラム40を接触状態で帯電する。露光ヘッド42は、帯電された感光体ドラム40の表面に静電潜像を形成する。現像器43は、静電潜像をトナーTで現像するとともに、感光体ドラム40からトナーTを回収する。保持ローラ6は、帯電ブラシローラ5に接触する導電性のローラである。保持ローラ用高圧電源77は、保持ローラ6に対して、前回転時および記録時には帯電ブラシローラ5の帯電電位より絶対値が小さい第1電圧を印加して、後回転時には帯電ブラシローラ5の帯電電位より絶対値が大きい第2電圧を印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ、複合機などの電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラムの周りに、帯電器、露光器、現像器および転写器を備える。このような画像形成装置では、感光体ドラムを帯電させてさらに露光することで、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する。その後、静電潜像を現像してトナー像を形成し、さらにトナー像を所定の用紙に転写させる。
【0003】
感光体ドラムの表面には、転写動作後に、トナーが残留する。このような残留したトナーを、クリーナで除去する代わりに、現像器に回収するするようにしたいわゆるクリーナレス画像形成装置も知られている。
【0004】
また、帯電ブラシローラは、感光体ドラムに直接接触した状態で帯電を行うので、トナーが付着しやすい。帯電ブラシローラに付着したトナーをそのままにしておくと、画像形成性能が低下する。具体的には、帯電ブラシローラの放電性能が低下して、それにより感光体ドラムの帯電電位が低下して、その結果画像に例えばハーフトーン汚れが生じる。そこで、帯電ブラシローラに付着したトナーを除去する技術が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照。)。
【0005】
特許文献1に記載の技術では、ブラシローラ100にブレード103を接触させている。ブレード103は、ブラシローラ100からトナーを貯蔵手段110に向けて掻き落とす。
【0006】
特許文献2に記載の技術では、ブラシ状の帯電部材2にトナー回収ローラ3を接触させている。トナー回収ローラ3に交流磁界を加えることで、帯電部材2に付着したトナーをトナー回収ローラ3に移行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−104562号公報
【特許文献2】特開平11−84830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および特許文献2に記載の帯電ブラシローラに付着したトナーを除去する方法では、帯電ブラシローラよりトナーを十分に回収することができない。このため、帯電ブラシローラの放電性能が低下し、感光ドラムの帯電電位が低下する。帯電電位が低下すると、形成される画像にいわゆるハーフトーン汚れが発生するという問題がある。
【0009】
本発明の課題は、画像形成装置において帯電ブラシローラに付着した現像剤を効率よく回収し、帯電ブラシローラの放電性能の低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一見地に係る画像形成装置は、像担持体と、帯電ブラシローラと、露光部と、現像器と、保持ローラと、電圧印加部と備えている。帯電ブラシローラは、像担持体を接触状態で帯電する。露光部は、帯電された像担持体の表面に静電潜像を形成する。現像器は、静電潜像を現像剤で現像するとともに、像担持体から現像剤を回収する。保持ローラは、帯電ブラシローラに接触する導電性のローラである。電圧印加部は、保持ローラに対して、前回転時および記録時には帯電ブラシローラの帯電電位より絶対値が小さい第1電圧を印加して、後回転時には帯電ブラシローラの帯電電位より絶対値が大きい第2電圧を印加する。
この装置では、前回転時および記録時には、電圧印加部が、帯電ブラシローラの帯電電位より絶対値が小さい第1電圧を印加する。したがって、帯電ブラシローラに付着した現像剤が保持ローラに移動して、そこで保持される。このようにして、帯電ブラシローラから現像剤が除去されるので、帯電性能が低下しにくい。
さらに、後回転時には、電圧印加部が、帯電ブラシローラの帯電電位より絶対値が大きい第2電圧を印加する。したがって、保持ローラに保持された現像剤が、帯電ブラシローラに移動して、さらに、帯電ブラシローラから像担持体の表面に移動する。像担持体に戻った現像剤は、現像器に回収される。
【0011】
帯電ブラシローラは静電植毛ブラシを有していてもよい。この場合、従来よりブラシ毛を短くできる。
【0012】
