説明

画像形成装置

【課題】装置のコストを抑え、かつ、装置のコンセントが抜かれた状態で長期間放置されていても、転写ベルトに巻き癖が発生するのを抑制することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】テンションローラ20は、駆動ローラ12とクリーニング装置10との間の転写ベルト8の表面移動領域のうち、画像形成手段たる作像ユニットが配置されている領域Bに配置する。領域Bにおいては、テンションローラ20によってベルトの張りが常に調整されているので、長期間装置が放置されベルトが長期間停止状態であっても、感光体1に巻き付いている転写ベルト8の部分に巻き癖が発生するのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置として、複数の像担持体たる感光体上にそれぞれトナー像を形成し、各感光体上のトナー像を、転写ベルトに重ね合わせて1次転写し、この転写ベルト上に重ね合わせて転写されたトナー像を、記録媒体上に2次転写するものが知られている。
【0003】
この種の画像形成装置は、各感光体と、各感光体に個別に対応するように配設された1次転写回転体(以下、1次転写ローラという)とを転写ベルトを介して圧接対向させ、これにより、各感光体と転写ベルトとを接触させて、1次転写ニップ部を形成している。この種の画像形成装置は、感光体の最下部に転写ベルトを介して一次転写ローラの最上部が当接するように、一次転写ローラを配置している。そして、一次転写ローラを発泡スポンジローラなどの柔らかい部材で構成し、一次転写ローラを変形させることで、一次転写ニップ幅を所定の幅に形成している。
この画像形成装置においては、感光体の最下部に転写ベルトを介して一次転写ローラの最上部が当接するように、一次転写ローラを配置するため、一次転写ニップ入口で放電が発生し、感光体上のトナー像が飛散する問題があった。また、所定のニップ幅を形成するために、一次転写ローラを金属ローラよりも高価な発泡スポンジローラなどの柔らかい部材で構成する必要があった。
【0004】
特許文献1、2には、感光体の軸中心に対して一次転写ローラの軸中心を転写ベルト移動方向下流側にずらして、1次転写ローラよりも転写ベルト移動方向上流側の転写ベルトが感光体に巻きつくように配置した画像形成装置が記載されている。これにより、一次転写ローラを一次転写ニップ入口から離して配置することができる。その結果、一次転写ローラに印加される一次転写バイアスが一次転写ニップの下流側に集中し、一次転写ニップ上流側の一次転写バイアスを弱めることができる。これにより、一次転写ニップ入口の電界が弱くなり、放電を抑えることができ、感光体上のトナー像が飛散する問題を抑制することができる。
【0005】
また、特許文献1、2では、転写ベルトを感光体に巻き付かせることで、所定のニップ幅を得るようにしているので、発泡スポンジローラよりも安価な金属ローラで一次転写ローラを構成することができ、装置を従来よりも安価にすることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載の画像形成装置は、一次転写ローラの最上部を感光体の最下部よりも上方に位置させ、転写ベルトを感光体に巻きつかせて一次転写ニップ部を形成している。このため、装置が長期間放置され、長期間転写ベルトが停止した状態であると、転写ベルトの感光体と巻き付いた部分に巻き癖が発生する問題があった。これを具体的に説明する。
【0007】
図9は、従来の画像形成装置の要部拡大図である。図9に示すように、従来の画像形成装置は、転写ベルト112の移動方向順に、クリーニングユニット113→各感光体(101〜104)及び各一次転写ローラ(105〜108)からなる作像部→駆動ローラ100→テンションローラ111と配置されていた。転写ベルト112が駆動ローラ100に対してすべらないように駆動ローラ100と転写ベルト112とは、強い摩擦力を有している。また、クリーニングブレード113aと転写ベルト112との間の摩擦力も強いため、転写ベルト112がクリーニングブレード113aに対してすべることがない。このため、転写ベルト112の表面移動領域のクリーニングユニット113→作像部→駆動ローラ間の区間Cでは、ベルトの張りが緩むことがない。また、区間Cのベルト移動方向最下流に駆動ローラがある。このため、区間Cにあるベルトは、駆動ローラによって張る方向に移動せしめられる。その結果、区間Cにあるベルトは、テンションローラによって調整された張り以上にベルトが張る場合がある。このように、区間Cでベルトが、テンションローラによって調整された張り以上に張った状態で長期間放置されると、転写ベルト112の感光体に巻きついた部分に巻き癖が発生しやすくなってしまう。
【0008】
そこで、従来、このような問題に対する対策として、転写ベルト112が停止している時間を計測して、所定時間以上停止したら転写ベルト112を駆動させて、転写ベルト112の所定部分が長期間感光体に巻き付かないようにしていた。しかしながら、装置のコンセントが抜かれて長期間放置された場合は、転写ベルト112を所定間隔で駆動させることができくなる。その結果、転写ベルト112の所定部分が長期間感光体に巻き付いた状態となり、転写ベルト112に巻き癖が発生してしまう。また、各一次転写ローラを各感光体から離間させる離間手段を設け、転写ベルト112が停止しているときは、各一次転写ローラを感光体から離間させて、転写ベルト112を各感光体に巻きつかせないようにすることで、転写ベルト112の巻き癖を防止するものもある。