保持ローラは金属製であってもよい。この場合、保持ローラの導電性が高くなる。
【0013】
帯電ブラシローラのブラシ毛の長さは、0.4〜0.8mmであってもよい。この場合、ブラシ毛が短くなっているので、他のローラによる食い込み量を大きくすることができ、そのためブラシ毛の根元付近の付着現像剤を除去しやすくなっている。
【0014】
保持ローラの周面は、帯電ブラシローラのブラシ毛の根元付近に接触していてもよい。この場合、帯電ブラシローラのブラシ毛の根元に付着した現像剤が、保持ローラによって除去されやすい。
【0015】
像担持体の周面は、帯電ブラシローラのブラシ毛の根元付近に接触していてもよい。この場合、帯電ブラシローラのブラシ毛の根元に付着した現像剤が、像担持体によって回収されやすい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る画像形成装置では、帯電ブラシローラに付着した現像剤を効率よく除去でき、帯電ブラシローラの放電性能の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る実施形態を備えた画像形成装置全体の模式図。
【図2】画像形成装置の主要部分の制御構成図。
【図3】帯電器の模式図。
【図4】画像形成装置のタイミングチャート。
【図5】前回転時および画像形成動作時のトナーの移動を示す模式図。
【図6】後回転時のトナーの移動を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(1)画像形成装置の構造
図1を用いて、画像形成装置を説明する。図1は、本発明に係る実施形態を備えた画像形成装置全体の模式図である。以下、画像形成装置1における各方向関係を明確にするために、画像形成装置1の前面(図1における手前側)に立った作業者にとっての各方向を左右方向、前後方向、上下方向とする。
【0019】
画像形成装置1は、画像読取装置2と、画像形成装置本体3とを備える。
画像読取装置2は、画像読取部21と、原稿カバー22とを備える。画像読取部21は、原稿の画像データを読み取る装置であり、いわゆるフラットベッドスキャナである。画像読取部21は、光源23と、複数の反射鏡24と、スキャナユニット25とを有する。画像読取部21では、光源23からプラテンガラス26上の原稿に照射されて反射した光は、複数の反射鏡24によって反射されながらスキャナユニット25へと導かれる。原稿カバー22は、画像読取部21の上に回動自在に配置されている。
【0020】
画像形成装置本体3は、筐体31を備えると共に、筐体31の内部に設けられた画像形成部32、定着装置33、用紙搬送部34、給紙カセット35、手差し給紙トレイ36、および排紙部37を有する。
【0021】
画像形成部32は、画像読取装置2で読み取られた原稿の画像データおよびパーソナルコンピュータから送られてきた画像データに基づいて用紙Pに画像を形成する。画像形成部32は、感光体ドラム40、帯電器41、露光ヘッド42、現像器43、転写ローラ44、除電ランプ45、メモリ除去ブラシ46を有する。
【0022】
感光体ドラム40は、表面に静電潜像が形成される装置である。感光体ドラム40は、回転可能に設けられた円柱状の部材である。感光体ドラム40は、図示しない駆動装置によって、図1の紙面方向に垂直な回転軸を中心に、図1における反時計回りに回転される。帯電器41、露光ヘッド42、現像器43、転写ローラ44、除電ランプ45,メモリ除去ブラシ46は、感光体ドラム40の回転方向において、この順に設けられる。
【0023】
帯電器41は、感光体ドラム40の表面を所定電位に一様に帯電させる。帯電器41は、帯電ブラシローラ5と、保持ローラ6とを有している。帯電器41の構造については後述する。
【0024】
露光ヘッド42は、帯電した感光体ドラム40の表面に光を照射することで、画像データに沿った静電潜像を描く。露光ヘッド42は、光源として、例えばLED(Light Emitting Diode)を備える。
【0025】
現像器43は、感光体ドラム40上の静電潜像にトナーTを供給し、静電潜像を現像する。現像器43では、トナーTに所定電位が付与され、その電位と静電潜像の電位との差に基づいて、静電潜像にトナーTが付着されて、静電潜像が顕像化される。なお、現像器43は、現像動作と同時並行して、メモリ除去ブラシ46により分散された残留トナーTを静電吸引力により回収するクリーニング動作も行う。なお、この実施形態では負帯電トナーを用いて画像形成が行われるが、正帯電トナーを用いてもよい。
【0026】
図2に示すように、現像器43は、主に、現像器本体50、現像ローラ51、供給ローラ52、第1撹拌部材55、および第2撹拌部材56を有している。現像器本体50は、第1トナー室53および第2トナー室54を有しており、現像ローラ51、供給ローラ52、第1撹拌部材55、および第2撹拌部材56を内部に収納している。
【0027】
現像ローラ51は、現像器本体50内であって感光体ドラム40に接する位置に回転可能に配置される。現像ローラ51は、供給ローラ52から受け取ったトナーTを感光体ドラム40に供給し、感光体ドラム40上の潜像をトナーTを用いて現像する。
供給ローラ52は、現像器本体50内であって現像ローラ51に接する位置に回転可能になるように配置される。供給ローラ52は、第1トナー室53に収納されたトナーTを現像ローラ51に供給する。
【0028】
第1トナー室53および第2トナー室54は、図示しないトナーカートリッジから補給されたトナーTを収容する。第1撹拌部材55および第2撹拌部材56は、第1トナー室53および第2トナー室54のそれぞれに設けられ、トナーTを撹拌しながら供給ローラ52に向けてトナーTを送る。
【0029】
転写ローラ44は、感光体ドラム40に対向して配置され、感光体ドラム40上のトナー像を、用紙P上に転写する。
除電ランプ45は、転写後の感光体ドラム40の外周面を露光して除電する。
メモリ除去ブラシ46は、転写後の感光体ドラム40上に残るトナーTの付着力を低下させ、感光体ドラム40の表面に分散させる。メモリ除去ブラシ46には、所定電位が与えられる。
【0030】
定着装置33は、転写後の用紙Pに熱および圧力を加えることで、トナー像を用紙P上に定着させる装置でである。定着装置33は、加熱ローラ61および加圧ローラ63を備える。
【0031】
加熱ローラ61は、内部に熱源としてのハロゲンランプを有している。加熱ローラ61の表面には、温度検出部材83が接触するように配置されている。
【0032】
加圧ローラ63は、金属製のローラ軸とその回りに設けられた弾性部材とから構成されている。加圧ローラ63は装置本体に回転自在に支持されており、図示しない付勢部材によって加熱ローラ61に付勢されてニップ部65を形成している。加圧ローラ63は、加熱ローラ61が回転すると従動回転するようになっている。
【0033】
用紙搬送部34は、搬送路および複数のローラを備える。用紙搬送部34は、ローラによって、搬送路に沿って用紙Pを搬送することで、後述する給紙カセット35または手差し給紙トレイ36から、画像形成部32および定着装置33を通って排紙部37まで、用紙Pを搬送する。
【0034】
給紙カセット35は、その内部に画像形成前の用紙Pの束を収容する。給紙カセット35は、筐体31に対して出し入れ可能に設けられる。
手差し給紙トレイ36は、裏紙等の特殊な用紙に対する手差し機能を有する。
排紙部37は、画像が形成された用紙Pを排出するための部分である。排紙部37は、筐体31の上面にある。
【0035】
(2)帯電器の構造
図3を用いて、帯電器41を説明する。図3は、帯電器の模式図である。帯電器41は、帯電ブラシローラ5と、保持ローラ6とを有している。この帯電器41では、帯電ブラシローラ5は感光体ドラム40に従動して回転するようになっており、保持ローラ6は帯電ブラシローラ5に従動して回転するようになっている。
【0036】
帯電ブラシローラ5は、ローラ5aと、ローラ5aに植えられたブラシ毛5bとを有している。ブラシ毛5は導電性の繊維である。ブラシ毛5bは、静電植毛法を用いてローラ5aに固定されている。静電植毛法では、例えば、ローラ5aに接着剤を塗布しておいて、次に所定立毛長さにしたブラシ毛をローラ5aに対向した位置に配置して高圧静電界を印加する。これにより、ブラシ毛が静電吸引力によってローラ5aに引き寄せられ、接着剤塗布面に垂直に突き刺さる。
【0037】
帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの長さは1.0mm以下であり、具体的には0.4〜0.8mmである。このようにブラシ毛5bが短くなっているので、他のローラの外周面をブラシ毛5bの根元まで接触させてもブラシ毛5bに永久変形が生じにくい。この実施例では、保持ローラ6の周面は、帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの根元付近に接触しており、感光体ドラム40の周面は、帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの根元付近に接触している。このように帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの根元に感光体ドラム40および保持ローラ6の外周面に接触しているので、感光体ドラム40に対して帯電ブラシローラ5が連れ回り、さらに帯電ブラシローラ5に保持ローラ6が連れ回りするようになっている。