しかしながら、転写ローラの全てを感光体から離間させる離間手段を設ける必要があり、装置のコストが高くなってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、装置のコストを抑え、かつ、装置のコンセントが抜かれた状態で長期間放置されていても、転写ベルトに巻き癖が発生するのを抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、少なくともテンションローラと駆動ローラとに張架されて無端移動する転写ベルトと、該転写ベルトの表面と接触し画像を担持する像担持体と、該転写ベルトの裏面に当接し該像担持体上の画像を該転写ベルト上に転写する1次転写回転体とを備えた複数の画像形成手段と、該転写ベルト上の画像を記録媒体上に転写する2次転写手段と、該転写ベルトの裏面に当接する対向部材と該対抗部材に対して該転写ベルトを介してを当接し、二次転写後の該転写ベルト表面の残存画像をクリーニングするクリーニングブレードとを備えたベルトクリーニング手段と、を備え、複数の画像形成手段のうち、少なくともひとつの画像形成手段の1次転写回転体を、該1次転写回転体よりも転写ベルト移動方向上流側の転写ベルトが該像担持体に巻きつくように配置した画像形成装置において、該駆動ローラと該クリーニング手段との間の該転写ベルトの表面移動領域のうち、該複数の画像形成手段が配置されている領域に、該テンションローラを配置したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記2次転写手段は、上記転写ベルトの表面と当接し、2次転写ニップ部を形成する2次転写回転体を備えており、上記テンションローラは、該2次転写ニップ部よりも転写ベルト移動方向上流側に配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記転写ベルトを少なくとも1つの像担持体を残して他の像担持体から離間させる離間手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、上記一次転写回転体が、金属ローラであることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記像担持体の直径をA、上記一次転写回転体の直径をB、上記転写ベルトの厚みをCとしたとき、該像担持体の軸方向に対して直交する仮想平面上において、該像担持体軸中心から該一次転写回転体の軸中心までの距離Lが、L>(A/2)+(B/2)+Cであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、上記転写ベルトは、上記駆動ローラ、上記テンションローラ、上記一次転写回転体のみに張架されていることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記2次転写回転体を、上記駆動ローラと上記転写ベルトを介して当接させたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6または7の画像形成装置において、上記テンションローラのベルト巻き付き角および上記駆動ローラのベルト巻き付き角を180°としたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、上記像担持体は、該装置本体に対して着脱自在に構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項9の画像形成装置において、上記像担持体を、上記ベルト表面に対して離間する方向に移動させて、該装置本体の該像担持体が転写ベルト表面から離間する方向の面から感光体が引き出されることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成装置において、上記像担持体を上記転写ベルトの上方に配置し、該像担持体を装置本体の上方の面から引き出すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至11の発明によれば、駆動ローラとクリーニング手段との間の転写ベルトの表面移動領域のうち、画像形成手段が配置されている領域は、テンションローラによって転写ベルトの張りが調整される。よって、上記画像形成手段が配置されている領域の転写ベルトがテンションローラによって調整された張り以上に張ることがない。その結果、転写ベルトの感光体と巻き付いている部分がテンションローラによって調整された張り以上に張られてしまうことがない。そして、駆動ローラとクリーニング手段との間の転写ベルトの表面移動領域のうち、画像形成手段が配置されている領域は、常に、テンションローラによって転写ベルトの張りが調整されている。よって、装置が長期間放置されて、転写ベルトが長期間停止した状態であっても、転写ベルトの感光体と巻き付いている部分がテンションローラによって調整された張り以上に張られてしまうことがない。その結果、転写ベルトの所定部分が長期間感光体と巻き付いていても、その部分に巻き癖が生じてしまうのを抑制することができる。また、転写ローラの全てを感光体から離間させる離間手段を設けなくても、転写ベルトの巻き癖を抑制することができるので、離間手段分のコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のプリンタを示す概略構成図。
【図2】プロセスカートリッジを示す図。
【図3】本実施形態の転写ユニットを示す図。
【図4】感光体と一次転写ローラとの配置関係を示す図。
【図5】接離手段を示す図。
【図6】モノクロモード実行時の転写ユニットを示す図。
【図7】プロセスカートリッジの着脱を示す図。
【図8】転写ユニットの他の例を示す図。
【図9】従来の転写ユニットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を、電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、それぞれ「Y」、「M」、「C」、「K」と記す。)の可視像たるトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kを備えている。これらは、画像形成剤として、互いに異なる色のYトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。各プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは、それぞれプリンタ100本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっており、寿命到達時に交換される。以下、Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例に挙げて説明する。
【0014】
図2は、Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを示す概略構成図である。