【0038】
以上述べたように、各ローラによる帯電ブラシローラ5に対する食い込み量が大きくなっているが、ブラシ毛5bは十分に短いので、ブラシの倒れ(ブラシ繊維の永久変形)が問題になりにくい。その理由は、ブラシ毛5bが十分に短いので、他のローラの表面に接触して曲げ変形したときにブラシ毛5bの基端部に作用する曲げモーメントが小さくなるからである。
【0039】
保持ローラ6は金属製であるが、導電性であれば他の材料から構成されていてもよい。保持ローラ6は、図示しない押圧部材によって帯電ブラシローラ5に向けて付勢されている。押圧部材は、例えば、コイルスプリングまたは板バネである。
【0040】
(3)画像形成装置の制御構成
図2を用いて、画像形成装置の制御構成を説明する。図2は、画像形成装置の主要部分の制御構成図である。
【0041】
プリンタコントロール基板71は、画像形成装置の各部の動作を制御するための制御部であり、読み込んだソフトウェアを実行することで制御を行うコンピュータを含んでいる。プリンタコントロール基板71を構成するコンピュータは、CPU、RAM、ROMを有している。
【0042】
プリンタコントロール基板71には、転写用高圧電源72、現像用高圧電源73,帯電用高圧電源74、メモリ除去用高圧電源75、および保持ローラ用高圧電源77が接続されている。
【0043】
転写用高圧電源72は、プリンタコントロール基板71からの指令に基づき、転写ローラ44に転写電圧を印加するための装置である。
【0044】
現像用高圧電源73は、プリンタコントロール基板71からの指令に基づき、現像ローラ51、供給ローラ52、ブレード57に現像電圧を印加するための装置である。
【0045】
帯電用高圧電源74は、プリンタコントロール基板71からの指令に基づき、帯電器41に帯電電圧を印加するための装置である。
【0046】
メモリ除去用高圧電源75は、プリンタコントロール基板71からの指令に基づき、メモリ除去ブラシ46に電圧を印加するための装置である。
【0047】
保持ローラ用高圧電源77は、プリンタコントロール基板71からの指令に基づき、保持ローラ6に電圧を印加するための装置である。図5および図6に示すように、保持ローラ用高圧電源77は、第1電源77aと、第2電源77bと、両者を切り替え可能なスイッチ回路77cとを有している。第1電源77aは第1電圧(−900V)を印加するものであり、第2電源77bは第2電圧(−1500V)を印加するものである。スイッチ回路77cによって、保持ローラ6に接続される電源が第1電源77aまたは第2電源77bで切り替えられる。
【0048】
プリンタコントロール基板71には、さらに、トナニアエンドセンサ81および温度検出部材83が接続されている。トナニアエンドセンサ81は、現像器本体50の底部に設けられており、トナーTが無くなりそうになると、トナニアエンドセンサ信号をプリンタコントロール基板71に送信する。温度検出部材83は、加熱ローラ61の温度を検出して、温度センサ信号をプリンタコントロール基板71に送信する。
【0049】
(4)画像形成装置の動作
図4〜図6を用いて、画像形成装置1の動作を説明する。図4は、画像形成装置のタイミングチャートである。図5は、前回転時および画像形成動作時のトナーの移動を示す模式図である。なお、より正確には、図5は画像形成動作時を示しており、図5から用紙Pを取り除くと前回転動作を示す。図6は、後回転時のトナーの移動を示す模式図である。
なお、図4は動作の流れを模式的に説明するためのものである。つまり、タイムチャートにおいて各時刻におけるオン/オフ動作は必ずしも同時に実行されることを意味するのではなく、互いに関連して実行される動作の場合も含んでいる。また、下記に示す各バイアスの値は一実施例である。また、図5および図6は図1〜図3と同じ構造を示しているが、見ている向きが異なっているので、各回転体の回転方向が逆に描かれている。
【0050】
以下の動作は、2枚の用紙に画像形成する動作である。
図4において、時刻tに印刷指令信号が入力されると、最初に前回転処理が行われて、の結果、感光体ドラム40およびその周辺のシステムが最適な状態に調整される。具体的には、時刻tに感光体ドラム40メインモータ(図示せず)がオンされ、帯電ブラシローラバイアス(帯電ブラシローラ5)、現像ローラバイアス(現像ローラ51)、およびメモリ除去ブラシバイアス(メモリ除去ブラシ46)がオンされる。
【0051】
帯電ブラシローラバイアスは−1200Vであり、この値は帯電ブラシローラ5のローラ5aを基準にしている。現像ローラバイアスは−400Vであり、メモリ除去ブラシバイアスは+300Vである。
【0052】