このプロセスカートリッジ6Yは、像担持体としてのドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、帯電装置4Y、剤供給対象となる現像装置5Y等を備えている。上記帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このY静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、転写ベルト8上に中間転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。ドラムクリーニング装置2Yのクリーニングブレード2aによって除去されたトナーは、回収オーガ2bにより、不図示の搬送機構でスペース7Yに収納される。
他のプロセスカートリッジ6M,6C,6Kにおいても、同様にして各感光体1M,1C,1K上にそれぞれMトナー像、Cトナー像、Kトナー像が形成されて、転写ベルト8上に中間転写される。
【0015】
また、図1に示したように、各プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの図中上方には、露光装置3が配設されている。潜像形成手段たる露光装置3は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kにおけるそれぞれの感光体1Y,1M,1C,1Kに照射して露光する。この露光により、感光体1Y,1M,1C,1K上にそれぞれY静電潜像、M静電潜像、C静電潜像、K静電潜像が形成される。
【0016】
また、図1において、装置の下側には、紙収容カセット26、これらに組み込まれた給紙ローラ27、レジストローラ対28など有する給紙手段が配設されている。紙収容カセット26は、記録材としての転写紙Pを複数枚重ねて収納しており、それぞれの一番上の転写紙Pには給紙ローラ27を当接させている。給紙ローラ27が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の転写紙Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給紙される。レジストローラ対28は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを回転駆動するが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0017】
また、図1において、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの図中下方には、転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。なお、転写ユニット15の詳細については、後述する。K上に形成されたKトナー像は、転写ベルト8上に中間転写される。このKトナー像の上には、ドラム状感光体1C,M,Y上に形成されたC,M,Yトナー像が順次重ね合わせて中間転写される。かかる重ね合わせの中間転写により、転写ベルト8上には4色重ね合わせトナー像が形成される。
【0018】
2次転写ローラ12は、駆動ローラ19との間に転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。この2次転写ローラ12には、図示しない電源によって2次転写バイアスが印加される。上記給紙カセット26から紙搬送路16に給紙された転写紙Pは、レジストローラ対28のローラ間に挟まれる。一方、上記転写ベルト8上に形成された4色重ね合わせトナー像は、ベルトの無端移動に伴って上記2次転写ニップに進入する。レジストローラ対28は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを2次転写ニップにて4色重ね合わせトナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、2次転写ニップでは、4色重ね合わせトナー像が転写紙Pに密着する。そして、上述の2次転写バイアスやニップ圧の影響を受けて転写紙P上に2次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。2次転写ニップを通過した後の転写ベルト8には、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニング装置10によってクリーニングされる。
【0019】
2次転写ニップから送り出された転写紙Pは、定着装置20のローラ間を通過する際に、熱と圧力と影響を受けて、表面のフルカラートナー像が定着される。その後、転写紙Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部50aが形成されており、上記排紙ローラ対29によって機外に排出された転写紙Pは、このスタック部50aに順次スタックされる。
【0020】
次に、転写ユニット15について詳細に説明する。
図3は、転写ユニット15の概略構成を示す拡大図である。図3に示すように、転写ベルト8は、主に駆動ローラ19とテンション20とに張架されており、転写ベルト8の駆動ローラ19との巻き付き角および、テンションローラとの巻き付き角がほぼ180°となるようにしている。このような構成をとることで、転写ユニット15を上下方向に短くすることができ、装置を小型化することができる。この転写ベルト8の上方には、感光体1Y、1M、1C、1Kが、ベルト移動方向の上流側から順に並ぶように配設されている。K色の感光体1Kのベルト移動方向下流側には、K色の一次転写ローラ17Kが配置されており、少なくともこのK用の感光体1KとK色の一次転写ローラ17Kとで、K色の画像形成手段が構成される。同様に、感光体1Cの下流には、一次転写ローラ17C、感光体1Mの下流には、一次転写ローラ17M、感光体1Yの下流には、一次転写ローラ17Yが配置されており、それぞれ、画像形成手段を構成している。
駆動ローラ19には、転写ベルト8を介して2次転写ローラ12が当接しており、2次転写ニップ部が形成されている。2次転写ローラ12を駆動ローラ19に当接させてあるのは、以下の理由による。テンションローラ20は、ベルトの張りを調整するために図中左右に動くため、2次転写圧を一定に保つことができない。一方、駆動ローラ19は、図中左右方向に動かないため、常に所定の2次転写圧を保つことができ、2次転写不良を生じるおそれが抑制されるからである。なお、本実施形態の各感光体の直径φは、24[mm]、駆動ローラ19の直径φは、20[mm]、各一次転写ローラの直径φは、8[mm]としている。
駆動ローラ19としては、芯金と肉厚が0.3〜1[mm]程度のポリウレタンゴムの表面層とからなっているものを用いた。また、肉厚が0.05〜0.1[mm]の薄層コーテイングしたものの方が、温度による径変化が小さく、好ましい。
【0021】
駆動ローラ19の転写ベルト移動方向下流側で、K色の感光体1Kの上流側には、ベルトクリーニング手段たるベルトクリーニング装置10が設けられている。このベルトクリーニング装置10は、転写ベルト8の裏面に当接する対抗部材たる対向ローラ10aと、この対向ローラ10aに転写ベルト8を介して当接するクリーニングブレード10bと、クリーニングブレード10bによって掻き取られたトナーを収容する収容部10cとで構成されている。
【0022】
従来においては、部品削減のため、ベルトクリーニング装置10をクリーニングブレード10bと回収部10cとで構成し、クリーニングブレード10bを、転写ベルト8を介して駆動ローラ19に当接させたり、転写ベルト8を介してテンションローラ20に当接させたりしていた。しかし、駆動ローラ19にクリーニングブレード10bを当接させた場合は、駆動ローラ19の回転負荷が増してしまい、駆動ローラ19が滑らかな回転をしなくなり、転写ベルト8の速度変動が生じて、色ずれなどの不具合を生じるおそれがあった。また、装置の小型化のために、駆動ローラ19を小径化した場合、クリーニング装置10の回収部10cが記録体の搬送路に飛び出してしまい、記録体の搬送路が確保できない不具合が生じる。また、クリーニングブレード10bの当接位置と、二次転写ニップ部との距離が近くなり、クリーニングブレード10bで掻き取ったトナーが2次転写ニップ部に侵入して、記録媒低を汚してしまう不具合を生じる場合があった。
また、テンションローラ20にクリーニングブレード10bを当接させた場合は、テンションローラ20が移動するため、クリーニングブレード10bの接触圧が変動したり、クリーニングブレード10bと転写ベルト8との接触角が変動したりして良好なクリーニング性を確保することが出来ない場合があった。
【0023】
本実施形態のクリーニング装置10は、対向ローラ10aを設けて、この対向ローラ10aにクリーニングブレード10bを転写ベルト8介してを当接させている。これにより、駆動ローラ19の回転負荷が増加することがなく、転写ベルト8の速度変動が生じることが抑制される。また、駆動ローラ19を小径にしても、クリーニングブレード10bの回収部10cが記録媒体搬送路から飛び出したり、クリーニングブレード10bで掻き取ったトナーが2次転写ニップに侵入したりすることがない。また、クリーニングブレード10bと転写ベルト8との接触圧や接触角が変動することがないので、良好なクリーニング性を維持することができる。
また、小型化することで、Bk色の1次転写ニップと2次転写ニップとの距離が近くなり、Bk色の1次転写ローラ17kからの転写電流が2次転写ニップにリークしたり、2次転写ローラ12からの転写電流が一次転写ニップにリークしたりしてまうおそれがある。その結果、Bk色の画像が転写ベルト8に良好に転写できなくなったり、転写ベルト上の画像が記録体に良好に転写できなくなったりしてしまう。しかし、1次転写ローラ17kと2次転写ローラ12との間にある対向ローラ10aをアースに落としておけば、1次転写ローラ17kからの転写電流や2次転写ローラ12kからの転写電流は、対向ローラ10aによってアースに落とされる。これにより、1次転写ローラ17kからの転写電流や2次転写ローラ12kからの転写電流がリークすることがなくなり、Bk色の画像や転写ベルト上の画像の転写を良好に行うことができる。
【0024】
転写ベルト8としては、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、TPE(サーモプラスチックエラストマー)等にカーボンブラック等の導電性材料を分散させ樹脂フィルム状のエンドレスベルトとしたものを用いることができる。本実施形態の転写ベルト8は、PC(ポリカーボネート)にカーボンブラックを添加した単層構造の構成とし、その厚みを140μmに調整したものを用いた。
【0025】
また、転写ベルト8は、体積抵抗率が108〜1012Ωcm、かつ表面抵抗率が10〜1012Ω/□の範囲であることが望ましい。転写ベルト8の体積抵抗率および表面抵抗率が上述した範囲を超えると、転写ベルト8が帯電するため、作像順の下流へ行くほど、設定電圧値を高く設定するなどの処置が必要となるため1次転写ローラ17へ供給電源を共通化する事が困難となる。これは、体積抵抗率および表面抵抗率が上述した範囲を超えると、1次転写工程、2次転写工程などで発生する放電によって転写ベルト8表面の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるためである。このため、転写ベルト8の除電手段を設ける必要が生じる。また、体積抵抗率および表面抵抗率が上記範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるため転写ニップ入り口で放電が起こり、トナー飛び散りが発生してしまう。したがって、本発明における転写ベルト8の体積抵抗率および表面抵抗率は上記範囲内でなければならない。
【0026】
転写ベルト8の抵抗測定方法は、デジタル超高抵抗微少電流計(アドバンテスト社製:R8340A)にプローブ(内側電極直径50[mm],リング電極内径60[mm]:JIS−K6911準拠)を接続し、転写ベルト8の表裏に1000[V](表面抵抗率は500[V])の電圧を印加してdischarge 5sec、charge10secで測定を行ない、その測定時の環境は22[℃]55[%RH]に固定して行なった。
【0027】