時刻tに保持ローラ6はオンされる。保持ローラバイアスは、第1電圧(−900V)である。つまり、図5に示すように、保持ローラ用高圧電源77のスイッチ回路77c
は第1電源77aを選択している。
【0053】
前回転処理では、帯電器41により感光体ドラム40の外周全体が一様に帯電され、さらにメモリ除去ブラシ46が感光ドラム2上の残留トナーTが掻き乱す。残留トナーTは感光体ドラム40の外周面に一様に分散され、その後に静電吸引力により現像器43に回収される。
【0054】
上述の前回転処理時には、図5に示すように、感光体ドラム40の外周面に残った残留トナーTが帯電ブラシローラ5に付着すれば、トナーTは保持ローラ6に移動する。これは、帯電ブラシローラバイアスが−1200Vであるのに対して保持ローラ6に第1電圧(−900V)が印加されているからである。また、このときに、帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの根元に保持ローラ6の外周面が接触しているので、帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの根元に付着したトナーTが確実に除去される。
【0055】
用紙が送られてくるタイミング(時刻t〜t、時刻t〜t)では、露光ヘッド42、転写ローラ44がオンされる。転写ローラバイアスは+1500Vである。
【0056】
画像形成動作中は、メモリ除去ブラシ46により、感光ドラム2上の残留トナーTが掻き乱されるとともに、現像器43で回収される。また、印刷動作中には、感光体ドラム40の外周面に残った残留トナーTが帯電ブラシローラ5に付着すれば、残留トナーTはさらに保持ローラ6に移動する。これは、帯電ブラシローラバイアスが−1200Vであるのに対して保持ローラ6に第1電圧(−900V)が印加されているからである。また、このときに、帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの根元に保持ローラ6の外周面が接触しているので、帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの根元に付着したトナーTが確実に除去される。
【0057】
従来において帯電ブラシローラの汚れは主にブラシ毛の根元に付着した現像剤であり、それを除去することが困難であった。また、クリーナレス方式の場合は、この問題が顕著であった。クリーナレス方式のクリーニング動作中に、感光体ドラム上で分散させられたトナーが帯電ブラシローラを通過することになり、そのときにトナーが帯電ブラシローラの繊維に付着するからである。上記実施形態ではこの従来技術の問題を解決している。
【0058】
2回目の印刷が時刻tで終了した後で、後回転処理が開始される。後回転処理は、主に、転写ローラ44に付着したトナーTを感光体ドラム40に戻して、さらに現像器43で回収するための処理である。本実施形態では、保持ローラ6に保持されたトナーTを帯電ブラシローラ5を介して感光体ドラム40に戻して、さらに現像器43で回収する処理も行われる。
【0059】
時刻tからわずかな時間経過後の時刻tにおいて、保持ローラバイアスが第1電圧(−500V)から第2電圧(−1500V)に切り替えられる。つまり、図6に示すように、保持ローラ用高圧電源77のスイッチ回路77cは第2電源77bを選択する。その結果、保持ローラ6と帯電ブラシローラ5の電位差に基づいて、保持ローラ6によって保持されていたトナーTは、帯電ブラシローラ5に移行する。次に、帯電ブラシローラ5に移行したトナーTは、感光体ドラム40に移行し、最後に現像器43に回収される。
【0060】
また、時刻tにおいて駆動モータ(図示せず)はオフされ、帯電器41、現像器43、および除電ランプ45がオフされる。
【0061】
帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの根元に保持ローラ6の外周面が接触しているので、トナーTは帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの根元に付着する。しかし、帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの根元に感光体ドラム40の外周面が接触しているので、トナーTは確実に感光体ドラム40に移行する。以上より、帯電ブラシローラ5のブラシ毛5bの食い込み量は、保持ローラ5と感光体ドラム40とで同じであることが好ましい。
【0062】
この実施形態では、帯電ブラシローラ5においてトナーTが溜まる空間が形成されていないので、帯電ブラシローラ5に付着したトナーTを確実に回収することができる。したがって、帯電ブラシローラ5の帯電電位が低下しにくい。その結果、例えばハーフトーン汚れといった画像形成に関する不具合が生じにくい。