各一次転写ローラ17K〜17Yは、各感光体1K〜1Yから転写ベルト8の移動方向下流側にずらして配置し、転写ベルト8を各感光体側に押圧して、一次転写ローラよりもベルト移動方向上流側の転写ベルト8を各感光体1K〜1Yの周面に巻き付かせて一次転写ニップを形成している。4つの1次転写ローラ17Y,M,C,Kは、それぞれ図示しない電源から中間転写バイアスが印加される。各一次転写ニップには、上記中間転写バイアスの影響により、感光体と1次転写ローラ17との間に中間転写電界が形成される。そして、感光体1上に形成されたトナー像は、この中間転写電界やニップ圧の影響によって転写ベルト8上に一次転写される。
【0028】
本実施形態においては、各一次転写ローラ17K〜17Yは、各感光体1K〜1Yから転写ベルト8の移動方向に下流側にずらして配置し、転写ベルト8を各感光体側に押圧して、転写ローラよりもベルト移動方向上流側の転写ベルト8を各感光体1K〜1Yの周面に巻き付かせて一次転写ニップを形成している。これにより、各感光体1K〜1Yと転写ベルト8とが、転写ベルト8の張力により接触するようになり、トナー同士の凝集力が高くなる現象が解消される。また、各一次転写ローラ17K〜17Yが一次転写ニップよりも転写ベルト移動方向下流側に配置されるため、一次転写ニップ入口と一次転写ローラ表面との距離が離れる。これにより、一次転写バイアスが一次転写ニップ入口に作用しなくなり、ニップ入口での各感光体1K〜1Yと転写ベルト8とのギャップ放電によるトナー飛散を防止することができる。
【0029】
また、本実施形態の場合は、一次転写ローラ17K〜Yは、安価な金属ローラを使用している。しかし、金属ローラのような剛体の一次転写ローラ17を、感光体1と転写ベルト8を介して当接させた場合は、一次転写ローラ17を金属ローラよりも高価な発泡スポンジローラを使用した場合に比べて、感光体1の劣化が早まってしまう場合がある。これは、感光体1や一次転写ローラ17に偏心があった場合、感光体1と1次転写ローラ17との接触圧が一定でなくなり、所定の接触圧よりも高くなる部分が生じてしまう。このように接触圧が所定よりも高くなってしまう結果、感光体1の摩耗の進行が早まり、感光体1の劣化を早めてしまうのである。
このため、発泡スポンジローラよりも安価な金属ローラを一次転写ローラ17に用いる場合は、一次転写ローラ17を感光体1と当接させないように配置するのが好ましい。具体的に示すと、図4に示すように、一次転写ローラ17の径をA[mm]、感光体1の径をB[mm]、転写ベルトの厚みをC[mm]としたとき、一次転写ローラ17の軸心と感光体1の軸心との距離Lが、以下のような関係を満たすように一次転写ローラを配置する。
L>(A/2)+(B/2)+C・・・・(式1)
【0030】
上記式1を満たすように、一次転写ローラ17を配置することで、一次転写ローラ17と感光体1とが当接しなくなり、一次転写ローラ17を発泡スポンジローラよりも安価な金属ローラを用いても、感光体の劣化が早まってしまうのことがない。
【0031】
しかし、一次転写ローラ17が感光体1から離れすぎると、一次転写ニップに転写電界がかからなくなってしまう。実験的には、一次転写ローラ17と感光体との距離が15[mm]以上離れると、一次転写ニップに転写電界がかからなくなってしまうおそれがある。このため、上記Lは、
L<(A/2)+(B/2)+C+15・・・・(式2)
にすることが好ましい。
【0032】
また、転写ベルトの表面抵抗率が10〜1012Ω/□の範囲である場合上記Lは、
(A/2)+(B/2)+C+6≦L≦(A/2)+(B/2)+C+8
・・・(式3)
の範囲にすることがより好ましい。
【0033】
なお、図中では、全ての一次転写ローラを感光体1と転写ベルト8とが当接する一次転写ニップよりもベルト移動方向下流側に配置しているが、ベルトの張りなどの関係で、一つだけ感光体1と転写ベルト8とが当接する一次転写ニップよりもベルト移動方向上流側に一次転写ローラ17を配置してもよい。
【0034】
二次転写ローラ12はSUS等の金属製芯金上に、導電性材料によって10〜1010Ωの抵抗値に調整されたウレタン等の弾性体を被覆することで構成されている。ここで、二次転写ローラ12の抵抗値が上記範囲を超えると電流が流れ難くなるため、必要な転写性を得る為にはより高電圧を印加しなければならなくなり、電源コストの増大を招く。また、高電圧を印加する必要生じるため転写部ニップ前後の空隙にて放電が起こり、ハーフトーン画像上に放電による白ポチ抜けが発生する。このような放電による白ポチ抜けは、低温低湿環境(例えば10[℃]15[%RH])で顕著となる。逆に、二次転写ローラ12の抵抗値が上記範囲を下回ると同一画像上に存在する複数色画像部(例えば3色重ね像)と単色画像部との転写性が両立できなくなる。これは、二次転写ローラ12の抵抗値が低い為、比較的低電圧で単色画像部を転写するのに十分な電流が流れるが、複数色画像部を転写するには単色画像部に最適な電圧よりも高い電圧値が必要となるため、複数色画像部を転写できる電圧に設定すると単色画像では転写電流過剰となり転写効率の低減を招くからである。
【0035】
二次転写ローラ12の抵抗値測定は、導電性の金属製板に二次転写ローラ12を設置し、芯金両端部に片側4.9[N](両側で合計9.8[N])の荷重を掛けた状態にて、芯金と金属製板との間に1000[V]の電圧を印加した時に流れる電流値から算出した。なお、二次転写ローラ12の抵抗測定時も、環境を22[℃]55[%RH]に固定して行った。本実施形態の二次転写ローラ12は、前述の方法で測定したときに7.8LogΩとなるように調整したものを用いた。
【0036】
テンションローラ20は、図3に示すように、駆動ローラ19とクリーニング装置10との間の転写ベルト8の表面移動領域のうち、画像形成手段たる作像ユニットが配置されている領域Bに配置されている。領域Bにおいては、テンションローラ20が設けられているため、ベルトの張りが常に調整され、所定の張りとなっている。これにより、長期間装置が放置されベルトが長期間停止状態であっても、領域Bがテンションローラ20によって調整された以上の張りとなることがない。その結果、ベルトが長期間停止状態であっても、転写ベルトの感光体1に巻き付いている部分に巻き癖が発生するのを抑制することができる。一方、領域Aにおいては、テンションローラ20が設けられておらず、テンションローラ20によって調整された以上にベルトが張ってしまう場合がある。しかし、この領域Aにおいては、転写ベルト8がどの部材とも巻き付いていないので、この領域Aでテンションローラ20によって調整される以上にベルトが張っていても、転写ベルト8に巻き癖が発生することがない。
【0037】
本実施形態の画像形成装置には、形成する画像の色がフルカラーのときには全ての感光体1Y,1M,1C,1Kを転写ベルト8表面に接触させておくフルカラーモードと、黒単色のときには黒以外の感光体1Y,1M,1Cを転写ベルト8表面から離間させるモノクロモードとを備えている。
【0038】
モードの選択は、形成される画像情報から、自動的にモード選択を行うように構成してもよいし、ユーザーによって、モードを選択できるようにしても良い。
【0039】
図5は、離間手段210の斜視図である。図5に示すように、離間手段210は、底板201cを備えたローラ保持部材201を有している。ローラ保持部材201の両側面板201a、201bに、3つの一次転写ローラ17Y、17M、17Cと、テンションローラ20とを保持している。ローラ保持部材201の底板201cには、プランジャ203が取り付けられている。また、ローラ保持部材201の底板201cには、ばね202が取り付けられており、ローラ保持部材201を感光体側に付勢している。また、ローラ保持部201の両側面板201a、201bには、揺動軸205が設けらており、図示しない画像形成装置の側板に取り付けられている。
【0040】
モノクロモード実行時には、プランジャ203がローラ保持部材201を図中下側に吸引する。すると、ローラ保持部材201が揺動軸205を回転中心として回転し、図6に示すように、テンションローラ20および3個の一次転写ローラ17C、17M、17Yが図中下方へ移動する。すると、3個の一次転写ローラ17C、17M、17Yよって感光体側に押し付けられていた転写ベルト8は、撓もうとするが、テンションローラ20によって再び張架される。その結果、転写ベルト8が、感光体1Y、1M、1Cから離間する。
【0041】
一方、カラーモード実行時には、プランジャ203の吸引を解除する。すると、ばね202の付勢により、ローラ保持部材201が揺動軸205を中心として、感光体側に移動する。3つの一次転写ローラ17C、17M、17Yおよびテンションローラ20が図3に示した位置に移動して、転写ベルト8が各感光体1K、1C、1M、1Yと巻き付いて接触する。
【0042】
また、モノクロモード実行時以外に、転写ベルト8が停止したときもプランジャ203を吸引しテンションローラ20および3個の一次転写ローラ17C、17M、17Y移動させて、転写ベルト8を、感光体1C、1M、1Yから離間させても良い。このように、離間させることで、転写ベルト停止時に転写ベルト8が巻き付く感光体をK色の感光体1Kのみとする。これにより、長期間放置されたとき、巻き癖がつく可能性があるのを一箇所だけにすることができ、転写ベルト8の巻き癖がつくリスクを最小限に留めることができる。
【0043】
また、図7に示すように、各プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは、上方に引き出すことで、装置本体から取り出すことができるようになっている。このため、装置本体の上方のスタック部50aには、上記プロセスカートリッジ6が引き出されるように開口可能になっている。このように、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kを装置上方から着脱可能にすることで、転写ベルト表面から離間させる方向にのみ各プロセスカートリッジを移動させるだけで、装置本体からプロセスカートリッジ6を取り出すことができる。上述したよう、転写ベルト8は、感光体1と巻き付いているため、プロセスカートリッジ6を装置側面から着脱可能にした場合は、一度、プロセスカートリッジ6を転写ベルト表面から接離方向に移動させてから、転写ベルト表面と水平方向移動させて装置から着脱する必要がある。このように、装置側面から着脱する場合は、プロセスカートリッジを2方向に移動可能に装置を構成する必要があり、装置の複雑化、大型化に繋がってしまう。しかし、本実施形態においては、転写ベルト表面から離間させる方向にのみ各プロセスカートリッジを移動させるだけで、装置本体からプロセスカートリッジ6を取り出すことができ、2方向に移動させて取り出すものよりも装置の構成を簡略化できる。
また、本実施形態は、トナーカートリッジを設けずに、現像装置内のトナーが切れた場合は、プロセスカートリッジごと交換するようにしている。これにより、ユーザーのメンテナンスの負荷を軽減することができる。
【0044】
また、上記では、テンションローラ20と転写ベルト8との巻き付き角及び駆動ローラ19と転写ベルト8との巻き付き角が180°となった2軸構成の転写ユニット15について説明したが、図8に示す駆動ローラ19、テンションローラ20と、バックアップローラ21で主にベルトを張架する3軸構成の転写ユニット150にも本発明を適用することができる。図8に示すように、この転写ユニット150は、バックアップローラ21に2次転写ローラ12が転写ベルト8を介して当接している。バックアップローラ21と、2次転写ローラ12とは、所定の圧力で接触しているので、ベルト停止時に転写ベルト8が滑らずロックされてしまう。このため、このような配置の転写ユニット150においては、テンションローラ20を、作像ユニットが配置されている駆動ローラ19とクリーニング装置10との間の領域Bで、2次転写ニップよりも転写ベルト移動方向上流側の領域B´にテンションローラ20を配置する。これにより、画像形成手段が配置されている駆動ローラ19とクリーニング装置10との間の領域Bで、2次転写ニップよりも転写ベルト移動方向上流側の領域B´は、テンションローラ20によって張りが調整される。その結果、2次転写ニップよりも転写ベルト移動方向上流側がテンションローラ20によって調整された張り以上に張ることがないので、長期間ベルトが停止されていても、転写ベルト8に巻き癖が発生するのを抑制することができる。
【0045】
(1)