【0063】
(5)特徴
画像形成装置1は、感光体ドラム40と、帯電ブラシローラ5と、露光ヘッド42と、現像器43と、保持ローラ6と、保持ローラ用高圧電源77と備えている。帯電ブラシローラ5は、感光体ドラム40を接触状態で帯電する。露光ヘッド42は、帯電された感光体ドラム40の表面に静電潜像を形成する。現像器43は、静電潜像をトナーTで現像するとともに、感光体ドラム40からトナーTを回収する。保持ローラ6は、帯電ブラシローラ5に接触する導電性のローラである。保持ローラ用高圧電源77は、保持ローラ6に対して、前回転時および記録時には帯電ブラシローラ5の帯電電位より絶対値が小さい第1電圧を印加して、後回転時には帯電ブラシローラ5の帯電電位より絶対値が大きい第2電圧を印加する。
【0064】
この装置では、前回転時および記録時には、保持ローラ用高圧電源77が、帯電ブラシローラ5の帯電電位より絶対値が小さい第1電圧を印加する。したがって、帯電ブラシローラ5に付着したトナーTが保持ローラ6に移動する。このようにして、帯電ブラシローラ5に付着したトナーTが除去されるので、帯電性能が低下しにくい。
【0065】
(6)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
前記実施形態では後回転処理のみで保持ローラバイアスを反転させてトナーTを感光体ドラムに戻していたが、複数の画像形成動作同士の間でトナーTを感光体ドラムに戻してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
2 画像読取装置
3 画像形成装置本体
5 帯電ブラシローラ
5a ローラシャフト
5b ブラシ毛
6 保持ローラ
21 画像読取部
22 原稿カバー
23 光源
24 反射鏡
25 スキャナユニット
26 プラテンガラス
31 筐体
32 画像形成部
33 定着装置
34 用紙搬送部
35 給紙カセット
36 手差し給紙トレイ
37 排紙部
40 感光体ドラム
41 帯電器
42 露光ヘッド(露光部)
43 現像器
44 転写ローラ
45 除電ランプ
46 メモリ除去ブラシ
50 現像器本体
51 現像ローラ
52 供給ローラ
53 第1トナー室
54 第2トナー室
55 第1撹拌部材
56 第2撹拌部材
57 ブレード
61 加熱ローラ
63 加圧ローラ
65 ニップ部
71 プリンタコントロール基板
72 転写用高圧電源
73 現像用高圧電源
74 帯電用高圧電源
75 メモリ除去用高圧電源
76 ヒータ駆動回路
77 保持ローラ用高圧電源(電圧印加部)
77a 第1電源
77b 第2電源
77c スイッチ回路
81 トナニアエンドセンサ
83 温度検出部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体を接触状態で帯電する帯電ブラシローラと、
帯電された前記像担持体の表面に静電潜像を形成する露光部と、
前記静電潜像を現像剤で現像するとともに、前記像担持体から前記現像剤を回収する現像器と、
前記帯電ブラシローラに接触する導電性の保持ローラと、
前記保持ローラに対して、前回転時および記録時には前記帯電ブラシローラの帯電電位より絶対値が小さい第1電圧を印加して、後回転時には前記帯電ブラシローラの帯電電位より絶対値が大きい第2電圧を印加する電圧印加部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記帯電ブラシローラは静電植毛ブラシを有している、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記保持ローラは金属製である、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帯電ブラシローラのブラシ毛の長さは0.4〜0.8mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記保持ローラの周面は、前記帯電ブラシローラのブラシ毛の根元付近に接触している、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体の周面は、前記帯電ブラシローラのブラシ毛の根元付近に接触している、請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−232392(P2011−232392A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99960(P2010−99960)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】