以上、本実施形態の画像形成装置によれば、転写ベルト8が停止したときに、駆動ローラ19とクリーニング手段たるクリーニング装置10との間の転写ベルト8の表面移動領域のうち、画像形成手段が配置されている領域Bは、テンションローラ20によって転写ベルト8の張りが調整される。よって、上記画像形成手段が配置されている領域Bの転写ベルト8が必要以上に張ることがなくなり、長期間放置されていても、転写ベルト8に巻き癖が発生するのを抑制することができる。また、一次転写ローラ17の全てを感光体1から離間させる離間手段を設けなくても、転写ベルト8の巻き癖を抑制することができ、離間手段分のコストを削減することができる。
(2)
また、2次転写ローラ12を転写ベルト8に対して所定の圧力で当接させて、二次転写ニップ部を形成している場合、2次転写ローラ12と転写ベルト8との間でも、転写ベルト8が滑らずにロックされてしまう。このため、画像形成手段が配置されている駆動ローラ19とクリーニング装置10との間の領域で、2次転写ニップよりも転写ベルト移動方向下流側にテンションローラ20を配置した場合は、以下のようになる。すなわち、画像形成手段が配置されている駆動ローラ19とクリーニング装置10との間の領域で2次転写ニップよりも下流側の領域のベルトの張りは、テンションローラ20によって調整される。しかし、画像形成手段が配置されている駆動ローラ19とクリーニング装置10との間の領域で2次転写ニップよりも上流側の領域は、ベルトの張りが調整されず、テンションローラによって調整された張り以上に張ってしまうおそれがある。その結果、長期間ベルトが停止状態の場合は、転写ベルトに巻き癖が発生してしまう可能性が高くなる。しかし、本実施形態においては、、画像形成手段が配置されている駆動ローラ19とクリーニング装置10との間の領域で2次転写ニップよりも上流側の領域にテンションローラ20を配置する。これにより、感光体1と転写ベルト8とが巻きついた領域のベルトの張りがテンションローラ20により調整される。これにより、画像形成手段が配置されている駆動ローラ19とクリーニング手段との間の領域で、2次転写ニップよりも転写ベルト移動方向上流側がテンションローラによって調整された張り以上に張ることがない。その結果、長期間装置が放置されても、転写ベルトに巻き癖が発生するのを抑制することができる。
(3)
また、転写ベルト8を少なくとも1つの感光体を残して他の感光体から離間させる離間手段210を設けている。これにより、単色画像を形成するときに、離間手段210で転写ベルト8を少なくとも1つの感光体を残して他の感光体から離間させることで、転写ベルト上のトナー像が他の感光体と擦れてトナー像が乱れてしまうのを抑制することができる。また、使用しない感光体を離間させることで、使用しない感光体と転写ベルト8が接触することがなくなり、使用しない感光体の摩耗の進行を遅らすことができる。その結果、感光体の寿命を延ばすことができる。
また、転写ベルト8が停止したきに、離間手段210で転写ベルト8を少なくとも1つの感光体を残して他の感光体から離間させることで、停止時に感光体と巻き付く部分を一箇所のみとすることができる。その結果、長期間装置が放置され、長期間転写ベルトの移動が停止された状態になったとしても、巻き癖が発生する可能性が一箇所のみとなり、巻き癖が発生するリスクを低減することができる。
(4)
また、従来の一次転写ローラ8の最頂部と感光体の最下部とをベルトを介して当接させた画像形成装置の場合は、一次転写ローラ17を発泡スポンジローラなどの柔らかい部材とし、一次転写ローラ17を変形させることで、一次転写ニップ幅を所定の幅にしていた。しかし、本実施形態においては、少なくとも一次転写ローラ17のひとつを感光体からベルト移動方向下流側に配置し、1次転写ローラよりもベルト移動方向上流側の転写ベルト8を感光体1に巻きつかせることで、一次転写ニップ幅を所定のニップ幅にしている。このように転写ベルト8を感光体に巻きつかせることで、転写ニップ幅を形成するため、一次転写ローラ17が剛体であっても、所定のニップ幅を形成することができる。よって、本実施形態においては、従来の一次転写ローラ17を発泡スポンジローラに比べて安価な金属ローラを用いることができる。そして、一次転写ローラ17として、金属ローラを用いることで、装置を安価に構成することができる。
(5)
また、感光体1の直径をA、上記一次転写ローラ17の直径をB、上記転写ベルト8の厚みをCとしたとき、感光体1の軸方向に対して直交する仮想平面上において、感光体軸中心から一次転写ローラの軸中心までの距離Lを、L>(A/2)+(B/2)+Cとなるように設定している。これにより、一次転写ローラ17と感光体1とが転写ベルト8を介して当接しなくなる。よって、一次転写ローラ17を金属ローラなどの剛体としても、感光体1の劣化が進行が早まることがない。
(6)
また、本実施形態によれば、転写ベルト8は、駆動ローラ19、テンションローラ20、各一次転写ローラ17K〜Yのみに張架されるようにして、必要最低限の部材のみでベルトを張架する。これにより、装置を安価に構成することができる。
(7)
また、駆動ローラ19およびテンションローラ20の転写ベルト8の巻き付き角が180°となるようにすることで、転写ユニット15の上下方向の長さを短くでき、画像形成装置を小型化することができる。
(8)
また、転写ベルト8を、駆動ローラ19、テンションローラ20、各一次転写ローラ17K〜Yのみに張架されるように構成した場合、2次転写ローラ12は、転写ベルト8を介して駆動ローラ19に当接させるか、テンションローラ20に当接させるかになる。転写ベルト8を介してテンションローラ20に2次転写ローラ12を当接させた場合は、テンションローラ20は、ベルトの張りなどのよって位置が変動するため、所定の転写圧が得られず、転写不良を生じるおそれがある。しかし、本実施形態にによれば、位置変動のない駆動ローラ19に転写ベルト8を介して2次転写ローラ12を当接させるので、転写圧が変動することがなく、記録媒体に良好に画像を転写することができる。
(9)
また、本実施形態においては、感光体1を画像形成装置に対して着脱自在に構成することで、感光体1の交換を行うことができる。
(10)
また、転写ベルト表面に対して直交する装置本体の面から、感光体を取り出すように構成した場合は、感光体1は転写ベルト8に巻きついているので、転写ベルト表面から一旦、離間させる方向に移動させた後、転写ベルト表面に対して水平に移動させて、装置本体から感光体を引き出す必要がある。また、感光体の装着時においても、転写ベルト表面に対して水平に移動させた後、転写ベルト表面に当接させる方向に感光体を移動させて感光体1と転写ベルト8とを巻きつかせて装置本体に感光体1が装着される。このように、転写ベルト表面に対して直交する装置本体の面から、感光体1を取り出すように構成した場合は、2方向に感光体を移動させなければ、感光体の着脱がなされない。一方、本実施形態の場合は、感光体が転写ベルト表面から離間する方向の装置本体の面(装置本体の転写ベルト表面に対して水平の面)から感光体が引き出される。これにより、感光体を転写ベルト表面から離間する方向にのみ移動させれば、感光体を装置本体から取り出すことができる。また、感光体を転写ベルト表面に当接する方向にのみ移動させれば、感光体に転写ベルトが巻き付き、感光体を装置本体に装着することができる。このように、感光体が転写ベルト表面から離間する方向の装置本体の面から感光体の着脱ができるように構成すれば、感光体を1方向のみ移動させれば、感光体の着脱を行うことができる。よって、転写ベルト表面に対して直交する装置本体の面から感光体の着脱を行うものに比べて、容易に感光体の着脱を行うことができる。また、転写ベルト表面に対して直交する装置本体の面から感光体の着脱を行うものに比べて、装置への着脱の機構を容易にすることができる。
(11)
また、本実施形態においては、感光体を転写ベルトの上方に配置し、装置上方から感光体が引き出されるように構成している。これにより、感光体を装置に装着させるとき、感光体の自重で装着させることができ、感光体の装着を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
1Y、1M、1C、1K 感光体
6Y、6M、6C、6K プロセスカートリッジ
8 転写ベルト
10 ベルトクリーニング装置
12 2次転写ローラ
17Y、17M、17C、17K 一次転写ローラ
19 駆動ローラ
20 テンションローラ
210 離間手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特開2003−98800号公報
【特許文献2】WO 2002/056118号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともテンションローラと駆動ローラとに張架されて無端移動する転写ベルトと、
該転写ベルトの表面と接触し画像を担持する像担持体と、該転写ベルトの裏面に当接し該像担持体上の画像を該転写ベルト上に転写する1次転写回転体とを備えた複数の画像形成手段と、
該転写ベルト上の画像を記録媒体上に転写する2次転写手段と、
該転写ベルトの裏面に当接する対向部材と該対抗部材に対して該転写ベルトを介してを当接し、二次転写後の該転写ベルト表面の残存画像をクリーニングするクリーニングブレードとを備えたベルトクリーニング手段と、を備え、
複数の画像形成手段のうち、少なくともひとつの画像形成手段の1次転写回転体を、該1次転写回転体よりも該転写ベルト移動方向上流側の転写ベルトが該像担持体に巻きつくように配置した画像形成装置において、
該駆動ローラと該クリーニング手段との間の該転写ベルトの表面移動領域のうち、該複数の画像形成手段が配置されている領域に、該テンションローラを配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記2次転写手段は、上記転写ベルトの表面と当接し、2次転写ニップ部を形成する2次転写回転体を備えており、上記テンションローラは、該2次転写ニップ部よりも転写ベルト移動方向上流側に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記転写ベルトを少なくとも1つの像担持体を残して他の像担持体から離間させる離間手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、
上記一次転写回転体が、金属ローラであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記像担持体の直径をA、上記一次転写回転体の直径をB、上記転写ベルトの厚みをCとしたとき、該像担持体の軸方向に対して直交する仮想平面上において、該像担持体軸中心から該一次転写回転体の軸中心までの距離Lが、
L>(A/2)+(B/2)+C
であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、
上記転写ベルトは、上記駆動ローラ、上記テンションローラ、上記一次転写回転体のみに張架されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記2次転写回転体を、上記駆動ローラと上記転写ベルトを介して当接させたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6または7の画像形成装置において、
上記テンションローラのベルト巻き付き角および上記駆動ローラのベルト巻き付き角を180°としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、
上記像担持体は、該装置本体に対して着脱自在に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9の画像形成装置において、
上記像担持体を、上記ベルト表面に対して離間する方向に移動させて、該装置本体の該像担持体が転写ベルト表面から離間する方向の面から感光体が引き出されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
上記像担持体を上記転写ベルトの上方に配置し、該像担持体を装置本体の上方の面から引き出すことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−232784(P2011−232784A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182007(P2011−182007)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【分割の表示】特願2005−222779(P2005−222779)の分割
【原出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】